しかしながら、特許文献1の構成では、第1〜第3搬送路体が必要となり、部品点数が多くなるのでコストアップの原因となる。また、給紙カセットに堆積させた被記録媒体のうち最上位置の被記録媒体を、給紙ローラにて送り出してレジストローラ対に被記録媒体の先端縁を到達させてレジスト作用を受けさせた後、レジストローラ対にて被記録媒体を記録部に搬送する時、その被記録媒体の後部側は給紙カセットに堆積されている被記録媒体と、自由回転する給紙ローラとの間に挟まれているので、上記搬送されている被記録媒体の中途部が搬送経路の内径側の搬送路体の面に摺接する傾向があり、その摺接面での搬送抵抗が大きくなり、被記録媒体が斜行したり、紙ジャムが発生する等、被記録媒体の搬送姿勢が安定しないという問題があった。
本発明は、これらの問題を解決すべくなされたものであり、比較的簡単な構成を採用することにより、被記録媒体の最後の1枚まで確実且つ安定して記録部に給送できる画像記録装置を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の画像記録装置は、被記録媒体上に画像を記録する画像記録部と、その画像記録部に被記録媒体を給送する給紙搬送路と給紙ローラとを装置本体内に備え、当該装置本体の下部には前記画像記録部より下方に、第1給紙カセット及び第2給紙カセットがそれぞれ装置本体に対して進退動可能に配置され、前記給紙カセットの被記録媒体が給紙ローラにより送り出されるとともに、その給紙カセットにおける給送方向の端部から、前記給紙搬送路に対して上向きに搬送されるように構成してなる画像記録装置において、前記第1給紙カセットは多数枚の被記録媒体を堆積可能な収容部を備え、前記第2給紙カセットは前記第1給紙カセットの前記収容部上にて、前記第1給紙カセットに対して進退動可能に配置され、且つ前記第1給紙カセットにおける被記録媒体よりも給送方向と直交する幅方向の寸法が狭いサイズの複数枚の被記録媒体を堆積可能な載置部を備え、前記給紙搬送路は、側面視で横向きU字状の外径側搬送路体と、この外径側搬送路体の内径側に適宜隙間を隔てて配置される内径側搬送路体とを備え、前記内径側搬送路体は、前記第2給紙カセットにおける被記録媒体のみが通過する中央ガイド板と、前記中央ガイド板の左右両側に位置され、前記第1給紙カセットにおける被記録媒体の前記幅方向の両端側が摺接可能に案内される左右両側ガイド板とを備え、前記中央ガイド板及び前記左右両側ガイド板における給送方向上流側の部位には、自由回転する回転コロが、少なくとも被記録媒体の搬送方向と直交する被記録媒体の幅方向に適宜間隔にて複数設けられているものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記中央ガイド板における給送方向上流側の部位と前記外径側搬送路体との隙間間隔が、前記左右両側ガイド板における給送方向上流側の部位と前記外径側搬送路体との隙間間隔よりも広くなるように形成され、前記中央ガイド板及び前記左右両側ガイド板における給送方向下流側の部位は、前記外径側搬送路体との隙間間隔が実質上同一となって、共通搬送経路を構成するように形成されているものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記共通搬送経路部位には、前記外径側搬送路体と前記内径側搬送路体との両方に、被記録媒体の前記幅方向の中央側に当接する複数の回転コロが設けられているものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置において、前記各給紙カセット上の被記録媒体が共通する1つの給紙手段により送り出されると共に、少なくとも第1給紙カセットの端部に設けられた傾斜分離板により1枚ずつ分離されて前記給紙搬送路に対して上向きに搬送されるように構成したものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置において、前記外径側搬送路体及び前記内径側搬送路体には、前記被記録媒体が通過する表面に向かって突出し、且つ前記被記録媒体の搬送方向に沿って長い複数本の突条リブが、前記被記録媒体の幅方向に適宜間隔で配置されているものである。
請求項1に記載の発明によれば、第1給紙カセットは多数枚の被記録媒体を堆積可能な収容部を備え、第2給紙カセットは前記第1給紙カセットの前記収容部上にて、前記第1給紙カセットに対して進退動可能に配置され、且つ前記第1給紙カセットにおける被記録媒体よりも給送方向と直交する幅方向の寸法が狭いサイズの複数枚の被記録媒体を堆積可能な載置部を備えたものであるので、上下2段の給紙カセットを画像記録装置の本体ケースに対して各々独立的に進退動可能に構成したものに比べて、コンパクトに構成することができる。
そして、外径側搬送路体と、左右両側ガイド板に対して凹み形成された中央ガイド板を備えた内径側搬送路体との組み合わせにより、給送の上流側では、巾寸法の狭い被記録媒体の導入口と、それより広巾の被記録媒体の導入口とが互いに連通するように形成することかできる。
さらに、レジストローラ対にて被記録媒体を挟持して画像記録部に向かって搬送(給送)する場合、当該被記録媒体の上流側部位は、収容部または載置部に堆積収容され、静止している被記録媒体と給紙ローラとの間に挟まれているので、給送されている被記録媒体は搬送抵抗(給送抵抗)を受けるから、給紙ローラよりも下流側では、広巾の被記録媒体の中途部は左右両側ガイド板の外面側(外径側)に摺接するように接近した湾曲状態を呈する。左右両側ガイド板の上流側端部で被記録媒体の巾方向の両端側部位は屈曲状態になるので、搬送抵抗(給送抵抗)が最も大きく現れるから、この箇所(左右両側ガイド板の上流側端部)に、自由回転する複数の回転コロを設けることにより、搬送抵抗(給送抵抗)を減少させることができる。
同様に狭い巾の被記録媒体の中途部は中央ガイド板における小さい曲率半径の端面(外径側)に摺接するように接近した湾曲状態を呈する。従って、中央ガイド板における上流側端部で上記被記録媒体の中途部は屈曲状態になるので、搬送抵抗(給送抵抗)が最も大きく現れるから、この箇所(中央ガイド板における上流側端部)に、自由回転する複数の回転コロを設けることにより、搬送抵抗(給送抵抗)を減少させることができる。
従って、上記の構成により、広狭いずれの被記録媒体でも、空送り、紙ジャム、斜行を確実に防止することができるという効果を奏する。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、被記録媒体の給送の下流側では、上記広巾の被記録媒体と狭い巾の被記録媒体の両方を案内通過できる共通搬送経路を構成したから、Uターンパス(横向きU字状の給紙搬送経路)を構成するための部品点数を少なく、且つ組み込み作業も容易になるという効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、前記共通搬送経路部位には、前記外径側搬送路体と前記内径側搬送路体との両方に、被記録媒体の前記幅方向の中央側に当接する複数の回転コロが設けられているものであるので、前記共通搬送経路部位を通過する広狭いずれの被記録媒体でも搬送抵抗(給送抵抗)を減少させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記各給紙カセット上の被記録媒体が共通する1つの給紙手段により送り出されると共に、少なくとも第1給紙カセットの端部に設けられた傾斜分離板により1枚ずつ分離されて前記給紙搬送路に対して上向きに搬送されるように構成したものであるから、請求項1〜3に記載の発明による効果に加えて、傾斜分離板により、前記被記録媒体を1枚ずつ分離する作用を確実にならしめることができ、被記録媒体の重送を確実に防止できるとともに、給紙手段及び傾斜分離板の数を少なくでき、製造コストの低減を図るとともに、画像記録装置の高さを低くしてコンパクトにできるという効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、前記外径側搬送路体及び前記内径側搬送路体には、前記被記録媒体が通過する表面に向かって突出し、且つ前記被記録媒体の搬送方向に沿って長い複数本の突条リブが、前記被記録媒体の幅方向に適宜間隔で配置されているものであるから、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明による効果に加えて、広狭いずれの被記録媒体の通過時の搬送抵抗(給送抵抗)を一層少なくでき、記録部への被記録媒体の搬送を円滑且つ確実に行えるという効果を奏する。
次に、本発明を具体化した最良の実施形態について説明する。図1は画像記録装置の斜視図、図2は側断面図、図3は給紙手段と第1給紙カセットと後退させた第2給紙カセットを示す平面図、図4は図3のIV−IV線矢視図、図5は給紙手段と第1給紙カセットと給紙位置にある第2給紙カセットを示す平面図、図6は図5のVI−VI線矢視図、図7(a)はUターンパス用の内外両搬送路体を組み立てた状態の裏面側上方から見た斜視図、図7(b)は同じく内面側下方から見た斜視図、図8(a)は外径側搬送路体の内側から見た斜視図、図8(b)は外枠の内面側斜視図、図8(c)はガイド板の分解斜視図、図9(a)は内径側搬送路体を内側下方から見た斜視図、図9(b)は内径側搬送路体を外側上方から見た斜視図、図10は第2給紙カセットを給紙位置にセットした状態での作用説明図である。
本実施形態は、画像記録装置の1実施形態としての、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びコードレス電話機能を備えた多機能装置1(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものである。多機能装置1は、図示されていないコンピュータや電話通信網に接続可能であり、このコンピュータや他のファクシミリ装置から送信された画像データや文書データに基づいて、被記録媒体の一例としての記録用紙に画像や文書を記録することができる。また、多機能装置1は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録することができる。
本実施形態では、図1に示すように、合成樹脂製の本体ケース(ハウジング)2の下部に画像記録部(以下、記録部という)7が備えられている。そして、装置本体である本体ケース2の底部のカセット収納部(収納空間)に対して、本体ケース2の前側に開口された挿入口2aから挿抜可能(実質上水平方向に出し入れ可能)な給紙カセット3が配置されている。以下、合成樹脂製の本体ケース2の挿入口2aがある側を前側または前方といい、これを基準に装置の前側、左右側、後側(奥側)という。本体ケース2の前面部にはスロット部11が備えられ、このスロット部11にメモリカード等の各種記憶媒体が装填されることによって当該記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することも可能である。
本体ケース2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置(スキャナ部)12が画像読取部ケース12a内に配置されている。
本体ケース2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14が設けられており、画像読取装置12と操作パネル部14との平面視投影面積内に、記録部7と排紙部10などが配置される。この排紙部10の一側(図1で右側)であって、本体ケース2の前部側に、インクカートリッジの収納装置15が内蔵されている。そして、本体ケース2の前部側に下端を蝶番を介して上下回動して開閉する蓋体2bにて収納装置15の前面側が覆われている。
画像読取装置12の上面には、原稿を載置することができる載置用ガラス板16が設けられ、その下側に原稿読取り用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Image Sensor )17が図2の紙面と直交する方向(主走査方向、以下、X軸方向という)に往復移動可能に設けられている。
載置用ガラス板16を覆う原稿カバー体13はその後端部(図2で右側)が蝶番13aを介して画像読取部ケース12aに対して開閉自在に取り付けられている。
記録部7は、図2に示すように、上面開放された枠状のメインフレーム21における左右一対の側板(図示せず)にて支持され、X軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状(プレート状)の第1ガイド部材22、第2ガイド部材23と、これら両ガイド部材22、23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能に構成されたキャリッジ5と、記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5を往復移動させるために第2ガイド部材23の上面にそれと平行状にて、プーリに巻回配置された無端ベルトとしてのタイミングベルト(図示せず)と、そのタイミングベルトを駆動するCR(キャリッジ)モータ(実施形態ではDCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい。図示せず)と、記録ヘッド4の下面側にて搬送される用紙P(P1)を支持する板状のプラテン26と、主走査方向に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のX軸方向(主走査方向)の位置とその方向の移動速度を検知するための光学式リニアエンコーダの構成部品であるテープスケール(図示せず)等を備える。なお、プラテン26上で用紙P(P1)が通過する方向での用紙搬送方向(矢印A方向、図2参照)の上流側に、第1ガイド部材22が配置され、下流側に第2ガイド部材23が配置されることになる。
また、プラテン26よりも搬送上流側には、搬送作用とレジスト作用を兼用させるレジストローラ対27が配置されている。駆動ローラ27aと従動ローラ27bとからなるレジストローラ対27は用紙P(P1)を記録ヘッド4の下面のノズル面とプラテン26との隙間に搬送する。プラテン26よりも下流側には、用紙P(P1)の上面に接する拍車28bと下面側の駆動する排紙ローラ28aとが配置されている。この排紙ローラ28aと拍車28bとは記録済みの用紙P(P1)を排紙部10へと搬送する。
本実施形態では、図2〜図6に示すように、第1給紙カセット3は、被記録媒体としての例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ等にカットされた大サイズの用紙Pをその短辺が(図2において紙面と直交する方向、主走査方向、X軸方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)されて収納できる収容部3aを備えている。この収容部3aは、左右両側板3c,3cと底板3bと後端部の傾斜分離板8と前端側の把手兼用の前板3dとで囲まれた部位に形成されている。第1給紙カセット3の上部には、例えば葉書等の小サイズの用紙P1を複数枚堆積させて収納できる載置部33aを備えた第2給紙カセット33がY軸方向(用紙搬送方向、副走査方向)に移動可能に装着されている。その場合、第2給紙カセット33の底板33bの左右両側端部が第1給紙カセット3の左右両側板3c,3cの上端面に摺接されて移動可能となっている。第2給紙カセット33の載置部33aは、底板33bと左右両側板33c,33cの間の中央部に形成されており、第2給紙カセット33の後端部は開放状態である。載置部33aより前側(ハウジングの開口部2aに近い側には、左右両側板33c,33cの上端間を繋ぐ平板にて、排紙された用紙P(P1)を載せる排紙部(排紙トレイ部)10が設けられている(図2〜図6参照)。
第1給紙カセット3の奥側(後端側、給送方向下流側、図3において左側)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。他方、本体ケース2側には、給紙手段6としての給紙ローラ6bが設けられている。即ち、給紙手段における給紙アーム6aの上端部に駆動軸34を備え、この駆動軸34を中心として上下方向に回動可能な給紙アーム6aが装着されている。この給紙アーム6aの下端に設けられた給紙ローラ6bと、傾斜分離板8とが協働することにより、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット33に堆積された被記録媒体である用紙P(P1)が一枚ずつ分離搬送される。
さらに詳述すると、図2及び図3に示す合成樹脂製の駆動軸34はメインフレーム21における側板及び一対の軸支持板(ともに図示せず)にそれぞれ穿設された軸孔に回転自在に軸支され、この駆動軸34の先端が給紙手段における給紙アーム6aの基部に横向きに突出するように挿入されている。そして、駆動軸34の回転駆動により、給紙アーム6a内に設けられた歯車伝動機構6cを介して給紙ローラ6bが一定方向(図2において反時計周り)に回転するよう構成されている。また、図示しない付勢手段(例えば、ねじりバネ)により下向きに付勢されている。従って、図3及び図4に示すように、第2給紙カセット33が第1給紙カセット3に対して非給紙位置(図3及び図4で右側に引き出された位置)のときには、給紙ローラ6bは第1給紙カセット3の底板3bに接近するように配置され、当該第1給紙カセット3の収容部3a内の用紙Pを給紙することができる。逆に、図5及び図6に示すように、第2給紙カセット33が第1給紙カセット3の奥側に押し込まれた給紙位置(図5及び図6で左側)のときには、給紙ローラ6bは第2給紙カセット33の底板33bに向かうように配置され、第2給紙カセット33に載置された用紙P1を給送することができるものである。
給紙手段6における給紙ローラ6bと、分離傾斜板8の幅方向(X方向)の中央部の内面(表面)側に設けられた分離手段としての弾性分離パッド8a(実施形態では板バネ製である)との協働作用により、第1給紙カセット3または第2給紙カセット33に堆積された被記録媒体である用紙P(P1)を一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙Pは後述するような構成の上横向きのUターンパス(給紙搬送路)9用の搬送路体を介して第1給紙カセット3よりも上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。記録部7にて記録された用紙P(P1)がその記録面を上向きにして排出される排紙部(排紙トレイ部)10は、第2給紙カセット33の上側に形成されており、排紙部10に連通する排紙口10a(挿入口2aの上方、図1参照)が本体ケース2の前面に向かって開口されている。
次に、第1給紙カセット3及び第2給紙カセット33に対する給紙搬送路(Uターンパス)9を構成するための搬送路体の構成について説明する。本発明による搬送路体は、図4、図6〜図9に示すごとく、側面視で横向きU字状の外径側搬送路体35と、この外径側搬送路体35の内径側に適宜隙間を隔てて配置される内径側搬送路体36とを備えている。外径側搬送路体35及び内径側搬送路体36はそれぞれ合成樹脂製の射出成形品である。なお、給紙搬送路(Uターンパス)9の下流側には、内径側搬送路体36よりも内径側から半径外方向に延びる用紙有無センサ用の検知レバー55が回動可能に設けられており、給紙搬送路(Uターンパス)9を通過する用紙P(P1)の先端縁及び後端縁の通過を検知できるようにしている(図2、図4、図6及び図10参照)。
内径側搬送路体36は、第2給紙カセット33における用紙P1のみが通過する中央ガイド板37と、中央ガイド板37の左右両側に位置され、第1給紙カセット3における用紙Pの幅方向(X軸方向)の両端側が摺接可能に案内される左右両側ガイド板38、38とを備えている。給送方向上流側(以下単に上流側という)においては、左右両側ガイド板38、38の曲率半径よりも中央ガイド板37の曲率半径が小さい。給送方向下流側(以下単に下流側という)においては、中央ガイド板37及び左右両側ガイド板38、38の曲率半径が等しく形成され、これにより、中央ガイド板37及び左右両側ガイド板38における下流側の部位は、共通搬送経路41の内径側の搬送路体41aを構成することになる(図9(b)参照)。この共通搬送路41の搬送路体41aの巾寸法は後述する大サイズの用紙Pの通過可能巾寸法Woに略等しいことになる。従って、内径側搬送路体36における下流側の搬送路体41aと外径側搬送路体35との隙間間隔が実質上同一となって、共通搬送経路41を構成するように形成されていることになる。
そして、中央ガイド板37の両端部と左右両側ガイド板38の内側端部との間を側面視略四分の一円状の連結板37a、37aにて連結することで、内径側搬送路体36における用紙P1の通過可能巾寸法W1が規定される。
また、内径側搬送路体36の巾寸法Woは、上記小サイズの用紙P1の通過可能巾寸法W1に左右両側ガイド板38、38の各々の巾寸法W2を加えた寸法(Wo=W1+2×W2)に略等しい(図9(a)、図9(b)参照)。この巾寸法Woは、上記大サイズの用紙Pの通過可能巾寸法に略等しいことになる。
給送される用紙P(P1)の広幅面との摺接抵抗を少なくするために、中央ガイド板37及び左右両側ガイド板38は摩擦係数の小さい樹脂を使用し、且つ搬送方向に沿う複数本の側面視横向き凸湾曲状の突条のガイドリブ43a、43bを備えている。
さらに、給送及び搬送途中の用紙P(P1)の広幅面との摺接抵抗を一層少なくするために、中央ガイド板37及び左右両側ガイド板38における上流側の部位には、自由回転する回転コロ39a、40が、少なくとも給送方向と直交する用紙P(P1)の幅方向に適宜間隔にて複数設け(取付け)られている(図7(b)、図9(a)参照)。図示実施形態の場合、中央ガイド板37の給送方向の中途及び下流側(共通搬送経路41側の搬送路体41a)の部位にも回転コロ39b、39cが複数設け(取付け)られている。これらの場合、左右対称位置に回転コロ39a、39b、39c、40を設けることが好ましい。
内径側搬送路体36の略四分の一円状の外面側と対峙して配置する外径側搬送路体35は、図7(a)及び図8(a)〜図8(c)に示すごとく、側断面が略四分の一円状の外枠体45と、この外枠体45の内径側(内面側)に着脱可能に取付けされ、且つ同じく側断面が略四分の一円状の複数個のガイド板42a〜42cとを備えている。これらのガイド板42a〜42cには、用紙P(P1)の広幅面との摺接抵抗を少なくするために、摩擦係数の小さい樹脂を使用し、且つ給送方向に沿う複数本の突条のガイドリブ43cを備えている。外枠体45の巾方向の中央部位に配置する1個の第1ガイド板42aには、給送方向(搬送方向)に沿って複数の回転コロ44a〜44cが取付けられている。そして、上流側に配置される回転コロ44aの直径は、下流側に配置される回転コロ44b、44cの直径よりも大径に形成されている(図8(c)参照)。図8(a)は、外枠体45の内面にガイド板42a〜42cが組み込まれた状態を示す斜視図である。ガイド板42a〜42cはその各背面に設けられた複数箇所の係合爪46にて外枠体45の収納位置に取付けられている。
内径側搬送路体36の巾方向(X軸方向)の両端部に一体的に形成された側枠部47の内面側であって、共通搬送路41の搬送路体41aの外面(外径面)側にて給送方向(Y軸方向)に沿って一列状に、複数の丸軸状のガイド突起48が突出されており、その後方に係合溝49が凹み形成されている(図9(a)、図9(b)参照)。他方、外径側搬送路体35における外枠体45の巾方向(X軸方向)の両端部には給送方向(Y軸方向)に延びる弾性板50には、上記一列状のガイド突起48が嵌まるガイド溝51を備え、弾性板50の自由端側には係合爪52が一体的に設けられている(図8(a)、図8(b)参照)。これらの構成により、外径側搬送路体35の内径側に内径側搬送路体36を後述の適宜隙間を隔てて組み付けすることができる(図7(a)、図7(b)参照)。
即ち、内径側搬送路体36の中央ガイド板37における上流側の部位と外径側搬送路体35との隙間間隔H1は、左右両側ガイド板38における上流側の部位と外径側搬送路体35との隙間間隔H2よりも広くなるように形成されている(図7(b)及び図10参照)。
上述したように、外径側搬送路体35と、左右両側ガイド板38に対して凹み形成された中央ガイド板37を備えた内径側搬送路体36との組み合わせにより、給送の上流側では、巾寸法の狭い用紙P1の導入口と、それより広巾の用紙Pの導入口とが互いに連通するように形成されるとともに、給送の下流側では、上記広巾の用紙Pと狭い巾の用紙P1の両方を案内通過できる共通搬送経路41を構成できるから、部品点数を少なく、且つ組み込み作業も容易になるという効果を奏する。
上記の構成により、第1給紙カセット3の収容部3aに堆積収容された大サイズの用紙Pを給紙するときには、第2給紙カセット33をハウジング2の開口部2aの近傍まで引き出し(図3及び図4参照)、収容部3aに堆積収容された用紙Pの最上面に給紙ローラ6bが押圧できるようにする。この状態で、印刷指令により給紙ローラ6bを駆動させると、図4のごとく、傾斜分離板8における分離パッド8aにて最上位置の用紙Pのみが分離給送され、用紙Pは外径側搬送路体35の内面側(内径側)と内径側搬送路体36における左右両側ガイド板38の外面側(外径側)との間の隙間間隔H2の箇所を通過し、当該用紙Pの先端縁が逆回転しているレジストローラ対27に当接してレジスト作用を受ける。給紙ローラ6bにて送り出される用紙Pの先端側及び給紙ローラ6bよりも下流側の用紙Pの中途部は、当該用紙Pの腰の強さ(弾力性)に応じて、外径側搬送路体35の内面側(内径側)に摺接するような湾曲状態を呈するので、外径側搬送路体35の巾方向の中央側に配置された自由回転する複数の回転コロ44a〜44cに用紙Pを当てることにより、外径側搬送路体35の内面と用紙Pの広幅面との摺接による搬送抵抗(給送抵抗)を低減することができる。
次いで、レジストローラ対27を正回転させると、このレジストローラ対27にて用紙Pを挟持して記録部7に向かって搬送(給送)する。その場合、用紙Pの上流側部位は、収容部3aに堆積収容され、静止している用紙Pと給紙ローラ6bとの間に挟まれているので、給送されている用紙Pは若干の搬送抵抗(給送抵抗)を受けるから、給紙ローラ6bよりも下流側では、用紙Pの中途部は左右両側ガイド板38の外面側(外径側)に摺接するように接近した湾曲状態を呈する。左右両側ガイド板38の上流側端部で用紙Pの巾方向の両端側部位は屈曲状態になるので、搬送抵抗(給送抵抗)が最も大きく現れるから、この箇所(左右両側ガイド板38の上流側端部)に、自由回転する回転コロ40を設けることにより、搬送抵抗(給送抵抗)を減少させることができる。
大きいサイズの用紙Pの巾方向の中途部は、大きい隙間間隔H1の中央ガイド板37と接触することがないので、この用紙Pの搬送抵抗(給送抵抗)を、全体として低減できる。また、共通搬送経路41における内径側の搬送路体41aの部位にも回転コロ39b、39cが複数設け(取付け)られているので、一層搬送抵抗(給送抵抗)を低減させることができ、用紙Pの空送り、紙ジャム、斜行を確実に防止することができる。
なお、用紙Pの後端が給紙ローラ6bの箇所から離れると、当該用紙Pの腰の強さに応じて用紙Pの後端側が外径側搬送路体35の内面側(内径側)に摺接するような湾曲状態を呈することになるが、このときも、外径側搬送路体35の巾方向の中央側に配置された自由回転する複数の回転コロ44a〜44cに用紙Pを当てることにより、外径側搬送路体35の内面と用紙Pの広幅面との摺接による搬送抵抗(給送抵抗)を低減することができる。
葉書のような巾の小さいサイズの用紙P1に画像を印刷する場合には、図5及び図6のように、第2給紙カセット33を第1給紙カセット3の奥側に押し込む。これにより、第2給紙カセット33の先端縁が、傾斜分離板8に当接した状態となり、第2給紙カセット33における載置部33a上に堆積された用紙P1の最上面に給紙ローラ6bが押圧できるようにする。この状態で、印刷指令により給紙ローラ6bを駆動させると、図10のごとく、傾斜分離板8における分離パッド8aにて最上位置の用紙P1のみが分離給送され、用紙P1は外径側搬送路体35の内面側(内径側)と内径側搬送路体36における中央ガイド板37との間の大きい隙間間隔H1の箇所を通過し、当該用紙P1の先端縁が逆回転しているレジストローラ対27に当接してレジスト作用を受ける。給紙ローラ6bにて送り出される先端部及び給紙ローラ6bよりも下流側の用紙P1の中途部は、当該用紙P1の腰の強さ(弾力性)に応じて、外径側搬送路体35の内面側(内径側)に摺接するような湾曲状態を呈する。この場合も、上記と同様に、外径側搬送路体35の巾方向の中央側に配置された自由回転する複数の回転コロ44a〜44cに用紙P1を当てることにより、外径側搬送路体35の内面と用紙P1の広幅面との摺接による搬送抵抗(給送抵抗)を低減することができる。
次いで、レジストローラ対27を正回転させると、このレジストローラ対27にて用紙P1を挟持して記録部7に向かって搬送(給送)する。その場合、用紙P1の上流側部位は、載置部33aに堆積収容され、静止している用紙P1と給紙ローラ6bとの間に挟まれているので、給送されている用紙P1はやや大きい搬送抵抗(給送抵抗)を受ける。その場合、給紙ローラ6bよりも下流側では、用紙P1の中途部は中央ガイド板37における小さい曲率半径の突条のガイドリブ43aの端面(外径側)に摺接するように接近した湾曲状態を呈する。中央ガイド板37(ガイドリブ43a)における上流側端部で用紙P1の中途部は屈曲状態になるので、搬送抵抗(給送抵抗)が最も大きく現れるから、この箇所(中央ガイド板37(ガイドリブ43a)における上流側端部)に、自由回転する複数の回転コロ39aを設けることにより、搬送抵抗(給送抵抗)を減少させることができる。
また、共通搬送経路41における内径側の搬送路体41aの部位にも回転コロ39b、39cが複数設け(取付け)られているので、小さいサイズの用紙P1の巾方向の中途部は、中央ガイド板37(ガイドリブ43a)と外径側搬送路体35の内面側との間の隙間間隔H1の大きい箇所を通過するとき、この用紙P1の搬送抵抗(給送抵抗)を、一層低減させることができ、用紙P1の空送り、紙ジャム、斜行を確実に防止することができる。
なお、用紙P1の後端が給紙ローラ6bの箇所から離れると、当該用紙P1の腰の強さに応じて用紙P1の後端側が外径側搬送路体35の内面側(内径側)に摺接するような湾曲状態を呈することになるが、このときも、外径側搬送路体35の巾方向の中央側に配置された自由回転する複数の回転コロ44a〜44cに用紙P1を当てることにより、外径側搬送路体35の内面と用紙P1の広幅面との摺接による搬送抵抗(給送抵抗)を低減することができる。
上記実施形態では、中央ガイド板37が直線状であり、その外径側に小さい曲率半径の突条のガイドリブ43aが一体的に形成されたものであったが、その変形例として、中央ガイド板37自体の断面形状が小さい曲率半径の湾曲状に形成されたものであっても良い。
さらに、傾斜分離板8の表面は、用紙P(P1)の給送方向と直交する方向において、この用紙P(P1)の幅方向の中央側に位置する分離手段としての鋸歯状の分離パッド8aに近い部分で、用紙P(P1)の幅方向の中央側の先端縁に接近し、この用紙P(P1)の幅方向の両端部側に行くに従って、当該用紙P(P1)の先端縁から離間するような凸湾曲面に形成されている。このように、傾斜分離板8の表面が凸湾曲面であることにより、給送された横巾寸法の大きい用紙Pの幅方向の両端部側が傾斜分離板8の表面に当接する前に、当該用紙Pの幅方向の中央側の先端縁が確実に分離パッド8aに摺接して用紙Pの分離作用を受けることができるのである。