JP4921236B2 - バラスト止め工、有道床軌道 - Google Patents
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Description
また、土嚢袋の上面および下面に帯状体を取りつけ、その帯状体に挿通したロープなどの線状体で結束することで土嚢袋同士を連結する手法も考えられるが(例えば、特許文献8参照。)、土嚢袋同士の境界においてバラストとバラストの間の土嚢袋の素材がバラスト間のかみ合わせの邪魔をして摩擦力が十分に発揮されないとの課題は依然として存在し、土嚢袋間に滑りが生じて道床が変形することがあるという問題があった。また、土嚢袋を積み上げた場合には、帯状体が土嚢袋間に位置するために土嚢袋同士が密着しにくく、土嚢袋間に滑りが生じて道床が変形することがあるという問題があった。
また、道床においてバラスト表面あるいはバラスト間に接着性の高い樹脂等の薬剤を散布し、バラストを固めることにより移動を抑制する手法が考えられるが、上述のような樹脂等の薬剤は雨などで流出したり経時変化で劣化したりするためにその効果は恒久的なものでなく、上述の薬剤の散布を短期間で繰返し行う必要があり、その作業は多大な労力・費用を要する。
また、上述の複数の連通孔については、袋状物の上面および下面に規則的に配置されていることが考えられる。複数の連通孔を規則的に配置した例としては、袋状物の少なくとも上面および下面がメッシュ状に形成されていることや、袋状物の少なくとも上面および下面が網目状に形成されていること(請求項3)、袋状物の少なくとも上面および下面が格子状に形成されていること、などが挙げられる。
(2)また、ネットの重量がバラストを詰めても人力で運搬できる程度であり、また掘削断面が小さく、重機等大型の建設機械を必要としないことから施工性が良く、一晩当たりの施工延長を延伸することができる。
(4)ネット内のバラストは流出することがないため、袋状物を道床の上などに余分に設置しておけば、備蓄バラストとしてバラスト流出区間に対して散布等に活用できる。
(6)ネットなどを利用することで材料費が安く済み、施工に大型の重機が不要であることから施工コストの低減ができる。
さらに、バラスト止め工が道床の横断方向へ変形しにくくするために、第一の積層体を構成する袋状物の互いに対向する連通孔へ棒材などの連結部材を挿通させることが考えられる。具体的には、請求項1のように、袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかが、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、棒状に構成され、第一の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で第一の積層体の内部に位置するとともにその先端部が路盤に埋設されることで第一の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第一の連結部材(35)を備えることが考えられる。
また、上述の複数の連通孔については、第二の積層体を構成する袋状物の上面および下面に規則的に配置されていることが考えられる。複数の連通孔を規則的に配置した例としては、袋状物の少なくとも上面および下面がメッシュ状に形成されていることや、袋状物の少なくとも上面および下面が網目状に形成されていること(請求項11)、袋状物の少なくとも上面および下面が格子状に形成されていること、などが挙げられる。
[第一実施形態]
図1(a)は本実施形態の有道床軌道100の構成を示す正面断面図である。また、図1(b)は本実施形態の有道床軌道100の平面図であり、図2(a)は本実施形態のバラスト止め工110の構成を示す断面図であり、図2(b)はネットを袋状に形成した袋状物32の構成を示す説明図である。
図1(a)、図1(b)および図2(a)に示すように、この有道床軌道100は、路盤1上に砕石等のバラスト2を敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、有道床軌道100の延長方向に延設することにより形成された道床3と、その長手方向が道床3の延長方向に直交するよう道床3上に並べて設置された複数のまくらぎ4(図1(a)では一つのまくらぎ4のみを図示している。)と、複数のまくらぎ4の上面に道床3の延長方向に沿って締結された一対のレール5と、を備えている。
道床3は、上述のように、路盤1上に砕石等のバラスト2を敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、有道床軌道100の延長方向に延設することにより形成されている。また、道床3は、道床3ののり尻部からのり肩部にかけて配置された積層体31と、積層体31とまくらぎ4の間に配置された積層体33と、積層体31に挿通された鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、を備えている。
このうち積層体31は、道床3ののり尻部からのり肩部にかけ、ネットを袋状に形成した複数の袋状物32にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。この積層体31は、路盤1の上に敷設された金網37の上に設置されている。また、積層体31は、コンパクターによって転圧されている。なお、袋状物32は、上述のようにネットを袋状に形成しているため、図2(b)のように、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されている。ただし、図2(b)においては、図が複雑になることを避けるため、1箇所の連通孔32aのみに品番を付している。なお、袋状物32の連通孔32aについては、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物32として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。したがって、積層体31を構成する袋状物32の連通孔32aは、上下方向に隣接する袋状物32の連通孔32aの何れかと対向するよう配置され、後述する鉄筋棒35を挿通可能である。
(1)このように第一実施形態の有道床軌道100によれば、バラスト止め工110の積層体31が、道床3ののり尻部からのり肩部にかけ、ネットを袋状に形成した袋状物32にバラスト2を包含させて積み上げ、有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有しており、袋状物32が、ネットを袋状に形成しているため、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されている。なお、本実施形態では、袋状物32として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。
(3−2)また、ネットの袋状物32の重量がバラスト2を詰めても人力で運搬できる程度であり、また掘削断面が小さく、重機等大型の建設機械を必要としないことから施工性が良く、一晩当たりの施工延長を延伸することができる。
(3−6)ネットの袋状物32を利用することで材料費が安く済み、施工に大型の重機が不要であることから施工コストの低減ができる。
(4)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、バラスト止め工110の鉄筋棒35が、鉄製の棒材で構成され、積層体31の上面の連通孔32aから内部へその先端部35aを先頭に挿入されており、互いに対向する袋状物32の連通孔32aを貫通した状態で、先端部35aが積層体31の下の路盤1に埋設されるとともに、中央部35bが積層体31の内部に位置している。このことにより、鉄筋棒35は、先端部35aが路盤1に埋設するとともに、積層体31を構成する複数の袋状物32同士を連結しており、鉄筋棒35連結された袋状物32同士が道床3の横断方向にずれにくくなり、道床3の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工110が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒35で積層体31にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体31のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床3へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床3の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
[第二実施形態]
上記第一実施形態では、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置されるとともに、積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図3(a)に示す第二実施形態では、道床203において、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
なお、本第二実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図3(a)に示すように、有道床軌道200の道床203は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、を備えており、このうちの積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されている。
[第二実施形態の効果]
このように第二実施形態の有道床軌道200によれば、バラスト止め工210において、積層体33が積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されているので、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される部分がほぼ無くなり、バラスト止め工210が変形しにくく、道床203が変形しにくくなる。また、道床203の両側に設置されたバラスト止め工210でまくらぎ4を挟み込むこととなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎ4の左右方向の狂いが抑制される。
[第三実施形態]
上記第一実施形態では、複数のまくらぎ4が、その長手方向が道床3の延長方向に直交するよう道床3上に並べて設置され、これら複数のまくらぎ4の上面に道床3の延長方向に沿って一対のレール5が締結されている。これに対して図3(b)に示す第三実施形態では、まくらぎ4同士の間に袋状物43を設置したことを特徴とする。
なお、本第三実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図3(b)に示すように、有道床軌道300の道床303は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、袋状物43と、を備えている。
袋状物43は、袋状物32と同様に、ネットを袋状に形成しており、袋状物43の内部と外部とを連通させる連通孔が多数形成されている。なお、袋状物43の連通孔については、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物43として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。なお、連通孔は、図2(b)に示す32a,34aと同様に、ネットの孔であり、図示は省略する。
[第三実施形態の効果]
(1)このように第三実施形態の有道床軌道300によれば、袋状物43がまくらぎ4同士の間に設置されているので、まくらぎ4同士の間の距離寸法が狂いにくくなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎ4の前後方向の狂いが抑制される。
[第四実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。また、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置され、まくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図3(c)に示す第四実施形態では、第一実施形態のような下側のL型アングル39を備えず、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられ、さらに、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
なお、本第四実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図3(c)に示すように、有道床軌道400の道床403は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、L型アングル41と、を備えている。なお、道床403は、第一実施形態の道床3のような金網37およびL型アングル39を備えていない。また、積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されている。
そして、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。
(1)このように第四実施形態の有道床軌道400によれば、バラスト止め工410において、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられており、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。このことにより、鉄筋棒35で連結された袋状物32同士が道床403の横断方向にずれにくくなり、道床403の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工410が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒35で積層体31にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体31のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床403へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床403の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
[第五実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。また、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置され、まくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図3(d)に示す第五実施形態では、第一実施形態のような下側のL型アングル39を備えず、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする。
なお、本第五実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図3(d)に示すように、有道床軌道500の道床503は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、L型アングル41と、を備えている。なお、道床503は、第一実施形態の道床3のような金網37およびL型アングル39を備えていない。
そして、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。
このように第五実施形態の有道床軌道500によれば、バラスト止め工510において、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられており、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。このことにより、鉄筋棒35で連結された袋状物32同士が道床503の横断方向にずれにくくなり、道床503の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工510が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒35で積層体31にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体31のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床503へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床503の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
[第六実施形態]
上記第一実施形態では、バラスト止め工110の積層体33が、道床3の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した複数の袋状物34にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。また、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置されており、積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図4(a)に示す第六実施形態では、バラスト止め工610の積層体633が、道床603の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した一つの袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、さらに道床603の延長方向に延設するように配置した構造を有し、さらに、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体633が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
なお、本第六実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図4(a)に示すように、有道床軌道600の道床603は、積層体31と、積層体633と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、を備えている。
積層体633は、道床603の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した一つの袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、さらに有道床軌道600の延長方向に延設するように配置した構造を有している。この積層体633は、路盤1の上に敷設されたバラスト2の上に設置されている。なお、積層体633は、積層体31とまくらぎ4の双方に接するように配置されている。
(1)このように第六実施形態の有道床軌道600によれば、バラスト止め工610の積層体633が、道床603の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、道床603の延長方向に延設するように配置した構造を有しており、袋状物34が、ネットを袋状に形成しているため、袋状物34の内部と外部とを連通させる連通孔34aが多数形成されている。
[第七実施形態]
上記第一実施形態では、バラスト止め工110の積層体33が、道床3の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した複数の袋状物34にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。これに対して図4(b)に示す第七実施形態では、道床703の積層体31とまくらぎ4の間に積層体33を設置せず、積層体31とまくらぎ4の間にバラスト2が設置されており、さらに、まくらぎ4同士の間に袋状物43を設置したことを特徴とする。
なお、本第七実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図4(b)に示すように、有道床軌道700の道床703は、積層体31と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、袋状物43と、を備えている。この道床703の積層体31とまくらぎ4の間にはバラスト2が設置されている。
袋状物43は、袋状物32と同様に、ネットを袋状に形成しており、袋状物43の内部と外部とを連通させる連通孔が多数形成されている。なお、袋状物43の連通孔については、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物43として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。そして、袋状物43は、まくらぎ4同士の間に設置されている。
[第七実施形態の効果]
(1)このように第七実施形態の有道床軌道700によれば、上述の第一実施形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を奏する。
[第八実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。これに対して図4(c)に示す第八実施形態では、第一実施形態のような鉄筋棒35、L型アングル39およびL型アングル41を備えず、鉄筋棒835が積層体31の上方から下方へ挿通され、さらに、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
なお、本第八実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図4(c)に示すように、有道床軌道800の道床803は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒835と、を備えている。なお、積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されている。
鉄筋棒835は、鉄筋棒35と同様に、鉄製の棒材で構成され、積層体33に挿通されている。具体的には、鉄筋棒835は、積層体33の上面の連通孔34aから内部へその先端部を先頭に挿入されており、互いに対向する袋状物34の連通孔34aを貫通した状態で、先端部が積層体33の下の路盤1に埋設されるとともに、中央部が積層体33の内部に位置している。
[第八実施形態の効果]
(1)このように第八実施形態の有道床軌道800によれば、バラスト止め工810の鉄筋棒835が積層体33の上方から下方へ挿通されている。このことにより、鉄筋棒835で連結された袋状物34同士が道床803の横断方向にずれにくくなり、道床803の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工810が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒835で積層体33にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体33のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床803へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床803の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
[第九実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。
なお、本第九実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
図4(d)に示すように、有道床軌道900の道床903は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒835と、を備えている。なお、積層体33は積層体31と接するように配置されており、この積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。
[第九実施形態の効果]
このように第九実施形態の有道床軌道900によれば、バラスト止め工910の鉄筋棒835が積層体33の上方から下方へ挿通されている。このことにより、鉄筋棒835で連結された袋状物34同士が道床903の横断方向にずれにくくなり、道床903の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工910が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒835で積層体33にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体33のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床903へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床903の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
Claims (13)
- 路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、を備える有道床軌道に用いられ、前記道床の横断方向の両側に前記道床の延長方向に沿って設置されて前記道床をその横断方向の両側から支持するバラスト止め工であって、
前記道床ののり尻部からのり肩部にかけ、袋状に形成された複数の袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第一の積層体を備え、
前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔が形成され、
前記袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかは、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、
棒状に構成され、前記第一の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で前記第一の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで前記第一の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第一の連結部材を備え、
前記第一の連結部材は、前記第一の積層体の上面を下方へ押圧するための上側係止部をその上端付近に有すること
を特徴とするバラスト止め工。 - 請求項1に記載のバラスト止め工において、
前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記連通孔が複数形成されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項1または請求項2に記載のバラスト止め工において、
前記袋状物はその少なくとも上面および下面が網目状に形成されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記袋状物はその少なくとも上面および下面がネットによって構成されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項1〜請求項4の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記第一の連結部材は、前記第一の積層体の下面を上方へ押圧するための下側係止部をその下端付近に有することを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、袋状に形成された袋状物にバラストを包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第二の積層体を備え、
前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔が形成されていること
を特徴とするバラスト止め工。 - 請求項6に記載のバラスト止め工において、
前記第二の積層体は、前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、複数の前記袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設されることで構成されており、
前記第二の積層体を構成する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかは、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、
棒状に構成され、前記第二の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で前記第二の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで前記第二の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第二の連結部材を備えることを特徴とするバラスト止め工。 - 路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、を備える有道床軌道に用いられ、前記道床の横断方向の両側に前記道床の延長方向に沿って設置されて前記道床をその横断方向の両側から支持するバラスト止め工であって、
前記道床ののり尻部からのり肩部にかけ、袋状に形成された複数の袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第一の積層体と、
前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、袋状に形成された袋状物にバラストを包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第二の積層体と、を備え、
前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔が形成され、
前記第二の積層体は、前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、複数の前記袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設されることで構成されており、
前記第二の積層体を構成する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかは、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、
棒状に構成され、前記第二の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で前記第二の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで前記第二の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第二の連結部材を備えること
を特徴とするバラスト止め工。 - 請求項6〜請求項8の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記第二の積層体は前記第一の積層体および前記まくらぎに接するよう設置されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項6〜請求項9の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記第二の積層体を構成する袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記連通孔が複数形成されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項6〜請求項10の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記第二の積層体を構成する袋状物はその少なくとも上面および下面が網目状に形成されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 請求項6〜請求項11の何れかに記載のバラスト止め工において、
前記第二の積層体を構成する袋状物はその少なくとも上面および下面がネットによって構成されていることを特徴とするバラスト止め工。 - 路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、
その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、
前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、
を備える有道床軌道であって、
前記道床の一部が請求項1〜請求項12の何れかに記載のバラスト止め工によって構成されていること
を特徴とする有道床軌道。
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