JP4917484B2 - 磁性シート、これを用いたアンテナ装置および電子情報伝達装置 - Google Patents

磁性シート、これを用いたアンテナ装置および電子情報伝達装置 Download PDF

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本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるICタグ機能を持つ機器での電磁誘導方式の周波数(例えば135KHz以下帯、13.56MHz帯等)を用いる無線通信を改善するために、近傍金属の影響を減らす目的で用いられる、磁界を集中させて通過させる磁性シート、これを用いたアンテナ装置及び電子情報伝達装置に関する。
近年、13.56MHz帯を中心とする電磁波にて無線通信を行うICタグ機能を持つモバイル端末(例えば携帯電話、ICカード、タグなどのRFIDシステム)の実用化が始まっている。この場合、金属筐体もしくはメッキ等の導電化処理をされた筐体内面がこのアンテナコイルの近くに存在するなどアンテナコイルの近傍に金属が存在する場合は、送受信時にアンテナコイルの周囲に発生する磁界の磁力線が導電体表面に平行に走り、導電体表面に渦電流を発生させることにより損失が生じる。また、この渦電流から発生する磁界が、初めの磁界を相殺する方向に形成され(反磁界となる)、さらに共振周波数がシフトすることにより、通信に用いる周波数での磁界が大きく減衰し、通信距離が著しく短くなる現象が確認されている。
なお、通信妨害部材として金属等の導電体以外にアンテナ同士が影響しあう場合がある。例えば非接触ICカードを同一のカードケースに複数枚収容している場合のように、アンテナコイル同士が近傍に重複する状態で存在すると、アンテナの共振周波数が変化する(例えば、周波数ピークが双峰に分かれたりする)ので、互いのアンテナが無線通信を妨害する通信妨害部材になり、リーダとの無線通信ができなくなる現象がある。アンテナ同士を離反させることによって、タグと読取装置との無線通信を可能にすることができるが、カードケースなどの非接触ICカードを収容する容器に、アンテナ同士を離反させる空間を確保することは困難である。
電磁誘導方式による無線通信における、アンテナコイルの近傍導電体(例えば金属等)による通信阻害の対策の一つの方法として、アンテナコイルと導電体間に磁性シートを配置する方法がある。磁性シートとして、例えば13.56MHz帯における複素比透磁率の実数部(μ’)の数値が高く(磁束を集めやすく)、虚数部(μ”)が低い(集めた磁束を熱変換し難い)シートが提案されている。
金属の影響を回避する通信改善方法の一つとして、特許文献1には、ICを有さない盗難監視用タグの場合であるが、プラスチックと扁平軟磁性体粉末の複合体を金属面とアンテナ素子の間に配置することが開示されている。
こうした磁性体を使用するにおいて、通信周波数域で高い透磁率と絶縁性を併せ持ったシートが要求される。高い透磁率は、軟磁性粉末として球状ではなく扁平な形状を持つものを使用し、かつ、この扁平軟磁性粉末をシートの面に沿って配向させることが知られている(特許文献2)。
配向を容易に行なうには、マトリックス材料として流動性の高いものを使用することが好ましい。例えば、特許文献2には、扁平軟磁性粉末と高分子結合剤とを有機溶媒中に溶解した磁性塗料を、ドクターブレード法により剥離性支持体上に塗工および乾燥してシート化する技術が記載されている。しかしながら、この加工方法を用いると、乾燥時に磁性 塗料中の溶剤が発泡するため、シート中に大量の空孔ができるという問題が生じる。大量の空孔が生じると、磁気特性効果が大幅に低下してしまう。従って、空孔の発生をできるだけおさえ、軟磁性粉末を高密度で充填することが望まれる。
一方、特許文献3には、扁平軟磁性粉末と結合剤を混合、混練して得られる混和物を、所定の方法でシート成型する複合磁性体の製造方法において、前記結合剤はガラス転移点が50℃以上の塩化ビニル系樹脂を含んでなる複合磁性体の製造方法が記載されている。しかしながら、この方法では、得られる複合磁性体を高密度化するために、製膜、溶媒除去後のシートにプレスやロールを用いた圧延装置で加圧する工程を必要とする。
特許第3293554号公報 特開2003−229694号公報 特開2001−126910号公報
プレス工程やカレンダー工程などの後工程(加圧工程)は、プレスなどで剪断力をシートに付加することにより、シート内の空隙を排出し、さらに充填剤間の狭い間隙にも十分な結合剤の流動を促進することで、密な充填を実現し、シートの比重を大きく向上させることに寄与している。この後工程は、シートの材料定数(ε’、ε”、μ’、μ”)の最適化設計をするうえで重要な工程である。しかし、プレス工程などを導入すると製造コストが大きく上昇してしまう欠点がある。そのため、従来から、塗工工程のみで高性能な磁性シートを得ることが要望されていた。
従って、本発明の課題は、軟磁性粉末を用いて簡単に効率よく製造でき、かつ近傍にある金属等の通信妨害部材の影響を減らして特定周波数での無線通信特性を改善することができる磁性シートを提供することである。より詳細には、本発明は、塗工および乾燥工程のみで得られ、プレス工程やカレンダー工程などの後工程が不要で、しかも後工程を施した場合と同様の高性能(高い比重およびそれにより達成される最適な複素比透磁率の実数部μ’および/または虚数部μ”)を有する磁性シートを提供することである。
本発明者らは、結合剤を溶媒に溶かした溶液をつくり、そこに軟磁性粉体を混入、撹拌し、塗工装置にて支持材に塗布し、乾燥して磁性シートを製造するにあたり、シート内にエアー(溶剤痕)が残らない状態とするために、いかにエアー(溶剤)の抜け出しを速くするかを検討した。その結果、本発明者らは、磁性塗料を塗布、乾燥するだけで高密度化でき、近傍金属や近傍アンテナ等の通信妨害部材の影響を減らして特定周波数での無線通信特性を改善するのに有用な、つまり磁界を集中させて通過させる磁性シートを得ることに成功した。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の磁性シートは、以下の構成からなる。
(1) 磁性塗料を塗布、乾燥して得られる、実質的に加圧されていない磁性シートであって、軟磁性粉末30〜80体積%と結合剤20〜70体積%とを含有し、乾燥時の乾燥温度における結合剤及び充填剤を含有した状態の貯蔵弾性率(E’)が109Pa以上(JIS K 7244−1)であることを特徴とする磁性シート。
(2)磁性塗料を塗布、乾燥して得られる、実質的に加圧されていない磁性シートであって、軟磁性粉末30〜80体積%と結合剤20〜70体積%とを含有し、前記結合剤は、数平均分子量(Mn)がMn≧1.5×104であり、且つ乾燥時の乾燥温度における溶剤および充填剤を含有しない状態の貯蔵弾性率(E’)が107Pa以上(JIS K 7244−1)であるエラストマーまたは樹脂であることを特徴とする磁性シート。
(3)前記結合剤は架橋が施されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の磁性シート。
(4)電磁誘導方式の無線通信に用いられる周波数で、複素比透磁率の実数部(μ’)が25以上、tanδ(=μ”/μ’)が0.3以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の磁性シート。
(5)同周波数域における複素比誘電率の虚数部(ε”)が500以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の磁性シート。
ここで、本発明の磁性シートが実質的に加圧しないものであるとは、プレス加工やカレンダー加工等のような高圧での加圧を受けないで製造されたことを意味し、例えば製造時、貯蔵時、保管時等における製品またはその中間体がロール巻き、積載などにより受ける不可避的な加圧は含まれない。同様に、低圧での簡易なカレンダーも含まれない。
本発明のアンテナ装置および電子情報伝達装置は、以下の構成からなる。
(6)無線通信に用いられる周波数に合わされる共振周波数を有するアンテナ素子と、このアンテナ素子と通信妨害部材との間に設けられた上記(1)〜(7)のいずれかに記載の磁性シートとを備えることを特徴とするアンテナ装置。
(7)前記通信妨害部材が金属材である(6)に記載のアンテナ装置。
(8)電磁誘導方式の無線通信をする一対のアンテナ素子が、(1)〜(7)に記載の磁性シートを介して配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
(9)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の磁性シートおよび導電性反射層がアンテナ素子と積層もしくは一体化され、アンテナ素子の共振周波数が通信周波数に調整されていることを特徴とするアンテナ装置。
(10)導電性反射層の片面もしくは両面に、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の磁性シートを配置したことを特徴とするアンテナ装置。
(11)上記(6)〜(10)のいずれかに記載のアンテナ装置を用いたことを特徴とする電子情報伝達装置。
本発明の磁性シートによれば、所定の貯蔵弾性率(E’)を有するエラストマーまたは樹脂を結合剤として用いるので、塗布、乾燥するだけで空孔の影響による磁気特性の低下が抑制されると共に高密度化でき、近傍金属等の通信妨害部材の影響を減らして特定周波数での無線通信を改善することができるという効果がある。
本発明のアンテナ装置によれば、金属材の様な導電性材料を有する部材や磁性を有する部材(これらが通信妨害部材となる)の近傍にアンテナ素子を設けても、アンテナ素子を無線通信や、電子情報の伝達のために好適に用いることができる。
さらに、本発明の電子情報伝達装置によれば、通信妨害部材の近傍にアンテナ素子を設けても、好適な電子情報伝達を実現することができる。
本発明の磁性シートは、軟磁性粉末と結合剤とを主要構成材料として含有する磁性塗料を塗布、乾燥して得られ、主として(薄型磁性)シートの形態で使用される。具体的には、本発明の磁性シートは、主に結合剤と充填剤とから構成される。ここでいう充填剤とは、軟磁性粉末、架橋剤、分散剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤等の結合剤以外の一切の成分の総称である。また磁性塗料は、磁性シートの成分を溶剤にて塗液にしたもので、加工工程を終えると溶剤はシートから乾燥排出されることになる。
前記軟磁性粉末としては、例えば磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe―Cu―Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si−B(−Cu−Nb)合金、Fe−Ni−Cr―Si合金、Fe―Si−Cr合金、Fe―Si−Al−Ni−Cr合金等のFe系合金の全てが挙げられる。また、フェライト若しくは純鉄粒子を用いても良い。アモルファス合金(Co系、Fe系、Ni系など)、非アモルファス合金(Co系、Fe系、Ni系など)、電磁軟鉄、Fe−Al系合金を用いることもできる。それらが酸化物であっても、一部に酸化構造を有するものでも良い。フェライトとしては、例えばMn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Mnフェライト、Cu−Znフェライト、Cu−Mg−Znフェライトなどのソフトフェライト、あるいは永久磁石材料であるハードフェライトが挙げられる。鉄系酸化物としては、マグネタイトなどがある。Co系酸化物(Co−Zr−O系、Co−Pb−Al−O系など)としては、グラニュラー膜を用いることができる。純鉄粒子としては例えばカルボニル鉄粉が挙げられる。これら磁性材料は、単体で使用するほか、複数をブレンドしても構わない。
軟磁性粉末の形状は特に限定されるものではなく、球状、扁平状、繊維状等の形状が採用可能であるが、好ましくは透磁率の高い扁平状の軟磁性粉末を使用するのがよい。ただし、扁平状の方がシート内を溶剤が移動もしく拡散する際の障害として働くため、シート内部のエアー(溶剤)が抜けにくくなり、乾燥後の比重が上がらない傾向がある。
軟磁性粉末の平均粒径または扁平状軟磁性粉末の長径は1〜300μm、好ましくは20〜100μmであるのがよい。また、扁平状軟磁性粉末のアスペクト比は2〜500、好ましくは10〜100であるのがよい。なお、前記平均粒径は、粒度分布測定装置で測定して得られる値である。
軟磁性粉末は、必要に応じてその表面が表面処理されているのが好ましい。表面処理としてはカップリング剤処理や界面活性剤などによる一般的な処理のほか、樹脂コーティングを行ってもよい。これにより、後述する結合剤との親和性が向上するため、軟磁性粉末を高密度に充填することができる。前記カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、アミノ系カップリング剤、カチオン系カップリング剤、ノニオン系カップリング剤等が挙げられ、その使用量は、軟磁性粉末に対して約0.01〜10重量%であるのがよい。
また、前記樹脂コーティングする樹脂としては、使用する結合剤と同じか、あるいは使用する結合剤との親和性に優れたエラストマー、樹脂(例えば熱可塑性エラストマー、各種プラスチック)等が挙げられる。このエラストマーおよび樹脂としては、後述する結合剤で例示するものと同じものが挙げられる。この樹脂のコーティング量は、軟磁性粉末に対して約0.01〜10重量%であるのがよい。さらに、軟磁性粉末の表面は、上記カップリング剤処理や樹脂コーティングに加えて、その他の添加剤等により表面処理されていてもよい。この場合の処理量は、軟磁性粉末に対して約0.01〜10重量%であるのがよい。他の表面処理材としては、例えばシリカ、Si系化合物、Si系酸化物、有機金属複合体、金属酸化物などがある。これらで軟磁性粉末を被覆することで、分散性の向上とともに、磁性シートの電気抵抗値を増すことが可能である。ZnO、Zn系酸化物、酸化皮膜を付与することで磁性シートの電気抵抗値の増加と耐食性の向上を得ることができる。
本発明の結合剤としては、エラストマーまたは樹脂が使用可能である。前記エラストマーとしては、例えば塩素化ポリエチレンのようなポリ塩化ビニル系、SBS系ポリマーのようなポリスチレン系、EPDMのようなポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、シリコーン系等の各種エラストマー(熱可塑性エラストマーを含む)が挙げられる。ゴム系の材料も種類を問わないが、貯蔵弾性率の数値範囲を満たすものが使用できる。
前記樹脂としては、例えばポリエステル系ウレタン樹脂(アジペート系、カーボネート系、カプロラクタムエステル系等)、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸モノマーと他のモノマーを共重合した合成樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブタジエン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ポリウレタン樹脂(ポリエステル系、ポリエーテル系以外の上述以外の全てのタイプ)、ウレア樹脂、イミド系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体系、アルキルアクリル系、アイオノマー樹脂、生分解性樹脂、リサイクル樹脂等の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられる。
これらのエラストマーまたは樹脂は、単独で用いても良いし、変性処理(グラフト、共重合、化学処理等)を施したものを用いても良いし、複合系(ブレンド、ポリマーアロイ、コンポジット等)で用いることもできる。エラストマーまたは樹脂は、変性部分や複合したものを部分的に有する構造や態様でも良い。アクリルシリコーン、アクリルウレタン、アクリルラッカー、各種プライマー、フッ素系塗料、シリコーン系塗料、UV塗料、塗料に配合することもできる。これらのエラストマー及び樹脂等は、凝集力を向上させるため官能基(グリシジル基、カルボキシル基、スルフォン酸基、マレイン酸基、アミノ基等の極性基等、例えば金属塩や4級アミン等を介してアイオノマーを形成できる極性基)を付与することもできる。
結合剤は、架橋することも可能である。塗液に架橋剤を加え、ゲル化する前に塗工して、その後、熱等を加えて架橋反応を完結することもできる。架橋の手段は公知な手段を採用できる。この架橋反応による結合剤の貯蔵弾性率(E’)の上昇(後述)も、溶剤排出に対して有効に作用する。
結合剤を架橋するための架橋剤としては、例えば過酸化物、硫黄、フェノール樹脂化合物、イソシアナート化合物、金属イオン、アミン化合物、第4級アンモニウム等、結合剤の種類に合わせて適宜の種類を用いることができる。好ましいのは過酸化物であり、例えばジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α.α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどを用いることができる。架橋剤の添加量は結合剤100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1〜7重量部である。また架橋反応は、例えば光照射、UV照射や電子線照射等により達成できるものでも良い。また、これらの架橋剤は、適宜な組合せにより、エラストマーまたはプラスチックに適用することができる。
前記結合剤の数平均分子量(Mn)は、Mn≧1.5×104、好ましくはMn≧1.8×104であり、これにより磁性シートの高比重化を図ることができる。すなわち、結合剤の数平均分子量(Mn)が1.5×104以上に大きくなると、塗布、乾燥後のシートの比重が大きくなり、高透磁率化が可能となり、磁性シートの複素比透磁率の実数部μ’が高くなる結果、シートの磁界を集める能力を高くすることが可能となり、通信妨害部材の影響をより低減することができる。
結合剤の分子量分布(Mw/Mn)は、Mw/Mn≧2.2であるのが好ましい。ここで、Mwは重量平均分子量を示している。結合剤の分子量分布が2.2以上になると、分子量分布が広くなって、塗布、乾燥後のシートの比重が大きくなり、高透磁率化が可能となる。結合剤の分子量分布は、Mw/Mn≧2.4であるのがより好ましい。なお、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて測定することができる。
結合剤として、2種以上のエラストマーまたは樹脂を混合して使用する場合は、各エラストマーまたは樹脂を混合した場合に、上記の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を満足しているのが好ましい。
前記エラストマーまたは樹脂は、上記分子量および分子量分布に加えて、ガラス転移点および/または軟化点が50℃以上、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは80〜180℃である。このガラス転移点および/または軟化点が50℃未満の場合に且つ乾燥温度で貯蔵弾性率(E’)が106Pa未満の場合には、後述するように実比重が低下するので好ましくない。この意味は、溶剤乾燥温度域にガラス転移点および/または軟化点がないことであり、とくに加熱や送風を行わない室温乾燥の場合に効果を有する。
本発明におけるガラス転移点は、前記エラストマーまたは樹脂をDMA(動的粘弾性測定装置)で測定して得られる値である。
本発明における結合剤は、室温(例えば25℃での室温乾燥の場合)における後述する溶剤及び充填剤を含有しない状態の貯蔵弾性率(E’)が107Pa(JIS K 7244−1)以上である。好ましくは、室温での貯蔵弾性率(E’)が108Pa以上がよい。結合剤及び充填剤を含有した磁性シートでは、室温での貯蔵弾性率(E’)が109Pa以上であるのがより好ましい。強制乾燥(例えば50℃以上)に対応するためには、例えば55℃においても溶剤及び充填剤を含有しない状態での貯蔵弾性率(E’)が107Pa以上がよい。好ましくは、108Pa以上がよい。結合剤及び充填剤を含有した磁性シートでは、例えば乾燥温度である55℃での貯蔵弾性率(E’)が109Pa以上がよい。そのためには、室温乾燥ないし強制乾燥の温度範囲である20〜60℃、好ましくは25〜55℃において結合剤の貯蔵弾性率(E’)が107a以上であるのがよい。これは溶剤揮発段階において、磁性塗料(塗液)から溶剤が抜けていく段階で、結合剤(ポリマー)自体が凝集力の高さを発現することにより、結合剤からの自発的な溶剤の排出を促進するためである。一般にシート(磁性シート)の貯蔵弾性率(E’)は温度の上昇と共に低下する傾向を持つ。乾燥後の本発明の結合剤および充填剤を含有した磁性シートは、少なくとも室温(25℃を適用する。)または室温および乾燥温度(55℃を適用する。)にて、貯蔵弾性率(E’)が109Pa以上であるものが該当するといえる。また強制乾燥に於いては、強制乾燥温度の結合剤の貯蔵弾性率(E’)と室温での結合剤の貯蔵弾性率(E’)があまり異ならない方がよい。これはこれらの温度変化に伴う結合剤の凝集力(シートからの溶剤排出能力)を安定させるためである。
また充填剤の存在も貯蔵弾性率E’の向上に寄与している。室温乾燥または強制乾燥においても、塗液からエアー(溶剤)を自発的に且つ迅速に排出するため(以下、エアー(溶剤)排出効果という)にそれらの温度域での結合剤または磁性シートの弾性率にも注目している。シートの動的弾性率(貯蔵弾性率)E’は、動的粘弾性測定装置の引張り治具を用いて測定される。また引張り変形を与える周波数は、1Hz〜10Hzである。
すなわち、塗液の乾燥温度で、溶剤がある場合(つまり塗液)の動的粘性率(レオメーターにて求まる動的粘性率η’が、剪断速度100〜103sec-1において、100〜105Pa・s程度である。)に比較して、溶剤がない場合(乾燥した場合)の結合剤の貯蔵弾性率(E’)が109Pa以上と大きくなると、溶剤乾燥のみの効果により、溶剤乾燥(溶剤排出)によりη’とE’の差が大きくなるのでエアー(溶剤)排出能を有することがわかった。
つまり、塗液の乾燥による溶剤排出は、温度変化を伴ってもあるいは伴わなくても、塗液を構成する結合剤自体の弾性率の上昇によるため、塗液の表層だけでなく、内部からも均一的に溶剤排出が行われる事になる。溶剤のない場合の結合剤の弾性率が大きいため、結合剤の凝集力が強くなり、エアー(溶剤)が排出され、シートの実比重が高くなるものである。シートの室温付近の貯蔵弾性率(E’)を上げることによる対策は、塗工後に強制乾燥(熱風等による乾燥)をせずに自然乾燥(室温で乾燥)させた場合の乾燥条件を想定しており、結合剤の凝集力を高めること(室温付近の結合剤の弾性率を上げること)が、自然乾燥後のシートの実比重を高くすることになる。この場合の室温は、例えば2〜40℃である。
次に強制乾燥においてシートの実比重を高くする対策を述べる。塗液(溶剤のある状態)と固体(乾燥した状態)のゲル化過程(状態変化過程)を動的粘弾性変化(剪断治具使用)の時間依存性(一部加熱温度はかかるものの、定温に近い状態とする)により捉え、剪断弾性率(G’)および損失弾性率(G”)の変化を追いかけると、溶剤の乾燥速度が剪断弾性率(G’)の上昇度合いに反映され、剪断弾性率(G’)の上昇が速く且つ大きい場合、充填材の沈降分離を生じることなく高密度な分散状態を保ったまま固定化する。剪断弾性率(G’)が大きくなると、当然に貯蔵弾性率(E’)も大きくなる。しかし、この効果は前述の通り、加熱乾燥において外周面のみが先に加熱硬化してしまう場合は、十分に作用しない。乾燥段階にて、シート表面では溶剤揮発が活性であるが、この際にシート内部からの溶剤供給を受け続ける状態を保つことが重要である。シート表面の乾燥が初期段階で過度に進んだ場合は乾燥被膜が形成し、シート内部からの溶剤移動の障壁となり、内部に多量に溶剤が残存した不均一乾燥になってしまう。本発明では、この均一乾燥をより速く、確実に達成するための結合剤の貯蔵弾性率(E’)の範囲と、溶剤の沸点に制限を加えている。
ここでいう溶剤の沸点に対する制限とは、溶剤の蒸発速度を安定させるためには外部加熱によらない沸点未満の温度での乾燥による揮発の方が良いため、沸点が室温から強制乾燥温度(例えば55℃)の範囲にある溶剤を使用しないことである。強制乾燥温度(例えば55℃)を下回らないことである。乾燥温度を溶剤の沸点以上とすると、シートに過度の溶剤が残存している場合に、溶剤の沸騰現象が生じるため、この沸騰現象によりエアー痕(空隙)が生成してしまい、シート比重を低下させてしまう。また溶剤の沸点以上の高温での乾燥は急激な乾燥が得られるが外周部だけの乾燥状態を作りやすく、外周部とシート内部の溶剤残量に大差が生じ、シート内部に多くの溶剤が封印されることになり、それらの凝集等により残存エアー(空隙)が生じてしまう。従って、少なくとも乾燥炉の導入部(乾燥初期段階)において、溶剤の自発的な排出を促進するために溶剤の沸点より低い温度で強制乾燥を施すことが望ましい。具体的には、強制乾燥の温度は、溶剤の沸点より1〜100℃程度、好ましくは25〜75℃程度低い温度であるのがよい。乾燥時間は、溶剤がほぼ完全に排出するのに充分な時間であり、通常 0.5分〜1時間程度、好ましくは1分〜20分時間程度であるのがよい。
結合剤の貯蔵弾性率(E’)は、室温乾燥で107Pa以上としているが、この値を強制乾燥時(例えば55〜60℃)でも保つことが望ましい。この際、この温度域あるいはそれよりも低温域にガラス転移点や軟化点が存在してもよく、貯蔵弾性率(E’)の値として107Pa以上であればいい。この時、室温から強制乾燥温度の範囲で、溶剤がない場合(揮発した場合)の磁性シートの貯蔵弾性率(E’)が低いゴム状のもの(例えば、室温でE’が106Pa以下)は、エアー排出能力も低く、比重も十分に上がらないことになり、本発明の目的とする塗工のみで高い実比重のシートを得ることはできない。磁性塗料として用いることができない様な溶剤への難溶性や不溶性を示すレベルまでは、結合剤の分子量、分子の絡み合いや網目濃度等を増すことにより、同じ結合剤量にても、より大きな溶剤排出能の効果を得ることができる。この結合剤の貯蔵弾性率(E’)を高くするためには、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を大きくすること有効である。また軟化点を高くすることによっても高温でも高い貯蔵弾性率(E’)が得られる傾向がある。この結合剤の高い貯蔵弾性率(E’)の値は、溶剤乾燥効果だけでなく、結合剤の分子量増加や分子の分子間力、または架橋等の化学反応等その他一切の分子間の接近且つその状態をほぼ保持できる手段によって得ることもできる。
以上は、塗工工程後の乾燥段階(室温乾燥および強制乾燥)での実比重を上げるための方策であるが、前述した通り、磁性塗料に関しても、塗工前の粘度を高くすればするほど、溶剤量を減らすことができ、乾燥工程で発生する溶剤痕(エアー)が少なくなる傾向はある。エアー(溶剤)排出効果を得やすくするためには、高粘度の磁性塗料を用いた塗工が望まれる。好ましい粘度範囲は、103〜106cps(B型粘度計)、より好ましくは104〜105cps(B型粘度計)である。
本発明に於ける、塗工シートの乾燥後比重を高めるための考え方は以下の通りである。塗液が概略的に結合剤/磁性粉/溶剤の3成分系とすると、乾燥後は結合剤/磁性粉の2成分系となる。この中で溶剤は結合剤との親和性を持つが、化学結合するものではなく、溶剤の運動性や揮発性などによりいずれ消失するものである。この排出をなるべく自然に、且つ迅速に行うとしたのが本発明の方法となる。具体的には、結合剤の凝集力を高めて迅速に溶剤排出できる配合とすること、シート乾燥時に外表面も内部もなるべく均一に乾燥できる条件とすること、とくに外表面の乾燥を先行させ過ぎず、シート外表面においてはシート内部から移動してくる溶剤を継続して連続的になるべく長く排出状態とすること、シート内部にエアー痕や空隙を残さない様に溶剤の沸点あるいは共沸点より低い温度で乾燥することを述べている。
これらの方策を実行すると、塗工及び乾燥後のシートの実比重が大きくなる。とくに実機塗工機の乾燥ゾーンを、塗工速度を上げて通過する場合(上記強制乾燥に対応)でも実比重が高いシートを得ることができるようになる。そのため、従来行われていた加圧工程が不要となる。しかし、軟磁性粉末の配向不足を補完するなどの目的のために、必要に応じて、簡易なカレンダー工程を加えるような加圧工程を組み合わせてもよい。
軟磁性粉末と結合剤との配合割合は、軟磁性粉末30〜80体積%と結合剤20〜70体積%であるのがよく、軟磁性粉末40〜70体積%と結合剤30〜60体積%であるのがより好ましい。軟磁性粉末の含有量が30体積%を下回り、結合剤の含有量が70体積%を超えると、所望の磁界を集める効果が得られなくなる。逆に軟磁性粉末の含有量が80体積%を超え、結合剤の含有量が20体積%を下回ると、得られる磁性シートがもろくなるので、加工が困難になる。
本発明の磁性シートは、実比重/理論比重が0.5以上であるのがよい。この理論比重の計算に溶剤は含めていない。計算上、溶剤は完全に乾燥して抜けるという前提である。実比重/理論比重が0.5未満であると、磁性シート内部に多量の空孔が存在するため、磁性シートの効果が低下する。ここで、実比重とは、製造した磁性シートの重量/体積から求められる値であり、理論比重は、各構成成分の比重×含有量の総和を体積で除して求められる。磁性シートが薄型等で構成される場合、その理論比重値は2.5〜7の範囲である。
内部にエアーが残留して空孔が生じると、磁性シートの効果が大幅に低下してしまうため、空孔の発生をできるだけおさえ軟磁性粉末を高密度で充填することが望まれる。しかし、内部に残留するエアーを完全に排出するのは困難であり、実際には製品中に加工工程や軟磁性粉末の形状および量から、残留エアー(空隙)が必然的に残ることになる。つまりこの状態は本来エアー(空隙)がないとした場合の比重(理論比重)に比べ、一般には比重が低下していることを意味する。
また、軟磁性粉末の分散性及び防錆効果を高めるために、軟磁性粉末の含有量に対し0.1〜10重量%の分散剤を添加するのが好ましい。分散剤としては、各種のタイプを1種類もしくは数種類使うことができる。例えば高級脂肪酸または高級脂肪酸塩を単独で用いるか、これらを組み合わせて用いることができる。ここでいう高級脂肪酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。高級脂肪酸または高級脂肪酸塩の炭素数は10以上が好ましい。より好ましくは、14〜20である。飽和高級脂肪酸および不飽和高級脂肪酸のいずれも使用可能であるが、安定性の上で飽和高級脂肪酸であるのが好ましい。また、高級脂肪酸塩としては、これら高級脂肪酸のアルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。組合せて用いる場合の高級脂肪酸/高級脂肪酸塩の比率は、重量比で10/90〜90/10であるのがよい。
本発明では、上記で例示した高級脂肪酸金属塩のうち、ステアリン酸金属塩を用いるのが好ましい。該ステアリン酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸スズ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
上記のような高級脂肪酸金属塩を含有すると、磁性シートの表面抵抗率及び難燃性が向上すると共に、前記軟磁性金属の分散性及び防錆性が向上する。これらの効果が得られる理由としては、成形加工工程において高級脂肪酸金属塩が軟磁性金属の表面を被覆するように磁性シート中に分散し、軟磁性金属の表面を緻密に被覆しながら、他の軟磁性金属との間に錯体状のネットワークを形成していることによるものと推察される。
前記高級脂肪酸金属塩は、前記軟磁性金属の総体積に対して0.01〜5体積%、好ましくは0.5〜4体積%含有するのがよい。この範囲内で高級脂肪酸金属塩を含有することにより、上記した効果を得ることが出来る。すなわち磁性シートの表面抵抗率が向上すると共に、前記軟磁性金属の分散性及び防錆性が向上する。これに対し、含有量が0.01体積%より少ないと、上記した効果が得られないおそれがあり、5体積%を超えると結合剤の特性が希釈されるため、磁性シートの磁気特性が低下するおそれがあるので好ましくない。
本発明の磁性シートは、複素比誘電率の実数部(ε’)、虚数部(ε”)、及び複素比透磁率の実数部(μ’)、虚数部(μ”)を有している。軟磁性粉末を添加することで磁性シートの複素比透磁率の実数部μ’が増す。また135KHz以下帯及び13.56MHz帯で複素比透磁率の実数部μ’は大きく、且つ複素比透磁率の虚数部μ”は小さいという関係を得ることができる。この関係は、電磁誘導方式の無線通信に用いられるループアンテナ(アンテナコイル)の通信妨害部材の影響を回避するために用いられる磁性シートとして適したものになる。
複素比透磁率の実数部μ’が大きいほど、磁力線(磁束)がシートに集中して通るようになり、複素比透磁率の実数部μ’が小さいほど、磁力線(磁束)がシートを通りにくい構成となる。また複素比透磁率の虚数部μ”が大きいほど磁界のエネルギを損失させ、複素比透磁率の虚数部μ”が小さいほど磁界のエネルギを損失させにくい構成となる。μ”を下げるためには、磁性金属粉の量、種類、形状、組成、純度を最適化することで、磁気共鳴を示す周波数を通信周波数より高周波数側にシフトさせることにより達成できる。また、扁平形状の軟磁性金属を密に配向、分散させることで、コンデンサーの電極板が接近した構成となり、コンデンサーの容量が大きくなり、シートのみかけの複素比誘電率の実数部ε’が大きくなり、また導電性金属を多量に配合することでシート全体の導電性が上り、複素比誘電率の虚数部ε”も大きくなる。ここで、図7および図8に示すように、複素比誘電率の実数部ε’および複素比誘電率の虚数部ε”は、それらの値の周波数依存性が比較的少なく、安定している。このことはある周波数で示された複素比誘電率の実数部ε’および複素比誘電率の虚数部ε”の値は、全周波数に対する磁性シートの性質をほぼ代表するものであるといえる。
磁性シートとしては、135KHz以下帯及び13.56MHz帯といった電磁誘導方式の無線通信に用いられる周波数の電磁波に対しては、複素比透磁率の実数部μ’が25以上と大きく、かつ複素比透磁率の虚数部μ”が9以下と小さい。この関係は、tanδ(=μ”/μ’)としてみると、0.3以下になると言い換えることができる。例えば、複素比透磁率の実数部μ’が60とした場合、tanδ(=μ”/μ’)=0.3とすると複素比透磁率の虚数部μ”は18となり、9よりも大きくなる。この場合は、tanδ(=μ”/μ’)=0.3の制限が優先適用され、複素比透磁率の虚数部μ”は18以下となる。これによって135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波によって形成される磁界に対して、磁力線(磁束)がシートを集中して通り易くなるようにし、その上で磁界のエネルギを損失させないようにすることができる。したがって磁性シートを用いることによって、135KHz帯以下及び13.56MHz帯の電磁波を、エネルギの損失を小さく抑えたうえで漏れないように通過させることができる。
さらに、本発明の磁性シートは、135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波に対しては、複素比誘電率の実数部ε'が30以上と大きく、かつ複素比誘電率の虚数部ε"が500以下と小さい。具体的には、13.56MHzの場合、複素比誘電率の虚数部ε"が500という数字から、導電率σ=0.4S/m、抵抗率ρ=2.5Ω・mが導かれ、これらの数値よりもシートが低導電率または高抵抗率となることから、シート自身に渦電流が発生しないことを意味する。複素比誘電率の実数部ε’が大きい場合、電気力線の取り込み易い特徴があり、複素比透磁率の実数部μ’の大きい場合の磁力線を取り込み易い特徴と相まって、電磁環境をクリーン化することに寄与する。
このような磁性シートは、例えば135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波を利用して無線通信する場合において、リーダ/ライタ(R/W)やタグのアンテナコイルの近傍に金属製の部材等(導電性部材、磁性材等の通信妨害部材)が存在する場合、アンテナコイルと通信妨害部材との間に設けられる。これによって135KHz帯以下及び13.56MHz帯の電磁波の通信妨害部材側への漏れが防がれ、通信妨害部材によって、135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波のエネルギが減衰または共振周波数がシフトさせられてしまうことが防がれる。しかも磁性シート自体は、磁性損失が小さく抑えられている。したがってアンテナの近傍に通信妨害部材が存在する状態であっても、135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波を利用して好適に無線通信することができる。この効果は、リーダ/ライタ、タグのどちらの場合でも同様に得ることができる。135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグの通信に主に用いられる。したがってRFIDタグを用いて、好適に通信することができる。
なお、通信周波数は認可された周波数が使われるが、タグや非接触ICカードなどの無線通信機器に於いては干渉回避の理由などから、通信周波数と異なる周波数に調整してあるケースもあるが、これらの動作可能な周波数も本発明で示す周波数帯に含まれる。
一方、本発明の磁性シートは、100MHz〜1GHzの電磁波に対しては、複素比透磁率の実数部μ’が7以上と大きく、また複素比透磁率の虚数部μ”が5以上と大きい。具体的には、例えば図7および図8に示す100MHz〜1GHzの電磁波に対透磁率の損失を現すtanδ(=μ”/μ’)は、各周波数にて0.3を超える関係にあり、磁気損失性能に優れることがわかる。これによって100MHz〜1GHzの電磁波によって形成される磁界に対して、磁力線(磁束)がシートを通るようにし、その磁界のエネルギを損失させることができる。したがって本発明の磁性シートを用いることによって、100MHz〜1GHzの電磁波を吸収及び減衰することができる。したがって100MHz〜1GHzの電磁波に対して、不要放射ノイズ等を抑制することができる。
よって、通信に利用する135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波に対しては、損失を小さく抑え、不要な100MHz〜1GHzの電磁波は、吸収することができ、さらに好適に通信することができる。さらに1GHzを超えるマイクロ波帯にも干渉抑制効果を有することは、例えば実施例で示した図7および図8から読みとれる。図7および図8では、通信に利用する135KHz以下帯及び13.56MHz帯の電磁波に対しては損失を小さく抑え、不要な100MHz〜1GHzの電磁波は吸収することができる特性を、周波数別に1つのシートが有していることが示されている。
また本発明の磁性シートは、難燃剤または難燃助剤が添加されているのが好ましい。これによって磁性シートに難燃性が付与されている。例えば携帯電話などのエレクトロニクス機器も、内装するポリマー材料に難燃性を要求されることがある。
このような難燃性を得るための難燃剤としては、特に限定されることはないが、例えばリン化合物、ホウ素化合物、臭素系難燃剤、亜鉛系難燃剤、窒素系難燃剤、水酸化物系難燃剤、金属化合物系難燃剤などを適宜用いることができる。リン化合物としては、リン酸エステル、リン酸チタンなどが挙げられる。ほう素化合物としては、ホウ酸亜鉛などが挙げられる。臭素系難燃剤としては、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモベンジルフェニルエーテル、デカブロモベンジルフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノール、臭化アンモニウムなどが挙げられる。亜鉛系難燃剤としては、炭酸亜鉛、酸化亜鉛若しくはホウ酸亜鉛などが挙げられる。窒素系難燃剤としては、例えばトリアジン化合物、ヒンダードアミン化合物、若しくはメラミンシアヌレート、メラミングアニジン化合物といったようなメラミン系化合物などが挙げられる。水酸化物系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。金属化合物系難燃剤としては、例えば3酸化アンチモン、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化クロム、酸化鉄などが挙げられる。難燃剤および難燃助剤の組合せおよび量は、所望の難燃性を得るために適宜の組合せおよび量が選択されるが、RoHS指令対象物質を除外しても、十分にUL94V0相当の難燃性を得ることは可能である。
本実施形態では、重量比において、結合剤を100に対して、臭素系難燃剤を20、三酸化アンチモンを10、リン酸エステルを14の比で、それぞれ添加することによって、UL94難燃試験においてV0相当の難燃性を得ることができる。磁性シートは、このような物品を構成する素材として、または物品に装着して好適に用いることができる。例えば航空機、船舶、自動車および車両内の装置など、燃焼およびこれに伴うガスの発生を防止及び抑制したい空間などで用いられる物品に装着するなどして、好適に用いることができる。
本発明の磁性シートは、結合剤、軟磁性粉末以外にも前述の添加剤に限定されることなく、無機系充填材、微粉末、ゲル状物質など必要に応じて一切添加物を加えることができる。加えた添加剤は本発明でいう充填剤である。
磁性シートは、少なくとも一方の表面部が、粘着性または接着性を有している。本実施形態では、図1に示すように、磁性シート2の厚み方向の片面に貼着層3(粘着剤層または接着剤層)を有している。磁性シート2は、貼着層3の粘着性または接着性による結合力によって、物品に貼着することができる。したがって磁性シート2を、例えば金属製部材に貼着することによって、アンテナ素子と金属製部材との間に、容易に設けることができる。磁性シートは、厚み方向一方側がアンテナ素子側に配置され、厚み方向他方側が金属製部材側に配置されて設けられる。貼着材としては、例えば日東電工社製No.5000NSが用いられる。
本発明の磁性シートは、厚さが1μm〜10mm、好ましくは10μm〜1mmの(薄型磁性)シート状の形態で使用するのが好ましい。一般にシート状の場合には、内部に(扁平)軟磁性粉末が凝集して、エアーや溶剤の揮発ガスの抜け道に自由度がなくなり、空隙がそのままシート中に残り易いのに対して、本発明では、シート中の残量エアーを殆どなくしている。
本発明の磁性シートは、前記(扁平)軟磁性粉末と結合剤とを含有した磁性塗料を、例えば支持体上にブレード等にて塗布、乾燥し、ついでこの支持体から分離(剥離)させることで得られる。
前記磁性塗料の調製には、(扁平)軟磁性粉末および結合剤を溶解または分散させるための溶剤を使用する。このような溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチルグリコールアセテート等のエステル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロフォルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物などを用いることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で使用できるほか、2種以上をブレンドして用いてもよい。
前記磁性塗料は、前記溶剤を結合剤100重量部に対して1000重量部以下、好ましくは100〜800重量部の割合で含有するのがよい。これに対し、溶剤の含有量が1000重量部を超えると、シート中に残留エアーが残るので好ましくない。
前記塗料調製のための分散および混練装置としては、例えばニーダ、アジタ、ボールミル、サウンドミル、ロールミル、エクストルーダー、ホモジナイザ、超音波分散機、2軸遊星式混練機等を用いることができる。これら分散および混合装置のうち、特に(扁平)軟磁性粉末を破壊、歪みを与えない、アジタ、ボールミル、ロールミル、ホモジナイザ、超音波分散機、2軸遊星式混練機等が好ましい。
前記支持体としては、特に限定されるものではなく、例えば紙、ポリオレフィン等の高分子樹脂をラミネートした紙、紙、高分子樹脂、布、不織布、金属、金属処理(蒸着、メッキ)したもの等が挙げられる。これらのうち、薄くて強度が有る高分子樹脂が好ましく、この高分子樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類の水素の一部または全部をフッ素樹脂で置換したフッ素樹脂、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリイミド等が挙げられる。これらの高分子樹脂表面は、シリコーン樹脂等の離型剤で剥離処理を施しているのが、磁性シートを簡単に剥離することができるうえで好ましい。また、これらの高分子樹脂は、厚さ1μm〜100mm程度のフィルム状であるのがよい。
前記支持体上に磁性塗料を塗布する方法は、特に限定されるものではなく、例えばエアドクターコート、ブレードコート、ワイアバーコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、エクストルージョンコート、ダイコート、スピンコート等の従来の方法は、いずれも採用可能である。
また、前記磁性塗料を支持体上に塗工中または塗工後に磁場を加えてもよい。これにより得られる磁性シートは、扁平軟磁性粉末を面内方向に配向させているので、軟磁性粉末をより高密度に充填することができる。扁平軟磁性粉末を面内方向に配向させるには、例えば塗工面の上方または下方に永久磁石を設置し、垂直方向(シートの厚さ方向)に磁場を加える。磁場の強さ(磁束密度)は、溶剤に溶解または分散している結合剤、扁平軟磁性粉末の種類により異なるが、一般に0.01〜1テスラの範囲が選ばれる。
支持体上に塗布、乾燥し、ついで所定の形状にするために切り落とされた端材は、回収して支持体を剥離し、例えば前記磁性塗料に加えることで、この塗料中の溶剤に簡単に溶解または分散するので、再利用することができる。この支持体は、剥離しても良いし、最終製品として磁性シートと一体に供せられるものでも良い。剥離すれば薄型化に寄与できるし、一体化すれば磁性シートの剛性向上やスリット等の加工性向上に寄与することになる。
また、架橋剤を添加して前記結合剤を架橋させ、磁性シートの耐熱性を向上させてもよい。なお、この場合には、再利用がしにくくなる。
図2(b)、(c)は、磁性シート7を備えるタグを簡略化して示す断面図である。タグは、無線通信によって情報を伝達する電子情報伝達装置の1つであり、例えば固体の自動認識に利用されるRFID(Radio Frequency Identification)システムのトランスポンダとして用いられる。
図2(b)、(c)に示すタグは、図2(a)に示すような磁界型のアンテナ素子4と、アンテナ素子4に電気的に接続されアンテナ素子4を用いて通信する通信手段である集積回路(以下「ICチップ」という)5と、本発明にかかる磁性シート7とを備えている。タグは、リーダからの要求信号をアンテナ素子4によって受信すると、ICチップ5内に記憶されている情報を表す信号をアンテナ素子4によって送信するように構成されている。したがって、リーダは、タグに保持されている情報を読取ることができる。タグは、例えば商品に貼着して設けられ、商品の盗難防止および在庫状況の把握など、商品管理に利用されている。アンテナ素子4と磁性シート7とを含んでアンテナ装置が構成される。なお、本発明のシートを用いてアンテナ装置を構成する場合、ICチップ5を用いなくても同様の効果を得ることができる。
アンテナ手段であるアンテナ素子4は、前述のように、アンテナコイルである。アンテナ素子4は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる基材6の厚み方向一方側の表面部に形成される導体線路によって実現される。ICチップ5は、アンテナ素子4の例えば一カ所に配置され、電気的に接続されている。ICチップ5は、少なくとも記憶部と制御部とを有している。記憶部には情報を記憶することが可能であり、制御部は、記憶部に情報を記憶させ、または記憶部から情報を読出すことができる。このICチップ5は、アンテナ素子4によって受信される電磁波信号が表す指令に応答して、情報を記憶部に記憶し、または記憶部に記憶される情報を読出して、その情報を表す信号をアンテナ素子4に与える。基材6は、任意の形状がとれ、例えば方形状である。アンテナ素子4は、基材6の外周囲の内側に、通常何周か(例4〜6周)の巻き数を持って設けられる(図2(a)参照)。アンテナ素子4およびICチップ5の層厚は、1nm以上1,000μm以下であり、基材6の層厚は0.1μm以上1mm以下である。なお、この場合、磁性シート7に直接アンテナ素子4を印刷、加工することで基材6を用いない構成であってもよい。
アンテナ素子4、ICチップ5および基材6によって、タグ本体が構成される。タグ本体は、可撓性を有する接着テープに搭載されるなどしてパッケージングされている。タグ本体とシート体とによって、タグが構成されている。図2(b)には、簡略化して示しているが、タグ本体に磁性シート7が貼着される状態で積層される。図2(b)には示されていないが、タグ本体(基材6が含まれない構成もある)と磁性シート7との間には粘着剤層または接着剤層を用いるか、タグ本体および磁性シート7のどちらか又は双方が粘着性および接着性を有することにより貼付けられる場合もある。タグ本体は、アンテナ素子4およびICチップ5が設けられる側とは反対側の表面部を磁性シート7に対向させ、磁性シート7に導電性反射層9などの層が結合されても良い。磁性シート7とタグ本体との結合構造は、特に限定されるものではないが、粘着剤および接着剤を含む結着剤を用いて結合してもよい。図2(b)(c)には、磁性シート7とタグ本体とを結合するための構成は省略して示す。タグは、厚み方向一方側から他方側に、アンテナ素子4およびICチップ5の層、基材6の層、磁性シート7、結着層、導電性反射層9ならびに貼着層がこの順で積層されている。磁性シート7と基材6とは、同一の形状(例えば、方形状)に形成されている。ただし、磁性シート7は基材6と同一形状とは限らない。導電性反射層9は必須成分ではなく、近傍の金属をその用途に用いても良い。
導電性反射層9は、少なくとも導電性を有し、電磁波を反射させる層である。導電性反射層9は、導電性材料から成る板、シート、フィルム、箔、織布または不織布であってもよいし、合成樹脂に導電性材料を混合した混合材料から成る板、シート、フィルム、箔、織布または不織布であってもよいし、合成樹脂等から成る基材に導電性材料から成る導電性膜が形成される板、シート、箔、織布またはフィルムであってもよい。アルミニウム、銅、銀、金、鉄、ステンレス等の汎用の導電性金属や磁性金属をそのまま用いても良いし、それらを含有し導電性を発現させたインク、ペースト、接着剤として使用しても良い。また蒸着、スパッタ、メッキ、印刷しても良いし、フィルム、箔、メッシュなどを積層することも可能である。導電性反射層9を形成する導電性材料は、金属であってもよいし、カーボン、黒鉛などの金属以外の材料であってもよい。
アンテナ素子4は、アンテナ素子4が拡がる方向と交差する方向へ向けて電磁波信号を送信し、アンテナ素子4が拡がる方向と交差する方向から到来する電磁波信号を受信することができる。本実施形態では、アンテナ素子4を基準にして、基材6および磁性シート7とは反対側に向かう送受信方向Aへ電磁波信号を送信し、送受信方向Aから到来する電磁波信号を受信することができる。
アンテナ装置は、アンテナ素子4を有し、アンテナ素子4を介して信号を送受信する装置である。従って、アンテナ素子4を必須の構成要素とするが、インピーダンス整合部や同軸ケーブルなどの線路が付属していることもある通信装置である。このアンテナ素子4に通信改善のために磁性シート7を付加させた構成や磁性シート7および導電性反射層9を付加させることが好ましく、この磁性シート7および導電性反射層9を付加させて、アンテナ素子4の共振周波数を通信周波数域に調整したアンテナ装置とすることができる。磁性シート7および導電性反射層9は一体として機能するが、それぞれもしくは部分的に独立して使用時に一体化する構成であっても良い。
タグは、例えばリーダである情報管理装置から、予め定める記憶すべき情報(以下「主情報」という)と、その主情報を記憶するように指令する情報(以下「記憶指令情報」という)とを表す電磁波信号が、アンテナ素子4によって受信されると、主情報および記憶指令情報を表す電気信号がアンテナ素子4からICチップ5に与えられる。ICタグは、制御部が、記憶指令情報に基づいて、主情報を記憶部に記憶させる。
また情報管理装置から、記憶部に記憶される情報(以下「記憶情報」という)を送信するように指令する情報(以下「送信指令情報」という)を表す電磁波信号が、アンテナ素子4によって受信されると、送信指令情報を表す電気信号がアンテナ素子4からICチップ5に与えられる。ICタグは、制御部が、送信指令情報に基づいて、記憶部に記憶される情報(記憶情報)を読出し、その記憶情報を表す電気信号をアンテナ素子4に与える。これによってアンテナ素子4から、記憶情報を表す電磁波信号が送信される。
このようにタグは、アンテナ素子4によって電磁波信号を送受信する電子情報伝達装置である。タグは、内蔵するバッテリによって駆動されるバッテリ駆動タグであってもよいし、受信した電磁波信号のエネルギを利用して電磁波信号を返信するバッテリレスタグであってもよい。
このようなタグは、通信妨害部材となる金属面および磁性体面の近傍で用いることができるようにするために、磁性シート7を備えている。磁性シート7は、アンテナ素子4に対して、送受信方向Aと反対側に設けられる。磁性シート7は、貼着層3を用いて金属等の通信妨害部材8に貼着して用いられる。このタグは、磁性シート7を通信妨害部材8側に配置して、アンテナ素子4と通信妨害部材8との間に磁性シート7が介在するように構成される。磁性シート7はアンテナ素子4と同一形状であっても良いし、同一形状でなくてもよく、例えばアンテナ素子と平面形状がアンテナ素子4と同じ大きさのリング形状や、それ以外のスリットや孔が開いた形状でも良い。磁性シートは、アンテナ素子と同じ形状でも、アンテナ素子より大きい形状でも小さい形状でも取りうる。例えば、アンテナ素子4と通信妨害部材8の間に少なくとも部分的に用いられ、通信改善の効果が得られるものであれば良い。さらに導電性反射層を積層する場合の、導電性反射層の形状も同様である。
図3に示す様に、電磁界を集中させて通過させ、磁性シート11によって仕切られる二つの領域のうち、一方の領域の電磁界が他方の領域に漏れ、その一方の領域の電磁界のエネルギが他方の領域に伝わることを磁性シート11によって防ぐことができる。遮蔽可能な電磁界は、もちろん電磁波によって形成される電磁界も含んでおり、したがってこの電磁界を形成する電磁波を遮蔽することができる。図3はアンテナ素子16から送受信される電磁波による磁界を例示している。
具体的に述べると、磁性シート11は、複素比透磁率の実数部μ’が大きい材料から成るので、この磁性シート11を磁界中に設けると、図3に示すように、磁力線20が磁性シート11を集中して通るようになり、近傍に存在する通信妨害部材(例えば金属)19内を通らないか、または通りにくくなる。これによって、磁性シート11を用いることによって、磁界を遮蔽して、磁性シート11によって仕切られる一方の領域であるアンテナ素子16が設けられる領域の磁界が、他方の領域である金属製の部材19が設けられる領域に漏れることを防ぐことができる。
図3に示す位置と同様の位置にアンテナ素子16が設けられる場合に、磁性シート11が設けられていなければ、送信される電磁波による磁界の磁力線が、たとえば図3に仮想線21で示すように、金属などの通信妨害部材19の表面近傍を通るようになる。このように磁力線が通信妨害部材19の表面近傍を通ると、磁界の変化に伴って通信妨害部材19の表面に渦電流が誘導される。このプロセスで渦電流損により磁界のエネルギが熱エネルギに変換され、磁界のエネルギが吸収されてしまう。また渦電流が、タグの磁界と逆向きの磁界(反磁界)を発生させることにより、磁界が相殺により減衰させられてしまう効果も生じる。さらにアンテナ素子16のインダクタンス変化により、共振周波数がシフトしてしまい(図11参照)、自由空間での条件で設計された通信周波数が異なることによる通信不良の問題も生じる。
これらに対して磁性シート11を用いて磁界を集中及び通過させることによって、磁性シート11に関して通信妨害部材19と反対側の磁界のエネルギが、通信妨害部材19によって吸収及び減衰されてしまうことが防がれる。したがって磁性シート11に関して通信妨害部材19とは反対側であるアンテナ素子16側で、アンテナ素子16によって送受信される電磁波によって形成される磁界のエネルギが、通信妨害部材19によって吸収及び減衰されてしまうことが防がれる。
さらに磁性シート11は、複素比透磁率の虚数部μ”が小さい材料から成るので、この磁性シート11の中を磁束が通過しても通過に伴う磁性シート11内でのエネルギの損失を小さく抑えることができる。これによって磁力線が磁性シート11内を集中して通るようにしても、磁性シート11自体が磁界のエネルギを損失させてしまうことが抑制されている。このように磁性シート11は、近傍に存在する通信妨害部材19による磁界のエネルギの吸収を防止したうえで、自己による損失を小さく抑え、磁界のエネルギの減衰を可及的に小さくすることができる。
また、例えば図11に示す様に、通信妨害部材43の影響によりシフトしてしまったアンテナ素子16の共振周波数を修正する機能も有している。具体的には、アンテナ素子16の近傍の通信妨害部材19(金属など)の影響で高周波数側にシフトした共振周波数を磁性シート11の存在(形状、厚み、μ’、μ”、ε’、ε”)により自由空間の通信周波数に戻すことができる。もっともこの機能に関しては、一般に正確な周波数調整のために、マッチング回路を取り付けての調整が行われている。さらに、この周波数の整合の手間を省くため、アンテナ素子16、磁性シート11、及び導電性反射層(図示せず)を積層し、共振周波数を整合させた状態のタグ等電子情報伝達装置が提供される。なお、図3において、12は貼着層を、17はICチップを、18はアンテナ素子16の断面の中心を繋ぐ線を、矢印Aは電磁波信号の送受信方向をそれぞれ示している。
このような磁性シート11を、前述のようにアンテナ素子16と通信妨害部材19との間に介在させることによって、アンテナ素子16によって送受信される電磁波信号による電磁界のエネルギが、通信妨害部材19で吸収及び減衰されてしまうことが防がれる。しかもこのような通信妨害部材19の影響を防ぐための磁性シート11自体は、磁性損失および誘電性損失が小さく抑えられている。したがってアンテナ素子16によって好適に、しかも長距離を送受信することができる。したがってタグ15が、通信妨害部材19の近傍に設けられる場合であっても、情報管理装置とタグ15との間で情報の無線通信が可能であり、情報管理装置から送信された電磁波信号の表す情報をタグ15に記憶させ、またタグ15に記憶されている情報を、情報管理装置によって読出すことができる。
このように、磁性シート7を用いることによって、アンテナ素子4を用いるタグを、通信妨害部材8に貼着するなどして、通信妨害部材8の近傍に設け、電磁波信号の好適な送受信を実現できる状態で、タグを用いることができる。したがって、例えば図4に示すように、タグ30を、通信妨害部材である金属製の容器13に飲料を収容した飲料品40に貼着して、商品管理などの目的で用いることができる。また、例えば図5に示すように、タグ24を、基板など通信妨害部材が多数用いられている携帯電話装置などの電子装置23に内蔵するようにして、例えば商品管理またはユーザ認証、盗難防止などの目的で用いることができる。このようにタグの広い用途を確保することができ、利便性の高いタグを実現することができる。
また、本発明の磁性シートの用途は、ICタグ、RFIDタグ、非接触ICカード、入退出カード、乗車券、定期券、カードケース、ラベル等のタグ関係に限定されるものではなく、それら以外の電子情報伝達装置であってもよいし、アンテナ素子と磁性シートとを用いてアンテナ装置として構成されていてもよい。タグ以外の電子情報伝達装置としては、例えばタグとともにRFIDシステムを構築するアンテナ、リーダ、リーダ/ライタ、携帯電話装置、PDAおよびパソコンなどが挙げられるが、これ以外の盗難防止装置、ロボット類の遠隔操作などの通信、車載のECU、その他の電波による無線技術が用いられる一切のアンテナ機能部品であってもよい。周波数がラジオ波域に限定しないことも前述の通りである。
また通信周波数は、13.56MHz帯や135KHz以下帯等に限定されることはなく、他の周波数においても使用することが可能である。例えば、UHF帯やマイクロ波帯に於いてもループ状アンテナ等を使用して、直接的あるいは間接的に磁界を利用した通信になる場合には本発明の磁性シートを用いることができる。
磁性シートとしては、通信周波数の電磁波の遮蔽用途、電磁波の指向性を制御する部材等にも用いることができる。また通信周波数以外の電磁波に対しては電磁波を捉えて熱変換する電磁干渉抑制体や電波吸収体として使用することも可能である。またタグは、前述の物品以外の通信妨害部材を有する物品であってもよい。タグ及びタグを含むアンテナ装置としては、以上の基本構成をモールディングやパッケージングする形態で使用される。
本発明の磁性シートを有するアンテナ装置としては、その構成中、アンテナ素子4と磁性シート7が必須成分であり、これら以外にいかなる構成要素(ICチップ、マッチング回路、誘電体、空間Gap、突起部、バッテリ部、その他回路、導電性反射層、モールディング部、他機能部品等)を加えることも可能である。またすべての構成要素の形状、数、種類、組み合わせに制限はない。
磁性シート7に導電性反射体層9を積層した場合(例えば図2(c))、アンテナ素子4の共振周波数を調整(整合)すれば、どのような通信妨害部材8(導電性材料から成る部分を有する部材)の近傍で無線通信する場合でもアンテナとして機能することになる。アンテナの共振周波数の調整(整合)はコンデンサー等を付加することによるインピーダンス調整(整合)によるなどの公知の手段を用いることができる。
以上のことから、通信周波数の電磁波を利用して無線通信する場合において、2枚の非接触ICカードを同一のカードケースに収容するなどして、アンテナ素子(例えばアンテナコイル)の近傍に通信妨害部材(他のアンテナコイル)が存在する状態であっても、アンテナ素子と通信妨害部材との間に本発明の磁性シートを設けることによって、通信周波数の電磁波を利用して好適に無線通信させることができる。この場合の通信妨害部材は、別の非接触ICカードのアンテナコイルである。また磁性シート7と導電性反射層9の積層体とすることで、より確実にアンテナコイル同士の影響を減らし、磁性シート7の通信改善効果を得ることができる。
また、磁性シート7/導電性反射層9/磁性シート7の積層構成とすれば、この積層体を挟んで両面に相異なる同通信周波数の非接触ICカードを同時に設けても(後述する図13を参照)、それぞれの非接触ICカードの読み取りが可能になり、非接触ICカード同士を離反させなくても、それぞれ非接触ICカードと読取装置との通信が可能となる。この際に、片面側の非接触ICカードのみを読み取り、他方側の非接触ICカードまで読みとらないように、例えば導電性反射層9を磁性シート7より大きくするなどのサイズ差を設けたりすることもできる。磁性シート7/導電性反射層9の構成の積層体とすると、導電性反射層9側に配置された非接触ICカードはスキミング防止が得られ、磁性シート7側に配置された非接触ICカードは無線通信が可能といった通信特性に異方性を持たせることも可能となる。これらの場合の磁性シート7による通信改善効果は金属に対する通信改善効果と同じである。これらの積層体とアンテナ素子により構成されるアンテナ装置も本発明の電子情報伝達装置である。電子情報伝達装置は、具体的にはカードケース、収容体、タグ(カード)ホルダー、定期券入れ等の形態となる。
他の例として本発明の磁性シートは、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるICタグ機能を持つモバイル端末での13.56MHz帯の周波数を用いる無線通信を改善するために近傍金属の影響を減らす目的で用いられる、導電性面とアンテナコイルの間に挿入される磁性シートにも使用できる。腕時計等の無接点充電、自動車等のキーレスエントリー、FeliCa対応機器、ICカード、タグ、列車の速度減速手段に用いられるATS装置、低周波(10MHz以下)対応の磁気シールド、ラジオの音声に対するノイズを抑える磁気シールドボックス、ECU、溶鉱炉等の磁気ノイズ遮蔽手段、さらに、GHz帯の無線通信、無線LAN、ETC用等各種の通信改善手段や電波吸収体として、また同様に無機系の充填材(形状が扁平状であっても、あるいは扁平以外であっても、または軟磁性を有していても、あるいは有していなくとも)を多量に使用することになる感圧センサー、誘電センサー、磁気センサー、磁気テープ、リチウムイオン電池、各種電極材料、電池材料等にも使用することができる。これらに磁性シートを有するアンテナ装置を組み込むことにより、本発明の電子情報伝達装置となる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の磁性シートを詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例で使用した材料は次の通りである。
(a)ウレタン樹脂:日本ポリウレタン工業株式会社製のニッポラン
(b)軟磁性粉末:扁平Fe−Ni−Cr−Si(三菱マテリアル株式会社製のJEM粉)
各ポリマーの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、GPC法によるポリスチレン標準分子量への換算により決定した。
また、貯蔵弾性率(E’)は、セイコーインスルメンツ株式会社製DMA(動的粘弾性測定装置)により測定した。各実施例および比較例で用いたポリマーについての貯蔵弾性率(E’)を図6に示す。なお、比較例1は、貯蔵弾性率(E’)が1.0×106Pa以下であったため、図6には記載されていない。
ポリマーの軟化点は、シート状サンプル(JIS 2号ダンベル形状)に一定荷重の重りを与え、恒温槽内で5℃/分の昇温を行い、シート状サンプルの伸びが最大となった温度により決定している。
[実施例1〜5および比較例1〜3]
<磁性シートの作製>
乾燥時にシートの軟磁性金属粉の含有量が約40体積%となるように、結合剤及びその他の充填剤、そして溶剤(沸点109℃のトルエン)を加えて磁性塗料を作成し、ドクターブレード法にてPET(ポリエチレンテレフタレート支持体)上に塗工および乾燥してシート成形を行った。ついで、支持体をはがし、厚さ100μmの磁性シートを得た。表1において軟磁性金属粉は同一のものを同じ量だけ使っている。それぞれ異なるのは結合剤として用いたポリマーの性状である。表1の中で実施例3は、実施例1の樹脂に硬化剤(TDI系イソシアナート組成物)を加え乾燥時に架橋を施したものである。得られた磁性シートについて材料定数(μ’、μ”、ε’、ε”)、比重、表面抵抗率、13.56MHz帯通信特性をそれぞれ測定した。その結果を表1に併せて示す。上記測定時は室温25℃である。また表1中に乾燥温度を示している。室温乾燥の場合が25℃、強制乾燥の場合が55℃の乾燥温度となる。強制乾燥の場合は、循環雰囲気に一定の風速を与えていて、風乾の効果も加わっている。乾燥時間は、乾燥後シートの溶剤臭がなくなる残存溶剤量が0〜0.01%になる条件で決定した。
なお、表1において、例えば2.32E+0.7は2.32×107を表わしている(図面も同様である)。
Figure 0004917484
得られた磁性シートの材料定数、すなわち複素比透磁率の実数部μ’、複素比透磁率の虚数部μ”、複素比誘電率の実数部ε’および複素比誘電率の虚数部ε”は、材料をリング加工(外径7mm×内径3mm)して同軸管法で測定した。使用した機器は、周波数が1MHz〜1GHzに対してはマテリアルアナライザー(アジレント社製E4991A)であり、50MHz〜20GHzに対してはネットワークアナライザー(アジレント社製8720ES)である。図7および図8に、実施例1および実施例3における周波数と材料定数との関係を示した。
本発明の磁性シートは、13.56MHz帯及びそれ以下の周波数にて、複素比透磁率の実数部μ’が高く(25以上)、複素比透磁率の虚数部μ”が低い(6以下)の関係があり、磁界を集めやすく、集めた磁束を損失し難いという性質を有しているといえる。さらに複素比誘電率の実数部ε’の高さ(30以上)から電気力線も集め易いといえ、このε’の高さとμ’の高さが相まって、波長短縮効果を得ることができ、アンテナのサイズ縮小や磁性シートの薄型化にも寄与することができる。そして複素比誘電率の虚数部ε”が低い(500以下)ことから、磁性シート自体の導電率が低い傾向があり、抵抗値が高い傾向があることが判明し、それは磁性シート自身に渦電流が発生しないことを意味している。
実比重は、製造した磁性シートの重量/体積から求められる値であり、理論比重は、各構成成分の重量の総和を、各構成成分の重量を各比重で割って合計した総体積で除して求められる。磁性シートの場合、その理論比重値は、2.5〜7の範囲である。
表1から、Mnが1.5×104以上のポリマーを用いた系、また結合材の貯蔵弾性率E’が室温乾燥時または強制乾燥時に107Pa以上である系が、高い比重その他高性能を示している。
さらに結合材及び充填剤からなる磁性シートにおいて、乾燥温度(室温乾燥または強制乾燥)にて貯蔵弾性率E’が109Pa以上であることにより、良好な溶剤排出効果を発現して、高い比重その他高性能を得ることができる。図9は各実施例および比較例で得た磁性シートの貯蔵弾性率(E’)の測定結果を示している。なお、図9において、例えば「1.0E+08」とは「1.0×108」であることを示している。
貯蔵弾性率に関しては、25℃と55℃の2点を評価している。これは塗工シートを室温乾燥する場合が、磁性シートの25℃の貯蔵弾性率が当てはまり、塗工シートを強制乾燥する場合が、磁性シートの55℃の貯蔵弾性率が当てはまる関係となる。シートの強制乾燥の温度設定に関しては明確な基準はなく、上限もない。ただし、本発明に於いては溶剤の混入量の多いシートが入る乾燥炉の入口付近の温度設定を溶剤の沸点未満の温度にしており、実際の乾燥温度から55℃としている。この温度は通常、溶剤系(水系も含む)塗工シートが多量に溶剤または水を含む状態において、連続的に、しかも工業的な生産速度で乾燥される場合の一般的な温度であり、客観的な基準となる温度である。室温乾燥および強制乾燥のそれぞれの乾燥温度において、溶剤排出能力を貯蔵弾性率にて評価しており、それぞれの温度で貯蔵弾性率が高いほど、ボイドを発生が少ない乾燥シートを得ることができる。この溶剤排出能力を高めるためには、溶剤乾燥条件に於けるポリマーの凝集力を高めることが必要であり、本発明では分子量及び分子量分布に制限を設けている。
また実施例3は実施例1の樹脂を用い、架橋剤を添加して磁性塗料としたものである。磁性塗料の段階では架橋反応は起きず、実施例1とほぼ同じ性状の塗液として取り扱うことができる。乾燥時あるいは乾燥後に三次元架橋を施すことにより分子量及び分子量分布は実施例1よりも向上しており、ポリマーの凝集力も貯蔵弾性率も向上できている。
実施例5と比較例3は、同じ強制乾燥(55℃)を施したものであるが、透磁率や通信距離で大きな差がでている。この差は、その55℃に於ける結合剤と磁性シートの貯蔵弾性率(E’)の差に起因すると推測される。比較例3の配合であっても室温乾燥(25℃)すれば実施例4となり、透磁率や通信距離に改善がみられるため、乾燥温度での結合剤と磁性シートの貯蔵弾性率(E’)の値が本発明の請求項で示した数値以上であることは重要である。
<通信距離の測定>
13.56MHz帯通信特性は、RFIDシステムFeliCaリーダ/ライタ評価キット(13.56MHz帯)による通信距離の測定で評価した。すなわち、SONY(株)製のFeliCaリーダ/ライタ評価キット(図10)を用いて、ICタグとリーダ/ライタ間の通信距離の測定を行った。測定方法は、図10に示すように、基材31とこの基材31の表面に形成されたタグコイル32とからなるICタグ33(厚さ0.76mm)の裏面に磁性シート34、誘導電体層35および金属板36(通信妨害部材)をこの順に配置し、この状態でICタグ33とリーダコイル37(リーダ/ライタ)間の通信距離Lを測定した。なお、磁性シート34は厚さ100μmを用いた。一般に、通信距離Lは、金属板36のない自由空間では約10cmであったものが、金属板36をICタグ33に近接して設置した場合に通信距離が0cmになってしまう。
実施例3の磁性シート(厚さ100μmの場合)を金属板36とICタグ33のアンテナ間に配置した場合には、通信距離が3.7cmとなり、薄型シートにかかわらず顕著な通信距離改善効果が認められた。
ここで、磁性シートの重要な効果として、インピーダンス調整作用がある。これは金属(あるいは磁性体)が近傍にあることでアンテナコイルのインピーダンス(相互インダクタンス)が下がり、自由空間環境にて設計されたアンテナ素子の共振周波数はシフトしてしまう(一般に高くなる)。その金属(あるいは磁性体)とアンテナコイルの間に本発明の磁性シートがあると、シフトした共振周波数を、はじめに設計した周波数(例えば、13.56MHz帯)に接近させることができる。この効果によってもRFIDシステムの無線通信が改善される。
<シミュレーション結果>
以上の関係をシミュレーションにより示したのが、図11である。シミュレーション・ソフトは、米国Sonnet社製の高周波電磁界解析ソフト「SONNET」を用いた。そのシミュレーションを行った構成も図11中に示している。図11中、通信距離Lは45mmに設定されている。
図11において、Mは自由空間を、Nはシートなし、Pは磁性シートありをそれぞれ示している。また、41はリーダ(Reader)コイル、42はタグ(tag)コイル、43は通信妨害部材、44は磁性シート、45は基材を表している。
シミュレーションでは、リーダ/ライタ側(リーダコイル41)は、周波数は13.56MHzに調整されているとしている。タグ側アンテナ素子が近傍金属の影響を受けると、タグコイル42の共振周波数は高周波数側にシフトする。このシミュレーションでは、13.56MHzから実に28MHz付近までシフトした。理由は、金属が近くに存在することにより、タグ側アンテナ素子のインダクタンスが低下するからである。この結果、リーダ/ライタとタグ間の共振周波数が異なってしまい、通信に必要な電磁誘導結合が弱くなる。
この状態でタグコイル42のアンテナと通信妨害部材43(近傍金属板)の間に磁性シート44(図11のグラフにおいて「シート」として表示)を挿入すると、一転して共振周波数は下がる傾向が見られる。この低下分を金属による周波数上昇分でキャンセルできれば、周波数のシフトは起きないことになるが、現実問題として、磁性シート44の複素比透磁率の実数部を上げるほど、または磁性シート44の厚みを増すほどにタグのアンテナ素子の共振周波数の低下量は大きくなり、ついには13.56MHzよりも低くなってしまう。つまり磁性シート44の性能が良くても(複素比透磁率の実数部が高くても)共振周波数が通信周波数に調整できなければ、磁性シートにより得られるはずの通信距離改善効果は得られないことになる。
磁性シート44を用いた場合に共振周波数を13.56MHz帯に共振回路の修正することが必要な場合がある。しかし、この修正をすれば、金属及び磁性シートがある状態で磁性シート44の効果を最大限に発揮させることができ、無線通信距離を改善できることになる。ただし、上述の磁性シート44により周波数変動分をキャンセルできる状態であれば、このような修正は不要となる。
<相互インダクタンス測定>
非接触ICカードと磁性シートを積層した状態で、コイル間の通信を行った場合の非接触ICカードの共振周波数及び相互インダクタンス(インピーダンスの実数部(R))をマテリアルアナライザーE4991Aにループアンテナを装着して測定した。インピーダンスの実数部(R)がコイルのQ値に相当する。
測定試料は、図13(b)および(c)に示すように、導電性反射層9(金属、磁性金属、導電性材料が使用可能であり、この実施例では厚さ50μmの鉄箔を使用)の両面に実施例5で得た磁性シート7を配置し、さらにその両面に非接触ICカード100、100(アンテナコイル外周部)を配置し、一体化したものである。また、対照としてICカード100のみを用い、自由空間にて測定した。
比較例として非接触ICカード100を直接重ね合わせた試料についても同様にして測定した。その結果、比較例では、図12に示すように、共振周波数が二つに分かれ(6MHzと25MHz)、リーダの共振周波数(13.56MHz)とは通信できなかった。
一方、図13(b)および(c)の試料では、磁性シート7により共振周波数を調整する(本発明では磁性シート7の透磁率と厚みで調節)ことにより通信可能となった(図12)。これにより非接触ICカード100同士が接近していても、その間に磁性シート7が存在することにより両方の非接触ICカード100、100が読みとれることが確認された。
さらに磁性シート7と導電性反射層9を重ね合わせただけの構成(図13(a))とした場合は、磁性シート7側の非接触ICカード100はどの方向からも読みとれるが、導電性反射層9側の非接触ICカード100はどの方向からも読みとれず、このサイドはスキミング防止効果があることがわかった。非接触ICカード100同士が接近している場合には、共振周波数のピークが2つに分かれたが、磁性シート7および導電性反射層9により、ピークを1つにすることができている。
また、磁性シート7/導電性反射層9/磁性シールド層7の構成で、導電性反射層9と磁性シート7の大きさを変更した場合(図13(b)、(c))について通信特性を比較した。その結果、図12に示すように、導電性反射層9に対して磁性シート7を小さく(各導電性反射層9の外周部から3mm小さい外周とし、アンテナコイル部分よりは大きい)すると、磁性シート7の体積が減少した分だけ、共振周波数を低周波数に下げる効果が若干少なくなったが、通信可能となり、しかもリーダと対向しないアンテナコイルを読みとるという過剰読み取りを阻害することができた。
本実施例から、非接触ICカード100同士が重なった場合の通信改善対策として、磁性シート7に適当な透磁率μ’や厚みを与え、共振周波数調整や相互インダクタンス(本発明のインピーダンスの実数部(R))調整ができることで、はじめて通信改善効果が得られている。この磁性シート7による調整は、磁性シート7の透磁率μ’や厚みが効果的であった。
本発明の実施例は以上の通りであるが、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、様々な材料、形状、性能およびそれらの組合せを用いることができる。また非接触ICカードについて効果を示したが、基本的にアンテナコイルを用いる通信手段では同じ現象が起き、それらの改善手段として本発明の手法を好適に使用することができる。アンテナコイルを用いる通信手段としてはICタグや、電磁誘導方式を行うリーダ/ライタ等でも干渉回避手段とすることができる。
本発明の磁性シートの一例を示す断面図である。 本発明の磁性シートを用いるタグの構成を示す図である。 (a)アンテナ素子およびICチップの配置を示す図である。 (b)磁性シートを積層したタグ構成の一例を示す断面図である。 (c)磁性シートを積層したタグ構成の他の例を示す断面図である。 アンテナ素子から送受信される電磁波による磁界を例示した図である。 本発明の磁性シートを用いるタグの使用例を示す図である。 本発明の磁性シートを用いるタグの他の使用例を示す図である。 樹脂の貯蔵弾性率(E’)の測定結果を示す図である。 実施例1の磁性シートの材料定数を表す図である。 実施例3の磁性シートの材料定数を表す図である。 各実施例および比較例で得た磁性シートの貯蔵弾性率(E’)の測定結果を示す図である。 FeliCaリーダ/ライタ評価キットの概略を示す断面図である。 磁性シートを用いるタグにおいて、共振周波数の位置を表すシミュレーション結果とその計算条件を示す図である。 コイル間の通信を行った場合の非接触ICカードの共振周波数と相互インダクタンス(インピーダンスの実数部(R))との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)はそれぞれ非接触ICカードを磁性シート7と導電性反射層9の積層体の両面に配置する種々の形態を示した説明図である。
符号の説明
2 磁性シート
3 貼着層
4 アンテナ素子
5 ICチップ
6 基材
7 磁性シート
8 通信妨害部材
9 導電性反射層
12 通信妨害部材
15 タグ
23 電子装置
30 タグ
43 通信妨害部材
44 磁性シート
54 磁性シート

Claims (10)

  1. 磁性塗料を塗布、乾燥して得られる実質的に加圧しない磁性シートであって、軟磁性粉末30〜80体積%と結合剤20〜70体積%とを含有し、
    前記結合剤は、数平均分子量(Mn)がMn≧1.5×104であり、且つ20〜60℃における貯蔵弾性率(E’)が107Pa以上(JIS K 7244−1)であるエラストマーまたは樹脂であり、
    前記磁性シートの20〜60℃における貯蔵弾性率(E’)が10 9 Pa以上(JIS K 7244−1)であることを特徴とする磁性シート。
  2. 前記結合剤は架橋が施されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性シート。
  3. 電磁誘導方式の無線通信に用いられる周波数で、複素比透磁率の実数部(μ’)が25以上、tanδ(=μ”/μ’)が0.3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性シート。
  4. 同周波数域における複素比誘電率の虚数部(ε”)が500以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の磁性シート。
  5. 無線通信に用いられる周波数に合わされる共振周波数を有するアンテナ素子と、このアンテナ素子と通信妨害部材との間に設けられた請求項1〜のいずれかに記載の磁性シートとを備えることを特徴とするアンテナ装置。
  6. 前記通信妨害部材が金属材である請求項に記載のアンテナ装置。
  7. 電磁誘導方式の無線通信をする一対のアンテナ素子が、請求項1〜に記載の磁性シートを介して配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の磁性シートおよび導電性反射層がアンテナ素子と積層もしくは一体化され、アンテナ素子の共振周波数が通信周波数に調整されていることを特徴とするアンテナ装置。
  9. 導電性反射層の片面もしくは両面に、請求項1〜のいずれかに記載の磁性シートを配置したことを特徴とするアンテナ装置。
  10. 請求項のいずれかに記載のアンテナ装置を用いたことを特徴とする電子情報伝達装置。
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