JP4929343B2 - 梅ピューレおよび梅ピューレ加工飲食品の製造方法 - Google Patents

梅ピューレおよび梅ピューレ加工飲食品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は梅の果実から梅ピューレおよび梅ピューレ加工飲食品を製造する方法に関するものである。
梅の果実は6、7月に収穫が集中しているが、保存が難しい為に短期間に処理する必要がある。生梅の細胞には青酸配糖体(アミグダリン)が含まれ、加水分解によりグルコース、青酸、ベンズアルデヒドが生成される。青酸は猛毒であり、ベンズアルデヒドは高い抗菌性を示す不味、不快な成分である。梅の細胞が死ぬと酵素により分解され、カビなどの微生物の攻撃を受けて腐敗する。梅の加工では細胞死で分解されてもカビなどの発生がないことが重要で、このために高濃度の塩漬け(梅干し)と糖/アルコール漬け(梅酒)が行われてきた。
梅干しではアミグダリンが分解して生成された青酸とベンズアルデヒドは数日の天日干しによる紫外線で他の成分に変わり、また梅酒ではこれらは数ヶ月〜1年間の熟成で消滅する。また、これらの青酸とベンズアルデヒドは高温で糖とともに加熱すると数分間で分解され無毒化される。このように、梅の無毒化にはアミグダリンを酵素で分解して青酸、ベンズアルデヒドを生成させ、更にこれらを無毒化する2段階の工程が必要とされる。
梅干しの原料としては香気が高く、軟らかく、美味な完熟梅が使用されることが多い。しかしながら、完熟梅でも不揃いで姿の悪いものや過熟梅(果肉が溶解したもの)は商品価値がないものとして廃棄されることが多い。一方、青梅は梅干しに加工しても美味でなく、梅酒に加工されるのが一般的である。何れにしても梅は梅干しまたは梅酒用に加工されることが大半を占めている。
しかしながら、梅干しは高塩分のため需要が減り、現在では梅干しを流水で脱塩し、調味液に漬け込んだ調味梅干が主流となっている。この調味梅干では梅干しの塩分が流水に溶け出すのと同時に他の成分も流出するので、低塩分になればなるほど中身の薄いものとなる。この味の低下を補うために食品添加物(甘味料、アミノ酸類、酸味料など)が多用され、消費者に不安視されている。また、現在市場に出ている練り梅は梅干しを原料にしているため、同様の問題がある。
一方、梅酒では高糖度/高アルコール度のため、カロリーが高く、低カロリー化が求められている。そこで、糖やアルコールの濃度を下げれば成分の抽出速度が低下し、浸漬時間を長くする必要があり生産性が低下する。また、低カロリー化はカビの発生を誘発する。
また、梅干し及び梅酒の製造に当たっては、以下のような廃棄物処理の問題も生じている。
すなわち、梅干しは塩漬けに多量の食塩を使うため、高塩分で高酸度の梅酢(塩分20%、PH2以下)が副生される。このような梅酢は電気透析で脱塩し、調味料他に加工する試みがなされているが、コスト高のために一般的ではない。また、脱塩水(低濃度・大量)と調味液の廃液も産出する。これらの梅酢、脱塩水、調味液などの廃液処理は大きな問題となっている。
また、梅酒より出るアルコールを含んだ梅は一部ジャムの原料などに活用されているが、脱アルコールに手間がかかり梅の風味の乏しい製品しかできないので、大部分は産廃処理されている。
梅干しと梅酒以外の梅製品としては梅ピューレを原料とした梅加工品も提案されているが、梅の毒性の処理が課題を残している。
また、梅の収穫時期は上述のように短期間に限られ生梅の保存が難しいので、熟した梅を凍結した後に解凍して着色、味付けを施す梅干しの製造方法が提案されている(特開2005−261276)。しかし、梅は冷凍破壊が激しく、解凍時にアミグダリンが残り、その後の加工を難しくしている。そして、ピューレに加工しても同じことが起こるので、高品位の加工品ができないのが現状である。
特開2005−261276
原料に冷凍梅が使えれば周年安定操業ができ、工場、設備、労務の効率化が図れるので、大幅なコストダウンが可能となる。近年、種々の農産物の冷凍加工が増えている。これらは、何れもブランチング処理(高温塩水浸漬処理)後に冷凍するのが一般的である。また、解凍もブランチング処理で行うことがあるが、何れもブランチング処理では梅の細胞内の酵素が失活し、アミグダリンが分解できず、有毒成分が残ることとなる。また、常温による解凍では冷凍破壊された細胞内の成分が流出し、変質が激しくアミグダリンも残ることとなる。
本願発明者は冷凍梅を原料にすれば、原料確保の問題がなくなり、周年計画的に生産でき、品質の安定、安定供給、コストダウンを通じて生産者、消費者に貢献できることに着目し、冷凍梅の解凍技術を改善することによってアミグダリンを分解するとともに高品質の梅ピューレおよびその加工飲食品を製造する方法を提供したのである。
本発明に係る梅ピューレの製造方法は、完熟梅または追熟梅からなる梅の果実を凍結する工程と、凍結した梅の果実を50〜65℃の温水に5〜30分接触して解凍する工程と、解凍して軟化した前記梅の果実の種を除いて果肉または果肉と皮に分離してスラリー状にしてなる工程とからなる。
また、本発明に係る梅ピューレの加工食品の製造方法は、前記の方法で製造された梅ピューレに副原料として調味料及び/または糖類を含む食品素材を混合する工程を含むものである。
好ましくは、前記解凍工程の前記温水の温度を前記所定時間の50%以上の時間において55〜60℃の範囲に維持してなることである。
また好ましくは、前記梅ピューレ加工食品の前記副原料として糖類を混合し、前記梅ピューレと該糖類を撹拌加熱してジャム状またはソース状にしてなる工程を含むことである。
また好ましくは、前記梅ピューレ加工食品の前記副原料として糖類を混合し、その後常温で放置して梅果汁として熟成してなる工程を含むことである。
また好ましくは、前記梅ピューレ加工食品の前記副原料として食塩と糖類を混合し、その後常温で放置して練梅として熟成してなる工程を含むことである。
また、本発明に係る梅ピューレ加工飲料の製造方法は、前記副原料として糖類とアルコール飲料とを混合し、その後常温で放置して梅酒に熟成してなる工程を含むことである。
また、好ましくは、前記梅ピューレまたは前記梅ピューレに副原料を混合したものに紫外線を照射する工程を含むことである。
また、好ましくは、前記紫外線照射が、前記梅ピューレまたは前記梅ピューレに副原料を混合したものを紫外線を実質的に透過する容器に充填し、密閉し、日光に晒すことによって行われることである。
本発明の梅ピューレは冷凍梅を原料としているため、周年計画的に生産でき、品質の安定、安定供給、コストダウンを実現できる。
また、凍結した梅の果実を50〜65℃の温水に接触して解凍するため、酵素の失活を起こすことなくアミグダリンが酵素分解され迅速な解凍が可能となる。
落下梅や過熟梅などで今まで利用できなかった梅の果実が梅ピューレに加工でき、練梅、ジャム、飲料などの原料として利用できるので、経済的利益は大きい。
また、梅ピューレ加工食品では塩分は味付け分にだけ使うので、高塩分の恐れはない。
また、梅ピューレを用いた梅酒の製造方法では熟成期間が短くなり、ピューレの抗菌性が高いことから糖/アルコールの濃度を下げてもカビの発生を防ぐことができるので従来より低カロリーの梅酒を製造することができる。
また、本発明の製造方法では高塩分の廃液は一切排出しないし、廃棄物は種のみで環境問題は生じない。
本発明に係る梅ピューレとその派生製品の製造工程図。
以下に本発明を実施するための具体的な形態について図1に基づいて説明する。
梅ピューレの原料梅としては色が良く、香りが高く、味がよいことから完熟梅が最適である。完熟梅の大小及び姿形は問わない。また、完熟梅以外にも追熟梅を使用することもできる。また、内部が一部溶解した過熟梅も本発明では原料梅として使用可能である。
その原料梅から原料洗浄工程において土、ほこり、枯枝葉などの狹雑物を槽浸漬式、シャワー式などで水洗いして除き、水切りをする。
凍結工程では、原料梅を容器に入れて冷凍庫内に搬入し凍結する。−20℃以下の冷凍庫でIQF(Individual Quick Freezing)凍結するのが望ましいが、多少塊になっても使用できる。また緩慢凍結でも可能である。
冷凍保管工程では凍結梅を容器に密閉して−15〜−30℃冷凍庫で保管する。多少の冷凍破壊は組織が軟らかくなり好ましいが、冷凍焼けは望ましくない。保管期間は1年以内が望ましいが、1年以上でも品質上の問題は無い。
解凍工程では、冷凍梅を温度55〜60℃の温水に接触して解凍する。梅の表皮は丈夫で冷凍による細胞破壊があっても内部より液の流出はなく、酵素は活性を維持している。解凍は死んだ細胞を融解し、酵素で分解する。一方、生き残っている細胞は熱で細胞死を起こさせ酵素を働かせる必要がある。このため、細胞死が起こり酵素が活性を保つ前記温度域での解凍が好ましい。
冷凍梅の接触で温水の温度が下がることを勘案すると、当初は62〜65℃程度の温水に接触させ、55〜60℃に下がった状態を維持するのがよい。そして、少なくともこの温度域で解凍時間の50%以上の時間を保持することが重要である。65℃を越えると酵素の失活があり、50℃未満では細胞死が起こらず酵素が働かない。また、60〜65℃の温水は梅の表面に付着している酵母などの常在細菌を殺すことができ、その後の管理が楽になる。
解凍時間は梅の大きさ、保管状態により異なるが、5〜30分程度がよく、大粒では長く、小粒では短くなる。2〜3LのIQF完熟梅では20〜25分間がよく、その時間の50%以上の時間が55〜60℃であることが望ましい。この時間が長すぎると皮が破れ果肉が流出するし、短いとアミグダリンが残る。
解凍に使用する液体は真水のみでも充分に解凍できるが、梅がこれを多少吸収する恐れがある。これを防ぐためには温水の浸透圧を上げるとよいので、食塩1〜3%または砂糖10〜15%の水溶液がよく、後工程の副原料と同じ種類のものが望ましい。
解凍装置としては浸漬槽やシャワーなど市販の装置を使用することができる。
解凍されて軟化した梅から種抜きを行う。工業的には種分離機が使用できる。例えば、「梅肉取機」(横浜市港北区の小原理機株式会社)のように小型で高性能のものが市販されている。少量の場合には、多孔板の上で手で揉み分離してもよい。取り除いた種は廃棄する。
種が分離された果肉はスラリー状の梅ピューレとなる。皮は回収して細断後に果肉と混ぜることによって歩留まりと食感の向上を図ることができる。
梅ピューレの果肉は明るいオレンジ色で、酸味、苦味が強く刺激的な味でそのままでは食べられない。この梅ピューレは抗菌性が高く、夏場3ヶ月間室温で放置してもカビの発生、変質がない。
梅ピューレはクエン酸を4〜5%含んでいるので酸味が強く、糖類の添加が必要となる。そのために味覚、形状、色調などを改善するための調味料や食品素材等の副原料を混合する。調味料としては食塩、砂糖、味噌、醤油、ミリン、お酒などの一般的なものである。食品素材としては、蜂蜜、水飴、異性化糖などの糖類、焼酎、プランデーなどのアルコール飲料、セルローズ、デンプン、寒天、ペクチンなどの増粘剤、紫蘇、クチナシ、紅花などの天然色素が好適である。
梅ピューレに副原料を加えて梅ジャムを作るには梅ピューレ100重量部に対して砂糖60〜100重量部を加える。
梅ソースを作る場合にはそれに水を20重量部以下加えるのがよい。
梅果汁を作るには梅ピューレ100重量部に対して砂糖50〜120重量部、水500重量部以下を加えるのがよい。
練梅を作るには梅ピューレ100重量部に対して食塩2〜10重量部、砂糖5〜25重量部を加えるのがよい。
梅酒を造るには梅ピューレ100重量部に対して25度の甲種焼酎50〜400重量部、砂糖30〜120重量部、水400重量部以下を加えるのがよい。
以上の添加量の例示は目安であり、好みの味、香り、粘度、色調等によって量を調整する。更に、これらに少量の増粘剤や天然色素を加えて粘度の調整や色調の調整が可能である。
上記のように梅ピューレに副原料を混合したものを攪拌機で混合する。この撹拌に際して水分の除去あるいは追加は製品の目指す濃度、粘度、色調などで決める。
このようにして製造した梅ピューレまたは梅ピューレ加工飲食品は紫外線を実質的に透過する素材で形成した容器に充填する。紫外線を実質的に透過する素材としては紫外線吸収剤を添加していないプラスチック材や色付きでないガラス瓶を指し、これらで形成された容器に蓋、ラベル、印刷など一部不透過部分があってもよい。
プラスチック容器としては強度の関係で容量5リットル以下が使いやすい。例えば、縦横200×300mm、厚み10〜30mmの袋状、30〜500g入りのスタンディングパウチ、100ミリリットル〜4リットルのPETボトルなどである。ガラス瓶では100ミリリットル〜10リットル程度のものが使いやすい。
これらの容器は何れも比表面積(面積/体積)の大きいものが有利である、透過深度が10cm程度と仮定すると、最大で断面が15cm角または18cmφで容量10リットル程度で縦長の容器が取り扱い状から見ても限界である。
梅ピューレ及び梅ピューレ加工飲食品(両者を含め以後「製品」と呼ぶ)の包装は最初の包装をそのまま最終包装とすることができるので、途中の詰め替えロスや細菌汚染の恐れがないので有利である。もちろん途中の詰め替えも可能である。
紫外線照射は梅ピューレのアミグダリンが分解され青酸、ベンズアルデヒドとなった状態であれば何時でもよい。工業用装置としては槽内に紫外線ランプを設置したバッチ式、ガラス管内に製品を流動させ外部から照射する連続式の紫外線殺菌装置がある。これらの工業用装置は大量生産と品質の確保ができるが設備費及びエネルギー費がかかる。一方、容器に製品を充填密閉したまま全面に日光を当てる方法では、特別な設備が不要で経済的である。日光に晒す方法における紫外線の夏場における照射時間は厚み20mmの袋で1〜3日間、1リットル入りガラス瓶(90mmφ×180mm高)で3日間〜1週間、5リットル入り梅酒瓶(150mm角×300mm高)では2週間〜1ヶ月間が目安である。もちろん冬場は長くなり当然天候の影響を受ける。紫外線は熟成を促進する効果があり、品質向上に役立つが、過度の紫外線は着色の原因となる。なお、紫外線なしでも熟成は進むが時間がかかる。
日光に当てた容器は外側がホコリなどで汚れている場合が多いので、水洗して乾燥する。
梅ピューレは抗菌性は高いが、加水した場合などでは酵母などで発酵することがあるので、紫外線照射の前に充填した容器を60〜63℃の温水に浸漬して加熱殺菌するとよい。時間は容器の大きさに合わせて選択するが10〜60分間程度が必要である。
また、製品の包装体は流通中にカビの発生の恐れがある。特に、加水や副原料の混合で酸度の低下(PH上昇)や水分活性の上昇が考えられる場合には、85℃の温水で10〜60分間加熱殺菌するのがよい。
梱包に当たっては流通時の変質を抑えるために紫外線遮断フィルムで包装することも可能である。
梅ピューレ派生製品について以下に説明する。
(1)梅ジャム・梅ソース
ジャムは保形性を有し、ソースは流動性があるものという。梅ジャムは梅ピューレと糖類のみを加熱混合して形成するので、梅の風味と安全性が担保され、パン、製菓材料用として使用できる。
梅ソースは梅ジャムの水分を多くして粘性を下げたものでヨーグルトソースに適する。
(2)梅果汁
梅ピューレと糖類のみを熟成させたもので、非加熱でフレッシュ感がある梅果汁が得られ、ジュース原液や製菓材料となる。
(3)練梅
従来と異なり梅干しを原料としていないため、脱塩の必要がないので、食品添加物の必要がなく、好みの塩分で自由に調味できる。用途としては近年急増しているおにぎり用がある。
(4)梅酒
低糖度/低アルコール度、低カロリーの梅酒ができる。熟成時間が短く、梅果肉全体が摂取できるので、栄養面でも優れている。必要に応じて濾過、火入れ(低温殺菌)をして、改質と保存性向上をはかることが可能である。
(5)梅調味料原料
苦味、渋みの少ない梅ピューレのみが供給されるので、使う人が自由に調味することができる。用途としては、各種調味料、ソース類、製菓材料、梅エキスなどの原料となる。梅ピューレに予め10%以下の糖類を加えることは熟成に役立ち、味覚の改善もはかれる。
==実施例1==
食品定温加熱装置(実用新案登録第3116321号の寸胴鍋(270mmφ×500mmH)に温調器付の投げ込みヒーター(1.2kw)を設置、水を20リットル張り込み、65℃まで加熱した。寸胴鍋の上部に設置された収納篭に冷凍IQF南高梅(2〜3L、−20℃)3,000gを入れ寸胴鍋の温水内に浸漬した。槽内の温度は4分後に57℃まで低下したので、55〜60°Cの温度域で更に18分間継続して解凍を終了した。液切り後の梅をプラスチック製の目皿の上において手で揉み果肉と種、皮に分離し、皮は細断し果肉に混ぜた。果肉の付いた種は野菜用遠心脱水機に投入し、果肉を回収し、これらを以前に分離した果肉と皮とに混ぜ梅ピューレを得た。なお、種は廃棄した。梅ピューレの生成量は1,950gで、原料冷凍梅の65%であった。
梅ピューレは淡いオレンジ色で酸味苦味が強く刺激性のある味で、スラリー状で粘性は低かった。上記梅ピューレ100重量部に上白糖85重量部を加え、撹拌しながら加熱し、沸騰点で7分間保持し、梅ジャムを作った。更に梅ジャムと同じ製法で、水10重量部を加え梅ソースを作った。これらは共に酸味、甘味、梅の香りがよく、粘性もジャム、ソースともに目的に合う物であった。
==実施例2==
実施例1の梅ピューレ100重量部、上白糖85重量部を混ぜ、180ミリリットルのガラス瓶(OD50mmφ 140mmH 金属蓋付)に180g入れ、アルミ反射板の前で日光に晒した。
照射は延べ4日間、全日射時間は17時間であった。製品は透明な淡いオレンジ色、さらっとした感じのフレッシュ感のある美味しいものであった。3〜10倍量の水に溶かせばジュースとして飲用できる。
==実施例3==
実施例1の梅ピューレ100重量部、上白糖15重量部、食塩5重量部、セルロースパウダー2重量部、紫蘇エキス5重量部を混ぜ、250ミリリットルのPET容器(OD68mmφ×60mmH金属蓋付)に240g充填し、日光に晒した。容器の前面と上部は開放状態で、他面はアルミの反射板を置き全方向より日光を当てた。照射は延べ4日間、全日射時間は17時間であった。出来上がった製品は、薄い赤紅色で、適度の粘性を有し、酸味がある味の濃い練梅であった。
==実施例4==
実施例1の梅ピューレ100重量部、果糖30重量部、25度甲種焼酎200重量部を混ぜ2リットルガラス瓶(OD120mmφ×180mmH金属蓋付)に1800g入れ、アルミ反射板の前で日光に晒した。照射は延べ7日間、全日射時間は27時間であった。色は茶色がかったオレンジ色で透明感があるものであった。アルコール濃度15%、糖濃度9%の梅の香り高い果肉入り梅酒ができた。
==実施例5==
実施例1の梅ピューレ100重量部、果糖35重量部、25度甲種焼酎70重量部、ミネラル水100部を混合し、その500gを500ミリリットルPETボトル(60mm角×160mmHプラ蓋付)に充填した。
第1次の殺菌として60〜63℃の温水に30分間浸漬した。全体に日光が当たるよう反射板を置き、延べ4日間、全日照時間17時間日光に晒した。第2次殺菌として80〜85℃の熱水に30分浸漬した後に、水冷し梅酒原液とした。上記原液を濾紙で漉し、液はアルコール分5.7%、糖分11%の梅の香りのよい梅酒となった。収量は梅酒350g、残渣130g、その他のロス20gであった。残渣はペースト状で梅の香りとアルコールの風味、甘味が豊富で、ヨーグルトソースに適していた。
==実施例6==
容量300リットルのスチームジャケット付撹拌槽に200リットルの水を張り、63℃まで昇温し、撹拌を止めてIQF南高梅(2〜3L、−20℃)20Kgを投入、3分後に58℃迄降温した。55〜60℃の温度を20分間維持し、解凍を完了させた。水切り後、遠心式種取り機で果肉と種・皮を分離し、果肉のみを11.2Kg回収した。(収量はIQF梅に対して56%)。上記果肉をナイロン/ポリ袋(200mm×300mm 75μm厚み)に1Kg充填し平らに延ばした。包装体の厚みは15〜20mmであった。アルミ板を下部に置いた網の上に載せ、日光に当てた。照射は延べ3日間、合計12時間であった。次に本発明の梅ピューレを用いた調味料のレシピ例を以下に示す。
(1)梅味噌
・梅ピューレ 100g
・麦味噌(塩分11%) 200g
・上白糖 20g
(2)梅ドレッシング
・梅ピューレ 100g
・オリーブオイル 100ミリリットル
・レモン果汁 200ミリリットル
・上白糖 40g
・醤油 40ミリリットル
・玉葱(ミジン切り) 200g
(3)青魚の煮汁
・梅ピューレ 50g
・醤油 100ミリリットル
・上白糖 50g
・水 500ミリリットル

これらは全て調味料として目的に合うものであった。

Claims (9)

  1. 完熟梅または追熟梅からなる梅の果実を凍結する工程と、
    凍結した梅の果実を50〜65℃の温水に5〜30分接触して解凍する工程と、
    解凍して軟化した前記梅の果実の種を除いて果肉または果肉と皮に分離してスラリー状にしてなる工程とからなる
    梅ピューレの製造方法。
  2. 前記梅ピューレに副原料として調味料及び/または糖類を含む食品素材を混合してなる梅ピューレ加工飲食品の製造方法。
  3. 前記解凍工程の前記温水の温度を前記所定時間の50%以上の時間において55〜60℃の範囲に維持してなる請求項1または2の製造方法。
  4. 前記副原料として糖類を混合し、これらを撹拌加熱してジャム状またはソース状にしてなる工程を含む請求項2または3の製造方法。
  5. 前記副原料として糖類を混合し、その後常温で放置して梅果汁として熟成してなる工程を含む請求項2または3の製造方法。
  6. 前記副原料として食塩と糖類を混合し、その後常温で放置して練梅として熟成してなる工程を含む請求項2または3の製造方法。
  7. 前記副原料として糖類とアルコール飲料とを混合し、その後常温で放置して梅酒に熟成してなる工程を含む請求項2または3の製造方法。
  8. 前記梅ピューレまたは前記梅ピューレに副原料を混合したものに紫外線を照射する工程を含む請求項2または3或いは5乃至7の何れか1項に係る製造方法。
  9. 前記紫外線照射が、前記梅ピューレまたは前記梅ピューレに副原料を混合したものを紫外線を実質的に透過する容器に充填し、密閉し、日光に晒す工程を含む請求項8の製造方法。
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