JP5132966B2 - ガスバリアー性樹脂組成物からなるガスバリアー性フィルム - Google Patents

ガスバリアー性樹脂組成物からなるガスバリアー性フィルム Download PDF

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Description

本発明は、高湿度下においても優れたガスバリアー性を有し、かつ無色のコーティングフィルムを得ることが可能なガスバリアー性樹脂組成物からなるガスバリアー性フィルムに関する。
酸素ガスバリアー性フィルムおよびそれを用いた包装材としては、各種のものが知られている。
アルミニウム箔は、優れた酸素ガスバリアー性を有しているが、それ単独ではピンホールが生じやすいため、ラミネートフィルムの中間層として使用されている。しかしながら、アルミニウム箔をラミネートしたフィルムは、不透明なため内容物が見えにくいこと、焼却後に残渣が残ること、及び金属類の混入が金属探知機により検知できない等の問題がある。
ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルムおよびPVDCをコーティングしたフィルムは吸湿性がほとんどなく、高湿下でも良好なガスバリアー性を有するため、種々の基材にコーティングされている。PVDCがコーティングされている基材としては、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、セロファンなどのフィルムが使用されている。しかしながら、PVDCがコーティングされたフィルムは、一般廃棄物として焼却される時に塩化水素ガスを生じるという問題がある。
また、完全けん化のポリビニルアルコール(以下「PVA」と略記する。)フィルムは、低湿度下においては優れたガスバリアー性を有するが、吸湿性が激しく相対湿度が70%程度以上になると酸素ガスバリアー性が急激に低下する。これは、吸湿することによりPVA中の非晶部分の運動が活発化し、その部分を気体が透過するためと考えられている。(非特許文献1)
PVA中に存在する非晶部分の運動を抑制することを目的として、PVAを架橋させる試みが盛んに行われており、特許文献1および2には、PVAとポリアクリル酸(以下「PAA」と略記する。)との混合物を用いる方法が、高湿度下におけるガスバリアー性発現に効果的であることが報告されている。しかし、PVAとPAAの架橋反応は200℃近い高温熱処理が必要であり、実生産においてはPVAの着色が問題である。また、ガスバリアー性も十分満足できるレベルではない。
特開平7−266441号公報 特開2001−164174号公報 「ポバール」 1970年 高分子刊行会出版
本発明の目的は、低湿度、中湿度のみならず高湿度下においても優れたガスバリアー性を有し、かつ無色のコーティングフィルムを得ることが可能なガスバリアー性樹脂組成物からなるガスバリアー性フィルムを提供することにある。
本発明者らはPVDCに代わる材料で、高湿度下でのガスバリアー性が優れたガスバリアー性樹脂について鋭意検討した結果、重合度が200〜2000、けん化度が90〜99.99モル%であるPVA系重合体(A)、およびアクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体との共重合により得られる、該アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位を0.1〜99モル%含むPAA系共重合体(B)を含有する組成物であって、(A)成分と(B)成分の重量比(A):(B)が99:1〜80:20であるガスバリアー性樹脂組成物からなるガスバリアー性フィルムを見出し、本発明を完成させるに至った。

本発明において用いられるPVA(A)の重合度は200〜2000であり、より好ましくは200〜1200であり、特に好ましいのは200〜600である。重合度が200未満のPVAを用いると、得られる樹脂組成物の強度が低下し、ガスバリアー性が低下する場合がある。重合度が2000を超えるPVAを用いると塗工液の安定性が低下する場合がある。
本発明において用いられるPVA(A)のけん化度は90〜99.99モル%であり、より好ましくは98.0〜99.9モル%であり、特に好ましくは99.0〜99.9モル%である。PVAのけん化度が90モル%未満の場合には、得られる樹脂組成物のガスバリアー性が低下する場合があり、けん化度が99.99モル%を超えると、PVAの生産が困難になるので実用的でない。
本発明において用いられるPVA(A)は、無変性PVAの他にエチレンで代表されるα−オレフィン等を共重合させた変性PVA等を挙げることができる。これらの中でも、エチレンを共重合させたエチレン変性PVAを用いることが好ましい。
PVA(A)としてエチレン変性PVAを用いる場合の、エチレン変性量は0.1〜20モル%であることが好ましく、2.0〜10モル%であることがより好ましい。変性量が0.1モル%未満の場合には、樹脂組成物の耐水性向上の効果が十分発現しない場合があり、変性量が20モル%を超えると、変性PVAのガスバリアー性が低下する場合がある。
本発明において用いられるポリアクリル酸系共重合体(以下、PAA系共重合体と略称する)(B)は、アクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体とを共重合させることによって得られる。PAA系共重合体に含まれる、アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位の割合(以下、アセタール変性量と略称する)は0.1〜99モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、特に好ましくは5〜20モル%である。アセタール変性量が0.1モル%未満の場合、アセタール変性の効果が十分現われない場合があり、アセタール変性量が99モル%を超える場合、PAA系共重合体とPVA(A)との相溶性が低下し、樹脂組成物から作製したコーティングフィルムの透明性が低下する場合がある。
PAA系共重合体(B)のアセタール変性量は、プロトンNMRから求めることができる。アセタール基含有エチレン性不飽和単量体として、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミドを用いた場合に得られるPAA系共重合体を例にとってアセタール変性量の求め方を説明すると、該PAA系共重合体をDOに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて室温でプロトンNMRを測定する。その測定の結果得られるアクリル酸の主鎖メチンに由来するピークα(2.0〜2.4ppm)と−CH−(OCHのメチンに由来するピークβ(4.1〜4.5ppm)から、下記式を用いてアセタール変性量を算出する。
アセタール変性量(モル%)={βのプロトン数/(αのプロトン数+βのプロトン数)}×100
本発明において用いられるPAA系共重合体(B)の分子量は、1000〜100万であることが好ましく、1000〜50万であることがより好ましい。分子量が100万を超える場合、PAA系共重合体の水溶性が低下する場合がある。
本発明において、PAA系共重合体(B)の製造に好適に用いられるアセタール含有エチレン性不飽和単量体は式(1)で表すことができる。
Figure 0005132966
(式中、R1は水素原子または−COOMであり、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を意味し、R2は水素原子、メチル基または−CH−COOMであり、ここでMは前記定義のとおりであり、R3およびR4は同一または異なりそれぞれ炭素数1〜4の飽和アルキル基であり、Xは−CO−、−CO−O−または−CO−NR5であり、ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を意味し、nは1または2である。)
アセタール基含有エチレン性不飽和単量体の具体例としては、N−2,2−ジメトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジエトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジイソプロポキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジブトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2―ジエトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジイソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジブトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルメタクリルアミド、N−3,3−ジメトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジエトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジイソプロポキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジブトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジ−t−ブトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジメトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジエトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジイソプロポキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジブトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジ−t−ブトキシプロピルメタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジエトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジイソプロポキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジブトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジ−t−ブトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジエトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジイソプロポキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジブトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジ−t−ブトキシブチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジメトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジエトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジイソプロポキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジブトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジエトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジイソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジブトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルメタクリルアミド、4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、5,5−ジメトキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジエトキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジイソプロポキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジブトキシ−3−オキソ−ペンテン、4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、2,2−ジメトキシエチルアクリレート、2,2−ジエトキシエチルアクリレート、2,2−ジイソプロポキシエチルアクリレート、2,2−ジブトキシエチルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(1)において、R1は水素原子であることが好ましく、R2は水素原子またはメチル基であることが好ましく、R3およびR4はともにメチル基であることが好ましく、Xは−CO−N(H)−または−CO−N(CH3)−であることが好ましい。
さらには、上記式(1)において、R1が水素原子であり、R2が水素原子またはメチル基であり、R3およびR4がともにメチル基であり、Xが−CO−N(H)−または−CO−N(CH3)−であり、nが1であることがより好ましい。
アクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体とを共重合させるのに用いられる重合方式としては、回分重合法、半回分重合法、連続重合法および半連続重合法のうちいずれの方法を採用してもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法などの公知の任意の方法を用いることができる。その中でも、溶液重合法が好適に採用される。共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。さらには、上記の開始剤に、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
本発明のガスバリアー性樹脂組成物においてPVA(A)およびPAA系共重合体(B)は、これら両成分の重量比(A):(B)が99:1〜80:20となる量で用いられ、90:10〜80:20であることが好ましい。PAA系共重合体の用いられる割合が20%を超えると、樹脂組成物のガスバリアー性が低下する場合がある。
本発明のガスバリアー性樹脂組成物は通常基材フィルム上に形成された塗工層として使用される。本発明のガスバリアー性樹脂組成物を塗工する基材フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン、MXDナイロン等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロース、酢酸セルロース等が挙げられる。中でも、透明性、ガスバリアー性の等の点でポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムが好ましい。また、それぞれのフィルムのシンジオタクティシティー等、構造規則性には特に制限はない。
ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどの基材フィルムには、珪素(Si)を含有させることが好ましい。珪素を含有させると、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルムおよびポリアミドフィルムとガスバリアー樹脂組成物からなるフィルムとの接着性が向上する。珪素の含有量は2重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。珪素は、通常シリカ(SiO)化合物の形態で添加され、酸化珪素、アルキルシリケートなどの公知のシリカ化合物が用いられる。これらの中でも、コロイダルシリカが好適に用いられる。
基材フィルムへのシリカ化合物の添加方法は、基材フィルムの製膜時に予め樹脂中に混合する方法が一般的である。
本発明のガスバリアー性樹脂組成物は、ガスバリアー性が損なわれない限り、溶媒、各種の添加剤、他の水溶性樹脂または高分子化合物の水性分散物等を含有させることができる。溶媒としては水が好ましく用いられるが、水と各種アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を併用することができる。また、添加剤としては、各種の消泡剤または分散剤、ノニオン性またはアニオン性界面活性剤、シランカップリング剤のほか、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のpH調整剤等を挙げることができる。通常、溶媒にPVA(A)およびPAA系共重合体(B)を溶解させるかまたは分散させた形態で塗布することにより、本発明のガスバリアー性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工した積層体が得られる。
基材フィルムの厚み(延伸する場合は最終的な厚み)は特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択されるが、フィルムの強度や取り扱い性の点から5〜100μmが好ましい。
ガスバリアー性樹脂組成物の塗工温度は、20〜80℃が好ましい。また、塗工方法は、グラビアロールコーティング法、リバースグラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、マイヤーバーコーティング法が好適に用いられる。
ガスバリアー性樹脂組成物の塗工方法としては、基材フィルムの延伸や熱処理をした後に塗工する方法、塗工した後に延伸や熱処理をする方法が挙げられる。これらの方法の中でも、作業性を考慮すると、基材フィルムを延伸した後、上記樹脂組成物を塗布して、その後さらに二段目の延伸を行い、その二段目の延伸中または延伸後に熱処理する方法が好ましい。
ガスバリアー性樹脂組成物からなる塗工層と基材フィルム層との間には、接着性を向上させる目的で、接着成分層を形成させても良い。接着成分はガスバリアー性樹脂組成物を塗工する前に、基材フィルムの表面に塗布したり、該樹脂組成物に混合して使用することができる。
ガスバリアー性樹脂組成物を基材フィルム上に塗工した後は、通常該塗工層上に、ヒートシール樹脂層を形成して用いる。ヒートシール樹脂層の形成は、通常押し出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂類、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などが使用できる。
基材フィルムの上に塗工層として形成された本発明のガスバリアー性樹脂組成物からなるコーティングフィルム塗工層には、架橋反応をより確実にしてガスバリアー性を高めるために、さらに熱処理を加えることが好適である。熱処理温度は100℃〜180℃が好ましく、あまり高いとフィルムが着色する場合がある。
本発明の樹脂組成物がガスバリアー性を発現する理由については十分解明されているわけではないが、通常PVA(A)とPAA系共重合体(B)との相溶性が著しく高いことから、(A)成分と(B)成分は分子レベルで相溶していることが考えられる。次に熱処理を行うことにより、PVAとPAA系共重合体のアセタールユニットから生成するアルデヒドユニットとの架橋反応が進行し、その架橋を起点として、PVAのヒドロキシルユニットとPAA系共重合体のカルボキシルユニットとのエステル化が進行し、(A)成分と(B)成分との間で極めて強い橋かけ構造が形成され、これが樹脂組成物のガスバリアー性に大きな影響を与えていると推測される。上記のようにPVAとPAAのアセタール化反応を起点とすることにより、低温熱処理条件下においてもPVAとPAAのエステル化が進行すると考えられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を意味する。
また、樹脂組成物コーティングフィルム(基材と樹脂組成物との積層体)の酸素透過量(OTR)(単位:cc/m・day・atm)は、該積層体を温度20℃、相対湿度85%の状態で5日間調湿した後、測定した。酸素透過量とは、ガスバリアー性樹脂組成物の厚みを2μmに換算した値であり、以下に示す基準にて判定を行った。
A:0.01〜1.0 cc/m・day・atm
B:1.0 〜10.0 cc/m・day・atm
C:10.0〜30.0 cc/m・day・atm
D:30.0〜50.0 cc/m・day・atm
E:50.0〜 cc/m・day・atm
[PAA系共重合体の製造]
PAA1の製造
撹拌機およびリフラックスコンデンサーを備えた2Lの反応容器に、アクリル酸90g、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド10gおよびメタノール400gを仕込み、内容物を65℃に昇温した。次に30分間窒素バブリングし、十分に脱気を行った後に、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0g添加した。開始剤を添加して3時間後に、さらに開始剤0.5gを追加して添加し、1時間追い込みを行った。その後メタノール500gを加えて冷却し、重合を停止した。このメタノール溶液を減圧条件下60℃において、乾燥させたところ90gの白色固体であるPAA系共重合体(PAA1)を得た。PAA1をDOに溶解させ、H−NMRを測定したところ、σ1.5ppmおよびσ2.1ppm付近にポリアクリル酸の存在を示唆するピークを確認し、σ3.0〜3.3ppm付近にジメチルアセタールのメトキシ基(−OCH)の存在を示すピークを認めた。また、このNMRスペクトルから算出したアセタール変性量は5.5モル%であった。また、PAA1の重量平均分子量(Mw)をGPC[装置:150C−2(Waters社製)、カラム:GMPWXL(東ソー社製)、移動相:0.2Mリン酸Buffer、標品:PEO/PEG]を用いて測定したところ、Mwは42万であった。
PAA2〜7の製造
アクリル酸およびアセタール含有エチレン性不飽和単量体の種類および仕込み量、重合条件を表1に示す内容に変更した以外は、PAA1と同様の方法により各種のPAA系共重合体(PAA2〜7)を製造した。
PAA8の内容
無変性のPAA系重合体として、Aldrich Chemical Company,Inc.製ポリアクリル酸(Mw=2000)を使用した。
Figure 0005132966
[PVAの製造]
PVA1の製造
撹拌機、窒素導入口および開始剤添加口を備えた250Lの反応槽に酢酸ビニル70.0kg、メタノール30.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次に開始剤としてAIBNを10g添加し、重合を開始した。重合中は温度を60℃に維持し、4時間後に重合率が30%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放した後、窒素ガスでバブリングした。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、濾別して得られた白色固体にメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥し、PVA(PVA1)を得た。PVA1の重合度は1740、けん化度は98.5モル%であった。
PVA2〜8の製造
PVA1の製造において採用した重合条件および/またはけん化条件を変化させることにより、表2に示す重合度およびけん化度を有するPVA(PVA2〜8)を製造した。
PVA9の製造
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口およびディレー溶液添加口を備えた250Lの加圧反応槽に酢酸ビニル106.1kg、メタノール43.9kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽の圧力が1.4Kg/cmとなるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解させた濃度2.8g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液53mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9Kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて168ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。4時間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、濾別して得られた白色固体にメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥し、エチレン変性PVA(PVA9)を得た。
PVA9の重合度は1500、けん化度は98.5モル%、エチレン変性量は3.0モル%であった。
Figure 0005132966
実施例1
PVAとPAA系共重合体を所定量の水に溶解させ、10%濃度の水溶液を調製した。このPVA溶液を厚み20μmのOPP基材フィルム表面に、50℃で流延し、厚さ10μmのガスバリアー性樹脂組成物コーティングフィルムを得た。次に該フィルムを120℃で10分間熱処理し、上記の方法にて酸素透過量を測定したところ5.0cc/m・day・atm(評価B)であった。
実施例2〜15および比較例1〜7
PVA1〜9およびPAA1〜7をそれぞれ表3に示す組合せ、重量比で用いて、表3の温度で熱処理した以外は実施例1と同様の方法でコーティングフィルムを作成し、酸素透過量を測定した。
Figure 0005132966
表3に記載した実施例1〜15の結果から、本発明の樹脂組成物は、ガスバリアー性が優れていることが分かる。一方、重合度が200未満のPVA(PVA4)(比較例1)、けん化度が90モル%未満のPVA(PVA8)(比較例3)、無変性のPAA(PAA8)(比較例7)を用いた場合、PVA(A)とPAA(B)の重量比が規定の範囲外である場合(比較例4および5)は、ガスバリアー性が発現しない。また、重合度が2000以上のPVA(PVA5)(比較例2)は、塗工液の粘度が高く取り扱い性が悪く、アセタール変性量が高い場合(比較例6)はフィルムの透明性が低下する。
また、実施例4の結果から、エチレン変性PVA(PVA9)を用いた場合には、ガスバリアー性が極めて優れていることが分かる。エチレン変性PVAを用いた場合に、ガスバリアー性に優れた皮膜が得られる理由は、疎水性であるエチレンユニットが皮膜の吸湿性を下げることにより、吸湿による非晶部分の運動活発化を抑制するためであると推測される。
本発明は、高湿度下においても優れたガスバリアー性を有し、かつ無色のコーティングフィルムを得ることが可能なガスバリアー性樹脂組成物が得られることから、ガスバリアー性、皮膜透明性、防湿性が要求される食品包装材料などの分野において特に有用である。

Claims (3)

  1. 重合度が200〜2000、けん化度が90〜99.99モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)、およびアクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体との共重合により得られる、該アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位を0.1〜99モル%含むポリアクリル酸系共重合体(B)を含有する組成物であって、(A)成分と(B)成分の重量比(A):(B)が99:1〜80:20であるガスバリアー性樹脂組成物からなるガスバリアー性フィルム
  2. アセタール基含有エチレン性不飽和単量体が式(1)で表される単量体である請求項1記載のガスバリアー性フィルム
    Figure 0005132966
    (式中、R1は水素原子または−COOMであり、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を意味し、R2は水素原子、メチル基または−CH−COOMであり、ここでMは前記定義のとおりであり、R3およびR4は同一または異なりそれぞれ炭素数1〜4の飽和アルキル基であり、Xは−CO−、−CO−O−または−CO−NR5であり、ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を意味し、nは1または2である。)
  3. ポリビニルアルコール系重合体(A)がエチレン変性ポリビニルアルコール系重合体である請求項1または2に記載のガスバリアー性フィルム
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