JP6298741B2 - (メタ)アリルアルコール共重合体およびその製造方法 - Google Patents

(メタ)アリルアルコール共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水酸基を有し、ガスバリア性、透明性に優れ、かつ溶液コート性にも優れる(メタ)アリルアルコール共重合体およびその製造法に関するものである。
現在、酸素等のガスを遮断する性能(ガスバリア性)の特に優れた樹脂からなるガスバリア材は、食品・医薬品等を内容物とする包装材料の分野を中心に幅広く使用されている。かかるガスバリア性が特に優れた樹脂材料としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略記することがある)を代表とするビニルアルコール系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体(以下PVDCと略記することがある)等が知られている。
EVOHは乾燥時に高いガスバリア性を有し、溶融成形、特にポリオレフィン等との共押出成形が可能である。しかしながら、溶液コート法によりフィルム等にコーティングすると、透明性が悪く白濁する問題があり、均質で透明性に優れるコーティング膜を得るのが困難である。また、湿潤時にガスバリア性が著しく低下し、さらに、耐熱性が低いために高温条件下ではガスバリア性が著しく低下する欠点があるため、用途及びおよび使用形態に制限がある。
PVDCは、EVOHと異なりガスバリア性の湿度依存性が小さいため、高湿度下でも高いガスバリア性を示し、水蒸気バリア性も良好である。しかし、熱安定性が非常に悪いため、溶融成形を行うためには塩化ビニル等との共重合あるいは可塑剤の添加が必要となる。しかし、このような溶融成形可能なPVDCコポリマーは一般的にEVOHに比べガスバリア性が劣るので、高度なガスバリア性が必要な分野では前記共重合や可塑剤の添加を控えたPVDCがエマルジョンコート法や溶液コート法によりフィルム等にコーティングされて用いられている。しかしながら、PVDCをコーティングしたものは、燃焼により塩化水素ガスが生じることから、他材料への移行が強く望まれている。
PVDCコートフィルムに代わり得るガスバリア性コートフィルムとして、ポリビニルアルコール(以下PVAと略記することがある)コートフィルムが知られている。特許文献1,2では、OPPフィルム等の基材フィルムに、まずアンカー剤を塗布し、乾燥後、PVA溶液を塗布、乾燥する方法が開示されている。しかしながら、PVAは相対湿度が上昇するにつれガスバリア性が著しく低下するため、高いガスバリア性が要求される分野への適用は難しく、用途が限定される。一方、特許文献3では、ポリメタリルアルコールを含有するコーティング用水性分散液が開示されており、OPPフィルム基材に該分散液をコーティングした多層フィルムは、優れたバリア性が発現することが示されている。コーティング液は水性であるため環境汚染等の問題が少ない利点を有するが、ポリメタリルアルコールは水に溶解しないため、水性のコーティング液にするにはポリメタリルアルコールを微粒子状に分散させる必要があり、製造工程が煩雑となる。また、特許文献4には、1,3−ジオール構造を含有するビニルアルコール系共重合体が開示されており、ガスバリアコーティングの用途に使用できることが示されているが、該共重合体は水溶性が高いためにPVAと同様に相対湿度が上昇するにつれてガスバリア性が著しく低下する問題がある。結局のところガスバリア性、透明性に優れ、かつ環境負荷の小さい水性コーティング溶液の調製に適するガスバリア材の開発が長らく嘱望され、今日に至っている。
特公昭63−78748号公報 特開平6−32924号公報 特開平10−140072号公報 特開2013−177576号公報
本発明は前記背景技術の課題を背景になされたもので、ガスバリア性、透明性に優れ、かつ溶液コーティング性にも優れた重合体、またその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明の(メタ)アリルアルコール共重合体(以下「共重合体」ということがある。)は、下記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位として有する。
Figure 0006298741
〔式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは1または2、aとbとの合計100モル%に対しbは5〜45モル%である。〕
請求項2に記載の共重合体は、Rがメチル基、Xが1である。
請求項3に記載の共重合体の製造方法は、下記化学式(I−a)で示される単量体と下記化学式(I−b)で示される単量体とをラジカル共重合する工程、およびラジカル共重合により得られた共重合体(I−1)を還元する工程を含む。
Figure 0006298741
〔式中、Rは水素原子またはメチル基、YはCOORまたはCHCOOR、R〜Rは独立に炭素数1〜6のアルキル基である。〕
請求項4に記載の共重合体の製造方法は、下記化学式(II−a)で示されるメタクリル酸メチルと下記化学式(II−b)で示されるメチレンマロン酸ジエステルをラジカル共重合し、ラジカル共重合により得られた共重合体(II−1)を還元する工程を含む。
Figure 0006298741
〔式中、R4は炭素数1〜6のアルキル基である。〕
本発明の(メタ)アリルアルコール共重合体は、分子構造中に含まれる水酸基により分子鎖間の凝集力が高く、優れたガスバリア性を示すことができ、さらに、有機溶剤に対する溶解性が高いために溶液コーティング性に優れる。本発明の製造方法によれば、(メタ)アリルアルコール共重合体を高効率に製造することができる。
本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
[(メタ)アリルアルコール共重合体]
本発明の共重合体は、上記化学式(1)で表される(メタ)アリルアルコール単位および2−メチレンアルカンジオール単位を繰り返し単位として有する。
Figure 0006298741
上記化学式(1)において、Rは水素原子またはメチル基、Xは1または2、aとbとの合計100モル%に対しbは5〜45モル%である。Rは炭素数が2以上であると、分子鎖間のパッキング性が阻害されガスバリア性が発現しなくなるため、水素原子またはメチル基である必要があり、メチル基が好ましい。Xは3以上であると、分子鎖間のパッキング性が阻害されガスバリア性が発現しなくなるため、Xは1または2である必要があり、Xは1が好ましい。bは、5モル%よりも小さいと有機溶剤に対する溶解性が低くなり、45モル%よりも大きいと共重合体中の水酸基の含有量が高いために高湿条件下でのガスバリア性が発現しなくなるため、b≦45である必要がある。
化学式(1)で表される共重合体の好適な例を挙げれば、Rがメチル基、Xが1である。
本発明の共重合体(1)は、下記スキーム1に示すように、単量体(I−a)と単量体(I−b)のラジカル共重合により得られた共重合体(I−1)を還元する工程により得られる。
スキーム1
Figure 0006298741
(式中、Rは水素原子またはメチル基、YはCOORまたはCHCOOR、R〜Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)
単量体(I−a)の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルなどのアクリル酸エステル;を挙げることができる。メタクリル酸エステルを用いればメタリルアルコール単位を有する共重合体(1)が得られ、アクリル酸エステルを用いればアリルアルコール単位を有する共重合体(1)が得られる。中でも単量体(I−a)は、RおよびRが共にメチル基であるメタクリル酸メチルが好ましい。
単量体(I−b)の具体例としては、メチレンマロン酸ジメチル、メチレンマロン酸ジエチル、メチレンマロン酸−n−プロピル、メチレンマロン酸イソプロピル、メチレンマロン酸−n−ブチル、メチレンマロン酸−tert−ブチルなどの、YがCOORであるメチレンマロン酸ジエステル;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸−n−プロピル、イタコン酸イソプロピル、イタコン酸−n−ブチル、イタコン酸−tert−ブチルなどの、YがCHCOORであるイタコン酸ジエステル;等の2−メチレンアルカンジカルボン酸ジエステルを挙げることができる。メチレンマロン酸ジエステルを用いれば2−メチレンプロパン−1,3−ジオール単位を有する共重合体(1)が得られ、イタコン酸ジエステルを用いれば2−メチレンブタン−1,4−ジオール単位を有する共重合体(1)が得られる。
中でも単量体(I−b)は、HC=C(COORであるメチレンマロン酸ジエステル(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。2つのRは互いに異なっていてもよい。)が好ましく、Rがメチル基またはエチル基であるのがより好ましい。
〔ラジカル共重合工程〕
重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用できる。無溶媒又はトルエンなどの溶媒中で重合を進行させる塊状重合法又は溶液重合法が、通常採用される。溶液重合法において用いられる溶媒は特に限定されないが、トルエン、ベンゼン、アニソール、酢酸エチル、アルコールなどが挙げられる。特にビニルエステル系単量体の重合時に、溶媒への連鎖移動定数が比較的小さく、共重合体の溶解性にも優れることから、トルエン、ベンゼン、アニソールが好ましい。重合反応液における溶媒の使用量は、目的とする共重合体の粘度平均重合度や、溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよく、反応液に含まれる溶媒と全単量体との質量比(全単量体/溶媒)は、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜3の範囲から選択される。
ラジカル共重合を行うための重合開始剤としては、公知の重合開始剤、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤から重合方法に応じて選択される。アゾ系開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。過酸化物系開始剤としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、過酸化アセチルなどのパーエステル化合物; アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを上記開始剤に組み合わせて使用してもよい。レドックス系開始剤は、例えば上記の過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて調整される。重合開始剤の使用量は、ビニルエステル単量体に対して0.01〜0.2モル%が好ましく、0.02〜0.15モル% がより好ましい。重合温度は特に限定されないが、室温〜 150℃ 程度が適当であり、好ましくは40℃以上かつ使用する溶媒の沸点以下である。
本発明の効果が阻害されない範囲であれば、連鎖移動剤の存在下で共重合してもよい。連鎖移動剤としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類; アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;1−オクタンチオール、2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物などのホスフィン酸塩類などが挙げられる。なかでも、アルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。重合反応液への連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とする共重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル単量体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
〔還元工程〕
得られた共重合体(I−1)を還元する方法は、種々の公知の方法を用いることできる。還元方法としては、水素化アルミニウムリチウムや水素化トリエチルホウ素リチウムなどのヒドリド還元剤を用いる方法、水素化触媒存在下に水素ガスを用いて水素化反応させる方法を挙げることができる。上記水素化反応に用いられる触媒は、不均一系触媒、均一系触媒等、特に限定されない。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル等の金属を、活性炭、シリカ、アルミナ等に担持させた触媒が挙げられ、具体的にはパラジウム/活性炭、パラジウム/シリカ、パラジウム/アルミナ、白金/活性炭、白金/アルミナ、ロジウム/活性炭、ルテニウム/活性炭、ニッケル/シリカ等が挙げられる。均一系触媒としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒が挙げられる。本発明の共重合体(1)は、少量であれば還元工程前の共重合体(I−1)を構成していた単位が残存していてもよい。
還元反応に用いられる溶媒としては、還元反応の進行を阻害しないものが用いられ、その具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの飽和炭化水素溶媒、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの高極性溶媒を挙げることができる。また、水素化反応を実施する水素ガスの圧力としては、通常、常圧〜30MPa、好ましくは3〜20MPaである。還元反応を実施する温度としては、通常、0〜140℃ 、好ましくは20〜130℃である。
化学式(1)で表される共重合体の好適な例である、Rがメチル基、Xが1である共重合体は、上記スキーム1と同様にして製造することができる。
ラジカル共重合で得られる重合体の分子量は、溶液コーティングに使用する溶剤に対する溶解性、溶融粘度、成形性、ガスバリア性、耐熱性の観点から、重量平均分子量で1万〜100万程度であることが好ましく、2万〜50万がより好ましい。なお、共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で求めるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)や、静的光散乱測定(SLS)等の公知の分析手法を用いて、算出することが出来る。
本発明による共重合体は、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの、通常、工業的に用いられる樹脂にブレンドして使用することも可能である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の評価は以下のようにして行った。
〔共重合体の分子量〕
数平均分子量及び重量平均分子量は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた。GPC装置として、東ソー(株)製のHLC−8020(品番)を用い、カラムとして、東ソー(株)製のTSKgel・GMH−Mの2本とG2000Hの1本とを直列に繋いだものを用いた。
〔ガラス転移温度〕
ガラス転移温度は、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)RDC220/SSC5200H型を用い、JIS K7121に基づいて測定した。
〔酸素透過量〕
MODERN CONTROLS INC.製酸素透過量測定装置MOCONOX−TRAN2/20型を用い、20℃、85%RHの条件でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した。なお、本発明でいう酸素透過度は、PETフィルム基材の上に共重合体(1a)からなる膜を形成した積層フィルムで測定した酸素透過量(単位; ml/m2 ・day・atm)で示した。PETフィルム単独における酸素透過度は、89.7cm/m2 ・day・atmであった。
〔水蒸気透過量〕
JIS Z2028に記載の方法に準じて、40℃、90%RHの条件で測定した。なお、本発明でいう透湿度は、PETフィルム基材の上に共重合体(1a)からなる膜を形成した積層フィルムで測定した透湿度(単位; cm/m2 ・day・atm)で示した。PETフィルム単独における透湿度は、48.3cm/m2 ・day・atmであった。
(合成例)〔メチレンマロン酸ジエチルの合成〕
220gの酢酸溶媒中に、30gのパラホルムアルデヒド、80gのマロン酸ジエチル、5gのCu(OAc)、5gのKOAcを添加し、100℃、5時間の条件で合成した。次いで、反応液を50℃、80mmHgの条件で蒸留することで酢酸を除き、次いで、180℃、35mmHgの条件で蒸留することでメチレンマロン酸ジエチルの粗精製物を得た。得られた粗精製物は、200℃、30mmHgの条件で再度蒸留することで18.4gのメチレンマロン酸ジエチルを得た。
(重合例1)〔メタクリル酸メチルとメチレンマロン酸ジエチルのラジカル共重合〕
10gのトルエン溶媒中に、8gのメタクリル酸メチルと2gのメチレンマロン酸ジエチルを溶解すると共に、6.63mgのAIBN(重合開始剤)と21.7mgの1−オクタンチオール(連鎖移動剤)を添加し、窒素ガスでバブリングすることで反応液中の酸素を除去した後、100℃、4時間の条件で撹拌し、ラジカル共重合を行った。この反応液を大量のメタノールに注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、3.6gの共重合体を得た。得られた共重合体について1H−NMR分析(CDCl、500MHz)を行ったところ、0.75ppm〜1.25ppm、1.35ppm〜2.40ppm、3.40ppm〜3.70ppmにメタクリル酸メチルに基づくシグナル、1.15ppm〜1.30ppm、1.35ppm〜2.40ppm、3.90ppm〜4.20ppmにメチレンマロン酸ジエチルに基づくシグナルが認められ、上記化合物(I−1)においてRがCH、YがCOOCで表されるメタクリル酸メチル−2−メチレンマロン酸ジエチル共重合体であると同定した。3.40ppm〜3.70ppmのメチルエステル基のメチルプロトンの積分値と3.90ppm〜4.20ppmのエチルエステル基のメチレンプロトンの積分値との比から、共重合体中のメチレンマロン酸ジエチルの共重合比を求めたところ、18mol%であった。また共重合体について分子量の測定を行った結果、数平均分子量(Mn)が6.5×104、分子量分布(Mw/Mn)が2.1であった。
(重合例2)〔メタクリル酸メチルとイタコン酸ジメチルの共重合〕
10gのトルエン溶媒中に、7gのメタクリル酸メチルと3gのイタコン酸ジメチルを溶解すると共に、6.63mgのAIBN(重合開始剤)と21.7mgの1−オクタンチオール(連鎖移動剤)を添加し、窒素ガスでバブリングすることで反応液中の酸素を除去した後、100℃、4時間の条件で撹拌し、ラジカル共重合を行った。この反応液を大量のメタノールに注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、3.8gの共重合体を得た。得られた共重合体について1H−NMR分析を行い、上記化合物(I−1)においてRがCH、YがCHCOOCHで表されるメタクリル酸メチル−イタコン酸ジメチル共重合体であると同定し、共重合体中のイタコン酸ジメチルの共重合比は20mol%であった。また共重合体について分子量の測定を行った結果、数平均分子量(Mn)が6.0×104、分子量分布(Mw/Mn)が2.2であった。
(実施例1)〔ラジカル共重合体の還元反応〕
重合例1で得られた1.8gのラジカル共重合体を18mlの4−メチルモルホリンに溶解したポリマー溶液を、100℃に加熱した18mlの4−メチルモルホリンと18mlの70%濃度の水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Vitiride)トルエン溶液の混合液に滴下し、100℃、5時間の条件で還元反応を行った。この反応液を氷冷し、酢酸エチルを加えて未反応のVitirideをクエンチした後、濃縮して4−メチルモルホリンとトルエンを除いた後、2N−塩酸水溶液を加えてpHを1に調整し、60℃、5時間の条件で撹拌した。得られた固体生成物をろ過により回収し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。得られた固体生成物にメタノールを添加して溶解した後、H形イオン交換樹脂を充填したカラムを通し、次にOH形イオン交換樹脂を充填したカラムを通して、目的物であるメタリルアルコール−2−メチレンプロパンジオール共重合体(以下、「共重合体(1a)」という。)を得た。この共重合体(1a)について1H−NMR分析(DMSO−d、500MHz)を行ったことろ、エステル結合に基づくシグナルは認められず、水酸基に変換したことが確認され、目的物の共重合体であると同定した。
得られた共重合体(1a)についてガラス転移温度を測定した結果、ガラス転移温度は82℃であった。
得られた共重合体(1a)は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール単一溶媒に溶解し、また、上記アルコールと水との混合溶媒に可溶であった。
共重合体(1a)を1−プロパノール:水=55:45(質量比)の混合溶媒に溶解して、3.0質量%の溶液を調製し、厚み12μmのPETフィルム上に約50μmの塗工厚でコーティングし、100℃、5分の条件で熱風乾燥を行い、次に140℃、10分の条件で熱処理を行うことで、厚みが1.6μmの共重合体(1a)の膜を得た。得られたフィルムについて酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は1.0cm/m2・day・atmであった。また、得られたフィルムについて水蒸気透過量を測定した結果、共重合体(1a)からなる膜の水蒸気透過量は42.0g/m2・dayであった。
(実施例2)
メタクリル酸メチルとメチレンマロン酸ジエチルのラジカル共重合(重合例1)において、メタクリル酸メチルを7.5g、メチレンマロン酸ジエチルを2.5gにする以外は実施例1と同じ方法でラジカル共重合を行った。共重合体中のメチレンマロン酸ジエチルの共重合比は28mol%であった。また共重合体について分子量の測定を行った結果、数平均分子量(Mn)が5.4×104、分子量分布(Mw/Mn)が2.1であった。
実施例1と同じ方法で還元反応を行い、目的物である共重合体(1a)を得た。この共重合体(1a)について1H−NMR分析を行い、目的物の共重合体であると同定した。
得られた共重合体(1a)についてガラス転移温度を測定した結果、ガラス転移温度は91℃であった。
得られた共重合体(1a)は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール単一溶媒に溶解し、また、上記アルコールと水との混合溶媒に可溶であった。
実施例1と同じ方法で厚みが1.6μmの共重合体(1a)の膜を得て酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は9.5cm/m2・day・atmであった。また、得られたフィルムについて水蒸気透過量を測定した結果、共重合体(1a)からなる膜の水蒸気透過量は45.0g/m2・dayであった。
(比較例1)
重合度が1700、けん化度が98.5%であるポリビニルアルコールを水に溶解して、3.0質量%の溶液を調製し、実施例1と同様の方法にて酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は77.8cm/m2・day・atmであった。
(比較例2)
EVOH樹脂(株式会社クラレ製エバールF−101B)を1−プロパノール:水=55:45(質量比)の混合溶媒に溶解して、3.0質量%の溶液を調製し、実施例1と同様の方法にて酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は19cm/m2・day・atmであった。
実施例の結果から明らかなように、本発明の共重合体は溶液コーティングに適用可能な沸点の低いアルコール溶媒に容易に溶解し、また優れたガスバリア性を示すことが確認された。また、比較例との比較から、本発明の共重合体は、溶液コーティングが可能な既存のガスバリア材料に比べて、ガスバリア性に優れることが確認された。
本発明の共重合体は、ガスバリア性、透明性に優れ、かつ溶液コーティング性にも優れ、高いガスバリア性が要求される用途へ応用が可能である。

Claims (4)

  1. 下記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位として有する(メタ)アリルアルコール共重合体。
    Figure 0006298741
    〔式中、Rは水素原子またはメチル基、Xは1または2、aとbとの合計100モル%に対しbは5〜45モル%である。〕
  2. Rがメチル基、Xが1である請求項1に記載の(メタ)アリルアルコール共重合体。
  3. 下記化学式(I−a)で示される単量体と下記化学式(I−b)で示される単量体とをラジカル共重合する工程、およびラジカル共重合により得られた共重合体を還元する工程を含む請求項1に記載の(メタ)アリルアルコール共重合体の製造方法。
    Figure 0006298741

    〔式中、Rは水素原子またはメチル基、YはCOORまたはCHCOOR、R〜Rは独立に炭素数1〜6のアルキル基である。〕
  4. 下記化学式(II−a)で示されるメタクリル酸メチルと下記化学式(II−b)で示されるメチレンマロン酸ジエステルをラジカル共重合し、ラジカル共重合により得られた共重合体(II−1)を還元する工程を含む、請求項2に記載の(メタ)アリルアルコール共重合体の製造方法。
    Figure 0006298741
    〔式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基である。〕
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