JP4951821B2 - Pto機構付きクラッチ自動制御式車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに変速機を連結する変速クラッチを自動制御するクラッチ自動制御式車両に係り、特に、快適にPTO機構を使用可能なPTO機構付きクラッチ自動制御式車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クラッチ自動制御式車両とは、エンジンと変速機との間に、ロックアップクラッチを具備した流体継手と湿式摩擦クラッチとを直列に設け、これら流体継手及び湿式摩擦クラッチを制御部によって自動制御するものである。変速機には運転室内のシフトレバーによるマニュアル操作を伝達する機構が設けられるが、クラッチを操作するペダルはなく、シフトレバーのシフトノブにスイッチが内蔵され、このスイッチの状態からドライバの操作意図を制御部が判断し、アクチュエータを用いてクラッチを制御する。即ち、ドライバがシフトレバーで変速操作をしようとすると、制御部が湿式摩擦クラッチを断にして変速操作を可能にする。そして、ドライバの変速操作が終了したところで、制御部が湿式摩擦クラッチを接にする。湿式摩擦クラッチは、専ら変速のために使用されるので、変速クラッチと呼ぶこともある。
【0003】
流体継手は、内蔵しているロックアップクラッチが断の状態では、クリープによる動力伝達を行うことができるもので、特に発進時の半クラッチに効果を発揮する。ロックアップクラッチが接の状態では、エンジンと変速クラッチとを直結したのと同等の状態になるので、発進後はロックアップクラッチを接に制御し、伝達効率を高めることができる。停車するときは、ロックアップクラッチを断に制御する。
【0004】
シフトレバーの変速操作に対し変速クラッチ断の応答が遅れるとギア入れに抵抗が生じて不快になるので、シフトノブに力が入ってスイッチの状態が変化すると、制御部が直ちに変速クラッチを断に制御する。つまり、変速機がニュートラルになったときには、変速クラッチは断になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ゴミ収集車のように外部負荷(車両走行負荷以外の負荷、PTOまたはパワーテイクオフとも言う)を備えた車両では、外部負荷に駆動力を取り出すためのPTO機構が変速機に対して連結/遮断自在に設けられる。従って、変速機をニュートラルにし、PTO機構を変速機に連結すると、車両は走行せずPTOのみが駆動される。PTO機構を遮断し、変速機をいずれかのギア段に入れると、PTOは駆動されず車両が走行する。
【0006】
しかしながら、前記したクラッチ自動制御式車両では、変速機がニュートラルになれば、変速クラッチが断に制御される。このためPTO機構を変速機に連結したのみでは、PTOを駆動することができない。このことから、クラッチ自動制御式車両にPTO機構を付加するには、新規な制御手順を与えてやる必要がある。
【0007】
また、PTO機構付き車両は、停車中にPTOを駆動し、走行に際してはPTOを停止するのが望ましいが、ユーザからは業務の都合上、PTOを駆動したままで発進できることが要望されている。例えば、ゴミ集積場所から直ぐ隣のゴミ集積場所に移動するとき、ゴミの取り込みを継続しながら走行する場合がある。また、ダンプカーで荷台を起こしながら前進して砂利を散布する場合がある。
【0008】
このような要望に応えるためには、変速機やPTO機構に無理な負担がかからないよう、新規な制御手順を与えてやる必要がある。
【0009】
特に、前記したクラッチ自動制御式車両では、変速機にシンクロ機構がされており、変速の際に嵌合されようとするギア同士の回転数を徐々に近付けて円滑なギア入れができるようになっている。しかし、通常の車両走行の負荷に加えてPTOの負荷が存在すると、変速の際にシンクロ機構に過大な負荷がかかることになり、不具合の原因となる。従って、シンクロ機構の保護を考慮した制御手順が望まれる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、PTOを快適に使用できるPTO機構付きクラッチ自動制御式車両を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、エンジンに変速クラッチを介してシンクロ機構付きの変速機が連結され、その変速機の出力軸に車輪の駆動系が連結されると共に、外部負荷に駆動力を取り出すためのPTO機構が前記変速機に対して連結/遮断自在に設けられ、前記変速クラッチをシフトレバー操作に応じて自動制御するPTO機構付きクラッチ自動制御式車両において、前記変速クラッチ及びPTO機構の連結/遮断を制御する制御部に、前記PTO機構を前記変速機に連結して所定速度以上の速度で走行中にシフトレバー操作が行われての変速操作中に前記変速機がニュートラルになったときは、前記シフトレバー操作の終了時における前記変速機のギア段に拘わらず前記変速機のシンクロ機構が作用し始めるまでに前記PTO機構の遮断を終了するPTO遮断判定手段を設けたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1に、PTO機構の連結/遮断を制御する制御部に関係する要部を示す。制御部を構成するエンジンコントロールユニット(ECU)16に、PTO機構の連結/遮断を要求するPTOスイッチ27が接続されている。PTOスイッチ27は、運転室内の適宜な箇所に設置されている。PTOスイッチ27は、押しているときだけオンするモメンタリスイッチであり、オン操作は、PTOの停止中には駆動要求を意味し、PTOの駆動中には停止要求を意味する。ECU16内には図示しないCPUからの指令によって導通/遮断するスイッチング素子41が設けられており、このスイッチング素子41の出力にPTOリレー42のコイルが接続されている。PTOリレー42のメーク接点にはPTOバルブ43が接続されている。このPTOバルブ43は、後述するPTOクラッチ32を連結/遮断するアクチュエータに油圧を提供するものである。44は、車両の電源を表している。
【0015】
図2は本実施形態における車両の動力伝達装置を示す。図示するように、エンジンEと変速機T/Mとの間にクラッチ機構1が設けられ、クラッチ機構1は動力伝達方向上流側に設けられた流体継手(フルードカップリング)2と、その下流側に直列に設けられた湿式摩擦クラッチとしての湿式多板クラッチ3とからなっている。この湿式摩擦クラッチ3を変速クラッチ3と呼ぶことは既に述べたとおりである。なお、ここでいう流体継手2とはトルクコンバータを含む広い概念であり、現に本実施形態においてもトルクコンバータを用いている。本装置が適用される車両はトラック等の比較的大型の車両である。エンジンEはディーゼルエンジンである。
【0016】
流体継手2は、エンジンの出力軸(クランク軸)に接続されたポンプ4と、ポンプ4に対向されクラッチ3の入力側に接続されたタービン5と、タービン5とポンプ4との間に介設されたステータ6とを有する。そして流体継手2と並列してロックアップクラッチ7が設けられ、これはポンプ4とタービン5との断接を行って流体継手2をロックアップ可能とする。湿式多板クラッチ3は、その入力側が入力軸3aを介してタービン5に接続され、出力側が変速機T/Mのインプットシャフト8に接続され、流体継手2と変速機T/Mとの間を断接する。
【0017】
変速機T/Mは、インプットシャフト8と、これと同軸に配置されたアウトプットシャフト9と、これらに平行に配置されたカウンタシャフト10とを有する。インプットシャフト8には、入力主ギヤ11が設けられている。アウトプットシャフト9には、1速主ギヤM1と、2速主ギヤM2と、3速主ギヤM3と、4速主ギヤM4と、リバース主ギヤMRとが夫々軸支されていると共に、6速主ギヤM6が固設されている。カウンタシャフト10には、入力主ギヤ11に噛合する入力副ギヤ12と、1速主ギヤM1に噛合する1速副ギヤC1と、2速主ギヤM2に噛合する2速副ギヤC2と、3速主ギヤM3に噛合する3速副ギヤC3と、4速主ギヤM4に噛合する4速副ギヤC4と、リバース主ギヤMRにアイドルギヤIRを介して噛合するリバース副ギヤCRとが固設されていると共に、6速主ギヤM6に噛合する6速副ギヤC6が軸支されている。
【0018】
この変速機T/Mによれば、アウトプットシャフト9に固定されたハブH/R1にスプライン噛合されたスリーブS/R1を、リバース主ギヤMRのドグDRにスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9がリバース回転し、上記スリーブS/R1を1速主ギヤM1のドグD1にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が1速相当で回転する。そして、アウトプットシャフト9に固定されたハブH/23にスプライン噛合されたスリーブS/23を、2速主ギヤM2のドグD2にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が2速相当で回転し、上記スリーブS/23を3速主ギヤM3のドグD3にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が3速相当で回転する。
【0019】
そして、アウトプットシャフト9に固定されたハブH/45にスプライン噛合されたスリーブS/45を、4速主ギヤM4のドグD4にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が4速相当で回転し、上記スリーブS/45を入力主ギヤ11のドグD5にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が5速相当(直結)で回転する。そして、カウンタシャフト10に固定されたハブH6にスプライン噛合されたスリーブS6を、6速副ギヤC6のドグD6にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が6速相当で回転する。上記各スリーブは、図示しないシフトフォークおよびシフトロッドを介して、運転室内のシフトレバーによってマニュアル操作される。つまり変速機T/Mはマニュアル式である。
【0020】
湿式多板クラッチ3は通常の構成である。即ち、図示省略するが、オイルが満たされたクラッチケーシング内で、入力側と出力側とにそれぞれ複数枚ずつ互い違いにクラッチプレートがスプライン噛合され、これらクラッチプレート同士をクラッチピストンにより押し付け合い、或いは解放して、クラッチの接続・分断を行うものである。クラッチピストンはクラッチスプリングにより常に断側に付勢されると共に、これを上回る油圧がクラッチピストンに付加されたときクラッチ3が締結される。クラッチ締結力ないしクラッチのトルク容量は与えられる油圧に応じて増大される。
【0021】
PTO機構30は、変速機T/Mに対して連結/遮断自在に設けられている。本実施形態では、カウンタシャフト10に平行に配置された補助シャフト31に、カウンタシャフト10の4速副ギヤC4に噛合するPTO副ギヤP1が固設され、この補助シャフト31がPTOクラッチ32の入力側に接続されている。PTOクラッチ31の出力側がPTO出力軸33に接続され、このPTO出力軸33が図示しない外部負荷に接続されている。PTOクラッチ31は、電磁クラッチ、油圧クラッチ、スライディングメッシュなどで実現することができる。このPTOクラッチ31をアクチュエータによって駆動することにより、PTO機構30を変速機T/Mに対して連結/遮断し、外部負荷を駆動したり停止したりすることができる。PTO機構30が回転を取り出す変速機T/M内の箇所は4速副ギヤC4に限らず、インプットシャフト8に対して常時連動する箇所ならどこでもよい。
【0022】
次に、図2の動力伝達装置を電子制御するための電子制御装置を図3を用いて説明する。ECU16にはクラッチソレノイドバルブCSVの他、本装置を電子制御するために様々なスイッチやセンサが接続されている。これにはエンジン回転数を検出するためのエンジン回転センサ18、クラッチ3の入力側の回転数即ちタービン5の回転数を検出するためのタービン回転センサ19、変速機T/Mの回転数、代表的には入力副ギヤ12の回転数を検出するための変速機回転センサ20、及び車速を検出するための車速センサ21が含まれる。これらのセンサは図2にも示される。特にECU16は変速機回転センサ20の出力と、入力主ギヤ11及び入力副ギヤ12のギヤ比とから、インプットシャフト8の回転数を計算し、これをクラッチ3の出力側回転数とする。即ちクラッチ出力側回転数を検出するための手段が変速機回転センサ20となる。
【0023】
また、ECU16には、パーキングブレーキが作動中か否かを検出するためのパーキングブレーキスイッチ22、フットブレーキが作動中か否かを検出するためのフットブレーキスイッチ23、及び変速機のギヤポジションを検出するためのギヤポジションセンサ24も接続される。
【0024】
そしてECU16にはノブスイッチ25も接続されている。即ち、本実施形態ではドライバーによる変速操作の開始時期を検出するため、或いはクラッチ断を開始するタイミングを決定するため、運転室のシフトレバーにおいて、レバーに対しシフトノブが僅かにシフト方向に揺動可能に取り付けられており、これらレバーとシフトノブとの間にノブスイッチ25が設けられている。そしてドライバーによる変速操作時、レバーの動作に先立ってシフトノブが揺動すると、ノブスイッチ25がONとなり、これを合図にクラッチ断を開始するようになっている。具体的構成は特開平11−236931号公報に示されたものと同様である。
【0025】
また、本実施形態の動力伝達装置には、同公報に示されたような坂道発進補助装置(HSA;Hill Start Aid)が設けられており、その装置の手動ON/OFFを行うため運転室にHSAスイッチ26が設けられ、HSAスイッチ26がECU16に接続されている。PTOスイッチ27については、既に図1で説明したとおりである。
【0026】
次に、本実施形態に係る動力伝達装置の作動及び制御方法を説明する。
【0027】
この動力伝達装置では、エンジンEの動力を流体継手2、湿式多板クラッチ3、変速機T/Mという順で伝達する。ロックアップクラッチ7は原則として発進後は常にON(接)され、停車時及び発進時にOFF (断)される。従って発進時はAT車のように流体継手2のクリープを利用でき、摩擦クラッチを電子的に発進制御するものに比べ制御が簡単になると共に、走行中は流体継手2がロックアップされるのでスリップによるロスを防止できる。湿式多板クラッチ3は変速の度毎に断接される。これは通常のMT車と同様である。
【0028】
ここでロックアップクラッチ7の断接制御について詳しく述べると、ロックアップクラッチ7は比較的低車速である所定速度(本実施形態では約10km/h)以上で接とされる。正確には、ロックアップクラッチ接は、各ギヤ段においてインプットシャフト回転数が所定回転数(本実施形態では一律900rpm)以上に達すると接とされる。発進段(例えば多用される発進段である2速)で発進し、インプットシャフト回転数がその所定回転数(900rpm)に達すると、ロックアップクラッチが接とされ、このときの車速が低車速(約10km/h)である。
【0029】
まず、車両発進時の作動を説明する。車両がギヤニュートラルで停止中、ドライバーが発進しようとしてシフトレバーを発進段に操作しようとしたとする。するとシフトレバーにおいて、レバーの動作に先立ってシフトノブが揺動することによりノブスイッチ25がONされ、これを合図にクラッチ3が分断される。そして引き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T/Mが発進段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ24によって検出されるとクラッチ3が接続される。この接続によってタービン5が駆動輪側から止められるので、タービン5に対しポンプ4が滑動し、クリープ力が発生するようになる。従って後はブレーキを離したりアクセルを踏み込んだりすれば車両が動き出すのである。
【0030】
次に、車両走行中の変速時の作動を説明する。車両が所定ギヤ段で走行中、ドライバーが変速しようとしてシフトレバーを次の変速段に操作しようとしたとする。するとレバーの動作に先立ってシフトノブが揺動し、ノブスイッチ25がONされ、これを合図にクラッチ3が分断される。そして引き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T/Mが次の変速段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ24によって検出されるとクラッチ3が接続される。これによって変速が完了する。この変速中ロックアップクラッチ7はONのままで、エンジン動力がそのままクラッチ3に伝達される。
【0031】
次に、本発明に係りPTO機構を変速機に対して連結する条件について説明する。本発明では、以下の8つの条件が全て成立したとき、PTOバルブ43を駆動して外部負荷に駆動力を取り出す。即ち、
▲1▼車速センサ21が正常である。
【0032】
▲2▼車両が停車している。
【0033】
▲3▼エンジン回転数が所定の上限値より小さい。
【0034】
▲4▼エンジン回転数が所定の下限値より大きい。
【0035】
▲5▼変速機T/MのギアがPTO許可ギアである。
【0036】
▲6▼PTOスイッチ27がオンである。
【0037】
▲7▼PTO非作動中が所定時間経過した。
【0038】
▲8▼非常用スイッチ(図示せず)がオフである。
の各条件についての論理式▲1▼&▲2▼&▲3▼&▲4▼&▲5▼&▲6▼&▲7▼&▲8▼を用いる。&は論理積を表す。PTO駆動判定手段は、この論理式を実行する。この論理式が成立したとき、ECU16内のスイッチング素子41をオンにし、PTOリレー42をメークする。各条件の詳細は次のとおり。
【0039】
▲1▼車速センサ21が検出する回転数を他の回転センサ18、19、20が検出している回転数に対してクラッチ状態、ギア比などを考慮して対比するか、電圧レベルを監視するなどして車速センサ21が正常か異常かを判定する。車速センサ21が異常のときにはPTO駆動は禁止し、正常のときのみ許可する。
【0040】
▲2▼車両が停車しているかどうかは、車速センサ21が検出する車速が0km/hであることをもって判断する。車両が停車しているときのみ、PTO駆動を許可する。
【0041】
▲3▼エンジン回転数は、例えば、800rpm未満であれば、アイドルと判断してPTO駆動を許可する。これは、高回転のエンジンに急激に負荷が印加されないようにするためである。
【0042】
▲4▼エンジン回転数は、例えば、300rpmを超えていれば、エンジンが停止していないと判断してPTO駆動を許可する。これは、エンジンが停止かそれに近い低回転のときに負荷が印加されないようにするためである。
【0043】
▲5▼変速機T/Mのギアのうち、N、1、2、RはPTO許可ギアである。ギヤポジションセンサ24が検出するギア段がPTO許可ギアであれば、低速段発進またはバックをしようとしているか、もしくは発進の意思がないと判断してPTO駆動を許可する。
【0044】
▲6▼PTOスイッチ27のオンは、ドライバが外部負荷を駆動しようとする意図を察知するものである。
【0045】
▲7▼この条件は、過酷なオンオフ動作を回避するためのヒステリシス条件であり、前回のPTO作動が終了してから、例えば、1秒以上経過するまではPTOスイッチ27がオンでも駆動要求を受け付けないというものである。
【0046】
▲8▼非常用スイッチは、踏切内でのエンストなどの非常状態から脱出するために使用するものであるから、非常用スイッチがオフのときのみPTO駆動を許可する。
【0047】
以上のPTOスイッチ操作及び車両状態に基づき制御部16は変速クラッチの接制御及びPTO機構の連結を決定する。制御部16は、PTO機構を連結させた後、変速クラッチを接に制御する。
【0048】
次に、PTO機構を変速機から遮断する条件(解除条件)について説明する。解除の場合は、以下の7つの条件による論理式が成立したとき、PTOバルブ43を開放して外部負荷への駆動力を停止する。即ち、
▲1▼PTO作動中が所定時間経過した。
【0049】
▲2▼変速機T/MのギアがPTO不許可ギアである。
【0050】
▲3▼PTOスイッチ27がオンである。
【0051】
▲4▼変速機T/Mのギアがニュートラルである。
【0052】
▲5▼車速が所定の低速以上である。
【0053】
▲6▼非常用スイッチ(図示せず)がオンである。
【0054】
▲7▼エンジン回転数が所定の低回転数より小さい。
の各条件についての論理式▲1▼&{▲2▼|▲3▼|(▲4▼&▲5▼)|▲6▼|▲7▼}を用いる。&は論理積を表し、|は論理和を表す。PTO遮断判定手段は、この論理式を実行する。従って、▲1▼が成立している状態で▲2▼、▲3▼、▲6▼、▲7▼のいずれか、または、▲4▼及び▲5▼が成立すると、ECU16内のスイッチング素子41をオフにし、PTOリレー42をブレークする。各条件の詳細は次のとおり。
【0055】
▲1▼この条件は、過酷なオンオフ動作を回避するためのヒステリシス条件であり、PTO作動が開始してから、例えば、1秒以上経過するまではPTOスイッチ27がオンでも遮断要求を受け付けないというものである。
【0056】
▲2▼変速機T/Mのギアのうち、3、4、5、6はPTO不許可ギアである。ギヤポジションセンサ24が検出するギア段がPTO不許可ギアであれば、ドライバが高速段での発進又は高速段へのシフトアップを試みたと判断してPTO駆動を停止する。
【0057】
▲3▼PTOスイッチ27のオンは、ドライバが外部負荷を停止しようとする意図を察知するものである。
【0058】
▲4▼変速機T/Mのギアがニュートラルで、▲5▼車速が所定速、例えば、2km/h以上であると、PTO駆動走行中に変速を試みたと判断してPTOを停止するものである。
【0059】
▲6▼非常用スイッチがオンのときにはPTOを停止する。
【0060】
▲7▼エンジン回転数が所定回転数、例えば、200rpm以下では、エンストと判断しPTOを停止する。
【0061】
以上のPTOスイッチ操作及び車両状態に基づき制御部16は変速クラッチの断制御及びPTO機構の遮断を決定する。制御部16は、変速クラッチを断に制御した後、PTO機構を遮断する。
【0062】
次に、実際の車両における本発明の動作を説明する。まず、車両を停車させるとき、制御部16はロックアップクラッチ7を断に制御し、エンジンをアイドルにする。このとき、制御部16は変速クラッチ3を断に制御する。また、シフトレバー操作によって変速機T/Mがニュートラルになった場合も、制御部16は変速クラッチ3を断に制御する。
【0063】
このようにして車両が停車し、変速機T/Mがニュートラルになっているとき、ドライバがPTOスイッチ27をオンにすると、前記連結条件の論理が成立するので、制御部16は、まず、PTOバルブ43をオンにしてPTO機構30を変速機T/Mに連結する。そして、変速クラッチ3を接に制御する。流体継手2のクリープにより変速クラッチ3の入力軸3aが回転しているので、変速クラッチ3が接になるとインプットシャフト8も回転するが、変速機T/Mがニュートラルであるからアウトプットシャフト9は回転せず車両は発進しない。一方、PTO機構30が変速機T/Mのカウンタシャフト10に連結されているので、PTO出力軸33が回転し、外部負荷に駆動力が伝達される。即ち、PTOが駆動される。
【0064】
その後(他の条件は変えないまま)、外部負荷を使用する作業が終了してドライバがPTOスイッチ27をオンにすると、前記解除条件の論理▲1▼&▲3▼が成立するので、制御部16は、変速クラッチ3を断に制御し、PTO機構30を遮断する。これによりPTOは停止する。
【0065】
外部負荷を使用する作業の継続中に、ドライバが2速以下で発進しようとしてシフトレバーを操作した場合は、前記解除条件の論理が不成立であるから、PTO機構30は遮断されない。ただし、シフトレバー操作の開始から完了までは、変速クラッチ3が断に制御されるため、PTOは一時的に停止する。シフトレバー操作が完了すると、変速クラッチ3が接に制御されるので、PTOが再開され、同時に発進が開始される。このことは、例えば、ゴミ収集車において、あるゴミ集積場所でのゴミの取り込みを継続しながら別のゴミ集積場所への移動を開始することを可能にし、業務効率を高めることに貢献する。
【0066】
ドライバが3速以上で発進しようとしてシフトレバーを操作した場合は、前記解除条件の論理▲1▼&▲2▼が成立するため、PTO機構30は遮断される。
【0067】
1速、2速、又はバックで走行中に停車した場合、制御部16が変速クラッチ3を接続にしたままで車両が停車する。ドライバがシフトレバー操作をしなければ、変速機T/Mは同じギア段を維持し、変速クラッチ3は接を維持する。ここで、ドライバがPTOスイッチ27をオンにすると、前記連結条件の論理が成立するので、制御部16は、前記同様に、PTOバルブ43をオンにしてPTO機構30を変速機T/Mに連結する。流体継手2のクリープにより変速機T/Mの出力側にも力は発生するが、ドライバがブレーキペダルを踏んでいる限り車両は発進しないし、外部負荷は駆動されない。ドライバがブレーキペダルを外し、アクセルペダルを踏むことで、車両発進とPTO駆動とが同時に可能になる。これは、あるゴミ集積場所へ低速で到着した(或いは到着時にシフトダウンした)とき、ブレーキで一時的に停車し、そのままゴミを取り込みながら発進する場合に有効である。
【0068】
PTOを駆動しながらの走行中にドライバが変速を試みると、前記解除条件の論理▲1▼&▲4▼&▲5▼が成立するので、PTO機構30は遮断される。変速クラッチ3はシフトレバー操作の完了後、接に制御されるので、変速は達成される。これにより、前例のゴミ収集車において、移動を開始した後、ゴミの取り込みが終了したとき、PTOスイッチ27を操作することなくシフトアップの操作によって自動的にPTOを停止させることができ、運転操作が快適になる。
【0069】
図2には省略されているが、変速機T/Mの各ドグD1〜D5にはスリーブとの間にシンクロ機構が設けられている。ドライバがシフトレバーを操作すると、変速機T/Mは一旦、ニュートラルの状態を経て、いずれかのギア段のシンクロ機構を作用させて噛み合いを達成する。制御部16は、変速機T/Mがニュートラルに変わると直ちに変速クラッチ3を断にし、PTO機構30を遮断する。従って、シンクロ機構が作用し始める頃には、変速機T/MからPTOの負荷が除去されている。これにより、変速の際にはシンクロ機構に過大な負荷がかかることがなくなる。
【0070】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0071】
(1)PTOを運転しながらの走行中に変速を試みると、ギアがニュートラルに抜けたところでPTOが停止することになるので、シンクロ機構が過大な負荷から保護される。
【0072】
(2)変速をすることによってPTOを自動停止できるので、運転操作が快適になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す制御部に関係した要部の回路図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すPTO機構付きクラッチ自動制御式車両における動力伝達装置の構造図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すPTO機構付きクラッチ自動制御式車両における電子制御装置の入出力構成図である。
【符号の説明】
2 流体継手
3 湿式摩擦クラッチ(変速クラッチ)
16 ECU(制御部)
27 PTOスイッチ
30 PTO機構
42 PTOリレー
E エンジン
T/M 変速機
Claims (1)
- エンジンに変速クラッチを介してシンクロ機構付きの変速機が連結され、その変速機の出力軸に車輪の駆動系が連結されると共に、外部負荷に駆動力を取り出すためのPTO機構が前記変速機に対して連結/遮断自在に設けられ、前記変速クラッチをシフトレバー操作に応じて自動制御するPTO機構付きクラッチ自動制御式車両において、前記変速クラッチ及びPTO機構の連結/遮断を制御する制御部に、前記PTO機構を前記変速機に連結して所定速度以上の速度で走行中にシフトレバー操作が行われての変速操作中に前記変速機がニュートラルになったときは、前記シフトレバー操作の終了時における前記変速機のギア段に拘わらず前記変速機のシンクロ機構が作用し始めるまでに前記PTO機構の遮断を終了するPTO遮断判定手段を設けたことを特徴とするPTO機構付きクラッチ自動制御式車両。
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