JP2013254757A - 複合磁性体及びそれを備えたアンテナ並びに通信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の複合磁性体は、平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体であり、この複合磁性体の気孔率は20%以下である。
【選択図】なし
Description
この磁性材料は、電子機器に搭載される高周波回路基板、高周波電子部品、磁性シート、電磁干渉抑制シート、電磁波遮蔽シート等の各種電子部品、モーター、トランス等の電気製品、ビデオテープやフロッピー(登録商標)ディスク等の磁気記録媒体に用いられている。
一般に、物質内を伝播する電磁波の波長λgは、真空中を伝播する電磁波の波長λoと物質の複素誘電率の実部εr’(以下εr’と略記する場合がある)及び複素透磁率の実部μr’(以下、μr’と略記する場合がある)を用いて、
λg=λo/(εr’・μr’)1/2 ……(1)
と表すことができる。
この式(1)によれば、εr’及びμr’が大きいほど波長λgの短縮率が大きくなる。したがって、上記の各種電子部品を構成する複合磁性体中の磁性粉体のεr’及びμr’を大きくすることで、波長λgの短縮率が大きくなり、高周波を用いる電子部品や回路基板等の各種電子部品の小型化が可能になる。
そこで、波長λgの短縮率を大きくすることで電子部品をさらに小型化するために、扁平状の磁性粉体を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体が提案されている(特許文献1)。
Zg=Z0・(μr’/εr’)1/2 ……(2)
式(2)によれば、εr’とμr’の値の差が小さいほど、真空中の特性インピーダンスZ0と、複合磁性体の特性インピーダンスZgの値の差も小さくなる。一方、電磁波が飛ぶ空間の特性インピーダンスは、真空の特性インピーダンスZ0とほとんど同じ値であるから、εr’とμr’の値の差が小さいほど、インピーダンスマッチングのための電力損失が抑制される。
また、式(1)により、電磁波の波長を短縮する際には、εr’及びμr’の値を大きくとればよいが、εr’の値とμr’の値との差が大きいと送受信できる周波数帯域が狭くなるということも知られている。そこで、広周波数帯域で多くの情報を送受信するためにもεr’の値とμr’の値との差が小さいことが必要である。
この電力損失は、例えば、アンテナが電磁波の一種である電波を送受信する際の電波の出力損失となり、アンテナの最も重要な性能である放射効率が低下することとなる。また、μr’とεr’との差が拡大することにより、アンテナが送受信できる周波数帯域が狭くなることも問題であった。
特に、最近、普及が著しいスマートフォン等の多機能携帯用情報端末では、筐体と略同じ大きさであるディスプレイ部から強い電界を発生させているために、このディスプレイ部では電波を遮断することとなる。したがって、アンテナは、ディスプレイと重ならない位置に設けるか、あるいはディスプレイと間隔を置いた位置に設ける必要があるが、筐体内ではアンテナを設置できる位置が限られており、しかも極めて狭い領域である。
平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散した複合磁性体においては、平板状磁性体粒子が少量の場合には絶縁材料中に均一に分散し易いが、平板状磁性体粒子の量が増加するにしたがって、平板状磁性体粒子同士が絡み合ったり凝集したり等により、これらの平板状磁性体粒子の間に空間が生じ、この空間内に絶縁材料が進入し難くなり、結果として、得られた複合磁性体中に気孔が生じてしまうこととなる。また、平板状磁性体粒子が一方向に配向している場合には、互いに平行に配置されている平板状磁性体粒子間の間隔が極めて狭く、この狭い空間に絶縁材料が進入し難くなり、結果として、得られた複合磁性体中に気孔が生じてしまうこととなる。
そこで、平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散した際に、これらの平板状磁性体粒子の間に生じる気孔を低減させることにより、μr’の値は増大するものの、εr’の値がほとんど変化しないことを見出し、その結果、μr’の値とεr’の値との差を小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
複素透磁率の実部μr’が7以上、複素誘電率の実部εr’が15以上であり、かつ、(μr’・εr’)−1/2が0.1以下、(μr’/εr’)1/2が0.5以上かつ1以下であることが好ましい。
複素透磁率の損失正接tanδμが0.05以下、複素誘電率の損失正接tanδεが0.1以下であることが好ましい。
また、複素透磁率の損失正接tanδμが0.05以下、複素誘電率の損失正接tanδεが0.1以下であることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の複合磁性体は、平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体であり、この複合磁性体の気孔率は20%以下である。
気孔率=(1−実測密度/理論密度)×100 ……(3)
この複合磁性体の理論密度は、平板状磁性体粒子の理論密度と絶縁材料の理論密度(≒実測密度)を基に、平板状磁性体粒子と絶縁材料との混合比率を考慮して算出される。
また、平板状磁性体粒子の理論密度を算出する方法としては、平板状磁性体粒子のX線回折図形から格子定数を算出し、この格子定数と結晶構造を基に理論密度値を算出する方法がある。
また、複合磁性体の実測密度を算出する方法としては、例えば、外形寸法と質量を測定し、これらの測定値から実測密度を算出する方法、ピクノメーター法で測定した値を用いる方法がある。
また、この複合磁性体は、70MHz以上かつ500MHz以下の周波数帯域におけるμr’は7以上、εr’は15以上、(μr’・εr’)−1/2は0.1以下、(μr’/εr’)1/2は0.5以上かつ1以下であることが好ましい。
なお、上記のμr’、εr’、(μr’・εr’)−1/2及び(μr’/εr’)1/2は、マテリアルアナライザーにて測定した値であるが、測定装置としては、上記の各値がマテリアルアナライザーと同等の精度で測定することのできる装置であればよく、マテリアルアナライザーに限定されない。
なお、同様の効果は、上記のアンテナ以外の高周波を用いた電子部品全てで得られる。
このμr’の上限値は特に制限されないが、実際に製造可能な平板状磁性体粒子のアスペクト比や含有率等から30以下が好ましく、20以下がより好ましい。
この複合磁性体では、μr’及びεr’の値を上記の範囲とした場合、さらに(μr’・εr’)−1/2は0.1以下であることが好ましい。その理由は以下のとおりである。
この(μr’・εr’)−1/2の値は、式(1)に示したとおり、複合磁性体中の高周波波長の真空中の波長に対する短縮率である。なお、真空中の波長と通常の大気中の波長は、ほぼ等しい値を示す。
この(μr’/εr’)1/2の値は、上記の式(2)に示したとおり、複合磁性体の特性インピーダンスZgと真空の特性インピーダンスZ0との比(Zg/Z0)であるから、複合磁性体の特性インピーダンスZgは真空の特性インピーダンスZ0の(μr’/εr’)1/2倍となる。なお、ここでは、真空の特性インピーダンスと通常の大気の特性インピーダンスは、ほぼ等しい値を示すこととする。
また、70MHz以上かつ220MHz以下の周波数帯域におけるtanδμは0.1以下が好ましく、より好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.04以下であり、tanδεは0.1以下が好ましく、より好ましくは0.07以下である。
さらに、500MHz以下、より好ましくは220MHz以下の周波数帯域の場合には、500MHzを超える周波数帯域の場合と比べて、tanδμ及びtanδεが低くなるので、アンテナの利得が高くなり、好ましい。
このような効果が得られるメカニズムとしては、次のように考えられる。
すなわち、複合磁性体中の気孔率を減少させることにより、μr’の値は大きくなるが、εr’の値は殆ど変化しないので、μr’の値とεr’の値との差は小さくなる。よって、平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散させた複合磁性体の気孔率を20%以下とすることで、この複合磁性体を備えた電子部品や電子機器を小型化させることが可能であり、インピーダンスマッチングによる電力損失を抑制することができる。
「平板状磁性体粒子」
本実施形態における「平板状」とは、扁平状、鱗片状、フレーク状、薄板状等の厚みが薄い板状のものを意味する。
この平板状磁性体粒子の平均アスペクト比(長径(粒子内における最大長さ)/厚み)は、複数個の平板状磁性体粒子それぞれの長径と厚み、例えば、100個以上の平板状磁性体粒子、好ましくは500個の平板状磁性体粒子それぞれの長径と厚みを測定することにより、個々の平板状磁性体粒子それぞれのアスペクト比(長径/厚み)を求め、これらのアスペクト比(長径/厚み)の平均値を算出することで求められる。
ここで、平板状磁性体粒子の平均アスペクト比(長径/厚み)が5未満では、粒子形状による反磁界係数が大きくなり、よって、複合磁性体を作製する際に印加される有効磁場が小さくなることで得られる複合磁性体のμr’が小さくなり、その結果、電子部品や電子機器を小型化させるために十分なμr’を得ることができない。
さらに、平均アスペクト比が20を超えると、平板状磁性体粒子の形状が扁平すぎることで、磁性体粒子同士の間が狭くなり、この間に絶縁性材料が進入し難い空間が形成され易くなり、その結果、複合磁性体中に気泡が生じ易くなり、この気泡の存在によりμr’が低下するので好ましくない。
以上の点を勘案すれば、平板状磁性体粒子の平均アスペクト比は5以上かつ20以下であることが好ましく、7以上かつ15以下であることがより好ましい。
特に、この平板状磁性体粒子を70MHz以上の高周波帯域にて使用する場合には、平均厚みの好ましい範囲は0.1μm以上かつ0.5μm以下である。
ここで、平板状磁性体粒子の平均厚みが0.1μm未満では、平板状磁性体粒子自体の製造が難しく、複合磁性体を製造する際の取り扱いも難しく、その結果、配向が良好でありかつμr’の高い複合磁性体を得ることが難しくなるので好ましくない。一方、この平板状磁性体粒子の平均厚みが10μmを超えると、高周波を印加した際に渦電流等が生じ、得られる複合磁性体のμr’が低くなるので、好ましくない。
ここで、平板状磁性体粒子の平均長径が0.05μm未満では、平板状磁性体粒子自体の製造が難しく、複合磁性体を製造する際の取り扱いも難しく、その結果、配向が良好でありかつ複素透磁率の実部μr’が高い複合磁性体を得ることが難しくなるので好ましくない。
一方、この平板状磁性体粒子の平均長径が20μmを超えると、絶縁材料中での粒子の分散が不安定になり易くなり、さらには、平板状磁性体粒子間の間隙が小さくなり過ぎる等により、平板状磁性体粒子間の間隙に絶縁材料が進入し難くなり、その結果、気孔が生成され易くなり、所望のμr’が得られない虞があるので好ましくない。
これらの金属または合金は、反磁性金属である銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)等を含んでいてもよい。
二元素系合金としては、保持力が70エルステッド(Oe)以下の軟磁性を示すパーマロイ(登録商標)等のFe−Ni合金、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金等が挙げられる。
三元素系合金としては、スーパーマロイ(登録商標)等のFe−Ni−Mo合金、センダスト(登録商標)等のFe−Si−Al合金、Fe−Cr−Si合金等が挙げられる。
これらの合金の中でも、Fe−Ni合金としては、Ni78質量%−Fe22質量%の合金が、平板状磁性体粒子の平均厚みが0.2μm以下、平均長径が2μm以下のものが得られ易く、高透磁率とともに低磁気損失の複合磁性体を得られるので好ましい。
ここで、上記の金属元素の含有率を上記の範囲に限定した理由は、金属元素の含有率が0.1質量%未満では、後述する球状の磁性体粒子を扁平状にさせるための十分な塑性変形能を付与することができず、一方、含有率が90質量%を超えると、金属元素自体の磁気モーメントが小さいことから、この平板状磁性体粒子全体の飽和磁化が小さくなり、その結果、得られるμr’も小さくなるからである。
通常、平板状磁性体粒子を大気中で取り扱うことにより、この平板状磁性体粒子の表面に自然に酸化被膜が形成されるが、自然に形成される酸化被膜では絶縁性が不十分であり、複合磁性体の誘電損失を低減することが難しい。そこで、複合磁性体の誘電損失を低減させるためには、50℃以上かつ200℃以下の温度にて、1時間〜数時間程度加熱処理することにより、平板状磁性体粒子の表面に5nm程度の絶縁性の酸化被膜を形成することが好ましい。
絶縁材料は、絶縁性の材料であればよく、特に制限されないが、本実施形態の複合磁性体を携帯電話用アンテナや携帯情報端末用アンテナとして用いる場合には、機械的強度が高く、吸湿性が低く、しかも形状加工性に優れていることが好ましい。このような絶縁材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリベンゾシクロブテン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、伸縮性や可撓性を付与する絶縁性樹脂を10質量%以上かつ50質量%以下含有するので、平板状磁性体粒子同士の間隙に樹脂が進入し易くなり、複合磁性体の気孔の生成を抑制し、気孔率を低減させることができるので好ましい。
この熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーの群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
この熱可塑性エラストマーの添加量は、複合磁性体の用途により必要とされる耐熱性を勘案して、適宜調整すればよい。
次に、本実施形態の複合磁性体の製造方法について説明する。
この複合磁性体の製造方法は、絶縁材料に平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を混合・分散させて混合物を得る混合工程と、得られた混合物を所定の形状に成形する成形工程と、得られた成形体を乾燥・硬化させる乾燥・硬化工程とを有する。
この工程では、平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子と、絶縁材料と、必要に応じて硬化剤と溶媒とを混合して、平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散させた混合物を作製する工程である。
この混合工程においては、分散媒体から球状粒子へのせん断エネルギーの付与を効果的に行うために、界面活性剤等を添加することも好ましい。
球状の磁性体粒子の平均一次粒子径を上記範囲とすれば、球状の磁性体粒子の表面が高活性となり、粒子同士の親和性も高くなり、粒子同士の凝着を促進することができるので、好ましい。
この方法により、アスペクト比が2以上かつ20以下で、厚みや長径等の形状が略均一の平板状磁性体粒子を容易に作製することができる。
まず、平均粒子径が3μm以下の球状の磁性体粒子202を界面活性剤を含む溶液中に分散してスラリー203とする。磁性体粒子202の組成は、上記の平板状磁性体粒子の組成と全く同様である。
界面活性剤としては、磁性体粒子202の表面と相性の良い窒素、リン、イオウ等の元素を含有している界面活性剤が好ましく、例えば、窒素含有ブロックコポリマー、燐酸塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
ここでは、スラリー203及び分散媒体204の密閉容器201内への充填量を、密閉容器201内の体積と同一とする。換言すれば、スラリー203及び分散媒体204を、密閉容器内201内に隙間なく充填する。
一軸回転体205により球状の磁性体粒子202を含むスラリー203及び分散媒体204に加えられた機械的応力は、すり鉢状の空間に逃げていくので、密閉容器201内全体で分散媒体204を介して球状の磁性体粒子202に伝搬される機械的応力は不均一なものとなり、得られる平板状磁性体粒子の厚みがばらつく要因となる。このような平板状磁性体粒子の厚みのばらつきや割れや欠けは、磁気損失が増加する要因となる。
また、分散媒体204の平均粒径が大き過ぎると、衝突回数が減少することにより、球状の磁性体粒子202同士の変形及び融着性が低下する。したがって、分散媒体の平均粒径の上限値は3.0mmである。
密閉容器201は、単純な1軸回転方式であることから、大型化も容易であり、工業生産上も有利である。
一方、外周端5a付近の流速が15m/sを超えると、エネルギーが大きすぎるために平板状になった粒子を破壊してしまう虞があるので、外周端5a付近の流速は15m/s以下であることが好ましい。
このように、実質的に球状の磁性体粒子202が残留しなくなる密閉容器201の体積は、1L以上が好ましく、より好ましくは5L以上である。
以上により、球状の磁性体粒子202同士は、一軸回転体205により加えられた機械的応力により融着しながら変形し、平板状磁性体粒子となる。
分離方法は、平板状磁性体粒子を作製した後のスラリー203から溶媒を除去することができれば特に限定されず、加熱乾燥、真空乾燥、フリーズドライ等が挙げられるが、乾燥効率の点で真空乾燥が好ましい。また、乾燥効率を高めるために、乾燥工程の前に、固液分離等の手法によりある程度の溶媒を除去してもよい。固液分離の方法としては、フィルタープレスや吸引ろ過等のろ過操作や、デカンターや遠心分離機による遠心分離操作等、通常の方法を用いればよい。
絶縁材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、硬化剤の種類や添加量については、使用する熱硬化性樹脂の種類や量に応じて適宜調整すればよい。
上記の熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ基同士の縮合反応を促進させて、複合磁性体の成形体における硬化不良による気孔の発生を防止する点で第3アミンが好ましい。
硬化剤の添加量としては、官能基の縮合反応を促進させる点を考慮すると、熱硬化性樹脂の全体の質量に対して0.5質量%以上かつ3質量%以下、添加させればよい。
なお、絶縁材料として熱可塑性樹脂を用いる場合には、硬化剤は不要である。
これらの溶媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。特に、シクロヘキサノンやキシレン等の沸点の高い溶媒は、溶媒の揮発によるスラリーの増粘を抑制することができるので好ましい。
溶媒を30質量%以上混合させることにより、得られた混合物の粘度が低下するので、混合時に平板状磁性体粒子同士が凝集していた場合においても、凝集がほぐれて絶縁材料中における分散性が向上する。これにより、複合磁性体の気孔率を低減させることができる。
なお、溶媒の量が多すぎると、後述する乾燥に時間がかかり、乾燥時に気孔が生成する虞があるので、溶媒の量は、平板状磁性体粒子と絶縁材料との合計質量に対して50質量%以下であることが好ましい。
ここで、平板状磁性体粒子の含有率が10体積%未満では、平板状磁性体粒子が少なすぎて複合磁性体としての磁気特性が低下してしまうので好ましくない。一方、この平板状磁性体粒子の含有率が60体積%を超えると、平板状磁性体粒子が多すぎてしまい、この平板状磁性体粒子と熱硬化性樹脂と硬化剤と溶媒とを含む混合物の流動性が低下し、したがって、この混合物を用いて成形する際の成形性が低下してしまうので、好ましくない。
なお、この複合磁性体中には、球状の磁性体粒子が含まれていないことが好ましい。
ここで、平板状磁性体粒子の含有率が10体積%未満では、平板状磁性体粒子が少なすぎて複合磁性体としての磁気特性が低下してしまうので好ましくない。一方、この平板状磁性体粒子の含有率が80体積%を超えると、平板状磁性体粒子が多すぎてしまい、この平板状磁性体粒子と熱可塑性樹脂と溶媒とを含む混合物の流動性が低下し、したがって、この混合物を用いて成形する際の成形性が低下してしまうので、好ましくない。
なお、この複合磁性体中には、球状の磁性体粒子が含まれていないことが好ましい。
ここで、粘度が0.1Pa・s未満の場合には、流動性が大きくなりすぎて乾燥工程での生産性が悪くなり、一方、粘度が106Pa・sを超えると、粘性が高すぎて平板状磁性体粒子の配向が生じ難くなり、その結果、複合磁性体中における平板状磁性体粒子の配向性が低下してしまうので、好ましくない。
混合装置としては、これら平板状磁性体粒子、絶縁材料、硬化剤及び溶媒を均一に混合・分散させてスラリー状の混合物とすることができればよく、特に制限はされないが、例えば、ロールミル、自公転式ミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、撹拌機等が挙げられる。これらの装置で混合する場合、平板状磁性体粒子が凝集しすぎず、絶縁材料中に均一に分散させるように、混合条件を適宜調整すればよい。
上記の工程で得られた混合物を、所定の形状のシート状、フィルム状またはバルク状に成形する工程である。
成形法としては、混合物を一定の形状に成形することができ、かつ成形後の形状を保持することができればよく、特に制限されない。
また、成形体の形状や大きさも特に制限はされず、例えば、シート状またはフィルム状に成形してもよく、直方体状等の厚みがある形状、例えばバルク状に成形してもよい。
シート状またはフィルム状に成形する方法としては、ドクターブレード法、バーコート法、ダイコート法、プレス法等を挙げることができる。また、薄板状等の厚みがある形状に成形する場合、例えば、任意の形状の型に混合物を流し込む方法等が挙げられる。
また、複合磁性体を積層して積層構造体とする場合には、ドクターブレード法によりシート状またはフィルム状に成形した複合磁性体を積層することが好ましい。
上記の成形工程で得られた成形体中の平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を一方向に配向させる工程である。
上記の成形工程で得られた成形体が、所望のμr’を有している場合には、この配向工程は不要であるが、よりμr’が高い複合磁性体を得るためには、得られた成形体に磁場を印加して成形体中の平板状磁性体粒子を一方向に配向させる配向工程を施す必要がある。
成形体中の平板状磁性体粒子に磁場を印加する場合、成形体中で磁力線が曲がると、平板状磁性体粒子を一方向に配向させることができない。したがって、磁場は発生する磁力線が成形体の表面に対して略平行となるように印加することが好ましい。
上記の配向工程で平板状磁性体粒子を配向させた成形体を、乾燥・硬化させ、複合磁性体とする工程である。
ここでは、平板状磁性体粒子が配向した成形体を乾燥させ、次いで、加熱あるいは紫外線照射等により絶縁材料である樹脂、例えば、熱硬化性樹脂を硬化させる。
乾燥・硬化条件(処理温度、処理時間等)は、使用する樹脂や溶媒の種類に応じて適宜調整すればよい。例えば、熱可塑性樹脂の場合、乾燥により溶媒を除去することが好ましい。
上記の乾燥工程で得られた成形体の気孔率が20%以下であれば、このプレス工程は不要であるが、成形体の気孔率が20%を超える場合や、成形体の気孔率をさらに減少させたい場合には、上記の乾燥工程後に、成形体をプレスする工程を施すことが好ましい。プレス装置は公知のものを適宜用いればよい。
プレス時の圧力は適宜調整すればよいが、5MPa〜20MPa程度の圧力を加えるのが好ましい。
以上により、本実施形態の複合磁性体を得ることができる。
本実施形態のアンテナは、本実施形態の複合磁性体を備えたものである。
この複合磁性体を備えたアンテナの一形態として、本実施形態の複合磁性体を装荷したアンテナがある。
アンテナに本実施形態の複合磁性体を装荷させる方法としては、特に制限されず、アンテナを構成する銅線等の導体(以下、「アンテナ導体」と称する)に本実施形態の複合磁性体を被覆させる等、公知の方法で装荷させればよい。
ここで、「装荷」とは、電磁的な相互作用により波長短縮等の効果が得られるようにするために、アンテナ導体に複合磁性体を接触させたり、あるいは近づけたりすることを意味する。
例えば、モノポールアンテナやL字アンテナは、アンテナ導体を中心として、上記の複合磁性体を棒状あるいは長尺の板状に加工したもので挟み込むように形成することで得ることができる。
また、ヘリカルアンテナは、上記の複合磁性体を棒状に加工した棒状複合磁性体の周囲に、銅線等からなる長尺かつ極細のアンテナ導体をコイル状に巻回することで得ることができる。
これらのアンテナでは、波長短縮効果により、所望波長の1/4よりも長さが短い小型アンテナを得ることが可能である。
このモノポールアンテナ1は、所定形状の導体からなる地板4に同軸コネクタ等を介して接続され、この同軸コネクタ等の内導体である接続部5を給電点とするように交流信号発信機6が接続されている。給電点と地板4とは、電気的に絶縁されている。
その他の種類及び形状のアンテナにおける給電方法も上記と同様、アンテナは地板4に同軸コネクタ等を介して接続され、この接続部5を給電点とするように交流信号発信機6が接続される。
本実施形態の通信装置は、上記のアンテナを備えている。
この通信装置としては、電磁波を介して各種情報の送信、受信、送受信のいずれかを行う装置であればよく、特に限定されない。例えば、パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末、スマートフォン等の多機能携帯用情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の通信機器、オーディオ機器、ビデオ機器、カメラ機器等の各種電子機器等が挙げられる。
これらの通信装置においては、上記のアンテナは、通信装置の外部に設けられていてもよく、また、内蔵されていてもよく、いずれでもよい。
図2は、本実施形態の通信装置の一種の携帯用電話機の一例を示す斜視図であり、この携帯用電話機11は、筐体12の前面に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなる表示機能を有する表示部13が設けられ、この表示部13の裏面側には地板(図示略)が設けられ、この地板にコネクタ等を介して棒状のモノポールアンテナ14内に配設されたアンテナ導体15が接続され、この接続部を介して携帯用電話機の電子回路(図示略)が接続されている。このモノポールアンテナ14は、銅線等の導体からなるアンテナ導体15が複合磁性体16により被覆されている。
このモノポールアンテナ14は、棒状である必要はなく、伸縮自在であってもよい。
このモノポールアンテナ14は、アンテナ利得を向上させることを考慮すると、表示部13等と重ならない位置に設けることが好ましい。なお、表示部13等と重なる位置に設ける場合には、筐体12の厚みをとって、筐体12内部でモノポールアンテナ14と表示部13の間隔をとることが望ましい。
この携帯用電話機21では、モノポールアンテナ25の接続端子26を外部アンテナ用端子24に挿入・取り外しすることで、モノポールアンテナ25の装着及び取り外し可能とされている。
ダイポールアンテナ61は、モノポールアンテナを対にして2つ備えたもので、保護カバー53を携帯用電話機52に装着したときに、表示部55と重ならない位置に備えられていることが好ましい。なお、表示部55と重なる位置に設ける場合には、保護カバー53の厚みを厚くし、保護カバー53内部でダイポールアンテナ61と表示部55の間隔を適宜空けることが望ましい。
この保護カバー付き携帯用電話機51では、保護カバー53の接続端子64を携帯用電話機52の外部アンテナ用端子56に挿入し、この状態を保持したまま、保護カバー53を携帯用電話機52に被せることで、ダイポールアンテナ61を携帯用電話機52に接続することができる。
また、保護カバー53を携帯用電話機52から取り外すことで、ダイポールアンテナ61を携帯用電話機52から取り外すことができる。
このスパイラルアンテナ81は、保護カバー73を携帯用電話機72に装着したときに、表示部75と重ならない位置に備えられていることが好ましい。なお、表示部75と重なる位置に設ける場合には、保護カバー73の厚みを厚くし、保護カバー73内部でスパイラルアンテナ81と表示部75の間隔を適宜空けることが望ましい。
この保護カバー付き携帯用電話機71では、保護カバー73の接続端子84を携帯用電話機72の外部アンテナ用端子76に挿入し、この状態を保持したまま、保護カバー73を携帯用電話機72に被せることで、スパイラルアンテナ81を携帯用電話機72に接続することができる。
また、保護カバー73を携帯用電話機72から取り外すことで、スパイラルアンテナ81を携帯用電話機72から取り外すことができる。
特に、ダイポールアンテナ61及びスパイラルアンテナ81は、保護カバー53、73のようなアクセサリー内にも設置が可能であるから、携帯用電話機の筐体内の領域を占有することなく、携帯用電話機に補助アンテナを設けることができ、アンテナの性能を向上させることができる。
また、複素誘電率の損失正接tanδμを0.1以下、より好ましくは0.05以下、複素誘電率の損失正接tanδεを0.1以下とした場合には、電子部品や電子機器の利得を向上させることができる。
さらに、70MHz以上かつ220MHzまでの周波数帯域における複素誘電率の損失正接tanδμを0.1以下、より好ましくは0.05以下、複素誘電率の損失正接tanδεを0.1以下とした場合には、VHF帯で使用される電子部品や電子機器の利得を向上させることができる。
したがって、波長短縮効果により、所望波長の1/4よりも長さが短い小型で、インピーダンスマッチングによる電力損失が抑制され、放射効率が高いアンテナを提供することができる。よって、マルチメディア放送のようなVHF帯のように波長の長い電波であっても、波長短縮効果により、携帯用電話機の筐体サイズで受信できる小型のアンテナを提供することができる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂 EPICLON HP−7200L(DIC株式会社製)と、硬化剤として、エポキシ樹脂と硬化剤の合計質量中1質量%となる1−イソブチル−2メチルイミダゾールと、樹脂と硬化剤と平板状磁性体粒子の合計体積量に対して40体積%のNi75質量%−Fe20質量%−Zn5質量%のNi−Fe−Zn合金からなる平均長径が2.5μm、平均厚みが0.3μm、平均アスペクト比が8.3の平板状磁性体粒子と、平板状磁性体粒子と樹脂の合計質量に対して40質量%のシクロヘキサノンとを遊星撹拌機に投入し、15分間混合してスラリー状の混合物を得た。この混合物の粘度は4Pa・sであった。
シート成形後、このシートの面に水平方向に900ガウスの磁場を6分間印加した。次いで、80℃の温風を当てて風乾させた。次いで、樹脂の軟化点以上である110℃で10MPaのプレス圧力を加えた後に、160℃にて2時間硬化反応を行い、実施例1の複合磁性体を得た。
(1)電磁気特性
複合磁性体の200MHzにおける複素透磁率の実部μr’、複素誘電率の実部εr’、複素透磁率のtanδμ及び複素誘電率のtanδεを、マテリアルアナライザー E4991A型(Agilent Technologies社製)にて、大気中室温(25℃)にて測定した。そして、これらμr’及びεr’を基に(μr’・εr’)−1/2及び(μr’/εr’)1/2を算出した。
複合磁性体の寸法と質量を測定し、これらの測定値に基づき実測密度を算出した。
一方、樹脂の理論密度(≒実測密度)は樹脂のみの硬化体の寸法と質量を測定し、これらの測定値から算出した。また、平板状磁性体粒子の理論密度は、平板状磁性体粒子のX線回折パターンから求めたX線理論密度を用いた。
これらの値を式(3)に代入し、複合磁性体の気孔率を算出した。
また、実施例1の複合磁性体の複素透磁率の実部μr’及びtanδμを図9に、複素誘電率の実部εr’及びtanδεを図10に、それぞれ示す。
ジシクロペンタジエン型樹脂の替わりに、ジシクロペンタジエン型樹脂と液状エポキシ樹脂 リカレジンBPO−20(新日本理化株式会社製)を85:15の質量比で混合した樹脂を使用し、さらにプレス圧力を加える際の温度を160℃とした以外は、実施例1に準じて実施例2の複合磁性体を得た。
また、実施例2の複合磁性体の複素透磁率の実部μr’及びtanδμを図11に、複素誘電率の実部εr’及びtanδεを図12に、それぞれ示す。
ポリスチレン樹脂 ディックスチレンMH6800−1(DIC株式会社製)と、Ni78質量%−Fe22質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子(平均長径2.4μm、平均厚み0.2μm、平均アスペクト比12)と、トルエンとを遊星撹拌機に投入し、15分間混合してスラリー状の混合物を得た。
平板状磁性体粒子は、樹脂と平板状磁性体粒子の合計体積量に対して40体積%となるように、トルエンは、樹脂と平板状磁性体粒子の合計質量に対して40質量%となるように、それぞれ投入した。この混合物の粘度は5Pa・sであった。
シート成形後、このシートの面に水平方向に900ガウスの磁場を6分間印加した。次いで、80℃の温風を当てて風乾させた。次いで、樹脂の軟化点以上である95℃で10MPaのプレス圧力を加えて加熱成形し、実施例3の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおけるマテリアルアナライザーにより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
Ni78質量%−Fe22質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子の替わりに、Ni88質量%−Fe12質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子(平均長径2.7μm、平均厚み0.25μm、平均アスペクト比10.8)を用いた以外は、実施例3に準じて実施例4の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおけるマテリアルアナライザーにより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
Ni78質量%−Fe22質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子の替わりに、Ni68質量%−Fe32質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子(平均長径2.2μm、平均厚み0.28μm、平均アスペクト比7.8)を用いた以外は、実施例3に準じて実施例5の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおけるマテリアルアナライザーにより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
ポリスチレン樹脂の替わりに、ポリスチレン樹脂とスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー タフプレン126S(旭化成ケミカルズ株式会社製)を50:50の質量比で混合した樹脂を用い、Ni78質量%−Fe22質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子の替わりに、Ni75質量%−Fe20質量%−Zn5質量%のNi−Fe−Zn合金からなる平板状磁性体粒子(平均長径2.5μm、平均厚み0.3μm、平均アスペクト比8.3)を用いた以外は実施例3に準じて、実施例6の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおけるマテリアルアナライザーにより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
ポリスチレン樹脂の替わりに、ポリスチレン樹脂とスチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー タフプレン126S(旭化成ケミカルズ株式会社製)を50:50の質量比で混合した樹脂を用い、Ni78質量%−Fe22質量%のNi−Fe合金からなる平板状磁性体粒子の替わりに、Ni75質量%−Fe20質量%−Zn5質量%のNi−Fe−Zn合金からなる平板状磁性体粒子(平均長径2.5μm、平均厚み0.3μm、平均アスペクト比8.3)を用い、さらに、この平板状磁性体粒子の投入量を40体積%から60体積%に変更した以外は実施例3に準じて、実施例7の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおけるマテリアルアナライザーにより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
スラリー状の混合物を得る際に、遊星撹拌機での混合時間を15分から5分へ変えた以外は、実施例1に準じて比較例1の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおいてマテリアルアナライザーより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
成形体をプレスする際の温度を160℃とした以外は、実施例1に準じて比較例2の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおいてマテリアルアナライザーより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
平均長径が2.5μm、平均厚みが0.3μm、平均アスペクト比が8.3の平板状磁性体粒子の替わりに、平均長径が1.2μm、平均厚みが0.3μm、平均アスペクト比が4の磁性体粒子を用いた以外は、実施例1に準じて比較例3の複合磁性体を得た。
この複合磁性体の気孔率及び200MHzにおいてマテリアルアナライザーより得られた磁気特性の結果を表1に示す。
また、実施例7の複合磁性体は、この複合磁性体に含まれる平板状磁性体粒子の含有率を、実施例6の40体積%を更に増加して60体積%としたものであり、気孔率が9.8%、(μr’・εr’)−1/2が0.03、(μr’/εr’)1/2が0.51であった。これにより、複合磁性体中の平板状磁性体粒子の含有率を増やした場合であっても、気孔率が20%以下、(μr’・εr’)−1/2が0.1以下、(μr’/εr’)1/2が0.5以上かつ1以下となる複合磁性体が得られることが確認された。
また、比較例3では、複合磁性体の気孔率が20%以下でも、平均アスペクト比が5未満の磁性体粒子を用いたので、複合磁性体のμr’が小さく、電子部品や電子機器を小型化するのに十分なμr’を得ることができないことが確認された。
2 アンテナ導体
3 複合磁性体
4 地板
5 接続部
6 交流信号発信機
11 携帯用電話機
12 筐体
13 表示部
14 モノポールアンテナ
15 アンテナ導体
16 複合磁性体
21 携帯用電話機
22 筐体
23 表示部
24 外部アンテナ用端子
25 モノポールアンテナ
26 接続端子
27 アンテナ導体
28 複合磁性体
31 携帯用電話機
32 筐体
33 地板
34 L字アンテナ
35 アンテナ導体
36 複合磁性体
41 携帯用電話機
42 筐体
43 地板
44 ヘリカルアンテナ
45 複合磁性体
46 アンテナ導体
51 保護カバー付き携帯用電話機
52 携帯用電話機
53 保護カバー
54 筐体
55 表示部
56 外部アンテナ用端子
61 ダイポールアンテナ
62 アンテナ導体
63 複合磁性体
64 接続端子
71 保護カバー付き携帯用電話機
72 携帯用電話機
73 保護カバー
74 筐体
75 表示部
76 外部アンテナ用端子
81 スパイラルアンテナ
82 アンテナ導体
83 複合磁性体
84 接続端子
201 密閉容器
202 磁性体粒子
203 スラリー
204 分散媒体
205 一軸回転体
205a 外周端
Claims (8)
- 平均アスペクト比(長径/厚み)が5以上の平板状磁性体粒子を絶縁材料中に分散してなる複合磁性体であって、
気孔率が20%以下であることを特徴とする複合磁性体。 - 前記平板状磁性体粒子の平均厚みは0.01μm以上かつ10μm以下であり、その平均長径は0.05μm以上かつ20μm以下であることを特徴とする請求項1記載の複合磁性体。
- 複素透磁率の実部μr’が7以上、複素誘電率の実部εr’が15以上であり、かつ、(μr’・εr’)−1/2が0.1以下、(μr’/εr’)1/2が0.5以上かつ1以下であることを特徴とする請求項1または2記載の複合磁性体。
- 複素透磁率の損失正接tanδμが0.05以下、複素誘電率の損失正接tanδεが0.1以下であることを特徴とする請求項3記載の複合磁性体。
- 70MHz以上かつ500MHz以下の周波数帯域における複素透磁率の実部μr’が7以上、複素誘電率の実部εr’が15以上であり、かつ、(μr’・εr’)−1/2が0.1以下、(μr’/εr’)1/2が0.5以上かつ1以下であることを特徴とする請求項1または2記載の複合磁性体。
- 複素透磁率の損失正接tanδμが0.05以下、複素誘電率の損失正接tanδεが0.1以下であることを特徴とする請求項5記載の複合磁性体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項記載の複合磁性体を備えてなることを特徴とするアンテナ。
- 請求項7記載のアンテナを備えてなることを特徴とする通信装置。
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