JP4922616B2 - 配線基板とその製造方法 - Google Patents
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Description
このグリーンシート法は、絶縁層となるセラミック粉末を含有するスラリーを用いてドクターブレード法等によってグリーンシートを作製し、次に、このグリーンシートのビアホール導体となる位置にNCパンチや金型などで貫通孔を形成し、導体ペーストを用いて、内部や表面の配線のパターンを印刷すると共に、前記貫通孔に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成した後、同様にして作製した複数のグリーンシートを積層し、この積層体を一括同時焼成する製造方法である。
この領域に配線導体層が重なる様に回路を形成すると特性バラツキの原因になり、最終的に製品の要求特性を満足できないという課題があった。
特に、上記界面部分拡散による特性変化は、例えば、絶縁セラミック層のような低誘電率層側にその影響が大きくあらわれる傾向がある。
この段差によって、積層不良(デラミネーション)が発生したり、無理に加圧して段差を埋めたとしても絶縁層に部分的な密度差が生じて、焼成後に変化するといった問題があり、絶縁層厚みの薄層化と配線導体層の厚みの厚膜化を同時に満たすには、限界があった。
前記第1の絶縁性セラミック層および前記第2の絶縁性セラミック層が積層されてなり、前記機能性セラミック層は前記第2の絶縁性セラミック層を貫通するように形成され、当該第2の絶縁性セラミック層は前記第1の絶縁性セラミック層の間に積層されており、前記配線電極層は、前記機能性セラミック層を挟持して当該機能性セラミック層の主面に於いて前記第2の絶縁性セラミック層と前記機能性セラミック層との境界の内側に形成されてなることを特徴とする配線基板が提供される。
第1の絶縁性セラミック層と、該第1の絶縁性セラミック層よりも焼成収縮開始温度の高い第2の絶縁性セラミック層とを有する点、前記第1の絶縁性セラミック層と前記第2の絶縁性セラミック層とは異なる材質から成り、前記第1の絶縁性セラミック層よりも焼成収縮開始温度の高い機能性セラミック層を有する点、前記機能性セラミック層が第2の絶縁性セラミック層を貫通する態様に形成されている点、当該第2の絶縁性セラミック層は、前記第1の絶縁性セラミック層の間に積層されている点、及び機能性セラミック層を挟持してその両面に配線層が形成され、且つ、該配線層が第2の絶縁性セラミック層と機能性セラミック層との境界の内側に形成されている点が構成上の顕著な特徴である。
これにより、本発明の配線基板は、前記特許文献1,2に記載されている方法の場合のように、基板構成層の特定層全体を機能セラミック層とすることによる、例えば、配線層形成に支障を生ずる等の回路設計上の不都合を生じることが無く、配線層や機能性セラミック層の大きさを適正に画定し、コンパクトな回路設計をすることが出来る。
又、絶縁性セラミック層と機能性セラミック層との境界拡散部の位置を避けて配線電極層や配線回路層の配置を規定することで、機能性セラミック層の特性低下を防止し、前記特許文献3開示の方法による場合に生じる可能性のある、最終製品のバラツキ発生を回避できる。
更に、導体層間の絶縁層の厚みの薄層化と、導体層の厚みの厚膜化を両立させることが出来、複合積層配線基板のより一層の高性能化が達成出来る。
又、配線回路層が、絶縁性セラミック層と機能性セラミック層との境界に存在せず、配線電極層面に配線回路層が接続されてなることが好ましい。
更に、前記絶縁セラミック層が、収縮開始温度の異なる第1の絶縁性セラミック層と第2の絶縁セラミック層からなることが好ましい。
又、前記機能性セラミックス層に対する前記第1、第2の絶縁性セラミック層が含有する成分の拡散距離が10μm以下であることが好ましい。
又、前記第1,第2の両絶縁性セラミック層のうち、少なくとも第1の絶縁性セラミック層は結晶化ガラスを含有し、少なくとも第2の絶縁性セラミック層はガラスを含有すると共に、前記第1の絶縁性セラミック層における結晶化ガラスの結晶化温度が、前記第2の絶縁性セラミック層におけるガラスの軟化温度以下であることが好ましい。
この場合、結晶化ガラスを含有する絶縁性セラミック層(第1)は導体及び機能性セラミック層からの元素拡散防止層として好適に機能する。
又、本発明の配線基板は、機能性セラミック層が、高誘電率層又は磁性層であり、配線導体層と組み合わせでコンデンサや電磁石や抵抗等の素子を形成する場合、特にその特性を顕著に発揮する。
(b)前記機能性セラミック層及び前記導体層を形成したキャリアフィルム上に、少なくとも光硬化可能なモノマー、光重合開始剤、及びセラミック材料を含有する光硬化スラリーを、前記機能性セラミック層及び前記導体層の厚さ以上の厚さに塗布して絶縁セラミック層となるべき光硬化性セラミック層を形成する工程と、
(c)前記キャリアフィルムの裏面より、光を照射して、前記機能性セラミック層及び導体層の形成領域以外の領域の光硬化性セラミック層を光硬化させる工程と、
(d)現像液を付与して、前記光硬化性セラミック層の前記機能性セラミック層表面及び前記導体層表面を含む非光硬化部を溶化、除去することによって、絶縁セラミックス層としての光硬化性セラミック層と機能性セラミック層と導体層からなる複合シートを作製する工程と、
(e)前記キャリアフィルムから剥離させた複合シートを積層して積層体を形成する工程と
(f)前記の積層体を脱バインダー、焼成する工程とを具備する前記配線基板の製造方法をも提供する。
本発明の製造方法を採用することにより、上記本発明の配線基板を、容易に且つ、効率よく製造することが出来る。
更に、異種材料を同時焼成しても反らないという特性がある。
又本発明の製造方法によれば、上記本発明の配線基板を容易に、効率よく、且つ常に高品質に製造することが出来ると共に、導体元素及び機能性セラミック層の拡散を抑制して特性変動を無くすことが出来る。
ここで絶縁性セラミック層2aは、収縮開始温度の異なる第1、第2の絶縁性セラミック層であってもよく、第1の絶縁性セラミック層に機能性セラミック層が形成されている場合はこの絶縁層を挟持するように第2の絶縁性セラミック層が積層されていることが重要である。
また、第2の絶縁性セラミック層に機能性セラミック層が形成されている場合はこの絶縁層を挟持するように第1の絶縁性セラミック層が積層されていることが重要である。
このデバイス素子を配線基板1に内蔵させることで、配線基板を高機能化し、配線基板や、配線基板と接続される外部電気回路基板に搭載するべき部品の数を減らすことが出来、電気回路の小型化と高性能化を達成出来る。
特に、機能性セラミック層6が絶縁性セラミック層2aを貫通して設けられているため、配線基板1に於ける機能性セラミック層6の占める割合が不必要に大きくなることが無く、小型の配線基板となる。
又、絶縁性セラミック層2aに収縮開始温度の異なる第1,第2の絶縁性セラミック層を用いることにより、第1絶縁性セラミック層が焼結する間は第2絶縁性セラミック層は熱収縮挙動を起こさず、拡散防止層の役割を担う。
又第2絶縁性セラミック層が焼結する間は第1絶縁性セラミック層が熱収縮を起こさず、拡散防止層の役割を担う。
その結果、同時に焼成収縮する場合と比較して、大幅に互いの成分が体積拡散して異なる層に移動し難いという特徴を持つ。
低温で収縮開始する絶縁性セラミック層を第1絶縁層、高温で収縮開始する絶縁性セラミック層を第2絶縁層とする。
第1絶縁層と第2絶縁層を隣り合うように形成して、機能性セラミック層を第2絶縁層内に部分的に形成する場合について以下に説明する。
1)焼成において第1絶縁層が先に収縮開始するが、隣り合う第2絶縁層と機能性セラミック層は、その時点で収縮しないため、いわゆる粉末の集合体である。
そのため毛管現象によるガラスの移動などの例外を除いて、第1絶縁層の成分が第2絶縁層または機能性セラミック層に拡散することはない。
又、逆に第2絶縁層又は機能性セラミック層の成分が焼結中に第1絶縁層内に拡散して行かないのは、収縮挙動が異なる異種材料の境界面が不活性なためである。
2)次に第2絶縁層と機能性セラミック層が収縮する温度域では第1絶縁層の焼結はほぼ完了している。
そのため第2絶縁層と機能性セラミック層の成分は第1絶縁層へは移動しにくい。
逆に第1絶縁層の成分が焼結中の第2絶縁層と機能性絶縁層に拡散して行かないのは収縮挙動が異なる異種材料の境界面が不活性なためである。
上述するように収縮挙動が異なる異種材料の境界面は拡散防止の機能を有する。
従って機能性セラミック層からの積層面に対する垂直方向の拡散を抑制することが出来ると共に、反り、収縮率のバラツキを低減できる。
一方、第1絶縁層と第2絶縁層の収縮開始温度が等しい場合は、同時焼成するとガラスの粘性流動中に互いの成分が拡散して、積層面に対する垂直方向の拡散が大きく、第2絶縁層に機能性セラミック層を部分的に形成しても、機能性セラミック層の特性が劣化する。
又、配線回路層は、絶縁性セラミック層と機能性セラミック層との境界7に存在せず、配線電極層主面に接続された態様、一般にはビアホール接続が好ましい。
(1) Al2O3,AlN,Si3N4,SiCを主成分とする焼成温度が1100℃以上のセラミック材料、
(2)少なくともSiO2及びBaO,CaO,SrO,MgO等のアルカリ土類金属酸化物を含有する金属酸化物による混合物からなる1100℃以下、特に1050℃以下で焼成されるセラミック材料、
(3)ガラス粉末、或いはガラス粉末とセラミックフィラー粉末との混合物からなる1100℃以下、特に1050℃以下で焼成される低温焼結性のセラミック材料の群から選ばれる少なくとも1種が選択される。
本発明に於いて、前記絶縁性セラミック層2aは、それぞれ焼成収縮開始温度の異なる第1の層と第2の層とから成ることが好ましいが、特に前記焼成収縮開始温度の異なる第1、第2の絶縁性セラミック層の内、少なくとも第1の絶縁性セラミック層が結晶化ガラスを含有し、少なくとも第2の絶縁性セラミック層がガラスを含有するすると共に、前記第1の絶縁性セラミック層の結晶化ガラスの結晶化温度が、前記第2の絶縁性セラミック層のガラスの軟化温度以下である混合物を前記(3)から選択することが好ましい。
又、前記収縮開始温度の差としては50℃以上、特に100℃以上であることが互いの積層面での収縮抑制効果を助長する観点から望ましい。
又、低抵抗化のために、銅などとの混合物としても良い。
セラミック材料が前記(2)、(3)の場合、銅、銀、金、アルミニウムの群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする導体材料が好適に用いられる。
上記の導体材料には、セラミック材料と同時焼成する上で、セラミック材料を構成する成分を含有することが好ましい。
機能性セラミック層は、絶縁性セラミック層が第1,第2に分かれている場合はそのどちらかに収縮開始温度が類似する。
従って、例えば、絶縁性セラミック層2aと機能性セラミック層6を何れも1100℃を越える温度、特に1200℃以上の温度で焼成可能なセラミック材料によって形成すると良い。
具体的には、ガラス、又はガラスと無機フィラーとの混合物を出発原料とするセラミック材料(以下、これらを総称してガラスセラミック材料という。)、又は少なくともSiO2を含む複数種の金属酸化物を出発原料とする公知の低温焼成磁器組成物を用いることが出来る。
上記ガラス粉末とセラミックフィラー粉末とを、ガラス成分10〜90重量%、特に、50〜80重量%と、セラミックフィラー成分10〜90重量%、特に20〜50重量%の割合で混合したものが好適に用いられる。
具体的には、低誘電率セラミック層を形成する場合、低誘電率のガラス、又は低誘電率のシリカ、コージェライト、エンスタタイトの群から選ばれる少なくとも1種のフィラーを含有するガラスセラミック材料によって形成することが好ましい。
尚、この態様の機能性セラミック層に於ける前記外縁層領域6bは、境を接して貫通する絶縁性セラミック層2aとの境界7から内側100μm未満、より好ましくは75μm未満、特に0〜50μmの範囲である。
この態様のものは、積層による該層の反りやクラックの発生が殆ど無く、然も、コンデンサとして静電容量に優れる。
より具体的には、例えば、内側領域層6aの構成材料にフィラーにCaTiO3を用いたガラスセラミックス(誘電率20)を用い、絶縁性セラミック層2aにAl2O3 をフィラーとしたガラスセラミックスを用いた場合、外縁層6bは、好適には相互のセラミックが拡散した層(誘電率10)から構成される。
先ず、図2(a)に示すような少なくともセラミック材料と、有機樹脂とを含有する厚みが50μm以下の絶縁性セラミック層2aの一部に、機能性セラミック層6(該層6が6a,bの2層からなる場合を含む)及び導体層3が、前記絶縁性セラミック層2aを貫通して形成された複合シートaを作製する。
又、必要に応じて複合シートaと、図2(b)に示すような、少なくともセラミック材料と、有機樹脂とを含有する厚みが50μm以下の絶縁性セラミック層2aの一部に、導体層3が、前記絶縁性セラミック層2aを貫通して形成された複合シートbを作製する。
スラリー調製にあたっては、望ましくは前記セラミック材料に、光硬化可能なモノマーと、光重合開始剤と、有機バインダと、可塑剤とを、有機溶剤に混合し、ボールミルで混練して調製する。
光硬化可能なモノマーとしては、低温で短時間の焼成工程に対応するために、熱分解性に優れたものであることが望ましい。
又、テトラエチレングリコールジアクリレート等のポリエチレングリコールジアクリレート及びそれらの対応するメタクリレートも有効である。
又、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、アシロインエステル類化合物などが挙げられる。
本発明では、アクリル酸若しくはメタクリル酸系重合体のようなカルボキシル基、アルコール性水酸基を備えたエチレン性不飽和化合物が好ましい。
導体ペーストは、平均粒径が1〜3μm程度の前記導体材料の粉末に、必要に応じてセラミック材料を添加した無機成分に対して、エチルセルロース、アクリル樹脂などの有機バインダを加え、更にジブチルフタレート、αテルピネオール、、ブチルカルビトール、2,2,4ートリメチルー3,3−ペンタジオールモノイソブチレートなどの適当な溶剤を混合し、3本ロールミル等により均質に混練して調製される。
各成分の含有量は、セラミック粉末100質量部あたり、光硬化モノマー及び光重合開始剤を5〜20質量部、有機バインダを10〜30質量部、可塑剤を1〜5質量部、有機溶剤を50〜100質量部の割合が適当である。
尚、機能性セラミック層が、例えば、図1(c)、(d)に示したように内部領域層6aと外縁領域層6bからなる2層構造の場合は、焼成時の温度プロフィルの調整によって外縁領域層6bを形成する。
先ず、図3(a)に示すように、樹脂フィルムなどからなる光透過可能なキャリアフィルム10上に、前記導体ペーストをスクリーン印刷法等の一般的な印刷手法によって印刷、塗布して、光非透過性の所定の導体層11を形成する。
又、機能性セラミックペーストをスクリーン印刷法等の一般的な印刷手法によって印刷、塗布して、機能性セラミック層12を形成する。
前記導体層11と機能性セラミック層12は、どちらを先に形成してもかまわない。
そして、図3(c)に示すように、キャリアフィルム10の裏面より例えば超高圧水銀灯を光源として用いて露光を行う。
この露光によって、導体層11及び機能性セラミック層12形成以外の領域の光硬化性セラミック層13を光硬化させる。
この露光工程に於いては、光硬化性セラミック層13は、導体層11及び機能性セラミック層12形成以外の領域の光硬化性セラミック層13aでは照射された光の量により裏面から一定の厚みまで光重合反応が起こり不溶化部を形成するが、導体層11及び機能性セラミック層12は紫外線を通過させないために、導体層11及び機能性セラミック層12上に形成されている光硬化性セラミック層13bは、光硬化可能なモノマーの光重合反応が起こらない溶化部となる。
又、この時の露光量は、実質的に不溶化部の厚みが、導体層11及び機能セラミック層12の厚みと同じになるように露光量が調整されることが好ましい。
現像処理は、光硬化性セラミック層13の溶化部を現像液で除去するもので、具体的には、例えば、トリエタノールアミン水溶液などを現像液として用いてスプレー現像、洗浄、乾燥を行う。
この処理により、図3(d)に示すように、キャリアフィルム10上には、導体層11と機能性セラミック層12と光硬化性セラミック層13とが実質的に同一厚みで一体化した複合シートaが形成される。
尚、キャリアフィルム10から複合シートaを剥離することによって、図2(a)に示すような複合シートa単体を得ることが出来る。
又、図2(c)の複合シートcは、前記複合シートaの製造方法に於いて機能性セラミック層12のみを形成する以外は、全く同様にして作製される。
又、光硬化性セラミック層13と所定のパターンの導体層11が形成された複数の複合シートb1〜b12を作製する。
なお、圧着時には、複合シートa中の有機バインダのガラス転位点以上の温度をかけながら行うことが好ましい。
又、複合シート間に有機系接着剤を塗布して圧着してもよい。
尚、一括して積層する場合、すべてキャリアフィルム10をはがして積層してもよいが、圧着時の最下面と最上面の取扱を考慮すれば、最下面と最上面のみは、キャリアフィルム10から剥がすことなく、図4(a)に示すように、積層、圧着した後に、キャリアフィルム10を剥がすことによって、図4(b)のような積層体14を形成することが出来る。
尚、焼成にあたっては、作製された積層体14を脱バイ工程で、成形体中に含まれている有機バインダ、光硬化可能なモノマーを焼失させ、焼成工程にて窒素などの不活性雰囲気中で、用いられた絶縁性セラミック材料、機能性セラミック材料及び導体材料が十分に焼成することの出来る温度で焼成され、前記セラミック層は相対密度95%以上に緻密化される。
次に、図5(d)に示すように、この複合シートb11の表面に、同様にしてキャリアフィルム10の表面に形成された複合シートb10を反転させて積層圧着し、複合シートb10側のキャリアフィルム10を剥離する。
これを繰り返すことによって、所望の層数の積層体14を形成することが出来る。
その後、この積層体を前記と同様にして焼成することによって、積層部品を作製することが出来る。
尚、表面の導体層3は、焼成された積層体14の表面に、印刷・乾燥し、所定雰囲気で焼き付けを行ってもよい。
又、セラミック多層回路基板の表面に形成される表面導体層、端子電極の表面には、半田との濡れ性を改善するために、ニッケル、金などのメッキ層が1〜3μmの厚みで形成される。
先ず、厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる光透過可能なキャリアフィルム上に、導体ペーストをスクリーン印刷法により印刷して、厚さ20μmの配線電極、配線回路等の配線層となるべき所定のパターンを有する導体層を形成した。
尚、導体ペーストは、Ag粉末にバリウムホウ珪酸ガラス粉末と、セルロース、有機溶剤を加え3本ロールミルで混合したものを使用した。
尚、誘電体ペーストは、MgTiO3(0.95モル)-CaTiO3(0.05モル)で表される主成分100質量部に対して、BをB2O3換算で10質量部、LiをLi2CO3換算で5質量部添加した組成からなるセラミック材料(比誘電率:20)を100質量部に対して、エチルセルロース2質量部、有機溶剤として2,2,4ートリメチルー3、3ーペンタジオールモノイソブチレートを10質量部の割合で添加混合し、3本ロールミルで混合したものを使用した。
感光性スラリーは、セラミック原料粉末100質量部と、光硬化可能なモノマー(ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート)8質量部と、有機バインダ(アルキルメタクリレート)35質量部と、可塑剤を3質量部、有機溶剤(エチルカルビトールアセテート)20質量部に混合し、ボールミルで混練して作製した。
セラミック原料粉末としては、絶縁性セラミック層としてMgO-CaO-SiO2-Al2O3系ガラス粉末60質量%と、Al2O340質量%の組成比のセラミック材料(比誘電率:8.0)を用いた。
そして希釈濃度2.5%のトリエタノールアミン水溶液を現像液として用い30秒間スプレー現像を行った。
この現像後に純水洗浄した後、乾燥を行った。
こうして出来上がった光硬化性セラミック層は、導体層及び誘電体層上の溶化部が現像により除去され導体層及び誘電体層が露出して、その結果、厚みが25μmの導体層(配線層)と、厚みが25μmの光硬化性セラミック層(絶縁性セラミック層)と、厚みが25μmの誘電体層(機能性セラミック層)とが一体化した複合シートとなった。
同様に、内部配線導体層用、表面配線導体層用及びビア導体用、機能性セラミック層形成用の延べ50層の複合シートを作製した。
この後、プレス機を用いて、プレス圧1トン、温度60℃にて5分間プレスを行い、積層体を圧着した。
この時、機能性セラミック層である誘電体層を含む複合シート2層を使用し、残りに誘電体層を含まない複合シートを使用した。
上記方法により、セラミック多層回路基板を複数作製し、その内、誘電体層が形成された複合シートの上下面を挟持するシートの導電層(配線電極層)が、該挟持されている誘電体層と絶縁層との境界の100μm内側に位置する態様のものを試料No.1(実施例)とし、前記試料No.1の配線回路層が絶縁層と誘電層(配線電極層)との境界に存在せず、配線電極層の主面に配線回路層が接続されている態様のものを試料No.2(実施例)とし、導電層(配線電極層)が、該挟持されている誘電体層と絶縁層との境界の外側に迄延びて位置する態様のものを試料No.3(比較例)とした。
又、これらとは別に、前記誘電体層形成複合シートに替えて全面が誘電体層からなるシートを用いた以外は試料No.1と同じ構造に形成した多層回路基板を作製し、これを試料No.4(比較例)とした。
これら、試料No.1〜4について積層体作製後の層クラック発生の有無、層の反り、及び、静電容量(配線電極層;10mm□の対向電極層、電極間の誘電体膜厚;20μm)を観察、測定、評価した。
結果を表1に示した。
作製した多層回路基板について、試料No.1、2(実施例)は、層のクラックが無く、反りも小さいだけでなく、導体層や誘電体層自体の厚みによる段差も全くなく、層間のデラミネーションも無かった。
又、配線導体層間の接続にあたり、導体層を3層以上垂直方向に積層することによって、ビア導体を形成したが、このビア導体を含む回路に於ける電気的接続に付いても全く問題は無かった。
又、導体層や誘電体層中には全く巣などの発生も認められなかった。
尚、誘電体層の上下に形成した電極層間には、8pFの静電容量が得られた。
実施例1に従い、内部配線導体層用、表面配線導体層用及びビア導体用、機能性セラミック層形成用の延べ70層の複合シートを作製した。
そして、図5の方法に従い、先ず電極用の複合シート上に、ビア導体用の複合シートをキャリアフィルム毎に反転させて、複合シート同士を接触させて、位置合せを行いながら載置した。
続いて、再び別のビア導体用複合シート、内部配線導体層用の複合シート、表面配線導体層用、機能性セラミック層用の複合シートを同じように反転させて、位置合せを行いながら載置し、プレス機を用いて順次圧着した。
但し、この実施例2に於いては、絶縁性セラミック層と機能性セラミック層(誘電体層)が拡散して形成された約50μmの外縁領域層と、絶縁性セラミック層と機能性セラミック層(内縁領域層)とからなる3層構造になっている。
上記方法で、セラミック多層回路基板を複数作製した。
その内、誘電体層(3層構造)が形成された複合シートの上下を挟持するシートの導電層(配線電極層)が、該挟持されている誘電体層と絶縁層との境界の内側に位置する態様のものを試料No.5(実施例)とし、導電層(配線電極層)が、該挟持されている誘電体層と絶縁層との境界の外側に延びて位置する態様のものを試料No.6(比較例)とした(但し、700℃〜850℃昇温速度は実施例1と同じ)。
これら、試料No.5、6について積層体のクラック発生の有無、反り、及び静電容量を実施例1と同様に観察、測定、評価した。
結果を表1に示した。
又、配線導体層間の接続にあたり、導体層を3層以上垂直に積層することによって、ビア導体を形成したが、このビア導体を含む回路に於ける電気的接続についても全く問題は無かった。
又、導体層や機能性セラミック層中には、全く巣の発生が認められなかった。 尚、誘電体層の上下に形成した電極層間には、8.2pFの静電容量が得られた。
表2に示すような、焼成収縮開始温度が異なる第1絶縁性セラミック層と第2絶縁性セラミック層、及び機能性セラミック層を形成する各組成物にそれぞれ有機バインダーとしてエチルセルロースと有機溶剤として2,2,4トリメチルペンタジオールモノイソブチレートを添加してなるスラリーを調製し、これをドクターブレード法により薄層化し、基板用のグリーンシートを作製した。
尚、各絶縁層の厚みは0.05mmであり、配線基板の大きさは、縦10mm、横10mm、厚み0.7mmであった。
尚、各試料について10個の試料を作製しそれぞれの収縮率を測定し、10個の試料の収縮率の最大収縮率と最小収縮率の差を収縮バラツキとして評価した。
又、基板を研磨して光学顕微鏡で観察することにより、基板に於けるクラック、デラミネーションの有無を評価した。
評価結果を表3に纏めて示した。
2 絶縁基板
2a、13 絶縁性セラミック層
3、11 配線導体層
3a 配線電極層
3b 配線回路層
6、12 機能性セラミック層
6a 内側領域層
6b 外縁領域層
7 絶縁性セラミック層と機能性セラミック層の境界
a,b,c 複合シート
10 キャリアフィルム
Claims (7)
- 第1の絶縁性セラミック層、該第1の絶縁性セラミック層よりも焼成収縮開始温度の高い第2の絶縁性セラミック層、前記第1の絶縁性セラミック層と前記第2の絶縁性セラミック層とは異なる材質から成り、前記第1の絶縁性セラミック層よりも焼成収縮開始温度の高い機能性セラミック層、配線電極層及び前記配線電極層に電気的に接続する配線回路層とを少なくとも具備する配線基板であって、
前記第1の絶縁性セラミック層および前記第2の絶縁性セラミック層が積層されてなり、前記機能性セラミック層は前記第2の絶縁性セラミック層を貫通するように形成され、当該第2の絶縁性セラミック層は前記第1の絶縁性セラミック層の間に積層されており、前記配線電極層は、前記機能性セラミック層を挟持して当該機能性セラミック層の主面に於いて前記第2の絶縁性セラミック層と前記機能性セラミック層との境界の内側に形成されてなることを特徴とする配線基板。 - 前記配線電極層と前記配線回路層とが前記第1の絶縁性セラミック層あるいは前記第2の絶縁性セラミック層を貫通して形成されている請求項1記載の配線基板。
- 前記配線回路層が、前記第1の絶縁性セラミック層と前記機能性セラミック層との境界に存在せず、前記配線電極層の主面に前記配線回路層が接続されてなる請求項1又は2に記載の配線基板。
- 前記第1の絶縁性セラミック層は結晶化ガラスを含有し、前記第2の絶縁性セラミック層はガラスを含有すると共に、前記第1の絶縁性セラミック層における結晶化ガラスの結晶化温度が、前記第2の絶縁性セラミック層におけるガラスの軟化温度以下である請求項1乃至3の何れかに記載の配線基板。
- 前記機能性セラミック層が、高誘電率セラミック層又は磁性セラミック層である請求項1乃至4の何れかに記載の配線基板。
- 前記機能性セラミック層が、前記第2の絶縁性セラミック層との境界から内側100μm未満の外縁領域層とその内側に境を接して該領域層を貫通するように形成された内側領域層との2層構造からなり、前記内側領域層が、高誘電率セラミック材料で構成され、前記外縁領域層が、前記内側領域層の構成材である高誘電率セラミック材料に前記第2の絶縁性セラミック層の構成材料が拡散して形成され、前記第2の絶縁性セラミック層より高く、前記高誘電率内側領域層より低い誘電率を有する複合セラミック誘電体層である請求項1乃至5の何れかに記載の配線基板。
- (a)光透過可能なキャリアフィルム表面に、配線電極、配線回路を含む配線導体層を構成すべき所定パターンの導体層を形成すると共に機能性セラミックペーストを塗布して所定パターンの機能性セラミック層を形成する工程、
(b)前記機能性セラミック層及び前記導体層を形成したキャリアフィルム上に、少なくとも光硬化可能なモノマー、光重合開始剤、及びセラミック材料を含有する光硬化スラリーを、前記機能性セラミック層及び前記導体層の厚さ以上の厚さに塗布して絶縁性セラミック層となるべき光硬化性セラミック層を形成する工程と、
(c)前記キャリアフィルムの裏面より、光を照射して、前記機能性セラミック層及び導体層の形成領域以外の領域の光硬化性セラミック層を光硬化させる工程と、
(d)現像液を付与して、前記光硬化性セラミック層の前記機能性セラミック層表面及び前記導体層表面を含む非光硬化部を溶化、除去することによって、絶縁セラミックス層としての光硬化性セラミック層と機能性セラミック層と導体層からなる複合シートを作製する工程と、
(e)前記複合シートを積層して積層体を形成する工程と
(f)前記積層体を脱バインダー、焼成する工程とを具備する請求項1乃至6の何れかに記載の配線基板の製造方法。
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