JP5633140B2 - 音響パラメータの制御装置 - Google Patents
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いずれの場合においても、フェーダの分解能は固定されていることから、従来は細かい調整が必要となる操作範囲では、ユーザが手動でフェーダを細かく操作することにより微調整する必要があり、操作に手間がかかると云う問題点があった。
図1に示すディジタルミキサ1は、ディジタルミキサ1の全体の動作を制御すると共に、コンソールパネルに設けられているフェーダ等の各種操作子の操作に応じた制御信号を生成しているCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10が実行するミキシング制御プログラム等の動作ソフトウェアが格納されている書き換え可能な不揮発性のフラッシュメモリ11と、CPU10のワークエリアや各種データ等が記憶されるRAM(Random Access Memory)12を備えている。このように、フラッシュメモリ11に動作ソフトウェアを格納することにより、フラッシュメモリ11内の動作ソフトウェアを書き換えることで、動作ソフトウェアをバージョンアップすることができる。また、ディジタルレコーダ等のその他の機器は、入出力インタフェースであるその他I/O13を介してディジタルミキサ1に接続される。
図2において、複数のアナログ入力ポート(A入力)20に入力された複数のアナログ信号は、波形I/O17に内蔵されているAD変換器によりディジタル信号に変換されて入力パッチ22に入力される。また、複数のディジタル入力ポート(D入力)21に入力された複数のディジタル信号は、そのまま入力パッチ22に入力される。入力パッチ22では、信号の入力元である複数の入力ポートの何れか1つの入力ポートを、例えば48チャンネルとされる複数の入力ch部23の各入力チャンネル毎に選択的にパッチ(結線)することができ、各入力チャンネルには、入力パッチ22でパッチされた入力ポートからの信号が供給される。
また、複数のアナログ出力ポートを備えるアナログ出力ポート部(A出力)27へ供給されたディジタル出力信号は、波形I/O17に内蔵されているDA変換器によりアナログ出力信号に変換されてアナログ出力ポートから出力される。そして、アナログ出力ポート部(A出力)27から出力されるアナログ出力信号は、増幅されてメインのスピーカから放音される。さらに、このアナログ出力信号は出演者が耳に装着するインイヤーモニタに供給されたり、その出演者の近傍に置かれたステージモニタスピーカで再生される。また、複数のディジタル出力ポートを備えるディジタル出力ポート部(D出力)28から出力されるディジタルオーディオ信号は、レコーダや外部接続されたDAT等に供給されてディジタル録音することができるようにされている。
図3に示すようにコンソールパネルには、紙面の右側の上部にタッチパネルとされている表示器14が設けられ、表示器14の下に割当型ストリップ部42が設けられている。また、パネルの左半分の上側にはチャンネルストリップ部(上段)40が設けられ、その下側にチャンネルストリップ部(下段)41が設けられている。チャンネルストリップ部(上段)40とチャンネルストリップ部(下段)41とは、例えばそれぞれ12本ずつチャンネルストリップが設けられており、図示しないレイヤースイッチで選択された入力チャンネルが12チャンネルずつ割り当てられる。チャンネルストリップ部(上段)40とチャンネルストリップ部(下段)41における各チャンネルストリップには、当該チャンネルストリップに割り当てられた入力チャンネルのボリュームを設定できるフェーダ43と、チャンネル番号やチャンネル名が表示される表示部と、その入力チャンネルを選択するSELスイッチおよびチャンネルをオン/オフするCHオンスイッチとが設けられている。割当型ストリップ部42は、横一列に並べて配置された主要なパラメータを制御することのできる16本のストリップ部からなり、割当型ストリップ部42には、入力チャンネルが16チャンネルを割当単位として割り当てることができると共に、チャンネルのグループを割り当てることができるようにされている。割当型ストリップ部42における各ストリップ部には割り当てられた入力チャンネルあるいはグループのボリュームを設定できるフェーダ43と、チャンネル/グループ番号やチャンネル/グループ名が表示される表示部と、割り当てられたチャンネルあるいはグループを選択するSELスイッチおよびオン/オフするONスイッチとパラメータを設定するノブとが設けられている。
このフェーダ43のコンソールパネル上の構成を拡大して図4に示す。図4に示すように、フェーダ43はフェーダ摘み43aを備えており、フェーダ摘み43aを把持して縦方向に設けられている溝内を上下にスライド可能とされている。フェーダ摘み43aの操作範囲は溝の上端から下端までの操作範囲とされている。また、溝に沿ってフェーダ摘み43aの操作位置を示す目盛り43bが設けられており、例えば目盛り43bの上限は+10dBとされ、+5dB、0dB、−5dB、−10dB、−20dB、−30dB、−40db、−58dB、−60dBおよび下限とされる−∞dBの目盛り43bが付されている。フェーダ43において、フェーダ摘み43aをオペレータが把持してスライドさせると、スライドさせたフェーダ摘み43aの位置に対応する音響パラメータ値に設定することができる。
図5にフェーダ摘み43aの操作範囲を1024ステップに分割した際の各ステップの位置(フェーダ摘み43aの位置)と設定値との対応関係をパラメータテーブルで表したフェーダカーブの一例を示す。このフェーダカーブでは、ステップ1の設定レベルはパラメータ値を絞りきった−∞dBとされ、ステップ100の設定レベルは約−64.80dB、ステップ200の設定レベルは約−44.80dB、ステップ300の設定レベルは約−32.80dB、ステップ400の設定レベルは約−22.80dB、ステップ500の設定レベルは約−16.20dB、ステップ600の設定レベルは約−11.20dB、ステップ700の設定レベルは約−6.20dB、ステップ800の設定レベルは約−1.20dBとされ、ステップ824の設定レベルが約±0.00dBのフェーダ摘み43aの設定基準位置を示すノミナル値とされ、ステップ1024の設定レベルはパラメータ値を上げきった約+10.00dBの最大レベルとされる。このパラメータテーブルのフェーダカーブを用いて、スライドさせたフェーダ摘み43aの位置に対応する音響パラメータ値を決定することができる。なお、図5では省略しているが、フェーダ摘み43aが移動できる全ステップ(フェーダ摘み43aの操作範囲内の全ステップ)にわたって、1ステップ毎の設定値がパラメータテーブルに規定されている。
そこで、本発明にかかる音響パラメータの制御装置においては、フェーダカーブは複数種類のフェーダカーブが用意されてフラッシュメモリ11に記憶されており、0dB付近の操作範囲において高い分解能とされたフェーダカーブや−∞dB付近の操作範囲において高い分解能とされたフェーダカーブが用意されている。オペレータは、コンソールパネル上に設けられた図示しない選択スイッチを操作して、複数種類のフェーダカーブの内のいずれかのフェーダカーブを選択して使用することができる。
さらに、図6に示すフェーダカーブとはさらに異なるフェーダカーブのグラフを図8に示す。図8に示すフェーダカーブは、下限位置(−∞)付近の設定値の調整のために、該当するフェーダ摘みの操作範囲を、図6に示す一般的なフェーダカーブよりも広く確保したフェーダカーブとされている。図8に示すグラフのフェーダカーブでは、ステップ1024〜約ステップ500付近までのフェーダ位置の分解能が低くされているが、約ステップ400以下となるにつれてフェーダ位置の分解能が次第に高くされている。すなわち、設定値が約−80dB以下のフェーダ43を絞った操作範囲において高い分解能とされて、音量をしぼりきる場合に滑らかに減衰させることができるようになる。ただし、ノミナル値(0dB)のフェーダ位置は図6に示すフェーダカーブと同様にステップ824とされていると共に、設定値の上限値および下限値も+10dB〜−∞dBと同じとされている。
なお、ステップS11にて移動するフェーダ摘み43aは、新たにフェーダカーブが割り当てられたストリップ部におけるフェーダ43に限られることはいうまでもない。例えば、一括してチャンネルストリップ部(上段)40、チャンネルストリップ部(下段)41、割当型ストリップ部42に新たなフェーダカーブが割り当てられた場合は、これらのストリップ部の全てのフェーダ43におけるフェーダ摘み43aが新たなフェーダカーブに応じて移動することになる。フェーダカーブの設定処理は、ストリップ部40,41,42に属する全てのフェーダ43が実行対象とされる。
いずれかのフェーダ43が操作されると、図10に示すフェーダの操作処理がスタートされ、ステップS20にて操作されたフェーダ43に割り当てられているカレントメモリ上のフェーダカーブを参照して、操作後のフェーダ摘み43aの位置に該当する設定値が確認される。次いで、確認された設定値を操作されたフェーダ43にアサインされているチャンネルの新たな音響パラメータ値としてステップS21にてセットする。この場合、ステップS20で確認された設定値を、今回の操作対象であるフェーダ43にアサインされているチャンネルの音響パラメータの新たな現在値とし、当該確認された設定値を新たな現在値としてカレントメモリ中の該当する音響パラメータ値へ上書きし、当該上書き後のカレントメモリの音響パラメータ値を信号処理部(DSP)18へ反映させる。ステップS21の処理が終了するとフェーダの操作処理は終了する。
なお、ディジタルミキサ1においては、コンソールパネルに設けられているフェーダ43、ノブやスイッチ等の操作子により設定されたチャンネル毎の信号処理用のパラメータおよび割り当てられたフェーダカーブからなるパラメータセットはカレントメモリに格納される。このカレントメモリ上のパラメータセットを、シーンとしてシーンメモリにストアすることができる。シーンの各々にはシーン番号が付与されてストアされ、シーン番号を指定してリコール操作することにより、指定されたシーン番号のシーンが読み出され、そのシーンに応じたフェーダカーブを含む設定状態がディジタルミキサ1で再現されるようになる。これにより、一度設定した会議室、宴会場、ミニシアターや多目的ホールまでの様々なシーンを再現することができるようになる。
また、新たなフェーダカーブが選択された時に、現在の設定値に該当するフェーダ摘みの位置を新たなフェーダカーブで確認し、現在の設定値の位置へフェーダ摘みを自動的に移動させるようにしたが、これに替えて、現在のフェーダ摘みの位置に該当する設定値を新たなフェーダカーブで確認し、現在のフェーダ摘みの位置の設定値に自動的に変更するようにしても良い。
なお、ディジタルミキサにおけるチャンネルストリップ部には、入力チャンネルや出力チャンネルを割り当てることができる。また、割当型ストリップ部には入力チャンネルやグループを割り当てられるが、出力チャンネルを割り当てるようにしても良い。出力チャンネルを、チャンネルストリップ部あるいは割当型ストリップ部に割り当てた場合は、入力チャンネルに行えた操作と同様の操作を出力チャンネルに対して行えるようになる。
また、チャンネルストリップ部は12本ずつのチャンネルストリップを2段に設けていたが、任意の本数のチャンネルストリップを2段に設けるようにしても良い。また、割当型ストリップ部に設けられているストリップ部の本数も任意の本数とすることができる。
Claims (3)
- 操作範囲が一端から他端までの操作範囲とされている摘みを有し、前記摘みの位置に対応する音響パラメータ値に設定可能な複数の操作子と、
前記摘みの位置に対応する音響パラメータ値が示される操作カーブが複数記憶されている記憶手段と、
前記複数の操作カーブの内の1つを選択する選択手段と、
前記操作子における摘みの操作を検出する検出手段と、
前記選択手段において前記複数の操作カーブの内の1つが選択された時に、選択された前記操作カーブに基づいて、前記操作子における摘みの位置と現在の設定値とが対応するように、前記摘みの位置を調整する調整手段と、
前記検出手段が前記操作子における摘みの操作を検出した際に、前記摘みの操作量に対応する音響パラメータ値の調整量を、前記選択手段において選択中の前記操作カーブに基づいて決定し、決定した調整量に基づいて音響パラメータ値を更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする音響パラメータの制御装置。 - 前記複数の操作カーブでは、前記操作子における摘みの位置を示すステップ数と、設定される音響パラメータ値の上限値および下限値とが同じ値とされることを特徴とする請求項1記載の音響パラメータの制御装置。
- 前記操作子における摘みの設定基準位置を示すステップ数が、前記複数の操作カーブにおいてほぼ同じとされることを特徴とする請求項1記載の音響パラメータの制御装置。
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