JP2006196360A - 自発光素子の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造コストの高騰を招くことなく、既存の成膜用マスクを用いて、成膜工程の処理当初から高品質の成膜パターンを形成する。
【解決手段】 製造装置10は、基板上に成膜用マスクを用いて自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する真空成膜室11、成膜用マスクを真空成膜室11に配備する前に加温するマスク加温室12を備えており、ロボットアーム等の搬送手段を配備した真空作業室13の周りに真空成膜室11とマスク加温室12が配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自発光素子の製造装置及び製造方法に関するものである。
自発光素子の形成は、一般に、基板上に各種構造の下部電極を形成した後、発光機能層の成膜パターンを形成し、その上に上部電極を形成することによってなされる。ここで、発光機能層又は電極の成膜パターンを形成するには、パターン形状に応じた開口部を有する成膜用マスクが用いられ、マスク蒸着法等による成膜工程を経て所望のパターンが形成される。
有機EL素子を例にして、成膜用マスクによる発光機能層のパターン形成について説明すると、有機EL素子の発光領域は一般に基板上に形成された絶縁膜で区画されており、この発光領域よりやや広めに開口された開口部を備える成膜用マスクによって、発光領域上に有機層の成膜パターンが形成される。特に複数色のカラー表示を行う有機ELパネルを製造する場合には、発光色毎のパターンに応じた開口部を有する成膜用マスクが用いられ、このマスクを随時交換又はスライドさせて、各色の有機発光機能層の塗り分けが行われる(下記特許文献1参照)。
ここでいう有機層は、有機発光機能層を含んでその上下に積層される有機EL構成層(発光層,正孔輸送層,電子輸送層,正孔注入層,電子注入層等)を指している。複数層の場合だけでなく、有機発光機能層の単層の場合もある。
また、単色表示方式の有機ELパネルを製造する場合にも、発光領域に対応した所定パターン(例えばストライプ状)を備える成膜用マスクが用いられる。特に、パターンピッチの狭い高精細なパターンを形成する場合には、開口部の過密化によるマスク強度の低下を避けるために、開口部のピッチを粗くして成膜工程を複数回に分けて行う場合もある。
成膜用マスクによるパターン形成は、前述した有機層のパターン形成だけでなく、前述した上部又は下部電極、絶縁膜或いは封止膜といった有機EL素子の構成要素をパターン形成する際にも用いられることがある。
このような成膜用マスクを用いたパターン形成においては、成膜時に成膜用マスクが加熱されることが避けられないので(加熱手段を備えた成膜源からの輻射熱や加熱された成膜材料の付着等によって加熱される)、熱膨張による寸法変化を考慮に入れて成膜用マスクの開口幅やパターンピッチを設定する必要がある。特にパターンピッチの狭い高精細なパターンを形成する場合には、この熱膨張による寸法変化が製品の品質に大きく影響することになる。下記特許文献2に記載の従来技術では、寸法精度を向上させるために、成膜用マスクのマスク本体に、マスク本体の少なくとも一部を所定温度に調整する温度調整手段を設けることが提案されている。
特開2001−237068号公報 特開2003−129218号公報
前述した特許文献2に記載される従来技術のように、成膜用マスクのマスク本体に温度調整手段を設けるものでは、既存の成膜用マスクを使用できなくなり、また、複数種類のパターンを有する場合には各パターンのマスク毎に温度調整手段を設ける必要がある。更に、開口部の亀裂やゴミ等の付着などの製造工程中のトラブルによって成膜用マスクを交換しなければならないこともあるので、温度調整手段を設けた高価な成膜用マスクを複数用意しておく必要があり、製造コストが高騰する問題がある。
したがって、コスト面を考えると従来技術のような特殊な成膜用マスクを用いることは実用的ではなく、熱膨張による寸法変化はやむを得ないものとして、成膜用マスクの寸法を成膜時の熱膨張による変化を考慮して設定することが行われている。
この際、成膜時の熱膨張によるマスク寸法変化は、図1(パネルの成膜処理枚数に対するマスク伸び量の実測例を示すグラフ)に示すように、ある程度処理枚数が嵩んでくると、真空成膜室内に配備された成膜用マスクの温度上昇が飽和することに伴って安定化するので、図1における安定期Bのマスク寸法(マスク伸び量)を試験的に求めておき、これに基づいて、成膜用マスクの開口部やピッチの寸法を予め縮小補正することがなされている。
しかしながら、このような成膜用マスクの寸法設定によると、図1における安定期Bに至るまでの過渡的な期間Aでは、処理を進める毎にマスク寸法が大きく変化して適正な成膜パターンを得ることができなくなる。
また、成膜工程を進める際に、開口部の亀裂やゴミ等の付着などによる製造工程中のトラブルによって成膜用マスクを交換しなければならない場合もあるが、この際には、交換した直後が熱膨張の過渡的な期間A(図1参照)になるので、そこで適正な成膜パターンを得ることができなくなり、不良品が発生し易い状況になる。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、自発光素子の製造工程において、製造コストの高騰を招くことなく、既存の成膜用マスクを用いて、成膜工程の処理当初から高品質の成膜パターンを形成できること、また、製造工程中のトラブルによって成膜用マスクを交換しなければならない場合であっても、高品質の成膜パターンを継続して形成することができること等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明による自発光素子の製造装置及び製造方法は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
[請求項1]基板上に自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する自発光素子の製造装置であって、成膜用マスクを用いて前記成膜パターンを形成する真空成膜室と、前記成膜用マスクを前記真空成膜室に配備する前に加温するマスク加温室とを備えることを特徴とする自発光素子の製造装置。
[請求項7]基板上に自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する自発光素子の製造方法であって、真空成膜室内で成膜用マスクを用いて前記成膜パターンを形成する成膜工程を有し、該成膜工程で用いられる前記成膜用マスクを前記真空成膜室に併設したマスク加温室内で加温することを特徴とする自発光素子の製造方法。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図2は本発明の一実施形態に係る自発光素子の製造装置を説明する説明図である。この製造装置10は、基板上に成膜用マスクを用いて自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する真空成膜室11、成膜用マスクを真空成膜室11に配備する前に加温するマスク加温室12を備えており、ロボットアーム等の搬送手段を配備した真空作業室13の周りに真空成膜室11とマスク加温室12が配置されている。また、真空作業室13の周りには基板搬入室14及び基板搬出室15が配置されており、各室の連通口或いは出入り口には真空ゲートG1〜G6がそれぞれ設けられている。
この製造装置10は、開放された真空ゲートG1から矢印aに沿って所定の前処理工程を経た基板が基板搬入室14に搬入されると、真空ゲートG2を介して基板を真空作業室13に搬送し、真空ゲートG3を介してマスク加温室12内で予め所定の設定温度に加温された成膜用マスクを真空作業室13に搬送し、基板上に成膜用マスクを配置した状態で、真空ゲートG4を介してこれらを真空成膜室11内に搬送し、そこで成膜処理を行う。成膜処理が終わると、真空ゲートG5を介して基板を基板搬出室15に搬送し、その後、真空ゲートG6を介して成膜処理済みの基板が矢印bに沿って搬出される。
真空成膜室11は、複数の成膜材料の層を形成する場合等には、真空作業室13の周りに複数配置される。また、マスク加温室12と真空成膜室11との間に真空作業室13を配置する構成にしているが、これに限らずマスク加温室12と真空成膜室11とを直接連結したものであってもよい。
図3は本発明の他の実施形態に係る自発光素子の製造装置を説明する説明図である。この製造装置20は、真空成膜室22〜25を直列に配置して、搬送手段を備える搬送室31,32,33を介して連結したものであり、各真空成膜室22〜25にはそれぞれマスク加温室27〜30が連結されている。各室の連通口或いは出入り口には真空ゲートGが設けられ、開放された真空ゲートGから矢印aに沿って所定の前処理工程を経た基板が基板搬入室21に搬入されると、真空成膜室22〜25でそれぞれ成膜工程が施され、成膜処理が終わると、真空ゲートGを介して基板を基板搬出室26に搬送し、その後、真空ゲートGを介して成膜処理済みの基板が矢印bに沿って搬出される。
前述したマスク加温室12,27〜30は、真空成膜室11,22〜25に配備する前の成膜用マスクを加温するものであるが、そこには交換用の成膜用マスクを複数枚ストックできるようにしてもよい。
図4及び図5は、マスク加温室の構造例を示した説明図である。マスク加温室12,27〜30は、成膜用マスクMを支持するマスク支持受け(マスク支持手段)40を備えている。図4の例では、マスク加温室12,27〜30に、成膜用マスクMの上面又は下面に成膜用マスクMを加温する加熱部材41を配置している。図5の例では、マスク支持受け40自体がヒータ42を内蔵するなどした加熱部材で形成されている。
このような構成からなる製造装置10,20を採用した自発光素子の製造方法について説明すると、基板上に自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する自発光素子の製造方法であって、真空成膜室11,22〜25内で成膜用マスクを用いて成膜パターンを形成する成膜工程を有し、該成膜工程で用いられる成膜用マスクを真空成膜室11,22〜25に併設したマスク加温室12,27〜30内で加温するものである。
このマスク加温室12,27〜30内での成膜用マスクの加温は、成膜工程前の準備工程としてなされる場合もあるが、交換用の成膜用マスクを成膜工程中に加温する場合もある。後者の場合には、開口部の亀裂やゴミ等の付着などの製造工程中のトラブルによって成膜用マスクを交換しなければならない場合に、マスク加温室12,27〜30内で予め加温された成膜用マスクに速やかに交換できるようにしたものである。
このような自発光素子の製造装置及び製造方法によると、成膜用マスクの寸法設定を熱膨張による変化を考慮した値に設定しておき、マスク加温室12,27〜30で予め成膜用マスクをある程度加温しておくことで、成膜工程初期の成膜用マスクの熱膨張を速やかに安定化させることができる。また、成膜工程中に、成膜用マスクが開口部の亀裂やゴミ等の付着などトラブルによって交換を余儀なくされた場合であっても、マスク加温室12,27〜30で予め加温している成膜用マスクに交換することができるので、交換の直後から熱膨張の状態が安定化した成膜用マスクで成膜処理を継続することができる。これによって、本発明の実施形態に係る自発光素子の製造装置及び製造方法によると、低コストで高品質の自発光素子を量産することが可能になり、成膜用マスクの熱膨張が安定化するまでダミー基板への成膜処理を行う場合と比較すると、材料費の削減及び製造時間の短縮化が可能になる。
そして、マスク加温室12,27〜30が、交換用の成膜用マスクを配備するマスク支持手段を備えることで、交換用の成膜用マスクをマスク支持手段に支持した状態で所望の加温設定温度に加温することが可能になる。また、マスク加温室12,27〜30で成膜用マスクの上面又は下面に成膜用マスクを加温する加熱部材を配置することで、ある程度大きな成膜用マスクであっても面全体を均一に加温することが可能になる。また、前述のマスク支持手段を加熱部材で形成したものでは、別途加熱部材を配置する必要がないのでマスク加温室12,27〜30内のスペースを効果的に利用することができ、より多くのマスクをストックすることができる。
ここで、マスク加温室12,27〜30での成膜用マスクの加温設定温度は、真空成膜室11,22〜25で実際に成膜パターンを形成する際に成膜用マスクの熱膨張が安定化する温度に設定されることが好ましい。この温度は図1に示したような実測を試験的に行うことで得ることができる。すなわち、成膜用マスクの温度を測定しながら、真空成膜室11,22〜25での成膜処理を試験的に行い、その際の成膜用マスクの熱膨張の状態(マスク伸び量)を計測する。そして、マスク伸び量が図1の安定期Bになったときの成膜用マスクの温度を前述した加温設定温度とする。
このような加温設定温度を採用すると、実際の成膜処理中に成膜用マスクを交換する場合に、マスク加温室12,27〜30で加温されている成膜用マスクに交換することで、交換の前後で共に成膜用マスクの熱膨張の状態が安定化した状態になり、成膜用マスクの交換に伴う成膜精度の低下を回避することができる。
以下、自発光素子の一つである有機EL素子を例にして、本発明の実施形態をより具体的に説明する。
有機EL素子は、一般に、アノード(陽極又は正孔注入電極)とカソード(陰極又は電子注入電極)との間に有機層(低分子材料,高分子材料を問わず、発光層を含む有機材料層)を挟み込んで基板上に積層した構造を有しており、アノードとカソードとの間に電圧を印加することで、アノードから有機層内に注入・輸送された正孔とカソードから有機層内に注入・輸送された電子が再結合して発光を得るものである。
図6は、有機EL素子の製造工程を説明する説明図であるが、一般には、同図(a)に示されるように、基板上に下部電極(アノード又はカソード)のパターン形成を行う等の処理を行う前処理工程(S1)、有機EL素子の構成要素となる有機層等の成膜パターンを形成する成膜工程(S2)、基板上に形成された有機EL素子構造を外気から遮断するための封止工程(S3)、有機EL素子の形成精度や発光機能を検査する検査工程(S4)を経て、基板上に有機EL素子を形成した有機ELパネルが形成される。本発明の実施形態に係る製造装置10,20或いはこれを用いた製造方法は、前述の成膜工程(S2)を実行する際に採用される。
この成膜工程S2では、各種の材料の成膜がなされるが、同一パターンを有する層を積層する際に、先ず、成膜用マスクを基板に対して設置して(Sm1)、各真空成膜室内にて、第1〜第nの層の成膜を行い(Sn1,Sn2,…,Snn)、一つの成膜用マスクの成膜が終了すると、異なる成膜用マスクを基板に対して設定して(Sm1)、前述と同様に各層の成膜を行い、必要なパターンの成膜を順次行った後に成膜工程を終了する。
この際、成膜用マスクの設置(Sm1)時に、マスク加温室から設定温度に加温された成膜用マスクを取り出して基板に対して設置し、各真空成膜室内に配備する。また、各成膜工程中(Sn1,Sn2,…,Snn)に、基板に設置されている成膜用マスクに不具合が生じた場合には、成膜用マスクの交換(Smx)を行うが、その際にも、使用中の成膜用マスクを取り外し、マスク加温室から設定温度に加温された成膜用マスクを取り出して基板に対して設置する。
本発明の実施形態で用いられる成膜用マスクの形態はどのようなものであってもよい。図7に例示するように、線状の開口部パターンMa1を有するストライプ状パターンを有する成膜用マスクM(同図(a))、発光領域の単体又は集合体に対応する形状の開口部パターンMa2を有する千鳥状のパターンを有する成膜用マスクM(同図(b))等を用いることができる。
以下、本発明の実施形態に係る製造装置10,20或いは製造方法を採用して、RGB3色の発光領域をそれぞれ有する有機EL素子を形成し、これを色毎に直線状に配列した有機ELパネルについて説明する。これは、線状の開口部パターンをストライプ状に形成した成膜用マスク(図7(a)参照)を用いて、色毎の塗り分けを行うことで発光領域上に複数の層の線状パターン領域を成膜することによって形成することができる。
図8は、この有機ELパネルの構造を示す説明図(断面図)である。有機ELパネル100の基本構成は、下部電極102と上部電極105との間に有機発光機能層を含む有機層104を挟持して基板101上に複数の有機EL素子110を形成したものである。図示の例では、基板101上にシリコン被覆層101aを形成しており、その上に形成される下部電極102をITO等の透明電極からなる陽極(アノード)に設定し、上部電極105をAl等の金属材料からなる陰極(カソード)に設定して、基板101側から光を取り出すボトムエミッション方式を構成している。また、有機層104としては、正孔輸送層104A,発光層104B,電子輸送層104Cの3層構造の例を示している。そして、基板101と封止部材105とを接着層107を介して貼り合わせることによって基板101上に封止空間Sを形成し、この封止空間S内に有機EL素子110からなる表示部を形成している。
有機EL素子110は、図示の例では、下部電極102を絶縁膜103で区画して、区画された下部電極102の下に各有機EL素子110における発光領域(110R,110G,110B)を形成している。また、封止空間Sを形成する封止部材106の内面には乾燥手段106Aが取り付けられて、湿気による有機EL素子110の劣化を防止している。
また、基板101の端部には、下部電極102と同材料,同工程で形成される第1の電極層108Aが、下部電極102とは絶縁膜103で絶縁された状態でパターン形成されている。第1の電極層108Aの引出部分には、銀合金等を含む低抵抗配線部分を形成する第2の電極層108Bが形成されており、更にその上に、必要に応じてIZO等の保護被膜108Cが形成されて、第1の電極層108A,第2の電極層108B,保護被膜108Cからなる引出電極108が形成されている。そして、封止空間S内端部で上部電極105の端部105aが引出電極108に接続されている。下部電極102の引出電極は、図示省略しているが、下部電極102を延出して封止空間S外に引き出すことによって形成することができる。この引出電極においても、前述した上部電極105の場合と同様に、銀合金等を含む低抵抗配線部分を形成する電極層を形成することができる。
このような実施例の有機ELパネル100においては、有機層104の各層(正孔輸送層104A,発光層104B,電子輸送層104C)は、色毎に塗り分けられるので、発光領域110R,110G,110Bに対応した成膜領域が発光領域110R,110G,110B上に形成されることになる。ここでは、有機層104を3層構造にした例を示しているが、これに限らず、例えば、陽極側から、正孔注入層(RGB共通)/第1正孔輸送層(RGB共通)/第2正孔輸送層(塗り分け)/第1有機発光層(塗り分け)/第2有機発光層(塗り分け)/第1電子輸送層(塗り分け)/第2電子輸送層(RGB共通)/電子注入層(RGB共通)/(陰極)というような構造にすることもできる。この場合には、色毎に塗り分けられる第2正孔輸送層,第1有機発光層,第2有機発光層,第1電子輸送層の4層が、発光領域110R,110G,110Bに対応した成膜領域として発光領域110R,110G,110B上に形成されることになる。
以下に、本発明の実施例に係る有機ELパネル100及びその製造方法の細部について、更に具体的に説明する。
a.電極;
下部電極102,上部電極105は、一方が陰極側、他方が陽極側に設定される。陽極側は陰極側より仕事関数の高い材料で構成され、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の金属膜やITO、IZO等の酸化金属膜等の透明導電膜が用いられる。逆に陰極側は陽極側より仕事関数の低い材料で構成され、アルカリ金属(Li,Na,K,Rb,Cs)、アルカリ土類金属(Be,Mg,Ca,Sr,Ba)、希土類金属等、仕事関数の低い金属、その化合物、又はそれらを含む合金、ドープされたポリアニリンやドープされたポリフェニレンビニレン等の非晶質半導体、Cr、NiO、Mn等の酸化物を使用できる。また、下部電極102,上部電極105ともに透明な材料により構成した場合には、光の放出側と反対の電極側に反射膜を設けた構成にすることもできる。
引出電極(図示の引出電極108及び下部電極102の引出電極)には、有機ELパネル100を駆動する駆動回路部品やフレキシブル配線基板が接続されるが、可能な限り低抵抗に形成することが好ましく、前述したように、Ag−Pd合金或いはAPC,Cr,Al等の低抵抗金属電極層を積層するか、或いはこれらの低抵抗金属電極単独で形成することができる。
b.有機層;
有機層104は、少なくとも有機EL発光機能層を含む単層又は多層の有機化合物材料層からなるが、層構成はどのように形成されていても良い。一般には、図8に示すように、陽極側から陰極側に向けて、正孔輸送層104A、発光層104B、電子輸送層104Cを積層させたものを用いることができるが、発光層104B、正孔輸送層104A、電子輸送層104Cはそれぞれ1層だけでなく複数層積層して設けても良く、正孔輸送層104A、電子輸送層104Cについてはどちらかの層を省略しても、両方の層を省略しても構わない。また、正孔注入層、電子注入層、キャリアブロック層等の有機層を用途に応じて挿入することも可能である。正孔輸送層104A、発光層104B、電子輸送層104Cは従来の使用されている材料(高分子材料、低分子材料を問わない)を適宜選択して採用できる。
また、発光層104Bを形成する発光材料においては、1重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と3重項励起状態から1重基底状態を経由して基底状態に戻る際の発光(りん光)のどちらを採用しても良い。
c.有機ELパネルの各種方式等;
有機ELパネル100の駆動方式は、図8に示す例の電極配置によるパッシブ駆動方式以外に、発光領域を形成する有機EL素子110毎にTFT駆動させるアクディブ駆動方式であってもよい。また、有機EL素子110の発光形態は、前述したように基板101側から光を取り出すボトムエミッション方式でも、基板101とは逆側から光を取り出すトップエミッション方式でも構わない。また、有機ELパネル100は単色表示であっても複数色表示であっても良い。
d.製造方法例;
ガラス製の基板101上に陽極側の電極としてITO等の下部電極102を蒸着,スパッタリング等の方法で薄膜として形成し、フォトリソグラフィ等によって所望の形状にパターニングする。また、絶縁膜103を成膜すると共に発光領域110R,110G,110Bの開口が下部電極102上に形成されるようにパターニングを行う(前処理工程S1)。
次に、スピンコーティング法,ディッピング法等の塗布法、スクリーン印刷法,インクジェット法等の印刷法等のウエットプロセス、又は、蒸着法、レーザ転写法等のドライプロセスで有機層104を成膜する。詳しくは、正孔輸送層104A,発光層104B,電子輸送層104Cの各材料層を発光領域110R,110G,110B上に蒸着にて順次積層する。
この際に、色毎の塗り分けが必要な層は、成膜用マスクを使用した塗り分けを行う。この塗り分けに関しては、RGB3色の発光を呈する材料、若しくは複数の有機材料を組み合わせたものを、RGBに該当する発光領域上に成膜して成膜領域を形成する。
この際に、成膜用マスクの設置時にマスク加温室で設定温度に加温された成膜用マスクが基板に対して設置される。有機層104の成膜では、マスク加温室での設定温度は通常25〜30℃に設定されるが、これは成膜条件によって異なる値になり、それぞれの真空成膜室での成膜工程毎に設定されることになる。
最後に、陰極側の金属薄膜からなる上部電極105を下部電極102に直交するようにストライプ状に成膜し、下部電極102と上部電極105の直交部分にドットマトリクス状に有機EL素子110を形成する(成膜工程S2)。
この際にも、成膜用マスクの設置時にマスク加温室で設定温度に加温された成膜用マスクが基板に対して設置される。金属材料からなる上部電極105の成膜では、マスク加温室での設定温度は通常40〜65℃に設定されるが、これも成膜条件によって異なる値になり、金属材料毎の真空成膜室での成膜工程に応じて設定されることになる。
また、前述した各成膜工程で、成膜用マスクに不具合が生じた場合には、その都度、使用中の成膜用マスクが取り外され、マスク加温室で設定温度に加温された成膜用マスクが基板に対して設置されることになる。
その後に、紫外線硬化型エポキシ樹脂製の接着剤に、1〜300μmの粒径を有するスペーサ(ガラスやプラスチック製のものが好ましい)を適量混合(0.1〜0.5重量%ほど)し、基板101上の接着剤塗布領域にディスペンサ等を用いて塗布する。次いで、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で、封止部材106を基板101に接着剤を介して当接させ、紫外線を接着剤に照射して硬化させる。このようにして、封止部材106と基板101との間の封止空間S内にアルゴンガス等の不活性ガスを封じ込めた状態で有機EL素子110を封止する(封止工程S3)。
その後は、顕微鏡による目視検査等による検査工程(S4)によって不良形成品が排除され、有機ELパネルを得る。
本発明の実施形態に係る自発光素子の製造装置又は製造方法によると、製造コストの高騰を招くことなく、既存の成膜用マスクを用いて、成膜工程の処理当初から高品質の成膜パターンを形成することができる。また、製造工程中のトラブルによって成膜用マスクを交換しなければならない場合であっても、高品質の成膜パターンを継続して形成することができる。そして、この製造装置及び製造方法によって有機EL素子を形成する場合には、高価な有機成膜材料を成膜工程の初めから効率的に成膜して高品質な成膜パターンを形成することができ、製造コスト低減に大きな効果を得ることができる。また、成膜精度の向上によって量産時の製品歩留まりを高めることができるので、低コストで高品質の有機ELパネルを市場に提供することができる。
パネルの成膜処理枚数に対するマスク伸び量の実測例を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る自発光素子の製造装置を説明する説明図である。 本発明の他の実施形態に係る自発光素子の製造装置を説明する説明図である。 マスク加温室の構造例を示した説明図である。 マスク加温室の構造例を示した説明図である。 本発明の実施形態に係る有機EL素子の製造工程を説明する説明図である。 本発明の実施形態で用いられる成膜用マスクの形態例を示した説明図である。 有機ELパネルの構造を示す説明図(断面図)である。
符号の説明
10,20 製造装置
11,22〜25 真空成膜室
12,27〜30 マスク加温室
13 真空作業室
14,21 基板搬入室
15,26 基板搬出室
G1〜G6,G 真空ゲート
40 マスク支持受け(マスク支持手段)
41 加熱部材
42 ヒータ
M,M,M 成膜用マスク
100 有機ELパネル
101 基板
102 下部電極
103 絶縁膜
104 有機層
105 上部電極
106 封止部材
107 接着層
108 引出電極
110 有機EL素子

Claims (12)

  1. 基板上に自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する自発光素子の製造装置であって、
    成膜用マスクを用いて前記成膜パターンを形成する真空成膜室と、
    前記成膜用マスクを前記真空成膜室に配備する前に加温するマスク加温室とを備えることを特徴とする自発光素子の製造装置。
  2. 前記マスク加温室は、交換用の成膜用マスクを配備するマスク支持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載された自発光素子の製造装置。
  3. 前記マスク加温室では、前記成膜用マスクの上面又は下面に該成膜用マスクを加温する加熱部材が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載された自発光素子の製造装置。
  4. 前記マスク支持手段が加熱部材で形成されることを特徴とする請求項2に記載された自発光素子の製造装置。
  5. 前記マスク加温室での成膜用マスクの加温設定温度は、前記真空成膜室で成膜パターンを形成する際に成膜用マスクの熱膨張が安定化する温度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された自発光素子の製造装置。
  6. 前記自発光素子は有機EL素子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された自発光素子の製造装置。
  7. 基板上に自発光素子の構成要素となる成膜パターンを形成する自発光素子の製造方法であって、
    真空成膜室内で成膜用マスクを用いて前記成膜パターンを形成する成膜工程を有し、
    該成膜工程で用いられる前記成膜用マスクを前記真空成膜室に併設したマスク加温室内で加温することを特徴とする自発光素子の製造方法。
  8. 前記マスク加温室内では、交換用の成膜用マスクが前記成膜工程中に加温されることを特徴とする請求項7に記載された自発光素子の製造方法。
  9. 前記マスク加温室での成膜用マスクの加温設定温度は、前記真空成膜室で成膜パターンを形成する際に成膜用マスクの熱膨張が安定化する温度であることを特徴とする請求項7又は8に記載された自発光素子の製造方法。
  10. 前記マスク加温室には、前記成膜用マスクの上面又は下面に該成膜用マスクを加温する加熱部材が配置されることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載された自発光素子の製造方法。
  11. 前記マスク加温室には、加熱部材で形成されたマスク支持手段が配備され、該マスク支持手段に前記成膜用マスクが配備されることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載された自発光素子の製造方法。
  12. 前記自発光素子は有機EL素子であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載された自発光素子の製造方法。
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