JP4238994B2 - シート状の被搬送部材の搬送装置及び前記搬送装置を有する情報処理装置 - Google Patents

シート状の被搬送部材の搬送装置及び前記搬送装置を有する情報処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、シート状の被搬送部材の搬送装置及び前記搬送装置を有する情報処理装置に関し、特にプリンタやファクシミリ等の画像形成装置の給紙部に対して露出するように堆積させたシート状の被搬送部材(用紙)の表面に付着する埃や異物等を除去し、給紙部内にごみが溜まらないようにする手段及びそれを備えた装置に関するものである。
従来から、インクジェットプリンタ等の記録装置においては、その給紙部に送る被記録媒体(記録用カット紙)を傾斜したガイド部材(給紙トレイ)上に堆積させて載置しておき、記録動作時に一枚ずつ被記録媒体をガイド部材上から記録部に搬送して記録を行う自動給紙装置(オート・シート・フィーダ)を備えたものが知られている。その場合、被記録媒体をガイド部材上に載置したまま長期間にわたって放置しておくと、その被記録媒体の表面に埃や異物等が溜まり、記録部に被記録媒体が搬送されるとき、埃等が一緒に記録部に持ち込まれ、記録部のインクジェットのノズルが詰まったり、記録品質が埃のために劣化する等の問題があった。
この問題を解決するため、特許文献1では、1枚の方形の合成樹脂板の周囲を3方向に同じ向きに折り曲げて側板を形成し、他の一方のみ開口面とする蓋状のダストカバーを構成し、その開口面を下向きにしてダストカバーをカットシートフィーダの受け台の上面全体を覆うように被せるという構成が開示されている。しかしながら、このダストカバーでは、受け台の上面全体、ひいてはカット用紙の全体を覆うから、嵩高になるという問題があった。また、カット用紙全体を覆うことが可能なほど大きいサイズの1枚の方形の合成樹脂板の周囲を折り曲げて側板を形成するという製作の手間も掛かり、コスト高になるという問題もあった。
他方、特許文献2では、プリンタのハウジング部材に記録部カバーが回動可能に取り付けられ、給紙部カバーはその基端部を記録部カバーに回動可能に取り付けられている。そして、給紙部カバーの先端の当接部が後傾状に立設されたガイド部材の上端縁に当接することにより、閉じた状態を維持する。また、給紙部カバーの先端部には用紙の幅を跨ぐように凹部が形成され、この凹部によりガイド部材上に堆積させた用紙を回避しつつ閉状態となって、堆積された用紙のうち最上位の用紙の表面と記録部カバー体のガイド面との間の隙間を覆って、塵埃の進入を防止する構成が開示されている。
特開2001−48359号公報(図1、図2参照) 特開2002−273981号公報(図2参照)
しかしながら、特許文献2によれば、給紙部カバーは小さく形成できるものの、以下のような問題点がある。即ち、ガイド部材上の用紙の堆積量が一定量以上であれば、その最上位の用紙の表面と給紙部カバーにおける凹部の縁とが当接するが、前記堆積量が一定量以下であれば、給紙部カバーの当接部がガイド部材の上端縁に当接している状態が維持されるから、それ以上給紙部カバーの下向き回動(ガイド部材への接近回動)は阻止されるので、凹部と堆積された用紙のうち最上位の用紙の表面との間に隙間が発生するのである。従って、この隙間から塵埃が進入するという問題点は依然として解消できないのであった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、堆積した用紙等の被搬送部材を一枚ずつに分離して搬送する搬送装置において、被搬送部材の表面の埃や異物を効果的に除去でき、搬送装置内に塵埃を進入させず、且つ構成も簡単で軽量小型のゴミ除去部材を使用した搬送装置及びその搬送装置を備えたプリンタ等の情報処理装置を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するための、請求項1に記載の発明は、複数のシート状の被搬送部材を堆積状態で収容可能であると共に、堆積状態にある被搬送部材から一つの被搬送部材を分離して搬送可能な搬送装置であって、当該装置内に収容された被搬送部材のうち最上位の被搬送部材の表面と常時接触して、前記搬送される被搬送部材上の埃や異物等を除去するためのゴミ除去部材を備え、前記被搬送部材の表面に当接するゴミ除去部材における当接縁が前記最上位の被搬送部材の搬送上流側に向かうように前記ゴミ除去部材が延設され、且つ前記当接縁を挟んで前記ゴミ除去部材と被搬送部材の搬送上流側部位との夾角が鈍角状となるように、被搬送部材は、搬送下流側部位が下向きとなるように傾斜状に配設されているものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材は、前記搬送装置に対して着脱可能に構成されているものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材は、前記最上位の被搬送部材の搬送下流側部位を覆うように配置されているものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材における前記当接縁が、被搬送部材の搬送方向と交叉する方向に直線的に延びるように形成されているものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材は、その自重により前記当接縁が被搬送部材の表面に当接するように構成されているものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材における前記当接縁が被搬送部材の表面に当接するように付勢する付勢手段を備えたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送装置において、前記被搬送部材の表面に当接する前記ゴミ除去部材における前記当接縁の断面を少なくともその一部が凸湾曲状の表面を有するように形成し、前記凸湾曲状の表面が被搬送部材の表面に当接するように配置されているものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送装置において、前記被搬送部材の表面に当接する前記ゴミ除去部材における前記当接縁の断面を少なくともその一部に鋭角状の角稜線を有するように形成し、前記角稜線が被搬送部材の表面に当接するように配置されているものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の搬送装置において、前記被搬送部材を上方から差し込むための開口部と、この開口部の裏面側に沿って後傾配置されて前記被搬送部材を堆積可能とする給紙トレイとを備え、前記ゴミ除去部材は、その基端部を前記開口部に着脱可能に装着されるか、または着脱可能に挿入配置されているものである。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材における当接縁の長さは、前記開口部の被搬送部材の搬送方向と直交する方向の幅寸法より長く形成したものである。
請求項11に記載の発明は、請求項9または10のいずれかに記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材の一部は、前記開口部を挟んで前記搬送方向下流側における前記搬送装置の上方を覆うように延びて形成されているものである。
請求項12に記載の発明は、請求項9乃至11のいずれかに記載の搬送装置において、前記給紙トレイの表面は、前記ゴミ除去部材における前記当接縁のほぼ全長が当接し得るように平坦面に形成されているものである。
請求項13に記載の発明は、請求項9乃至12のいずれかに記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材は弾性を有する扁平板にて形成し、前記開口部に挿入可能なようにゴミ除去部材の基端部を屈曲させたものである。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材の基端部は、前記開口部の幅方向にずれ不能に形成されているものである。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の搬送装置において、前記ゴミ除去部材の基端部は、前記開口部の幅方向に適宜隔てて左右一対設けられ、該左右の基端部の最外辺間の幅方向の長さが前記開口部の幅方向の長さ以下であって、その寸法差が所定長さ以下に形成されているものである。
請求項16に記載の発明は、複数のシート状の被搬送部材を堆積状態で収容可能であると共に、堆積状態にある被搬送部材から一つの被搬送部材を分離して搬送可能であって請求項1乃至15のいずれかに記載の搬送装置と、この搬送装置の手前側にて前記搬送装置側を回動中心として回動可能なカバー部材とを有する情報処理装置において、前記搬送装置内に収容された被搬送部材のうち最上位の被搬送部材の表面と常時接触して、前記搬送される被搬送部材上の埃や異物等を除去するための前記ゴミ除去部材を前記カバー部材の回動中心側の後方に配置したものである。
請求項1に記載の発明によれば、最上位の被搬送部材の表面にゴミ除去部材の一部が常時接触しているから、堆積状態にある被搬送部材から最上位の被搬送部材を搬送するとき、確実に塵埃や異物(以下塵埃等という)を除去できる。そして、前記被搬送部材の表面に当接するゴミ除去部材における当接縁が前記最上位の被搬送部材の搬送上流側に向かうように前記ゴミ除去部材が上向きに延設され、且つ前記当接縁を挟んで前記ゴミ除去部材と被搬送部材の搬送上流側部位との夾角が鈍角状となるように、被搬送部材は、搬送下流側部位が下向きとなるように傾斜状に配設されているものであるから、被搬送部材の表面に付着した塵埃等を掬い取る作用が確実になる。
請求項2に記載の発明によれば、ゴミ除去部材は搬送装置に対して着脱自在だから、被搬送部材を堆積するときにゴミ除去部材を簡単に取り外すことが堆積作業を容易にできる。
請求項3に記載の発明によれば、ゴミ除去部材が堆積したうちの最上位の被搬送部材の搬送下流側部位を覆う構成であるから、その覆われた部位には塵埃が付着しない。
請求項9に記載の発明によれば、搬送装置における開口部が上向きに開放され、この開口部の裏面側に配置した給紙トレイ上に被搬送部材が後傾状に堆積でき、そのうちの最上位の被搬送部材の表面を同じく後傾状に配置されたゴミ除去部材で覆うことにより、開口部内に塵埃等が進入しないようにできる。また、ゴミ除去部材の基端部が着脱可能に装着もしくは挿入しているだけであるから、ゴミ除去部材の着脱が至極容易にできる。
請求項4に記載の発明によれば、ゴミ除去部材における当接縁が直線であるから、搬送されるにつれて最上位の被搬送部材の表面全体を当接縁が摺接することになり、確実に塵埃等を除去できる。
請求項10に記載の発明によれば、当接縁の長さは、前記開口部の被搬送部材の搬送方向と直交する方向の幅寸法より長く形成したものであるから、開口部に挿入できる最大幅の被搬送部材についても確実に塵埃等を除去できる。
請求項11に記載の発明によれば、前記ゴミ除去部材の一部は、前記開口部を挟んで前記搬送方向下流側における前記搬送装置の上方を覆うように延びて形成されているから、除去された塵埃等が再度開口部に進入せず外に排出される。
請求項5に記載の発明によれば、ゴミ除去部材の自重で当接縁が被搬送部材の表面に当接する作用を確実にできる。
請求項6に記載の発明によれば、付勢手段を設けることで、当接縁が被搬送部材の表面に当接する作用を一層確実にできる。
請求項12に記載の発明によれば、被搬送部材が載置されていない状態でも、ゴミ除去部材の当接縁が給紙トレイの表面の全体に接触できるから開口部への塵埃等の進入を確実に防止できる。
請求項7に記載の発明によれば、ゴミ除去部材の先端の当接縁の断面が丸みを有するので、搬送される被搬送部材の表面を傷つけることを防止しながら塵埃等の除去が可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、当接縁の鋭角状の角稜線が搬送されるときの被搬送部材の表面を擦ることで、その表面の塵埃等の除去作用が一層確実になる。
請求項13に記載の発明によれば、前記ゴミ除去部材は弾性を有する扁平板にて形成し、前記開口部に挿入可能なようにゴミ除去部材の基端部を屈曲させたものであるから、製作が簡単となりコストの低減とコンパクト化を図ることができる。
請求項14に記載の発明によれば、ゴミ除去部材全体を開口部の幅方向にずれなくでき、開口部内の被搬送部材の幅全体にわたって当接縁を接触させることが確実になる。
請求項15に記載の発明によれば、基端部を所定の間隔で形成するだけで、ゴミ除去部材全体を開口部の幅方向にずれなくでき、構成が至極簡単となる。
請求項16に記載の発明によれば、情報処理装置に本発明の搬送装置を適用して、簡単に塵埃等を除去できると共に、情報処理装置に回動可能に設けたカバー部材上に異物などを置いた状態で、このカバー部材を開けても、異物等がゴミ除去部材に邪魔されて開口部に進入できず、安全性が向上するのである。
次に、本発明を具体化した実施形態について説明する。図1〜図6は本発明の第1実施形態を示し、図1はインクジェットヘッドが備えられた情報処理装置の一例としての多機能装置の外観斜視図、図2は図1のII−II線矢視断面図、図3は本発明の第1実施形態のゴミ除去部材の配置を示す要部側断面図、図4は多機能機器の後方から見た要部斜視図、図5はゴミ除去部材が給紙トレイに当接している状態を示す斜視図、図6は第2実施形態のゴミ除去部材の配置を示す斜視図、図7は要部斜視図である。
本実施の形態は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた情報処理装置の一例としての多機能装置(MFD:Multi Function Device )1に本発明を適用したものであり、図1に示すように、装置の本体ケース2の後端側に自動給紙装置3が設けられ、この自動給紙装置3の前方の上側には、コピー機能やスキャナ機能等を使用するための原稿読取装置4が設けられている。原稿読取装置4の下側全体にプリンタ機能などを実現するためのインクジェットプリンタ5が設けられ、その前側には記録されて排紙されてくる用紙P等の被搬送部材を受けるための排紙用トレイ10が設けられている。
原稿読取装置4自体は、その後端部に設けられている図示しない回転軸を回動の中心として本体ケース2に対して上下方向に回動可能に構成されており、また、同じく後端部の水平軸8を中心にしてカバー部材の一例としてのカバー体4bが原稿読取装置4のケース4aに対して上下方向に回動可能に装着されている。ケース4aの上面にはカバー体4bの上側に開けることで原稿を載置できる載置用ガラス板6が設けられ、その下側に原稿読取り用のスキャナ装置(図示せず)が本体ケース2の左右方向(図2において紙面に対して垂直な方向)に往復移動自在に設けられている。
本体ケース2の下部前側には、フルカラー記録のためのインクジェットプリンタ5に使用するべく、各色のインク毎の扁平なインクカートリッジ7(個別の色、即ち、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー用)が用紙Pの搬送経路の下方に平行状に静置されている。インクカートリッジ7を装着する装着部の後側に設けられた各色用の中空状のインク針及びインクチューブを介して各色のインクカートリッジ7から記録ヘッドユニット11に各色のインクが供給される。
なお、原稿読取装置4の前側上面には、テンキーや操作キー、液晶表示パネル等を備えるための操作パネル部9が配置されている(図1、図5及び第2実施形態を示す図6では、キーや液晶表示パネルが取り外されている)。原稿読取装置4全体を自動給紙装置3の給紙トレイとしての載置板16方向に近づくように上側に開けると、インクカートリッジ7を交換したり、インクジェットプリンタ5内で紙ジャムが生じた場合でも詰まった用紙Pの除去が実行できるようになっている。
記録ヘッドユニット11は、後に詳述する自動給紙装置3にて搬送される被搬送部材である用紙Pの搬送方向(矢印A方向)と直交する方向に延びるガイドレール12に沿って往復移動可能であり、プラテン13上に位置する用紙Pの上面に向かって記録ヘッドユニット11から吐出されるインクにて画像が記録され、排紙ローラ14とその上の拍車ローラ(図示せず)等を介して排紙トレイ10に排出できる構成である。
次に、自動給紙装置3の構成について説明すると、図2に示すように、自動給紙装置3における合成樹脂製の台枠フレーム15は本体ケース2の後部上面に固定されており、この台枠フレーム15には、給紙トレイとしての上向き後方傾斜状の載置板16と、この載置板16の上面にて左右方向に移動可能で用紙Pの幅及び挿入位置を規定するための一対の案内板17a,17bとを備えており、載置板16及び案内板17a,17bはそれぞれ合成樹脂材にて形成されている。載置板16上には被搬送部材である複数枚の用紙Pを堆積して載置できるものである。一対の案内板17a,17bは、載置板16の裏面に配置された横長のラックに連結され、同じく裏面に設けたピニオンに一対のラックが噛み合うように構成されており、このピニオン及びラック(共に図示せず)の連動により一対の案内板17a,17bが載置板16の左右幅方向に移動可能に構成されている。これにより、一対の案内板17a,17bの間に堆積状態で積層された用紙Pの幅方向の寸法に応じてこれらの用紙Pの左右両側縁を案内するように遠近移動すると共に、用紙Pを載置板16の幅方向(左右方向)の中央部に載置できるものである。
台枠フレーム15の下枠部15aには、堆積状態で積層された用紙Pの下端縁を支持し、画像形成部に用紙Pを一枚ずつ分離しながら送り出し案内するための複数の分離板18が用紙Pの給送方向(搬送方向)に突出するように配置されている(図2参照)。分離板18の上面には、用紙Pの幅方向の中央部側の下端縁(先端縁)に当接して分離させるための高摩擦係数の分離部を備えている。
自動給紙装置3の載置板16の下部前方を覆う合成樹脂製の前ケース19の上端と載置板16の表面との間に適宜寸法W1の隙間を設けることにより(図3参照)、適宜枚数の用紙Pを堆積状態にて載置板16の上面に沿って差し込むための開口部25となる。そして、自動給紙装置3における前ケース19内には、分離板18の上面から上方に適宜距離隔てて回転自在に伝動軸20が軸支されており、この伝動軸20の中途部、つまり用紙Pの幅方向(左右方向)の中央部には、給紙手段としての給紙ローラ21を有する給紙ローラユニットのケース状のアーム22が回動のみ自在に装着されている。また、アーム22は、伝動軸20に被嵌した捩じりバネにより、給紙ローラ21が堆積状態で積層された用紙Pの最上面に押圧されるように弾力付勢されている。前ケース19内の一側には、本体ケース2側に配置した駆動モータ(図示せず)からの動力を伝達するギヤ列が配置されており、駆動軸20を所定方向に回転駆動させるものである。なお、前ケース19における左右方向の中央部の前向きの膨出部位19aの内部に前記アーム22が内包されている。
次に、自動給紙装置3の開口部25及び載置板16上に堆積させた用紙Pと共に塵埃や異物がインクジェットプリンタ5からなる記録部に進入しないようにするためのゴミ除去部材30の構成について説明する。
第1実施形態のゴミ除去部材30は、図1〜図5に示すように、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の弾性(可撓性)を有する扁平な樹脂板であり、好ましくは、透明で弾性を有する板厚0.5 〜2mm程度の板材であるが、この厚さに限ったものでない。ゴミ除去部材30を透明にすることにより、ゴミ除去部材30を開口部25の上に配置した状態で、開口部25内を視認できる。
ゴミ除去部材30は平板状の本体部分30aが概略矩形状を呈し、本体部分30aの横幅寸法H1は使用する用紙Pの幅寸法H2より大きく、好ましくは開口部25の幅寸法H3より若干大きい。実施例では、自動給紙装置3に挿入し得る最大の用紙PのサイズがA4タイプであるので、H1=240mmとし、この寸法H1と、本体部分30aの一側縁である当接縁31の直線部の長さとが略等しく設定する。ゴミ除去部材30には、開口部25に差し込むことができる左右一対の基端部32、32が一体的に屈曲形成されている。この各基端部32は、図3及び図4に示すように、ゴミ除去部材30の平板状の本体部分30aの一部の切欠き溝33を隔てて屈曲形成したもので、各基端部32は本体部分30aに対して角度θ1だけ屈曲している。このように、基端部32を本体部分30aに対して屈曲形成すれば、製作が簡単となりコストの低減とコンパクト化を図ることができるという効果を奏する。
そして、各基端部32が、開口部25を形成するための前ケース19における後下向き傾斜板部19bと、左右両側の案内板17a(17b)の前縁34との隙間に挿入できるように形成されている。また、左右一対の基端部32、32の最外側辺間の寸法H4が開口部25の幅寸法H3と同じか、またはH3より若干短くなるように設定することにより、この挿入されたゴミ除去部材30が用紙Pの幅方向にずれ不能、即ちずれ難いように設定されている。具体的には、H4≦H3であって、その寸法差H3−H4が約2mm以下であることが望ましい。また、本実施形態においては、H1=H4である。なお、1つまたは複数の基端部32の幅寸法にほぼ等しい凹所(図示せず)を開口部25に凹み形成して、各基端部32をその凹所内に差し込むことで、ゴミ除去部材30の横ずれを防止するように構成しても良い。
自動給紙装置3における載置板16上面に沿わせて適宜枚数の用紙Pを開口部25に差し込むと、これらの堆積状態で積層された用紙Pの下端縁は分離板18に当接される。そして、一対の案内板17a,17bの間隔を調節すると、この両案内板17a,17bにて用紙Pの左右両側縁が横ずれしないように拘束される。次いで、第1実施例のゴミ除去部材30の左右一対の基端部32、32を開口部25における傾斜板部19bと案内板17a(17b)の前縁34との隙間に挿入し、ゴミ除去部材30の当接縁31を堆積状態で積層されている最上位の用紙Pの表面に当接させる(図3参照)。これにより、ゴミ除去部材30の本体部分30aは当接縁31を挟んで用紙Pの搬送上流側に対して鈍角状の角度θ2に傾いた状態を保持できる。この場合、直線状の当接縁31は用紙Pの搬送方向(矢印A方向)と直交する方向に延びている。
自動給紙装置3に用紙Pがセットされた状態では、前述のように、ゴミ除去部材30における基端部32は開口部25内に挿入されているだけであるから、ゴミ除去部材30自体の自重により、本体部分30aの先端縁である当接縁31は用紙Pの表面に常時当接していることになり、このゴミ除去部材30により開口部25の上方全体が覆われ、開口部25内に塵埃や異物が入り込まないようにできる。また、載置板16の表面(上面)を平坦に形成しておけば、用紙Pが存在しない状態で、ゴミ除去部材30の当接縁31が載置板16の表面全体に当接するから(図3の二点鎖線、及び図5参照)、この場合も開口部25内に塵埃や異物が入り込まない。
ゴミ除去部材30における本体部分30aのうち、左右一対の基端部32、32の間の延長部分30bを、前ケース19の上端面19c(実施例では上向き凸湾曲面をなす)を広い範囲で覆うように形成しておけば、前ケース19の上端面19cに塵埃が溜まることもなく、また、上端面19cから傾斜板部19bを伝って、塵埃が開口部25内に入り込むことも防止できるのである。
なお、ゴミ除去部材30における基端部32を、前ケース19における後下向き傾斜板部19bと、左右両側の案内板17a(17b)の前縁34との隙間に挿入した場合は、その隙間内で基端部32が揺動(回動)できるので、後傾しているゴミ除去部材30は載置板16(最上位の用紙P)の表面に対してずれ移動する余裕が大きくなる。
さらに、画像読取装置4におけるカバー4bの上面に輪ゴム、クリップ、ホッチキスの針、ヘヤバンド、錠剤、鉛筆、紙屑等の異物(物品)が偶然置かれた状態で、図2の二点鎖線で示すように、利用者がカバー4bを開いた場合、その異物が載置板16上に堆積状態で積層されている最上位の用紙Pの表面に向かって、または用紙Pが無い場合には、載置板16の表面に向かって投げ出されるが、ゴミ除去部材30の本体部分30aが上述のように開口部25の上方全体を覆っており、しかも、延長部分30bが前ケース19の上端面19cの上方を覆っているから、異物が開口部25内に進入しないで前ケース19の前に転がり落ちるので、安全性が向上するのである。
多機能装置1により、この用紙Pに画像記録する場合、即ち、別に接続する外部コンピュータ等から記録指令が出力されたり、利用者により操作パネル部9上のコピーキー(図示せず)が押下されると、まず、自動給紙装置3が作動して、最上位の用紙Pが1枚だけプラテン13上に給紙される。次いでインクジェットプリンタ5が作動し、用紙P上にインクが選択的に吐出されて所定の画像が記録形成される。その後、画像の形成された用紙Pは排紙トレイ10上に排紙される。このようにして載置板16上の最上位の用紙Pが給紙されて矢印A方向に搬送されるとき、ゴミ除去部材30の本体部分30aは当接縁31を挟んで用紙Pの搬送上流側に対して鈍角状の角度θ2を保持できるので、搬送される用紙Pの表面に付着している塵埃はゴミ除去部材30の当接縁31で掬い取られ、本体部分30a上に乗り移って塵埃が除去できる。この角度θ2は載置板16の傾斜配置の程度やゴミ除去部材30の大きさ等に応じて適宜設計できる値である。乗り移った塵埃は傾斜状の本体部分30a上面を伝って、前ケース19の表面に移動するから、この塵埃も開口部25内に進入しない。載置板16上の用紙Pが消費されるにつれて、堆積高さが順次減少しても、ゴミ除去部材30はその自重により後傾度が増すだけで、当接縁31は常時最上位の用紙Pの表面と接触することができる。なお、上記の実施形態では、ゴミ除去部材30の板厚の板厚さが0.5mm 〜2.0mm 程度であり、且つ用紙Pの搬送上流側に対して角度θ2[実施形態では、ほぼ140度(用紙無しのとき)〜ほぼ150度(用紙Pの堆積量最大のとき)]が鈍角状の角度で当接しているため、ここでいう塵埃や異物とは、このようなゴミ除去部材30で除去できる大きさのもの全てを想定している。具体的には塵、埃、綿埃、紙粉や、その他用紙P上に偶然付着した異物等である。
なお、第1実施形態のゴミ除去部材30は自動給紙装置3に対して着脱可能であるから、多機能装置1の梱包に際して自動給紙装置3からゴミ除去部材30を外して扁平な箇所に収納させることができる。
ゴミ除去部材30における当接縁31の横断面形状を、図12(a)に示すように、半円状等の凸湾曲に形成しておけば、被搬送部材である用紙Pが光沢紙のような高品質の紙の場合でも、その表面に傷をつけることを防止しながら塵埃を除去できる。逆に、図12(b)に示すように、当接縁31の横断面形状を、少なくともその一部に鋭角状の角稜線38を有するように形成し、この角稜線38が被搬送部材である用紙Pの表面に鈍角状に当接するように配置すれば、普通紙のようなやや荒い表面に付着した塵埃も除去し易くなるのである。
図6〜図8は、ゴミ除去部材30の第2実施形態を示し、扁平な本体部分30aの材料は第1実施形態と同じものであって良く、また、直線状の当接縁31の長さも第1実施形態と同じで良い。そして、ゴミ除去部材30の基端には、横向きの枢軸35を備えたフランジ部36を左右一対設ける一方、自動給紙装置3の開口部25の近傍には、枢軸35を回転可能に支持する軸孔付きブラケット部37を左右一対設ける。このように構成すれば、枢軸35を中心にしてゴミ除去部材30は回動可能であるので、後傾している載置板16の表面方向に後傾しているゴミ除去部材30自体の自重により、その先端の当接縁31が載置板16上の最上位の用紙Pの表面と常時接触することができる。また、第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる他、用紙Pの補充時、ゴミ除去部材30を大きく前方に回動させ、用紙Pの補充の後にゴミ除去部材30を後傾させる操作だけで良い。また、ゴミ除去部材30がブラケット部37から簡単に外れないので、紛失するおそれも少ない。なお、ブラケット部37側に枢軸35を固定し、フランジ部36に枢軸35が挿入されるべき軸孔を形成しても良いことはいうまでもない。これらいずれの場合にも、可撓性を有する本体部分30aを曲げた状態で、枢軸35を軸孔に嵌め入れることができる。
図9及び図10は、捩じりバネ39等の付勢手段により、ゴミ除去部材30をその当接縁31が常時載置板16の表面方向に付勢する実施形態を示す。この場合、第2実施形態と同様に枢軸35周りにゴミ除去部材30を回動可能に枢支すると共に、枢軸35の周りに被嵌した捩じりバネ39の一端をブラケット部37に係止し、他端をゴミ除去部材30の本体部分30a上面等に係止させることで付勢することができる。このような付勢手段を利用すると、載置板16上の最上位の用紙Pの表面への当接縁31の当接力が強くなって、塵埃の除去能力が向上する。
図11に示す第3実施形態では、ゴミ除去部材30おける当接縁31の延びる方向を、用紙Pの搬送方向Aと直交する方向ではなく、若干傾斜させる方向(θ3は略1度乃至5度程度)に設定する。従って、枢軸35の軸線も当接縁31の延びる方向と平行であるように構成する。このように構成すれば、搬送される最上位の用紙Pの表面の幅方向の全体にわたって当接縁31が常時当接できると共に、当接縁31が搬送上流側に近い側部位で掬い取られた塵埃が、用紙Pの搬送につれて傾斜配置された当接縁31に沿って搬送下流側に移動し易く、且つ用紙Pの側辺側で外に落ち易いので、ごみ取り作用が効率良く行われるのである。
前記実施形態では、被搬送部材である用紙Pを後傾状にして堆積(積層)させたものに適用したが、被搬送部材を水平状に堆積(積層)させて水平方向に搬送するものにも、本発明は適用できる。また、前記実施形態では、多機能装置等の画像形成装置(情報処理装置)に適用したものであるが、本発明のゴミ除去部材及び搬送装置は通常の印刷装置などの用紙の搬送装置にも利用できる。
本発明の第1実施形態による多機能機器の外観斜視図である。 図1のII−II線矢視断面図である。 ゴミ除去部材の配置部を示し、図4の III−III 線矢視要部拡大断面図である。 ゴミ除去部材の配置部を示す斜視図である。 給紙トレイとしての載置板にゴミ除去部材を当接させた状態を示す斜視図である。 第2実施形態のゴミ除去部材を装着した状態の斜視図である。 ゴミ除去部材の配置部を示す要部斜視図である。 ゴミ除去部材の基端部の切欠き平面図である。 付勢手段を備えたゴミ除去部材を装着した状態の平面図である。 側面図である。 第3実施形態のゴミ除去部材を装着した状態の平面図である。 (a)はゴミ除去部材の先端部の断面が凸湾曲状である場合の側断面図、(b)は角稜線を有するゴミ除去部材の先端部の断面図である。
符号の説明
1 多機能装置
2 本体ケース
3 自動給紙装置
4 原稿読取装置
5 インクジェットプリンタ
7 インクカートリッジ
8 水平軸
9 操作パネル
10 排紙用トレイ
16 給紙トレイとしての載置板
17a,17b 案内板
19 前ケース
19b 傾斜板部
19c 上端部
25 開口部
30 ゴミ除去部材
30a 本体部分
30b 延長部位
31 当接縁
32 基端部
35 枢軸
38 角稜線
39 捩じりバネ

Claims (16)

  1. 複数のシート状の被搬送部材を堆積状態で収容可能であると共に、堆積状態にある被搬送部材から一つの被搬送部材を分離して搬送可能な搬送装置であって、
    当該装置内に収容された被搬送部材のうち最上位の被搬送部材の表面と常時接触して、前記搬送される被搬送部材上の埃や異物等を除去するためのゴミ除去部材を備え、
    前記被搬送部材の表面に当接するゴミ除去部材における当接縁が前記最上位の被搬送部材の搬送上流側に向かうように前記ゴミ除去部材が延設され、且つ前記当接縁を挟んで前記ゴミ除去部材と被搬送部材の搬送上流側部位との夾角が鈍角状となるように、被搬送部材は、搬送下流側部位が下向きとなるように傾斜状に配設されていることを特徴とする搬送装置。
  2. 前記ゴミ除去部材は、前記搬送装置に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記ゴミ除去部材は、前記最上位の被搬送部材の搬送下流側部位を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
  4. 前記ゴミ除去部材における前記当接縁が、被搬送部材の搬送方向と交叉する方向に直線的に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の搬送装置。
  5. 前記ゴミ除去部材は、その自重により前記当接縁が被搬送部材の表面に当接するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置。
  6. 前記ゴミ除去部材における前記当接縁が被搬送部材の表面に当接するように付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置。
  7. 前記被搬送部材の表面に当接する前記ゴミ除去部材における前記当接縁の断面を少なくともその一部が凸湾曲状の表面を有するように形成し、前記凸湾曲状の表面が被搬送部材の表面に当接するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送装置。
  8. 前記被搬送部材の表面に当接する前記ゴミ除去部材における前記当接縁の断面を少なくともその一部に鋭角状の角稜線を有するように形成し、前記角稜線が被搬送部材の表面に当接するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の搬送装置。
  9. 前記被搬送部材を上方から差し込むための開口部と、この開口部の裏面側に沿って後傾配置されて前記被搬送部材を堆積可能とする給紙トレイとを備え、
    前記ゴミ除去部材は、その基端部を前記開口部に着脱可能に装着されるか、または着脱可能に挿入配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の搬送装置。
  10. 前記ゴミ除去部材における当接縁の長さは、前記開口部の被搬送部材の搬送方向と直交する方向の幅寸法より長く形成したことを特徴とする請求項9に記載の搬送装置。
  11. 前記ゴミ除去部材の一部は、前記開口部を挟んで前記搬送方向下流側における前記搬送装置の上方を覆うように延びて形成されていることを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の搬送装置。
  12. 前記給紙トレイの表面は、前記ゴミ除去部材における前記当接縁のほぼ全長が当接し得るように平坦面に形成されていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の搬送装置。
  13. 前記ゴミ除去部材は弾性を有する扁平板にて形成し、前記開口部に挿入可能なようにゴミ除去部材の基端部を屈曲させたことを特徴とする請求項9乃至12、10のいずれかに記載の搬送装置
  14. 前記ゴミ除去部材の基端部は、前記開口部の幅方向にずれ不能に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の搬送装置。
  15. 前記ゴミ除去部材の基端部は、前記開口部の幅方向に適宜隔てて左右一対設けられ、該左右の基端部の最外辺間の幅方向の長さが前記開口部の幅方向の長さ以下であって、その寸法差が所定長さ以下に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の搬送装置。
  16. 複数のシート状の被搬送部材を堆積状態で収容可能であると共に、堆積状態にある被搬送部材から一つの被搬送部材を分離して搬送可能であって請求項1乃至15のいずれかに記載の搬送装置と、この搬送装置の手前側にて前記搬送装置側を回動中心として回動可能なカバー部材とを有する情報処理装置において、
    前記搬送装置内に収容された被搬送部材のうち最上位の被搬送部材の表面と常時接触して、前記搬送される被搬送部材上の埃や異物等を除去するための前記ゴミ除去部材を前記カバー部材の回動中心側の後方に配置したことを特徴とする情報処理装置。
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