JP4921236B2 - バラスト止め工、有道床軌道 - Google Patents

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Description

本発明は、路盤上に道床を設け、その道床上にまくらぎおよびレールを配した有道床軌道、および有道床軌道の道床の両側に設置されるバラスト止め工に関する。
従来より、路盤上に道床を設け、その道床上にまくらぎおよびレールを配した有道床軌道が知られている。このような有道床軌道の構造としては、路盤上に形成した道床にまくらぎを並べ、その上に一対のレールを一定間隔に平行に取り付けたものが一般的である。このような有道床軌道を構成する道床には、バラスト、スラブなどがあり、路線の様々な条件を考慮して選定されている。その中でも、図5(a)および図5(b)に例示するように、砂利・砕石等のバラスト2を用いたバラスト道床軌道1000は、従来から最もよく知られている。このようなバラスト2を用いた道床1003は、その性質上、重い車両の走行を合理的に支え、かつ経済的にも優れていることから、長年採用されてきている。また、砂利・砕石等のバラスト2は、まくらぎ4をしっかり保持し、列車からレール5およびまくらぎ4を経て伝わる荷重を路盤へ均等に分散させ、軌道に弾性を持たせるとともに、つき固め等の保守作業が容易に行えることや、軌道の排水をよくし噴泥や雑草の発生を防ぐなどの機能を持っている。
しかし、上述のようなバラストを用いた道床は、その表面付近で個々の砂利・砕石などが移動しやすく、通過する列車荷重や、高温時のレール軸力に起因する張出力、地震時の応力などを受けた場合や盛土構造物の沈下などにより容易に変形し、軌道の高低狂いが発生することがある。このため、軌道の高低狂いが発生した場合には、バラストを補充したり道床を突き固めたりして修正している。なお、このような軌道の高低狂いを修正する作業は多大な労力・費用を要する。
なお、バラスト上の複数のまくらぎの間に剛な板を設け、まくらぎの下をくぐらせた上向きのコの字形のアンカーでその剛な板同士を連結するバラストを用いた道床も知られているが(例えば、特許文献1参照。)、道床ののり尻部からのり肩部にかけての部分については、上述のように、その表面付近で個々の砂利・砕石などが移動しやすく、通過する列車荷重や、高温時のレール軸力に起因する張出力、地震時の応力などを受けた場合や盛土構造物の沈下などにより容易に変形し、軌道の高低狂いが発生することがある。
そこで、図5(c)および図5(d)に例示するように、路盤1上における道床1103の両側にバラスト止め工1010を設置し、そのバラスト止め工1010によってバラスト2の変形を防ぐバラスト道床軌道1100が考えられている(例えば、特許文献2参照。)。このバラスト止め工1010は、プレストレストコンクリートなどのコンクリート製であり、壁状に形成されている。
しかし、上述のようなバラスト止め工1010については、例えば50cm幅で壁状に形成されたものでは一基が約200kgとなるため、(1)施工時に、保管場所から保守用車などで現地へ運搬する必要があることや、(2)施工に重機を使用する必要があること、(3)バラスト止め工1010が突起部1010aを有する場合にその突起部1010aを路盤1に埋設させることからレール直角の断面方向に道床を大きく掘削して設置後に埋め戻す必要があることなどの施工面において課題がある。また、このようなバラスト止め工1010を使用した工法は一般的に高コストであることが知られている。
そこで、布製やポリエチレン製などの可撓性の土嚢袋に砂利・砕石などの充填材を詰めたものを路盤上に設置し、その表面を砕石などで覆って平らにした上にまくらぎを並べてレールを固定する手法が考えられている(例えば、特許文献3〜6参照。)。このような充填材入りの土嚢袋を利用する手法によれば、従来の砂利・砕石などを敷いただけの手法に比べて、鉄道車両の通過に伴う繰り返し荷重によるレールの沈下が少なくなり、その分レールや道床の保守作業が軽減されるとともに、鉄道車両の通過時の振動や騒音も低減しうるという利点がある。
特開平9−111704号公報 特開平8−144206号公報 特開平8−151601号公報 特開平8−74201号公報 特開2000−86890号公報 特開2001−271301号公報 特開平8−27701号公報 特開平9−137422号公報
しかし、上述のような充填材入りの土嚢袋を利用する手法においては、土嚢袋のダイレイタンシーによる応力増加が期待されるものの、土嚢袋同士の境界においてバラストとバラストの間の土嚢袋の素材がバラスト間のかみ合わせの邪魔をして摩擦力が十分に発揮されず、土嚢袋間に滑りが生じて道床が変形することがあるという問題があった。
なお、路盤上にハニカム状の補強材を設置し、その補強材の空間に上からバラストを充填することで道床を形成する手法も考えられるが(例えば、特許文献7参照。)、ハニカム状の補強材の上方に位置するバラストが崩れて道床の表面部分が変形するというという問題がある。
また、土嚢袋の上面および下面に帯状体を取りつけ、その帯状体に挿通したロープなどの線状体で結束することで土嚢袋同士を連結する手法も考えられるが(例えば、特許文献8参照。)、土嚢袋同士の境界においてバラストとバラストの間の土嚢袋の素材がバラスト間のかみ合わせの邪魔をして摩擦力が十分に発揮されないとの課題は依然として存在し、土嚢袋間に滑りが生じて道床が変形することがあるという問題があった。また、土嚢袋を積み上げた場合には、帯状体が土嚢袋間に位置するために土嚢袋同士が密着しにくく、土嚢袋間に滑りが生じて道床が変形することがあるという問題があった。
また、道床においてバラスト表面あるいはバラスト間に接着性の高い樹脂等の薬剤を散布し、バラストを固めることにより移動を抑制する手法が考えられるが、上述のような樹脂等の薬剤は雨などで流出したり経時変化で劣化したりするためにその効果は恒久的なものでなく、上述の薬剤の散布を短期間で繰返し行う必要があり、その作業は多大な労力・費用を要する。
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、重機が不要であり、施工性が良く且つ低コストである有道床軌道の道床の変形を抑制する技術を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るバラスト止め工(110:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、路盤(1)上にバラスト(2)を敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床(3)と、その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎ(4)と、前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレール(5)と、を備える有道床軌道(100)に用いられ、前記道床の横断方向の両側に前記道床の延長方向に沿って設置されて前記道床をその横断方向の両側から支持するバラスト止め工であって、前記道床ののり尻部からのり肩部にかけ、袋状に形成された複数の袋状物(32)にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第一の積層体(31)を備え、前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔(32a)が形成されていることを特徴とする。
なお、上述の袋状物の連通孔については、バラストが挿通できない程度の大きさであることが考えられる。一例を挙げると、上述の袋状物の連通孔の径寸法が、バラストの平均粒径の1/2〜1/4程度に形成されるといった具合である。
このように構成された本発明のバラスト止め工によれば、袋状物に入れられたバラストが互いに分離せず、且つバラストの一部が袋状物の連通孔から突出することとなり、そして、上下に隣接する袋状物の連通孔からその一部が突出するバラスト同士が噛み合い、これら袋状物同士が道床の横断方向にずれにくくなるので、バラスト止め工が変形しにくく、道床が変形しにくくなる。したがって、従来構成と比べて、重機が不要であり、施工性が良く且つ低コストにて、有道床軌道の道床の変形を抑制することができる。
この場合、上述の袋状物については、その少なくとも上面および下面に連通孔が複数形成されていることが考えられる(請求項2)。このように構成すれば、袋状物の連通孔からその一部が突出するバラストが増え、噛み合うバラストの数量が増えるために、上下に隣接する袋状物同士が道床の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工がより変形しにくくなり、したがって、道床がより変形しにくくなる。
なお、上述の複数の連通孔については、袋状物の上面および下面に不規則的に配置されていることが考えられる。
また、上述の複数の連通孔については、袋状物の上面および下面に規則的に配置されていることが考えられる。複数の連通孔を規則的に配置した例としては、袋状物の少なくとも上面および下面がメッシュ状に形成されていることや、袋状物の少なくとも上面および下面が網目状に形成されていること(請求項3)、袋状物の少なくとも上面および下面が格子状に形成されていること、などが挙げられる。
このように構成すれば、袋状物の連通孔からその一部が突出するバラストが増え、噛み合うバラストの数量が増えるために、上下に隣接する袋状物同士が道床の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工がより変形しにくくなり、したがって、道床がより変形しにくくなる。
また、請求項4のように、袋状物の少なくとも上面および下面がネットによって構成されていることが考えられる。このように構成すれば、次の(1)〜(7)のような作用効果を奏する。
(1)バラストを詰めた網目の大きなネットを用い、ネットをコンパクター等で転圧することでバラスト粒子のかみ合せによる摩擦が増大する。
(2)また、ネットの重量がバラストを詰めても人力で運搬できる程度であり、また掘削断面が小さく、重機等大型の建設機械を必要としないことから施工性が良く、一晩当たりの施工延長を延伸することができる。
(3)また、大雨等により路盤に陥没、沈下が発生した場合にもネット全体として移動することからバラストの陥没は発生することなく、列車の安全な走行を確保できる。
(4)ネット内のバラストは流出することがないため、袋状物を道床の上などに余分に設置しておけば、備蓄バラストとしてバラスト流出区間に対して散布等に活用できる。
(5)ネット内のバラストは移動することがないため、カント区間等において発生しているバラストの流動化を抑制することができる。
(6)ネットなどを利用することで材料費が安く済み、施工に大型の重機が不要であることから施工コストの低減ができる。
(7)袋状物による道床の勾配をより急なものとすることができることから保守用通路を広く確保することができる。
さらに、バラスト止め工が道床の横断方向へ変形しにくくするために、第一の積層体を構成する袋状物の互いに対向する連通孔へ棒材などの連結部材を挿通させることが考えられる。具体的には、請求項のように、袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかが、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、棒状に構成され、第一の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で第一の積層体の内部に位置するとともにその先端部が路盤に埋設されることで第一の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第一の連結部材(35)を備えることが考えられる。
このように構成すれば、第一の積層体を構成する袋状物に形成された互いに対向する連通孔へ挿通させた第一の連結部材が第一の積層体の内部に位置するため、第一の連結部材が隣接する袋状物同士を連結し、さらに、第一の連結部材の先端部が路盤に埋設しているので、第一の連結部材で連結された袋状物同士が道床の横断方向にずれにくくなり、道床の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工が変形しにくくなる。つまり、第一の連結部材で第一の積層体にプレストレス(拘束力)を付加することにより、第一の積層体のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
この場合、上述の第一の連結部材については、第一の積層体の上面を下方へ押圧するための上側係止部(41)をその上端付近に有することが考えられる(請求項)。このように構成すれば、第一の連結部材の上側係止部が第一の積層体の上面を下方へ押圧することで、上下に隣接する袋状物の連通孔からその一部が突出するバラスト同士がより強固に噛み合い、上下に隣接する袋状物同士が道床の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工がより変形しにくくなり、したがって、道床がより変形しにくくなる。
また、上述の第一の連結部材については、第一の積層体の下面を上方へ押圧するための下側係止部(39)をその下端付近に有することが考えられる(請求項)。このように構成すれば、第一の連結部材の下側係止部が第一の積層体の下面を上方へ押圧することで、上側係止部と下側係止部とが協働して第一の積層体を上下から押圧し、上下に隣接する袋状物の連通孔からその一部が突出するバラスト同士がより強固に噛み合い、上下に隣接する袋状物同士が道床の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工がより変形しにくくなり、したがって、道床がより変形しにくくなる。
ところで、道床においては、第一の積層体とまくらぎとの間にバラストが敷設されることとなるが、そのバラストが敷設される幅寸法が大きい場合には、バラスト同士が拘束されていないためにその部分が変形しやすいという問題がある。
そこで、上述の第一の積層体とは別の第二の積層体が第一の積層体とまくらぎとの間にも設置されていることが考えられる。具体的には、請求項6,8のように、第一の積層体とまくらぎとの間に、袋状に形成された袋状物(34)にバラストを包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第二の積層体(33)を備え、袋状物は、その少なくとも上面および下面に袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔(34a)が形成されていることが考えられる。
なお、上述の袋状物の連通孔については、バラストが挿通できない程度の大きさであることが考えられる。一例を挙げると、上述の袋状物の連通孔の径寸法が、バラストの平均粒径の1/2〜1/4程度に形成されるといった具合である。
このように構成すれば、道床における第一の積層体とまくらぎとの間の部分においても、第二の積層体を構成する袋状物に入れられたバラストが互いに分離せず、且つバラストの一部が袋状物の連通孔から突出することとなり、そして、袋状物の連通孔からその一部が突出するバラストと他のバラストとが噛み合い、袋状物が道床の横断方向にずれにくくなるので、バラスト止め工が変形しにくく、道床が変形しにくくなる。したがって、従来構成と比べて、重機が不要であり、施工性が良く且つ低コストにて、有道床軌道の道床の変形を抑制することができる。
この場合、道床において、第一の積層体とまくらぎとの間にバラストが敷設される幅寸法をさらに小さくするため、第一の積層体とまくらぎとの間に設置される第二の積層体が、第一の積層体とまくらぎの双方に接するよう設置されていることが考えられる(請求項9)。このように構成すれば、第一の積層体とまくらぎとの間にバラストが敷設される部分が無くなり、バラスト止め工が変形しにくく、道床が変形しにくくなる。また、道床の両側に設置されたバラスト止め工でまくらぎを挟み込むこととなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎの左右方向の狂いが抑制される。
この場合、上述の第二の積層体を構成する袋状物については、その少なくとも上面および下面に連通孔が複数形成されていることが考えられる(請求項10)。このように構成すれば、袋状物の連通孔からその一部が突出するバラストが増え、噛み合うバラストの数量が増えるために、上下に隣接する袋状物同士が道床の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工がより変形しにくくなり、したがって、道床がより変形しにくくなる。
なお、上述の複数の連通孔については、第二の積層体を構成する袋状物の上面および下面に不規則的に配置されていることが考えられる。
また、上述の複数の連通孔については、第二の積層体を構成する袋状物の上面および下面に規則的に配置されていることが考えられる。複数の連通孔を規則的に配置した例としては、袋状物の少なくとも上面および下面がメッシュ状に形成されていることや、袋状物の少なくとも上面および下面が網目状に形成されていること(請求項11)、袋状物の少なくとも上面および下面が格子状に形成されていること、などが挙げられる。
このように構成すれば、第二の積層体を構成する袋状物の連通孔からその一部が突出するバラストが増え、噛み合うバラストの数量が増えるために、上下に隣接する袋状物同士が道床の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工がより変形しにくくなり、したがって、道床がより変形しにくくなる。
また、請求項12のように、第二の積層体を構成する袋状物の少なくとも上面および下面がネットによって構成されていることが考えられる。このように構成すれば、上述の(1)〜(7)の作用効果を奏する。
さらに、バラスト止め工が道床の横断方向へ変形しにくくするために、第二の積層体を構成する袋状物の互いに対向する連通孔へ棒材などの第二の連結部材を挿通させることが考えられる。具体的には、請求項7,8のように、第二の積層体が、第一の積層体とまくらぎとの間に、複数の袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設されることで構成されており、第二の積層体を構成する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかがその袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、棒状に構成され、第二の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で第二の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで第二の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第二の連結部材(835)を備えることが考えられる。
このように構成すれば、第二の積層体を構成する袋状物に形成された互いに対向する連通孔へ挿通させた第二の連結部材が第二の積層体の内部に位置するため、第二の連結部材が隣接する袋状物同士を連結し、さらに、第二の連結部材の先端部が路盤に埋設しているので、第二の連結部材で連結された袋状物同士が道床の横断方向にずれにくくなり、道床の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工が変形しにくくなる。つまり、第二の連結部材で第二の積層体にプレストレス(拘束力)を付加することにより、第二の積層体のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
なお、本発明は有道床軌道としても実現することができる。具体的には、上記課題を解決するためになされた請求項13に係る有道床軌道は、路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、を備える有道床軌道であって、前記道床の一部が請求項1〜請求項12の何れかに記載のバラスト止め工によって構成されていることを特徴とする。
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1(a)は本実施形態の有道床軌道100の構成を示す正面断面図である。また、図1(b)は本実施形態の有道床軌道100の平面図であり、図2(a)は本実施形態のバラスト止め工110の構成を示す断面図であり、図2(b)はネットを袋状に形成した袋状物32の構成を示す説明図である。
[有道床軌道100の構成の説明]
図1(a)、図1(b)および図2(a)に示すように、この有道床軌道100は、路盤1上に砕石等のバラスト2を敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、有道床軌道100の延長方向に延設することにより形成された道床3と、その長手方向が道床3の延長方向に直交するよう道床3上に並べて設置された複数のまくらぎ4(図1(a)では一つのまくらぎ4のみを図示している。)と、複数のまくらぎ4の上面に道床3の延長方向に沿って締結された一対のレール5と、を備えている。
[道床3の構成の説明]
道床3は、上述のように、路盤1上に砕石等のバラスト2を敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、有道床軌道100の延長方向に延設することにより形成されている。また、道床3は、道床3ののり尻部からのり肩部にかけて配置された積層体31と、積層体31とまくらぎ4の間に配置された積層体33と、積層体31に挿通された鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、を備えている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33、鉄筋棒35、金網37、L型アングル39およびL型アングル41がバラスト止め工110を構成する。
このうち積層体31は、道床3ののり尻部からのり肩部にかけ、ネットを袋状に形成した複数の袋状物32にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。この積層体31は、路盤1の上に敷設された金網37の上に設置されている。また、積層体31は、コンパクターによって転圧されている。なお、袋状物32は、上述のようにネットを袋状に形成しているため、図2(b)のように、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されている。ただし、図2(b)においては、図が複雑になることを避けるため、1箇所の連通孔32aのみに品番を付している。なお、袋状物32の連通孔32aについては、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物32として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。したがって、積層体31を構成する袋状物32の連通孔32aは、上下方向に隣接する袋状物32の連通孔32aの何れかと対向するよう配置され、後述する鉄筋棒35を挿通可能である。
また、積層体33は、道床3の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した複数の袋状物34にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。この積層体33は、路盤1の上に敷設されたバラスト2の上に設置されている。また、積層体33は、コンパクターによって転圧されている。なお、積層体33は積層体31と接するように配置されており、この積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。なお、袋状物34は、上述のようにネットを袋状に形成しているため、袋状物32と同様に、袋状物34の内部と外部とを連通させる連通孔34aが多数形成されている。ただし、図2(b)においては、32aと同様に、図が複雑になることを避けるため、1箇所の連通孔34aのみに品番を付している。なお、袋状物34の連通孔34aについては、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物34として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。したがって、積層体33を構成する袋状物34の連通孔34aは、上下方向に隣接する袋状物34の連通孔34aの何れかと対向するよう配置され、後述する鉄筋棒35を挿通可能である。
鉄筋棒35は、鉄製の棒材で構成され、積層体31へ上方から下方へ挿通されている。具体的には、鉄筋棒35は、積層体31の上面の連通孔32aから内部へその先端部35aを先頭に挿入されており、互いに対向する袋状物32の連通孔32aを貫通した状態で、先端部35aが積層体31の下の路盤1に埋設されるとともに、中央部35bが積層体31の内部に位置している。このことにより、鉄筋棒35は、積層体31を構成する複数の袋状物32同士を連結する。
また、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向へ移動可能に取り付けられている。このL型アングル39は、積層体31を構成する袋状物32のうち最も下側に設置される袋状物32の内側の隅部に宛がわれており、図示しない貫通孔に鉄筋棒35の先端部35aが内挿されている。そして、鉄筋棒35の先端部35aに形成されたねじ部には、図示しないナットが取り付けられており、ナットを回転させることにより、L型アングル39が上下方向へ移動可能となっている。
一方、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向へ移動可能に取り付けられている。このL型アングル41は、積層体31を構成する袋状物32のうち最も上側に設置される袋状物32の外側の隅部に宛がわれており、図示しない貫通孔に鉄筋棒35の後端部35cが内挿されている。そして、鉄筋棒35の後端部35cに形成されたねじ部には、図示しないナットが取り付けられており、ナットを回転させることにより、L型アングル41が上下方向へ移動可能となっている。
そして、鉄筋棒35の先端部35aに取り付けられたナットおよび鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル39が積層体31の下面を上方へ押圧するとともに、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧し、鉄筋棒35、L型アングル39およびL型アングル41が協働して積層体31を上下から押圧している。
なお、積層体31は第一の積層体に該当する。また、積層体33は第ニの積層体に該当する。また、鉄筋棒35は第一の連結部材に該当する。また、L型アングル39は下側係止部に該当し、L型アングル41は上側係止部に該当する。
[第一実施形態の効果]
(1)このように第一実施形態の有道床軌道100によれば、バラスト止め工110の積層体31が、道床3ののり尻部からのり肩部にかけ、ネットを袋状に形成した袋状物32にバラスト2を包含させて積み上げ、有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有しており、袋状物32が、ネットを袋状に形成しているため、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されている。なお、本実施形態では、袋状物32として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。
このことにより、袋状物32に入れられたバラスト2が互いに分離せず、且つバラスト2の一部が袋状物32の連通孔32aから突出することとなり、そして、上下に隣接する袋状物32の連通孔32aからその一部が突出するバラスト2同士が噛み合い、これら袋状物32同士が道床3の横断方向にずれにくくなるので、バラスト止め工110が変形しにくく、したがって、道床3が変形しにくくなる。
つまり、袋状物32にネットを使用することでバラスト2相互のかみあわせによる摩擦力を損なうことなく、さらに転圧により袋状物32にテンションを加えることで袋状物32に包含されたバラスト2に拘束をかけ、鉄筋棒35により積層体31のせん断強度を向上させ、応力が作用した場合のバラスト2の変形を抑制している。したがって、従来構成と比べて、重機が不要であり、施工性が良く且つ低コストにて、有道床軌道100の道床3の変形を抑制することができる。
(2)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、袋状物32が、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを袋状に形成しており、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されている。このことにより、袋状物32の連通孔32aからその一部が突出するバラスト2が増え、噛み合うバラスト2の数量が増えるために、上下に隣接する袋状物32同士が道床3の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工110がより変形しにくくなり、したがって、道床3がより変形しにくくなる。
(3)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、袋状物32および袋状物34が、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットによって構成されている。このことにより、次のような作用効果を奏する。
(3−1)バラスト2を詰めたネットの袋状物32を用い、袋状物32をコンパクター等で転圧することでバラスト粒子のかみ合せによる摩擦が増大する。
(3−2)また、ネットの袋状物32の重量がバラスト2を詰めても人力で運搬できる程度であり、また掘削断面が小さく、重機等大型の建設機械を必要としないことから施工性が良く、一晩当たりの施工延長を延伸することができる。
(3−3)また、大雨等により路盤に陥没、沈下が発生した場合にもネット袋状物32全体として移動することからバラスト2の陥没は発生することなく、列車の安全な走行を確保できる。
(3−4)ネットの袋状物32内のバラスト2は流出することがないため、袋状物32を道床3の上などに余分に設置しておけば、備蓄バラストとしてバラスト流出区間に対して散布等に活用できる。
(3−5)ネットの袋状物32内のバラスト2は移動することがないため、カント区間等において発生しているバラスト2の流動化を抑制することができる。
(3−6)ネットの袋状物32を利用することで材料費が安く済み、施工に大型の重機が不要であることから施工コストの低減ができる。
(3−7)ネットの袋状物32による道床3の勾配をより急なものとすることができることから保守用通路を広く確保することができる。
(4)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、バラスト止め工110の鉄筋棒35が、鉄製の棒材で構成され、積層体31の上面の連通孔32aから内部へその先端部35aを先頭に挿入されており、互いに対向する袋状物32の連通孔32aを貫通した状態で、先端部35aが積層体31の下の路盤1に埋設されるとともに、中央部35bが積層体31の内部に位置している。このことにより、鉄筋棒35は、先端部35aが路盤1に埋設するとともに、積層体31を構成する複数の袋状物32同士を連結しており、鉄筋棒35連結された袋状物32同士が道床3の横断方向にずれにくくなり、道床3の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工110が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒35で積層体31にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体31のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床3へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床3の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
(5)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、鉄筋棒35の先端部35aに取り付けられたナットおよび鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル39が積層体31の下面を上方へ押圧するとともに、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧し、鉄筋棒35、L型アングル39およびL型アングル41が協働して積層体31を上下から押圧している。このことにより、上下に隣接する袋状物32の連通孔32aからその一部が突出するバラスト2同士がより強固に噛み合い、上下に隣接する袋状物32同士が道床3の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工110がより変形しにくくなり、したがって、道床3がより変形しにくくなる。
(6)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、バラスト止め工110の積層体33が、道床3の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有しており、袋状物34が、ネットを袋状に形成しているため、袋状物34の内部と外部とを連通させる連通孔34aが多数形成されている。なお、本実施形態では、袋状物34として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。
このことにより、道床3における積層体31とまくらぎ4との間の部分においても、袋状物34に入れられたバラスト2が互いに分離せず、且つバラスト2の一部が袋状物34の連通孔34aから突出することとなり、そして、上下に隣接する袋状物34の連通孔34aからその一部が突出するバラスト2同士が噛み合い、これら袋状物34同士が道床3の横断方向にずれにくくなるので、バラスト止め工110がさらに変形しにくく、道床3がさらに変形しにくくなる。したがって、従来構成と比べて、重機が不要であり、施工性が良く且つ低コストにて、有道床軌道100の道床3の変形を抑制することができる。
(7)また、第一実施形態の有道床軌道100によれば、袋状物34がネットを袋状に形成しており、袋状物34の内部と外部とを連通させる連通孔34aが多数形成されている。このことにより、袋状物34の連通孔34aからその一部が突出するバラスト2が増え、噛み合うバラスト2の数量が増えるために、上下に隣接する袋状物34同士が道床3の横断方向によりずれにくくなるので、バラスト止め工110がより変形しにくくなり、したがって、道床3がより変形しにくくなる。
[第二実施形態]
上記第一実施形態では、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置されるとともに、積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図3(a)に示す第二実施形態では、道床203において、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
以下に、第二実施形態の有道床軌道200が備える構成について説明する。なお、図3(a)は第二実施形態の有道床軌道200の構成を示す断面図である。
なお、本第二実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床203の構成の説明]
図3(a)に示すように、有道床軌道200の道床203は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、を備えており、このうちの積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33、鉄筋棒35、金網37、L型アングル39およびL型アングル41がバラスト止め工210を構成する。
[第二実施形態の効果]
このように第二実施形態の有道床軌道200によれば、バラスト止め工210において、積層体33が積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されているので、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される部分がほぼ無くなり、バラスト止め工210が変形しにくく、道床203が変形しにくくなる。また、道床203の両側に設置されたバラスト止め工210でまくらぎ4を挟み込むこととなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎ4の左右方向の狂いが抑制される。
[第三実施形態]
上記第一実施形態では、複数のまくらぎ4が、その長手方向が道床3の延長方向に直交するよう道床3上に並べて設置され、これら複数のまくらぎ4の上面に道床3の延長方向に沿って一対のレール5が締結されている。これに対して図3(b)に示す第三実施形態では、まくらぎ4同士の間に袋状物43を設置したことを特徴とする。
以下に、第三実施形態の有道床軌道300が備える構成について説明する。なお、図3(b)は第三実施形態の有道床軌道300の構成を示す断面図である。
なお、本第三実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床303の構成の説明]
図3(b)に示すように、有道床軌道300の道床303は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、袋状物43と、を備えている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33、鉄筋棒35、金網37、L型アングル39、L型アングル41および袋状物43がバラスト止め工310を構成する。
袋状物43は、袋状物32と同様に、ネットを袋状に形成しており、袋状物43の内部と外部とを連通させる連通孔が多数形成されている。なお、袋状物43の連通孔については、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物43として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。なお、連通孔は、図2(b)に示す32a,34aと同様に、ネットの孔であり、図示は省略する。
そして、袋状物43は、まくらぎ4とまくらぎ4との間に設置されている。
[第三実施形態の効果]
(1)このように第三実施形態の有道床軌道300によれば、袋状物43がまくらぎ4同士の間に設置されているので、まくらぎ4同士の間の距離寸法が狂いにくくなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎ4の前後方向の狂いが抑制される。
(2)また、ネットの袋状物43内のバラスト2は流出することがないため、袋状物43を道床303の上などに余分に設置しておけば、備蓄バラストとしてバラスト流出区間に対して散布等に活用できる。
[第四実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。また、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置され、まくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図3(c)に示す第四実施形態では、第一実施形態のような下側のL型アングル39を備えず、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられ、さらに、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
以下に、第四実施形態の有道床軌道400が備える構成について説明する。なお、図3(c)は第四実施形態の有道床軌道400の構成を示す断面図である。
なお、本第四実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床403の構成の説明]
図3(c)に示すように、有道床軌道400の道床403は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、L型アングル41と、を備えている。なお、道床403は、第一実施形態の道床3のような金網37およびL型アングル39を備えていない。また、積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33、鉄筋棒35およびL型アングル41がバラスト止め工410を構成する。
そして、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。
[第四実施形態の効果]
(1)このように第四実施形態の有道床軌道400によれば、バラスト止め工410において、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられており、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。このことにより、鉄筋棒35で連結された袋状物32同士が道床403の横断方向にずれにくくなり、道床403の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工410が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒35で積層体31にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体31のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床403へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床403の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
(2)また、第四実施形態の有道床軌道400によれば、積層体33が積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されているので、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される部分が無くなり、バラスト止め工410が変形しにくく、道床403が変形しにくくなる。また、道床403の両側に設置されたバラスト止め工410でまくらぎ4を挟み込むこととなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎの左右方向の狂いが抑制される。
[第五実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。また、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置され、まくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図3(d)に示す第五実施形態では、第一実施形態のような下側のL型アングル39を備えず、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする。
以下に、第五実施形態の有道床軌道500が備える構成について説明する。なお、図3(d)は第五実施形態の有道床軌道500の構成を示す断面図である。
なお、本第五実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床503の構成の説明]
図3(d)に示すように、有道床軌道500の道床503は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒35と、L型アングル41と、を備えている。なお、道床503は、第一実施形態の道床3のような金網37およびL型アングル39を備えていない。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33、鉄筋棒35およびL型アングル41がバラスト止め工510を構成する。
そして、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。
[第五実施形態の効果]
このように第五実施形態の有道床軌道500によれば、バラスト止め工510において、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通され、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられており、鉄筋棒35の後端部35cに取り付けられたナットを回転させることにより、L型アングル41が積層体31の上面を下方へ押圧する。このことにより、鉄筋棒35で連結された袋状物32同士が道床503の横断方向にずれにくくなり、道床503の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工510が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒35で積層体31にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体31のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床503へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床503の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
[第六実施形態]
上記第一実施形態では、バラスト止め工110の積層体33が、道床3の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した複数の袋状物34にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。また、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31に接するように配置されており、積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。これに対して図4(a)に示す第六実施形態では、バラスト止め工610の積層体633が、道床603の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した一つの袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、さらに道床603の延長方向に延設するように配置した構造を有し、さらに、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体633が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
以下に、第六実施形態の有道床軌道600が備える構成について説明する。なお、図4(a)は第六実施形態の有道床軌道600の構成を示す断面図である。
なお、本第六実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床603の構成の説明]
図4(a)に示すように、有道床軌道600の道床603は、積層体31と、積層体633と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、を備えている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体633、鉄筋棒35、金網37、L型アングル39およびL型アングル41がバラスト止め工610を構成する。
積層体633は、道床603の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した一つの袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、さらに有道床軌道600の延長方向に延設するように配置した構造を有している。この積層体633は、路盤1の上に敷設されたバラスト2の上に設置されている。なお、積層体633は、積層体31とまくらぎ4の双方に接するように配置されている。
[第六実施形態の効果]
(1)このように第六実施形態の有道床軌道600によれば、バラスト止め工610の積層体633が、道床603の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した袋状物34にバラスト2を包含させて積み上げ、道床603の延長方向に延設するように配置した構造を有しており、袋状物34が、ネットを袋状に形成しているため、袋状物34の内部と外部とを連通させる連通孔34aが多数形成されている。
このことにより、道床603における積層体31とまくらぎ4との間の部分においても、袋状物34に入れられたバラスト2が互いに分離せず、且つバラスト2の一部が袋状物34の連通孔34aから突出することとなり、そして、上下に隣接する袋状物34の連通孔34aからその一部が突出するバラスト2同士が噛み合い、これら袋状物34同士が道床603の横断方向にずれにくくなるので、バラスト止め工610がさらに変形しにくく、道床603がさらに変形しにくくなる。したがって、従来構成と比べて、重機が不要であり、施工性が良く且つ低コストにて、道床603の変形を抑制することができる。
(2)また、第六実施形態の有道床軌道600によれば、積層体633が積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されているので、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される部分が無くなり、バラスト止め工610が変形しにくく、道床603が変形しにくくなる。また、道床603の両側に設置されたバラスト止め工610でまくらぎ4を挟み込むこととなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎの左右方向の狂いが抑制される。
[第七実施形態]
上記第一実施形態では、バラスト止め工110の積層体33が、道床3の積層体31とまくらぎ4の間に、ネットを袋状に形成した複数の袋状物34にバラスト2を包含させて上下方向に積み上げ、さらに有道床軌道100の延長方向に延設するように配置した構造を有している。これに対して図4(b)に示す第七実施形態では、道床703の積層体31とまくらぎ4の間に積層体33を設置せず、積層体31とまくらぎ4の間にバラスト2が設置されており、さらに、まくらぎ4同士の間に袋状物43を設置したことを特徴とする。
以下に、第七実施形態の有道床軌道700が備える構成について説明する。なお、図4(b)は第七実施形態の有道床軌道700の構成を示す断面図である。
なお、本第七実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床703の構成の説明]
図4(b)に示すように、有道床軌道700の道床703は、積層体31と、鉄筋棒35と、金網37と、L型アングル39と、L型アングル41と、袋状物43と、を備えている。この道床703の積層体31とまくらぎ4の間にはバラスト2が設置されている。
なお、本実施形態では、積層体31、鉄筋棒35、金網37、L型アングル39、L型アングル41および袋状物43がバラスト止め工710を構成する。
袋状物43は、袋状物32と同様に、ネットを袋状に形成しており、袋状物43の内部と外部とを連通させる連通孔が多数形成されている。なお、袋状物43の連通孔については、バラスト2が挿通できない程度の大きさに形成されている。本実施形態では、袋状物43として、バラスト2の平均粒径の1/2〜1/4程度の網目のネットを用いている。そして、袋状物43は、まくらぎ4同士の間に設置されている。
[第七実施形態の効果]
(1)このように第七実施形態の有道床軌道700によれば、上述の第一実施形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を奏する。
(2)また、第七実施形態の有道床軌道700によれば、袋状物43がまくらぎ4同士の間に設置されているので、まくらぎ4同士の間の距離寸法が狂いにくくなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎ4の前後方向の狂いが抑制される。
(3)また、ネットの袋状物43内のバラスト2は流出することがないため、袋状物43を道床703の上などに余分に設置しておけば、備蓄バラストとしてバラスト流出区間に対して散布等に活用できる。
[第八実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。これに対して図4(c)に示す第八実施形態では、第一実施形態のような鉄筋棒35、L型アングル39およびL型アングル41を備えず、鉄筋棒835が積層体31の上方から下方へ挿通され、さらに、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される幅寸法を小さくするため、積層体31とまくらぎ4との間に設置される積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されていることを特徴とする。
以下に、第八実施形態の有道床軌道800が備える構成について説明する。なお、図4(c)は第八実施形態の有道床軌道800の構成を示す断面図である。
なお、本第八実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床803の構成の説明]
図4(c)に示すように、有道床軌道800の道床803は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒835と、を備えている。なお、積層体33が、積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33および鉄筋棒835がバラスト止め工810を構成する。
鉄筋棒835は、鉄筋棒35と同様に、鉄製の棒材で構成され、積層体33に挿通されている。具体的には、鉄筋棒835は、積層体33の上面の連通孔34aから内部へその先端部を先頭に挿入されており、互いに対向する袋状物34の連通孔34aを貫通した状態で、先端部が積層体33の下の路盤1に埋設されるとともに、中央部が積層体33の内部に位置している。
なお、鉄筋棒835は第二の連結部材に該当する。
[第八実施形態の効果]
(1)このように第八実施形態の有道床軌道800によれば、バラスト止め工810の鉄筋棒835が積層体33の上方から下方へ挿通されている。このことにより、鉄筋棒835で連結された袋状物34同士が道床803の横断方向にずれにくくなり、道床803の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工810が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒835で積層体33にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体33のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床803へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床803の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
(2)また、第八実施形態の有道床軌道800によれば、積層体33が積層体31とまくらぎ4の双方に接するよう設置されているので、積層体31とまくらぎ4との間にバラスト2が敷設される部分が無くなり、バラスト止め工810が変形しにくく、道床803が変形しにくくなる。また、道床803の両側に設置されたバラスト止め工810でまくらぎ4を挟み込むこととなり、列車荷重に起因して発生するまくらぎの左右方向の狂いが抑制される。
[第九実施形態]
上記第一実施形態では、鉄筋棒35が積層体31の上方から下方へ挿通されており、鉄筋棒35の先端部35aにはL型アングル39が上下方向に移動可能に取り付けられるとともに、鉄筋棒35の後端部35cにはL型アングル41が上下方向に移動可能に取り付けられている。
これに対して図4(d)に示す第九実施形態では、第一実施形態のような鉄筋棒35、L型アングル39およびL型アングル41を備えず、鉄筋棒835が積層体33の上方から下方へ挿通されていることを特徴とする。
以下に、第九実施形態の有道床軌道900が備える構成について説明する。なお、図4(d)は第九実施形態の有道床軌道900の構成を示す断面図である。
なお、本第九実施形態では、多くの部分は第一実施形態と共通なので、第一実施形態と同じ符号を使用してその詳細な説明を省略する。
[道床903の構成の説明]
図4(d)に示すように、有道床軌道900の道床903は、積層体31と、積層体33と、鉄筋棒835と、を備えている。なお、積層体33は積層体31と接するように配置されており、この積層体33とまくらぎ4との間にはバラスト2が配置されている。
なお、本実施形態では、積層体31、積層体33および鉄筋棒835がバラスト止め工910を構成する。
[第九実施形態の効果]
このように第九実施形態の有道床軌道900によれば、バラスト止め工910の鉄筋棒835が積層体33の上方から下方へ挿通されている。このことにより、鉄筋棒835で連結された袋状物34同士が道床903の横断方向にずれにくくなり、道床903の横断方向に作用する力に対してバラスト止め工910が変形しにくくなる。つまり、鉄筋棒835で積層体33にプレストレス(拘束力)を付加することにより、積層体33のせん断応力を向上させ、高温時や地震時などに道床903へ衝撃的な応力が作用した場合においても道床903の変形を抑制することが可能となり、列車の安全な走行を確保する事ができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)上記第一実施形態では、積層体31の袋状物32が、ネットを袋状に形成しており、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されているが、これには限られず、袋状物32の少なくとも上面および下面に、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが形成されていればよい。なお、積層体33を構成する袋状物34についても同様である。このように構成しても上記第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
(2)また、上記第一実施形態では、上述のように、積層体31の袋状物32が、ネットを袋状に形成しており、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されているが、これには限られず、例えば、格子やメッシュなど、その両面を連通させる孔が多数設けられているものであれば他の形状でもよい。なお、積層体33を構成する袋状物34についても同様である。このような構成においても上記第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
(3)また、上記第一実施形態では、上述のように、積層体31の袋状物32が、ネットを袋状に形成しており、袋状物32の内部と外部とを連通させる連通孔32aが多数形成されるという具合に、複数の連通孔32aが袋状物32に規則的に配置されているが、これには限られず、上下方向に隣接する袋状物32の連通孔32aの何れかと対向するよう配置され、鉄筋棒35を挿通可能であれば、複数の連通孔32aが袋状物32に不規則的に配置されていてもよい。なお、積層体33を構成する袋状物34についても同様である。このように構成しても上記第一実施形態と同様の作用効果を奏する。
(a)は第一実施形態の有道床軌道100の構成を示す正面断面図であり、(b)は第一実施形態の有道床軌道100の平面図である。 (a)は第一実施形態のバラスト止め工110の積層体31の構成を示す断面図であり、(b)はネットを袋状に形成した袋状物32の構成を示す説明図である。 (a)は第二実施形態の有道床軌道200の構成を示す断面図であり、(b)は第三実施形態の有道床軌道300の構成を示す断面図であり、(c)は第四実施形態の有道床軌道400の構成を示す断面図であり、(d)は第五実施形態の有道床軌道500の構成を示す断面図である。 (a)は第六実施形態の有道床軌道600の構成を示す断面図であり、(b)は第七実施形態の有道床軌道700の構成を示す断面図であり、(c)は第八実施形態の有道床軌道800の構成を示す断面図であり、(d)は第九実施形態の有道床軌道900の構成を示す断面図である。 従来の有道床軌道の構成を示す断面図であり、(a)はバラストの構成を示す断面図であり、(b)は従来の有道床軌道の構成を示す断面図であり、(c)は従来のバラスト止め工の構成を示す断面図であり、(d)は従来のバラスト止め工を備える有道床軌道の構成を示す断面図である。
符号の説明
1…路盤、2…バラスト、3,203,303,403,503,603,703,803,903,1003,1103…道床、4…まくらぎ、5…レール、31,33,633…積層体、32,34,43…袋状物、32a,34a…連通孔、35,835…鉄筋棒、35a…先端部35b…中央部35c…後端部、37…金網、39,41…L型アングル、100,200,300,400,500,600,700,800,900…有道床軌道、110,210,310,410,510,610,710,810,910,1010…バラスト止め工、1000,1100…バラスト道床軌道、1010a…突起部

Claims (13)

  1. 路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、を備える有道床軌道に用いられ、前記道床の横断方向の両側に前記道床の延長方向に沿って設置されて前記道床をその横断方向の両側から支持するバラスト止め工であって、
    前記道床ののり尻部からのり肩部にかけ、袋状に形成された複数の袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第一の積層体を備え、
    前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔が形成され
    前記袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかは、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、
    棒状に構成され、前記第一の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で前記第一の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで前記第一の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第一の連結部材を備え、
    前記第一の連結部材は、前記第一の積層体の上面を下方へ押圧するための上側係止部をその上端付近に有すること
    を特徴とするバラスト止め工。
  2. 請求項1に記載のバラスト止め工において、
    前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記連通孔が複数形成されていることを特徴とするバラスト止め工。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバラスト止め工において、
    前記袋状物はその少なくとも上面および下面が網目状に形成されていることを特徴とするバラスト止め工。
  4. 請求項1〜請求項3の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記袋状物はその少なくとも上面および下面がネットによって構成されていることを特徴とするバラスト止め工。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記第一の連結部材は、前記第一の積層体の下面を上方へ押圧するための下側係止部をその下端付近に有することを特徴とするバラスト止め工。
  6. 請求項1〜請求項5の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、袋状に形成された袋状物にバラストを包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第二の積層体を備え、
    前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔が形成されていること
    を特徴とするバラスト止め工。
  7. 請求項6に記載のバラスト止め工において、
    前記第二の積層体は、前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、複数の前記袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設されることで構成されており、
    前記第二の積層体を構成する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかは、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、
    棒状に構成され、前記第二の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で前記第二の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで前記第二の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第二の連結部材を備えることを特徴とするバラスト止め工。
  8. 路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、を備える有道床軌道に用いられ、前記道床の横断方向の両側に前記道床の延長方向に沿って設置されて前記道床をその横断方向の両側から支持するバラスト止め工であって、
    前記道床ののり尻部からのり肩部にかけ、袋状に形成された複数の袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第一の積層体と、
    前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、袋状に形成された袋状物にバラストを包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設された第二の積層体と、を備え、
    前記袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記袋状物の内部と外部とを連通させる連通孔が形成され、
    前記第二の積層体は、前記第一の積層体と前記まくらぎとの間に、複数の前記袋状物にバラストをそれぞれ包含させて積み上げ、前記路盤の延長方向に延設されることで構成されており、
    前記第二の積層体を構成する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかは、その袋状物と隣接する袋状物の上面または下面に形成された連通孔の何れかと対向するよう配置されており、
    棒状に構成され、前記第二の積層体を構成する複数の袋状物の連通孔のうち互いに対向する連通孔を貫通した状態で前記第二の積層体の内部に位置するとともにその先端部が前記路盤に埋設されることで前記第二の積層体を構成する複数の袋状物同士を連結する第二の連結部材を備えること
    を特徴とするバラスト止め工。
  9. 請求項6〜請求項8の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記第二の積層体は前記第一の積層体および前記まくらぎに接するよう設置されていることを特徴とするバラスト止め工。
  10. 請求項6〜請求項9の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記第二の積層体を構成する袋状物は、その少なくとも上面および下面に前記連通孔が複数形成されていることを特徴とするバラスト止め工。
  11. 請求項6〜請求項10の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記第二の積層体を構成する袋状物はその少なくとも上面および下面が網目状に形成されていることを特徴とするバラスト止め工。
  12. 請求項6〜請求項11の何れかに記載のバラスト止め工において、
    前記第二の積層体を構成する袋状物はその少なくとも上面および下面がネットによって構成されていることを特徴とするバラスト止め工。
  13. 路盤上にバラストを敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、前記路盤の延長方向に延設することにより形成された道床と、
    その長手方向が前記道床の延長方向に直交するよう前記道床上に並べて設置された複数のまくらぎと、
    前記複数のまくらぎの上面に前記道床の延長方向に沿って締結された一対のレールと、
    を備える有道床軌道であって、
    前記道床の一部が請求項1〜請求項12の何れかに記載のバラスト止め工によって構成されていること
    を特徴とする有道床軌道。
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