[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の光偏向器11は、入射された光を反射するミラー部12と、ミラー部12を駆動する圧電アクチュエータ1と、圧電アクチュエータ1を支持する台座10とを備えている。ミラー部12は矩形形状で、その一辺が圧電アクチュエータ1の先端部a1に連結され、この圧電アクチュエータ1は、その基端部b0が台座10により支持されている。
ミラー部12は、ミラー部支持体13と、ミラー部支持体13上に形成されたミラー面反射膜(反射面)14とを備えている。ミラー面反射膜14は、ミラー部支持体13上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工して形成されている。金属薄膜の材料としては、例えば金、白金、アルミニウム(Al)等が用いられる。金属薄膜の厚みは、例えば100〜500nm程度とする。金属薄膜は、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法等により成膜する。
ミラー部支持体13は、シリコン基板から構成され、後述の圧電アクチュエータ1の支持体3と一体的に形成されている。これにより、ミラー部12は、圧電アクチュエータ1と機械的に連結され、圧電アクチュエータ1の駆動に応じて回動する。
圧電アクチュエータ1は、2つの圧電カンチレバー2A,2Bを備えている。圧電カンチレバー2A,2Bは、同一平面上に配置されており、一方の圧電カンチレバー2Aは、その基端部a0が他方の圧電カンチレバー2Bの先端部b1の片側に、その長さ方向に対して直角に連結されている。この圧電アクチュエータ1は、一方の圧電カンチレバー6Aに駆動電圧を印加するための第1上部電極7Aと、他方の圧電カンチレバー2Bに駆動電圧を印加するための第2上部電極7Bと、第1,第2上部電極7A,7Bの共通の下部電極として用いられる共通下部電極9とを備えている。
圧電カンチレバー2A,2Bは、それぞれ、支持体3A,3Bと、下部電極4A,4Bと、圧電体5A,5Bと、上部電極6A,6Bとを備えている。前記第1上部電極7Aは、第1上部電極配線7Cを介して圧電カンチレバー2Aの上部電極6Aに接続されている。また、前記第2上部電極7Bは、圧電カンチレバー2Bの上部電極6Bと接続されている。また、前記共通下部電極9は、各圧電カンチレバー2A,2Bの下部電極4A,4Bと接続されている。そして、第1上部電極7Aと共通下部電極9との間に電圧を印加することで、上部電極6Aと下部電極4Aとの間に電圧が印加され、圧電カンチレバー2Aが駆動される。同様に、第2上部電極7Bと共通下部電極9との間に電圧を印加することで、上部電極6Bと下部電極4Bとの間に電圧が印加され、圧電カンチレバー2Bが駆動される。
各圧電カンチレバー2A,2Bの支持体3A,3Bは板状の部材であり、例えば単結晶シリコン基板やSOI基板等のシリコン基板から形成されている。これらの支持体3A,3Bは、シリコン基板を形状加工することにより1枚の支持体3として一体的に形成されている。支持体3はL字状に形成され、その基端部3Cが台座10上に保持され、基端部3Cから延びた部分が基端部側の圧電カンチレバー2Bの支持体3Bを構成し、この支持体3Bから直角に延びた部分が、先端部側の圧電カンチレバー2Aの支持体3Aを構成する。これにより、2つの圧電カンチレバー2A,2Bが機械的に連結されたものとなる。
なお、台座10もシリコン基板から形成され、シリコン基板を形状加工することによりミラー部支持体13、支持体3と一体的に形成されている。また、シリコン基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術やドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
共通下部電極9と下部電極4A,4Bとは、シリコン基板上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜、以下、下部電極層ともいう)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより、支持体7上に形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)を用い、2層目(上層)には白金(Pt)を用いる。共通下部電極9は、支持体3の基端部3C上にパッド状に形成され、他方の下部電極4Bと導通している。この下部電極4Bは、支持体3B上のほぼ全面に形成され、一方の下部電極4Aと導通している。この下部電極4Aは、支持体3A上のほぼ全面に形成されている。
圧電体5A,5Bは、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ともいう)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより、それぞれ、下部電極4A,4B上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。圧電膜の厚みは、例えば1〜10μm程度とする。なお、圧電膜は、例えば、反応性アーク放電を利用したイオンプレーティング法により成膜する。この手法を用いることにより、良好な圧電特性を有する厚みのある膜を成膜することができる。
第1,第2上部電極7A,7Bと第1上部電極配線7Cと上部電極6A,6Bとは、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜、以下、上部電極層ともいう)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金又は金(Au)が用いられる。
第1上部電極7Aは、支持体3の基端部3C上にパッド状に形成され、第1上部電極配線7Cと導通している。この第1上部電極配線7Cは、支持体3B上に線状に形成され、一方の上部電極6Aと導通している。この上部電極6Aは、圧電体5A上のほぼ全面に形成されている。同様に、第2上部電極7Bは、支持体3の基端部3C上にパッド状に形成され、他方の上部電極6Bと導通している。この上部電極6Bは、圧電体5B上のほぼ全面に形成されている。
なお、第1,第2上部電極7A,7Bは、支持体3の基端部3C上で、その下層の圧電体層及び下部電極層と共に形状加工されて、互いに分離して設けられていると共に、共通下部電極9と分離して設けられている。
ここで、第1,第2上部電極7A,7Bの分離について説明する。図2は、図1の光偏向器1のI−I線断面図である。図2に示すように、支持体3B上で、第1上部電極配線7C及びその下層の圧電体5Cが、上部電極6B及びその下層の圧電体5Bと分離して設けられている。これにより、第1上部電極配線7Cは、圧電カンチレバー2Bの上部電極6Bと平面的に分離されると共に、圧電体5Cにより圧電カンチレバー2Bの下部電極4Bとの間で絶縁されている。よって、第1上部電極7Aと第2上部電極7Bとは、平面的に分離されると共に、共通下部電極9との間で絶縁(上部電極層と下部電極層との層間絶縁)されている。従って、第1,第2上部電極7A,7Bにより、圧電カンチレバー2A,2Bに対して独立に駆動電圧を印加することができる。
次に、本実施形態の光偏向器11の作動について説明する。
まず、参考例として、図30に示す1つの圧電カンチレバー132Aを備える圧電アクチュエータ131を用いて、圧電カンチレバーの一般的な作動について説明する。この圧電アクチュエータ131において、圧電カンチレバー132Aは、支持体133Aと下部電極134Aと圧電体135Aと上部電極136Aとを備えている。支持体133Aは、1枚の支持体133の一部として形成されており、支持体133の基端部133Bが台座137に保持され、基端部133Bから延びた部分が圧電カンチレバー131の支持体133Aを構成している。
また、圧電アクチュエータ131には、圧電カンチレバー132Aに駆動電圧を印加するための上部電極136と下部電極134とが備えられている。上部電極136と下部電極134とは、支持体133の端部133B上にパッド状に形成され、それぞれ、圧電カンチレバー132Aの上部電極136Aと下部電極134Aとに接続されている。なお、各構成の詳細は、圧電アクチュエータ1の圧電カンチレバー2Bと同じである。
図31は、図30に示す圧電アクチュエータ131の駆動状態を模式的に示した図である。圧電アクチュエータ131において、上部電極136と下部電極134との間に所定の直流電圧を印加して、圧電カンチレバー132Aを駆動させる。これにより、印加された電圧に応じて圧電体135Aが伸縮して、圧電カンチレバー132Aの先端部a1で接続部a0を支軸として角度変位αが発生する。すなわち、圧電アクチュエータ131全体として、接続部a0を支点として、圧電アクチュエータ131の先端部(圧電カンチレバー132Aの先端部a1)で角度変位αが発生する。
これに対し、光偏向器11の圧電アクチュエータ1においては、まず、第1上部電極7Aと共通下部電極9との間に、所定の第1直流電圧(例えば、−10〜+30V)を印加して、圧電カンチレバー2Aを駆動させる。これにより、圧電カンチレバー2Aと圧電カンチレバー2Bとの接続部a0を支軸として、圧電カンチレバー2Aの先端部a1で、印加された第1直流電圧に応じた角度変位α(例えば、−1〜+3°)が発生する。これと共に、第2上部電極7Bと共通下部電極9との間に、所定の第2直流電圧(例えば、−10〜+30V)を印加して、圧電カンチレバー2Bを駆動させる。これにより、圧電カンチレバー2Bの基端部b0を支軸として、圧電カンチレバー2Bの先端部b1で、印加された第2直流電圧に応じた角度変位β(例えば、−1〜+3°)が発生する。
従って、圧電アクチュエータ1全体としては、圧電アクチュエータ1の基端部(圧電カンチレバー2Bの基端部b0)を支点として、圧電アクチュエータ1の先端部(圧電カンチレバー2Aの先端部a1)で、角度変位αと角度変位βとをベクトル的に加算した2つの角度成分を有する変位(α+β)が発生する。この変位(α+β)に応じてミラー部12が基端部b0を支点として回動してレーザ光等の光ビームを偏向する。このとき、第1,第2直流電圧は独立に印加可能であり、圧電カンチレバー2A,2Bは独立に駆動されるので、角度変位αと角度変位βとを独立に制御することができ、ミラー部12を2軸駆動することが可能となる。
また、圧電体5A,5Bは電荷を蓄積・保持することができるので、圧電カンチレバー2A,2Bはそれぞれ、変位α,βを保持することができる。よって、電圧を印加して所定の偏向角を得た後、この電圧の印加を停止しても、ミラー部12の偏向角を保持することができる。
本実施形態によれば、長さ方向が異なる2つの圧電カンチレバー2A,2Bを屈曲変形が累積するように連結し、各圧電カンチレバー2A,2Bに独立に駆動電圧を印加可能とした圧電アクチュエータ1の先端部にミラー部12を連結することで、ミラー部12を2軸駆動することができる。
なお、本実施形態では、圧電アクチュエータ1は、2つの圧電カンチレバー2A,2Bを直角に連結するものとしたが、連結する圧電カンチレバーの数及び連結する角度は、任意に変更可能である。例えば、他の実施形態として、圧電アクチュエータは、長さ方向が異なる圧電カンチレバーを3つ以上連結したものとしてもよい。この場合、その先端部に連結したミラー部を3軸以上で多軸駆動することができる。
また、本実施形態では、圧電アクチュエータ1は、上部電極配線を上部電極層と圧電体層とを形状加工することにより分離して形成するものとしたが、他の実施形態として、後述の第2実施形態の第3,第4例の圧電アクチュエータのように、層間絶縁膜を備え、層間絶縁膜上に上部電極配線を形成するものとしてもよい。なお、この場合に、ミラー面反射膜と上部電極配線との材料と形成する工程とを共通にして、ミラー面反射膜と電極配線パターンとを同じ金属薄膜から同じ工程で形状加工して形成することができる。
また、本実施形態で、駆動電圧として用いる直流電圧は、電圧の大きさが一定の場合に限らない。また、駆動電圧として交流電圧を用いることも可能である。これらの駆動電圧の波形としては、正弦波、三角波、矩形波、鋸波等を、用途に応じて任意に選択することができる。さらに、本発明の光偏向器において、駆動電圧は、任意のオフセット電圧を有するものでもよい。後述の第2〜第6,第9実施形態の光偏向器の駆動電圧についても同じである。
[第2実施形態]
図3に示すように、第2実施形態の光偏向器123は、入射された光を反射するミラー部124と、ミラー部124を駆動する2つの圧電アクチュエータ112,113と、圧電アクチュエータ112,113を支持する台座122とを備えている。
ミラー部124は矩形形状で、その一辺がミラー部側の圧電アクチュエータ112の先端部112a1に連結されている。このミラー部側の圧電アクチュエータ112は、その基端部112d1が台座側の圧電アクチュエータ113の先端部113a1に、各圧電アクチュエータ112,113の出力方向が互いに直交するように連結されている。そして、台座側の圧電アクチュエータ113は、その基端部113d1が台座122により支持されている。
ミラー部124は、ミラー部支持体125と、ミラー部支持体125上に形成されたミラー面反射膜126とを備えている。なお、ミラー面反射膜126の詳細は、第1実施形態のミラー面反射膜14と同じである。また、ミラー部支持体125は、第1実施形態のミラー部支持体13と同様に、シリコン基板から形成され、後述の圧電アクチュエータ112,113の支持体120と一体的に形成されている。これにより、ミラー部124は、圧電アクチュエータ112,113と機械的に連結され、圧電アクチュエータ112,113の駆動に応じて回動する。
2つの圧電アクチュエータ112,113は、それぞれ、4つの圧電カンチレバー112A〜112D,113A〜113Dを備えている。また、圧電アクチュエータ112,113は、それぞれ、圧電カンチレバー112A〜112D,113A〜113Dの支持体として一体的に形成された支持体118,119を備えている。これらの支持体118,119は、シリコン基板を形状加工することにより1枚の支持体120として一体的に形成されている。支持体120は、その基端部121が台座122上に保持され、基端部121から伸びた部分が、台座側の圧電アクチュエータ113の支持体119を構成し、この支持体119から延びた部分が、ミラー部側の圧電アクチュエータ112の支持体118を構成する。これにより、2つの圧電アクチュエータ112,113が機械的に連結されたものとなる。
なお、台座122もシリコン基板から形成され、シリコン基板を形状加工することによりミラー部支持体125、支持体120と一体的に形成されている。シリコン基板を形状加工する手法としては、第1実施形態と同じ手法が用いられる。
また、光偏向器123は、2つの圧電アクチュエータ112,113にそれぞれ駆動電圧を印加するための2つの電極セット116,117を備えている。圧電アクチュエータ112の電極セット116は、先端部側から奇数番目の圧電カンチレバー112A,112Cに駆動電圧を印加するための第1上部電極116aと、偶数番目の圧電カンチレバー112B,112Dに駆動電圧を印加するための第2上部電極116bと、これらの第1,第2上部電極116a,116bの共通の下部電極として用いられる共通下部電極116cとを備えている。
同様に、圧電アクチュエータ113の電極セット117は、先端部側から奇数番目の圧電カンチレバー113A,113Cに駆動電圧を印加するための第1上部電極117aと、偶数番目の圧電カンチレバー113B,113Dに駆動電圧を印加するための第2上部電極117bと、これらの第1,第2上部電極113a,113bの共通の下部電極として用いられる共通下部電極117cとを備えている。これらの電極セット116,117の各電極116a〜116c,117a〜117cは、それぞれ、支持体120の基端部121上にパッド状に形成されている。
ここで、本実施形態の光偏向器123において圧電アクチュエータ112,113として使用可能な圧電アクチュエータの例を以下に示す。
(1)第1例
図4に、光偏向器123に使用される圧電アクチュエータの第1例として、圧電アクチュエータ41を示す。圧電アクチュエータ41は、4つの圧電カンチレバー42A〜42Dを備えている。また、圧電アクチュエータ41は、圧電カンチレバー42A,42Cに駆動電圧を印加するための第1上部電極47と、圧電カンチレバー42B,42Dに駆動電圧を印加するための第2上部電極48と、第1,第2上部電極47,48の共通の下部電極として用いられる共通下部電極51とを備えている。なお、第1例の圧電アクチュエータ41の基本的な構成は、第1実施形態の圧電アクチュエータ1と同じであるので、詳細な説明は第1実施形態を参照して省略する。
圧電カンチレバー42A〜42Dは、その長さ方向が同じになるように、各圧電カンチレバー42A〜42Dの両端部a0〜d0,a1〜d1が隣り合うように並んで配置されている。そして、圧電カンチレバー42Aの端部a0と圧電カンチレバー42Bの端部b0との隣り合う部分が連結され、圧電カンチレバー42Bの端部b1と、圧電カンチレバー42Cの端部c1との隣り合う部分が連結され、圧電カンチレバー42Cの端部c0と、圧電カンチレバー42Dの端部d0との隣り合う部分が連結されている。これにより、圧電カンチレバー42A〜42Dは折り返すように連結される。
圧電カンチレバー42A〜42Dは、それぞれ、支持体43A〜43Dと、下部電極44A〜44Dと、圧電体45A〜45Dと、上部電極46A〜46Dとを備えている。第1上部電極47は、第1上部電極配線49Dを介して上部電極46Cに接続され、さらに第1上部電極配線49Bを介して上部電極46Aに接続されている。また、第2上部電極48は、上部電極46Dに接続され、さらに第2上部電極配線50Cを介して上部電極46Bと接続されている。また、共通下部電極51は、下部電極44A〜44Dと接続されている。
そして、第1上部電極47と共通下部電極51との間に電圧を印加することで、上部電極46A,46Cと下部電極44A,44Cとの間にそれぞれ電圧が印加され、圧電アクチュエータ41の先端部側から奇数番目の圧電カンチレバー42A,42Cが駆動される。同様に、第2上部電極48と共通下部電極51との間に電圧を印加することで、上部電極46B,46Dと下部電極44B,44Dとの間にそれぞれ電圧が印加され、圧電アクチュエータ41の先端部側から偶数番目の圧電カンチレバー42B,42Dが駆動される。
支持体43A〜43Dは板状の部材で、シリコン基板を形状加工することにより支持体43として一体的に形成されている。支持体43は、その端部43Eが台座52に保持されており、端部43Eから延びた部分が支持体43Dを構成し、支持体43Dから折り返した部分が支持体43Cを構成し、支持体43Cから折り返した部分が支持体43Bを構成し、支持体43Bから折り返した部分が支持体43Aを構成する。これにより、圧電カンチレバー42A〜42Dが機械的に連結されたものとなる。なお、支持体43,台座52の詳細は、第1実施形態の圧電アクチュエータ1の支持体7,台座14と同じである。
共通下部電極51と下部電極44A〜44Dとは、支持体43上に成膜された金属薄膜(下部電極層)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成されている。下部電極層の詳細は第1実施形態と同じである。共通下部電極51は、支持体43の端部43E上にパッド状に形成され、下部電極44Dと導通している。この下部電極44Dは、支持体43D上のほぼ全面に形成され、下部電極44Cと導通している。この下部電極44Cは、支持体43C上のほぼ全面に形成され、下部電極44Bと導通している。この下部電極44Bは、支持体43B上のほぼ全面に形成され、下部電極44Aと導通している。この下部電極44Aは、支持体43A上のほぼ全面に形成されている。
圧電体45A〜45Dは、下部電極層上の1層の圧電膜(圧電体層)を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより、それぞれ、下部電極44A〜44D上に互いに分離して形成されている。圧電体層の詳細は第1実施形態と同じである。
第1,第2上部電極47,48と、第1,第2上部電極配線49B,49D,50Cと、上部電極46A〜46Dとは、圧電体層上の上部電極層を半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成されている。上部電極層の詳細は第1実施形態と同じである。
第1上部電極47は、支持体43の端部43E上にパッド状に形成され、第1上部電極配線49Dと導通している。第1上部配線49Dは、支持体43D上に線状に形成され、上部電極46Cと導通している。上部電極46Cは、支持体43C上のほぼ全面に形成され、第1上部電極配線49Bと導通している。第1上部電極配線49Bは、支持体43B上に線状に形成され、上部電極46Aと導通している。上部電極46Aは、支持体43A上のほぼ全面に形成されている。
同様に、第2上部電極48は、支持体43の端部43E上にパッド状に形成され、上部電極46Dと導通している。上部電極46Dは、支持体43D上のほぼ全面に形成され、第2上部電極配線50Cと導通している。第2上部電極配線50Cは、支持体43C上に線状に形成され、上部電極46Bと導通している。上部電極46Bは、支持体43B上のほぼ全面に形成されている。
なお、第1,第2上部電極47,48は、支持体43の端部43C上で、その下層の圧電体層及び下部電極層と共に形状加工されて、互いに分離して設けられていると共に、共通下部電極51と分離して設けられている。
このとき、第1実施形態について図2で説明したように、支持体43D上で、第1上部電極配線49D及びその下層の圧電体が、上部電極46D及び圧電体45Dと分離して設けられている。これにより、第1上部電極配線49Dは、上部電極46Dと平面的に分離されると共に、その下層の圧電体により下部電極44Dとの間で絶縁されている。
同様に、支持体43C上で、第2上部電極配線50C及びその下層の圧電体が、上部電極46C及び圧電体45Cと分離して設けられている。これにより、第2上部電極配線50Cは、上部電極46Cと平面的に分離されると共に、その下層の圧電体により下部電極44Cとの間で絶縁されている。
同様に、支持体43B上で、第1上部電極配線49B及びその下層の圧電体が、上部電極46B及び圧電体45Bと分離して設けられている。これにより、第1上部電極配線49Bは、上部電極46Bと平面的に分離されると共に、その下層の圧電体により下部電極44Bとの間で絶縁されている。
このように、第1,第2上部電極47,48は、平面的に互いに分離されると共に、共通下部電極51との間で層間絶縁されている。従って、第1,第2上部電極47,48により、奇数番目の圧電カンチレバー42A,42Cと、偶数番目の圧電カンチレバー42B,42Dとに独立に駆動電圧を印加することができる。
次に、圧電アクチュエータ41の作動について説明する。まず、第1上部電極47と共通下部電極51との間に、所定の第1直流電圧を印加して、奇数番目の圧電カンチレバー42A,42Cを駆動させる。これと共に、第2上部電極48と共通下部電極51との間に、所定の第2直流電圧を印加して、偶数番目の圧電カンチレバー42B,42Dを駆動させる。
このとき、第1,第2直流電圧とは、奇数番目の圧電カンチレバー42A,42Cと偶数番目の圧電カンチレバー42B,42Dとの角度変位が逆方向に発生するように印加する。例えば、圧電アクチュエータ41の先端部を上方向に変位させる場合には、奇数番目の圧電カンチレバー42A,42Cを上方向に変位させ、偶数番目の圧電カンチレバー42B,42Dを下方向に変位させる。圧電アクチュエータ41の先端部を下方向に変位させるには、その逆にする。
図5は、圧電アクチュエータ41の駆動状態を模式的に示した図である。この図では、圧電アクチュエータ41の先端部を上方向に変位させる場合が例示されている。圧電カンチレバー42Dは、台座52と連結した端部d1を支点として、その端部d0に下方向の角度変位が発生している。また、圧電カンチレバー42Cは、圧電カンチレバー42Dの端部d0と連結した端部c0を支点として、その端部c1に上方向の角度変位が発生している。また、圧電カンチレバー42Bは、圧電カンチレバー42Cの端部c1と連結した端部b1を支点として、その端部b0に下方向の角度変位が発生している。また、圧電カンチレバー42Aは、圧電カンチレバー42Bの端部b0と連結した端部a0を支点として、その端部a1に上方向の角度変位が発生している。このように4つの圧電カンチレバー42A〜42Dを屈曲変形させることで、その先端部a1では、例えば、図31に示した1つの圧電カンチレバー132Aを備えるアクチュエータ131に比べて、各圧電カンチレバー42A〜42Dの屈曲変形の大きさを加算した、より大きな出力が得られる。よって、圧電アクチュエータ41によれば、圧電カンチレバーの長さ、ひいては圧電アクチュエータの長さを増大させることなく、また、エアダンピングの影響を増大させることなく、小型で大きな出力を得ることができる。
(2)第2例
図6に、光偏向器21に使用される圧電アクチュエータの第2例として、圧電アクチュエータ61を示す。圧電アクチュエータ61は、第1例の圧電アクチュエータ41と同様に、4つの圧電カンチレバー62A〜62Dが連結されたものである。図6には、圧電アクチュエータ61の圧電カンチレバー62A〜62Dの部分が示されている。また、図7には、図6の領域IIの拡大図が示されている。圧電アクチュエータ61は、第1例の圧電アクチュエータ41と基本的な構成は同じで、4つの圧電カンチレバー42A〜42Dの支持体43A〜43Dに係る構成が若干異なるものである。以下の説明では、第1例の圧電アクチュエータ41と同一の構成については第1例と同一の参照符号を用いて説明を省略する。
圧電アクチュエータ61において、4つの圧電カンチレバー62A〜62Dの支持体43A〜43Dは、それぞれ、直線部64A〜64Dとその両端の連結部65A〜65D,66A〜66Dとから構成されている。隣り合う圧電カンチレバーの連結部66A,66Bと、連結部65B,65Cと、連結部66C,66Dとは、それぞれ、U字状に連結されている。また、圧電カンチレバー62Dの連結部65Dが、台座53上の支持体43の基端部43Eに連結されて保持されている。
4つの圧電カンチレバー62A〜62Dの下部電極44A〜44Dは、それぞれ、圧電カンチレバー62A〜62Dの支持体(直線部と連結部とを合わせた全体)64A〜66A,64B〜66B,64C〜66C,64D〜66D上のほぼ全面に形成されている。また、圧電カンチレバー62A〜62Dの圧電体45A〜45Dと上部電極46A〜46Dとは、圧電カンチレバー62A〜62Dの支持体のうちの直線部64A〜64D上のほぼ全面に形成されている。また、圧電アクチュエータ61の第1上部電極配線67a,67bと、第2上部電極配線68a,68bとは、直線部64B〜64D上と連結部65B〜65D,66A〜66D上の側部に形成されている。
第1上部電極配線67b及びその下層の圧電体は、第1実施形態の圧電アクチュエータ1について図2で説明したように、圧電カンチレバー62Dの直線部64D上で、圧電カンチレバー62Dの上部電極46D及び圧電体45Dと分離して設けられている。これにより、第1上部電極配線67bは、上部電極46Dと平面的に分離されると共に、その下層の圧電体により下部電極44Dとの間で絶縁されている。
同様に、第1,第2上部電極配線67a,68a及びその下層の圧電体は、圧電カンチレバー62B,62Cの直線部64B,64C上で、それぞれ、圧電カンチレバー62B,62Cの上部電極46B,46C及び圧電体45B,45Cと分離して設けられている。さらに、連結部65B〜65D,66A〜66D上では、第1上部電極配線67a,67b及びその下層の圧電体と、第2上部電極配線68a,68b及びその下層の圧電体とが、分離して設けられている。
このように、圧電アクチュエータ61の第1,第2上部電極47,48は、平面的に互いに分離されると共に、共通下部電極51との間で層間絶縁されている。従って、第1,第2上部電極47,48により、圧電カンチレバー62A〜62Dに独立に駆動電圧を印加することができる。他の構成及び作動は、第1例の圧電アクチュエータ41と同じである。圧電アクチュエータ61によれば、第1例の圧電アクチュエータ41と同様に、小型で大きな出力を得ることができる。
(3)第3例
図8に、光偏向器21に使用される圧電アクチュエータの第3例として、圧電アクチュエータ71を示す。圧電アクチュエータ71は、第2例の圧電アクチュエータ61において、上部電極層と下部電極層との間で絶縁するための層間絶縁膜を備えたものである。図8には、圧電アクチュエータ71の圧電カンチレバー72A〜72Dの上面図が示されている。また、図9には、図8の圧電アクチュエータ71の斜視図が示されている。この図では、説明のために層間絶縁膜73及び第1,第2上部電極配線76a,76b,77a,77bを分離して図示しているが、実際には、支持体43上に順次重ねられている。なお、以下の説明では、第2例の圧電アクチュエータ61と同一の構成については、同一の参照符号を用いて説明を省略する。
圧電アクチュエータ71では、第1,第2上部電極47,48と上部電極46A〜46Dのみが、上部電極層を形状加工して形成されている。上部電極層上には、層間絶縁膜73が形成されている。層間絶縁膜73は、上部電極層上に成膜された絶縁膜を半導体プレーナプロセスにより形状加工することにより形成されている。層間絶縁膜73の材料としては、シリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を用いる。なお、層間絶縁膜73の材料としては、他の無機絶縁材料、或いはポリイミド等の有機絶縁材料を用いてもよい。
層間絶縁膜73は、支持体43上の全面に、下部電極44A〜44D、圧電体45A〜45D、上部電極46A〜46Dを覆うように形成されている。また、層間絶縁膜73には、第1上部電極配線用の第1開口部74a〜74cと、第2上部電極配線用の第2開口部75a〜75cとが形成されている。なお、図示は省略するが、層間絶縁膜73は、支持体43の端部43E上で、第1,第2上部電極47,48と共通下部電極51のパッド上に開口部が形成されている。
さらに、層間絶縁膜73上に、第1,第2上部電極配線76a,76b,77a,77bが形成されている。第1,第2上部電極配線76a,76b,77a,77bは、絶縁膜上に成膜された金属薄膜からなる電極配線層を半導体プレーナプロセスにより形状加工することにより形成されている。電極配線層の材料としては、配線用の電極パターンの材料としては、金、白金、アルミ等を用いる。
第1上部電極配線76aは、その一端が支持体43A上の第1開口部74aを覆うように形成されて上部電極46Aと導通し、支持体43B上を通り支持体43C上まで配線されている。そして、第1上部電極配線76aは、その他端が支持体43C上の第1開口部74bを覆うように形成されて、上部電極46Cと導通している。
また、第1上部電極配線76bは、その一端が第1開口部74cを覆うように形成されて上部電極46Cと導通している。そして、第1上部電極配線76bは、支持体43D上を通り、図示は省略するが、支持体43の端部43E上まで配線されて、その他端が第1上部電極47上に設けられて導通している。
また、第2上部電極配線77aは、その一端が支持体43B上の第2開口部75aを覆うように形成されて上部電極46Cと導通し、支持体43C上を通り支持体43D上まで配線されている。そして、第2上部電極配線77aは、その他端が支持体43D上の第2開口部75bを覆うように形成されて、上部電極46Dと導通している。
また、第2上部電極配線77bは、その一端が支持体43D上の第2開口部75cを覆うように形成されて上部電極46Dと導通している。そして、第3上部電極配線77bは、図示は省略するが、支持体43の端部43E上まで配線されて、その他端が第2上部電極48上に設けられ導通している。
図10は、図8の圧電アクチュエータのIII−III線断面図である。図10に示すように、支持体43D上の下部電極44D、圧電体45D、上部電極46Dを覆うように層間絶縁膜73が形成されている。第2上部電極配線77bは、第2開口部75cを覆うように形成されて、第2上部電極配線77bと上部電極46Dとが導通している。一方、第1上部電極配線76bは、層間絶縁膜73の上に形成されるので、上部電極46Dと分離されると共に、下部電極44Dとの絶縁されている。このように層間絶縁膜73を設けることで、第1実施形態について図2で示したように第2上部電極配線66bをその下層の圧電体と共に形状加工して分離する必要がなくなる。よって、第3例の圧電アクチュエータ71では、支持体63D上のほぼ全面に形成された圧電体45Dが、第2上部電極配線76bの下層の部分も含めて、圧電カンチレバー62Dの屈曲変形を発生させるために用いられる。
この圧電アクチュエータ71によれば、第2例の圧電アクチュエータ61と同様に、小型で大きな出力を得ることができる。さらに、この圧電アクチュエータ71では、層間絶縁膜上に上部電極配線が設けられているので、上部電極配線の下の圧電体層を分離して層間絶縁する必要がない。従って、支持体上の圧電体の面積占有率をより高くすることができると共に、圧電アクチュエータの駆動特性を向上することができ、より小型の圧電アクチュエータで大きな出力を得ることができる。さらに、圧電アクチュエータを層間絶縁膜で覆うことにより、湿度等の外部環境への耐性を向上することができる。
(4)第4例
図11に、光偏向器21に使用される圧電アクチュエータの第4例として、圧電アクチュエータ70を示す。この圧電アクチュエータ70は、第1例の圧電アクチュエータ41において、第3例の圧電アクチュエータ71と同様に、上部電極層と下部電極層との間で絶縁するための層間絶縁膜を備えたものである。図11には、圧電アクチュエータ70の上面図が示されている。なお、以下の説明では、第1例,第3例の圧電アクチュエータ41,71と同一の構成については、同一の参照符号を用いて説明を省略する。
第4例の圧電アクチュエータ70では、第3例の圧電アクチュエータ71と同様に、第1,第2上部電極47,48と上部電極46A〜46Dのみが、上部電極層を形状加工して形成されている。上部電極層上には、層間絶縁膜73が形成されている。層間絶縁膜73は、支持体43上の全面に、下部電極44A〜44D、圧電体45A〜45D、上部電極46A〜46Dを覆うように形成されている。さらに、層間絶縁膜73上に、第1,第2上部電極配線76a,76b,77a,77bが形成されている。なお、層間絶縁膜73と、第1,第2上部電極配線76a,76b,77a,77bとの詳細は第3例の圧電アクチュエータ71と同じである。
第1上部電極配線76aは、その一端が支持体43A上の第1開口部74aを覆うように形成されて上部電極46Aと導通し、支持体43B上を通り支持体43C上まで配線されている。そして、第1上部電極配線76aは、その他端が支持体43C上の第1開口部74bを覆うように形成されて、上部電極46Cと導通している。
また、第1上部電極配線76bは、その一端が第1開口部74cを覆うように形成されて上部電極46Cと導通している。そして、第1上部電極配線76bは、支持体43D上を通り、支持体43E上まで配線されて、その他端が第1上部電極47上に設けられて導通している。
また、第2上部電極配線77aは、その一端が支持体43B上の第2開口部75aを覆うように形成されて上部電極46Cと導通し、支持体43C上を通り支持体43D上まで配線されている。そして、第2上部電極配線77aは、その他端が支持体43D上の第2開口部75bを覆うように形成されて、上部電極46Dと導通している。
また、第2上部電極配線77bは、その一端が支持体43D上の第2開口部75cを覆うように形成されて上部電極46Dと導通している。そして、第3上部電極配線77bは、支持体43E上まで配線されて、その他端が第2上部電極48上に設けられ導通している。他の構成及び作動は、第1例の圧電アクチュエータ41と同じである。
この圧電アクチュエータ70によれば、第1例の圧電アクチュエータ41と同様に、小型で大きな出力を得ることができる。さらに、圧電アクチュエータ70では、第3例の圧電アクチュエータ71と同様に、層間絶縁膜上に上部電極配線が設けられているので、支持体上の圧電体の面積占有率をより高くすることができると共に、圧電アクチュエータの駆動特性を向上することができ、より小型の圧電アクチュエータで大きな出力を得ることができる。さらに、圧電アクチュエータを層間絶縁膜で覆うことにより、湿度等の外部環境への耐性を向上することができる。
以上の第1〜第4例が、圧電アクチュエータ112,113として使用可能な圧電アクチュエータの例である。なお、図3の光偏向器123には、圧電アクチュエータ112,113として第2又は第3例の圧電アクチュエータを使用した場合が示されている。図示は省略するが、第1,第2上部電極116a,116b,117a,117bは、第2又は第3例の圧電アクチュエータと同様に、第1、第2上部電極配線を介して圧電カンチレバー112A〜112D,113A〜113Dの所定の上部電極と接続されている。
次に、本実施形態の光偏向器123の作動を説明する。まず、ミラー部側の圧電アクチュエータ112の第1上部電極116aと共通下部電極116cとの間に、所定の第1直流電圧を印加すると共に、第2上部電極116bと共通下部電極116cとの間に、第1直流電圧と逆極性の所定の第2直流電圧を印加する。これにより、圧電アクチュエータ112の基端部112d1を支点として、圧電アクチュエータ112の先端部112a1で角度変位αが発生する。
これと共に、台座側の圧電アクチュエータ113の第1上部電極117aと共通下部電極117cとの間に、所定の第3直流電圧を印加すると共に、第2上部電極117bと共通下部電極117cとの間に、第3直流電圧と逆極性の所定の第4直流電圧を印加する。これにより、圧電アクチュエータ113の基端部113d1を支点として、圧電アクチュエータ113の先端部113a1で角度変位βが発生する。
これにより、2つの圧電アクチュエータ112,113全体として、その先端部に、2つの角度成分を有する変位(α+β)が発生する。この変位に応じてミラー部124が回動してレーザ光等の光ビームを偏向する。このとき、圧電アクチュエータ112,113は独立に駆動電極を有しているため、角度変位αと角度変位βとを独立に制御することができ、ミラー部124を2軸駆動することが可能となる。また、圧電カンチレバー112A〜112D,113A〜113Dの圧電体は電荷を蓄積・保持することができるので、圧電アクチュエータ112,113はそれぞれ、変位α,βを保持することができる。よって、電圧を印加して所定の偏向角を得た後、この電圧の印加を停止しても、ミラー部124の偏向角を保持することができる。
本実施形態によれば、小型で大きな出力を得ることができる2つの圧電アクチュエータ112,113を出力方向が直交するように連結し、各圧電アクチュエータ112,113に独立に駆動電圧を印加可能として、一方の圧電アクチュエータ112の先端部にミラー部124を連結することで、2軸駆動で大きな偏向角を得ることができる。
なお、本実施形態では、2つの圧電アクチュエータ112,113を出力方向が直交するように連結するものとしたが、圧電アクチュエータを連結する角度は任意に変更可能であり、2つの圧電アクチュエータの出力方向が異なるように連結すればよい。
また、本実施形態では、2つの圧電アクチュエータ112,113を連結し、その先端部にミラー部124を連結して光偏向器111としたが、連結する圧電アクチュエータの数は任意に変更可能である。例えば、他の実施形態として、出力方向の異なる圧電アクチュエータを3つ以上連結し、この先端部にミラー部を連結してもよい。この場合に、小型の光偏向器で、3軸以上の多軸駆動で大きな偏向角を得ることができる。
また、本実施形態では、圧電アクチュエータ112,113として、4つの圧電カンチレバーを連結した圧電アクチュエータを用いたが、連結する圧電カンチレバーの数は任意に変更可能である。
[第3実施形態]
図12に示すように、第3実施形態の光偏向器141は、入射された光を反射するミラー部142と、ミラー部142を駆動する1対の圧電アクチュエータ145,146と、1対の圧電アクチュエータ145,146を支持する台座153とを備えている。
ミラー部142は矩形形状で、その両側が、ミラー部142を挟んで対向した1対の圧電アクチュエータ145,146の先端部145a1,146a1にそれぞれ連結されている。また、これらの1対の圧電アクチュエータ145,146は、その基端部145d1,146d1が台座153により支持されている。
ミラー部142は、ミラー部支持体143と、ミラー部支持体143上に形成されたミラー面反射膜144とを備えている。なお、ミラー面反射膜144の詳細は、第1実施形態のミラー面反射膜14と同じである。また、ミラー部支持体143は、第1実施形態のミラー部支持体13と同様に、シリコン基板から形成され、後述の圧電アクチュエータ145,146の支持体147,148と一体的に形成されている。これにより、ミラー部142は、圧電アクチュエータ145,146と機械的に連結され、圧電アクチュエータ145,146の駆動に応じて回転する。
1対の圧電アクチュエータ145,146は、それぞれ、4つの圧電カンチレバー145A〜145D,146A〜146Dを備えている。また、1対の圧電アクチュエータ145,146は、それぞれ、4つの圧電カンチレバー145A〜145D,146A〜146Dの支持体として一体的に形成された支持体147,148を備えている。さらに、これらの支持体147,148は、シリコン基板を形状加工することにより1枚の支持体149として一体的に形成されている。この支持体149は、その基端部149Eが台座153上に保持され、基端部149Eの一辺の一方の端から伸びた部分が、一方の圧電アクチュエータ145の支持体147を構成し、他方の端から延びた部分が、他方の圧電アクチュエータ146の支持体148を構成する。
なお、台座153もシリコン基板から形成され、シリコン基板を形状加工することによりミラー部支持体142、支持体149と一体的に形成されている。シリコン基板を形状加工する手法としては、第1実施形態と同じ手法が用いられる。また、ミラー部142と台座153との間には空隙が設けられ、ミラー部142が所定角度まで回転可能となっている。
また、光偏向器141は、1対の圧電アクチュエータ145,146にそれぞれ駆動電圧を印加するための2つの電極セット151,152を、支持体149の基端部149E上に備えている。一方の電極セット151には、一方の圧電アクチュエータ145に駆動電圧を印加するための第1上部電極151a、第2上部電極151b、共通下部電極151cの3つの電極パッドが備えられている。また、他方の電極セット152には、他方の圧電アクチュエータ146に駆動電圧を印加するための第1上部電極152a、第2上部電極152b、共通下部電極152cの3つの電極パッドが備えられている。2つの電極セット151,152の詳細は、第2実施形態の2つの電極セット116,117と同じである。これにより、1対の圧電アクチュエータ163〜166をそれぞれ独立して駆動することができる。
なお、1対の圧電アクチュエータ145,146としては、第2実施形態と同様に、前記第1〜第4例のアクチュエータ41,61,71,70のいずれかを用いることができる。図12の光偏向器141には、これらの圧電アクチュエータ145,146として第1例の圧電アクチュエータ41を使用した場合が示されている。
次に、本実施形態の光偏向器141の作動について説明する。まず、一方の圧電アクチュエータ145の第1上部電極151aと共通下部電極151cとの間に、所定の第1直流電圧を印加すると共に、第2上部電極151bと共通下部電極151cとの間に、第1直流電圧と逆極性の所定の第2直流電圧を印加する。これにより、圧電アクチュエータ145の基端部145d1を支点として、圧電アクチュエータ145の先端部145a1で角度変位が発生する。
これと共に、他方の圧電アクチュエータ146の第1上部電極152aと共通下部電極152cとの間に、所定の第3直流電圧を印加すると共に、第2上部電極152bと共通下部電極152cとの間に、第3直流電圧と逆極性の所定の第4直流電圧を印加する。これにより、圧電アクチュエータ146の基端部146d1を支点として、圧電アクチュエータ146の先端部146a1で角度変位が発生する。
このとき、1対の圧電アクチュエータ145,146は対向して設けられているので、それぞれで発生する角度変位の中心軸線は同軸である。また、1対の圧電アクチュエータ145,146は、同じ大きさの角度変位が発生するように駆動される。このミラー部142の両側で発生した角度変位に応じて、ミラー部142が、図12で第1の軸x1回りで矢印で示した方向に回転して、レーザ光等の光ビームを偏向する。第1の軸x1は、1対の圧電アクチュエータ145,146の中心軸線と同軸である。
ここで、図13は、本実施形態の光偏向器141の駆動状態を模式的に示した図である。図13(a)は1対の圧電アクチュエータ145,146に電圧を印加していない状態を示し、図13(b)は電圧を印加している状態を示す。図13(a)(b)には、圧電アクチュエータ145が示されている。図13(b)に示したように、圧電アクチュエータ145に電圧を印加して、ミラー部側から奇数番目の圧電カンチレバー145A,145Cを上方向に屈曲変形させると共に、偶数番目の圧電カンチレバー145B,145Dを下方向に屈曲変形させる。これにより、圧電アクチュエータ145では、各圧電カンチレバー145A〜145Dの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。同様に、対向した圧電アクチュエータ146でも角度変位が発生する。これらの角度変位により、ミラー部142が、図13(b)の矢印で示したように回転する。
本実施形態によれば、小型で大きな出力を得ることができる1対の圧電アクチュエータ145,146をミラー部142を挟んで対向するように配置し、各圧電アクチュエータ145,146を駆動することによりミラー部142を回転させるので、小型の光偏向器で大きな偏向角を容易に得ることができる。
[第4実施形態]
図14に示すように、第4実施形態の光偏向器161は、入射された光を反射するミラー部162と、ミラー部162を駆動する2対の圧電アクチュエータ163〜166と、これらの圧電アクチュエータ163〜166を支持する可動枠171、台座174とを備えている。なお、本実施形態の光偏向器161は、第3実施形態のミラー部142、1対の圧電アクチュエータ145,146を一体的に回転させるための、もう1対の圧電アクチュエータを備えたものである。
ミラー部162は矩形形状で、その1対の対辺が、ミラー部162を挟んで対向した内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の先端部にそれぞれ連結されている。また、これらの内側の1対の圧電アクチュエータ163,164は、その基端部が、ミラー部162とこれらの内側の1対の圧電アクチュエータ163,164とを囲むように設けられた可動枠171に連結されて支持されている。なお、ミラー部162、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の構成は、第3実施形態のミラー部142、1対の圧電アクチュエータ145,146と同じである。
可動枠171は矩形形状で、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164と直交する方向に、可動枠171を挟んで対向した外側の1対の圧電アクチュエータ165,166の先端部にそれぞれ連結されている。また、これらの外側の1対の圧電アクチュエータ165,166は、その基端部が、可動枠171と外側の1対の圧電アクチュエータ165,166とを囲むように設けられた台座174上の支持体基端部173に連結されて支持されている。
なお、ミラー部162のミラー部支持体と、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の支持体と、可動枠171と、外側の1対の圧電アクチュエータ165,166の支持体と、台座上の支持体基端部173とは、シリコン基板を形状加工することにより1枚の支持体として一体的に形成されている。
また、台座174もシリコン基板から形成され、シリコン基板を形状加工することにより前記1枚の支持体と一体的に形成されている。シリコン基板を形状加工する手法としては、第1実施形態と同じ手法が用いられる。ミラー部162と可動枠171との間には空隙が設けられ、ミラー部162が所定角度まで回転可能となっている。また、可動枠171と台座174との間には空隙が設けられ、可動枠171が所定角度まで回転可能となっている。
また、光偏向器161は、2対の圧電アクチュエータ163〜166にそれぞれ駆動電圧を印加するための4つの電極セット167〜170を、台座174上の支持体基端部173上に備えている。4つの電極セット167〜170には、それぞれ、第1上部電極、第2上部電極、共通下部電極の3つの電極パッドが備えられている。4つの電極セット167〜170の詳細は、第3実施形態の2つの電極セット151,152と同じである。これにより、2対の圧電アクチュエータ163〜166をそれぞれ独立して駆動することができる。
また、2対の圧電アクチュエータ163〜166としては、第3実施形態と同様に、前記第1〜第4例のアクチュエータ41,61,71,70のいずれかを用いることができる。図14の光偏向器161には、これらの圧電アクチュエータ163〜166として第1例の圧電アクチュエータ41を使用した場合が示されている。
次に、本実施形態の光偏向器161の作動を説明する。光偏向器161では、第3実施形態と同様に、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164に電圧を印加する。これにより、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164が駆動され、それぞれ、先端部に中心軸線が同軸の角度変位を発生する。これらの角度変位により、ミラー部162は、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の中心軸線と同軸の第1の軸x2周りで矢印の示す方向に回転する。
これと共に、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164と同様に、外側の1対の圧電アクチュエータ165,166に電圧を印加する。これにより、外側の1対の圧電アクチュエータ165,166が駆動され、それぞれ、先端部に中心軸線が同軸の角度変位を発生する。これらの角度変位により、可動枠171は、第1の軸x2周りと直交する、外側の1対の圧電アクチュエータ165,166の中心軸線と同軸の第2の軸x3周りで矢印の示す方向に回転する。
このとき、ミラー部162を駆動する内側の1対の圧電アクチュエータ163,164と、可動枠171を駆動する外側の1対の圧電アクチュエータ165,166とは、独立に制御可能なので、ミラー部162と可動枠171とが互いの動きに干渉することなく独立に回転される。そして、この可動枠171の回転により、ミラー部162と内側の1対の圧電アクチュエータ163,164とが一体的に回転し、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の駆動による回転とは独立にミラー部162が回転する。
従って、2対の圧電アクチュエータ163〜166の駆動により、ミラー部162が2軸駆動されて、入射されたレーザ光等の光ビームが偏向される。
本実施形態によれば、小型で大きな出力を得ることができる2対の圧電アクチュエータ163〜166をミラー部162、可動枠171を挟んで対向して配置し、これらの2対の圧電アクチュエータ163〜166を駆動することにより、ミラー部162を2軸で回転させることができる。これにより、小型の光偏向器で、2方向について安定して大きな偏向角を容易に得ることができる。このとき、本実施形態によれば、駆動電圧として直流電圧を印加して、この印加した電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
なお、他の実施形態として、2対の圧電アクチュエータ163〜166に、駆動電圧としてそれぞれ交流電圧を印加して、2方向(例えば水平方向、垂直方向)で独立に光走査することが可能である。このとき、光偏向器161の機械的な共振周波数(第一次共振点)より小さい所定値以下の周波数の交流電圧を印加して、光偏向器161を非共振駆動させることで、直流電圧を印加した場合と同様に、印加した電圧の大きさに応じた偏向角で安定に光走査することができる。また、駆動電圧として光偏向器161の機械的な共振周波数(第一次共振点)付近の周波数の交流電圧を印加して、共振駆動とすることも可能である。これによれば、光偏向器161を共振駆動させることで、印加電圧の大きさに対して、より大きな偏向角で光走査することができる。
次に、本実施形態の光偏向器161の駆動特性の試験について説明する。なお、光偏向器161は、後述の第7実施形態の製造方法により製造した。試験条件としては、内側又は外側の1対の圧電アクチュエータ163〜166に、それぞれ−30〜30[V]の直流電圧を印加した。試験の結果、それぞれ、ミラー部162の偏向角±5[deg]の駆動特性を得られた。また、光偏向器161の機械的な共振周波数(第一次共振点)は数100Hz以上であり、この周波数以下の駆動信号に対しては、印加電圧の大きさに応じた線形的な出力が得られた。
次に、図15に本実施形態の光偏向器161を使用した画像表示装置175を示す。画像表示装置175は、光偏向器161と、レーザ光源176と、ディスプレイ177とを備えている。レーザ光源176、ディスプレイ177は所定の位置に固定されている。レーザ光源176から出力されたレーザ光は、所定の強度変調を受けて集光用のレンズ又はレンズ群(図示せず)を通過して光偏向器161のミラー部162に入射される。入射されたレーザ光は、ミラー部162の偏向角に応じた所定の方向に偏向され、投射用のレンズ或いはレンズ群(図示せず)を通してディスプレイ177上に投射され、画像を形成する。
このとき、光偏向器161は、駆動電圧を制御することにより任意の速度で任意の偏向角を得ることができるので、図15に示すように、入射された光を水平、垂直方向にベクタースキャンしてディスプレイ177上に投射することができる。
なお、本実施形態の光偏向器161は、上述の投射型ディスプレイ等の画像表示装置の他にも、例えば、電子写真方式の複写機やレーザプリンタ等の画像形成用の光走査装置、或いはレーザレーダ、バーコードリーダ、エリアセンサ等のセンシング用の光走査装置に用いることができる。
[第5実施形態]
図16示すように、第5実施形態の光偏向器181は、入射された光を反射するミラー部182と、ミラー部182をそれぞれトーションバー193a,193bを介して駆動する内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186と、これらの第2の圧電アクチュエータ183〜186を支持する可動枠194と、可動枠194を駆動する外側の1対の圧電アクチュエータ187,188と、これらの圧電アクチュエータ187,188を支持する台座197とを備えている。なお、本実施形態は、第4実施形態の光偏向器161において、内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の代わりに、2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186を備えたものである。
ミラー部182は矩形形状で、その1対の対辺のそれぞれの中心位置から外側へ延びた1対のトーションバー192a,193bが連結されている。一方のトーションバー193aは、このトーションバー193aを挟んで対向した1対の第2の圧電アクチュエータ183,184のそれぞれの先端部に連結されている。また、他方のトーションバー193bは、このトーションバー193bを挟んで対向した1対の第2の圧電アクチュエータ185,186のそれぞれの先端部に連結されている。これらの2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186は、それぞれ、その基端部が、ミラー部162とこれらの第2の圧電アクチュエータ183〜186とを囲むように設けられた可動枠194に連結されて支持されている。
可動枠194は矩形形状で、トーションバー193a,193bと直交する方向の1対の対辺が、可動枠194を挟んで対向した外側の1対の圧電アクチュエータ187,188の先端部にそれぞれ連結されている。また、これらの外側の1対の圧電アクチュエータ187,188は、その基端部が、可動枠194とこれらの圧電アクチュエータ187,188とを囲むように設けられた台座197上の支持体基端部196に連結されて支持されている。
なお、ミラー部182の構成は、第3実施形態のミラー部142と同じである。また、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186は、それぞれ、1つの圧電カンチレバーを備えている。これらの第2の圧電アクチュエータ183〜186の基本的な構成は、図30に示した1つの圧電カンチレバー132Aを備えた圧電アクチュエータ131と同じである。また、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188としては、第3実施形態と同様に、前記第1〜第4例のアクチュエータ41,61,71,70のいずれかを用いることができる。図16の光偏向器181には、これらの外側の1対の圧電アクチュエータ187,188として第1例の圧電アクチュエータ41を使用した場合が示されている。
また、ミラー部182のミラー部支持体と、トーションバー193a,193bと、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186の支持体と、可動枠194と、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188の支持体と、台座197上の支持体基端部196とは、シリコン基板を形状加工することにより1枚の支持体として一体的に形成されている。さらに、台座197もシリコン基板から形成され、シリコン基板を形状加工することにより前記1枚の支持体と一体的に形成されている。シリコン基板を形状加工する手法としては、第1実施形態と同じ手法が用いられる。ミラー部182と可動枠194との間には空隙が設けられ、ミラー部182が所定角度まで回転可能となっている。また、可動枠194と台座197との間には空隙が設けられ、可動枠194が所定角度まで回転可能となっている。
また、光偏向器181は、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186に駆動電圧を印加するための2つの内側用電極セット189,190と、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188に駆動電圧を印加するための2つの外側用電極セット191,192を、台座197上の支持体基端部196上に備えている。
一方の内側用電極セット189には、内側の各対の一方の第2の圧電アクチュエータ183,185の上部電極と下部電極との間にそれぞれ駆動電圧を印加するための上部電極パッドと下部電極パッドとが備えられている。同様に、他方の内側用電極セット190には、内側の各対の他方の第2の圧電アクチュエータ184,186の上部電極と下部電極との間にそれぞれ駆動電圧を印加するための上部電極パッドと下部電極パッドとが備えられている。
また、2つの外側用電極セット191,192には、それぞれ、第1上部電極、第2上部電極、共通下部電極の3つの電極パッドが備えられている。2つの外側用電極セット191,192の詳細は、第4実施形態の2つの電極セット169,170と同じである。これにより、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186と、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188とをそれぞれ独立して駆動することができる。
次に、本実施形態の光偏向器181の作動を説明する。まず、光偏向器181では、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186に電圧を印加する。これにより、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186が駆動され、それぞれ、先端部に角度変位を発生する。これらの角度変位により、ミラー部182は、1対のトーションバー193a,193bと同軸の第1の軸x4周りで回転する。
ここで、図17は、本実施形態の光偏向器181の内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186の駆動状態を模式的に示した図である。図17(a)はこれらの圧電アクチュエータ183〜186に電圧を印加していない状態を示し、図17(b)は電圧を印加している状態を示す。図17(a)(b)には、図16に示すIV−IV線端面図が示されている。図17(a)に示したように、内側の一方の対の第2の圧電アクチュエータ183,184は、それぞれ、支持体183a,184aと下部電極183b,184bと圧電体183c,184cと上部電極183d,184dとを有する1つの圧電カンチレバーを備えている。図17(b)に示したように、これらの圧電アクチュエータ183,184の上部電極183d,184dと下部電極183b,184bとの間にそれぞれ互いに逆極性の電圧±Vdを印加して駆動させると、矢印で示したように互いに逆方向に屈曲変形する。これらの屈曲変形により、トーションバー193aが図17(b)の矢印で示したように回転する。同様に、内側の他方の対の第2の圧電アクチュエータ185,186に互いに逆極性の電圧±Vdを印加して駆動させることにより、トーションバー193bが同じ方向に回転する。このミラー部182の両側のトーションバー193a,193bの回転に応じてミラー部182が第1の軸x4周りで回転する。
これと共に、光偏向器181では、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188に電圧を印加する。これにより、第4実施形態と同様に、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188が駆動され、それぞれ、先端部に中心軸線が同軸の角度変位を発生する。これらの角度変位により、可動枠194は、第1の軸x4と直交する第2の軸x5周りで回転する。このとき、第4実施形態と同様に、ミラー部182と可動枠194とが互いの動きに干渉することなく独立に回転される。そして、この可動枠194の回転により、ミラー部182と内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186とが一体的に回転し、内側の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186の駆動による回転とは独立にミラー部182が回転する。
本実施形態では、内側の各対の一方の第2の圧電アクチュエータ183,185には、互いに同位相の第1の交流電圧を印加する。また、内側の各対の他方の第2の圧電アクチュエータ184,186にも、互いに同位相の第2の交流電圧を印加する。このとき、第1の交流電圧と第2の交流電圧とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波)とする。これにより、ミラー部182を回転させて第1の方向(例えば水平方向)について所定の第1周波数で所定の第1偏向角で光走査することができる。このとき、これらの内側の第2の圧電アクチュエータ183〜186では、駆動電圧としてトーションバー193a,193bを含むミラー部182の機械的な共振周波数(第一次共振点)付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
また、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188には、それぞれ駆動電圧として第3の交流電圧を印加する。これにより、ミラー部182を回転させて第2の方向(例えば垂直方向)について所定の第2周波数で所定の第2偏向角で光走査することができる。このとき、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188によれば、非共振駆動で大きな出力を得ることができる。よって、ミラー部182、トーションバー193a,193b、及び内側の第2の圧電アクチュエータ183〜186を含む可動枠194の機械的な共振周波数(第一次共振点)より小さい所定値以下の周波数の交流電圧を印加して非共振駆動させることで、印加した電圧の大きさに応じた偏向角で安定に光走査することができる。
従って、6つの圧電アクチュエータ183〜188の駆動により、入射されたレーザ光等の光ビームが2方向(例えば水平方向、垂直方向)で独立に光走査される。
本実施形態によれば、内側の第2の圧電アクチュエータと外側の圧電アクチュエータとをそれぞれ駆動して、ミラー部を2軸で回転駆動して2次元的に光走査することができる。このとき、内側の2対の第2の圧電アクチュエータの共振駆動により、比較的高い走査周波数(数kHz〜数10kHz)において低電圧で大きな偏向角の走査を行うことができると共に、この走査と独立且つ両立して、外側の1対の圧電アクチュエータの非共振駆動により、任意の走査周波数で、すなわち、比較的低い走査周波数(0〜100Hz)でも、大きな偏向角の走査を行うことができる。
次に、本実施形態の光偏向器181の駆動特性の試験について説明する。なお、光偏向器181は、後述の第7実施形態の製造方法により製造した。試験条件としては、内側の第2の圧電アクチュエータ183〜186に、それぞれ−30〜30[V]の交流電圧を印加した。また、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188に、第4実施形態の光偏向器161の駆動特性の試験と同様に、それぞれ−30〜30[V]の直流電圧を印加した。試験の結果、内側の第2の圧電アクチュエータ183〜186の共振駆動により、共振周波数20kHzで偏向角±10[deg]の駆動特性を得られた。また、外側の圧電アクチュエータ187,188の駆動により、第4実施形態の光偏向器161と同様に、駆動周波数60Hzでミラー部182の偏向角±5[deg]の駆動特性を得られた。
次に、図18に本実施形態の光偏向器181を使用した画像表示装置198を示す。画像表示装置198は、第4実施形態について説明した画像表示装置175と基本的な構成は同じである。画像表示装置198は、光偏向器181と、レーザ光源199と、ディスプレイ200とを備えている。レーザ光源199、ディスプレイ200は所定の位置に固定されている。レーザ光源199から出力されたレーザ光は、光偏向器181のミラー部182に入射される。入射されたレーザ光は、ミラー部182の偏向角に応じた所定の方向に偏向され、ディスプレイ200上に投射され、画像を形成する。
このとき、光偏向器181は、水平方向の周波数の高い走査と垂直方向の周波数の低い走査とを独立に且つ両立させて行うことができるので、図18に示すように、入射された光を水平方向、垂直方向に効率良くラスタスキャンしてディスプレイ200上に投射することができる。よって、図18に示すような、水平方向の走査と垂直方向の走査との大きな周波数比が必要になるディスプレイにおいて、効率良く走査して画像を表示することができる。
なお、本実施形態の光偏向器181は、上述の投射型ディスプレイ等の画像表示装置の他にも、第4実施形態の光偏向器161と同様に、例えば、電子写真方式の複写機やレーザプリンタ等の画像形成用の光走査装置、或いはレーザレーダ、バーコードリーダ、エリアセンサ等のセンシング用の光走査装置に用いることができる。
[第6実施形態]
図19示すように、第6実施形態の光偏向器201は、入射された光を反射するミラー部202と、ミラー部202をトーションバー211a,211bを介して駆動する1対の第2の圧電アクチュエータ203,204と、これらの第2の圧電アクチュエータ203,204を支持する可動枠212と、可動枠212を駆動する1対の圧電アクチュエータ205,206と、これらの圧電アクチュエータ205,206を支持する台座215とを備えている。
ミラー部202は円形形状で、その両端から外側へ延びた1対のトーションバー211a,211bが連結されている。また、ミラー部202を囲むように、半円弧形状の1対の第2の圧電アクチュエータ203,204が空隙を隔てて設けられている。これらの1対の第2の圧電アクチュエータ203,204は、それぞれの一方の端部が一方のトーションバー211aを挟んで対向して連結され、それぞれの他方の端部が他方のトーションバー211bを挟んで対向して連結されている。また、これらの1対の第2の圧電アクチュエータ203,204は、その円弧部の中心位置の外側が、ミラー部202とこれらの第2の圧電アクチュエータ203,204とを囲むように設けられた可動枠212に連結されて支持されている。
可動枠212は矩形形状で、トーションバー211a,211bと直交する方向の1対の両側が、可動枠212を挟んで対向した1対の圧電アクチュエータ205,206の先端部にそれぞれ連結されている。また、これらの1対の圧電アクチュエータ205,206は、その基端部が、可動枠212とこれらの1対の圧電アクチュエータ205,206とを囲むように設けられた台座215上の支持体基端部214に連結されて支持されている。
なお、ミラー部202の構成は、第3実施形態のミラー部142と同じである。また、内側の1対の第2の圧電アクチュエータ203,204は、第4実施形態の2対の第2の圧電アクチュエータ183〜186と同様に、それぞれ、1つの圧電カンチレバーを備えている。一方の第2の圧電アクチュエータ203は、第4実施形態の2つの第2の圧電アクチュエータ183,185を合わせたものに相当する。また、他方の第2の圧電アクチュエータ204は、第4実施形態の2つの第2の圧電アクチュエータ184,186を合わせたものに相当する。これらの1対の第2の圧電アクチュエータ203,204の基本的な構成は、図30に示した1つの圧電カンチレバー132Aを備えた圧電アクチュエータ131と同じである。
また、外側の1対の圧電アクチュエータ187,188としては、第3実施形態と同様に、前記第1〜第4例のアクチュエータ41,61,71,70のいずれかを用いることができる。図19の光偏向器201には、これらの1対の圧電アクチュエータ205,206として第2例の圧電アクチュエータ61を使用した場合が示されている。1対の圧電アクチュエータ205,206は、それぞれ、第2例の圧電アクチュエータ61において6つの圧電カンチレバーを連結したものである。
また、ミラー部202のミラー部支持体、トーションバー211a,211b、内側の1対の第2の圧電アクチュエータ203,204の支持体、可動枠212、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206の支持体、台座215上の支持体基端部214は、シリコン基板を形状加工することにより1枚の支持体として一体的に形成されている。さらに、台座215もシリコン基板から形成され、シリコン基板を形状加工することにより前記1枚の支持体と一体的に形成されている。シリコン基板を形状加工する手法としては、第1実施形態と同じ手法が用いられる。また、ミラー部202と可動枠212との間には空隙が設けられ、ミラー部202が所定角度まで回転可能となっている。また、可動枠212と台座215との間には空隙が設けられ、可動枠212が所定角度まで回転可能となっている。
また、光偏向器201は、4つの圧電アクチュエータ203〜206に駆動電圧を印加するための2つの電極セット207,208を備えている。2つの電極セット207,208は、それぞれ、台座215上の一方の側と他方の側とに対向して設けられている。
一方の電極セット207には、内側の1対のうちの一方の第2の圧電アクチュエータ203に駆動電圧を印加するための内側用上部電極パッド207aと、外側の1対のうちの一方の圧電アクチュエータ205に駆動電圧を印加するための第1,第2上部電極パッド207b,207cと、これらの3つの上部電極パッド207a〜207cの共通の下部電極として用いられる共通下部電極207dとが備えられている。第1上部電極パッド207bにより、圧電アクチュエータ205の先端部から奇数番目の圧電カンチレバー205A,205C,205Eに駆動電圧が印加される。また、第2上部電極パッド207cにより、圧電アクチュエータ205の先端部から偶数番目の圧電カンチレバー205B,205D,205Fに駆動電圧が印加される。
同様に、他方の電極セット208には、内側の1対のうちの他方の第2の圧電アクチュエータ204に駆動電圧を印加するための内側用上部電極208aと、外側の1対のうちの他方の圧電アクチュエータ206に駆動電圧を印加するための第1,第2上部電極208b,208cと、これらの3つの上部電極208a〜208cの共通の下部電極として用いられる共通下部電極208dとが備えられている。
なお、図19では図示を省略しているが、第1,第2上部電極パッド207b,207c,208b,208cは、第2例の圧電アクチュエータ61と同様に、上部電極層及び圧電体層を形状加工することにより分離されて形成された第1,第2上部電極配線を介して、圧電カンチレバー205A〜205F,206A〜206Fの所定の上部電極と接続されている。同様に、内側用上部電極パッド207a、208aも、上部電極層及び圧電体層を形状加工することにより分離されて形成された内側用上部電極配線を介して、圧電アクチュエータ203,204の圧電カンチレバーの上部電極と接続されている。
ここで、図20には、図19の領域Vの拡大図が示されている。図20に示したように、3つの上部電極配線209a〜209cが、上部電極層及び圧電体層を形状加工することにより分離されて形成されている。圧電カンチレバー2Cの上部電極から延びた第1上部電極配線209aは、圧電カンチレバー2Aの上部電極に接続されている。また、圧電カンチレバー205Dの上部電極から延びた第2上部電極配線209bは、圧電カンチレバー205Bの上部電極に接続されている。また、内側用電極配線209cは、第1,第2上部電極配線209a,209bに沿って形成されている。この内側用電極配線209cは、さらに延びて可動枠212上を通って内側の圧電アクチュエータ203の圧電カンチレバーの上部電極に接続されている。さらに、下部電極層を形状加工して形成された下部電極配線209dにより、圧電カンチレバー205C,205Bの下部電極が接続されている。
これにより、内側の1対の第2の圧電アクチュエータ203,204と、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206とをそれぞれ独立して駆動することができる。
次に、本実施形態の光偏向器201の作動を説明する。なお、光偏向器201の基本的な作動は光偏向器181と同じである。
まず、光偏向器201では、第5実施形態の光偏向器181と同様に、内側の1対の第2の圧電アクチュエータ203,204に電圧を印加する。これにより、1対の第2の圧電アクチュエータ203,204が駆動され、それぞれ、先端部に角度変位を発生する。これらの角度変位により、ミラー部202は、1対のトーションバー211a,211bと同軸の第1の軸x6周りで回転する。
これと共に、光偏向器201では、第5実施形態の光偏向器181と同様に、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206に電圧を印加する。これにより、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206が駆動され、それぞれ、先端部に中心軸線が同軸の角度変位を発生する。これらの角度変位により、可動枠212は、第1の軸x6と直交する第2の軸x7周りで回転する。このとき、第5実施形態と同様に、ミラー部202と可動枠212とが互いの動きに干渉することなく独立に回転される。そして、この可動枠212の回転により、ミラー部202と内側の第2の圧電アクチュエータ203,204とが一体的に回転し、内側の第2の圧電アクチュエータ203,204の駆動による回転とは独立にミラー部202が回転する。
ここで、図21は、本実施形態の光偏向器201の外側の1対の圧電アクチュエータ205,206の駆動状態を模式的に示した図である。図21(a)は1対の圧電アクチュエータ205,206に電圧を印加していない状態を示し、図21(b)は電圧を印加している状態を示す。図21(a)(b)には、圧電アクチュエータ206が示されている。図21(b)に示したように、圧電アクチュエータ206に電圧を印加して、可動枠側から奇数番目の圧電カンチレバー206A,206C,206Eを上方向に屈曲変形させると共に、偶数番目の圧電カンチレバー206B,206D,206Fを下方向に屈曲変形させる。これにより、圧電アクチュエータ206では、各圧電カンチレバー206A〜206Fの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。同様に、対向した圧電アクチュエータ205でも角度変位が発生する。これらの角度変位により、可動枠212が第2の軸x7周りで回転する。
本実施形態では、内側の一方の第2の圧電アクチュエータ203に、第1の交流電圧を印加し、他方の第2の圧電アクチュエータ204に、第2の交流電圧を印加する。このとき、第1の交流電圧と第2の交流電圧とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波)とする。これにより、ミラー部202を回転させて第1の方向(例えば水平方向)について所定の第1周波数で所定の第1偏向角で光走査することができる。このとき、これらの内側の第2の圧電アクチュエータ203,204では、駆動電圧としてトーションバー211a,211bを含むミラー部202の機械的な共振周波数(第一次共振点)付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
また、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206には、それぞれ駆動電圧として第3の交流電圧を印加する。これにより、ミラー部202を回転させて第2の方向(例えば垂直方向)について所定の第2周波数で所定の第2偏向角で光走査することができる。このとき、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206によれば、非共振駆動でも大きな出力を得ることができる。よって、ミラー部202、トーションバー211a,211b、及び内側の第2の圧電アクチュエータ203,204を含む可動枠212の機械的な共振周波数(第一次共振点)より小さい所定値以下の周波数の交流電圧を印加して非共振駆動させることで、印加した電圧の大きさに応じた偏向角で安定に光走査することができる。
従って、4つの圧電アクチュエータ203〜206の駆動により、入射されたレーザ光等の光ビームが2方向(例えば水平方向、垂直方向)で独立に光走査される。
本実施形態によれば、第5実施形態と同様に、内側の第2の圧電アクチュエータと外側の圧電アクチュエータとをそれぞれ駆動して、ミラー部を2軸で回転駆動して2次元的に光走査することができる。このとき、内側の1対の第2の圧電アクチュエータの共振駆動により、比較的高い走査周波数において低電圧で大きな偏向角の走査を行うことができると共に、この走査と独立且つ両立して、外側の1対の圧電アクチュエータの非共振駆動により、任意の走査周波数で、すなわち、比較的低い走査周波数でも、大きな偏向角の走査を行うことができる。
次に、本実施形態の光偏向器201の駆動特性の試験について説明する。なお、光偏向器201は、後述の第7実施形態の製造方法により製造した。このとき、ミラー部202は直径1.5mmとした。また、SOI基板の各層の厚みは、活性層30μm、中間酸化膜層2μm、ハンドリング層500μmとし、熱酸化シリコン膜の厚みは500nmとした。
試験条件としては、内側の1対の第2の圧電アクチュエータ203,204に、それぞれ交流電圧を印加して、11.2kHzで共振駆動させて、水平方向について光走査を行った。これと共に、外側の1対の圧電アクチュエータ205,206に、それぞれ交流電圧を印加して、60Hzで非共振駆動させ、垂直方向について光走査を行った。
図22のグラフに、試験結果として、水平方向と垂直方向との光走査の偏向角を示す。図22のグラフにおいて、横軸は、印加した交流電圧の大きさ(ピーク間電圧)であり、縦軸は、光走査の偏向角である。図22に示すように、例えば、印加電圧40[Vpp]の場合に、水平方向の高速の光走査(図22中のV-scan)については偏向角39[deg]を得られ、垂直方向の低速の光走査(図22中のH-scan)については偏向角29[deg]を得られた。
次に、図23に本実施形態の光偏向器201を使用した画像表示装置216を示す。画像表示装置216は、光偏向器201と、レーザ光源217と、ハーフミラー(ビームスプリッター)218と、ディスプレイ219とを備えている。レーザ光源217、ハーフミラー218、ディスプレイ216は所定の位置に固定されている。レーザ光源217から出力されたレーザ光は、所定の強度変調を受けて集光用のレンズ又はレンズ群(図示せず)を通過して、ハーフミラー218を通り、光偏向器201のミラー部202に入射される。入射されたレーザ光は、ミラー部202の偏向角に応じた所定の方向に偏向され、ハーフミラー218で分岐された光がディスプレイ219上に投射され、画像を形成する。
このとき、光偏向器201は、第5実施形態の光偏向器181と同様に、水平方向の高速の走査と垂直方向の低速の走査とを独立に且つ両立させて行うことができるので、入射された光を水平方向、垂直方向に効率良くラスタスキャンしてディスプレイ219上に投射することができる。よって、図20に示すように、ディスプレイ219上の水平方向H(例えば39[deg])、垂直方向V(例えば29[deg])の長方形の領域を、効率良く走査して画像を表示することができる。
なお、本実施形態の光偏向器201は、上述の投射型ディスプレイ等の画像表示装置の他にも、第5実施形態の光偏向器181と同様に、例えば、電子写真方式の複写機やレーザプリンタ等の画像形成用の光走査装置、或いはレーザレーダ、バーコードリーダ、エリアセンサ等のセンシング用の光走査装置に用いることができる。
[第4実施形態の光偏向器の使用例]
図24には、第4実施形態の光偏向器161を複数組み合わせて構成した光偏向器アレイ223と、この光偏向器アレイ223を使用した光スイッチ221を示す。
光偏向器アレイ223は、複数の(N個の)光偏向器161をアレイ状に配置したものである。各光偏向器161i(i=1,...,N)の構成は、第4実施形態の光偏向器161と同じである。この光偏向器アレイ223によれば、各光偏向器161iに直流電圧を印加して独立に駆動して、それぞれを所定の偏向角に保持することが可能であり、広範囲で偏向角を制御することができる。なお、光偏向器アレイ223は、その全体を、シリコン基板を形状加工することにより、一体的に形成することができる。
そして、光スイッチ221は、光偏向器アレイ223と、光ビームを入力して各光偏向器161iに入射するための複数の(M個の)入力光ファイバ224と、光偏向器で反射された光ビームを出力するための複数の(M個の)出力光ファイバ225とを備えている。各光ファイバ224j,225k(j,k=1,...,M)は、それぞれ所定の位置に固定されている。入力光ファイバ224jからの光ビームは、光偏向器アレイ223の光偏向器161iのミラー部に入射される。このとき、光偏向器161iによれば、任意の偏向角を保持することができるので、入力された光ビーム226jを偏向して、任意の出力光ファイバ225kから出力させることができる。よって、この光スイッチ221によれば、入力光ファイバー224から出力光ファイバー225への光クロスコネクトを容易に行うことができる。
なお、本使用例では、光偏向器アレイ223を光クロスコネクトを行う光スイッチ221に用いたが、他の使用例として、例えば、光偏向器アレイ223を車両等の移動体用の前照灯(ヘッドライト)の照射光軸上に配置することにより、照射光内に文字や画像のパターンを形成できる、いわゆるピクセルライトとして用いることもできる。
[第7実施形態]
図25には、第7実施形態における光偏向器の製造方法を示す。この製造方法では、
第5実施形態において前記第1例の圧電アクチュエータ41を使用した場合の光偏向器181が製造される。なお、図25(a)〜(e),図26(f)〜(h)は、光偏向器181の断面を模式的に示している。
図25(a)に示すように、ミラー部182の支持体、圧電アクチュエータ183〜188の支持体、可動枠194、支持体基端部196、台座197を形成する基板としては、SOI基板231を用いている。SOI基板231は、単結晶シリコン(活性層231a、又はSOI層ともいう)/酸化シリコン(中間酸化膜層231b)/単結晶シリコン(ハンドリング層231c)の張り合わせ基板である。SOI基板の各層の厚みは、例えば、活性層231aの厚みは5〜100μm、中間酸化膜層231bの厚みは0.5〜2μm、ハンドリング層231cの厚みは100〜600μmである。また、活性層231aの表面は光学研磨処理が施されている。
まず、図25(b)に示すように、SOI基板231の表面(活性層231a側)及び裏面(ハンドリング層231c側)に熱酸化炉(拡散炉)によって熱酸化シリコン膜232a,232bを形成する(熱酸化膜形成ステップ)。熱酸化シリコン膜232a,232bの厚みは、例えば0.1〜1μmとする。
次に、図25(c)に示すように、SOI基板231の表面(活性層231a側)に、下部電極層233、圧電体層234、上部電極層235を順次形成する。
まず、下部電極層形成ステップで、SOI基板231の活性層231a側の熱酸化シリコン膜232a上に、2層の金属薄膜からなる下部電極層233を形成する。下部電極層233の材料としては、1層目(下層)の金属薄膜にはチタンを用い、2層目(上層)の金属薄膜には白金を用いる。各金属薄膜は、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法等により成膜する。各金属薄膜の厚みは、例えば1層目のチタンは30〜100nm、2層目の白金は100nm〜300nm程度とする。
次に、圧電体層形成ステップで、下部電極層233上に、1層の圧電膜からなる圧電体層234を形成する。圧電体層234の材料としては、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる。また、圧電膜の厚みは、例えば1〜10μm程度とする。圧電膜は、例えば、反応性アーク放電を利用したイオンプレーティング法により成膜する。反応性アーク放電を利用したイオンプレーティング法については、具体的には、本願出願人による特開2001−234331号公報、特開2002−177765号公報、特開2003−81694号公報に記載された手法を用いる。
このアーク放電プラズマを利用した反応性イオンプレーティング法は、プラズマガンで真空容器内に発生させた高密度酸素プラズマ中で原料金属を加熱蒸発させ、真空容器内或いは半導体基板上において各金属蒸気と酸素とが反応することにより、半導体基板上に圧電膜を形成するものである。この方法を用いることにより、比較的低い成膜温度においても高速に圧電膜を形成できる。特に、アーク放電反応性イオンプレーティング法による圧電膜を形成する際に、その下地として、例えば化学溶液堆積法(CSD(Chemical Solution Deposition)法)によりシード層を形成することで、より優れた圧電特性を有する圧電膜を形成することができる。
なお、圧電膜は、例えばスパッタ法、ゾルゲル法等により成膜してもよい。ただし、反応性アーク放電を利用したイオンプレーティング法を用いることにより、バルクの圧電体と同等の圧電特性を有する厚みのある膜を成膜することができる。
次に、上部電極層形成ステップで、圧電体層234上に、1層の金属薄膜からなる上部電極層235を形成する。上部電極層235の材料としては、白金又は金を用いる。上部電極層235は、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法等により成膜する。上部電極層235の厚みは、例えば10nm〜200nm程度とする。
次に、図25(d)に示すように、形状加工ステップで、上部電極層235、圧電体層234、下部電極層233の形状を加工して、圧電アクチュエータ183〜188の圧電カンチレバーの上部電極、圧電体、下部電極を形成する。この際に、熱酸化シリコン膜232aの形状加工も同時に行う。
具体的には、まず、上部電極層235上にフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングする。次に、パターニングしたレジスト材料をマスクとして、上部電極層235及び圧電体層234に対して、RIE(Reactive Ion Etching)装置を用いて、ドライエッチングを行う。これにより、内側用電極セット189,190の上部電極パッドと、外側用電極セット191,192の第1,第2上部電極の電極パッドと、圧電アクチュエータ183〜188の圧電カンチレバーの上部電極及び圧電体とが形成される。また、このとき、これらの上部電極用の電極パッドと所定の圧電カンチレバーの上部電極とを接続するための上部電極配線(電極配線パターン)も形成される。
同様に、下部電極層233上にフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングする。次に、パターニングしたレジスト材料をマスクとして、下部電極層233及び熱酸化シリコン膜232aに対して、RIE装置を用いて、ドライエッチングを行う。これにより、内側用電極セット189,190の下部電極パッドと、外側用電極セット191,192の共通下部電極の電極パッドと、圧電アクチュエータ183〜188の圧電カンチレバーの下部電極とが形成される。また、このとき、これらの下部電極用の電極パッドと各圧電カンチレバーの下部電極以外の部分の熱酸化シリコン膜232aが除去される。なお、内側用電極セット189,190の下部電極パッドと、外側用電極セット191,192の共通下部電極の電極パッドとは、図25(d)に示した下部電極層223が露出した端部e1のように形成され、内側用電極セット189,190の上部電極パッドと、外側用電極セット191,192の第1,第2上部電極の電極パッドとは、上部電極層235が露出した部分の端部e2のように形成される。
次に、図25(e)に示すように、反射面形成ステップで、ミラー部182のミラー面反射膜が形成される。まず、SOI基板231のSOI層231a側の全面に、1層の金属薄膜(反射膜)236を形成する。金属薄膜236の材料としては、例えば金、白金、アルミ等を用いる。また、金属薄膜236は、例えばスパッタ法、蒸着法を用いて成膜する。金属薄膜236の厚みは、例えば100〜500nm程度とする。
次に、金属薄膜236の形状を加工する。具体的には、まず、金属薄膜236上にフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングする。次に、パターニングしたレジスト材料をマスクとして、金属薄膜236に対して、RIE装置を用いてドライエッチングを行う。これにより、SOI層231a上(熱酸化膜232aを除去したシリコン面)にミラー面反射膜が形成される。熱酸化膜232aを除去したSOI層231a上にミラー面反射膜を形成することにより、熱酸化膜の応力によりミラー部182が反ることが防止される。
次に、図26(f)〜(h)に示すように、支持体形成ステップで、ミラー部182の支持体、圧電アクチュエータ183〜188の支持体、トーションバー193a,193b、可動枠194、支持体基端部196、台座197が形成される。まず、図26(f)に示すように、活性層231a(単結晶シリコン)の形状を加工する。まず、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングし、このパターニングしたレジスト材料をマスクとして、Deep−RIE装置を用いて、活性層231aのシリコンの形状を加工する。Deep−RIE装置は、マイクロマシニング技術で使用されるドライエッチング装置であり、シリコンを垂直に深く掘ることが可能な装置である。
次に、図26(f)に示すように、ハンドリング層231cの形状を加工する。まず、SOI基板231の裏面にフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングし、このパターニングしたレジスト材料をマスクとして、ハンドリング層231c側の熱酸化シリコン膜232bについて、RIE装置を用いてドライエッチングを行う。次に、同じマスクを用いて、Deep−RIE装置を用いて、ハンドリング層231cのシリコンを加工する。これにより、ミラー部182、圧電アクチュエータ183〜188、トーションバー193a,193b、可動枠194の裏側を深く掘り下げ中空状態にする。
次に、図26(g)に示すように、SOI基板231の中間酸化膜層231bを除去する。具体的には、図26(e)と同じマスクを用いて、SOI基板の裏側から中間酸化膜層231bをRIE装置を用いてドライエッチングする。これにより、ミラー部182、圧電アクチュエータ183〜188、トーションバー193a,193b、可動枠194の周囲を部分的にSOI基板231から切り離して空隙を形成し、圧電アクチュエータ183〜188の駆動と、ミラー部182、トーションバー193a,193b、可動枠194の回転を可能にする。
以上の工程により、光偏向器181が製造される。
この製造方法によれば、光偏向器181を半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスを用いて一体的に形成することができるので、製造が容易であり、小型化や量産や歩留まりの向上が可能となる。さらに、光偏向器181をデバイスに組み込む場合に、デバイス全体として半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスを用いて一体的に形成することが可能となるので、光偏向器181を他のデバイスに組み込むことが容易となる。
なお、本実施形態の製造方法は、第1実施形態の光偏向器11、第5実施形態において前記第2例の圧電アクチュエータ61を使用した場合の光偏向器181、第2〜第4,第6実施形態において前記第1例又は第2例の圧電アクチュエータ41,61を使用した場合の光偏向器141,161,181,201を製造する際にも用いることができる。さらに、これらの光偏向器の使用例である光偏向器アレイを製造する際にも用いることができる。
[第8実施形態]
図27には、第8実施形態における光偏向器の製造方法を示す。この製造方法では、
第5実施形態において前記第4例の圧電アクチュエータ70を使用した場合の光偏向器181が製造される。なお、図27(a)〜(e),図28(f)〜(j)は、光偏向器181の断面を模式的に示している。
本実施形態の製造方法は、第7実施形態の製造方法において、層間絶縁膜73を形成するステップと、第1,第2上部電極配線76a,76b,77a,77bを形成するステップとを備えたものである。以下の説明では、第7実施形態と同じ処理については、第7実施形態を参照して説明を省略する。
図27(a)に示すように、支持体43を形成する基板としては、第7実施形態と同様のSOI基板231を用いる。まず、図27(b)に示すように、SOI基板231の表面(活性層231a側)及び裏面(ハンドリング層231c側)に熱酸化炉によって熱酸化シリコン膜232a,232bを形成する(熱酸化膜形成ステップ)。次に、図27(c)に示すように、SOI基板231の表面(活性層231a側)に、下部電極層233、圧電体層234、上部電極層235を順次形成する(下部電極層形成ステップ、圧電体層形成ステップ、上部電極層形成ステップ)。なお、熱酸化膜形成ステップ、下部電極層形成ステップ、圧電体層形成ステップ、上部電極層形成ステップは、第7実施形態の各ステップと同様である。
次に、図27(d)に示すように、上部電極層233、圧電体層234、下部電極層235の形状を加工する(形状加工ステップ)。この際に、熱酸化シリコン膜232aの形状加工も同時に行う。形状加工ステップの詳細は、第7実施形態と同様である。これにより、内側用電極セット189,190の上部電極パッドと、外側用電極セット191,192の第1,第2上部電極の電極パッドと、圧電アクチュエータ183〜188の圧電カンチレバーの上部電極及び圧電体とが形成される。また、内側用電極セット189,190の下部電極パッドと、外側用電極セット191,192の共通下部電極の電極パッドと、圧電アクチュエータ183〜188の圧電カンチレバーの下部電極とが形成される。また、これらの下部電極用の電極パッドと各圧電カンチレバーの下部電極以外の部分の熱酸化シリコン膜232aが除去される。ただし、このとき、第7実施形態と異なり、これらの上部電極用の電極パッドと所定の圧電カンチレバーの上部電極とを接続するための上部電極配線は形成されない。
次に、図27(e)と図28(f)とに示すように、層間絶縁膜形成ステップで、各圧電アクチュエータの層間絶縁膜73が形成される。まず、図27(e)に示すように、SOI基板231の活性層231a側の全面に、絶縁体の薄膜である絶縁膜237を形成する。絶縁膜237の材料としては、シリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を用いる。絶縁膜237は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて成膜する。絶縁膜237の厚みは、例えば100〜500nm程度とする。
なお、絶縁膜237の材料としては、ポリイミド等の有機絶縁材料を用いてもよい。この場合には、例えばスピンコーティング法を用いて成膜する。このとき、絶縁膜237の厚みは、例えば0.5〜5μm程度とする。
次に、図28(f)に示すように、全面に成膜した絶縁膜237の形状を加工する。具体的には、まず、絶縁膜237上にフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングする。次に、パターニングしたレジスト材料をマスクとして、絶縁膜237に対して、RIE装置を用いてドライエッチングを行う。これにより、各圧電カンチレバーの上部電極上で部分的に開口した層間絶縁膜73が形成される。
なお、図28(f)に示した層間絶縁膜73の開口部f1のように、内側用電極セット189,190の下部電極パッドと、外側用電極セット191,192の共通下部電極の電極パッド上が開口され、層間絶縁膜73の開口部f2のように、内側用電極セット189,190の上部電極パッドと、外側用電極セット191,192の第1,第2上部電極の電極パッド上が開口される。また、各圧電アクチュエータの圧電カンチレバーの上部電極上の開口部も開口部f2のように形成される。また、ミラー面反射膜を形成する部分f3で層間絶縁膜73が除去される。
次に、反射面形成ステップ兼電極配線形成ステップで、図28(g)に示すように、ミラー面反射膜と上部電極用の電極配線パターンとを形成する。まず、SOI基板の活性層側の全面に、1層の金属薄膜236,238(ミラー面反射膜を形成するための反射膜236と電極配線パターンを形成するための電極配線層238との共通の金属薄膜)を形成する。金属薄膜236,238の材料としては、例えば金、白金、アルミ等を用いる。また、金属薄膜236,238は、例えばスパッタ法、蒸着法を用いて成膜する。また、金属薄膜236,238の厚みは、例えば100〜500nm程度とする。
次に、金属薄膜236,238の形状を加工する。具体的には、まず、金属薄膜236,238上にフォトリソグラフィ技術を用いてレジスト材料をパターニングする。次に、パターニングしたレジスト材料をマスクとして、金属薄膜に対して、RIE装置を用いてドライエッチングを行う。これにより、これらの上部電極用の電極パッドと所定の圧電カンチレバーの上部電極とを接続するための上部電極配線(電極配線パターン)が形成される。また、ミラー部182のミラー面反射膜が形成される。
次に、図28(h)〜(j)に示すように、SOI基板231を加工してミラー部182の支持体、圧電アクチュエータ183〜188の支持体、トーションバー193a,193b、可動枠194、支持体基端部196、台座197を形成する(支持体形成ステップ)。なお、支持体形成ステップは、第7実施形態のステップと同様である。
以上の工程により、光偏向器181が製造される。
本実施形態の製造方法によれば、第7実施形態と同様に、光偏向器181を半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスを用いて一体的に形成することができるので、製造が容易であり、小型化や量産や歩留まりの向上が可能となる。さらに、光偏向器181をデバイスに組み込む場合に、デバイス全体として半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスを用いて一体的に形成することが可能となるので、光偏向器181を他のデバイスに組み込むことが容易となる。
なお、本実施形態の製造方法は、第1実施形態において圧電アクチュエータ1に層間絶縁膜を備えた場合の光偏向器11、第5実施形態において前記第3例の圧電アクチュエータ71を使用した場合の光偏向器181、第2〜第4,第6実施形態において前記第3例又は第4例の圧電アクチュエータ71,70を使用した場合の光偏向器141,161,181,201を製造する際にも用いることができる。さらに、これらの光偏向器の使用例である光偏向器アレイを製造する際にも用いることができる。
[第9実施形態]
図29に、第9実施形態の光偏向器241を示す。この光偏向器241は、第4実施形態の光偏向器161(図14)に対しミラー部の構成のみ相違するものである。以下では、第4実施形態の光偏向器161と同一の構成については、同一の参照符号を付して説明は省略する。
本実施形態のミラー部242は、ミラー部支持体243と、角柱形状のミラー固定ロッド244と、矩形板状のミラー245とを備えている。ミラー部支持体243は、第4実施形態のミラー部162のミラー部支持体と同様に、シリコン基板を形状加工することにより、光偏向器241の内側の1対の圧電アクチュエータ163,164の支持体、可動枠171、外側の1対の圧電アクチュエータ165,166の支持体、及び台座174上の支持体基端部173と共に一体的に形成されている。
このミラー部支持体243上には、ミラー固定ロッド244が立設され、その基端部がミラー部支持体243に固定されている。ミラー固定ロッド244の先端部には、ミラー245の下面の中心部が固定されている。このミラー245は、光偏向器241全体を覆う大きさに設けられており、その上面が反射面となっている。
ミラー245は、例えば、シリコン基板を形状加工して形成した板状部材上に、ミラー面反射膜(反射面)を形成した構成とする。このとき、ミラー面反射膜の構成は、第4実施形態のミラー部162のミラー面反射膜と同じとすればよい。また、ミラー固定ロッド244も、シリコン基板を形状加工することにより、ミラー245と一体的に形成する。これらのミラー245及びミラー固定ロッド244は、光偏向器161の1枚の支持体を形成するシリコン基板とは別体で形成する。そして、ミラー固定ロッド244の基端部の下面を、ミラー部支持体243上に固着してミラー部242を形成する。このようにミラー固定ロッド244をミラー部支持体242上に固着するためには、例えば、接着剤による接着、ポリイミド等の永久レジストによる接着、陽極接合、ハンダ接合等の方法が挙げられる。
本実施形態の光偏向器241では、上記のように、光偏向器全体を覆う大きさのミラー245を、光偏向器241のミラー部支持体243上にミラー固定ロッド244を介して固定することで、2階建て構造のミラー部242が形成される。このミラー部242は、光偏向器241の2対の圧電アクチュエータ163〜166と機械的に連結されているので、光偏向器241の駆動に応じて2軸で回転する。他の構成は、第4実施形態と同じである。
ミラー部242をこのような構造にすることで、光偏向器241の外形サイズを厚み方向以外に大きくすることなく、ミラー245のサイズを大きくすることが可能である。よって、光偏向器241のフィルファクター(Fill Factor)を高くすることができる。フィルファクターとは、素子面積に対するミラー面積(有効集光面積)の割合である。このフィルファクターの値が1に近いほど、光の利用効率が高い素子ということができる。本実施形態によれば、ミラー245が光偏向器241全体を覆うような大きさであるので、フィルファクターが1に近く光の利用効率が高い。
本実施形態では、第4実施形態と同様に、2対の圧電アクチュエータの駆動により、ミラー部242が2軸駆動されて、ミラー245に入射された光が偏向される。このとき、フィルファクターが低い場合は、レーザ光のように集束した光ビームを用いればミラーのみに光を入射することが容易であるが、光が拡がる光源では、ミラーに光を集めて偏向させ光を有効利用することが難しい。これに対し、本実施形態の光偏向器241では、フィルファクターの値が高いので、レーザ光のように集束した光ビームだけでなく、例えばハロゲンランプ、HID(High Intensity Discharged)ランプ、LED(Light Emitting Diode)等のように放射特性を有する光源からの照射光についても、効率良く偏向することができる。
従って、本実施形態によれば、小型の光偏向器で偏向角を広範囲に容易に制御可能である。特に、光偏向器の外形サイズを厚み方向以外に大きくすることなく、ミラーのサイズを大きくすることができるから、フィルファクターが高く光の利用効率が高い光偏向器が提供される。
なお、本実施形態では、第4実施形態の光偏向器161においてミラー部を変更するものとしたが、他の実施形態として、第1〜第3,第5,第6実施形態の光偏向器11,123,141,181,201のミラー部を本実施形態のミラー部242のように構成してもよい。
本実施形態の光偏向器241の使用例として、前述の光偏向器アレイ223(図24)のように、光偏向器241を複数組み合わせて光偏向器アレイを構成することができる。そして、この光偏向器アレイを車両等の移動体用のヘッドランプのリフレクタ部の一部又は全部として、照射光の配分(配光)を制御することにより、例えばピクセルライトのように、照射光内に文字や画像のパターンを形成することができる。また、ステアリング舵角に応じてヘッドランプからの配光を制御するAFS(Adaptive Front-Lighting System)に用いることができる。この場合、本実施形態の光偏向器241は、フィルファクターを高くすることが可能であるので、この光偏向器241を使用した光偏向器アレイによれば、ランプ光源のような放射特性を有する光源からの配光を効率良く制御できるという利点がある。
1…圧電アクチュエータ、2A,2B…圧電カンチレバー、3,3A,3B,3C…支持体、4A,4B…下部電極、5A,5B…圧電体、6A,6B…上部電極、7A…第1上部電極、7B…第2上部電極、7C…第2上部電極配線、9…共通下部電極、10…台座、11…光偏向器、12…ミラー部、13…ミラー面反射膜、14…ミラー部支持体、
41…圧電アクチュエータ、42A〜42D…圧電カンチレバー、43,43A〜43D…支持体、44A〜44D…下部電極、45A〜45D…圧電体、46A〜46D…上部電極、47…第1上部電極,48…第2上部電極、49B,49D…第1上部電極配線、50C…第2上部電極配線、51…共通下部電極、52…台座、
61…圧電アクチュエータ、62A〜62D…圧電カンチレバー、64A〜64D…直線部、65A〜65D,66A〜66D…連結部、67a,67b…第1上部電極配線、68a,68b…第2上部電極配線、
70…圧電アクチュエータ、71…圧電アクチュエータ、72A〜72D…圧電カンチレバー、73…層間絶縁膜、74a〜74c…第1開口部、75a〜75c…第2開口部、76a,76b…第1上部電極配線、77a,77b…第2上部電極配線、
112,113…圧電アクチュエータ、112A〜112D,113A〜113D…圧電カンチレバー、118,119,120,121…支持体、116,117…電極セット、116a,117a…第1上部電極、116b,117b…第2上部電極、116c,117c…共通下部電極、122…台座、123…光偏向器、124…ミラー部、125…ミラー部支持体、126…ミラー面反射膜、
131…圧電アクチュエータ、132A…圧電カンチレバー、133,133A…支持体、134,134A…下部電極、135A…圧電体、136,136A…上部電極、137…台座、
141…光偏向器、142…ミラー部、143…ミラー部支持体、144…ミラー面反射膜、145,146…圧電アクチュエータ、145A〜145D,146A〜146D…圧電カンチレバー、147,148,149…支持体、151,152…電極セット、151a,152a…第1上部電極、151b,152b…第2上部電極、151c,152c…共通下部電極、153…台座、
161…光偏向器、162…ミラー部、163〜166…圧電アクチュエータ、167〜170…電極セット、171…可動枠、173…支持体基端部、174…台座、175…画像表示装置、176…レーザ光源、177…ディスプレイ、
181…光偏向器、182…ミラー部、183〜186…第2の圧電アクチュエータ、187,188…圧電アクチュエータ、189,190…内側用電極セット、191,192…外側用電極セット、193a,193b…トーションバー、194…可動枠、196…支持体基端部、197…台座、198…画像表示装置、199…レーザ光源、200…ディスプレイ、
201…光偏向器、202…ミラー部、203,204…第2の圧電アクチュエータ、205,206…圧電アクチュエータ、207a,208a…第1上部電極、207b,207b…第2上部電極、207c,208c…内側用上部電極、207d,208d…共通下部電極、209a,210a…第1上部電極配線、209b,210b…第2上部電極配線、209c,210c…内側用上部電極配線、209d,210d…共通下部電極、211a,211b…トーションバー、212…可動枠、214…支持体基端部、215…台座、216…画像表示装置、217…レーザ光源、218…ハーフミラー、219…ディスプレイ、
221…光スイッチ、223…光偏向器アレイ、224…入力光ファイバ、225…出力光ファイバ、
231…SOI基板、231a…活性層、231b…中間酸化膜層、231c…ハンドリング層、232a,232b…熱酸化シリコン膜、233…下部電極層、234…圧電体層、235…上部電極層、236…反射膜、237…絶縁膜、238…電極配線層、
241…光偏向器、242…ミラー部、243…ミラー部支持体、244…ミラー固定ロッド、245…ミラー。