JP6298741B2 - (メタ)アリルアルコール共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の共重合体は、上記化学式(1)で表される(メタ)アリルアルコール単位および2−メチレンアルカンジオール単位を繰り返し単位として有する。
中でも単量体(I−b)は、H2C=C(COOR4)2であるメチレンマロン酸ジエステル(R4は炭素数1〜6のアルキル基である。2つのR4は互いに異なっていてもよい。)が好ましく、R4がメチル基またはエチル基であるのがより好ましい。
重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用できる。無溶媒又はトルエンなどの溶媒中で重合を進行させる塊状重合法又は溶液重合法が、通常採用される。溶液重合法において用いられる溶媒は特に限定されないが、トルエン、ベンゼン、アニソール、酢酸エチル、アルコールなどが挙げられる。特にビニルエステル系単量体の重合時に、溶媒への連鎖移動定数が比較的小さく、共重合体の溶解性にも優れることから、トルエン、ベンゼン、アニソールが好ましい。重合反応液における溶媒の使用量は、目的とする共重合体の粘度平均重合度や、溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよく、反応液に含まれる溶媒と全単量体との質量比(全単量体/溶媒)は、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜3の範囲から選択される。
得られた共重合体(I−1)を還元する方法は、種々の公知の方法を用いることできる。還元方法としては、水素化アルミニウムリチウムや水素化トリエチルホウ素リチウムなどのヒドリド還元剤を用いる方法、水素化触媒存在下に水素ガスを用いて水素化反応させる方法を挙げることができる。上記水素化反応に用いられる触媒は、不均一系触媒、均一系触媒等、特に限定されない。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、ニッケル等の金属を、活性炭、シリカ、アルミナ等に担持させた触媒が挙げられ、具体的にはパラジウム/活性炭、パラジウム/シリカ、パラジウム/アルミナ、白金/活性炭、白金/アルミナ、ロジウム/活性炭、ルテニウム/活性炭、ニッケル/シリカ等が挙げられる。均一系触媒としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、周期表第4〜8族遷移金属カルベン錯体触媒が挙げられる。本発明の共重合体(1)は、少量であれば還元工程前の共重合体(I−1)を構成していた単位が残存していてもよい。
数平均分子量及び重量平均分子量は、何れも、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算で求めた。GPC装置として、東ソー(株)製のHLC−8020(品番)を用い、カラムとして、東ソー(株)製のTSKgel・GMH−Mの2本とG2000Hの1本とを直列に繋いだものを用いた。
ガラス転移温度は、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)RDC220/SSC5200H型を用い、JIS K7121に基づいて測定した。
MODERN CONTROLS INC.製酸素透過量測定装置MOCONOX−TRAN2/20型を用い、20℃、85%RHの条件でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した。なお、本発明でいう酸素透過度は、PETフィルム基材の上に共重合体(1a)からなる膜を形成した積層フィルムで測定した酸素透過量(単位; ml/m2 ・day・atm)で示した。PETフィルム単独における酸素透過度は、89.7cm3/m2 ・day・atmであった。
〔水蒸気透過量〕
JIS Z2028に記載の方法に準じて、40℃、90%RHの条件で測定した。なお、本発明でいう透湿度は、PETフィルム基材の上に共重合体(1a)からなる膜を形成した積層フィルムで測定した透湿度(単位; cm3/m2 ・day・atm)で示した。PETフィルム単独における透湿度は、48.3cm3/m2 ・day・atmであった。
220gの酢酸溶媒中に、30gのパラホルムアルデヒド、80gのマロン酸ジエチル、5gのCu(OAc)2、5gのKOAcを添加し、100℃、5時間の条件で合成した。次いで、反応液を50℃、80mmHgの条件で蒸留することで酢酸を除き、次いで、180℃、35mmHgの条件で蒸留することでメチレンマロン酸ジエチルの粗精製物を得た。得られた粗精製物は、200℃、30mmHgの条件で再度蒸留することで18.4gのメチレンマロン酸ジエチルを得た。
10gのトルエン溶媒中に、8gのメタクリル酸メチルと2gのメチレンマロン酸ジエチルを溶解すると共に、6.63mgのAIBN(重合開始剤)と21.7mgの1−オクタンチオール(連鎖移動剤)を添加し、窒素ガスでバブリングすることで反応液中の酸素を除去した後、100℃、4時間の条件で撹拌し、ラジカル共重合を行った。この反応液を大量のメタノールに注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、3.6gの共重合体を得た。得られた共重合体について1H−NMR分析(CDCl3、500MHz)を行ったところ、0.75ppm〜1.25ppm、1.35ppm〜2.40ppm、3.40ppm〜3.70ppmにメタクリル酸メチルに基づくシグナル、1.15ppm〜1.30ppm、1.35ppm〜2.40ppm、3.90ppm〜4.20ppmにメチレンマロン酸ジエチルに基づくシグナルが認められ、上記化合物(I−1)においてRがCH3、YがCOOC2H5で表されるメタクリル酸メチル−2−メチレンマロン酸ジエチル共重合体であると同定した。3.40ppm〜3.70ppmのメチルエステル基のメチルプロトンの積分値と3.90ppm〜4.20ppmのエチルエステル基のメチレンプロトンの積分値との比から、共重合体中のメチレンマロン酸ジエチルの共重合比を求めたところ、18mol%であった。また共重合体について分子量の測定を行った結果、数平均分子量(Mn)が6.5×104、分子量分布(Mw/Mn)が2.1であった。
10gのトルエン溶媒中に、7gのメタクリル酸メチルと3gのイタコン酸ジメチルを溶解すると共に、6.63mgのAIBN(重合開始剤)と21.7mgの1−オクタンチオール(連鎖移動剤)を添加し、窒素ガスでバブリングすることで反応液中の酸素を除去した後、100℃、4時間の条件で撹拌し、ラジカル共重合を行った。この反応液を大量のメタノールに注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、3.8gの共重合体を得た。得られた共重合体について1H−NMR分析を行い、上記化合物(I−1)においてRがCH3、YがCH2COOCH3で表されるメタクリル酸メチル−イタコン酸ジメチル共重合体であると同定し、共重合体中のイタコン酸ジメチルの共重合比は20mol%であった。また共重合体について分子量の測定を行った結果、数平均分子量(Mn)が6.0×104、分子量分布(Mw/Mn)が2.2であった。
重合例1で得られた1.8gのラジカル共重合体を18mlの4−メチルモルホリンに溶解したポリマー溶液を、100℃に加熱した18mlの4−メチルモルホリンと18mlの70%濃度の水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Vitiride)トルエン溶液の混合液に滴下し、100℃、5時間の条件で還元反応を行った。この反応液を氷冷し、酢酸エチルを加えて未反応のVitirideをクエンチした後、濃縮して4−メチルモルホリンとトルエンを除いた後、2N−塩酸水溶液を加えてpHを1に調整し、60℃、5時間の条件で撹拌した。得られた固体生成物をろ過により回収し、ろ液が中性になるまで蒸留水で洗浄した。得られた固体生成物にメタノールを添加して溶解した後、H形イオン交換樹脂を充填したカラムを通し、次にOH形イオン交換樹脂を充填したカラムを通して、目的物であるメタリルアルコール−2−メチレンプロパンジオール共重合体(以下、「共重合体(1a)」という。)を得た。この共重合体(1a)について1H−NMR分析(DMSO−d6、500MHz)を行ったことろ、エステル結合に基づくシグナルは認められず、水酸基に変換したことが確認され、目的物の共重合体であると同定した。
得られた共重合体(1a)は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール単一溶媒に溶解し、また、上記アルコールと水との混合溶媒に可溶であった。
共重合体(1a)を1−プロパノール:水=55:45(質量比)の混合溶媒に溶解して、3.0質量%の溶液を調製し、厚み12μmのPETフィルム上に約50μmの塗工厚でコーティングし、100℃、5分の条件で熱風乾燥を行い、次に140℃、10分の条件で熱処理を行うことで、厚みが1.6μmの共重合体(1a)の膜を得た。得られたフィルムについて酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は1.0cm3/m2・day・atmであった。また、得られたフィルムについて水蒸気透過量を測定した結果、共重合体(1a)からなる膜の水蒸気透過量は42.0g/m2・dayであった。
メタクリル酸メチルとメチレンマロン酸ジエチルのラジカル共重合(重合例1)において、メタクリル酸メチルを7.5g、メチレンマロン酸ジエチルを2.5gにする以外は実施例1と同じ方法でラジカル共重合を行った。共重合体中のメチレンマロン酸ジエチルの共重合比は28mol%であった。また共重合体について分子量の測定を行った結果、数平均分子量(Mn)が5.4×104、分子量分布(Mw/Mn)が2.1であった。
実施例1と同じ方法で還元反応を行い、目的物である共重合体(1a)を得た。この共重合体(1a)について1H−NMR分析を行い、目的物の共重合体であると同定した。
得られた共重合体(1a)は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール単一溶媒に溶解し、また、上記アルコールと水との混合溶媒に可溶であった。
実施例1と同じ方法で厚みが1.6μmの共重合体(1a)の膜を得て酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は9.5cm3/m2・day・atmであった。また、得られたフィルムについて水蒸気透過量を測定した結果、共重合体(1a)からなる膜の水蒸気透過量は45.0g/m2・dayであった。
重合度が1700、けん化度が98.5%であるポリビニルアルコールを水に溶解して、3.0質量%の溶液を調製し、実施例1と同様の方法にて酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は77.8cm3/m2・day・atmであった。
EVOH樹脂(株式会社クラレ製エバールF−101B)を1−プロパノール:水=55:45(質量比)の混合溶媒に溶解して、3.0質量%の溶液を調製し、実施例1と同様の方法にて酸素透過量を測定した結果、酸素透過量は19cm3/m2・day・atmであった。
Claims (4)
- Rがメチル基、Xが1である請求項1に記載の(メタ)アリルアルコール共重合体。
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