JP4920443B2 - 耐水性組成物 - Google Patents

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本発明は、耐水性および安全性に優れた組成物に関するものである。
ポリビニルアルコール系重合体(以下、PVAと略称する)は、造膜性および強度において他の水溶性樹脂の追随を許さぬ性能を有することから、各種バインダー、接着剤または表面処理剤として広く使用されている。しかしながら、PVAは水溶性であるために、耐水性が低いという欠点があり、この欠点を改良するために種々の方法が検討されてきた。その方法として、例えば、(1)PVAをグリオキザール、グルタルアルデヒドまたはジアルデヒド澱粉、水溶性エポキシ化合物、メチロール化合物等で架橋させる方法、(2)カルボン酸含有PVAをポリアミドエピクロルヒドリン樹脂で架橋させる方法、(3)アセトアセチル基含有PVAをグリオキザール等の多価アルデヒド化合物で架橋させる方法、(4)ジアセトン基含有PVAをヒドラジド化合物で架橋させる方法、などが知られている(非特許文献1)。
上記の(1)の方法によれば、架橋により得られる変性PVAを高温で長時間熱処理することにより、ある程度の耐水性が発現することが知られている。しかしながら、(1)および(3)の方法で用いられるグリオキザール等の低分子ジアルデヒド化合物の多くに変異原性が認められ、安全性に問題がある。また、(2)〜(4)の方法は、十分な耐水性が発現しないことや、PVAを架橋剤と混合したときの水溶液の粘度安定性が悪い等の問題点を有している。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
水溶性・水分散型高分子材料の最新技術動向と工業応用、日本化学情報株式会社出版、2001年、567〜589頁
本発明の目的は、冷水だけでなく熱水に対しても著しく優れた耐水性を示し、安全性の高い組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、重合度が300〜4000、けん化度が85〜99.99モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)、およびアクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体との共重合により得られる、該アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位を0.1〜99モル%含むポリアクリル酸系共重合体(B)を含有する耐水性組成物であって、(A)成分と(B)成分の重量比(A):(B)が99:1〜50:50である耐水性組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の耐水性組成物は、冷水だけでなく熱水に対しても著しく優れた耐水性を示し、さらに、変異原性を持った低分子化合物を使用しないことから、安全性の点でも優れている。
本発明において用いられるPVA(A)は、水溶性であればいずれでもよく、無変性PVAの他に、変性されたPVAの例として、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸を共重合させたカルボキシル変性PVA、スルホン酸やリン酸を共重合させたアニオン変性PVA、メタクリルアミドプロピル−t−アンモニイウムクロライド等のカチオン基を含有する単量体を共重合させたカチオン変性PVA、アセトアセチル基やシリル基を導入した変性PVA、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレートなどのジアセトン基を含有する単量体を共重合させたジアセトン変性PVA、長鎖アルキル基を有するビニルエーテル、ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレンで代表されるα−オレフィン等を共重合させた変性PVA等を挙げることができる。これらの中でも、エチレンを共重合させた変性PVA(エチレン変性PVA)およびアセトアセチル基を導入した変性PVA(アセトアセチル変性PVA)を用いることが好ましい。
PVA(A)としてエチレンを共重合させた変性PVAを用いる場合の、エチレンによる変性量は0.1〜20モル%であることが好ましく、2.0〜10モル%であることがより好ましい。変性量が0.1モル%未満の場合には、組成物の耐水性向上の効果が十分発現しない場合があり、変性量が20モル%を超えると、変性PVAの水溶性が低下する場合がある。
PVA(A)としてアセトアセチル基を導入した変性PVAを用いる場合の、アセトアセチル基による変性量は2.0〜20モル%であることが好ましく、2.0〜10モル%であることがより好ましい。変性量が2.0モル%未満の場合には、組成物の耐水性向上の効果が十分発現しない場合があり、変性量が20モル%を超えると、組成物の耐水性が低下する場合がある。
本発明において用いられるPVA(A)の重合度は300〜4000であり、より好ましくは500〜4000であり、特に好ましいのは1000〜4000である。重合度が300未満のPVAを用いると、得られる組成物の耐水性が低下する場合がある。
本発明において用いられるPVA(A)のけん化度は85〜99.99モル%であり、より好ましくは98.0〜99.9モル%である。PVAのけん化度が85モル%未満の場合には、得られる組成物の耐水性が低下する場合があり、けん化度が99.99モル%を超えると、PVAの生産が困難になるので実用的でない。
本発明において用いられるポリアクリル酸系共重合体(以下、PAA系共重合体と略称する)(B)は、アクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体とを共重合させることによって得られる。
PAA系共重合体に含まれる、アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位の割合(以下、アセタール変性量と略称する)は0.1〜99モル%であり、より好ましくは1〜50モル%であり、特に好ましくは4〜50モル%である。アセタール変性量が0.1モル%未満の場合、アセタール基含有エチレン性不飽和単量体を用いたことによる効果が十分現われない場合があり、アセタール変性量が99モル%を超える場合、そのようなPAA系共重合体とPVA(A)との相溶性が低下し、組成物の耐水性が低下する場合がある。
PAA系共重合体(B)のアセタール変性量は、プロトンNMRから求めることができる。
アセタール基含有エチレン性不飽和単量体として、N−2,2−ジメトキシエチル(メタ)アクリルアミドを用いた場合に得られるPAA系共重合体を例にとってアセタール変性量の求め方を説明すると、該PAA系共重合体をDOに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて室温でプロトンNMRを測定する。その測定の結果得られるアクリル酸の主鎖メチンに由来するピークα(2.0〜2.4ppm)と−CH−(OCHのメチンに由来するピークβ(4.1〜4.5ppm)から、下記式を用いてアセタール変性量を算出する。
アセタール変性量(モル%)={βのプロトン数/(αのプロトン数+βのプロトン数)}×100
本発明において用いられるPAA系共重合体(B)の分子量は、1000〜100万であることが好ましい。分子量が100万を超える場合、PAA系共重合体の水溶性が低下する場合がある。
本発明において、PAA系共重合体(B)の製造に用いられるアセタール含有モノエチレン性不飽和単量体は式(2)で表すことができる。
Figure 0004920443
(式中、R1は水素原子または−COOMであり、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を意味し、R2は水素原子、メチル基または−CH−COOMであり、ここでMは前記定義のとおりであり、R3およびR4は同一または異なりそれぞれ炭素数1〜4の飽和アルキル基であり、Xは−CO−、−CO−O−または−CO−NR5であり、ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を意味し、nは1〜8の整数である。)
アセタール含有モノエチレン性不飽和単量体の具体例としては、N−2,2−ジメトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジエトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジイソプロポキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジブトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2―ジエトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジイソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジブトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルメタクリルアミド、N−3,3−ジメトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジエトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジイソプロポキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジブトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジ−t−ブトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジメトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジエトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジイソプロポキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジブトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジ−t−ブトキシプロピルメタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジエトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジイソプロポキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジブトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジ−t−ブトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジエトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジイソプロポキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジブトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジ−t−ブトキシブチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジメトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジエトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジイソプロポキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジブトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジエトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジイソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジブトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルメタクリルアミド、4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、5,5−ジメトキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジエトキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジイソプロポキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジブトキシ−3−オキソ−ペンテン、4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、2,2−ジメトキシエチルアクリレート、2,2−ジエトキシエチルアクリレート、2,2−ジイソプロポキシエチルアクリレート、2,2−ジブトキシエチルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(2)において、R1は水素原子であることが好ましく、R2は水素原子またはメチル基であることが好ましく、R3およびR4はともにメチル基であることが好ましく、Xは−CO−N(H)−または−CO−N(CH3)−であることが好ましい。また、nは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
さらには、上記式(2)において、R1が水素原子であり、R2が水素原子またはメチル基であり、R3およびR4がともにメチル基であり、Xが−CO−N(H)−または−CO−N(CH3)−であり、nが1であることがより好ましい。
アクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体とを共重合させるのに用いられる重合方式としては、回分重合法、半回分重合法、連続重合法および半連続重合法のうちいずれの方法を採用してもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法などの公知の任意の方法を用いることができる。その中でも、溶液重合法が好適に採用される。共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。さらには、上記の開始剤に、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
本発明の耐水性組成物においてPVA(A)およびPAA系共重合体(B)は、これら両成分の重量比(A):(B)が99:1〜50:50となる量で用いられる。(A)成分と(B)成分の重量比は、90:10〜50:50であることが好ましく、80:20〜50:50であることがさらに好ましい。PAA系共重合体の用いられる割合が50%を超えると、組成物の耐水性が低下する場合がある。
本発明の耐水性組成物において、ポリアクリル酸系共重合体のアセタール基含有量とポリビニルアルコールの水酸基含有量が以下に示される関係式を満足することが好ましい。
0.02≦[ポリアクリル酸系共重合体のアセタール基含有量(モル)/ポリビニルアルコールの水酸基含有量(モル)]×100≦20・・・(1)
ポリアクリル酸系共重合体のアセタール基含有量(モル)をポリビニルアルコールの水酸基含有量(モル)で除した値は、0.1〜20であることがより好ましく、0.5〜10であることがより好ましい。この値が0.02に満たない場合、組成物に含まれるアセタール基の割合が少なくて、耐水性が発現しないことがある。
本発明の耐水性組成物は通常、溶媒にPVA(A)およびPAA系共重合体(B)を溶解させるかまたは分散させた形態にして用いられる。本発明の耐水性組成物は、耐水性が損なわれない限り、その用途に応じて、溶媒、各種の添加剤、他の水溶性樹脂または高分子化合物の水性分散物等を含有させることができる。溶媒としては水が好ましく用いられるが、水と各種アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を併用することができる。また、添加剤としては、各種の消泡剤または分散剤、ノニオン性またはアニオン性界面活性剤、シランカップリング剤のほか、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のpH調整剤等を挙げることができる。
本発明の耐水性組成物から形成される皮膜は、室温程度の穏やかな乾燥条件において形成された場合でも、十分な耐水性を発現するが、皮膜に熱処理を施すことにより、耐水性が飛躍的に向上する。また、耐水性組成物のpHを酸性にすることによっても、皮膜は極めて優れた耐水性を発現する。さらに、耐水性組成物のpHをアンモニアなどを用いて調整し、乾燥時にアンモニアが蒸発して組成物のpHが下がるような処理を行った場合にも、皮膜は優れた耐水性を発現する。
本発明の耐水性組成物が優れた耐水性を発現する理由については十分解明されているわけではないが、PVA(A)とPAA系共重合体(B)との相溶性が著しく高いことから、(A)成分と(B)成分は分子レベルで相溶していることが考えられる。そのため、PAA系共重合体のアセタールユニットから生成するアルデヒドユニットとの架橋反応が進行すると共に、PVAのヒドロキシルユニットとPAA系共重合体のカルボキシルユニットとのエステル化が進行することにより、(A)成分と(B)成分との間で極めて強い橋かけ構造が形成され、このことが組成物の耐水性に大きな影響を与えていると推測される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を意味する。
なお、実施例および比較例において、各種のPVAおよびPAA系共重合体を用いて形成された皮膜について、以下の方法にしたがって耐水性を評価した。
[皮膜の耐水性の評価]
PVAとPAA系共重合体を所定量の水に溶解させ、4%濃度の水溶液を調製した。調製された水溶液を20℃で流延して、厚さ40μmの皮膜を得、これに120℃で10分間の熱処理を施した。熱処理後の皮膜を縦5cm、横5cmの大きさに切り出し、試験片とした。試験片を90℃の蒸留水に1時間浸漬した後、回収し、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、そのときの重量(a)を測定した。この試験片をさらに105℃で16時間乾燥に付し、そのときの重量(b)を測定した。重量(a)を重量(b)で除した値(a/b)を求めてこれを膨潤度とし、以下の基準にしたがって判定した。
A:2.5倍未満
B:2.5倍以上3.0倍未満
C:3.0倍以上4.5倍未満
D:4.5倍以上6.0倍未満
E:6.0倍以上または試験片が溶解し、回収できなかった
[PAA系共重合体の製造]
PAA1の製造
撹拌機およびリフラックスコンデンサーを備えた2Lの反応容器に、アクリル酸90g、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド10gおよびメタノール400gを仕込み、内容物を65℃に昇温した。次に30分間窒素バブリングし、十分に脱気を行った後に、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0g添加した。開始剤を添加して3時間後に、さらに開始剤0.5gを追加して添加し、1時間追い込みを行った。その後メタノール500gを加えて冷却し、重合を停止した。このメタノール溶液を減圧条件下60℃において、乾燥させたところ90gの白色固体であるPAA系共重合体(PAA1)を得た。PAA1をDOに溶解させ、H−NMRを測定したところ、σ1.5ppmおよびσ2.1ppm付近にポリアクリル酸の存在を示唆するピークを確認し、σ3.0〜3.3ppm付近にジメチルアセタールのメトキシ基(−OCH)の存在を示すピークを認めた。また、このNMRスペクトルから算出したアセタールの変性量は5.5モル%であった。また、PAA1の重量平均分子量(Mw)をGPC[装置:150C−2(Waters社製)、カラム:GMPWXL(東ソー社製)、移動相:0.2Mリン酸Buffer、標品:PEO/PEG]を用いて測定したところ、Mwは42万であった。
PAA2〜4の製造
アクリル酸およびアセタール含有エチレン性不飽和単量体の種類および仕込み量、重合条件を表1に示す内容に変更した以外は、PAA1と同様の方法により各種のPAA系共重合体(PAA2〜4)を製造した。
PAA5の内容
無変性のPAA系重合体として、Aldrich Chemical Company,Inc.製ポリアクリル酸(Mw=2000)を使用した。
Figure 0004920443
[PVAの製造]
PVA1の製造
撹拌機、窒素導入口および開始剤添加口を備えた250Lの反応槽に酢酸ビニル70.0kg、メタノール30.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次に開始剤としてAIBNを10g添加し、重合を開始した。重合中は温度を60℃に維持し、4時間後に重合率が30%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放した後、窒素ガスでバブリングした。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、濾別して得られた白色固体にメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥し、無変性PVA(PVA1)を得た。PVA1の重合度は1740、けん化度は98.5モル%であった。
PVA2〜8の製造
PVA1の製造において採用した重合条件および/またはけん化条件を変化させることにより、表2に示す重合度およびけん化度を有する無変性PVA(PVA2〜8)を製造した。
PVA9の製造
特開2000−309607号公報の実施例12を参考にして、エチレン変性PVAを製造した。
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口およびディレー溶液添加口を備えた250Lの加圧反応槽に酢酸ビニル106.1kg、メタノール43.9kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽の圧力が1.4Kg/cmとなるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解させた濃度2.8g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液53mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9Kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて168ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。4時間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、濾別して得られた白色固体にメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥し、エチレン変性PVA(PVA9)を得た。
PVA9の重合度は1500、けん化度は98.5モル%、エチレン変性量は3.0モル%であった。
PVA10の製造
特開平9−124874号公報の実施例1を参考にして、アセトアセチル変性PVAを製造した。
酢酸ナトリウムを0.3%含有するPVA粉末(重合度1200、けん化度99.4%、平均粒径100メッシュ)を準備し、これをニーダーに100g仕込み、これに酢酸60gを入れて膨潤させ、回転数20rpmで撹拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン25gと酢酸2gの混合液を4時間かけて滴下し、さらに30分間反応させた。反応終了後メタノール500gを用いて洗浄した後、70℃で6時間乾燥し、酢酸ナトリウム0.05%、酢酸0.1%(アルカリ金属の酢酸塩/酢酸の重量比0.5)を含むアセトアセチル変性PVA(PVA10)を得た。
PVA10の重合度は1200、けん化度は99.4モル%、アセトアセチル化度は6.0モル%であった。
Figure 0004920443
実施例1〜14および比較例1〜4
PVA1〜10およびPAA1〜5をそれぞれ表3に示す組合せおよび重量比で用い、上記した方法にしたがって皮膜の耐水性を評価した結果を表3に示す。
Figure 0004920443
表3に記載した実施例1〜14の結果から、本発明の耐水性組成物は、皮膜の耐水性が優れていることが分かる。一方、重合度が300未満のPVA(PVA5)(比較例1)、けん化度が85モル%未満のPVA(PVA8)(比較例2)、無変性のPAA(PAA5)(比較例4)を用いた場合には、皮膜の耐水性が発現しない。
また、実施例13および14の結果から、エチレン変性PVA(PVA9)またはアセトアセチル変性PVA(PVA10)を用いた場合には、皮膜の耐水性が極めて優れていることが分かる。両者の変性PVAを用いた場合に、耐水性に優れた皮膜が得られる理由は、エチレン変性PVAの場合は、エチレンユニットが皮膜の耐水性に影響を及ぼすためであり、またアセトアセチル変性PVAの場合は、アセトアセチル基とPAA系共重合体のアセタールユニットから生成するアルデヒドユニットとの架橋反応が効率よく進行するためであると推測される。
本発明の耐水性組成物は、冷水だけでなく熱水に対しても著しく優れた耐水性を示し、さらに、変異原性を持った低分子化合物を使用しないことから、安全性の点でも優れており、これらの特性を生かして、各種のバインダーとして、あるいは接着剤、繊維、繊維糊剤、表面処理剤、フィルムなどの耐水性が求められる用途に適用することができる。

Claims (6)

  1. 重合度が300〜4000、けん化度が85〜99.99モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)、およびアクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体との共重合により得られる、該アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位を0.1〜99モル%含むポリアクリル酸系共重合体(B)を含有する耐水性組成物であって、(A)成分と(B)成分の重量比(A):(B)が99:1〜50:50である耐水性組成物。
  2. ポリビニルアルコール系重合体(A)の水酸基含有量とポリアクリル酸系共重合体(B)のアセタール基含有量が以下に示される関係式を満足する請求項1記載の耐水性組成物。
    0.02≦[ポリアクリル酸系共重合体のアセタール基含有量(モル)/ポリビニルアルコールの水酸基含有量(モル)]×100≦20・・・(1)


  3. アセタール基含有モノエチレン性不飽和単量体が式(2)で表される請求項1または2に記載の耐水性組成物。
    Figure 0004920443
    (式中、R1は水素原子または−COOMであり、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を意味し、R2は水素原子、メチル基または−CH−COOMであり、ここでMは前記定義のとおりであり、R3およびR4は同一または異なりそれぞれ炭素数1〜4の飽和アルキル基であり、Xは−CO−、−CO−O−または−CO−NR5であり、ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を意味し、nは1〜8の整数である。)
  4. 式(2)においてnが1または2である請求項3記載の耐水性組成物。
  5. ポリビニルアルコール系重合体(A)がエチレン変性ポリビニルアルコール系重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
  6. ポリビニルアルコール系重合体(A)がアセトアセチル変性ポリビニルアルコール系重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
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