しかしながら、特許文献2に記載されているような画像記録装置において、開閉可能な上側本体に液晶パネル表示部を配置すると、一般的に下側本体に内蔵している制御基板から液晶パネル表示部までの信号乃至データ伝送用のハーネスが長くなり、このハーネス部分でノイズを拾い易くなって、液晶パネル表示部での表示性能が悪化するという問題があった。
また、下側本体に対して上側本体を開いた状態において、メンテナンスや部品やインクカートリッジ等の消耗品の交換等の作業を行う場合に、液晶パネル表示部にその操作指示のメッセージ等が作業者に見え易くする必要がある。
これらの問題を解決するためには、液晶パネル表示部を下側本体の上面に配置することが好ましい。しかし、下側本体の上面に配置された液晶パネル表示部が、閉じられた上側本体により見えなくなることは確実に避けなければならない。
また、装置全体の小型化のために、上側本体の平面視形状と下側本体の平面視形状とを略同一に形成することが好ましい。
また、液晶パネルの性質として、その表面に対する観察方向の違いによって画像のコントラスト性能が大きく変わり、一般的には、液晶パネル表示面と直交する方向から観察すると、画像のコントラストは鮮明であるが、前記直交する角度から傾斜する角度が大きいほど画像のコントラストは不鮮明となり、画像が見えにくい。
しかしながら、前記特許文献1及び2では、下側本体または上側本体の上面に液晶パネル表示部が姿勢固定的に設けられていた。即ち、液晶パネル表示部の表示面は下側本体または上側本体の上面と平行状若しくは同一面上に配置されていたから、メンテナンス作業時等において、ユーザーは、その目線を液晶パネル表示部の表示面とほぼ直交するように顔の位置をずらす等、ユーザーの体の姿勢を変える必要があり、作業し辛いという問題もあった。
本発明は、上記課題を解消するために、下側本体の上面に配置される液晶パネル表示部の使い勝手が向上できるようにした電気製品を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、下側本体の一側部位に対して回動開閉可能に取り付けられた上側本体と、前記下側本体の上面に配置された液晶パネル表示部とからなる電気製品であって、前記液晶パネル表示部は、その表示面が前記下側本体の上面に対して上向きの姿勢から前向きの姿勢まで変更可能となるように起伏可能であって、前記下側本体に対して前記液晶パネル表示部の一側部位が回動可能に構成され、前記上側本体には、当該上側本体を前記下側本体の上面に対して閉じたときに前記液晶パネル表示部の表示面が露出する開口部が形成され、前記下側本体の上面には、前記液晶パネル表示部のうち、少なくとも前記一側部の回動軸線に対して近い側部と遠い側部とに、前記下側本体に対する前記上側本体の開閉動作に際して、前記下側本体の上面に対して表面が前向き方向に起立した状態の前記液晶パネル表示部が前記開口部と干渉しないようにする余裕区域を設けたものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電気製品において、前記液晶パネル表示部は、下側本体の上面のうち当該下側本体の正面に近い側縁部位に配置され、前記下側本体に対する上側本体の回動軸線が配置される側縁部と前記液晶パネル表示部が配置される側縁部とが平面視で互いに直交しているものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電気製品において、前記下側本体内には、被記録媒体を供給して排出する搬送手段と、この搬送手段にて搬送される被記録媒体に対して画像形成するための記録部と、複写及びファクシミリ送信等のための制御基板とを備え、
前記上側本体内には、原稿を読取る読取素子が往復移動可能に配置された原稿読取手段が備えられたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電気製品において、前記余裕区域には、当該電気製品の備える複数の機能を指示可能な入力キーを配置したものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電気製品において、前記液晶パネル表示部を挟んで配置した一対の入力キーのうち一方はテンキーであることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれかに記載の電気製品において、前記上側本体の上面には前記読取手段の上面を覆うようにする開閉可能な原稿カバー体を設け、この原稿カバー体の側縁部位であって、前記液晶パネル表示部の奥側の部位に隣接する箇所には、当該液晶パネル表示部の姿勢を変更させるための指掛け部を設けたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の電気製品において、前記液晶パネル表示部は、その表示面が前記上側本体における前記原稿カバー体の下面より下方位置において、前記下側本体の上面に対して上向きの姿勢から前向きに姿勢まで変更可能となるように前記下側本体に設けられた円弧状のガイドレールに沿って回動可能に構成されているものである。
請求項8に記載の発明は、請求項3乃至7のいずれかに記載の電気製品において、前記上側本体の上面には、前記開口部を挟んで前記回動軸線に近い側と遠い側との両隣接部位若しくは一方の隣接部位に、当該電気製品の備える複数の機能を指示可能な入力キーのうち、機能の異なる入力キーを配置したものである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の電気製品において、前記上側本体の上面側には、前記開口部を挟んで前記回動軸線に近い側と遠い側との両部位に、操作パネル基板がそれぞれ配置され、前記両操作パネル基板を接続するハーネスが、切欠き状の前記開口部と隣接する奥側の部位に沿って配線されているものである。
請求項1に記載の発明によれば、下側本体の一側部位に対して回動開閉可能に取り付けられた上側本体と、前記下側本体の上面に配置された液晶パネル表示部とからなる電気製品であって、前記液晶パネル表示部は、その表示面が前記下側本体の上面に対して上向きの姿勢から前向きの姿勢まで変更可能となるように起伏可能であって、前記下側本体に対して前記液晶パネル表示部の一側部位が回動可能に構成されたものである。これにより、一般的に下側本体に配置される制御基板から液晶パネル表示部に対する信号の転送用のハーネスを短く配線できるから、ノイズを拾うことを防止して、液晶パネル表示部での画像等のデータの表示が確実且つ鮮明にできる。
そして、請求項1に記載の発明によれば、前記上側本体には、当該上側本体を前記下側本体の上面に対して閉じたときに前記液晶パネル表示部の表示面が露出する開口部が形成され、前記下側本体の上面には、前記液晶パネル表示部のうち、少なくとも前記一側部の回動軸線に対して近い側部と遠い側部とに、前記下側本体に対する前記上側本体の開閉動作に際して、前記下側本体の上面に対して表面が前向き方向に起立した状態の前記液晶パネル表示部が前記開口部と干渉しないようにする余裕区域を設けたものである。
従って、通常の使用状態、つまり下側本体の上面を上側本体で覆った状態でも、また、メンテナンス作業時のように上側本体を開いた状態でも、液晶パネル表示部を画像記録装置の正面等に任意の上下角度に立て起こすことができ、当該液晶パネル表示部の表示面をユーザーにとって画像のコントラストが鮮明になるように調節できるから、表示された画像データやメッセージ等が見え易くなると共に、下側本体に対して上側本体を開いた状態において、メンテナンスや部品交換等の作業を行う場合にも、液晶パネル表示部にその操作指示のメッセージ等が作業者に見え易くなるという効果を奏する。
請求項2に記載の発明によれば、液晶パネル表示部は、下側本体の上面のうち当該下側本体の正面に近い側縁部位に配置され、下側本体に対する上側本体の回動軸線が配置される側縁部と液晶パネル表示部が配置される側縁部とが平面視で互いに直交しているように構成されているので、ユーザーが対峙する下側本体の正面に近い側から液晶パネル表示部を見ることができ、且つ上側本体の全開状態であっても、ユーザーは液晶パネル表示部の表示面を容易に見ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、前記下側本体内には、被記録媒体を供給して排出する搬送手段と、この搬送手段にて搬送される被記録媒体に対して画像形成するための記録部と、複写及びファクシミリ送信等のための制御基板とを備え、前記上側本体内には、原稿を読取る読取素子が往復移動可能に配置された原稿読取手段が備えられたものであるから、画像記録する際に、処理すべき画像全体を液晶パネル表示部に表示させながら、適切な画像記録操作が行える。また、メンテナンス作業時や部品の交換及びインクカートリッジ等の消耗品の交換等の作業を行う場合に使用する入力キーを操作し易くなったり、誤操作を防止できるという効果を奏する。
請求項4に記載の発明によれば、前記余裕区域には、当該電気製品(画像記録装置)の備える複数の機能を指示可能な入力キーを配置したものであるから、メンテナンス作業時や部品の交換及び消耗品の交換等の作業を行うのに必要な入力キーを余裕区域に設けることで、メンテナンス作業や部品の交換及び消耗品の交換等の作業が容易にできるという効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、開口部を挟んで配置した一対の入力キーのうち一方はテンキーとした場合、特に、電話またはファクシミリの送信番号等を誤入力することが防止できる。
請求項6に記載の発明によれば、前記上側本体の上面には前記読取手段の上面を覆うようにする開閉可能な原稿カバー体を設け、この原稿カバー体の側縁部位であって、前記液晶パネル表示部の奥側の部位に隣接する箇所には、当該液晶パネル表示部の姿勢を変更させるための指掛け用の凹部を設けたものであるから、液晶パネル表示部の表示面に触れることなく、当該液晶パネル表示部の姿勢を簡単に変更調節できる。
そして、この凹部は画像読取手段及び原稿カバー体の縁に連通していないので、当該ガラス板に読取るべき1枚の原稿を伏せて載置し、原稿カバー体で覆った状態ではガラス板及び原稿カバー体の縁から外光が侵入せず、読み取られた画像データは鮮明となる。
請求項7に記載の発明によれば、前記液晶パネル表示部は、その表示面が前記上側本体における前記原稿カバー体の下面より下方位置において、前記下側本体の上面に対して上向きの姿勢から前向きに姿勢まで変更可能となるように前記下側本体に設けられた円弧状のガイドレールに沿って回動可能に構成されているものであるから、操作パネルの上面より高い位置のガラス板上に載置した原稿の縁がガラス板の縁よりはみ出しても、原稿カバー体で覆った状態ではガラス板及び原稿カバー体の縁から外光が侵入せず、読み取られた画像データは鮮明となるという効果を奏する。
請求項8に記載の発明によれば、前記上側本体の上面には、前記開口部を挟んで前記回動軸線に近い側と遠い側との両隣接部位に、当該電気製品の備える複数の機能を指示可能な入力キーのうち、機能の異なる入力キーを配置したものであるから、メンテナンス作業時や部品の交換及び消耗品の交換等の作業を行う場合に、上側本体を開いた状態で、入力キーの部分に作業者の手指などが触れないので、誤動作を防止できるという効果を奏する。
請求項9に記載の発明によれば、前記上側本体の上面側には、前記開口部を挟んで前記回動軸線に近い側と遠い側との両部位に、操作パネル基板がそれぞれ配置され、前記両操作パネル基板を接続するハーネスが、切欠き状の前記開口部と隣接する奥側の部位に沿って配線されているものであるから、ハーネスの長さを短くでき、ノイズを拾うことが少なくなるという効果を奏する。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明が適用された第1実施形態の画像記録装置の斜視図、図2は平面図、図3はカバー体を開いた状態の側断面図、図4は記録部及び給紙部のみの拡大側断面図、図5は液晶パネル表示部を下側本体の前方に引き出した状態の斜視図、図6は下側本体に対して上側本体が開いた状態の斜視図、図7は図6の正面図、図8は第2実施形態の画像記録装置の斜視図、図9は平面図、図10は下側本体に対して上側本体が開いた状態の斜視図、図11は図10の正面図、図12は第3実施形態の画像記録装置の斜視図、図13は平面図、図14は液晶パネル表示部を起立させた状態の斜視図、図15は図13のXV−XV線矢視で示しカバー体を開いた状態の側断面図、図16は下側本体に対して上側本体が開いた状態の斜視図、図17は図16の正面図である。
本発明を電気製品の1実施形態としての画像記録装置1に適用した場合について以下に説明する。本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )である。図1及び図2に示す第1実施形態では、画像記録装置1における合成樹脂製の射出成形品からなるハウジングとしての下側本体2を備えている。
下側本体2の上面には、合成樹脂製の射出成形品からなる上側本体3が、枢軸部4を介して下側本体2の一側端に対して上下開閉回動可能に装着されている。即ち、下側本体2の正面側(図1において右側)に開口部2aが形成されているとき、下側本体2に対する上側本体3の回動軸線としての枢軸部4は下側本体2の左側面側に位置している。
上側本体3内には、コピー機能やファクシミリ機能における画像読取装置5が組み込まれている。この画像読取装置5は、原稿カバー体7を上側に開けて原稿を載置することができる原稿載置用のガラス板6と、ガラス板6の下側に原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)8とからなる。密着型イメージセンサ8は、図3の紙面と直交する方向(主走査方向、図1におけるY軸方向)に延びるガイド軸9に沿って往復移動可能に設けられている。画像読取装置5の上面を覆う原稿カバー体7の後端は上側本体3の後端に対して蝶番10(図2参照)を中心に上下回動可能に装着されている。
他方、下側本体2の一側(枢軸部4から最も離間した側、図6において右側)には、上面解放状のインク貯蔵部11が配置され、このインク貯蔵部11には、図示しないが個別の色毎のカートリッジとして、この実施形態では、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のインクカートリッジが収納されており、各インクカートリッジと、後述する記録部12におけるインクジェット式の記録ヘッド14とを、可撓性を有するインク供給管で常時連結している。
他方、下側本体2の底部には、図2〜図4に示すように、用紙Pを堆積収容する給紙カセット15が進退動可能に配置されており、この給紙カセット15は下側本体2の前側(図1及び図3において右側)の開口部2aから差し込まれている。本実施形態では、給紙カセット15は、被記録媒体としての、例えば、A4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙Pをその短辺(幅)が給紙方向(矢印A方向)と直交する方向(主走査方向、Y軸方向)に延びるようにして、複数枚積層(堆積)されて収納できる形態とする。
給紙カセット15の奥側(図4において右側)には、用紙分離用に傾斜分離板16が配置されている。この傾斜分離板16は、用紙Pの幅方向(Y軸方向)の中央側で突出し、用紙Pの幅方向の左右両端部側に行くに従って後退するように平面視で凸湾曲状に形成されており、且つ用紙Pの幅方向の中央部には、用紙Pの先端縁に当接して分離を促進するための鋸歯状の弾性分離パッド(図示せず)が設けられている。
また、下側本体2側には、給紙手段17における給紙アーム17aの基端部が上下方向に回動可能に装着され、この給紙アーム17aの先端部に設けられた給紙ローラ17bには、給紙アーム17a内に設けられた歯車伝達機構17cにより、図示しない駆動源からの回転が伝えられる。そして、この給紙ローラ17bと傾斜分離板16の弾性分離パッドとにより、給紙カセット15に堆積された用紙Pを一枚ずつ分離搬送する。給紙方向(矢印A方向)に沿って進むように分離された用紙Pは、横向きの略U字形状のパスを含む搬送経路18を介して、給紙カセット15より上側(高い位置)に設けられた記録部12に給送される。搬送経路18は、そのU字形状の外周側を構成する第1搬送路体18aと、内周側を構成する第2搬送路体18bとの間隙に形成されている。
記録部12は、図3及び図4に示されるように、箱型のメインフレーム21とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1および第2ガイド部材22,23との間に形成される。記録部12におけるインクジェット式の記録ヘッド14が搭載されたキャリッジ13は、排紙方向(矢印B方向)の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨って摺動自在に支持されているため、Y軸方向に往復移動可能になっている。
キャリッジ13を往復移動させるために、排紙方向(矢印B方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるようにタイミングベルト(図示せず)が配置され、このタイミングベルトを駆動するCR(キャリッジ)モータ(図示せず)は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
キャリッジ13における記録ヘッド4の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22,23の間にて、メインフレーム21に固定されている(図4参照)。
プラテン26の排紙方向(矢印B方向)上流側には、図2に示すように、用紙Pを記録ヘッド4の下面に搬送するための搬送(レジスト)ローラとして、駆動ローラ27と、この駆動ローラ27に対向する下方にニップローラ28とが配置されている。また、プラテン26の排紙方向(矢印B方向)下流側には、記録部12を経た用紙Pを排紙方向(矢印B方向)に沿って搬送するように駆動される排紙ローラ28と、これに対向して排紙ローラ28側に付勢された拍車ローラ28aとが配置されている。
記録部12にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして排出される排紙トレイ30は、給紙カセット15の上部に設けられ、排紙トレイ30に連通する排紙口30aが下側本体2の前面の開口部2aと共通にして開口されている。また、排紙方向(矢印B方向)の下流側のガイド部材23の下面から下側本体2の前端の排紙口30aまでの間には、排紙トレイ30の上方を覆うようにした合成樹脂製の仕切板(下カバー体)31が、下側本体2と一体的に形成されている(図3参照)。
下側本体2内には、仕切板31より上側に、記録部12やファクシミリ通信等のための制御基板49が配置されている(図3参照)。また、下側本体2の正面には、複数種類のカード型の記録媒体(メモリーカード)を挿入するために複数のスロット50、51、52が開口している。記録媒体としては、例えば、メモリースティック(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリーカード(登録商標)、xDピクチャーカード(登録商標)等がある。また、下側本体2の正面の右側には、周辺機器との通信のためのUSBコネクタの差込み口53が設けられている。
給紙カセット15の底板15aの給紙方向(矢印A方向)の上流側端部における幅方向の中央部には、この上流側端部からさらに外方(排紙方向のさらに下流側)へスライド可能に、略板状の補助支持部材32が設けられ、この補助支持部材32に排紙補助トレイ33が取り付けられている。この排紙補助トレイ33は、排紙トレイ30から外方へ突出した用紙Pにおける排紙方向(矢印B方向)下流側の端部を支持することができるようになっている(図1、図2、図3、図5〜図7参照)。
画像記録装置1の第1実施形態では、図1、図2及び図5〜図7に示すように、下側本体2の上側のうち、正面に近い側縁部近傍であって、Y軸方向である左右のほぼ中央部位に、液晶パネル表示部34のみが配置されている。換言すると、液晶パネル表示部34は、下側本体2の上面のうち当該下側本体2の正面に近い側縁部近傍に配置され、且つ枢軸部4が配置される側縁部と液晶パネル表示部34が配置される側縁部とが平面視で互いに直交している。
この液晶パネル表示部34はカラー画像を表示できる程度の大きい表示面積(実施形態では42mm×54mm程度)を有するものである。また、下側本体2に設けられた一対の円弧状のガイドレール35(図3及び図6では一方のみ示す)に液晶パネル表示部34の背面(下面)が摺動可能に支持されており、液晶パネル表示部34は、その表示面が下側本体2の上面とほぼ同一面の姿勢(図1参照)から、下側本体2の正面方向に対して斜め上向きの適宜角度(実施形態では水平面に対して略40度程度)の姿勢(図3、図5及び図6参照)まで任意に姿勢調節可能に構成されている。
他方、上側本体3の上面の前部(正面に近い部位)には、下側本体2に対する上側本体3の回動軸線としての枢軸部4を中心にして当該上側本体3を下側本体2の上面に対して閉じたときに、液晶パネル表示部34の表示面が露出して見えるように、切欠き状の開口部36が形成されている(図5〜図7参照)。実施形態では、開口部36は上側本体3の正面側に解放された平面視略コ字型である。
そして、下側本体2の上面には、枢軸部4を中心にして上側本体3を下側本体2の上面に対して開閉回動するときに、開口部36のコ字状の側辺36a,36b,36cが液晶パネル表示部34の側辺34a,34b,34cと合わさる箇所で、当該液晶パネル表示部34と開口部36とが干渉しないようにするために適宜の大きさの余裕区域(スペース)57a,57bが設けられている。第1実施形態では、液晶パネル表示部34はその表示面がほぼ上向きの状態のとき、当該表示面の高さ位置が、閉じられた上側本体3の上面(後述する操作パネルC,D部分)と略同一面若しくはそれより若干低い位置になるように設定されており、且つこの液晶パネル表示部34は円弧状のガイドレール35に沿って姿勢が前方向に傾き回動するときに、特に、枢軸部4から近い液晶パネル表示部34の側辺34aと、枢軸部4から遠い液晶パネル表示部34の側辺34cとが、開口部36に干渉しない程度に、液晶パネル表示部34の外周部に余裕区域としての隙間空間57a,57bが設けられている(図1、図2及び図5参照)。
さらに、上側本体3が下側本体2に対して閉じるとき、開口部36のコ字状の側辺36a,36b,36cが液晶パネル表示部34の側辺34a,34b,34cと合わさる箇所で、作業者の指が鋭い縁で挟まれないようにするため、各側辺36a,36b,36c及び各側辺34a,34b,34cは下方に行くに従って広がる台形状側面に形成するものである(図5、図6及び図7参照)。
また、上側本体3の上面には、開口部36を挟んで枢軸部4から近い側と遠い側との両隣接部位に、電気製品である画像記録装置1の備える複数の機能を指示可能な入力キーのうち、機能の異なる入力キーが配置された操作パネルC,Dが設けられている。実施形態では、図1、図2、図5〜図7に示すように、開口部36より右側に配置される操作パネルCの右の端部には、スタートストップ入力キー37aとカラーコピースタート入力キー37bとモノクロコピースタート入力キー37cが縦列に並べられている。その左隣には、予め登録されているファクシミリ番号の検索と、受話器の音の大小調節等のための十字ドグル型入力キー38aが配置されている。開口部36の右側隣接箇所には、複数の機能のうち使用を希望する機能を選択して表示するための入力キー、例えばフォトキャプチャー入力キー39a,コピー入力キー39、ファクシミリ入力キー39c,スキャナ入力キー39dが縦列に並べられている。液晶パネル表示部34より左側に配置される操作パネルDには、ファクシミリの番号等を入力するためのテンキー40及び管理レポートの出力用キー41a,ファクシミリ番号再発報(リダイヤル)入力キー40b等が配置されている。
また、上側本体3の前側の内部には、上記の開口部36の右側の入力キー群に対応してその下面側に第1操作パネル基板46が配置され、開口部36の左側の入力キー群に対応してその下面側に第2操作パネル基板47が配置され、この両操作パネル基板46、47間の信号を伝達するために連結するハーネス48は、開口部36における奥側の側辺36bのフレーム内側に沿って配線されている(図2、図6参照)。
なお、上側本体3の上面のガラス板6を覆う開閉可能な原稿カバー体7の上面のうち、開口部36に接近した部位には、当該原稿カバー体7を開閉するときのユーザーの指が嵌まる把手部54が設けられている一方、上側本体3の上面における開口部36の奥側の側面36bの近傍には凹部55を形成し、この凹部55にユーザーの指を入れることで、液晶パネル表示部34を前方に移動させるという姿勢変更作業を容易にすることができる。この凹部55はガラス板6及び原稿カバー体7の縁に連通していないので、当該ガラス板6に読取るべき1枚の原稿を伏せて載置し、原稿カバー体7で覆った状態ではガラス板6及び原稿カバー体7の縁から外光が侵入せず、読み取られた画像データは鮮明となる。
また、ほぼ上向き状態の液晶パネル表示部34の表示面の高さ位置が、閉じられた上側本体3における操作パネルC,Dの上面と略同一面若しくはそれより若干低い位置になるように設定しておけば、操作パネルC,Dの上面より高い位置のガラス板6上に載置した原稿の縁がガラス板6の縁よりはみ出しても、原稿カバー体7で覆った状態ではガラス板6及び原稿カバー体7の縁から外光が侵入せず、読み取られた画像データは鮮明となる。
図8〜図11は画像記録装置1の第2実施形態を示し、下側本体2の上側のうち、正面に近い側縁部近傍であって、Y軸方向である左右のほぼ中央部位に、液晶パネル表示部34と、この液晶パネル表示部34を挟んで左右両側に複数の機能を有する入力キーが配置された操作パネルC,Dが設けられている。換言すると、液晶パネル表示部34及び2つの操作パネルC,Dは、下側本体2の上面のうち当該下側本体2の正面に近い側縁部近傍に配置され、且つ枢軸部4が配置される側縁部と液晶パネル表示部34及び2つの操作パネルC,Dが1列状に配置される側縁部とが平面視で互いに直交している。
操作パネルC,Dにおける入力キーの種類や配置等は、第1実施形態(図1、図2、図5〜図7参照)と同じであるので、同じ符号を使用して詳細な説明は省略する。また、下側本体2における操作パネルC,Dに対する操作パネル基板46、47は、当然下側本体2の上面近くの内側に配置され、両操作パネル基板46、47を連結して信号を転送するためのハーネス48は液晶パネル表示部34より下方であって、下側本体2の内面側に沿って配線されている(図9及び図10参照)。
そして、上側本体3の上面の前部(正面に近い部位)には、下側本体2に対する上側本体3の回動軸線としての枢軸部4を中心にして当該上側本体3を下側本体2の上面に対して閉じたときに、液晶パネル表示部34の表示面及び操作パネルC,Dが露出して見えるように、切欠き状の開口部36が形成されている(図8〜図11参照)。実施形態では、開口部36は上側本体3の正面側に解放された平面視略矩形型であり、枢軸部4に最も近い部位まで切欠き形成されている。また、上側本体3の上面のうち、枢軸部4から最も遠い端部には、下側本体2におけるインク貯蔵部11の上面の一部を覆うための平面視矩形状のカバー部56が一体的に形成されている(図10、図11参照)。この実施形態においても、上側本体3を下側本体2に対して開閉回動するとき、姿勢変更する液晶パネル表示部34とカバー部56とが干渉しないようにする余裕区域58として、液晶パネル表示部34の右側に操作パネルCが配置されるものとする。
また、上側本体3が下側本体2に対して閉じるとき、開口部36の奥側辺36dやカバー部56の側辺56aが液晶パネル表示部34及び操作パネルC,Dの奥側辺34d及びー側辺34eと合わさる箇所で、作業者の指が鋭い縁で挟まれないようにするため、各側辺36d,56a及び各側辺34d,34eは下方に行くに従って広がる台形状側面に形成するものである(図10及び図11参照)。なお、この台形状側面は平面でも湾曲面であっても良い。
なお、変形例として、下側本体2におけるインク貯蔵部11の上面に隣接して液晶パネル表示部34を配置する一方、枢軸部4から近い側に操作パネルC,Dを1箇所に集めるように配置しても良い。その場合には、液晶パネル表示部34の右側で、カバー部56の左側辺56aに隣接する箇所に適宜幅の余裕区域58(図示せず)を設けるものである。
なお、その他の構成は、第1実施形態と同じであるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。特に、図2の III−III 線矢視側断面である図3は、図9における III−III 線矢視と同じものであることに注意されたい。
図12〜図17に示す第3実施形態では、上側本体3は下側本体2の一側部における枢軸部4を中心に上下開閉回動可能に連結されている(図16及び図17参照)。下側本体2の上側のうち、正面に近い側縁部近傍であって、Y軸方向である左右のほぼ中央部位に、液晶パネル表示部34と、この液晶パネル表示部34を挟んで左右両側に余裕区域59a,59bとしての複数の機能を有する入力キーが配置された操作パネルE,Fが設けられている。従って、枢軸部4が配置される側縁部と液晶パネル表示部34及び4つの操作パネルC,D,E,Fが1列状に配置される側縁部とが平面視で互いに直交している。
他方、上側本体3の上面のうち正面に近い側には同じく複数の機能を有する入力キーが配置された操作パネルC,Dが設けられている。そして、液晶パネル表示部34はその基端部(前端部)を中心に起立回動可能なように、支軸60に支持されている(図12及び図15参照)。即ち、液晶パネル表示部34は、その表示面が操作パネルC〜fの上面とほぼ平行状の上向きの姿勢から、画像記録装置1の正面方向に向かう姿勢まで任意の上下角度の姿勢に変更し、且つその姿勢を保持できるよう構成されている。
液晶パネル表示部34の左右両側に59a,59bとしての操作パネルE,Fが設けられているが設けられているので、液晶パネル表示部34が正面を向くように起立しても、平面視コ字型に切欠き形成された開口部36が干渉することがない(図17参照)。
また、上側本体3が下側本体2に対して閉じるとき、開口部36の左右両側辺36a,36cと奥側辺36bが操作パネルE,Fの左右両側辺61a,61c及び奥側辺61bと合わさる箇所で、作業者の指が鋭い縁で挟まれないようにするため、各側辺36a〜36c及び各側辺61a〜61cは下方に行くに従って広がる台形状側面に形成するものである(図16及び図17参照)。
なお、液晶パネル表示部34より左側に配置される余裕区域59aとしての操作パネルEには、複数の機能のうち使用を希望する機能を選択して表示するための入力キー、例えばフォトキャプチャー入力キー39a,コピー入力キー39、ファクシミリ入力キー39c,スキャナ入力キー39dが縦列に並べられている。液晶パネル表示部34より左側に配置される余裕区域59bとしての操作パネルFには、ファクシミリの管理レポートの出力用キー41a,ファクシミリ番号再発報(リダイヤル)入力キー40b等が配置されている。
また、上側本体3における開口部36より右側の操作パネルCには、予め登録されているファクシミリ番号の検索と、受話器の音の大小調節等のための十字ドグル型入力キー38aが配置されている。開口部36より左側の操作パネルDには、ファクシミリ番号入力キー40が配置されている(図12、図13参照)。そして、上側本体3の前側の内部には、上記の開口部36の右側の入力キー群に対応してその下面側に第1操作パネル基板46が配置され、開口部36の左側の入力キー群に対応してその下面側に第2操作パネル基板47が配置され、この両操作パネル基板46、47間の信号を伝達するために連結するハーネス48は、開口部36における奥側の側辺36bのフレーム内側に沿って配線されている(図13参照)。なお、その他の構成は、第1実施形態と同じであるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
上述の第1及び第2実施形態のように、下側本体2の一側部位に対して上側本体3が回動開閉可能に取り付けられており、下側本体2の上面に液晶パネル表示部34が配置され、上側本体3を下側本体2の上面に対して閉じたときに液晶パネル表示部34の表示面が露出する開口部36が上側本体3に形成されていることにより、制御基板49から液晶パネル表示部34に対する信号の転送用のハーネスを短く配線できるから、ノイズを拾うことを防止して、液晶パネル表示部34での画像等のデータの表示が確実且つ鮮明にできる。そして、通常の使用状態、つまり下側本体2の上面を上側本体3で覆った状態でも、液晶パネル表示部34の表示面が見えるので、表示された画像データやメッセージ等が見え易くなると共に、下側本体2に対して上側本体3を開いた状態において、メンテナンスや部品交換等の作業を行う場合にも、液晶パネル表示部34にその操作指示のメッセージ等が作業者に見え易くなるという効果を奏する。
そして、液晶パネル表示部34は、下側本体2の上面のうち当該下側本体2の正面に近い側縁部近傍に配置され、下側本体2に対する上側本体3の回動軸線である枢軸部4が配置される側縁部と液晶パネル表示部34が配置される側縁部とが平面視で互いに直交しているように構成すれば、ユーザーが対峙する下側本体2の正面に近い側から液晶パネル表示部34を見ることができ、且つ上側本体3の全開状態であっても、ユーザーは液晶パネル表示部34の表示面を容易に見ることができる。
さらに、液晶パネル表示部34の姿勢を、その表示面が水平状態から起立する姿勢まで任意の角度に変更できるように起伏可能又は回動可能に構成すれば、ユーザーは、その目線を液晶パネル表示部34の表示面とほぼ直交するように顔の位置をずらす等、ユーザーの体の姿勢を変えることなく、液晶パネル表示部34を明瞭に見ることができる視野角の調整が容易になり、メンテナンス作業時等において、液晶パネル表示部34の画像のコントラストを常に鮮明になるように簡単に調節でき、メンテナンス等の作業を容易にできるという効果を奏する。
さらに、下側本体2の上面には、液晶パネル表示部34の左右両側もしくは一方の側部に隣接して、余裕区域57a,57b(58、59a,59b)を設けたので、液晶パネル表示部34を立て起こした状態で上側本体3を開閉しても、開口部36と液晶パネル表示部34とが干渉せず、液晶パネル表示部34を立て起こした状態で上側本体3を開閉できるから、メンテナンス作業が容易になるという効果を奏する。
第1実施形態のように、上側本体3の上面には、開口部36を挟んで枢軸部4から近い側と遠い側との両隣接部位に、画像記録装置1の備える複数の機能を指示可能な入力キーのうち、機能の異なる入力キーを配置することにより、メンテナンス作業時や部品の交換及びインクカートリッジ等の消耗品の交換等の作業を行う場合に、上側本体3を開いた状態で、入力キーの部分に作業者の手指などが触れないので、誤動作を防止できるという効果を奏する。
開口部36を挟んで配置した一対の入力キーのうち一方はテンキーとした場合、特に、電話またはファクシミリの送信番号等を誤入力することが防止できる。
第1実施形態のように、上側本体3の上面に入力キーを備えた操作パネルC,Dを配置した場合において、その近傍には、開口部36を挟んで枢軸部4(回動軸線)から近い側と遠い側との両部位に、操作パネル基板がそれぞれ配置され、前記両操作パネル基板を接続するハーネスが、切欠き状の開口部と隣接する奥側の部位に沿って配線することにより、ハーネスの長さを短くでき、ノイズを拾うことが少なくなるという効果を奏する。
第2実施形態のように、下側本体2の上面には、液晶パネル表示部34を挟んで枢軸部4から近い側と遠い側との両隣接部位若しくは一方の隣接部位に、画像記録装置1の備える複数の機能を指示可能な入力キーのうち、機能の異なる入力キーを配置すれば、メンテナンス作業時や部品の交換及びインクカートリッジ等の消耗品の交換等の作業を行う場合に使用する入力キーを操作し易くなるという効果を奏する。
さらに、液晶パネル表示部34を挟んで配置した一対の入力キーのうち一方はテンキーであるときには、サービスセンター等への電話番号の入力が容易になるという効果を奏する。
第2実施形態のように、下側本体2の上面の近傍には、液晶パネル表示部34を挟んで枢軸部4から近い側と遠い側との両部位に、操作パネル基板46、47がそれぞれ配置され、両操作パネル基板46、47を接続するハーネス48が、液晶パネル表示部34より下方部位に沿って配線されている場合もハーネス48の長さを短くしてノイズを拾うのを防止できる。
本発明は、多機能型の画像記録装置1ばかりでなく、種々の電気製品についても適用できることはいうまでもなく、その場合にも上記と同様の作用・効果を奏することができるものである。