ところで、特許文献1の構成では、第2給紙トレイを第1給紙トレイの給送方向下流側端部(傾斜分離部)まで前進させた状態で、第2給紙トレイにおける排紙受け部の後端(給送方向上流側端部、換言すれば排出方向の下流側端部)は、第1給紙トレイにおける給送方向上流側端部、即ち排出方向の下流側端部)とほぼ一致する位置に配置されるように形成されているから、第2給紙トレイにおける第2収容部内の小サイズの用紙をUターンパスを介して記録部に送った後排紙すると、当該用紙は排紙受け部上に排紙できる一方、第1給紙トレイにおける第1収容部内の普通サイズの用紙を給紙するためには、第2給紙トレイ全体を給送方向上流側に後退させるので、排紙受け部の後端側が装置本体の開口部から外に大きく突出することになり、画像記録中に装置本体の開口部が存在する側が不必要に嵩張る。
上記の不具合を解消するために、第2給紙トレイにおける排紙受け部の排出方向の長さを短くすると、第1給紙トレイにおける第1収容部内の普通サイズの用紙を給紙する時に後退させた第2給紙トレイにおける排紙受け部が装置本体の開口部から外に突出しない。その代わりに、第2給紙トレイを第1給紙トレイの給送方向下流側端部(傾斜分離部)まで前進させると、排紙受け部の後端と第1給紙トレイにおける後端との間に大きな隙間が発生する結果、次のような不具合が発生するのであった。
即ち、第2給紙トレイにおける第2収容部からの小サイズの用紙をUターンパスを介して記録部に給送した後、排紙受け部側に排出したときには、この小サイズの用紙の排出方向の前端側が上記大きな隙間内に落ち込み、且つこの用紙の排出方向の中途部が排紙受け部の後端縁に支えられることになり、排出された用紙の排出方向の重心位置が排紙受け部の後端縁よりも下流側(換言すれば、上記隙間側)に位置するときは、当該排出された用紙の排出方向の上流側端部が上向きとなるように大きい角度の傾斜状に持ち上がって停止する。
その結果、後続して排出される用紙が上記傾斜状の用紙に衝突して、排出作用が円滑に行われず、記録部での搬送ピッチが乱れて画質が悪化したり、紙詰まりが発生したりするという問題があった。また、後続して排出される用紙が上記傾斜状の用紙の下面側に潜り込むように排出される結果、用紙の排出順序が狂うという問題もあった。
本発明は、上記課題を解消するものであり、簡単な構成にて、小サイズの用紙の排出姿勢を適正に保持できる給紙装置及び画像記録装置の提供を目的とするものである。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明の給紙装置は、複数の被記録媒体を堆積状態で収容可能な第1収容部を有し、この第1収容部内の被記録媒体を1枚ずつ給紙ローラにより記録部に給送するための第1給紙トレイと、この第1給紙トレイの前記第1収容部上にて前記給紙ローラに対して進退動可能に配置され、複数の被記録媒体を堆積状態で収容可能な第2収容部を有する第2給紙トレイとが備えられ、前記第2給紙トレイには、前記第2収容部よりも被記録媒体の給送方向上流側部位に排紙受け部が一体的に形成されてなる給紙装置であって、前記第1給紙トレイには、前記第2給紙トレイを被記録媒体の給送方向下流側に移動させたとき、前記記録部から排出された被記録媒体が前記排紙受け部と、前記第1給紙トレイにおける前記給送方向上流側部位とに跨がって位置するときの当該被記録媒体の排出方向下流側部位を支持するための支持体が起伏可能に設けられているものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給紙装置において、前記第1給紙トレイの底板に、前記被記録媒体の給送方向に沿って進退動可能に装着され、且つ被記録媒体のサイズに対応した位置にロック可能なリヤガイドを備える一方、前記支持体は、前記第1給紙トレイの前記排出方向下流側部位が上向き突出付勢される弾性板体からなり、前記支持体は、前記リヤガイドの移動経路中に配置され、前記リヤガイドの後退時には、当該リヤガイドに拘束されて前記支持体は前記第1給紙トレイの底板に接近するように押圧され、前記リヤガイドの前進時には、当該リヤガイドによる拘束が解除されて、前記支持体が上向きに突出するように構成されているものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の給紙装置において、前記支持体は、前記リヤガイドの移動経路に沿って長く形成され、且つ前記第1給紙トレイの前記排出方向上流側部位が前記底板に対して固着され、且つ下流側部位が前記底板に対して自由端に形成されているものである。
請求項4に記載の発明の画像記録装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の給紙装置と、前記各給紙トレイからUターンパスを介して給送された被記録媒体に画像を記録するための画像記録部とを備えたことを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、第1給紙トレイには、前記第2給紙トレイを被記録媒体の給送方向下流側に移動させたとき、前記記録部から排出された被記録媒体が前記排紙受け部と、前記第1給紙トレイにおける前記給送方向上流側部位とに跨がって位置するときの当該被記録媒体の排出方向下流側部位(排出方向の先端側)を支持するための支持体が起伏可能に設けられているものであるから、小サイズの被記録媒体に画像記録する場合に、第1給紙トレイに支持体が起立状になっているので、排出された被記録媒体の姿勢が排紙受け部と、前記第1給紙トレイにおける前記給送方向上流側部位とに跨がって位置するときに、極端に排出方向上流側で高くなるような傾斜姿勢とならず、後続排出される被記録媒体が先行する被記録媒体に邪魔されて紙詰まりが発生したり、記録部での搬送ピッチが乱れて画質が悪化することもなく、後続する被記録媒体が先行する被記録媒体の下面側に潜り込んで、被記録媒体の排出堆積順序が狂う等の不都合が無くなり、被記録媒体の排出作業が円滑に行えるという効果を奏する。
請求項2に記載の発明によれば、第1給紙トレイに被記録媒体をセットする場合にはリヤガイドを後退させることで、支持体が伏せられて邪魔にならず、逆に小サイズの被記録媒体に画像記録する場合に、第1給紙トレイに支持体の自由端側が起立状になっているので、排出された被記録媒体の姿勢が極端に排出方向上流側で高くなるような傾斜姿勢とならず、後続排出される被記録媒体が先行する被記録媒体に邪魔されて紙詰まりが発生したり、記録部での搬送ピッチが乱れて画質が悪化したりすることもなく、後続する被記録媒体が先行する被記録媒体の下面側に潜り込んで、被記録媒体の排出堆積順序が狂う等の不都合が無くなり、被記録媒体の排出作業が円滑に行えるという効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、前記支持体は、前記リヤガイドの移動経路に沿って長く形成され、且つ前記第1給紙トレイの前記排出方向上流側部位が前記底板に対して固着され、且つ下流側部位が前記底板に対して自由端に形成されているものであるから、リヤガイドの前後移動だけの簡単な操作で、支持体を起立させたり伏せ姿勢に変更させたりでき、操作が簡単となる。
請求項4に記載の発明によれば、小サイズの被記録媒体に画像記録する場合に、第1給紙トレイに支持体が起立状になっているので、被記録媒体の排出作業が円滑に行えると共に、第1給紙トレイに被記録媒体をセットする場合にはリヤガイドを後退させることで、支持体が伏せられて邪魔にならず、被記録媒体のサイズに合わせた画像記録操作を迅速に実行することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に適用された画像記録装置としての多機能装置(複合機)の斜め前方から見た斜視図、図2は第1給紙トレイ上の第2給紙トレイを待機位置に後退させた状態の側断面図、図3は第2給紙トレイを第1給紙トレイに対して前進させ給送状態としたときの側断面図、図4は第1給紙トレイのみの平面図、図5(a)は第1給紙トレイにおけるリヤガイドの後退状態を示す側断面図、図5(b)は同じく要部拡大断面図、図6(a)は第1給紙トレイにおけるリヤガイドの前進状態を示す側断面図、図6(b)は同じく要部拡大断面図である。
本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものであり、図1に示すように、画像記録装置1における合成樹脂製の記録装置本体としての合成樹脂製の射出成形品からなるハウジング2の底部には、その前側の開口部2aから挿抜可能な給紙カセットが配置されている。この給紙カセットは、第1給紙トレイ3と第2給紙トレイ30とが積層状態となって構成されている。第2給紙トレイ30は、第1給紙トレイ3に対して図1におけるX軸方向に進退動可能に連結または載置されている。
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。この画像読取装置12は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成されている。さらに画像読取装置12の上面を覆う原稿カバー体13の後端は、図示しない枢軸部を介して画像読取装置12の後端に対して上下開閉回動可能に装着されている。
ハウジング2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14が設けられている。そして、画像読取装置12の上面には、原稿カバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板(図示せず)が設けられ、その下側に図示しない原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) が主走査方向(図1におけるY軸方向)に延びるガイドシャフト(図示せず)に沿って往復移動可能に設けられている。
図1において、ハウジング2の前面右側には、図示しないインク貯蔵部にインクカートリッジを出し入れするための開閉可能な扉2bが設けられている。
インク貯蔵部には、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容したほぼ矩形箱状のインクカートリッジ(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのカートリッジ)を、Y軸線方向に沿って一列状に収容でき、前方から着脱可能となるように構成されている。
そして、各インクカートリッジからインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管(インクチューブ)を介してインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部に収容可能に構成すれば良いし、インク供給管もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
記録部7は、図2及び図3に示すように、上面が開放された箱型のメインフレーム(図示せず)とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1及び第2ガイド部材22、23との間に形成される。記録部7における記録ヘッド4が下面側に搭載されたキャリッジ5は、用紙搬送方向の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
キャリッジ5を往復移動させるために、用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト(図示せず)がプーリ(図示せず)に巻回されており、そのタイミングベルトを駆動するCR(キャジッジ)モータ(図示せず)は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
キャリッジ5における記録ヘッド4の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレームの底板の上方に固定されている。
また、プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙P(P1)を記録ヘッド4の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙P(P1)を、第2給紙トレイ30の上面に設けられた排紙受け部31上に搬送するための排紙ローラ対28が配置されている(図2、図3参照)。プラテン26は、レジストローラ(搬送ローラ)対27によって搬送されてきた用紙Pを、記録ヘッド4との間隙を一定にするように支持するのである。
次に、給紙装置の構成について詳述する。本実施形態では、画像記録装置1の前側の開口部2aから挿抜可能な給紙カセットが配置されている。この給紙カセットは、第1給紙トレイ3と第2給紙トレイ30とが積層状態となって構成されている。第1給紙トレイ3は、複数の用紙Pを堆積状態で収容可能な第1収容部3bを備えており、この第1収容部3b内の用紙Pは、給送手段6により1枚ずつ記録部7に給送される。第2給紙トレイ30は、第1給紙トレイ3の第1収容部3b上にて、第1給紙トレイ3及び給送手段6に対して進退動可能に配置され、第1給紙トレイ3における用紙Pと異なるサイズ(小さいサイズであり、葉書または写真のL版等)の複数(少なくとも1枚以上)の用紙P1を第2収容部30bに堆積状態で収容可能である(図2〜図6参照)。第2給紙トレイ30には、第2収容部30bの後方(給送方向上流側部位)に、トレイ状の排紙受け部31が一体的に形成されている。第2給紙トレイ30を第1給紙トレイ3に対して給送方向と反対側(図3の矢印C方向参照)に後退させたとき、その第2給紙トレイ30の用紙P1の給送方向の上流側端部は、第1給紙トレイ3の用紙の給送方向の上流側端部とほぼ同じ後位置になる(図2参照)。
第1給紙トレイ3のケース(本体部)は、底板3aと左右両側板3cにより構成されている。第1給紙トレイ3は、例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ等の大きいサイズにカットされた用紙Pをその短辺がY軸方向(主走査方向)に延びるようにして多数枚積載(堆積)させて収容できる形態とする。第1給紙トレイ3の第1収容部3bへの用紙Pの最大堆積量は、実施形態では普通紙で100枚程度、堆積高さはほぼ10mm程度とする。
実施形態では、給送手段6における合成樹脂製のアーム体6cは駆動軸39を中心にして上下回動可能であり、アーム体6cは傾斜分離板8に近づくように延び、アーム体6c先端部に給紙ローラ6aが配置され、駆動軸39から図示しない歯車伝動機構を介して給紙ローラ6aを回転駆動する。
また、第1給紙トレイ3の先端(給送方向の下流側、図2及び図3参照)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。そして、給送手段6における給紙ローラ6aと、傾斜分離板8の幅方向(Y方向)の中央部の内面(表面)側に設けられた分離手段としての弾性分離パッド(実施形態では金属板バネ製である、図示せず)とにより、第1給紙トレイ3または第2給紙トレイ30に堆積状態で収容された被記録媒体である用紙P(P1)を一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙P(P1)は上横向きのUターンパス(給紙搬送路)用の搬送路体9を介して第1給紙トレイ3より上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。そして、記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして開口部2aに向かって排出される。
第1給紙トレイ3における第1収容部3bには、当該第1収容部3b内の用紙Pの給送方向と平行な側縁を案内し、且つ位置決めするための一対のサイドガイドユニット40と、後述するリヤガイド41とが設けられている(図2参照)。なお、図4、図5(a)及び図6(a)には、上記傾斜分離板8及びサイドガイドユニット40は図示省略されている。
第2給紙トレイ30は、その先端側(用紙P1の給送方向の下流側)の底板(載置部)30aの先端に上向き鉤状等の一対の係止片34が前向きに突設されている(図2参照)。この係止片34は、第2給紙トレイ30を給紙位置まで押し込んだ(前進させた)とき、第1給紙トレイ3における傾斜分離板8に穿設された一対の位置決め溝(図示せず)にそれぞれ係合し、第2給紙トレイ30が左右上下にずれないようにすると共に、第2給紙トレイ30を給紙位置まで押し込んだ状態を保持できるように構成されている。従って、第2給紙トレイ30の給紙位置での上下方向及び用紙P1の給送方向と平行に保持する姿勢が確保でき、用紙P1の分離・給送作用を確実、且つ安定させることができるという効果を奏する。さらに、第2給紙トレイ30についても、第1給紙トレイ3と同様の用紙Pの給送方向と平行な側縁を案内し、且つ位置決めするためのサイドガイド手段が設けられている。
第1収容部3bにおけるリヤガイド41は、底板3aの上下面を挟んで、給送方向に沿ってスライド可能(移動可能)なスライダ41aと、収容される用紙Pの後縁に当接する縦板部41bと、スライダ41aの上面側左右中央部41c(一対の切欠き部42の間)から縦板部41bの前側に適宜隔てて立設するノブ部41dとを備える。このリヤガイド41は弾性を有する合成樹脂製の射出成形品である。
スライダ41aの左右両側端部が底板3aに用紙Pの給送方向に沿って延びるように凹み形成された一対のガイド溝43に摺接することにより、この移動経路に沿ってリヤガイド41が移動可能である。一対のガイド溝43の間にて底板3a上面には複数の係合歯44が形成されている。各係合歯44は、ガイド溝43の延びる方向と直交する方向に延びる凹凸形状であり、これにより、リヤガイド41がロックされて位置決めできる。
スライダ41aの下面に形成された係止爪(図示せず)は、係合歯44の凹凸部分に対して選択的に係合可能とされている。平面視コ字状の縦板部41bとノブ部41dとをその前後間隔が縮まるようにユーザーが摘むと、上記一対の切欠き部42の外側で縦板部41bの付け根部と連接されているスライダ41aが、合成樹脂材の弾性により、上向きに変位し、スライダ41a下面の係止爪(図示せず)が係合歯44の凹凸部分から離れるように構成されている。
また、第1給紙トレイ3の給送方向上流側端部には、本発明に係る支持体45が底板3aから起伏可能に設けられている。この支持体45は、一対のガイド溝43の間(実施形態では、帯状に形成された一対の係合歯44の間)にて底板3aの上面に、用紙P(P1)の給送方向(換言すれば、用紙P(P1)の排出方向(矢印C方向)に沿って延びる一対の板バネ製の弾性板体である。支持体45の基部45aは屈曲されて底板3aに穿設された係止孔46に係止され、支持体45の自由端側45bは第1給紙トレイ3の後端(給送方向上流側端部)に形成された把手部3dに接近するように延びる。リヤガイド41が前進移動しているとき(支持体45の基部45aよりも前に位置するとき)には、リヤガイド41は支持体45を拘束しないので、支持体45は、その自由端側45bが底板3aの上面から離れて上向きに起立するように、弾性力(バネ力)が作用している。
第1給紙トレイ3の第1収容部3bにA4サイズの用紙Pをセットするときには、リヤガイド41を把手部3dに接近する位置に後退させる。そのとき、支持体45はリヤガイド41のスライダ41aの下面に押圧されて、支持体45が底板3aの上面と実質上平行で接近した状態に強制的に伏せられている(図2、図5(a)及び図5(b)参照)。
この状態では、第1収容部3bにセットされたA4サイズの用紙Pには、支持体45の上向き付勢力は作用しない。また、セットされたA4サイズの用紙Pの後端縁はリヤガイド41における縦板部41bの前縁に当接して位置決めされる。また、この状態では、第1給紙トレイ3内の用紙Pを給送し、記録部7で画像記録をした後、第2給紙トレイ30における排紙受け部31にて用紙Pを受けるため、第2給紙トレイ30を用紙P(P1)の給送方向上流側に移動させ(換言すれば、記録部7から排出される用紙P(P1)の排出方向下流側(矢印C方向)に移動させて)、第2給紙トレイ30における排紙受け部31の後端縁が第1給紙トレイ3における把手部3dとほぼ同じ位置まで後退している(図2参照)。従って、排出されたA4サイズの用紙Pは、排紙受け部31全体で略平面状に受けることができる。その結果、排出されたA4サイズなどの大きいサイズの用紙Pは順次先行して排紙された用紙Pの上に円滑に重ねられ、紙詰まりなどが発生しない。このような状態は、第2給紙トレイ30を第1給紙トレイ3の後端側に引き戻している限り、第1収容部3bに収容される用紙Pのサイズが小さくても同じ結果となる。
他方、第2給紙トレイ30における第2収容部30b内に複数枚堆積状態で収容させた小サイズの用紙P1(例えば、葉書もしくは写真のL版用紙等)に画像記録するときであって、第1給紙トレイ3内にサイズの小さい(リヤガイド41を支持体45の基部45aよりも前方に移動させなければ用紙Pの後端をガイドできないほど小さい)用紙Pが収容されている場合を考える。この場合、第1給紙トレイ3内に収容される用紙Pのサイズは、リヤガイド41を支持体45の基部45aよりも前方に移動させなければ用紙Pの後端をガイドできないサイズである。従って、リヤガイド41を支持体45の基部45aよりも前方に移動させて用紙Pの後端をガイドさせると、弾性力(バネ力)の作用により付勢された支持体45は、その自由端側45bが底板3aの上面から離れて上向きに起立する。その結果、図6(a)及び図6(b)に示すように、支持体45は、その自由端側45bが把手部3dの高さとほぼ同じ高さとなるように、基端部45aから自由端側45bまで傾斜状の起立姿勢となる。
従って、給紙ローラ6aにて小サイズの用紙P1に対する給送作用を受けるために、第2給紙トレイ30の先端を、第1給紙トレイ3における傾斜分離板8に当接させるように、第2給紙トレイ30を給送方向下流側に移動させると、当該第2給紙トレイ30における排紙受け部31の後端縁と、第1給紙トレイ3の第1収容部3bの後端部(把手部3dの近傍)との間には、上向き開放状の大きい空間が形成される(図3参照)。この状態で、画像記録作業を実行すると、記録部7から排出された用紙P1には、排紙ローラ対28の箇所を離れると、搬送力が無くなる。その結果、排紙受け部31と、第1給紙トレイ3における給送方向上流側部位の把手部3dとの間に跨がるように、用紙P1が位置する。そして、この用紙P1の排出方向(矢印C方向)に沿う重心位置が、排紙受け部31の後端縁31aよりも排出方向下流側部位に位置すると、排出された小サイズの用紙P1はその中途部が排紙受け部31の後端縁31aに支持された状態で、当該排出方向下流側部位が下向きとなるように傾斜姿勢となる。そのとき、用紙P1の排出方向下流側部位は起立している支持体45の自由端側45bに支持されることになり、傾斜角度θは支持体45が伏せているときよりも小さくすることができる。
その結果、後続して排出される用紙P1が先行する小サイズの用紙P1の後端に衝突して、紙詰まりが発生したり、記録部での搬送ピッチが乱れて画質が悪化したりすることもなく、先行する傾斜状の用紙P1の下面側に誘導されて、排出堆積順序が狂うという事態を回避することができるのである。
また、第2給紙トレイ30における第2収容部30b内に複数枚堆積状態で収容させた小サイズの用紙P1(例えば、葉書もしくは写真のL版用紙等)に画像記録するときであって、第1給紙トレイ3内に例えばA4サイズ等のサイズの大きい用紙Pが収容されている場合を考える。この場合には、その用紙Pの後端縁はリヤガイド41にて規制され、且つこの背の高いリヤガイド41は、第1給紙トレイ3における把手部3dの近くに配置されているので、画像記録した後排出された小サイズの用紙P1の排出方向前側がリヤガイド41にて支持される結果、当該排出された小サイズの用紙P1の排出方向の後側が大きく上向き傾斜することがなく、上述のごとく、排出された小サイズの用紙P1は順次先行して排紙された用紙P1の上に円滑に重ねられて紙詰まりや、記録部での搬送ピッチが乱れて画質が悪化したりすることもなく、先行する傾斜状の用紙P1の下面側に誘導されて、排出堆積順序が狂うという事態を回避することができるのである。
支持体45の変形例としては、支持体45自体に付勢力がなく、図5(b)に示すように把手部3dと底板3aの後端との間の凹部47の底部に、付勢手段としての圧縮コイルバネ48を配置し、圧縮コイルバネ48の上端で支持体45の自由端側45bを支えて、上向き突出付勢させるように構成しても良い。
なお、第2給紙トレイ30の収容部)30b上には、第1給紙トレイ3に堆積する用紙Pのサイズよりも小さいサイズ(例えば、葉書もしくは写真のL版用紙等)の用紙P1を複数枚堆積させて収容することができる。また、サイズのみならず、第1給紙トレイ3に一般的に堆積収容される用紙Pとは種類の異なる用紙、即ちインクジェットプリンタ専用紙や写真画質用光沢紙のように種類の異なる用紙P1を多数枚堆積させることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、2本の平行な板状の支持体45の場合、その両後端部(自由端側45b)を横向きの連結片にて接続することで、当該支持体45が平面視コ字状になるように形成しても良い。
さらに、用紙(被記録媒体)の片方の側縁は給紙トレイの側板に沿わせ、他方の側縁のみを1つのサイドガイドユニットの移動より当接させて規制する、いわゆる片寄せタイプのサイドガイドユニットを備えた第1給紙トレイに適用することも可能である。
また、本実施形態では、第2収容部30bに収容される用紙P1は、第1収容部3bに収容される用紙Pと異なるサイズに構成したが、これに限ったものではない。即ち、第1収容部3bに収容される用紙Pと第2収容部30bに収容される用紙P1とは、同じサイズであってもよい。
以上、本発明の構成を有する給紙装置を備えた画像記録装置では、小サイズの用紙P1に画像記録する場合に、第1給紙トレイ3に支持体45が起立状になっているので、用紙P1の排出作業が円滑に行えると共に、第1給紙トレイ3に用紙Pをセットする場合にリヤガイド41を後退させることで、支持体45が伏せられて邪魔にならず、用紙のサイズに合わせた画像記録操作を迅速に実行することができる。