JP3952757B2 - 易剥離性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は易剥離性フィルムに関するものである。更に詳しくは、容器内容物を保護するのに十分なシール強度を保ち、且つ易開封性を備えた易剥離性フィルム、並びにその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
包装容器においては、内容物の密封が容易であり、且つ輸送時に破袋することなく、安全に取り扱いが可能なシール強度を有すると共に、開封時にはシール部を容易に剥離して簡単に開けられるような易開封性を有したシーラント材が要求されている。
【0003】
そのような包装容器の用途例としては、スナック菓子、米菓、かつお削り節等の乾燥食品や冷凍食品等の包装袋、輸液、粉末薬、顆粒薬等の医薬品用包装袋、ヨーグルト、アイスクリーム、納豆等用のカップの蓋材、ポーションゼリーやカップ味噌、即席麺等用のカップ蓋材などが挙げられる。
【0004】
このような包装袋及びカップ蓋材の用途に用いられる易開封性シーラント材としては、開封性を付与するシーラント材の剥離機構上の概念により次の3つのタイプが一般的に挙げられる。
【0005】
1)主にエチレン・酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと記す。)をベースにスチレン・ブタジエンブロック共重合体をブレンドしたものや、EVAにテルペン系樹脂のような粘着付与材をブレンドしたホットメルトタイプが用いられ、被着体とシーラント材との界面で剥離するタイプ。
【0006】
しかしながら、この界面剥離タイプと称されるシーラント材は、被着体がPP、PS、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂容器の場合は易開封性を発現するが、ポリエチレン系樹脂容器の場合は易開封性が得られない。又被着体が該シーラント材同士のシールとなる袋の場合も易開封性が得られない。
【0007】
2)シーラント材が2層以上の多層フィルムから形成されて、開封時は被着体とシーラント材とのシール界面は剥離しないで、シーラント材の層間が剥離するタイプ。
【0008】
しかしながら、この層間剥離タイプと称されるシーラント材は、フィルムのシール面となる最内層が被着体に残ることから、剥離外観を良好に保つためには最内層厚みをかなり薄くしなければならない。そのため、共押出フィルム成形機を用いなければならないが、共押出フィルム成形機は高価であり、コストがかかる。
【0009】
3)ポリエチレン、EVA等のポリエチレン系樹脂にポリプロピレンやポリブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等のポリα−オレフィン、ポリスチレン、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムなどをブレンドしたものが用いられ、シーラント材自身が凝集破壊し剥離するタイプ。
【0010】
しかしながら、この凝集破壊タイプと称されるシーラント材は、該シーラント材同士のシールとなる場合に易開封性機能を発現できるが、易開封性を発現させる方法として相容しない樹脂をブレンドするため、樹脂を溶融混合する際、せん断速度やせん断応力により易開封性が変化する。即ち、フィルム成形装置やフィルム成形温度、フィルム成形速度、フィルム厚み等の影響を受けるため、安定した製品を得るのは困難であるといった問題がある。これら問題を低減させるため、相容化剤としてブロック共重合体やグラフト共重合体を添加する方法があるが、該共重合体は非常に高価格であり、シーラント材のコストを上昇させる。また剥離時にシーラント材が筋状に破壊するいわゆる糸引き現象が発生し、剥離外観を著しく損なうといった問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、シーラント材同士のシール、又は容器、シート、多層容器、多層シート等の構成物に対し、内容物を保護するのに十分なヒートシール強度を保ちながら易剥離性を有するシーラント材として使用でき、且つ安定したフィルム成形が可能であり、容器開封時の糸引き現象のない、易剥離性フィルム及びその用途を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂、及び特定のエポキシ基を有する化合物からなるフィルムが、シーラント材同士のシール、又は、容器、シート、多層容器、多層シート等の構成物に対して易剥離性シーラント材として優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂95〜99.99重量%、臭化水素の滴定により求められるオキシラン酸素量が4〜20%であり、50℃で液体であるエポキシ基を有する化合物0.01〜5重量%からなり、ヒートシールされる面が酸化処理されていることを特徴とする易剥離性フィルムに関するものである。
【0014】
さらに、本発明においては、上記酸化処理がコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、プラズマ処理から選ばれるいずれかであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、上記易剥離性フィルムをヒートシール層として積層した多層フィルムであることを特徴とする易剥離性フィルムに関するものである。
【0016】
さらに、本発明は、上記易剥離性フィルムよりなることを特徴とする易開封容器に関するものであり、特に該容器が袋であることを特徴とするものである。
【0017】
さらに、本発明は、上記易剥離性フィルムが易開封容器用蓋材であることを特徴とするものである。
【0018】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の易剥離性フィルムを構成するポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体のことを示す。例えば、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体;ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらポリオレフィン樹脂は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0020】
好ましくは、本発明にて用いられるポリオレフィン樹脂は、JIS K6922−1によるMFRが0.1〜100g/10minの範囲にあることが、易剥離性フィルムを成形する際の成形性に優れることから良い。
【0021】
本発明にて用いられるポリオレフィン樹脂の重合方法は、特に限定するものではなく、高圧法低密度ポリエチレンやエチレン・酢酸ビニル共重合体等の場合、例えば高圧法によるラジカル重合法を挙げることができ、エチレン・1−ブテン共重合体やエチレン・1−へキセン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、ポリ1−ブテン等の場合、チーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒を用いた気相法、溶液法、高圧法等の重合法を挙げることができる。
【0022】
本発明の易剥離性フィルムを構成するエポキシ基を有する化合物は、オキシラン酸素量が4〜20%であり(オキシラン酸素量は「可塑剤−その理論と応用(幸書房刊)」等に記載されている臭化水素による滴定で求められる)、50℃で液状である化合物を特徴とする。
【0023】
該化合物のオキシラン酸素量が4〜20%であることにより、フィルム表面に滲出した該化合物のエポキシ架橋密度が適性となり易剥離性を発現する。また50℃で液状である事により、該化合物がフィルム表面に滲出しやすくなり、かつフィルム表面でのエポキシ架橋反応性が容易となる。
【0024】
本発明の易剥離性フィルムを構成するエポキシ基を有する化合物は特に限定するものではなく、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化植物油;エポキシ化ポリブタジエン(エポキシ化ポリブタジエンを形成するポリブタジエンは、1,2−ポリブタジエンもしくは1,4−ポリブタジエンのいずれでもよい)、エポキシ化ポリイソプレンなどが挙げられるが、好ましくはエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、特に好ましくはエポキシ化ポリブタジエンが良い。
【0025】
本発明の易剥離性フィルムを構成するエポキシ基を有する化合物のエポキシ変性方法としては、特に限定するものではないが、特公昭47−36271号公報や特公昭51−31243号公報に記載されている方法が例示できる。この内、分子当たりのエポキシ基量を多くするため、過酸による処理方法が好ましい。
【0026】
エポキシ化大豆油として旭電化工業製「アデカサイザーO−130P」、日本油脂製「ニューサイザー510R」、花王製「カポックスS−6」等が例示され、エポキシ化アマニ油として旭電化工業製「アデカサイザーO−180A」、日本油脂製「ニューサイザー512」が例示され、エポキシ化ポリブタジエンとしてダイセル化学工業製「エポリードRB3600」、旭電化工業製「BF−1000」を例示することができる。
【0027】
本発明にて用いられる該ポリオレフィン樹脂、該エポキシ基を有する化合物の配合割合は、ポリオレフイン樹脂が95〜99.99重量%、エポキシ基を有する化合物0.01〜5重量%である。
【0028】
エポキシ基を有する化合物の配合割合が0.01重量%未満の場合、易開封性が悪く、また5重量%を超える場合、押出ラミネート加工に供し得られた積層体の表面がべたつき、またコストも高くなるため好ましくない。
【0029】
本発明の易剥離性フィルムは、ヒートシールされる面が酸化処理されていることを特徴とするものである。該フィルム表面を酸化処理することにより、易剥離性を発現する。
【0030】
この機構は、フィルム成形後、該フィルム表面に滲出したエポキシ基を有する該化合物が該フィルム表面の酸化物と反応しポリオレフィン樹脂に固定化されるとともに、酸化物が触媒となりポリオレフィン樹脂と未反応のエポキシ基同士が該フィルム表面で反応し架橋体構造をとるため、ヒートシールによっても不溶となる部分を形成し、ヒートシール強度を適正化することによる。
【0031】
酸化処理方法としては、クロム酸処理、硫酸処理、空気酸化、オゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等、特に限定するものではないが、好ましくはオゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理がポリオレフイン樹脂表面に酸化物を効果的に形成させる上で良い。
【0032】
本発明の易剥離性フィルムは、エポキシ基の硬化反応を促進する添加剤を含んでいてもよい。例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;脂肪族ポリアミン;ジアミノフェニルスルフォン,m−キシレンジアミン等の芳香族アミン;ピリジン、ベンジルメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン;メルカプタン系硬化剤;無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタノール酸、テトラヒドロ無水フタノール酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸等の酸無水物;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等のジカルボン酸等が挙げられる。これらは一種もしくは二種以上の混合物として使用してもよい。
【0033】
また、本発明の易剥離性フィルムは、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常ポリオレフインに使用される添加剤を添加したものでもかまわない。
本発明の易剥離性フィルムは、インフレーション成形機、Tダイキャスト成形機、カレンダー成形機、プレス成形機等を用いて得ることが可能である。またこれら成形法により得られた易剥離性フィルムを、サンドウィッチラミネート方、ドライラミネート方、サーマルラミネート方等により多層フィルムとすることも可能であり、押出ラミネート方や共押出ラミネート方等により各種基材に直接易剥離性フィルムを溶融ラミネートし多層フィルムを得ることも可能である。
【0034】
また、上記基材としては合成高分子重合体フィルム及びシート、金属箔、紙類、セロファン等が挙げられる。この中でも合成高分子重合体フィルム及びシートが特に好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子重合体からなるフィルム及びシート、等が挙げられる。更に、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミ蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着されたものでもよい。また、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。
【0035】
金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが例示でき、また紙としてはクラフト紙、上質紙、グラシン紙、セロファン等が挙げられる。
【0036】
また、上記製方により得られた易剥離性フィルムは、エポキシ基を有する該化合物のフィルム表面への滲出及び架橋反応を促進し、安定した易剥離性を発現させるため、30℃以上の温度で10時間以上熟成させることが好ましい。
【0037】
本発明の易剥離性フィルムの厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はないが、好ましくは柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜1mmの厚みであることが良い。
【0038】
本発明の易剥離性フィルムは、ヒートシールにより密封することにより容易に容器として用いることが可能であり、そのような容器としては、例えばスナック菓子、米菓、かつお削り節等の乾燥食品や冷凍食品の包装材となる袋、輸液や粉末薬、顆粒薬等の医薬品用包装材となる袋、ポリエチレンのラミネート容器であるヨーグルトやアイスクリーム、納豆等用の紙カップの蓋材、ポーションゼリーやカップ味噌、即席面等用のPP容器、PS容器、PVC容器等の蓋材として用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
以下に、物性、加工性の測定方法と評価方法を示す。
【0041】
(イ)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1に準拠。
【0042】
(ロ)密度
JIS K6922−1に準拠。
【0043】
(ハ)易開封性
易剥離性フィルムの各種用途を想定し、実施例により得られた易剥離性フィルムを(1)易剥離性フィルム同士、(2)易剥離性フィルムと高圧法低密度ポリエチレンシート、及び(3)易剥離性フィルムとポリプロピレンシート、とを重ね合わせ、圧力0.2MPa、時間1秒、シール温度160℃の条件で、ヒートシールバーにより押さえてヒートシールを行った。そして、該ヒートシール部分を、引張試験機(島津製作所(株)製、商品名オートグラフDCS500)を用い、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分、180度剥離での剥離強度を測定し、該剥離強度をヒートシール強度とし、易剥離性の目安とした。
【0044】
(ニ)開封外観
ヒートシール後の開封時における開封面の程度を評価し、糸曳きの無いものを○、糸曳きのあるものを×で表示した。
【0045】
実施例1
ポリオレフイン樹脂として、MFRが8g/10分、密度が918kg/m3である高圧法低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213、以下、LDPEと記す。)99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600、以下、Aと記す場合がある)を0.5重量%になるよう配合し、単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0046】
得られたペレットを90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、305℃の温度でTダイより押出し、基材である厚み12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)とLDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213、厚み25μm)との2層フィルムのLDPE面に、易剥離性フィルムが30μmの厚さになるようラミネートした後、易剥離性フィルム表面を50W・分/m2となるようコロナ放電処理を施し、多層易剥離性フィルムを得た。
【0047】
得られた易剥離性フィルムを20時間40℃に保温されたオーブン中に保管した後、易剥離性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0048】
実施例2
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)99重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を1重量%とした以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表1に示す。
【0049】
実施例3
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)97重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を3重量%とした以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表1に示す。
【0050】
実施例4
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)99.5重量%、エポキシ化大豆油(旭電化工業(株)製 商品名アデカサイザーO−130P、以下、Bと記す場合がある。)を0.5重量%とした以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表1に示す。
【0051】
実施例5
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)99重量%、エポキシ化大豆油(旭電化工業(株)製 商品名アデカサイザーO−130P)を1重量%とした以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表1に示す。
【0052】
実施例6
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600、以下、Aと記す場合がある)を0.5重量部の代わりに、エチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製 商品名ニポロン−Z TZ420、以下、LLDPEと記す)を99.5重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量%とした以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表1に示す。
【0053】
実施例7
ポリオレフイン樹脂として、MFRが3g/10分、密度が900kg/m3であるプロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体(チッソ(株)製 商品名チッソポリプロF8577、以下、PPと記す。)99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量%になるよう配合し、単軸押出機にて溶融混練しペレットを得た。
【0054】
得られたペレットを50mmΦのスクリューを有するTダイキャスト成形機の押出機へ供給し、230℃の温度で厚み30μmになるようTダイより押出し、該フィルム表面を50W・分/m2となるようコロナ放電処理を施し、易剥離性フィルムを得た。上記易剥離性フィルムと基材である厚み12μmのPET(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100)とをウレタン系接着剤(大日精化(株)製 商品面セイカボンドE−263/C−26)を用いドライラミネート成形を行い、多層易剥離性フィルムを得た。
【0055】
得られた易剥離性フィルムを20時間40℃に保温されたオーブン中に保管した後、易剥離性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例8
易剥離性フィルム表面を50W・分/m2となるようコロナ放電処理を施した代わりに、Tダイより押出された溶融樹脂フィルムのヒートシール面にオゾンガスを20mg/m2となるよう吹き付けたこと以外は、実施例1と同様にして多層易剥離性フィルムを得、易剥離性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003952757
比較例1
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)100重量%、エポキシ基を有する化合物を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表2に示すが、ヒートシール強度が高く易剥離性が発現しなかった。
【0058】
比較例2
ポリオレフイン樹脂として、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、LDPE(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213)90重量%、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を10重量%とした以外は実施例1と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表2に示すが、フィルム表面がべたついた。
【0059】
比較例3
易剥離性フィルム表面を50W・分/m2となるようコロナ放電処理を施した代わりに、コロナ放電処理を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして多層易剥離性フィルムを得た。評価結果は表2に示すが、ヒートシール強度が高く易剥離性が発現しなかった。
【0060】
比較例4
ポリオレフイン樹脂として、PP(チッソ(株)製 商品名チッソポリプロF8577)を99.5重量%、エポキシ基を有する化合物として、液状エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学工業(株)製 商品名エポリードRB3600)を0.5重量部の代わりに、PP(チッソ(株)製 商品名チッソポリプロF8577)100重量%、エポキシ基を有する化合物を用いなかったこと以外は実施例7と同様にして易剥離性フィルムを得た。評価結果は表2に示すが、ヒートシール強度が高く易剥離性が発現しなかった。
【0061】
【表2】
Figure 0003952757
【発明の効果】
本発明の易剥離性フィルムは、シーラント材同士のシールにおいて、もしくはポリエチレン容器、ポリプロピレン容器等を被着体とした容器及び多層容器に対して、良好な易剥離性を有し、ポーションゼリー、菓子、カップ味噌、豆腐、納豆、即席麺、冷凍食品、レトルト食品用の包装用袋並びに容器に好適なシーラント用フィルムとして提供することができる。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン系樹脂95〜99.99重量%、臭化水素の滴定により求められるオキシラン酸素量が4〜20%であり、50℃で液体であるエポキシ化植物油、エポキシ化ポリブタジエン又はエポキシ化ポリイソプレンから選ばれる、エポキシ基を有する化合物0.01〜5重量%からなり、ヒートシールされる面が酸化処理されていることを特徴とする易剥離性フィルム。
  2. 請求項1に記載の易剥離性フィルムをヒートシール層として積層した多層フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の易剥離性フィルム。
  3. 請求項1に記載の酸化処理がコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、プラズマ処理から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の易剥離性フィルム。
  4. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の易剥離性フィルムよりなることを特徴とする易開封容器。
  5. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の易剥離性フィルムよりなることを特徴とする易開封袋。
  6. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の易剥離性フィルムよりなることを特徴とする易開封容器用蓋材。
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