JP2005171679A - フトン篭工用成形具及びフトン篭工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フトン篭の設置作業において変形を防止し仕上がりを綺麗にするためのフトン篭工用成形具及びフトン篭工法を提供することを目的とする。
【解決手段】成形具6は、前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板7の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジ8の上下を4本の棒状連結部材9を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、リフト手段10を用いて吊り上げが可能であり、成形板7の左右の下の角部分11が円く形成され、連結フランジ8に連結された下方の連結部材9の位置がフトン篭本体1の高さよりも上であることを特徴とする。フトン篭工法は、フトン篭本体1を設置する工程と、そこに上記成形具6を据付け、上方開口部2から重量物3を入れて密に詰み、成形板7をはずし、フトン篭本体1にフトン篭蓋体12を取り付ける工程を有することを特徴とする。
【選択図】図10
【解決手段】成形具6は、前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板7の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジ8の上下を4本の棒状連結部材9を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、リフト手段10を用いて吊り上げが可能であり、成形板7の左右の下の角部分11が円く形成され、連結フランジ8に連結された下方の連結部材9の位置がフトン篭本体1の高さよりも上であることを特徴とする。フトン篭工法は、フトン篭本体1を設置する工程と、そこに上記成形具6を据付け、上方開口部2から重量物3を入れて密に詰み、成形板7をはずし、フトン篭本体1にフトン篭蓋体12を取り付ける工程を有することを特徴とする。
【選択図】図10
Description
この発明は、フトン篭の設置作業において変形を防止し仕上がりを綺麗にするためのフトン篭工用成形具及びフトン篭工法に関するものである。
フトン篭工法は河川や道路、砂防工事など、水勢による洗掘や土砂崩壊を防止する根固めとして広く応用されている工法である。もっとも汎用なものとして線径3mm程度の鋼線によって編まれた篭状の網に玉石や割栗石等の重量物を詰め、水平方向に連続して設置し、且つ階段状に数段積み重ねる工法である。フトン篭のサイズは現場や設置場所によって異なる場合がある。詰め石は、場所詰め石として施工するもので、詰め石した後に移動するものではない。複数のフトン篭の側面を隣接させて横に並べながら列を形成する。1列もあれば、2列以上連続するものもある。数段積み重ねる場合に、ただ積み上げる場合もあれば、1段目と2段目の重なる予定の場所にあらかじめ杭を打つことで崩壊を強力に防止する場合もある。設置したフトン篭の背面は斜面側になるため見えないが、正面は露出する。フトン篭の網に変形がなく、重量物が綺麗に詰まれており、フトン篭同士の隙間がなく、配列が綺麗である、そのような施工が理想的なフトン篭工であるとされている。それは、見た目の外観が綺麗であるだけでなく、強度上の耐久性にも優れているからである。
従来の詰め石作業はパワーショベルによる詰め石投入の際、フトン篭本体の側網が大きく変形して膨出してしまう欠点があった。その膨出変形を防止するために、作業員が四辺を支持していた。しかし、投入の際、側網にかかる衝撃を受け止めるには限界があり、変形を防止するには至らなかった。詰め石投入のショベルバケット付近に作業員を配置しなければならないことなどから、危険を伴う作業であった。
そこで下記特許文献1に記載された発明に代表される四辺に板を有した頑丈な構造の型枠手段が考え出された。単に四辺に板を有した構造である型枠手段もあるが、本特許文献1のものは一辺の板のみ開閉式になっている。
特開2002−097616号公報
上記した従来の型枠手段とそれを用いたフトン篭工法の問題について述べる。第1に、非常に大きくて重いことである。フトン篭本体の4側面を分厚い枠が囲む構造をしているためである。大きく重いので、運搬に手間がかかり、収納には広いスペースを必要とする。
第2に、施工能率が低下する。作業性がきわめて悪く、手間のかかる工程が多すぎる。型枠手段を設置し、上枠を開き、フトン篭本体をセットし、上枠を閉め、重量物を入れ、また上枠を開き、フトン篭本体に蓋を取り付け、完成したフトン篭を吊り上げて移動させて設置する。これを繰り返す。型枠の蓋の開閉にまで機械を用いなければならないし、型枠内でフトン篭を完成させた後、さらに機械で移動させなければならない。型枠手段は一箇所に固定式であるため、すべてのフトン篭を一箇所に集め、一個一個を完成させるたび、遠くの設置場所まで移動させなければならない。重量物を詰める作業は、最終的には作業員が手作業で整えなければならないが、分厚い枠がフトン篭本体を取り囲んでいて側面には突起構造があるので、その分距離が遠くなって作業がしずらくなり、腰に大きな負担がかかる。これでは従来以上に作業時間を要することになる。型枠手段一個につき、パワーショベルといった移動式クレーンその他のリフト手段の機械一台がかかりきりで作業しなければならないため、極めて効率が悪い。複数のフトン篭を同時に仕上げることはできない。一個のフトン篭の処理が終わるまで待たなければ次のフトン篭の作業には移れないため、作業員と時間を無駄にしてしまう。
第3に、仕上がりが良くない。フトン篭単体でみると、型枠内で完成した段階で仕上がりが良くても、リフト手段で吊り上げて移動する間に、重量物の重みでフトン篭の底網が膨出し、内部の隙間が大きくなった重量物が崩れを起こし、すでに底が膨出して重量物も崩れて変形しているフトン篭を下におろすとさらに歪みが全体に拡大する。網の目から見える重量物も崩れているため見栄えが良くない。フトン篭を複数設置した全体でみると、変形したフトン篭では全体がでこぼこして非常に仕上がりが悪い。リフト手段の構造がフトン篭本体よりも横に出っ張っているためその分フトン篭同士の間に隙間ができてしまい、見た目も悪いし強度的にも良くない仕上がりになる。無理にフトン篭同士が接触するように下ろせば、出っ張り部分である第1の吊下金具引き掛け部が隣のフトン篭に乗り上げてしまい、吊り下げ金具をフトン篭からはずせなくなる可能性もある。フトン篭の間に隙間ができると設置したときに列に狂いが生じやすくなり、仕上がりの見栄えが悪くなる。
第4に、立杭工法の場合は使用できない。たとえば、立設した杭によって、フトン篭を階段状に設置した構築物の強度を高めなければならない現場である。石等の重量物を詰めて完成させたフトン篭に、立設した杭は通らない。無理に打ち込めば、杭が折れるか篭が壊れる。
第5に、寸法の異なるフトン篭の施工には対応できない。フトン篭の横幅奥行き高さの寸法は様々なものが存在する。四側面を板枠で囲った型枠手段は、寸法の決まった一種類のフトン篭にしか使用できない。
第6に、安全面の問題である。型枠手段の開閉が頻繁に繰り返される。板のついている上枠を閉じるときに作業員が挟まれる危険がある。上枠と側板の間に手を挟まれる危険があるし、台部分と板との間に足を挟まれる危険もある。特に板の角の部分に足を挟まれる危険が、経験上、最も高い。
本発明は、上記した問題点を解決するためのフトン篭工用成形具とフトン篭工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載のフトン篭工用成形具は、設置場所に敷設したフトン篭本体の上方開口部から石等の重量物を入れて詰める際にフトン篭本体の正面及び背面を固定してその変形を防止する成形具であって、前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジの上下を4本の棒状連結部材を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、前記連結部材の柱部分の長さはフトン篭本体の奥行きと同じ長さに形成され、連結フランジを除いた成形板の大きさはフトン篭本体の高さ横幅と同じに形成され、向かい合う前後の成形板の内側の間隔はフトン篭本体の奥行きと同じであり、移動式クレーン等のリフト手段を用いて吊り上げ可能であり、成形板の左右の下の角部分が円く形成され、連結フランジに連結された下方の連結部材の位置がフトン篭本体の高さよりも上であることを特徴とする。
請求項2記載のフトン篭工法は、前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジの上下を4本の棒状連結部材を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、前記連結部材の柱部分の長さはフトン篭本体の奥行きと同じ長さに形成され、連結フランジを除いた成形板の大きさはフトン篭本体の高さ横幅と同じに形成され、向かい合う前後の成形板の内側の間隔はフトン篭本体の奥行きと同じであり、移動式クレーン等のリフト手段を用いて吊り上げが可能であり、成形板の左右の下の角部分が円く形成され、連結フランジに連結された下方の連結部材の位置がフトン篭本体の高さよりも上であるフトン篭工用成形具を用いることにより、設置場所に敷設したフトン篭本体の上方開口部から石等の重量物を入れて詰める際にフトン篭本体の正面及び背面を固定してその変形を防止する工法であって、複数のフトン篭本体を設置場所に横方向に隣接させて敷設する工程と、リフト手段を用いて吊り上げた成形具を下ろし前後の成形板の内側がフトン篭本体の正面と背面に接するように据付け、重量物をフトン篭本体内部に入れて密に詰め、リフト手段を用いてフトン篭本体から成形具を持ち上げてはずし、フトン篭本体の上方開口部にフトン篭蓋体を取付ける工程を有することを特徴とする。
請求項3記載のフトン篭工法は、前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジの上下を4本の棒状連結部材を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、前記連結部材の柱部分の長さはフトン篭本体の奥行きと同じ長さに形成され、連結フランジを除いた成形板の大きさはフトン篭本体の高さ横幅と同じに形成され、向かい合う前後の成形板の内側の間隔はフトン篭本体の奥行きと同じであり、移動式クレーン等のリフト手段を用いて吊り上げが可能であり、成形板の左右の下の角部分が円く形成され、連結フランジに連結された下方の連結部材の位置がフトン篭本体の高さよりも上であるフトン篭工用成形具を用いることにより、設置場所に敷設したフトン篭本体の上方開口部から石等の重量物を入れて詰める際にフトン篭本体の正面及び背面を固定してその変形を防止する工法であって、複数のフトン篭本体を設置場所に横方向に隣接させて敷設する工程と、リフト手段を用いて吊り上げた成形具を下ろし前後の成形板の内側がフトン篭本体の正面と背面に接するように据付け、重量物をフトン篭本体内部に入れて密に詰め、リフト手段を用いてフトン篭本体から成形具を持ち上げてはずし、フトン篭本体の上方開口部にフトン篭蓋体を取付ける工程を有しており、それに加えて、フトン篭本体を敷設する前に階段状に設置され上下が重なる予定の場所に杭を打ち込み立設させる作業と、下段を形成する複数のフトン篭本体を設置場所に敷設するときに網目に杭を通す作業と、下段になるフトン篭本体の上方開口部にフトン篭蓋体を取付けるときに網目に杭を通す作業と、上段を形成する複数のフトン篭本体を下段のフトン篭の上に設置するときに網目に杭を通す作業を有することを特徴とする。
請求項4記載のフトン篭工法は、請求項2又は3に記載された工法において、上記したフトン篭工用成形具を複数用いることにより、上記の、リフト手段を用いて吊り上げた成形具を下ろし前後の成形板の内側がフトン篭本体の正面と背面に接するように据付け、重量物をフトン篭本体内部に入れて密に詰め、リフト手段を用いてフトン篭本体から成形具を持ち上げてはずし、フトン篭本体の上方開口部にフトン篭蓋体を取付ける、という工程を、2箇所以上で同時に行うことを特徴とする。
上記のフトン篭工用成形具およびフトン篭工法によれば、つぎのような効果が得られる。第1に、小型化と軽量化が達成できる。成形具の大きさはフトン篭とほとんど同じである。成形板の連結フランジと連結部材の連結をはずして6個の部品に分解することができるので、運搬も収納も楽にできる。連結部材と連結フランジを連結するだけなので、組み立てが簡単にできる。構造が複雑ではなく、取り扱いが簡単である。
第2に、施工能率が向上する。フトン篭工の作業性がきわめて高くなる。手間のかかる工程がまったくない。フトン篭本体を設置場所に直接設置し、フトン篭本体に成形具を据付け、石等の重量物を投入して密に詰め、フトン篭本体から成形具をはずし、フトン篭蓋体を取り付けるだけで完了である。成形具をフトン篭本体に据付ける際も、成形板の左右の下の角部分が丸く形成されているのでひっかかりを生じないので、作業が素早く完了する。完成したフトン篭を移動させなくてよい。成形具は固定式でなく移動式なので、設置されたフトン篭本体からフトン篭本体へとつぎつぎに作業を進めることができ、移動距離が非常に短縮される。作業員が手作業で石等の重量物を密に詰めるとき、成形板はフトン篭本体と同じ形をした平板なので、邪魔にならず作業がしやすい。成形具が移動式なので、成形具が複数あれば、移動式クレーン等のリフト手段一台で、複数のフトン篭本体に複数の成形具を据付けて、2箇所以上でフトン篭工の作業を平行して行うことができ、それによって作業効率を何倍にもアップできる。2箇所以上でフトン篭工の作業が平行処理できるので、人手と時間を有効に活用できる。
第3に、仕上がりの出来栄えが非常によい。石等の重量物をパワーショベルを用いてフトン篭本体に投入しても、前後の成形板がフトン篭本体の前面と背面に接して固定しているため、側網の変形は起こらない。前後の成形板の内側の間隔がフトン篭本体の奥行きと同じであるため、側網を確実に変形から守ることができる。4本の連結部材が連結フランジの上下で連結することで、前後の成形板を平行に強固に固定しているため、石等の重量物が投入された衝撃にも耐えられる構造となっている。連結フランジを、成形板の上部の中央付近ではなく左右両側から上方に形成したことも、構造を強化している。横方向の側面は、前面と背面が固定されているために変形しても僅かであり、隣接したフトン篭本体が石等の重量物を詰め終わっている場合はさらに変形が緩和される。石等の重量物を詰めた状態でフトン篭を吊り上げる工程が含まれていないので、底網が膨出することもないし、密に詰められた石等の重量物が崩れることもない。施工後に露出する前面が変形せず、前面の網目越しに石等の重量物が密に詰まれた状態が見えるので、仕上がりが非常に綺麗である。フトン篭を複数設置した全体でみても、平面に整った前面が露出した複数のフトン篭の全体は非常に仕上がりが綺麗である。隣り合ったフトン篭同士の間は、隣接するフトン篭本体同士を最初からぴったりつけて設置できるので、隙間が空くようなことはなく、ぴったりと接しており、見た目の出来栄えもよく、強度的にもしっかりとした仕上がりになる。フトン篭同士に隙間ができないため、列が綺麗に仕上がる。
第4に、立杭工法にも使用できる。フトン篭本体の設置時とフトン篭蓋体の取付け時にそれぞれ網目に杭を通す作業が加わるだけで、それ以外は杭がない場合と同じ工程でフトン篭を設置することができる。
第5に、寸法の異なるフトン篭の施工にも対応することが可能である。奥行きの寸法が異なる場合、その奥行きと同じ長さの連結部材を用意しておけば、連結部材を交換することで対応できる。高さや横幅の寸法が異なる場合、その高さ横幅と同じに形成された成形板を用意しておけば、成形板を交換することで対応できる。
第6に、安全性が高い。成形具が原因で作業員が怪我をすることはまず考えられない。据付けられた成形具の前後の成形板はフトン篭本体の前面と背面に接して重なってしまうので、危険はない。成形板の左右の下の角部分は、怪我の原因になる危険な直角の角ではなく、円く形成されているので安全である。実際にそのようなことがおこる可能性はないが、仮に成形具が横方向にずれて据付けられたとしても、横方向には隣のフトン篭本体が設置されているので、成形板が横方向に突き出す危険性はない。連結フランジに連結される上下の連結フランジのうち、下方の連結部材の位置がフトン篭本体の高さよりも上であるため、連結フランジとフトン篭本体の間に手を挟む危険性もない。作業員が人力で側網の変形を抑える必要がないので、石等の重量物を入れる際に作業員を退避させてから投入できる。
以下、添付図面に基づき本発明に係わるフトン篭工用成形具およびフトン篭工法について説明するが、本発明は以下の形態にのみ限定されるべきものではないことはいうまでもない。
図中1は、鋼線の網で形成された四面の側網と底網を有するフトン篭本体である。フトン篭本体1の横幅奥行き高さは限定しないが、図に示したものは、横幅が2000mm、奥行きが1200mm、高さが500mmである。図中12は、フトン篭本体1に取り付けて上方開口部2を閉じるための鋼線の網で形成されたフトン篭蓋体12である。図中3は、石等の重量物3である。
図中6は、2枚の成形板7と4本の連結部材9から成る成形具であり、組み立て分解が自由にできる(図29参照)。成形板7の上部の左右両側から上方に連結フランジ8が形成されている。左右の連結フランジ8の上と下を4本の棒状の連結部材9を用いて着脱可能に連結している。連結部分の構造は一つに限定しないが、ここでは連結フランジ8の上下には連結用のスリットがあいており、このスリットに連結部材9の両端に設けられた突出片を挿入し、貫通した突出片を止め金16で固定する方法がとられている。成形板7は平らな板であり、左右の下の角部分11は円く形成されている。連結フランジ8を除く成形板7の寸法は、設置するフトン篭本体1の高さ横幅と同じに形成されている。ここでは、成形板7の寸法は横幅が2000mmで高さが500mmである。連結部材9の長さは、フトン篭本体1の奥行きと同じ長さに形成されている。ここでは、連結部材9の柱部分の長さは1200mmである(突出片の長さは含まれない。)。連結フランジ8に連結される下方の連結部材9の位置は、フトン篭本体1の高さよりも上に形成されている。ここの実例では、フトン篭本体1の高さと成形板7の高さは同じく500mmであり、連結フランジ8に連結された下方の連結部材9の高さは560mmであり、上方の連結部材9の高さが760mmである。4本の連結部材9を連結フランジ8の上下に垂直に連結固定して組み立てられた成形具6は、2枚の成形板7が前後に平行に向かい合い、前後の成形板7の内側の間隔はフトン篭本体1の奥行きと同じになる。成形具6は移動式クレーン等のリフト手段10を用いて吊り上げ可能である。吊り上げる形式一つに限定しないが、ここでは成形板7の上方の連結フランジ8より内側寄りの位置に掛止部15を形成し、掛止部15にリフト手段10からワイヤーを掛けて吊り上げることができる。
上記した成形具6を用いたフトン篭工法について説明する。施工の前段階として、設置するフトン篭本体1に合った成形具6を組み立てておく(図1、図2、図3、図29参照)。まず、複数のフトン篭本体1を設置場所に横方向に隣接させて敷設する(図4、図13、図25参照)。これによりフトン篭本体1の列が形成される。この工程を仮に第1工程と呼ぶこととする。現場の端から端までフトン篭本体1の設置が済んだら、作業の段取りによっていつでも次の列の設置に取り掛かってもよい。水平方向に列を並べ足す場合は、すでに設置されている列の正面4か背面5に接するようにして設置場所に敷設する(図26参照)。普通は、前方の列を先に設置し、つぎにその後側に設置する。その方が、完成時に露出する前方の列の仕上がりがよくなるためである。階段状に列を積み足す場合は、最初に下の段を完成させ、背面5を埋設した上で、施工に取り掛かる(図18参照)。つぎに、成形具6を移動式クレーン等のリフト手段10で吊り上げて、設置されているフトン篭本体1まで移動させ、前後の成形板7の内側がフトン篭本体1の正面4と背面5に接するように垂直に下ろして据付ける(図5、図11、図24参照)。前後の成形板7はフトン篭本体1を前後から挟むようにして正面4と背面5に重なる状態となる。つぎにパワーショベルで石等の重量物3を上方開口部2からフトン篭本体1に入れる。この投入された石等の重量物3を作業員が手で密に詰めていく(図6参照)。特に露出するフトン篭の正面4の重量物3を丁寧に詰めると、仕上がりの見栄えがよくなる。石等の重量物3がフトン篭本体1にいっぱいになったら、詰め石の作業を終了する(図7、図15参照)。つぎに、リフト手段10で吊り上げて重量物3を詰め終わったフトン篭本体1から成形具6をはずす(図8、図16参照)。石等の重量物3を詰めているので、はずすときは、フトン篭本体1から成形具6を引き抜くような感じではずれる。吊り上げられた成形具6は、そのまますぐに、つぎに詰め石作業をするフトン篭本体1に据付けるようにすると、作業効率が非常によく無駄がない。つぎに、重量物3を詰め終わったフトン篭本体1にフトン篭蓋体12を取り付けて上方開口部2を閉じる(図9、図17参照)。これにより、一個一個のフトン篭の単体が完成する。この工程を仮に第2工程と呼ぶこととする。第2工程を繰り返すことにより、列全体が完成する。成形具6が複数個あれば、この第2工程を複数箇所で同時に行うことができて、作業効率をアップさせることができる(図10、図25、図26、図27、図8参照)。フトン篭の列が完成したら、第1工程の敷設作業を行ってフトン篭本体1の列を新たに加え、そこでまた第2工程を繰り返すことによってフトン篭の列を完成させる。現場ではこのようにしてフトン篭工を施工する。フトン篭工が立杭工法を用いて施工される場合も基本的には前記した第1工程と第2工程の繰り返しと同じであり、そこにフトン篭本体1を敷設する前に階段状に設置され上下が重なる予定の場所に杭13を打ち込み立設させる作業と、下段を形成する複数のフトン篭本体1を設置場所に敷設するときに網目に杭13を通す作業と、下段になるフトン篭本体1の上方開口部2にフトン篭蓋体12を取付けるときに網目に杭13を通す作業と、上段を形成する複数のフトン篭本体1を下段のフトン篭の上に設置するときに網目に杭13を通す作業が加わるだけである(図12〜図23参照)。フトン篭の高さの2倍弱に相当する高さに杭13をを立設することで、フトン篭の1段目の列と2段目の列を固定できるため、これによってフトン篭を階段状に設置した構築物全体の強度が高められる。なお、図25はフトン篭本体1を1列設置したうちの4個をあらわした図であり、右から順に、成形具6をはずしてフトン篭本体1にフトン篭蓋体12を取り付けてフトン篭が完成した段階のもの、石等の重量物3を詰め終わった段階のもの、成形具6をフトン篭本体1に据付けた段階のもの、フトン篭本体1を設置した段階のものである。また、図26は1列完成したフトン篭の後側にフトン篭本体1を1列設置し、そのうちの4個をあらわした図であり、右から順に、成形具6をはずしてフトン篭本体1にフトン篭蓋体12を取り付けてフトン篭が完成した段階のもの、石等の重量物3を詰め終わった段階のもの、成形具6をフトン篭本体1に据付けた段階のもの、フトン篭本体1を設置した段階のものである。また、図27は杭を立設したその前側にフトン篭を1列完成させた後、その後側に網目に杭を通してフトン篭体1を1列設置し、そのうちの4個をあらわした図であり、右から順に、成形具6をはずして網目に杭を通してフトン篭蓋体12をフトン篭本体1に取り付けてフトン篭が完成した段階のもの、石等の重量物3を詰め終わった段階のもの、成形具6をフトン篭本体1に据付けた段階のもの、網目に杭を通してフトン篭本体1を設置した段階のものである。また、図28は2列水平に完成したフトン篭の後側の列の上に千鳥の階段状にフトン篭本体1を1列設置し、そのうちの4個をあらわした図であり、右から順に、成形具6をはずしてフトン篭本体1にフトン篭蓋体12を取り付けてフトン篭が完成した段階のもの、石等の重量物3を詰め終わった段階のもの、成形具6をフトン篭本体1に据付けた段階のもの、フトン篭本体1を設置した段階のものである。
1 フトン篭本体
2 上方開口部
3 重量物
4 正面
5 背面
6 成形具
7 成形板
8 連結フランジ
9 連結部材
10 リフト手段
11 角部分
12 フトン篭蓋体
13 杭
2 上方開口部
3 重量物
4 正面
5 背面
6 成形具
7 成形板
8 連結フランジ
9 連結部材
10 リフト手段
11 角部分
12 フトン篭蓋体
13 杭
Claims (4)
- 設置場所に敷設したフトン篭本体(1)の上方開口部(2)から石等の重量物(3)を入れて詰める際にフトン篭本体(1)の正面(4)及び背面(5)を固定してその変形を防止する成形具(6)であって、前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板(7)の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジ(8)の上下を4本の棒状連結部材(9)を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、前記連結部材(9)の柱部分の長さはフトン篭本体(1)の奥行きと同じ長さに形成され、連結フランジ(8)を除いた成形板(7)の大きさはフトン篭本体(1)の高さ横幅と同じに形成され、向かい合う前後の成形板(7)の内側の間隔はフトン篭本体(1)の奥行きと同じであり、移動式クレーン等のリフト手段(10)を用いて吊り上げが可能であり、成形板(7)の左右の下の角部分(11)が円く形成され、連結フランジ(8)に連結された下方の連結部材(9)の位置がフトン篭本体(1)の高さよりも上であることを特徴とするフトン篭工用成形具。
- 前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板(7)の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジ(8)の上下を4本の棒状連結部材(9)を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、前記連結部材(9)の柱部分の長さはフトン篭本体(1)の奥行きと同じ長さに形成され、連結フランジ(8)を除いた成形板(7)の大きさはフトン篭本体(1)の高さ横幅と同じに形成され、向かい合う前後の成形板(7)の内側の間隔はフトン篭本体(1)の奥行きと同じであり、移動式クレーン等のリフト手段(10)を用いて吊り上げが可能であり、成形板(7)の左右の下の角部分(11)が円く形成され、連結フランジ(8)に連結された下方の連結部材(9)の位置がフトン篭本体(1)の高さよりも上であるフトン篭工用成形具(6)を用いることにより、設置場所に敷設したフトン篭本体(1)の上方開口部(2)から石等の重量物(3)を入れて詰める際にフトン篭本体(1)の正面(4)及び背面(5)を固定してその変形を防止する工法であって、複数のフトン篭本体(1)を設置場所に横方向に隣接させて敷設する工程と、リフト手段(10)を用いて吊り上げた成形具(6)を下ろし前後の成形板(7)の内側がフトン篭本体(1)の正面(4)と背面(5)に接するように据付け、重量物(3)をフトン篭本体(1)内部に入れて密に詰め、リフト手段(10)を用いてフトン篭本体(1)から成形具(6)を持ち上げてはずし、フトン篭本体(1)の上方開口部(2)にフトン篭蓋体(12)を取付ける工程を有することを特徴とするフトン篭工法。
- 前後に平行に向かい合う2枚の平らな成形板(7)の上部の左右両側から上方に形成された連結フランジ(8)の上下を4本の棒状連結部材(9)を用いて着脱可能に連結した構造を有しており、前記連結部材(9)の柱部分の長さはフトン篭本体(1)の奥行きと同じ長さに形成され、連結フランジ(8)を除いた成形板(7)の大きさはフトン篭本体(1)の高さ横幅と同じに形成され、向かい合う前後の成形板(7)の内側の間隔はフトン篭本体(1)の奥行きと同じであり、移動式クレーン等のリフト手段(10)を用いて吊り上げが可能であり、成形板(7)の左右の下の角部分(11)が円く形成され、連結フランジ(8)に連結された下方の連結部材(9)の位置がフトン篭本体(1)の高さよりも上であるフトン篭工用成形具(6)を用いることにより、設置場所に敷設したフトン篭本体(1)の上方開口部(2)から石等の重量物(3)を入れて詰める際にフトン篭本体(1)の正面(4)及び背面(5)を固定してその変形を防止する工法であって、複数のフトン篭本体(1)を設置場所に横方向に隣接させて敷設する工程と、リフト手段(10)を用いて吊り上げた成形具(6)を下ろし前後の成形板(7)の内側がフトン篭本体(1)の正面(4)と背面(5)に接するように据付け、重量物(3)をフトン篭本体(1)内部に入れて密に詰め、リフト手段(10)を用いてフトン篭本体(1)から成形具(6)を持ち上げてはずし、フトン篭本体(1)の上方開口部(2)にフトン篭蓋体(12)を取付ける工程を有しており、それに加えて、フトン篭本体(1)を敷設する前に階段状に設置され上下が重なる予定の場所に杭(13)を打ち込み立設させる作業と、下段を形成する複数のフトン篭本体(1)を設置場所に敷設するときに網目に杭(13)を通す作業と、下段になるフトン篭本体(1)の上方開口部(2)にフトン篭蓋体(12)を取付けるときに網目に杭(13)を通す作業と、上段を形成する複数のフトン篭本体(1)を下段のフトン篭の上に設置するときに網目に杭(13)を通す作業を有することを特徴とするフトン篭工法。
- 上記したフトン篭工用成形具(6)を複数用いることにより、上記の、リフト手段(10)を用いて吊り上げた成形具(6)を下ろし前後の成形板(7)の内側がフトン篭本体(1)の正面(4)と背面(5)に接するように据付け、重量物(3)をフトン篭本体(1)内部に入れて密に詰め、リフト手段(10)を用いてフトン篭本体(1)から成形具(6)を持ち上げてはずし、フトン篭本体(1)の上方開口部(2)にフトン篭蓋体(12)を取付ける、という工程を、2箇所以上で同時に行うことを特徴とする請求項2又は3記載のフトン篭工法。
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2003
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