JP4945866B2 - 押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物、及びそれを用いた積層体、並びに積層体の製造方法 - Google Patents

押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物、及びそれを用いた積層体、並びに積層体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はエチレン系樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、押出ラミネート加工性に優れ、かつポリエステル、ポリアミド、セロファンなどの基材と良好な接着性を有する、押出ラミネート用樹脂組成物及びそれにより得られた積層体並びに押出ラミネート方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
押出ラミネート法は、特に包装材料の多機能化が可能であり、食品や医療薬品などの包装を中心に広く採用されている包材の成形方法である。押出ラミネート法に用いられる材料としてはエチレン系樹脂、特に高圧法低密度ポリエチレンが、成形性に優れているなどの理由から、広く用いられている。
【0003】
しかしながら、LDPE等のエチレン系樹脂は、非極性構造のため、ポリエステル、ポリアミド、金属、セロファン、紙等の材料と接着しにくいという欠点がある。そのため、これまでは基材にアンカーコート剤と呼ばれる接着促進剤を塗布後、その塗布面にエチレン系樹脂を溶融押出し、積層体を得る方法が一般的であった。アンカーコート剤としては、有機チタネート系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系などの接着剤が用いられている。しかし、この方法はアンカーコート剤のコストが高いこと、希釈に用いられる有機溶剤のため作業環境が悪化すること、アンカーコート剤塗布及び乾燥工程のためラミネート加工速度が制限されること、得られた積層体に有機溶剤が残留すること、等の問題がある。
【0004】
そのため、アンカーコート剤を使用せずに上記基材との接着性を改善する方法が提案されている。
【0005】
特開平4−368845号公報には、(a)エチレンと、(b)不飽和多塩基酸と、(c)アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステル、ビニルエステルより選ばれた不飽和単量体、を共重合して得られたエチレン系共重合体を溶融混練し、150〜330℃の温度でフィルム状に押出し、ついで該フィルムをオゾン処理した後、このオゾン面を接着面として基材に圧着ラミネートすることが提案されている。しかしながらこの方法は、共重合体の製造コストが高いこと、押出機内に滞留した樹脂がスクリュー等を腐食すること、接着性を向上させるため共重合させる不飽和多塩基酸の量を増加させると共重合体の融点が低下し、得られた積層体の耐熱性が低下する、といった問題がある。
【0006】
特開平7−125161号公報には、基材にエチレン系重合体を押出ラミネートするに際し、エチレン系重合体の溶融膜をオゾン処理し、このオゾン処理面をコロナ処理した直後の基材に圧着する方法が提案されている。エチレン系重合体としては、各種密度及び製法のポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びそのアイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が例示されている。しかしながら、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体では得られた積層体の接着強度が十分でなく、またエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びそのアイオノマーでは共重合体の製造コストが高いこと、押出機内に滞留した樹脂がスクリュー等を腐食すること、接着性を向上させるため共重合させる不飽和多塩基酸の量を増加させると共重合体の融点が低下し、得られた積層体の耐熱性が低下する、といった問題がある。
【0007】
特開平8−188679号公報には、(A)メルトフローレートが0.1〜30g/10分であるポリオレフィン、および(B)分子内にエポキシ基を2個以上有し、分子量が3000以下であるエポキシ化合物からなる接着性樹脂組成物が提案されている。しかしながら該接着性樹脂組成物では、エポキシ化合物が接着界面にブリードしすぎると極度に接着性が悪化するため、エポキシ化合物の添加量制御が難しく、また該接着性樹脂組成物の厚みによりエポキシ化合物の添加量を頻繁に変更しなくてはならず、押出ラミネート生産性が劣る、といった問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、押出ラミネート生産性を損なわず、ポリエステル、ポリアミド等基材との接着性が大幅に改良された押出ラミネート用樹脂組成物及びそれを用いた積層体、及び積層体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン系重合体に対し、特定の液状エポキシ変性ジエン系重合体を適量配合することにより、基材との接着性を大幅に改良できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、JIS K6922−1(1999年)で測定したメルトマスフローレイトが1〜50g/10min、JIS K6922−1(1999年)で測定した密度が880kg/m3〜960kg/m3、235℃で測定したスウェル比が1.0〜2.5であるエチレン系重合体98.5〜99.99重量%、及び25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体0.01〜1.5重量%とからなる押出ラミネート用樹脂組成物に関するものである。
【0011】
また、本発明は、上記押出ラミネート用樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層以上有することを特徴とする積層体、更に、上記押出ラミネート用樹脂組成物からなる層と接する基材が、ポリエステル、ポリアミド、アルミニウム、セロファン、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物及びポリビニルアルコールからなる群より選ばれる1種以上のフィルム又はシート、金属箔並びに紙類から選ばれる1種以上であることを特徴とする積層体に関するものである。
【0012】
また、本発明は、上記積層体を、押出ラミネート法により製造する積層体の製造方法に関するものであり、更に、上記押出ラミネート方法において、上記押出ラミネート用樹脂組成物を290℃以上の温度で押出すことを特徴とする積層体の製造方法に関するものである。更に上記押出ラミネート方法において、上記押出ラミネート用樹脂組成物を押出した直後にオゾンガスを吹き付けることを特徴とする積層体の製造方法に関するものである。
【0013】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0014】
(1)エチレン系重合体
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエチレン系重合体は、以下(A)〜(C)を満足するものである。
【0015】
(A)メルトマスフローレイト(以下、MFRと記す。)
本発明にて用いられるエチレン系重合体は、JIS K6922−1(1999年)によるMFRが1〜50g/10minの物性を示すものである。MFRが1g/10min未満である場合、押出ラミネート加工に供した際に押出負荷が高いことや製膜時の膜割れが発生するため好ましくなく、また50g/10minを超える場合、押出ラミネート加工に供した際にネックインが大きく、押出ラミネート加工性に劣るものとなるため好ましくない。
【0016】
(B)密度
本発明にて用いられるエチレン系重合体は、JIS K6922−1(1999年)で測定した密度が880kg/m3〜960kg/m3を示すものである。密度が880kg/m3未満である場合、積層体の耐熱性が劣り、高温度雰囲気下での接着性が低下するため好ましくなく、960kg/m3を超える場合、積層体の剛性が高すぎ、好ましくない。
【0017】
(C)スウェル比
本発明にて用いられるエチレン系重合体は、特に押出ラミネート加工性に優れることからJIS K6922−1(1999年)で使用されるメルトインデクサーを用い、測定条件を温度235℃、押出量3g/分により押出されたストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D0)で除し得られるスウェル比が1.0〜2.5を示すものである。スウェル比が1.0未満の場合ではネックインが大きいため好ましくなく、2.5を越える場合ではドローダウン性が悪化し好ましくない。更に、エチレン系重合体の押出温度が300℃を超える場合、スウェル比が1.7以上であることが好ましい。
【0018】
本発明にて用いられるエチレン系重合体は、エチレン単独重合体、もしくはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィン共重合体であり、高圧法低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記す。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと記す)、中密度ポリエチレン(以下、MDPEと記す)、高密度ポリエチレン(以下、HDPEと記す。)等が例示される。
【0019】
ここで、エチレン系重合体の重合方法は、JIS K6922−1(1999年)で測定したMFRが1〜50g/10min、JIS K6922−1(1999年)で測定した密度が880kg/m3〜960kg/m3、JIS K6922−1(1999年)で使用されるメルトインデクサーを用い、測定条件を温度235℃、押出量3g/分により押出されたストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D0)で除し得られるスウェル比が1.0〜2.5であるエチレン系重合体であればその重合方法は特に限定するものではなく、LDPEの場合、例えば高圧法によるラジカル重合法を挙げることができ、LLDPEやMDPE,HDPEの場合、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒を用いた気相法、溶液法、高圧法等の重合法を挙げることができる。
【0020】
(2)エポキシ変性ジエン系重合体
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、25℃で液状であることを特徴とする。基材との接着性は、上記エポキシ変性ジエン系重合体が基材とエチレン系重合体の界面に滲出することで発現すると考えられるが、25℃で固体の場合、エポキシ変成ジエン系重合体が上記界面に滲出しにくくなるため好ましくない。
【0021】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体を形成するジエン系重合体は、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,4−ヘプタジエン等の単独重合体あるいは2種以上の共重合体を例示することができる。また、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート等がジエン系単量体と共重合されていてもよい。ジエン系重合体の製造方法に関しては、25℃で液状であるジエン系重合体が得られれば特に限定するものではなく、「オリゴマーハンドブック(化学工業日報社刊),S52.3.31発行」85頁、111頁等に記載されている方法を例示することができる。
【0022】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体のエポキシ変性方法としては、特に限定するものではないが、特公昭47−36271号公報や特公昭51−31243号公報に記載されている方法が例示できる。この内、分子当たりのエポキシ基量を多くするため、過酸による処理方法が好ましい。
【0023】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体の分子末端基は、特に限定されるものではなく、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等により変性されていてもよい。
【0024】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、部分的あるいは完全に水素添加されていてもよい。
【0025】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(以下、Mwと記す。)が5000以上を示すものであるのが、エポキシ変性ジエン系重合体の添加量制御や接着強度の安定性の点で好ましい。
【0026】
機種:東ソー HLC−8120GPC、SC8020
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
温度:40℃
測定濃度:1mg/ml
注入量:100μl
カラム:東ソー製 TSKgel GMH HR−H 2本
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を構成するエポキシ変性ジエン系重合体は、「可塑剤−その理論と応用(幸書房刊),S48.3.1発行」等に記載されている臭化水素による滴定により求められるオキシラン酸素が5%以上であることが好ましい。
【0027】
上記構造及び性能を有するエポキシ変性ジエン系重合体として、前述のジエン系重合体をエポキシ変性したものであれば特に限定するものではなく、中でも液状エポキシ化ポリブタジエンが最も好ましい。液状エポキシ化ポリブタジエンを形成する液状ポリブタジエンは、1,2−ポリブタジエンもしくは1,4−ポリブタジエンのいずれでもよい。ダイセル化学工業製「エポリードRB3600」、旭電化工業製「BF−1000」を例示することができ、「エポリードRB3600」が最も好ましい。
【0028】
(3)エチレン系重合体、エポキシ変性ジエン系重合体の配合割合
本発明にて用いられるエチレン系重合体、エポキシ変性ジエン系重合体の配合割合は、エチレン系重合体が98.5〜99.99重量%、エポキシ変成ジエン系重合体0.01〜1.5重量%である。
【0029】
エポキシ変性ジエン系重合体の配合割合が0.01重量%未満の場合、押出ラミネート加工に供し得られた積層体の接着性が悪く好ましくなく、1.5重量%を超える場合、押出ラミネート加工に供し得られた積層体の表面がべたつき、またコストも悪化するため好ましくない。
【0030】
(4)押出ラミネート用樹脂組成物の製造方法
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、エチレン系重合体及びエポキシ変性ジエン系重合体よりなるものである。
【0031】
そして、本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、エチレン系重合体とエポキシ変性ジエン系重合体とを押出機等で溶融混合したものでも良いし、エチレン系重合体ペレットと、エポキシ変性ジエン系重合体を予めポリオレフィン樹脂に練り込んだマスターバッチとをドライブレンドしたものであっても良い。
【0032】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、エポキシ基の硬化反応を促進する添加剤を添加してもよい。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン、脂肪族ポリアミン、ジアミノフェニルスルフォンm−キシレンジアミン等の芳香族アミン、ピリジン、ベンジルメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン、メルカプタン系硬化剤、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタノール酸、テトラヒドロ無水フタノール酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸等の酸無水物、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸等のジカルボン酸等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上の混合物として使用してもよい。
【0033】
また、本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常ポリオレフインに使用される添加剤を添加したものでもかまわないが、エチレン系重合体とエポキシ変成ジエン系重合体を押出機内で反応させうる添加剤は、ゲル化を促進したり接着性を向上させる効果が低くなるため好ましくない。
(5)押出ラミネート加工及び積層体
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、押出ラミネート成形法、サンドウィッチラミネート法、共押出ラミネート法等の各種成形法により各種基材にラミネートし、本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を少なくとも一層有する積層体とすることができる。基材に本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を、アンカーコート剤を介さず、直接押出ラミネートしても非常に良好な接着性が得られる。
【0034】
押出ラミネート加工に供する際、良好な接着性を得るため、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物よりなる溶融フィルムの少なくとも基材と接する面は、空気もしくはオゾンガスにより酸化されることが好ましい。空気による酸化反応を進行させる場合、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は290℃以上であることが好ましく、オゾンガスによる酸化反応を進行させる場合は、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は200℃以上であることが好ましい。またオゾンガスの処理量としては、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物よりなるフィルム1m2当たり0.5mg以上であることが好ましい
また基材との接着性を高めるため、基材の接着面に対してコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
【0035】
また、上記基材としては合成高分子重合体フィルム及びシート、金属箔、紙類、セロファン等が挙げられる。この中でも合成高分子重合体フィルム及びシートが特に好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子重合体からなるフィルム及びシート、等が挙げられる。更に、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミ蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着されたものでもよい。また、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。
【0036】
金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが例示でき、また紙類としてはクラフト紙、上質紙、グラシン紙等が挙げられる。
【0037】
本発明の押出ラミネート積層体は、スナック菓子、インスタントラーメン等の乾燥食品、スープ、味噌、漬物、飲料等の水物飲食品、薬、輸液バッグ等の医薬品包装、シャンプー、化粧品など広範囲にわたる包装用ラミネートフィルムとして用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
以下に、物性、加工性の測定方法と評価方法を示す。
【0040】
(イ)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1999年)に準拠。
【0041】
(ロ)密度
JIS K6922−1(1999年)に準拠。
【0042】
(ハ)スウェル比
JIS K6922−1(1999年)で使用されるメルトインデクサーを用い、温度235℃、押出量3g/分の条件にて装置に充填された樹脂をオリフィスより押出し、オリフィス直下に設置したメタノールを入れたメスシリンダーでストランド状の押出物を採取した。ストランドの径(D)をメルトインデクサーのオリフィス径(D0)で除し、スウェル比を求めた。
【0043】
(ニ)重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(以下、Mwと記す。)を求めた。
【0044】
機種:東ソー HLC−8120GPC、SC8020
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
温度:40℃
測定濃度:1mg/ml
注入量:100μl
カラム:東ソー製 TSKgel GMH HR−H 2本
(ホ)基材との接着性
基材とエチレン系樹脂層間を剥離し、引張試験機(島津製作所(株)製、商品名オートグラフDCS500)を用い、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分、180度剥離での剥離強度を測定し、該剥離強度を接着強度とした。
【0045】
(ヘ)ネックイン
25mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターを用い、310℃の温度及び引き取り速度25m/minで幅350mmのTダイよりコーティング厚みが20μmになるよう押出しサンプルを得た。Tダイ幅から得られたコーティングフィルムの幅を差し引くことにより、ネックインを求めた。
【0046】
実施例1
エチレン系重合体として、MFRが8g/10分、密度が918kg/m3、スウェル比が2.05であるLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)99.9重量%、液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600、Mw=37×103、以下、Aと記す場合がある)を0.1重量%になるよう配合し、単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0047】
得られたペレットを25mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、305℃の温度でTダイより押出し、基材である厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面に、また反対面からは厚みが35μmのPET/LDPE構成2層フィルムのLDPE面に、押出ラミネート用樹脂組成物が20μmの厚さになるようラミネートし積層体を得た。得られたフィルムの構成は以下の通りである。
[PET]//[押出ラミネート用樹脂組成物]/[LDPE/PET2層フィルム]
得られた積層体を20時間40℃に保温されたオーブン中に保管した後、基材であるPETと押出ラミネート用樹脂組成物間の接着性を測定し、その測定結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0004945866
実施例2
エチレン系重合体として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.9重量%、液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.1重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)99.8重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.2重量%とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0049】
実施例3
エチレン系重合体として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.9重量%、液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.1重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)99.5重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量%とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0050】
実施例4
基材として、厚み25μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100)の代わりに、厚み15μmのニ軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡ハーデンフィルムN2102、以下PAと記す。)とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0051】
実施例5
基材として、厚み25μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100)の代わりに、厚み12μmのニ軸延伸エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム((株)クラレ製 商品名エバールフィルムEF−XL、以下EVOHと記す。)とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0052】
実施例6
エチレン系樹脂として、LDPEをLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)の代わりに、MFRが3g/10分、密度924kg/m3、スウェル比が2.00であるLDPE(東ソー(株)製 ペトロセン205 )とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0053】
実施例7
エチレン系樹脂として、LDPEをLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)の代わりに、MFRが13g/10分、密度919kg/m3、スウェル比が1.80であるLDPE(東ソー(株)製 ペトロセン212 )とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0054】
実施例8
液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600、Mw=37×103)の代わりに、液状エポキシ化ポリブタジエン(旭電化工業(株)製 商品名BF−1000、Mw=3.6×103、以下、Bと記す場合がある。)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0055】
実施例9
エチレン系樹脂として、LDPEをLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)の代わりに、MFRが10g/10分、密度913kg/m3、スウェル比が1.50であるLLDPE(東ソー(株)製 ニポロン−Z TZ420)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0056】
実施例10
積層体の製造方法として、実施例1で得られたペレットを25mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、305℃の温度でTダイより押出し、基材である厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面に、また反対面からは厚みが35μmのPET/LDPE構成2層フィルムのLDPE面に、押出ラミネート用樹脂組成物が20μmの厚さになるようラミネートした代わりに、270℃の温度でTダイより押出し、その押出された溶融フィルムに20mg/m2となるような条件でオゾンガスを吹き付け、基材である厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面に、また反対面からは厚みが35μmのPET/LDPE構成2層フィルムのLDPE面に、押出ラミネート用樹脂組成物が20μmの厚さになるようラミネートし、積層体を得た。評価結果は表1に示した。
【0057】
比較例1
エチレン系重合体として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.9重量%、液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.1重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)100重量%とし、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示したが、基材との接着性が劣っていた。
【0058】
【表2】
Figure 0004945866
比較例2
エチレン系重合体として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.9重量%、液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.1重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)98.0重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を2.0重量%とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示したが、基材との接着性が劣っていた。
【0059】
比較例3
エチレン系樹脂として、LDPEをLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)の代わりに、MFRが0.3g/10分、密度924kg/m3、スウェル比が2.10であるLDPE(東ソー(株)製 ペトロセン173K )とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得るべく押出ラミネート成形を試みたが、表2に示した通り、押出不可およびドローダウン性が悪く、積層体を得ることができなかった。
【0060】
比較例4
エチレン系樹脂として、LDPEをLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)の代わりに、MFRが58g/10分、密度916kg/m3、スウェル比が1.0であるLDPE(東ソー(株)製 ペトロセン248 )とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得るべく押出ラミネート成形を試みたが、表2に示した通り、ネックインが大きく溶融樹脂膜が不安定であり、積層体を得ることができなかった。
【0061】
比較例5
液状エポキシ変性ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)の代わりに、エポキシ基で変性されていない液状ポリブタジエン(日本曹達(株)製 商品名B−3000、Mw=3.3×103、以下、Cと記す場合がある。)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示したが、基材との接着性が劣っていた。
【0062】
比較例6
液状エポキシ変成ジエン系重合体として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)の代わりに、エポキシ化大豆油(旭電化工業(株)製 商品名O−130P、Mw=1.3×103、以下、Dと記す場合がある。)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示したが、基材との接着性が劣っていた。
【0063】
比較例7
基材として、厚み25μmのPETフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100)の代わりに、厚み15μmのニ軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡ハーデンフィルムN2102、以下PAと記す。)とした以外は比較例6と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示したが、基材との接着性が劣っていた。
【0064】
比較例8
積層体の製造方法として、実施例1で得られたペレットを25mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、305℃の温度でTダイより押出し、基材である厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面に、また反対面からは厚みが35μmのPET/LDPE構成2層フィルムのLDPE面に、押出ラミネート用樹脂組成物が20μmの厚さになるようラミネートした代わりに、270℃の温度でTダイより押出し、その押出された溶融フィルムにオゾンガスを吹き付けず、基材である厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面に、また反対面からは厚みが35μmのPET/LDPE構成2層フィルムのLDPE面に、押出ラミネート用樹脂組成物が20μmの厚さになるようラミネートし、積層体を得た。評価結果は表2に示したが、基材との接着性が劣っていた。
【0065】
【発明の効果】
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、基材との接着性かつ押出ラミネート成形性に優れるといった効果が認められ、粉末及び顆粒状の医薬品、かつお削り節、コーヒー粉などの粉末包装用、液体スープ、漬物、飲料などの水物包装用ラミネートフィルム材料として極めて有用である。

Claims (6)

  1. JIS K6922−1(1999年)で測定したメルトマスフローレイトが1〜50g/10min、JIS K6922−1(1999年)で測定した密度が880kg/m〜960kg/m、235℃で測定したスウェル比が1.0〜2.5であるエチレン系重合体99.5〜99.9重量%、及び25℃で液状であるエポキシ変性ジエン系重合体0.1〜0.5重量%とからなる押出ラミネート用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の押出ラミネート用樹脂組成物からなる層を、少なくとも1層以上有することを特徴とする積層体。
  3. 請求項1に記載の押出ラミネート用樹脂組成物からなる層と接する基材が、ポリエステル、ポリアミド、アルミニウム、セロファン、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物及びポリビニルアルコールからなる群より選ばれる1種以上のフィルム又はシート、金属箔並びに紙類から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の積層体を、押出ラミネート法により製造する積層体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の押出ラミネート方法において、請求項1に記載の押出ラミネート用樹脂組成物を290℃以上の温度で押出すことを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 請求項4に記載の押出ラミネート方法において、請求項1に記載の押出ラミネート用樹脂組成物を押出した直後にオゾンガスを吹き付けることを特徴とする積層体の製造方法。
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