JP4923373B2 - 部品発注用システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
例えば自動車の組立工場では、「適宜なタイミングで部品納入者(部品工場)に部品を発注し、発注した部品が部品工場から部品使用者(自動車組立工場)に納入され、納入された部品を使用して自動車の組立作業を実施する」循環が繰返されている。本発明は、部品使用者(製品生産工場)からの部品発注に対して、部品納入者(部品工場)が過大な在庫を抱えないで対応することを可能にする、部品発注用システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
製品を生産する部品使用者(製品生産工場)から部品納入者(部品工場)に対する部品発注を適切に管理するための方法として、「かんばん方式」と称される方法が良く知られている。
この方法では、部品使用者が部品納入者に、少なくとも「部品種類と部品数量」を示すカード(いわゆる「かんばん」)を発行する。発行されたカードは部品発注を意味するものとして扱われる。部品使用者から部品納入者に「かんばん」が発行されると、部品納入者では「かんばん」で指示された種類の部品を「かんばん」で指示された部品数量だけ、予め決められたリードタイム後に、「かんばん」とともに部品使用者に納入する。部品使用者に納入された部品が使用されると、「かんばん」が取外されて回収される。そして、回収された「かんばん」は再び部品納入者に発行され、以下、上述した循環が繰返される。
上記の方法によると、部品使用者は使用した部品数量だけの部品を自動的に発注することができるために、部品在庫の過剰や欠品を発生させないで製品の生産活動を継続することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法によると、部品使用者が使用しただけの部品が部品使用者に補充される循環が繰返されるために部品使用者は部品在庫の過剰や欠品を発生させないで製品の生産活動を継続することができる。
「かんばん」方式が後補充方式であるのに対し、生産計画に基づいて予め必要な部品を発注しておく方式も可能である。
しかしながら、現実には計画どおりに生産できないことが頻繁に起こる。計画発注方式では、計画からのズレが生じたときに、現実に対応できるように発注量を修正する必要がある。計画発注方式でも、この修正段階になると、後補充方式で対応する利点が顕著となり、使用しただけの部品を発注するようにすることで現実に対応できるように発注量が修正される。
後補充方式で対応するために、あるいは計画を現実に対応して修正するために、「かんばん」方式が広く採用されている。
最近では製品需要が短期間に大きく変動することが多い。この場合、「かんばん」方式によると、重要が増大した製品に用いる部品のための「かんばん」が突然に高頻度に発行される一方、重要が低下した製品に用いる部品のための「かんばん」の発行頻度が突然に低下することがおこる。このことによって、部品使用者の側では、部品在庫の過剰や欠品を発生させないようにしながら需要変動に対応することができる反面、部品納入者の側では予告なしに生じる発注量の変動に常に対応できるように準備しておかなければならない。このために部品納入者の方では多くの在庫を持たなければならないという問題が生じてきている。
【0004】
生産計画が変更される際に「かんばん」の発行を修正することによって、計画されている生産計画の変更に対応する技術が、特開平9−290351号公報等に記載されている。
この技術では、部品使用者の生産計画に変更があり、使用する部品数量の増減が予想される場合に、予想される生産量の増減に応じて発行する「かんばん」枚数を増減させる。
この技術を採用することによって、「かんばん」発行頻度の突然の変化をある程度は緩和することができる。しかしながら、緩和するにも限度があり、重要変動の速度に対して「かんばん」枚数の増減速度を緩和しすぎると、部品使用者の側に過大在庫や部品の欠品が生じてしまう。部品納入者の側では、ある程度は緩和されたとはいえ予告なしに生じる重要変動に対応しなければならず、現実には多くの在庫を持って需要変動に準備しておかなければならない。
「かんばん」方式は、後補充方式であるために自動的に重要変動に対応できる反面、予告なしに生じる重要変動に対応できるように常に準備しておかなければならないという潜在的な問題を持っている。
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用した数量だけの部品を後補充方式で発注するという利点を維持しながら、重要変動に備えなければならない部品納入者の負担を軽減し、部品納入者の部品在庫量を低減できる部品発注用システムを実現することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために創作された本願発明のシステムは、図1に模式的に示す構造を有する。
本願発明のシステムは、部品使用者が部品納入者に部品を発注するためのコンピュータシステムであり、使用された部品数量だけの部品を発注する部品発注機能と、部品の発注に先だって部品発注数量を予告する部品発注数量予告機能を備えている。
部品発注機能は、カード読取装置12、使用部品数量算出手段14、カード発行手段16によって実現される。
カード読取装置12は、部品とともに納入され、部品が使用されて部品から外された「部品種類と部品数量と部品納入者」を示すカード(いわゆる「かんばん」)の情報を読み取る。図1には、使用された部品から、カードC1(部品種類A1,部品数量B1,部品納入者D1)と、カードC2(部品種類A2,部品数量B2,部品納入者D2)と、カードC3(部品種類A1,部品数量B3,部品納入者D1)の3枚のカードが外されて読み取られた例を示している。
なお、このカードには、「部品種類と部品数量と部品納入者」以外の情報、例えば、部品納入ルート、部品箱の種類、部品サイズといった情報が示されていることを妨げない。
使用部品数量算出手段14は、直前カード発行時以降にカード読取装置12で読み取られた部品種類毎の部品数量の合計から、直前カード発行時以降に使用された部品種類毎の部品数量を算出する。図1には、直前カード発行時T2以降にカード読取装置12で読み取られた3枚のカードC1,C2,C3から、部品種類毎に部品数量を合計した結果、例えば部品種類A1については(B1+B3)個だけ使用されたことが算出された例を示している。
カード発行手段16は、部品納入者に対して「部品種類と部品数量と部品納入者」を示すカードを発行する。ここで示される部品数量は、使用部品数量算出手段14によって算出された数量に等しい。図1には、部品納入者D1に対して、「部品種類A1,部品数量B1+B3、部品納入者D1」を示すカードが発行され、部品納入者D2に対しては「部品種類A2,部品数量B2、部品納入者D2」のカードが発行されたことが例示されている。
これらの装置12と手段14,16によって、部品使用者が使用した部品種類の部品が使用した数量だけ部品納入者(D1,D2)に発注され、部品使用者が使用しただけの部品が部品使用者に後補充されることとなる。
また、本発明のシステムの備える部品発注量予告機能は、予定部品数量算出手段18と予告手段20を有している。
予定部品数量算出手段18は、カード発行手段16によるカード発行に先だって、直前カード発行時(T2)から当該カード発行時(T1)までの間に使用が予定されている部品種類毎の部品数量を算出する。図1では、カード発行手段16のカード発行時(T1)から前の時点で、直前カード発行時(T2)からカード発行時(T1)までの間に使用が予定されている部品種類毎の部品数量(例えば、部品種類A1の使用予定の部品数量がB4であること)を算出している。
予告手段20は、カード発行手段16によるカード発行から所定期間だけ前の時点で、予定部品数量算出手段18で算出された部品種類毎の部品数量を部品納入者に予告する。図1では、カード発行時(T1)から所定期間(P)だけ前の時点(T3)で、部品納入者D1に部品種類A1の予定部品数量がB4であることが予告され、部品納入者D2に部品種類A2の予定部品数量がB5であることが予告される場合を例示している。
【0007】
上記のシステムによると、部品使用者が使用した部品数量だけ部品納入者に発注される。部品使用者の使用実績に基づいて部品が発注されるため、部品使用者の部品在庫を圧縮することができる。計画よりも実際の生産が遅れても過大在庫とならず、計画以上に実際の生産が進行しても部品の欠品は生じない。
一方において、部品使用者からの部品の発注(カードの発行)に先だって、発注されるであろうと予定されている数量(使用予定の部品数量)が部品納入者に予告されている。したがって、部品納入者は、予告された発注予定量に併せて生産計画を修正して増産・減産等で対応することができるため、部品納入者の部品在庫を低減することができる。
本来、計画に基づいて発注する方式と後補充で発注する方式は両立しない。両方を用いると、計画から算出される発注量と後補充方式で算出される発注量が多くのケースで不一致となることから、発注量を決めることができなくなってしまう。このシステムは、計画に基づいて発注する方式と後補充で発注する方式を巧みに調和させたものであり、基本的には後補充で発注することにしてすでに実証されている「かんばん」方式の優位性を活用しながら、計画に基づく発注量を予告に用いることによって、生産変動に対する部品納入者の負荷の変動を緩和することに成功したものである。
【0008】
予定部品数量算出手段18は、予告手段20による予告よりも前に部品使用者の生産計画コンピュータにアクセスして生産計画を読み出して記憶する手段と、その記憶した生産計画から部品使用計画を算出する手段と、その算出された部品使用計画から直前カード発行時から当該カード発行時までの間に使用が予定されている部品種類毎の部品数量を算出する手段とから構成されていることが好ましい。
このような構成によると、予告手段により算出される予定部品数量が部品使用者の生産計画コンピュータで立案された生産計画から算出されるため、生産計画を反映した正確な予定部品数量を部品納入者に提示することができる。
【0009】
また、予告手段20による予告は、部品納入者による部品の生産開始から部品使用者への部品納入までに要する期間から、カード発行から部品納入までのリードタイムを引いた時点より前に行われることが好ましい。
このような構成によると、予告された時点から部品納入者が部品の増産を開始しても、部品使用者のカード発行に対応することができるため、部品納入者の部品在庫の低減をより図ることができる。
また、計画は次々に修正されるために、先の時点で予告するほど、予告数量の不正確性が大きい。部品納入者による部品の生産開始から部品使用者への部品納入までに要する期間から、カード発行から部品納入までのリードタイムを引いた時点で予告をすると、予告に基づいて増産しても間に合う最終時点で予告することから、正確な予告数量を予告することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、製品の一例として自動車の場合について説明する。
図2は、車両を生産する製品生産工場とその製品生産工場に部品を納入する部品工場の関係を示している。図2に示すように、一つの製品生産工場1には、多数の部品工場3,5,7・・から多種類の部品が納入され、その納入された多種類の部品を使用して製品生産工場1は車両を生産する。なお、図2では、部品工場3,5,7・・を部品仕入先工場3,5,7・・と表示している。
製品生産工場1からの部品の発注は、通信ネットワーク9を介して各部品工場3,5,7に発注情報を出力することによって行われる。各部品工場3,5,7はカード印刷機を持ち、通信ネットワーク9から送られてくる発注情報に基づいて発注指示カード(即ち、かんばん)を印刷して発行する。発注情報は少なくとも部品種類と部品数量と部品納入者を示す情報を持ち、発行される発注指示カードにも、少なくとも部品種類と部品数量と部品納入者が示される。部品工場ではカード印刷機で発行された発注指示カードを利用して、発注指示カードで指示された種類と数量の部品を発注指示カードとともにトラック等により製品生産工場1に納入する。製品生産工場1に納入された部品は、運搬車等により生産ラインに運搬されて使用される。製品生産工場1からの部品の発注と、部品工場3,5,7からの部品の納入が繰返されることで、製品生産工場1は継続的に生産活動を行う。
【0011】
次に、製品生産工場1から部品工場3,5,7に部品を発注するための部品発注用コンピュータシステムについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る部品発注用コンピュータシステムの概略構成を示す図である。なお、図3では、部品工場を部品仕入先工場と表示している。
図3に示すように、部品発注用コンピュータシステムは、製品生産工場1に設置される発注指示カード管理装置22,発注指示カード読取装置24と、部品工場3,5,7に設置される発注指示カード発行装置60により構成されている。
【0012】
発注指示カード管理装置22は、記憶装置として発注指示カード枚数管理データベース28、ライン管理データベース30、仕入先マスタデータベース40を備える。
発注指示カード枚数管理データベース28は、発注指示カード読取装置24で読み取られた発注指示カードの情報(部品種類,部品数量、部品工場)をその読取時刻とともに記憶する。すなわち、発注指示カード枚数管理データベース28には、製品生産ライン26で使用された部品の部品種類と部品数量と使用時刻が記憶される。
ライン管理データベース30は、製品生産ライン26の進捗状況に関する情報を記憶する。すなわち、ライン管理データベース30には、各生産車両が製品生産ライン26に設けられた各ポイントを通過した通過時刻等が記憶され、この情報から製品生産ライン26の作業状況(生産計画からの進みや遅れ等)が管理される。
仕入先マスタデータベース40は、製品生産工場1で生産される車両の製品種類毎に、当該製品種類の車両を構成する各部品を記憶する。図4に仕入先マスタデータベース40の一例が示されている。図4に示すように、製品生産工場1では製品種類A1,A2,A3,・・Ak・・の多種類の製品が生産されており、各製品種類毎にその種類の製品を生産するための部品B1,B2,B3・・が記憶されている(図では必要な部品を○で示している)。例えば、製品種類A1の車両を生産するためには部品B1,B2,B3・・が使用され、製品種類A2の車両を生産するためには部品B1・・が使用される。上記の説明から明らかなように、製品種類が異なれば使用される部品も異なる。したがって、製品生産工場1で生産される車両の合計生産台数が変更とならなくても生産する車両の製品種類が変更されれば、その製品種類の変更によって部品使用量も変更されることとなる。
また、図4から明らかなように、製品種類が異なっても共通して使用される部品がある。例えば、部品B1は製品種類A1,A2,A4・・の車両に共通して使用される。このような部品では、どの製品種類のための部品かを識別するために異なる品番が付与される。例えば、製品種類A1用の部品B1には品番10000−00003が付され、製品種類A2用の部品B1には品番10000−00001が付されている。したがって、同一の部品であっても品番が異なれば、異なる種類の部品として取扱われることとなる。
【0013】
また、図3の発注指示カード管理装置22は、生産計画立案装置21で立案される各種生産計画を記憶する月度生産計画データベース32、N日前生産計画データベース34、当日生産計画データベース36とを備える。
本実施形態では、生産計画立案装置21は、月単位の生産計画(以下、長期的生産計画という)を立案し、また、各生産日のN日前(例えば、3日前)の時点でその時点からN日後までの生産計画(以下、準短期的生産計画という)を立案し、各生産日の当日にその日の生産計画(以下、短期的生産計画という)を立案する。これらの長期的生産計画、準短期的生産計画、短期的生産計画は、生産計画立案装置21から発注指示カード管理装置22により読み取られ、発注指示カード管理装置22の各データベース32,34,36にそれぞれ記憶される。
月度生産計画データベース32には長期的生産計画が記憶される。図5に長期的生産計画の一例を示している。図5から明らかなように、長期的生産計画は製品生産工場1で1ヶ月の間に生産される車両の製品種類毎の予定生産量を記憶する。図5の例では、製品種類A1の車両が100台、製品種類A2の車両が200台、製品種類A3の車両が300台、・・製品種類Akの車両が500台生産される生産計画が立案されている。
N日前生産計画データベース34には準短期的生産計画が記憶される。図7に準短期的生産計画の一例を示している。図7に示すように、準短期的生産計画では、生産する車両の製品種類とその生産順序が決定されている。ただし、図7において斜体で記載された製品種類の車両については確定した生産順序ではなく、斜体以外で記載された製品種類の車両は確定した生産順序を示している。このように準短期的生産計画では生産順序は確定されておらず、その後の製品生産ライン26の進捗状況によって生産順序の変更が行われ得る。
当日生産計画データベース36には短期的生産計画が記憶される。図6に短期的生産計画の一例を示している。図6から明らかなように短期的生産計画も、上述した準短期的生産計画と同様に、生産する車両の製品種類とその生産順序が決定されている。ただし、この短期的生産計画では、準短期的生産計画と異なり、全ての生産予定の車両の生産順序が確定されている。
【0014】
発注指示カード管理装置22は、さらに上述した各データベースに記憶されたデータを処理する演算装置(コンピュータ)を備え、演算装置には発注指示カード発行枚数を計算する発注指示カード発行枚数計算部38と、部品発注予定量を計算する部品発注予定量計算部42とが設けられる。
発注指示カード枚数計算部38は各部品工場3,5,7に発行する発注指示カードの枚数を算出する。具体的には、まず、発注指示カード枚数管理データベース28に記憶されている直前発注時から現在までに製品生産ライン26から回収した発注指示カードの品番毎(図4参照)の枚数を集計する。そして、その集計した枚数から直前発注時から現在までに製品生産ライン26で使用された品番毎の部品数量を計算する。ここで、本実施形態では発注指示カード1枚につき部品数量が予め決められている。したがって、ある品番について回収された発注指示カードの枚数が10枚で、発注指示カード1枚につき部品10個とされていれば、生産ライン26で使用された部品数量は100個と計算される。
次に、ライン管理データベース30に記憶されているライン進捗状況と当日生産計画データベース36に記憶されている短期的生産計画をもとに発注する部品数量を修正する。すなわち、ライン進捗状況と短期的生産計画から、発注指示カードの回収以降に製品生産ライン26で使用された部品を算出して使用部品数量を修正する。
上述のようにして品番毎に使用した部品数量が算出されると、仕入先マスタデータベース40の情報を参照して品番毎に仕入先の部品工場を特定し、その部品工場に発行する品番毎の発注指示カードの枚数を算出する。すなわち、上述の例で、使用部品数量が100個で発注指示カード1枚につき部品10個である場合には、発注指示カードの枚数を10枚と算出する。
このようにして品番毎に発注指示カードの発行枚数が算出されると、その品番毎の発行枚数が該当する部品工場の発注指示カード発行装置60に通信ネットワーク9を介して出力されることとなる。
【0015】
部品発注予定量計算部42は、月度生産計画データベース32に記憶されている長期的生産計画に基づいて当該月に使用が予定される部品数量を算出する機能と、N日前生産計画データベース34に記憶されている準短期的生産計画に基づいてN日間に発注される予定の部品数量を算出する機能を有する。
長期的生産計画に基づく発注予定部品数量の算出は次の手順で行われる。既に説明したように長期的生産計画(図5参照)では各製品種類毎に生産予定数量を決定しており、また、仕入先マスタデータベース40(図4参照)は各製品種類毎に車両を構成する部品を決定する。したがって、月度生産計画データベース32に記憶されている長期的生産計画と仕入先マスタデータベース40の情報から、図8に示すような品番毎の使用予定の部品数量を算出する。
なお、このようにして算出された品番毎の使用予定の部品数量は、月度生産計画の立案時(すなわち、月に一度)に、通信ネットワーク9を介して部品工場に設置された生産指示装置50に出力される。月に一度、その月に使用することが予定されている部品数量が部分納入先に予告される。
【0016】
準短期的生産計画に基づくN日間に発注される予定の部品数量は次の手順で算出される。既に説明したように準短期的生産計画(図7参照)では、生産される車両の製品種類と生産順序が決定されている。したがって、部品発注予定量計算部42は、準短期的生産計画の通りに生産活動が行われたとしたときの、N日間の稼動時間内の各時点においてどの製品(製品種類)が生産されているのかを求める。N日間の稼動時間内の各時点における製品生産状況が分かれば、その製品生産状況から経時的な部品使用量(品番毎)の変化を算出する。
次に、算出された部品使用量の経時的変化から、N日後の各発注時点において直前発注時から当該発注時までに使用されるはずの部品数量を算出する。すなわち、各発注時において当該発注時までの部品使用量から直前発注時までの部品使用量を減算することで、直前発注時から当該発注時までに使用する予定の部品数量を算出する。
なお、このようにして算出された、発注時毎の品番毎の発注予定量は、通信ネットワーク9を介して部品工場3,5,7に設置された生産指示装置50に出力されることとなる。部品工場3,5,7には、N日後の発注時毎の発注予定数量が予告される。
【0017】
上述した発注指示カード管理装置22と接続される発注指示カード読取装置24は、生産ライン26から回収された発注指示カードの情報を読み取る読取装置である。読取装置24で読み取られた情報は、既に説明した発注指示カード枚数管理データベース28に格納される。
なお、本実施形態での発注指示カードの生産ライン26からの回収は、次のようにして行われる。部品が生産ライン26で消費されると、部品を収納していたパレットから発注指示カードが取外され、製品生産ライン26の近傍に配置されている回収ポストに投入される。回収ポストに投入された発注指示カードは定期的に回収されて発注指示カード読取装置24で読み取られる。
【0018】
各部品工場3,5,7・・には、それぞれ発注指示カード発行装置60が設置される。発注指示カード発行装置60は、製品生産工場1に設置される発注指示カード管理装置22と通信ネットワーク9を介して接続され、発注指示カード管理装置22から出力される発注指示(品番毎の発行枚数)を受けて所定数の発注指示カードを発行する。
すなわち、発注指示カード発行装置60には、発注指示カード管理装置22から出力される発注指示(品番毎の発行枚数)が入力する発注指示カード枚数入力部61が設けられる。発注指示カード枚数入力部61に発注指示が入力すると、発注指示カード発行部62により部品種類を示す情報(品番)と部品数量(発注指示カード1枚当り予め決められている)と部品工場のID(部品納入者を示す情報)が印刷された発注指示カードが指示された発行枚数だけ印刷される。
上記のようにして発注指示カード発行部62で発注指示カードが印刷されると、その印刷された枚数に応じて部品工場3,5,7・・の部品出荷部58より製品生産工場1に向けて部品が出荷される。
【0019】
また、各部品工場3,5,7・・には、それぞれ上述した発注指示カード発行措置60に加えて、さらに生産計画立案装置44と生産指示装置50が設けられる。
各部品工場3,5,7・・に設置される生産計画立案装置44は、それぞれの部品工場3,5,7・・における月単位の部品生産計画(以下、長期的部品生産計画という)を立案する装置である。すなわち、生産計画立案装置44は、製品生産工場1の発注指示カード管理装置22から月毎に出力される長期的生産計画(製品の月毎の生産計画)から算出された部品使用量(図8参照)に基づいて月毎の生産計画を立案する。
【0020】
生産指示装置50は、生産計画立案装置44で立案された長期的部品生産計画に基づいて、部品生産ライン57に対し部品生産を指示する装置である。この生産指示装置50には、記憶装置として月度部品生産計画データベース51、N日前部品生産計画データベース52、当日部品生産計画データベース53が設けられ、データ処理部として部品生産量計算部54と、出荷量補正部55と、部品生産指示部56が設けられる。
月度部品生産計画データベース51は、生産計画立案装置44で立案された長期的部品生産計画を記憶する装置である。N日前部品生産計画データベース52は、各生産日のN日前の時点で立案されるN日後までの部品生産計画(以下、準短期的部品生産計画という)を記憶する装置である。また、当日部品生産計画データベース53は、当日の生産開始前の時点における部品生産計画(以下、短期的部品生産計画という)を記憶する装置である。
部品生産量計算部54は、発注指示カード管理装置22から出力されるN日後の発注予定量から部品生産量を再計算し、月度部品生産計画データベース51に記憶されている長期的部品生産計画を修正して準短期的部品生産計画を立案する。すなわち、N日後の発注予定量が長期的部品生産計画で予定されている生産予定量とずれが生じている場合に、長期的部品生産計画を修正して準短期的部品生産計画を立案する。例えば、N日後の発注予定量が長期的部品生産計画によるN日後の生産予定量を上回る場合には生産量を増加するよう生産計画を変更し、N日後の発注予定量が長期的部品生産計画によるN日後の生産予定量を下回る場合には生産量を減少するように生産計画を修正する。この立案された準短期的部品生産計画は、N日前部品生産計画データベース52に格納される。
出荷量補正部55は、部品出荷部58から出力される在庫情報(すなわち、部品生産ライン57で生産される部品数量と部品出荷部58から出荷される部品数量から算出される在庫量)に基づいて、N日前部品生産計画データベース52に記憶されている準短期的部品生産計画を修正して短期的部品生産計画を立案する。この立案された短期的部品生産計画は、当日部品生産計画データベース53に格納される。
部品生産指示部56は、当日部品生産計画データベース53に記憶されている短期的部品生産計画に基づいて部品生産ライン57に生産指示を出力する。
【0021】
次に、上述のように構成される部品発注用コンピュータシステムの作用について、図9乃至11に基づいて説明する。図9は、製品生産工場1と各部品工場3,5,7間の情報の流れを時系列的に示すブロック図であり、図10は発注指示カード管理装置22による部品発注予定量を予告する際のフローチャートであり、図11は発注指示カード管理装置22による発注指示カードを発行する際のフローチャートである。
図9に示すように、本実施形態の部品発注用コンピュータシステムでは、1ヶ月毎に、まず、製品生産工場1の生産計画立案装置21が長期的生産計画(図5参照)を立案する(S105)。長期的生産計画が立案されると、その長期的生産計画に基づいて予定部品使用量(図8)が算出され、この予定部品使用量が各部品工場3,5,7・・に提示される。予定部品使用量が提示されると、各部品工場3,5,7・・の生産計画立案装置44は、提示された予定使用部品数量に基づいて長期的部品生産計画を立案する(S107)。
【0022】
長期的生産計画が立案された月内の各生産日には、まず、製品生産工場1の生産計画立案装置21により当該生産日からN日間の間に生産する製品の製品種類と生産順序を決定する準短期的生産計画が立案される(S109)。準短期的生産計画が立案されると、発注指示カード管理装置22は、立案された準短期的生産計画に基づいてN日後に発注が予定される部品発注量を生産進度を折り込んで決定する(S111)。N日後に予定される部品発注量が決定されると、その決定された部品発注量を各部品工場3,5,7・・の生産指示装置50に通信ネットワーク9を介して提示(予告)する(S113)。
上記したステップS111及びステップS113における発注指示カード管理装置22の具体的な処理手順を、図10を参照して説明する。
図10に示すように、発注指示カード管理装置22は、まず生産計画立案装置21にアクセスして、準短期的生産計画を読み込みN日前生産計画データベース34に格納する(S10)。次に、N日前生産計画データベース34に格納された準短期的生産計画から、部品発注予定量計算部22によりN日後の各稼動時間における品番毎の経時的な部品使用量(部品使用計画)を算出する(S12)。
部品使用計画が算出されると、まず、部品発注予定量を予告する仕入れ先の工場(即ち、仕入れ先の部品工場)を選択する(S14)。そして、その選択された部品工場で生産される部品について、ステップS12で算出された部品使用計画から各発注時の発注予定部品数量(直前発注時から当該発注時までの部品使用量)を算出する(S16)。予定部品数量が算出されると、その算出された予定部品数量をステップS14で選択された部品工場に出力する(S18)。
ステップS20では、全ての部品工場に予定部品数量を出力したか否かが判定され、全ての部品工場に出力している場合(ステップS20でYESの場合)はそのまま処理を終了し、全ての部品工場に出力していない場合(ステップS20でNOの場合)にはステップS14に戻ってステップS14からの処理を繰返す。これによって、全ての部品工場3,5,7・・に、N日後に発注が予定される部品の予定部品数量が出力される。
【0023】
上述の手順で各部品工場に向かって予定部品数量が出力されると、その出力された情報が各部品工場の生産指示装置50に入力され(図9のS115)、その入力した情報に基づいて部品生産量計算部54が準短期的生産計画を立案する(S119)。したがって、各部品工場では、製品生産工場1から予告された発注予定の予定部品数量に基づいて生産が開始される(S121)。
【0024】
上述した発注予定の予定部品数量の予告からN日後には、まず、製品生産工場1の生産計画立案装置21によって短期的生産計画が立案され(S123)、その短期的生産計画に基づいて製品の生産が開始される。製品の生産が開始され部品が使用されると、製品生産ライン26から発注指示カードが回収されて発注指示カード読取装置24で読み取られる。発注指示カード読取装置24で読み取られた情報は発注指示カード枚数管理データベース28に格納される。
【0025】
生産が開始された後、予め決められた発注時期となると部品工場に発注する最終的な部品発注量を決定し(S125)、発注指示カード管理装置22から各部品工場の発注指示カード発行装置60に対し発注が行われる(S127)。
上記したステップS125及びステップS127における発注指示カード管理装置22の具体的な処理手順を、図11を参照して説明する。
図11に示すように、発注指示カード管理装置22は、発注処理を行う部品の品番を選択する(S30)。次に、直前発注時から当該発注時までに読み取られた発注指示カードから選択された品番に関するものを発注指示カード枚数管理データベース28から読み出す(S32)。そして、読み出された発注指示カードの枚数を集計することで、直前発注時から当該発注時までに使用された部品数量を算出する(S34)。
ステップS34で使用部品数量が算出されると、算出された使用部品数量を発注指示カードの発行枚数に換算する(S36)。発注指示カードの発行枚数が決まると、ステップS30で選択した品番の部品を生産する部品工場の発注指示カード発行装置60に向かって発注情報(品番、発行枚数)を出力する(S38)。
ステップS40では、発注予定の全ての品番の部品について発注情報を出力したか否かが判定される。全ての品番の部品について出力している場合(ステップS40でYESの場合)は、そのまま発注指示カード管理装置22の処理を終了し、全ての品番の部品について出力していない場合(ステップS40でNOの場合)にはステップS30に戻ってステップS30からの処理を繰返す。これによって、発注予定の全ての品番の部品について、その品番を生産する部品工場に発注情報が出力される。
図11のステップS36では、使用した部品数から直接的に発注指示カード枚数を計算する。これに代えて、特開平9−290351号公報等に記載されているように、使用した部品数を基準にしながらも、計画されている生産変動を加味して発注指示カード枚数を修正するようにしてもよい。即ち増産が予定されていれば枚数を増加させ、減算が予定されていれば枚数を減少させるように修正してもよい。
【0026】
上述のようにして、製品生産工場1の発注指示カード管理装置22から部品工場の発注指示カード発行装置60に発注情報が出力されると、発注指示カード発行装置60は発注情報にしたがって発注指示カードを発行する(S129)。そして、部品工場は、その発行された発注指示カードにしたがって、部品を発注指示カードとともにトラック便によって製品生産工場1に納入する。
【0027】
上述したことから明らかなように、本実施形態の部品発注用コンピュータシステムでは、月毎に立案される長期的生産計画に基づく部品使用予定量の提示につけ加えて、図12に示すように発注指示カード発行日のN日前にも準短期的生産計画を算出して、この算出された準短期的生産計画に基づいて発注予定の部品数量を部品工場に予告する。したがって、部品工場は、製品生産工場1から予告された予定部品数量に基づいて生産計画を修正して発注部品量の変化に対応することができるため在庫量を低減することができる。
特に、N日前に立案される準短期的生産計画は、製品の生産順序と製品種類が決められ、かつ、発注(トラック便)毎に発注予定の部品数量(図12に示すQn)が算出される。したがって、当日の生産実績から決定される部品発注量(図12に示すQse)とのずれが小さく、これによって部品工場は余分な安全在庫を抱える必要がなくなる。
また、本実施形態では、N日前に準短期的生産計画が立案され発注予定量が部品工場に予告されるが、実際の部品工場への部品の発注は製品生産工場1の生産実績に基づいて行われる。このため、製品生産工場1が準短期的生産計画の通りに生産が行われない場合には余分な部品を受取ることはなく、後補充方式の利点である製品生産工場1の部品在庫の低減を図ることができる。
【0028】
なお、製品生産工場1からの発注予定部品数量の予告は、図13に示すように、部品工場での生産開始から製品生産工場1への部品納入までに要する期間(部品生産リードタイム+部品納入リードタイム)から部品納入猶予期間(部品納入リードタイム+製品生産工場1の在庫調整時間)を引いた時点又はその直前に行われることが好ましい。
このようなタイミングで、部品工場に発注予定の部品数量を予告することができれば、部品工場は発注予定の部品数量の予告時点から生産計画を修正して増産する等により、製品生産工場1に欠品することなく部品を納入できる。したがって、部品工場における部品在庫の低減をより図ることができる。また、予想数量は可能な限り正確なものが予想できる。
【0029】
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、製品生産工場1から発注される部品数量は、製品生産工場1の生産ラインで使用された部品数量のみを発注するようにしたが、本発明はこのような形態に限られず、生産計画の変更による生産変動を考慮して部品発注量を増減させても良い。すなわち、生産計画の変更が行われ部品数量が増加する場合には、部品数量の増加分だけ部品発注量を増やし、逆に部品数量が減少する場合には、部品数量の減少分だけ部品量を減らしても良い。
【0030】
なお、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のコンピュータシステムの概要を示す図である。
【図2】 本実施形態のコンピュータシステムにより部品の発注が行われる製品生産工場と、その製品生産工場に部品を納品する多数の部品工場との関係を示す図である。
【図3】 本実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】 仕入先マスタデータベースのファイル内容の一部を示す図である。
【図5】 製品生産工場で月毎に立案される長期的生産計画の内容を示す図である。
【図6】 製品生産工場で生産日の当日に立案される短期的生産計画を説明するための図である。
【図7】 製品生産工場で生産日のN日前に立案される準短期的生産計画を説明するための図である。
【図8】 長期的生産計画に基づいて算出された予定部品数量の例を示す図である。
【図9】 製品生産工場と各部品工場との間の情報の流れを時系列的に示すブロック図である。
【図10】 発注指示カード管理装置22による部品発注予定量を提示する際の手順を示すフローチャートである。
【図11】 発注指示カード管理装置による発注指示カードを発行する際の手順を示すフローチャートである。
【図12】 部品発注予定量の提示と部品発注の時系列的な流れを詳細に示す図である。
【図13】 部品発注予定量の予告タイミングと部品生産リードタイムと部品納入リードタイムとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ・・製品生産工場
3,5,7・・部品工場
9 ・・通信ネットワーク
21・・生産計画立案装置
22・・発注指示カード管理装置
24・・発注指示カード読取装置
32・・月度生産計画データベース
34・・N日前生産計画データベース
36・・当日生産計画データベース
38・・発注指示カード発行枚数計算部
42・・部品発注予定量計算部
50・・生産指示装置
60・・発注指示カード発行装置
Claims (3)
- 部品使用者から部品納入者に部品が発注されると、部品納入者はその部品発注時から予め決められたリードタイム後に発注された部品を部品使用者に納入するように決められている生産方式において、部品使用者が部品納入者に部品を発注するためのシステムであって、
部品とともに納入され、部品が使用されて部品から外された「部品種類と部品数量と部品納入者」を示すカードを読み取るカード読取装置と、
直前カード発行時以降にカード読取装置で読み取られた部品種類毎の部品数量の合計から、直前カード発行時以降に使用された部品種類毎の部品数量を算出する使用部品数量算出手段と、
部品納入者に使用部品数量算出手段により算出された「部品種類と部品数量と部品納入者」を示すカードを発行するカード発行手段と、
カード発行手段によるカード発行に先だって、直前カード発行時から当該カード発行時までの間に使用が予定されている部品種類毎の部品数量を生産進度を折り込んで算出する予定部品数量算出手段と、
カード発行手段によるカード発行から所定期間だけ前の時点で、予定部品数量算出手段で算出された部品種類毎の部品数量を部品納入者に予告する予告手段とを備えており、
部品使用者が予告手段によって予定部品数量を部品納入者に予告することで、当該カード発行時に予告手段によって予告された予定部品数量の部品の発注があっても当該カード発行時から前記リードタイム後に予告された予定部品数量の部品を部品納入者が部品使用者に納入可能となるように、部品納入者に予告した予定部品数量に基づく生産計画の立案を指示することを特徴とする、部品発注用システム。 - 前記予定部品数量算出手段は、前記予告手段による予告よりも前に部品使用者の生産計画コンピュータにアクセスして生産計画を読み出して記憶する手段と、その記憶した生産計画から部品使用計画を算出する手段と、その算出された部品使用計画から直前カード発行時から当該カード発行時までの間に使用が予定されている部品種類毎の部品数量を算出する手段とから構成されている請求項1に記載の部品発注用システム。
- 前記予告手段による予告は、部品納入者による部品の生産開始から部品使用者への部品納入までに要する期間から、カード発行から部品納入までの前記リードタイムを引いた時点より前に行われる請求項1又は2に記載の部品発注用システム。
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