図1は、本発明の実施例による音響信号処理装置(デジタルミキサ)1の基本構成を表すブロック図である。
バス11には、検出回路12、表示回路13、RAM14、CPU16、フラッシュメモリ17、INPUT/OUTPUT(I/O)インターフェイス18、タイマ56、ハードディスクレコーダ(HDレコーダ)20、デジタルサウンドプロセッサ(DSP)25、波形INPUT/OUTPUT(I/O)インターフェイス26、電動フェーダ19が接続される。
ユーザは、検出回路12に接続される複数の操作子(入力手段)22を用いて、イコライジング、効果付与の設定、音量(入力レベル、出力レベル等)調整、入力チャンネルのバスへの割当、バスの出力チャンネルへの割当等を含むミキシング処理の設定、各種パラメータ、プリセットの入力及び選択等をすることができる。操作子22は、例えば、ノブ、カーソルキー、ジョグシャトル、ロータリーエンコーダ、スライダ、マウス、キーボード、鍵盤、ジョイスティック、スイッチ等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。また、本実施例では、複数の入力手段が接続されている。
また、本実施例では、音量(入力レベル、出力レベル等)調整用の操作子(入力手段)として、電動フェーダ19が検出回路12及びバス11に接続されている。電動フェーダ19は、通常のフェーダのように、ユーザが上下(又は左右)に動かすことにより、割り当てられているパラメータを連続的に変化させるものであるが、ユーザが動かさない場合、すなわち、設定データ等によりパラメータを変更する場合に、該パラメータの変更におうじて、変更後のパラメータ値に対応する位置にフェーダをモータ等により自動的に移動させることができる。本実施例では、図2に示すフェーダ操作子191及びDCAフェーダ192、図示しない出力レベル調整用フェーダ操作子等に電動フェーダ19を用いている。なお、電動フェーダ19は、音量(入力レベル、出力レベル等)調整に限らずその他のパラメータにも割り当てることが可能である。
表示回路13は、ディスプレイ23に接続され、チャンネルの割当て、各チャンネル毎のイコライジング、効果付与の設定、音量調節等の各種情報及び後述するDCAミュートの設定画面等をディスプレイ23に表示することができる。ディスプレイ23は、液晶表示装置(LCD)231(図2)、発光ダイオード(LED)等で構成されるレベルメータ232等を含んで構成される。
RAM14は、フラグ、レジスタ又はバッファ、各種データ等を記憶するCPU16用のワーキングエリアを有する。本実施例では、図3を参照して後述するパネルバッファ141及びDCAバッファ142のための領域が、RAM14内に用意されている。
CPU16は、フラッシュメモリ17に記憶されている制御プログラム等に従い、演算又は制御を行う。タイマ56は、CPU16及バス11に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等をCPU16に指示する。フラッシュメモリ17には、プリセットデータ、各種パラメータ及び制御プログラム等を記憶することができる。
I/Oインターフェイス18は、電子楽器、他の音響機器、コンピュータ、増設HDD等に接続できるものである。この場合、通信インターフェイス18は、MIDIインターフェイス、SCSI(SMALL COMPUTER SYSTEM INTERFACE)、RS−232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインターフェイスを用いて構成する。なお、本実施例は、複数のI/Oインターフェイス18を有する。
HDレコーダ20は、ハードディスクドライブ(HDD)で構成され、例えば、デジタル形式の音響信号を16bit(又は24bit)、44.1kHz(又は48kHz)のレゾリューションで複数のトラックの個別録音若しくは同時録音が可能な録音装置である。
DSP25は、例えば、図3に示すように複数の入力端子(アナログ入力26AI、デジタル入力26DI)及び出力端子(アナログ出力26AO、デジタル出力26DO)を有する波形I/Oインターフェイス26の入力端子又はHDレコーダ20から入力されるアナログ形式又はデジタル形式の音響信号に、各種効果付与を含むミキシング処理を施し出力端子からアナログ形式又はデジタル形式の音響信号を出力する。なお、入力端子は、アナログ形式の音響信号をデジタル形式に変換するADコンバータ(ADC)を有し、出力端子27は、デジタル形式の音響信号をアナログ形式に変換するDAコンバータ(DAC)を有する。なお、DSP25の機能は、図3を参照して後述する。
図2は、音響信号処理装置1のトップパネル(操作パネル)220の構成を表す概略平面図である。
トップパネル220は、少なくともインプットセクション221、DACセクション222、カーソルセクション223、LCD231、レベルメータ232及び複数のその他操作子群22で構成される。
インプットセクション221には、後述する入力チャンネルでの処理における各種パラメータを調整するための操作子が配置されている。入力チャンネルは、例えば、4〜64チャンネルあり、本実施例では、32チャンネルが用意されている。なお、入力チャンネルは、複数であれば、何チャンネルあってもよい。インプットセクション221には、少なくとも、フェーダ操作子(入力チャンネルフェーダ)191、プリキー225、オンキー226のそれぞれが、各入力チャンネルに対して設けられている。なお、インプットセクション221に配置される操作子は、基本的に複数あるチャンネルの個々のチャンネルを他のチャンネルとは独立して制御するための操作子である。
フェーダ操作子191は、図1の電動フェーダ19で構成され、各入力チャンネルの入力レベル(音量パラメータ)を個別(入力チャンネル毎独立)に調整する。
オンキー226は、入力チャンネルごとに設けられるスイッチ(操作子)22であり、入力チャンネルからミキシングバスやステレオバス等の各種バスへの出力経路の接続(オン)と切断(オフ)を個別(入力チャンネル毎独立)に切り替える。これは、一般的にオンオフ機能といわれるものである。
プリキー225は、入力チャンネルごとに設けられるスイッチ(操作子)22であり、各種バスへ入力する音響信号をプリ信号とポスト信号のいずれかへ個別(入力チャンネル毎独立)に切り替える。プリ信号とは、フェーダを経由しない信号、すなわちフェーダによる音量調整前(プリフェーダ)の信号である。ポスト信号とは、フェーダを経由する信号、すなわちフェーダによる音量調整後(ポストフェーダ)の信号である。
DCAセクション222には、DCAグループを操作するための操作子が配置されている。DCAグループとは、複数の入力チャンネルをグループ化して、当該グループに属する入力チャンネルのパラメータを一括して調整するためのものである。なお、本実施例では、この入力チャンネルのグループをDCA(Digitally Controlled Amplifired)グループと呼ぶ。また、このようにグループ化された入力チャンネルの音量レベル(入力レベル)を一括して調整する機能をDCA機能と呼ぶ。
DCAセクション222には、少なくとも、DCAグループごとのフェーダ操作子(DCAフェーダ)192、DCAグループごとのDCAミュートキー227が設けられている。なお、DCAセクション222に配置される操作子は、DCAグループに属する複数のチャンネルを一括して操作するためのものである。
DCAフェーダ192は、DCAグループの入力レベルを調整する操作子であり、上述した入力チャンネル用のフェーダ操作子と同様に、図1の電動フェーダ19で構成され、入力レベルを連続的に変化させることができる。
DCAミュートキー227は、DCAミュートのオンオフを切り替えるスイッチ(操作子)22である。DCAミュートとは、オンの時、DCAフェーダの値を瞬時に−∞dBまで下げ、音量を「0」にする機能である。
LCD231は、音響信号処理装置1を操作するのに必要な情報を表示し、システム全体に関わる設定や入力又は出力チャンネルのミックスパラメータ、DSP25における各種効果付与の設定、出力チャンネルにおける各種効果付与の設定等の各種設定を行うためのディスプレイである。また、後述するDCAミュートターゲットの設定は、このLCD231に表示されるDCAミュートターゲット設定画面233上のミュートターゲットキー234をカーソルキーやエンターキーを使って操作することにより行う。
カーソルセクション223には、LCD231に表示されるポインター(画面上に表示される矢印)や、カーソル(選択箇所を示す赤枠)を移動したり、パラメータの設定値を変更したりするための操作子22が複数個設けられている。
レベルメータ232は、各入力チャンネルの入力レベル、各ミキサチャンネルの出力レベル及びその他の入力又は出力レベルを表示するメータである。その他操作子群22は、出力チャンネルの設定、レコーダ20の設定、インプットセクション221に配置された操作子の設定等を行うための操作子群である。
図3は、図1のDSP25の機能を説明するためのブロック図である。なお、図1と同様の構成には同じ参照番号を附す。DSP25は、入力パッチ251、32chの入力チャンネル252、16チャンネルのミックスバスMB1〜MB16、左右2chのステレオバスSB、出力チャンネルである16チャンネルのミックスチャンネルMC1〜MC16及び左右2chのステレオチャンネルSC、出力パッチ255で構成される。
入力パッチ251は、アナログ入力26AI及びデジタル入力26DIから入力される複数の音響信号入力を複数ある入力チャンネル252に選択的に接続する。すなわち、アナログ入力26AI及びデジタル入力26DIの各端子を入力チャンネル252の32chのうちいずれかの入力チャンネルに割り当てる。
アナログ入力26AIは、例えば、1〜32chのアナログ形式の音響信号(マイク入力及びライン入力等)をADCを介して入力する入力端子(入力ポート)である。デジタル入力26DIは、例えば、1〜32chのデジタル形式の音響信号(デジタルMTR、ハードディスクレコーダ等のデジタル機器からのデジタル出力)を入力する入力端子(入力ポート)である。なお、アナログ入力26AIは、入力されるアナログ形式の音響信号をデジタル形式の音響信号に変換するためのADCを有している。
入力チャンネル(インプットチャンネル)252は、それぞれのチャンネルに入力されるデジタル形式の音響信号にアッテネータ(減衰・増幅)、コンプレッサ、イコライザ、フェーダ(音量調整)、パン、バスへ送る信号種類(プリ信号及びポスト信号)の選択、バスへ送る信号の接続(オン)及び切断(オフ)、センドレベル等の各種信号処理を施した後、処理をした音響信号をミックスバスMB1〜MB16、ステレオバスSBに出力する。
各入力チャンネル(インプットチャンネル)252は、信号処理部253、音量制御部(フェーダ)254、プリポスト切替制御部(スイッチ)SW1、オンオフ切替制御部(スイッチ)SW2及びDSPバッファ256を含んで構成される。
信号処理部253は、入力パッチ251から入力される音響信号に対して、アッテネータ(減衰・増幅)、コンプレッサ、イコライジング等の各種効果付与を行う。信号処理部253で処理された音響信号は、フェーダ254及びスイッチSW1の一方の入力端(図中下の入力端)に送られる。
フェーダ254は、DSPバッファ256に保持されているフェーダDSP値に基づき、信号処理部253から入力される音響信号の音量(入力レベル)を調整する。なお、本実施例では、フェーダDSP値は、プラス(+)又はマイナス(―)のデシベル(dB)値として保持されているので、入力される音響信号をフェーダDSP値で表される出力比で出力することにより、音量調整を行う。ここで音量調整された音響信号は、後段のスイッチSW1の他方の入力端(図中上の入力端)及びSW2に送られる。
スイッチSW1は、DSPバッファ256に保持されているプリポストDSP値に基づき、音響信号の信号処理部253からスイッチSW2までの経路を切り替える。具体的には、プリポストDSP値が「プリ信号」に対応する値(以下、単に、プリポストDSP値が「プリ信号」という)である場合は、上記一方の入力端(図中下の入力端)とスイッチSW2の入力端を接続することにより、信号処理部253から出力される音響信号をフェーダ254を介さずにスイッチSW2に入力させる。また、プリポストDSP値が「ポスト信号」に対応する値(以下、単に、プリポストDSP値が「ポスト信号」という)である場合は、上記他方の入力端(図中上の入力端)とスイッチSW2の入力端を接続することにより、信号処理部253から出力される音響信号をフェーダ254を介してスイッチSW2に入力させる。
スイッチSW2は、DSPバッファ256に保持されているオンオフDSP値に基づき、音響信号のバスMB1〜MB16及びSBへの経路の接続(オン)及び切断(オフ)を切り替える。具体的には、オンオフDSP値が「オン」に対応する値(以下、単に、オンオフDSP値が「オン」という)である場合は、入力端と出力端を接続することにより、スイッチSW1(ステレオバスSBへの入力の場合はフェーダ254)から入力される音響信号をバスMB1〜MB16又はSBに入力させる。また、オンオフDSP値が「オフ」に対応する値(以下、単に、オンオフDSP値が「オフ」という)である場合は、入力端と出力端を切断することにより、当該入力チャンネルの音響信号のバスへの入力を停止して、ミュートする。
DSPバッファ256は、パネルバッファ140に保持されているパネル値に基づいて、実際にDSP25内の各制御部に設定されるパラメータの値(DSP値)を保持している。DSP値は、DSP25における制御部ごとに設定される値であり、制御部ごとに保持されている。
パネルバッファ140は、パネル値を保持するバッファであり、例えば、図1のRAM14又はフラッシュメモリ17内に、各操作子で設定できるパラメータの種類ごとに設けられている。例えば、入力チャンネルフェーダパネルバッファ141、DCAバッファ(DCAフェーダパネルバッファ)142、オンキーパネルバッファ143、プリキーパネルバッファ144、DCAミュートパネルバッファ145、DCAミュートターゲットパネルバッファ146等がある。
なお、本実施例において「パネル値」とは、トップパネル220に配置された各種操作子19、22で設定されたパラメータの値であり、操作子が現在指し示す値、LCD231に表示されている値である。なお、パネル値は、あくまでも各種操作子19及び22の現在設定値であり、実際にDSP25に設定されているDSP値とは異なるものである。すなわち、パネル値は直接的にはDSP25の設定には反映されず、パネル値に基づいてDSP値を書き換えることにより、初めてパネル値が設定に反映される。
フェーダパネルバッファ141は、インプットセクション221(図2)に配置されたフェーダ操作子(入力チャンネルフェーダ)191のパネル値(フェーダパネル値)を入力チャンネル252ごとに保持するためのバッファであり、必要に応じてフェーダパネル値をDSPバッファ256に供給され、対応するDSP値(当該入力チャンネル252のフェーダDSP値)を上書きする。
DCAバッファ(DCAフェーダパネルバッファ)142は、DCAセクション222(図2)に配置されたDCAフェーダ192の現在設定値(DCAフェーダパネル値)をDCAグループごとに保持するためのバッファであり、DCAフェーダパネル値は、必要に応じて、入力チャンネルフェーダパネル値と乗算されてDSPバッファ256に供給され、対応するDSP値(当該DCAグループに属する入力チャンネル252のフェーダDSP値)を上書きする。
オンキーパネルバッファ143は、図2のオンキー226のパネル値を入力チャンネル252ごとに保持するバッファである。オンキーのパネル値(オンキーパネル値)は、ユーザによるオンキー226の操作等に応じて、オン又はオフのいずれかに対応する値(以下、単に、オンキーパネル値が「オン」又は「オフ」という)に書き換えられる。オンキーパネル値は、必要に応じてDSPバッファ256に供給され、対応するDSP値(当該入力チャンネル252のオンオフDSP値)を上書きする。
プリキーパネルバッファ144は、図2のプリキー225のパネル値を入力チャンネル252ごとに保持するバッファである。プリキー225のパネル値(プリキーパネル値)は、ユーザによるプリキー225の操作等に応じて、プリ(プリ信号)又はポスト(ポスト信号)のいずれかに対応する値(以下、単に、プリキーパネル値が「プリ信号」又は「ポスト信号」という)に書き換えられる。プリキーパネル値は、必要に応じてDSPバッファ256に供給され、対応するDSP値(当該入力チャンネル252のプリポストDSP値)を上書きする。
DCAミュートパネルバッファ145は、図2のDCAミュート227のパネル値(DCAミュートパネル値)をDCAグループごとに保持するバッファである。DCAミュートパネル値は、ユーザによるDCAミュート227の操作等に応じて、オン又はオフのいずれかに対応する値(以下、単に「オン」又は「オフ」という)に書き換えられる。DCAミュートパネル値がオンの時、後述するDCAミュートターゲットが「ポストミュート(ポスト信号のみをミュート)」の場合は、DCAフェーダの値(DCAパネル値)は瞬時に−∞dbまで下げられる。また、DCAミュートパネル値がオンの時、DCAミュートターゲットが「プリポストミュート(プリ信号及びポスト信号の双方をミュート)」の場合は、当該DCAグループに属する入力チャンネル252のオンオフDSP値が、全てオフに対応する値に書き換えられる。
DCAミュートターゲットパネルバッファ146は、LCD231に表示されるDCAミュートターゲット設定画面233内のミュートターゲットキー234のパネル値(DCAミュートターゲットパネル値)を保持するためのバッファである。詳細については、図4を参照して後述する。
ミックスバスMB1〜MB16、ステレオバスSBは、それぞれのバスに入力される複数の音響信号をミキシング(混合)してそれぞれのバスに対応する出力チャンネル(ミックスチャンネルMC1〜MC16及び左右2chのステレオチャンネルSC)に出力する。
出力チャンネル(ミックスチャンネルMC1〜MC16及び左右2chのステレオチャンネルSC)は、それぞれのチャンネルに入力される音響信号にコンプレッサ、イコライザ、フェーダ(音量調整)等の各種信号処理を施した後、処理をした音響信号を出力パッチ255に出力する。
出力パッチ255は、ミックスチャンネルMC1〜MC16及び左右2chのステレオチャンネルSCのそれぞれからの音響信号出力を、複数ある出力ポート(アナログ出力26AO、デジタル出力26DO)に選択的に接続する。すなわち、ミックスチャンネルMC1〜MC16及び左右2chのステレオチャンネルSCのそれぞれをアナログ出力26AO、デジタル出力26DOのうちいずれかの出力に割り当てる。
アナログ出力26AOは、例えば、1〜16ch又はステレオ2chの音響信号をDACを介してアナログ形式で出力する出力端子(出力ポート)である。デジタル出力26DOIは、例えば、1〜16ch又はステレオ2chの音響信号をデジタル形式で出力する出力端子(出力ポート)である。
図4は、図2のLCD231に表示されるDCAミュートターゲット設定画面233の一例を表す概略平面図である。
ユーザは、後述する図5のDCAミュートターゲット設定処理において、図2のカーソルセクション223に設けられているカーソルキーやエンターキーを使って、LCD231に表示されるDCAミュートターゲット設定画面233内のミュートターゲットキー234をカーソルキーやエンターキーを使って操作(変更)する。図4(A)に示す状態では、DCAミュートターゲットとして、「ポスト信号」が選択されており、この時、図3のDCAミュートターゲットパネルバッファ146のDCAミュートターゲットパネル値は「ポストミュート」である。この図4(A)の状態から、例えば、ミュートターゲットキー234をカーソルキーやエンターキーを使って操作(変更)すると、図4(B)に示す状態となり、DCAミュートターゲットとして、「プリ信号及びポスト信号」が選択される。この場合、DCAミュートターゲットパネルバッファ146のDCAミュートターゲットパネル値は「ポストミュート」から「プリポストミュート」(以下、単に「ポストミュート」又は「プリポストミュート」という)に変更される。なお、「ポストミュート」は、ポスト信号のみをDCAミュートの処理対象(DCAミュートターゲット)とするモードである。また、「プリポストミュート」は、プリ信号とポスト信号の双方をDCAミュートの処理対象(DCAミュートターゲット)とするモードである。
図5は、本発明の実施例によるDCAミュートターゲット設定処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、図4を用いて説明したように、DCAミュートターゲット設定画面233内のミュートターゲットキー234をカーソルキーやエンターキーを使って操作(変更)することにより図3のDCAミュートターゲットパネルバッファ146のDCAミュートターゲットパネル値を変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。
なお、この処理は、DCAグループに属する複数のチャンネルを一括して制御する。よって、後述のステップSA6及びSA11で調査する制御対象となる入力チャンネル252は、当然複数である。また、ステップSA7〜SA8、SA12〜SA14の処理は、検出した複数のチャンネルの各々に対して実行される。
ステップSA1でDCAミュートターゲット設定処理を開始し、ステップSA2では、DCAミュートターゲットのパネル値を更新する。ここでは、この処理の起動のきっかけとなった、DCAミュートターゲット設定画面233内のミュートターゲットキー234に対する操作の結果に従い、図3のDCAミュートターゲットパネルバッファ146のDCAミュートターゲットパネル値を「ポストミュート」から「プリポストミュート」へ、又は「プリポストミュート」から「ポストミュート」に更新する。
ステップSA3では、DCAミュートのパネル値が「オン」であるDCAグループがあるか否かを調べる。ここでは、全DCAグループのDCAミュートキーパネルバッファ145(図3)内のDCAミュートパネル値を参照して、該パネル値が「オン」であるDCAグループを抽出する。その後、ステップSA4では、ステップSA3での抽出結果を参照して、DCAミュートのパネル値が「オン」であるDCAグループがあるか否かを判断する。DCAミュートのパネル値が「オン」であるDCAグループがある場合は、YESの矢印で示すステップSA5に進み、ない場合はNOの矢印で示すステップSA15に進み、DCAミュートターゲット設定処理を終了する。
ステップSA5では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「ポストミュート」であるか否かを判断する。すなわち、新たに設定されたパネル値を検出する。新たなパネル値が、「ポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSA6に進み、「プリポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSA10に進む。
ステップSA6では、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。すなわち、DCAミュート機能によりミュートすべきステップSA3で抽出したDCAグループに属する入力チャンネル252を抽出する。なお、ステップSA3で複数のDCAグループが抽出された場合は、すべてのDCAグループについて当該グループに属する入力チャンネル252を抽出する。なお、各DCAグループに属する入力チャンネル252は、例えば、図3のパネルバッファ140内にDCAグループのパネル値として保持されており、入力チャンネルの抽出は、これを参照して行う。
ステップSA7では、ステップSA6で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のオンキーパネル値を図3のオンキーパネルバッファ143を参照して取得する。その後、ステップSA8では、ステップSA7で取得したオンキーパネル値をDSPバッファ256内の対応するステップSA6で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のオンオフDSP値へ上書きする。
このように、オンオフDSP値を取得したパネル値で上書きし、DCAミュートターゲットキーの更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更することにより、図3のオンオフスイッチSW2によるDCAミュート(プリポストミュート)が解除される。
ステップSA9では、ステップSA6で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のフェーダDSP値を−∞dBまで下げ、音量を「0」にする。このように、フェーダDSP値に−∞dBを書き込み、DCAミュートターゲットキーの更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更することにより、図3のフェーダ254によるDCAミュート(ポストミュート)が設定される。その後、ステップSA15に進み、DCAミュートターゲット設定処理を終了する。
ステップSA10では、ステップSA3で抽出したDCAグループのDCAフェーダ192(図2)のDCAフェーダパネルバッファ142(図3)に保持されているDCAフェーダパネル値を取得する。なお、ステップSA3で複数のDCAグループが抽出された場合は、すべてのDCAグループについてDCAフェーダパネル値を取得する。
ステップSA11では、上述したステップSA6と同様に、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。
ステップSA12では、ステップSA11で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のフェーダパネル値を図3の入力チャンネルフェーダパネルバッファ141を参照して取得する。
ステップSA13では、ステップSA11で取得したDCAフェーダ192のパネル値とステップSA12で取得でした入力チャンネル252の入力チャンネルフェーダ191のパネル値に基づいて、フェーダ254のDSP値を変更する。ここでは、ステップSA10で抽出した制御対象となる入力チャンネル252ごとに、ステップSA11で取得したDCAフェーダ192のパネル値とステップSA12で取得でした入力チャンネル252の入力チャンネルフェーダ191のパネル値を乗算してフェーダ254のDSP値を算出し、該算出したDSP値で図3のDSPバッファ256内のフェーダDSP値を上書きする。このように算出したDSP値で当該入力チャンネルのフェーダDSP値を上書きし、DCAミュートターゲットキーの更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更することにより、図3のフェーダ254によるDCAミュート(ポストミュート)が解除される。
ステップSA14は、ステップSA11で抽出した制御対象となる入力チャンネル252の全てについてDSPバッファ256内のオンオフDSP値を「オフ」にする。このように、オンオフDSP値を「オフ」にし、DCAミュートターゲットキーの更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更することにより、図3のオンオフスイッチSW2によるDCAミュート(プリポストミュート)が設定される。その後、ステップSA15に進み、DCAミュートターゲット設定処理を終了する。
図6は、本発明の実施例によるDCAミュート設定処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2のDCAミュート227を操作することにより図3のDCAミュートパネルバッファ145のDCAミュートパネル値を「オン」に変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。
なお、この処理は、ユーザが操作したDCAミュート227に対応する1つのDCAグループのみを処理対象として実行される。また、当該DCAグループに属する複数のチャンネルを一括して制御する。よって、後述のステップSB3及びSB5で調査する制御対象となる入力チャンネル252は、当然複数である。また、ステップSB4及びSB6の処理は、検出した複数のチャンネルの各々に対して実行される。
ステップSB1でDCAミュート設定処理を開始し、ステップSB2では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「ポストミュート」であるか否かを判断する。パネル値が、「ポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSB3に進み、「プリポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSB5に進む。
ステップSB3では、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。すなわち、DCAミュート機能によりミュートすべき、今回の処理を起動するきっかけとなった図2のDCAミュート227に対応するDCAグループに属する入力チャンネル252を抽出する。なお、DCAグループに属する入力チャンネル252は、例えば、図3のパネルバッファ140内にDCAグループのパネル値として保持されており、入力チャンネルの抽出は、これを参照して行う。
ステップSB4では、ステップSB3で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のフェーダDSP値を−∞dBまで下げ、音量を「0」にする。このように、フェーダDSP値に−∞dBを書き込むことにより、当該DCAグループに属する入力チャンネル252のうち、ポスト信号が選択されているチャンネル(プリポストDSP値が「ポスト信号」のチャンネル)はミュートされる。なお、プリ信号が選択されているチャンネル(プリポストDSP値が「プリ信号」のチャンネル)はミュートされない。その後、ステップSB7に進み、DCAミュート設定処理を終了する。
ステップSB5では、上述したステップSB3と同様に、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。
ステップSB6は、ステップSB5で抽出した制御対象となる入力チャンネル252の全てについてDSPバッファ256内のオンオフDSP値を「オフ」にする。このように、オンオフDSP値を「オフ」にすることにより、当該DCAグループに属する入力チャンネル252の全てが、プリポストDSP値にかかわらずミュートされる。その後、ステップSB7に進み、DCAミュート設定処理を終了する。
図7は、本発明の実施例によるDCAミュート解除処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2のDCAミュート227を操作することにより図3のDCAミュートパネルバッファ145のDCAミュートパネル値を「オフ」に変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。
なお、この処理は、ユーザが操作したDCAミュート227に対応する1つのDCAグループのみを処理対象として実行される。また、当該DCAグループに属する複数のチャンネルを一括して制御する。よって、後述のステップSC4及びSC7で調査する制御対象となる入力チャンネル252は、当然複数である。また、ステップSC5、SC6及びSC8、SC9の処理は、検出した複数のチャンネルの各々に対して実行される。
ステップSC1でDCAミュート解除処理を開始し、ステップSC2では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「ポストミュート」であるか否かを判断する。パネル値が、「ポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSC3に進み、「プリポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSC7に進む。
ステップSC3では、DCAミュート機能によりミュートすべき、今回の処理を起動するきっかけとなった図2のDCAミュート227に対応するDCAグループのDCAフェーダ192(図2)のDCAフェーダパネルバッファ142(図3)に保持されているDCAフェーダパネル値を取得する。
ステップSC4では、上述した図6のステップSB3と同様に、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。
ステップSC5では、ステップSC4で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のフェーダパネル値を図3の入力チャンネルフェーダパネルバッファ141を参照して取得する。
ステップSC6では、ステップSC3で取得したDCAフェーダ192のパネル値とステップSC5で取得でした入力チャンネル252の入力チャンネルフェーダ191のパネル値に基づいて、フェーダ254のDSP値を変更する。これは、上述した図5のステップSA13と同様の処理であるが、この処理により、ポストミュートモードによるDCAミュートが解除(発音が再開)される。その後、ステップSC10に進みDCAミュート解除処理を終了する。
ステップSC7では、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。すなわち、DCAミュート機能によりミュートすべき、今回の処理を起動するきっかけとなった図2のDCAミュート227に対応するDCAグループに属する入力チャンネル252を抽出する。なお、DCAグループに属する入力チャンネル252は、例えば、図3のパネルバッファ140内にDCAグループのパネル値として保持されており、入力チャンネルの抽出は、これを参照して行う。
ステップSC8では、ステップSC7で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のオンキーパネル値を図3のオンキーパネルバッファ143を参照して取得する。その後、ステップSC9では、ステップSC8で取得したオンキーパネル値をDSPバッファ256内の対応するステップSC7で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のオンオフDSP値へ上書きする。これにより、プリポストミュートモードによるDCAミュートが解除(発音が再開)される。なお、オンオフDSP値を取得したパネル値で上書きするので、入力チャンネルごとに図2のオンキー226でミュート(オフ)が設定されている場合は、当該入力チャンネルはミュートされている状態を保つ。その後、ステップSC10に進みDCAミュート解除処理を終了する。
図8は、本発明の実施例によるDCAフェーダ処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2のDCAフェーダ192を操作することにより図3のDCAフェーダパネルバッファ142のDCAフェーダパネル値を変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。
なお、この処理は、ユーザが操作したDCAフェーダ192に対応する1つのDCAグループのみを処理対象として実行される。また、当該DCAグループに属する複数のチャンネルを一括して制御する。よって、後述のステップSD6で調査する制御対象となる入力チャンネル252は、当然複数である。また、ステップD7及びSD8の処理は、検出した複数のチャンネルの各々に対して実行される。
ステップSD1では、DCAフェーダ処理を開始し、ステップSD2では、図3のDCAフェーダパネルバッファ142のDCAフェーダパネル値を、今回の処理を起動するきっかけとなったDCAフェーダ192の操作に対応する操作量を考慮した新たな値で書き換える。ここで、操作量を考慮した新たな値とは、例えば、当該操作完了後のフェーダ192の絶対位置に対応するパラメータ値(パネル値)や、当該操作におけるフェーダ192の相対的移動量に対応するパラメータ値を従前のパネル値に対して加算又は減算した値である。
ステップSD3では、処理対象のDCAグループのDCAミュートが「オン」であるか否かを検出する。例えば、今回の処理を起動するきっかけとなった図2のDCAフェーダ192に対応するDCAグループ(処理対象のDCAグループ)のDCAミュート(図2)226のDCAミュートパネルバッファ145(図3)に保持されているDCAミュートパネル値を取得することにより検出する。DCAミュートが「オン」である場合は、YESの矢印で示すステップSD4に進み、「オフ」である場合は、NOの矢印で示すステップSD5に進む。
ステップSD4では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「ポストミュート」であるか否かを判断する。パネル値が、「ポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSD9に進みDCAフェーダ処理を終了する。「プリポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSD5に進む。
ここで、パネル値が、「ポストミュート」である場合にDCAフェーダ処理を終了するのは、ポストミュートモードにおいては、フェーダDSP値を−∞dBに設定することによりミュートを掛けているため、フェーダDSP値を変更するとミュートが解除されてしまう。よって、ステップSD2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映することはできないので、この処理はここで終了する。
なお、パネル値が、「プリポストミュート」である場合は、オンオフDSP値を「オフ」にすることでミュートを掛けているため、フェーダDSP値を変更しても、ミュートの状態には影響がない。よって、ステップSD5〜SD8の処理により、ステップSD2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映する。
ステップSD5では、上述の図7のステップSC3と同様に、処理対象のDCAグループのDCAフェーダ192(図2)のDCAフェーダパネルバッファ142(図3)に保持されているDCAフェーダパネル値を取得する。
ステップSD6では、上述した図6のステップSB3又は図7のステップSC4と同様に、DCAミュート機能の制御対象となる入力チャンネル252を調べる。
ステップSD7では、上述の図7のステップSC5と同様に、ステップSD6で抽出した制御対象となる入力チャンネル252のフェーダパネル値を図3の入力チャンネルフェーダパネルバッファ141を参照して取得する。
ステップSD8では、ステップSD5で取得したDCAフェーダ192のパネル値とステップSD7で取得でした入力チャンネル252の入力チャンネルフェーダ191のパネル値に基づいて、フェーダ254のDSP値を変更する。これは、上述した図5のステップSA13又は図7のステップSC6と同様の処理であるが、この処理では、ステップSD2で新たに設定されたパネル値がDSP値に反映されるのみであり、DCAミュートの状態に変化はない。その後、ステップSD9に進みDCAフェーダ処理を終了する。
図9は、本発明の実施例による入力チャンネルフェーダ処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2の入力チャンネルフェーダ191を操作することにより図3の入力チャンネルフェーダパネルバッファ141のフェーダパネル値を変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。なお、この処理は、ユーザが操作した入力チャンネルフェーダ191に対応する1つの入力チャンネル252のみを処理対象として実行される。
ステップSE1で、入力チャンネルフェーダ処理を開始し、ステップSE2では、図3の入力チャンネルフェーダパネルバッファ141の入力チャンネルフェーダパネル値を、今回の処理を起動するきっかけとなった入力チャンネルフェーダ191の操作に対応する操作量を考慮した新たな値で書き換える。ここで、操作量を考慮した新たな値とは、例えば、当該操作完了後のフェーダ191の絶対位置に対応するパラメータ値(パネル値)や、当該操作におけるフェーダ191の相対的移動量に対応するパラメータ値を従前のパネル値に対して加算又は減算した値である。
ステップSE3では、操作された入力チャンネルフェーダ191に対応する入力チャンネル(処理対象入力チャンネル)が、いずれかのDCAグループに属しているか否かを判断する。ここでは、各DCAグループのパネル値を参照して、処理対象入力チャンネルが属しているDCAグループを抽出する。処理対象入力チャンネルが、いずれのDCAグループにも属していない場合は、NOの矢印で示すステップSE4に進み、いずれかのDCAグループに属している場合は、YESの矢印で示すステップSE5に進む。
ステップSE4では、ステップSE2で更新した入力チャンネルフェーダパネル値で処理対象入力チャンネルのDSPバッファ256内のフェーダDSP値を上書きする。処理対象の入力チャンネルフェーダのパネル値を、その入力チャンネルのフェーダDSPへ上書きし、更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更する。
ステップSE5では、処理対象入力チャンネルが属しているDCAグループ(該当DCAグループ)のDCAミュートが「オン」であるか否かを検出する。例えば、該当DCAグループのDCAミュート(図2)226のDCAミュートパネルバッファ145(図3)に保持されているDCAミュートパネル値を取得することにより検出する。DCAミュートが「オン」である場合は、YESの矢印で示すステップSE6に進み、「オフ」である場合は、NOの矢印で示すステップSE7に進む。なお、該当DCAグループが複数ある場合は、その全てのDCAグループについてこの処理を行う。
ステップSE6では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「ポストミュート」であるか否かを判断する。パネル値が、「ポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSE10に進み入力チャンネルフェーダ処理を終了する。「プリポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSE7に進む。
ここで、パネル値が、「ポストミュート」である場合に入力チャンネルフェーダ処理を終了するのは、ポストミュートモードにおいては、フェーダDSP値を−∞dBに設定することによりミュートを掛けているため、フェーダDSP値を変更するとミュートが解除されてしまう。よって、ステップSE2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映することはできないので、この処理はここで終了する。
なお、パネル値が、「プリポストミュート」である場合は、オンオフDSP値を「オフ」にすることでミュートを掛けているため、フェーダDSP値を変更しても、ミュートの状態には影響がない。よって、ステップSE7〜SE9の処理により、ステップSE2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映する。
ステップSE7では、上述の図7のステップSC3又は図8のステップSD5と同様に、該当DCAグループのDCAフェーダ192(図2)のDCAフェーダパネルバッファ142(図3)に保持されているDCAフェーダパネル値を取得する。
ステップSE8では、ステップSE2で更新した入力チャンネル252のフェーダパネル値を図3の入力チャンネルフェーダパネルバッファ141を参照して取得する。
ステップSE9では、ステップSE7で取得したDCAフェーダ192のパネル値とステップSE8で取得でした入力チャンネル252の入力チャンネルフェーダ191のパネル値に基づいて、フェーダ254のDSP値を変更する。これは、上述した図5のステップSA13又は図7のステップSC6、図8のステップSD8と同様の処理であるが、この処理では、ステップSE2で新たに設定されたパネル値がDSP値に反映されるのみであり、DCAミュートの状態に変化はない。その後、ステップSE10に進み入力チャンネルフェーダ処理を終了する。
図10は、本発明の実施例によるオンキー処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2のオンキー226を操作することにより図3のオンキーパネルバッファ143のオンキーパネル値を変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。なお、この処理は、ユーザが操作したオンキー226に対応する1つの入力チャンネル252のみを処理対象として実行される。
ステップSF1で、オンキー処理を開始し、ステップSF2では、図3のオンキーパネルバッファ143のオンキーパネル値を、今回の処理を起動するきっかけとなったオンキー262の操作に応じてオンからオフへまたはオフからオンへ書き換える。
ステップSF3では、操作されたオンキー226に対応する入力チャンネル(処理対象入力チャンネル)が、いずれかのDCAグループに属しているか否かを判断する。ここでは、各DCAグループのパネル値を参照して、処理対象入力チャンネルが属しているDCAグループを抽出する。処理対象入力チャンネルが、いずれのDCAグループにも属していない場合は、NOの矢印で示すステップSF4に進み、いずれかのDCAグループに属している場合は、YESの矢印で示すステップSF5に進む。
ステップSF4では、ステップSF2で更新したオンキーパネル値で処理対象入力チャンネルのDSPバッファ256内のオンオフDSP値を上書きする。処理対象の入力チャンネルのオンキーパネル値を、その入力チャンネルのオンオフDSP値へ上書きし、更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更する。
ステップSF5では、処理対象入力チャンネルが属しているDCAグループ(該当DCAグループ)のDCAミュートが「オン」であるか否かを検出する。例えば、該当DCAグループのDCAミュート(図2)226のDCAミュートパネルバッファ145(図3)に保持されているDCAミュートパネル値を取得することにより検出する。DCAミュートが「オン」である場合は、YESの矢印で示すステップSF6に進み、「オフ」である場合は、NOの矢印で示すステップSF7に進む。なお、該当DCAグループが複数ある場合は、その全てのDCAグループについてこの処理を行う。
ステップSF5では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「プリポストミュート」であるか否かを判断する。パネル値が、「プリポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSF9に進みオンキー処理を終了する。「ポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSF7に進む。
ここで、パネル値が、「プリポストミュート」である場合にオンキー処理を終了するのは、オンオフDSP値を「オフ」にすることでミュートを掛けているため、オンオフDSP値を変更するとミュートが解除されてしまう。よって、ステップSF2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映することはできないので、この処理はここで終了する。
なお、パネル値が、「ポストミュート」である場合は、フェーダDSP値を−∞dBに設定することによりミュートを掛けているため、オンオフDSP値を変更しても、DCAミュートの設定状態(フェーダDSP値)には影響がないが、ステップSF7〜SF9の処理により、ステップSF2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映する場合、プリ信号が選択されている入力チャンネルについては、ミュートの状態に変化が起きる。すなわち、ステップSF2で、オンキーパネル値が、オンからオフに更新された場合は、当該プリ信号が選択されている入力チャンネルのミュートは解除される。また、ステップSF2で、オンオフパネル値が、オフからオンに更新された場合は、当該プリ信号が選択されている入力チャンネルのミュートが設定される。
ステップSF7では、ステップSF2で更新した入力チャンネル252のオンキーパネル値を図3のオンキーパネルバッファ143を参照して取得する。
ステップSF8では、ステップSF7で取得したオンキーパネル値で、対応する入力チャンネルのDSPバッファ256内のオンオフDSP値を上書きする。その後、ステップSF9に進みオンキー処理を終了する。
図11は、本発明の実施例によるプリキー処理を表すフローチャートである。この処理は、例えば、ユーザが図2のプリキー225を操作することにより図3のプリキーパネルバッファ144のプリキーパネル値を変更する指示を検出したときに起動する処理である。この処理は、例えば、図1のCPU16により制御される。なお、この処理は、ユーザが操作したプリキー225に対応する1つの入力チャンネル252のみを処理対象として実行される。
ステップSG1で、プリキー処理を開始し、ステップSG2では、図3のプリキーパネルバッファ144のプリキーパネル値を、今回の処理を起動するきっかけとなったプリキー263の操作に応じて(プリキーの操作前にポスト信号が設定されていたなら)ポスト信号からプリ信号へ、又は(プリキーの操作前にプリ信号が設定されていたなら)プリ信号からポスト信号へ書き換える。
ステップSG3では、操作されたプリキー225に対応する入力チャンネル(処理対象入力チャンネル)が、いずれかのDCAグループに属しているか否かを判断する。ここでは、各DCAグループのパネル値を参照して、処理対象入力チャンネルが属しているDCAグループを抽出する。処理対象入力チャンネルが、いずれのDCAグループにも属していない場合は、NOの矢印で示すステップSG4に進み、いずれかのDCAグループに属している場合は、YESの矢印で示すステップSG5に進む。
ステップSG4では、ステップSG2で更新したプリキーパネル値で処理対象入力チャンネルのDSPバッファ256内のプリポストDSP値を上書きする。処理対象の入力チャンネルのプリキーパネル値を、その入力チャンネルのプリポストDSP値へ上書きし、更新後のDSP値にあわせてDSP25の状態を変更する。
ステップSG5では、処理対象入力チャンネルが属しているDCAグループ(該当DCAグループ)のDCAミュートが「オン」であるか否かを検出する。例えば、該当DCAグループのDCAミュート(図2)226のDCAミュートパネルバッファ145(図3)に保持されているDCAミュートパネル値を取得することにより検出する。DCAミュートが「オン」である場合は、YESの矢印で示すステップSG6に進み、「オフ」である場合は、NOの矢印で示すステップSG7に進む。なお、該当DCAグループが複数ある場合は、その全てのDCAグループについてこの処理を行う。
ステップSG5では、DCAミュートターゲットのパネル値が、「ポストミュート」であるか否かを判断する。パネル値が、「ポストミュート」である場合は、YESの矢印で示すステップSG9に進みオンキー処理を終了する。「プリポストミュート」である場合は、NOの矢印で示すステップSG7に進む。
ここで、パネル値が、「ポストミュート」である場合にプリキー処理を終了するのは、ポストミュートモードでは、もともとポスト信号のみがミュートされているのに、例えば、ポスト信号が選択されていた入力チャンネルについて、プリポストDSP値を「プリ信号」に変更すると、当該チャンネルについてはDCAミュートの設定とは関わりなく、ミュートが解除されてしまう。また、プリ信号が選択されていた入力チャンネルについて、プリポストDSP値を「ポスト信号」に変更すると、当該チャンネルにミュートかけられてしまう。いずれの場合にも、ミュートの状態に変化が起きるので、本実施例では、ステップSG2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映することはせずに、この処理をここで終了する。なお、あえてDCAミュートの設定とは関わりなく上述したようなミュート状態の変化を望む場合は、ステップSG5及びステップSG6の処理を省略して、一律に後述のステップSG7及びSG8の処理を行うようにしてもよい。また、ユーザが、これらの処理を省略するかしないかについて選択できるようにしてもよい。
なお、パネル値が、「プリポストミュート」である場合は、プリ信号とポスト信号のいずれにもミュートを掛けているため、プリポストDSP値を変更しても、DCAミュートの設定状態(フェーダDSP値)には影響がない。よって、ステップSG7〜SG9の処理により、ステップSG2で新たに設定されたパネル値をDSP値に反映する。
ステップSG7では、ステップSG2で更新した入力チャンネル252のプリキーパネル値を図3のプリキーパネルバッファ144を参照して取得する。
ステップSG8では、ステップSGで取得したプリキーパネル値で、対応する入力チャンネルのDSPバッファ256内のプリポストDSP値を上書きする。その後、ステップSG9に進みプリキー処理を終了する。
なお、図11のプリキー処理は、プリキー225が操作された場合に、必ず新しい値をDSP値に反映させるようにしてもよい。その場合は、ステップSG1、SG2、SG4、SG9の順で処理を実行する。
以上、本発明の実施例によれば、複数の入力チャンネルをグループ化して、該グループ化した複数の入力チャンネルを一括してミュートするDCAミュート機能において、DCAミュート機能の処理対象をフェーダを経由しないプリ信号とフェーダを経由するポスト信号の双方又はポスト信号のみのいずれか一方から選択できる。
また、本発明の実施例によれば、DCAミュートの処理対象がポスト信号のみである場合には、フェーダのDSP値(実際の設定値)を、例えば、−∞dBまで下げることによりポスト信号の音量を0とし、ポスト信号のみをミュートすることができる。また、DCAミュートの処理対象がプリ信号とポスト信号の双方である場合には、入力チャンネルからバスへの経路を切断(オフ)することにより、プリ信号とポスト信号の双方をミュートすることができる。
なお、本発明の実施例は、実施例に対応するコンピュータプログラム等をインストールした市販のコンピュータ等によって、実施させるようにしてもよい。その場合は、図2に示すトップパネル220に配置される操作子群をディスプレイ23等に表示して、該表示された操作子群をマウスなどのポインティングディバイスや文字入力用のキーボードなどで操作することにより、上述の実施例における各種操作を行う。
また、その場合には、各実施例に対応するコンピュータプログラム等を、CD−ROMやフロッピー(登録商標)ディスク等の、コンピュータが読み込むことが出来る記憶媒体に記憶させた状態で、ユーザに提供してもよい。
なお、上述の実施例で説明したDCAグループのほか、ミュートグループという機能がある。ミュートグループは、グループ化された複数の入力チャンネルを一括してミュートする機能であり、ミュートキーで選択されたミュートグループに属する全入力チャンネルをミュートする。ミュートグループのミュートは、入力チャンネルのオンオフ機能をオフに切り替えることにより行われる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1…音響信号処理装置、11…バス、12…検出回路、13…表示回路、14…RAM、16…CPU、17…フラッシュメモリ、18…I/Oインターフェイス、19…電動フェーダ、20…HDレコーダ、22…操作子、23…ディスプレイ、25…DSP、26…波形I/O、56…タイマ、140…パネルバッファ、141…入力チャンネルフェーダパネルバッファ、142…DCAフェーダパネルバッファ、143…オンキーパネルバッファ、144…プリキーパネルバッファ、145…DCAミュートパネルバッファ、146…DCAミュートターゲットパネルバッファ、191…フェーダ操作子(入力チャンネルフェーダ)、192…DCAフェーダ、220…トップパネル、221…インプットセクション、222…DCAセクション、223…カーソルセクション、225…プリキー、226…オンキー、227…DCAミュート、231…LCD、232…レベルメータ、233…DCAミュートターゲット設定画面、234…ミュートターゲットキー、251…入力パッチ、252…入力チャンネル、253…信号処理部、254…音量制御部(フェーダ)、255…出力パッチ、256…DSPバッファ