JP2001046006A - 梅加工食品の製造方法 - Google Patents

梅加工食品の製造方法

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JP2001046006A
JP2001046006A JP21893099A JP21893099A JP2001046006A JP 2001046006 A JP2001046006 A JP 2001046006A JP 21893099 A JP21893099 A JP 21893099A JP 21893099 A JP21893099 A JP 21893099A JP 2001046006 A JP2001046006 A JP 2001046006A
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food
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salt water
salt
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Mamoru Matsubara
護 松原
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G F GIJUTSU KAIHATSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 梅干し、梅ジャム、梅ジュース、梅ドレッシ
ング、梅酒などの従来と遜色のない風味、味覚の種々の
低塩分の梅加工食品を短時間の内に生産することができ
る方法を提供する。 【解決手段】 梅の果実を所定の濃度に予め調整した温
食塩水に接触させて細胞を死滅させる一方、自己消化酵
素を失活させることなく、自己消化酵素による分解を起
こさせ、その後冷却して保存する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、梅果実を産業的に
食品化する為の梅加工食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国では奈良時代より梅果実(生梅)
を梅干しに加工することが行われており、その伝統的な
加工方法は、多量の食塩を生梅にまぶし、瓶や桶に入れ
て重石をかけ、常温で数十日間漬け込む、いわゆる塩殺
しを行う漬物の技法がとられてきた。
【0003】これに対して、低塩嗜好の現代では温度を
下げたり、糖やアルコールを添加して浸透圧を上げ、食
塩を減らす試みもされているが、それでも塩漬け梅の食
塩含有量は16〜17%が下限である。
【0004】一方、低塩化技術としては、塩漬けの温度
を上げて微生物の増殖を抑えながら行う方法として特開
平9−65824号がある。これは生梅に食塩をまぶ
し、ドライの状態で漬け込み浸出して下に溜まった液
(梅酢)を循環し、上部より散液するものである。温度
や食塩濃度が不均一になりやすく、漬け込み時間も日の
単位が要求される。
【0005】一方、梅酒では生梅の成分をアルコールと
糖で抽出するため、数ヶ月から数年の期間が必要であ
る。この抽出期間を大幅に短縮する方法として、赤外線
照射により予め生梅を乾燥してから漬け込む方法(特開
平11−146779号)が提案されている。この方法
では特別な乾燥機が必要であり、1ヶ月程度の期間を必
要とする。
【0006】梅ジャム、梅ジュース、梅びしお、梅ドレ
ッシングなど梅を原料とした製品は大量生産技術が未確
立のため、一部商業生産はあるものの大半は家庭内で調
理されているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】生梅は皮が強く、肉も
固く厚いため、塩漬けに長時間かかる。一方梅の表面に
はうぶ毛があり、雑菌が多量に付着し洗浄してもなかな
か減少しない。
【0008】塩漬けは食品の浸透圧と重石の圧力によ
り、細胞を死滅させ、自己消化酵素の働きにより、細胞
壁を分解し、細胞内の不都合な成分(エグミ、苦味、青
臭さなど)を香りや味のよい成分(酸味、甘味など)に
変える酵素反応である。
【0009】一方、梅の表面に付着した微生物も消化酵
素を出し、梅を分解しようとする。塩漬けは自己消化酵
素と微生物の競合反応である。この微生物の繁殖を抑え
るためにある程度の食塩は必要であり、食塩含有量を下
げる障害となっている。
【0010】一方、塩漬けの段階では高濃度の食塩と重
石のため、梅の水分は外部に溶出し、梅酢を生成する。
この梅酢の中には梅の成分が多量に溶け出し、この塩漬
け段階で梅の重量3分の1から2分の1が失われてい
る。この梅酢には高濃度の食塩が含まれているので、電
気透析などの脱塩をしないと利用できないため、大半は
廃棄されており、廃棄費用は膨大なものとなっている。
【0011】現在のところ、高塩分の塩漬け梅の脱塩技
術としては水にさらす方法が最も一般的であり、いろい
ろな方法が提案されている(特開平10−4873号、
特開平11−42052号、特開平11−155515
号など)。しかしながら、何れも塩抜きの時に梅の有用
成分や旨味成分が失われるため、調味料や添加物でそれ
を補っているのが実体である。
【0012】更に、梅の加工品では、梅干しを中間原料
とした製品(梅びしお、梅ドレッシング、焼酎用梅な
ど)は塩抜きが必要であり、上述の問題点を含んでい
る。
【0013】近年、食塩を使用しないで漬け込む方法と
して、生梅をブランチング処理して、酸溶液に浸漬する
方法(特開平11−137170)や生梅をそのまま酸
溶液に漬け込む方法(食品と科学1998年12月号P
78,79)が提案されている。いずれも製品化には数
ヶ月を要し、品質も異なったものとなる。
【0014】梅酒、梅ジャム、梅ジュースなど生梅を原
料とした加工品は、梅の細胞壁が硬く、外部より浸透圧
で脱水し、細胞死を起こさせるのに時間がかかり、自己
消化酵素の働きが悪いため、加工時間が長くかかる。ま
た、旨味成分や香りが十分でなく、補助成分の添加が必
要となり、梅のみで製品化するのは難しいのが現状であ
る。
【0015】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたもので、その目的は従来の梅加工食品と同様の風味
・味覚を有する一方で、塩分の含有量が少ない梅加工食
品を短時間で加工することができる方法を提供するにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明方法は、梅の果実を所定の濃度に予め調整し
た温食塩水に接触させて細胞を死滅させる一方、自己消
化酵素を失活させることなく、自己消化酵素による分解
を起こさせた後、食品に加工してなることを特徴とする
もので、好ましくは、梅の果実と前記温食塩水との接触
を温食塩水への浸漬または温食塩水の噴射によって行
い、該温食塩水の濃度を5重量%から25重量%とし、
温度を55℃超から60℃未満とすることである。
【0017】植物の細胞や微生物の多くは55℃の温度
では生存できない。一方、酵素は60℃から失活が始ま
る。細胞の死と酵素失活には4〜5℃の温度差があり、
この範囲に保つと細胞死が起こる一方で自己消化酵素が
急激に働き、エグミ、渋味、苦味などが甘味や酸味に、
青臭さは香りに変る。
【0018】一方、植物体に付着している中毒菌・腐敗
菌は低温菌、中温菌が多く、この温度ではほとんど生存
できないことが証明されている。55℃超と60℃未満
に保てば微生物は死滅し、細胞死が起こる一方で自己消
化酵素により急激に分解し、好ましい食品となることが
判明した。
【0019】また、本発明では、上記のように梅の果実
を温食塩水に接触させた後に、冷却液に接触させて冷却
し、その後に食品に加工することが好ましい。これによ
り保存するのに適したものとなる。
【0020】また、好ましくは、前記梅の果実を温食塩
水に接触させた後、冷却液に接触させて冷却した後或い
は冷却液に接触させることなく、保存液中に保管し、そ
の後に食品に加工することである。これにより、保存性
に優れたものを得ることができる。
【0021】また、前記の冷却液又は保存液が、食塩水
溶液又は食塩と有機酸の水溶液であり、且つ食塩の濃度
が0.5重量%から15重量%、有機酸の濃度が5重量
%以下であることが好ましい。
【0022】更に好ましくは、前記のように処理した前
記梅の果実を液切り後、凍結・冷凍保管し、その後解凍
して食品に加工することである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態につき、図面を参照して詳細に説明する。図1は梅加
工プロセスを示している。
【0024】[1]集荷 生梅は品質毎に集荷する。
【0025】[2]選果 サイズ、キズ、熟度別に選果機又は人手で分別する。
【0026】[3]洗浄 表面に付着している土、ホコリ、枯枝、花粳など夾雑物
を取り除く。
【0027】[4]温塩水処理 生梅を籠や網袋に入れ、浸漬したり或いはネットコンベ
アーに乗せ移動しながら噴射(スプレイ)したりして温
塩水と接触させる。温度は57.5℃±2℃程度に制御
し、食塩濃度は5重量%から25重量%が適する。5重
量%未満では梅が吸水して膨張し、皮が破れる恐れがあ
る。一方25重量%超では塩分が濃くなり過ぎて実用的
ではない。浸漬時間(温塩水処理時間)は梅の熟度と大
きさにより支配されるが大略3〜30分の間である。完
熟した小梅では5分程度、青い大粒では25分程度必要
である。長すぎる接触は梅の皮に亀裂が入り、後工程で
の取扱いが難しくなる。また、温塩水処理時間が短すぎ
ると細胞死が不十分で、果肉が硬く、苦味が残る。温塩
水処理時間が適正である場合は梅全体が軟化し、表皮の
破れがなく、弾力のある球体となる。他方、55℃以上
の温塩水処理は梅のクロロフィルの定着が起こり、その
後の退色が抑制され色持ちがよくなる効果もある。
【0028】この温塩水処理は生梅を温塩水中に所定時
間浸漬する方法が好ましいが、生梅を連続的に温塩水処
理するには、図2に示したようなスプレー式温塩水接触
装置を利用する。図2は紙面と直交する方向に延長する
装置部分を断面して示すもので、このプレー式温塩水接
触装置は、底部を逆三角形状としたハウジング1の上方
に上部スプレーノズル2と下部スプレーノズル3とを間
隔を置いて配設され、両スプレー2,3の間にネットコ
ンベヤ4が紙面と直交する方向に搬送自在に配設されて
いる。ハウジング1の下端はパイプ5とポンプ6を介し
て前記上下のスプレーノズル2,3と連通されている。
またハウジング1の下方内部にはヒータ7が配設されて
いる。
【0029】上記ネットコンベヤ4上には生梅が8が載
置されて搬送され、この搬送の間に上下のスプレーノズ
ル2,3から所定濃度と所定温度に予め調整された温食
塩水が所定時間生梅8に噴射されるようになっている。
噴射されてハウジング1の下方にたまった食塩水9はそ
こでヒーター7によって所定の温度に昇温されてポンプ
6によって上下のスプレーノズル2,3からネットコン
ベヤ4上の生梅8に再び噴射される。このようにして、
生梅8がネットコンベヤ4で所定時間搬送される間に所
定濃度の食塩温水と接触されて温塩水処理が行われるの
である。
【0030】[5]冷却 温塩水処理後、直ちに加熱加工されるもの(梅ジャム
等)を除き、品質を安定させるため、内部まで速やかに
冷却する必要がある。冷却は食塩又は食塩と有機酸の混
合液で行うのがよく、15℃以下、望ましくは10℃以
下の水溶液で梅に対して1〜10倍量使用するとよい。
冷却時間は温塩水処理時間と同等程度が望ましい。冷却
方法としては浸漬式又はスプレイ式が使用できる。スプ
レイ式は図2と同様の装置を用い、温塩水処理で用いた
温塩水の代わりに所定温度・濃度の冷水を用いればよい
のである。
【0031】[6]保存 冷却後直ちに加工するものを除き保存する。保存は食塩
又は食塩と有機酸の混合水溶液に浸漬するのがよく、保
存液中に保つことにより空気との接触を断ち、紅、黄、
緑色を長く保持することができる。また、梅と保存液中
の食塩、有機酸などの成分の均一化は3日間以上、望ま
しくは5日間以上で平衡に達する。例えば、処理した梅
を8%の食塩水に等量浸漬、5日間保持して乾燥すれば
約5%の低塩梅干しができる。保存液量は梅1Kgに対
して0.7〜1.2リットル必要であり、保存は冷暗所
で、耐触容器(ガラス、ホーロウ、プラスチック、ステ
ンレス鋼など)で行うとよい。
【0032】保存液の組成は用途に応じて選択する必要
があるが、梅の内部成分の浸透圧を考えると食塩0.5
〜15%又はこれに有機酸0〜5%添加が好適である。
有機酸としては梅の成分であるクエン酸、リンゴ酸、酒
石酸、コハク酸、乳酸、酢酸などを単独又は混合して用
いてもよい。また更に保存液中に調味料(糖類、アミノ
酸類、ビタミン類、核酸・蛋白質分解物など)を添加
し、調味付けを行うことも何ら支障はない。冷却と保存
を同じ液で行うことも可能であり、冷却用液体に漬けた
まま保存すると工程が省略できる。
【0033】[7]液切り 網や目皿の上に放置して自然流下させる程度でよいが、
必要により清浄空気の吹き付け、布や紙などのふき取り
でもよい。
【0034】[8]凍結 梅の収穫期間は1ヶ月程度と短く、加熟になりやすく、
日持ちがしない事から、冷凍保管することにより生産工
程の合理化が可能となる。一般に植物の細胞は細胞壁が
硬く、水分も多いことから、凍結時の氷結晶による破壊
がひどく、解凍時にはドリップの流出、酵素反応による
褐変、組織の軟化が起きる。梅の場合も同じ現象が生じ
実用にはなりえなかった。本発明の温塩水処理を行えば
果肉の細胞壁の大部分は酵素により分解され、表皮は食
塩の脱水作用により、十分に締まり、冷凍に耐えるもの
となる。大量生産の凍結方法としては、エアーブラス
ト、液体窒素などのトンネルフリーザーでI.Q.F
(1個毎の急速凍結)にするのが後工程で取り扱い易
い。
【0035】[9]冷凍保管 凍結した梅は−20℃級冷凍庫中で保管する。期間は1
年間保管可能である。また保管中の乾燥を防ぐにはグレ
ージング、包装などの処置を行うとよい。
【0036】[10]解凍 自然放置でも可能であるが、生産効率より連続温塩水浸
漬式解凍機(特開平9−215468号)が便利であ
る。
【0037】[11]加工 副原料、調味料などを付加し加工する。製品別に従来の
加工法が適用できる。
【0038】[12]梅加工品 現在のところ、梅ジャム、梅酒、梅びしお、梅糖漬け、
梅ドレッシング、梅ジュース等がある。将来、本発明に
より新しい商品の可能性があるものと思われる。
【0039】[13]乾燥 液切り、または解凍後の梅を乾燥させれば梅干しとな
る。乾燥方法としては温風乾燥機、脱水用具(特許公報
第1526723号、第1603028号、第2133
409号等)、天日干しなどで行うことができる。特に
脱水用具に包み、空気を遮断して低温脱水(乾燥)すれ
ば色の良い梅干しとなる。
【0040】[14]梅干 本発明によれば低塩、無添加の梅干しが得られる。天日
干し乾燥では、従来の白干し梅と略同じ外観、食感のも
のが得られる。
【0041】[15]流通 本発明の製品は低塩で保存料などの添加物のないものを
基本としている。流通は品質保持のため、チルド流通が
望ましい。必要なら冷凍も可能である。
【0042】以上、図1の梅の加工プロセスに従って説
明したが、本発明は上記説明に限定されるものではな
い。
【0043】===実施例1=== 完熟南高梅(L)1Kgを網袋に入れ、食塩15重量%
の水溶液4リットルを56〜59℃に保持した容器に投
入、15分間保持した。1Kgの梅を2つに分けサンプ
ル1A、サンプル1Bとした。
【0044】1)梅ジャム 土鍋にサンプル1Aの梅500g、砂糖350gを入
れ、直ちに弱火で15分間加熱、あく取り、種を除去
し、梅ジャムとした(梅ジャム収量491g)。比較の
ため、同じ原料の生梅を砂糖に24時間接触させ、液を
浸出させた後同じ条件で梅ジャムを作った。無処理のも
のに比べ、本発明の梅ジャムは色が薄黄緑色で透明感が
あり、果肉の食感が残り、酸味のきいたフレッシュ感が
あるとの評価を得た(5人のパネラー全員)。
【0045】2)焼酎用梅 サンプル1Bを0〜2℃の5リットルの冷却水(食塩1
重量%、クエン酸3.5重量%)で15分間冷却後、表
面を紙タオルでよく拭き取りアルミプレートに並べ、直
冷式冷凍冷蔵庫(東芝(株)GR−274SV)で2時
間凍結しプラスチック容器に移し、冷凍庫(日立製RF
−113)で保管した。1ヶ月冷凍保管後、室温に放置
し、解凍評価を行った。梅は紅色が残り、形崩れや表皮
の破れが無く、塩分のない、香り豊かな風味であった
(5人のパネラー全員)。
【0046】===実施例2=== 食塩20重量%の水溶液4リットルを56〜59℃に保
ち、その中に完熟南高梅(L)1Kgを網袋に入れ投
入、20分間保持した。その後2リットルのガラスビン
に入れ、0〜2℃に冷却した3.5重量%の食塩水1リ
ットルを注入して冷蔵庫に保存した(サンプル2)。
【0047】1)梅干(A) 14日間保存したサンプル2の10粒を取り出し液切り
後、天日干しを4日間行った。 重量変化 乾燥前重量(10粒) 227.0g( 100%) 乾燥後重量(10粒) 160.5g(70.7%) 成分分析(可食部分のみ (財)日本食品分析センター測定) A: 食塩 2.31g/100g 原子吸光光度法 B: 総酸 3.63g/100g 中和滴定法(クエン酸換算) C: 水分 88.5g/100g 減圧加熱乾燥法 評価 外観色は白干し梅と変わらず、食味は酸味の強いジュー
シィーな低塩梅干であった。
【0048】2)梅酢 14日間保存したサンプル2の保存液の成分分析
((財)日本食品分析センター測定)は次の通りであっ
た。 A: 食塩 1.64g/100g 原子吸光光度法 B: 総酸 2.19g/100g 中和滴定法(クエン酸換算) C: PH 2.5 ガラス電極法 この保存液はそのまま低塩梅酢として利用できる。な
お、従来一般的な梅酢の食塩濃度は20wt%、総酸は
3.5wt%、PHは2.0であり、これと較べると特
に食塩濃度が顕著に下がっていることがわかる。
【0049】3)梅びしお 14日間保存したサンプル2を裏ごしして100gのペ
ースト状梅肉を得た。これに砂糖30g、食塩12g、
みりん小さじ1杯を加え、弱火で10分間加熱し、梅び
しおを作った。薄い黄緑色の酸味のきいた、香り豊かな
梅びしおが得られた。
【0050】4)梅ドレッシング 14日間保存したサンプル2の果肉を取り出し、50g
の梅肉を得た。これに砂糖25g、食塩8g、穀物酢
(4.2%)77cc、カツオだし汁40ccを加え、
よく撹拌してドレッシングを作った。淡黄緑色の酸味の
きいた風味のよい調味料が得られた。
【0051】5)梅干(B) 14日間保存したサンプル2の表面を拭き取り10粒を
脱水シート(昭和電工プラスチックプロダクツ(株)ピ
ッチシート#21S)に包み冷蔵庫内で脱水した(4日
目毎にシートを交換し12日間保持)。 重量変化 脱水前重量(10粒) 182g( 100%) 脱水後重量(10粒) 140g(78.0%) 評価 薄い黄緑色と紅色の残った色鮮やかな梅干が得られた。
【0052】===実施例3=== 食塩6重量%の水溶液4リットルを55.5〜58℃に
保ち、その中に完熟南高梅(L)1Kgを網袋に入れ投
入、12分間浸漬し、その後食塩2重量%の冷却水(0
〜2℃、4リットル)に浸漬して12分間保持した。梅
は皮の破れもなく全体が軟化し良好な状態であった。液
切り後、直冷式冷凍冷蔵庫で凍結し、プラスチック容器
に移し冷凍保管した(サンプル3)。
【0053】1)梅ジュース 冷凍保管1ヶ月後のサンプル3の500gをプラスチッ
ク容器に入れ、上から砂糖500gを振りかけ室温で放
置した。2日目より砂糖が溶解し始め、5日目で完全に
溶解し、芳醇な香りの梅ジュースが得られた。梅の実は
薄い黄緑色で表面が多少収縮しているが、全体に丸くふ
っくらとしており、美味しい梅の砂糖漬けが得られた。
比較のため、生梅を直接凍結し他は同じ条件で加工した
ものは表皮内部とも茶褐色に変色し、風味食感とも劣っ
たものとなった。
【0054】2)梅干 10ヶ月間冷凍保管したサンプル3を等量の8%食塩水
中で解凍し、そのまま冷蔵庫で5日間保持した。液切り
後、天日干しを3日間行い梅干を作った。低塩で酸味の
強い、風味豊かなものが得られた。
【0055】===実施例4=== 食塩15重量%の水溶液4リットルを56〜59℃に保
ち、その中に中粒系の古城(完熟)と古城(青梅)各5
00gを網袋に入れ、15分間浸漬し、食塩2重量%の
冷却液(0〜2℃、4リットル)に入れ冷却しサンプル
4とした。
【0056】1)梅酒 サンプル4の青梅500gと氷砂糖300g、ホワイト
リカー(35度)900ccを1.8リットルガラスビ
ンに入れ、時々撹拌し室温放置した。2週間目頃より梅
が沈み始め、3週間目には完全に沈み、着色の少ない梅
酒が出来上がった。風味は通常のもの(生梅8ヶ月漬込
み、他の条件は同じ)と大差ないとの評価を得た(5人
のパネラー全員)。生梅を本発明のように処理すること
なくそのまま上記の溶液中に投入した場合には、梅が沈
み始めるまで数ヶ月を要する。従って、本発明の上記実
施例では梅酒が短時間でできるので生産性向上が可能と
なる。
【0057】2)調味梅干 サンプル4の完熟梅500gと保存液(食塩5重量%/
クエン酸2重量%)500ccを1リットルガラスビン
に入れ、冷蔵庫内で2ヶ月間保存した。液切り後、調味
液(注1)に4日間浸漬した後、液切り、天日干しを3
日間行い調味梅干を作った。色艶のよいマイルドな調味
梅干が得られた。 (注1)調味液の組成 かつおだし汁 90 cc 砂糖 200 g みりん 60 cc 酒 60 cc 梅保存液 90 cc
【0058】===実施例5=== 新食感野菜加工機((株)寺田製作所#100型)の塩
水槽に15重量%の食塩水34リットルを入れ温度を5
5.5℃〜57℃に保存した。その中に完熟南高梅(L
L)6Kgを網袋(洗濯ネット)に入れ投入、12分間
浸漬した。この処理した梅1Kgを2リットルガラスビ
ンに入れ、冷却した食塩濃度15重量%の食塩水1リッ
トルを加え、5℃の冷蔵庫(ヤンマーディーゼル(株)
CRB型)で保存した(サンプル5)。
【0059】1)梅干(A) 10日間保存したサンプル5を取り出し、表面の水分を
拭き取り2日間天日干し乾燥を行い梅干を作った。 重量変化 生梅 (10粒) 267g( 100%) 乾燥前重量(10粒) 265g(99.3%) 乾燥後重量(10粒) 212g(79.4%) 通常の塩漬け天日干しの梅干の収率は生梅に対して40
〜50%であり、本発明の梅干は非常に高収率であっ
た。 外観・形状 梅干はふっくらと柔らかく薄い茶色であり、従来の白干
し梅とほとんど同じ外観であった。 食感・食味 皮は硬めであるが中はジューシーでフレッシュ感があっ
た。酸味と塩味が強く、昔の梅干との評価を得た(5人
のパネラー全員)。
【0060】2)梅干(B) 梅干(A)と同じ原料を液体窒素凍結機(昭和炭酸
(株)BF−350型)で−70℃、20分間、IQF
凍結を行い、ポリ袋に密閉後、−25℃の冷凍庫で1年
間保管した。この冷凍梅を温塩水解凍機((株)寺田製
作所#10型)で解凍し、天日干し乾燥を行い梅干を作
った。梅の破損、崩れもなく梅干(A)と同等のものが
得られた。
【0061】3)梅干(C) サンプル5を3ヶ月間冷蔵庫で保存後、天日干し乾燥を
行い梅干を作った。梅干(A)、梅干(B)と同等のも
のが得られた。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明では、梅の果実を
所定の濃度に予め調整した温食塩水に接触させて細胞を
死滅させる一方、自己消化酵素を失活させることなく、
自己消化酵素による分解を起こさせた後、食品に加工し
てなるので、生梅の自己消化酵素による分解が極めて短
時間の内に進行し、梅干し、梅ジャム、梅ジュース、梅
ドレッシング、梅酒などの従来と遜色のない風味、味覚
の種々の梅加工食品を短時間の内に生産することが可能
となった。そして、温食塩水との接触時間が短いので、
低塩分の梅加工食品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生梅の加工プロセスを示すフロー
チャートである。
【図2】本発明の方法で使用することのできるスプレー
式温塩水接触装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2,3 スプレーノズル 4 ネットコンベヤ 5 パイプ 6 ポンプ 7 ヒーター 8 生梅 9 食塩水

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 梅の果実を所定の濃度に予め調整した温
    食塩水に接触させて細胞を死滅させる一方、自己消化酵
    素を失活させることなく、自己消化酵素による分解を起
    こさせた後、食品に加工してなることを特徴とする梅加
    工食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記梅の果実と前記温食塩水との接触が
    温食塩水への浸漬または温食塩水の噴射によって行わ
    れ、該温食塩水の濃度が5重量%から25重量%で、温
    度が55℃超から60℃未満であることを特徴とする請
    求項1記載の梅加工食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記梅の果実を温食塩水に接触させた後
    に、冷却液に接触させて冷却し、その後に食品に加工す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の梅加工食品
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記梅の果実を温食塩水に接触させた
    後、冷却液に接触させて冷却した後或いは冷却液に接触
    させることなく、保存液中に保管し、その後に食品に加
    工することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に
    記載の梅加工食品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記の冷却液又は保存液が、食塩水溶液
    又は食塩と有機酸の水溶液であり、且つ食塩の濃度が
    0.5重量%から15重量%、有機酸の濃度が5重量%
    以下であることを特徴とする請求項3または4記載の梅
    加工食品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記のように処理した前記梅の果実を液
    切り後、凍結・冷凍保管し、その後解凍して食品に加工
    することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記
    載の梅加工食品の製造方法。
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