JP2007173859A - 電磁干渉抑制体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】互いに異なる磁気共鳴周波数を有するような材料を混合して得ることができる広帯域なμ″分散特性を更に広帯域なものとするために利用可能な透磁率の周波数特性の制御方法を提供すること。
【解決手段】軟磁性体粉末と有機結合剤とからなる複合磁性体を備え、該複合磁性体の虚数部透磁率μ″を利用して不要輻射を抑制する電磁干渉抑制体の製造方法において、軟磁性体粉末の磁歪定数λを正又は負とすることにより虚数部透磁率μ″の周波数を制御する。かかる制御方法と、互いに異なる磁気共鳴周波数を有するような材料を混合するといった周波数制御方法を適切に組み合わせることで、後者の方法のみにより周波数制御を行った場合よりも、より広帯域なμ″分散特性を得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、高周波領域において優れた複素透磁率特性を有する複合磁性材料と、その一応用事例である電磁波吸収体に関し、詳しくは、高周波電子回路/装置において問題となる電磁干渉の抑制に有効な複素透磁率特性の優れた複合磁性体からなる電磁干渉抑制体及びその製造方法に関する。
近年、デジタル電子機器をはじめ高周波を利用する電子機器類の普及が進み、中でも準マイクロ波帯域を使用する移動通信機器類の普及がめざましい。それに伴い、インダクタンス部品や電波吸収体に用いられる軟磁性体材料にも高周波化への対応が求められている。
加えて、その用途が携帯電話機等の小型、軽量な通信機器の場合には、軟磁性体への要求特性に、軽量、肉薄、堅牢等が追加される。
軟磁性材料の高周波化を阻む主な要因の一つは、渦電流損失であり、その低減手段として、表皮深さを考慮した薄膜化及び高電気抵抗化が挙げられ、前者の例としては、磁性体層と誘電体層を交互に積層製膜したものが挙げられ、また後者の代表としては、高電気抵抗のNi−Zn系フェライトを挙げることができる。
携帯電話に代表される移動体通信機器には、とりわけ小型化・軽量化の要求が顕著であり、電子部品の高密度実装化が最大の技術課題となっている。従って、過密に実装された電子部品類やプリント配線あるいはモジュール間配線等が互いに極めて接近することになり、更には、信号処理速度の高速化も図られているため、静電結合及び/又は電磁結合による線間結合の増大化や放射ノイズによる干渉などが生じ、機器の正常な動作を妨げる事態が少なからず生じている。
このようないわゆる電磁障害に対して従来は、主に導体シールドを施すことによる対策がなされてきた。
特開平7−212079号公報
しかしながら、導体シールドは、空間とのインピーダンス不整合に起因する電磁波の反射を利用する電磁障害対策であるために、遮蔽効果は得られても不要輻射源からの反射による電磁結合が助長され、その結果二次的な電磁障害を引き起こす場合が少なからず生じている。その対策として、磁性体の磁気損失、即ち虚数部透磁率μ″を利用した不要輻射の抑制が有効である。
即ち、前記シールド体と不要輻射源の間に磁気損失の大きい磁性体を配設することで不要輻射を抑制することが出来る。
ここで、磁性体の厚さdは、μ″>μ′なる関係を満足する周波数帯域にてμ″に反比例するので、前述した電子機器の小型化・軽量化要求に迎合する薄い電磁干渉抑制体、即ち、シールド体と吸収体からなる複合体を得るためには、虚数部透磁率μ″の大きな磁性体が必要となる。また、前述した不要輻射は、多くの場合その成分が広い周波数範囲にわたっており、電磁障害に係る周波数成分の特定も困難な場合が少なくない。従って、前記電磁干渉抑制体についてもより広い周波数の不要輻射に対応できるものが望まれている。
かかる要求に対応すべく透磁率の高周波特性に優れ、任意の広い周波数範囲にて磁気損失体として機能する磁性体、即ち、低周波数領域にて、μ′の値が大きく、更に、μ″>μ′なる周波数領域において、μ″が任意の広い周波数範囲に亘って大きな値を示すような磁性体の検討を行った。
その結果として、本発明者らは、以前に、形状異方性を有する軟磁性体粉末において磁気共鳴により発現すると思われる数十MHzから数GHzに亘る磁気損失を利用する電磁干渉抑制体(前掲の特許文献1参照)を提供した。
また、更に本発明者らは、周波数の異なる複数の磁気共鳴を発現させることにより、各々の磁気共鳴に対応して異なる周波数領域に出現する個々の磁気損失が重畳され、その結果として得られる広帯域なμ″分散特性を利用した電磁干渉抑制体(特願平7−183911号)を提供した。
これらの発明において用いられる扁平状の軟磁性体金属粉末は、同じ組成の球状金属粉末に比べてより高い異方性磁界Hを有しており、これは扁平化による形状異方性の寄与、即ち反磁界係数Nによるものである。ここで反磁界係数Nは、粉末の形状とアスペクト比により与えられるが、アスペクト比が10を越えるとほぼ飽和し、より大きなアスペクト比を与えても、以降その変化量は僅かである。従って、磁気共鳴周波数を可変できる範囲が比較的限定されるという問題があった。
本発明者らは、上記の問題について様々な経験や前述した観点から熟慮の結果、球状粉末等形状異方性の小さい粉末を扁平化加工する際に生じる応力歪みに着目し、従来において、殆ど0に近い値が好ましいとされていた磁歪定数λをλ≠0とし、且つ、その符号を、即ち、歪みによる異方性発現の向きをも積極的に利用すると共に、更に焼鈍処理により残留歪みを制御することにより、前記形状異方性と併せてより広範囲な磁気共鳴周波数を与えることを期待した。
一方、所望する透磁率の周波数特性を得るためには、磁気共鳴が生じるよりも低い周波数において渦電流による透磁率の劣化が生じないような対策も併せて講じることが必要である。
前述したように、有効な渦電流対策の一つとして磁性体層と誘電体層を交互に積層するように製膜した積層構造化が提案され、一部実用化されている。この積層構造を有する複合磁性体の特徴は、磁性体層の厚さが電気抵抗、透磁率及び周波数にて定まる表皮深さと同等もしくはそれ以下の厚さとなっている点である。しかしながら、この積層構造磁性体には誘電体層を介して変位電流が流れるために透磁率特性が劣化するという問題がある。ここで変位電流は、積層構造磁性体のサイズ(即ち、積層方向と直交する向きの大きさ)に依存するので、積層構造磁性体を細分化しカラム構造とすることで、その影響を排除することが可能となる。このような積層構造磁性体をスパッタリング等のいわゆる薄膜製膜プロセスにて実現するのは容易ではないが、前記磁性体層に軟磁性体粉末を当てはめることで実用化が容易となる。
即ち、1)磁性体層に相当する軟磁性体粉末は、その厚みが前記表皮深さよりも薄いものとする、2)軟磁性体粉末は、反磁界係数Nをほぼ1にするために十分なアスペクト比を有するものとする、3)誘電体層に相当するものとして、軟磁性体粉末表面を酸化させることにより得られる誘電体層を設けることで、渦電流損失の極めて小さい複合磁性体を得ることができると期待した。
このような複合磁性体の実現は、優れた高周波透磁率特性を与えるのみならず、電気的な非良導性を与え得るので電波吸収体としての対空間インピーダンス整合にも極めて有効であろうことも予想される。
即ち、磁歪定数λ(λ≠0)を広範囲な磁気共鳴周波数の実現に積極的に利用すると共に、軟磁性体粉末の厚さを特定し、その軟磁性体粉末の表面に誘電体層を設けることにより、渦電流損失が少なく、且つ空間とのインピーダンス不整合の生じにくい複合磁性体を発明するに至った。
即ち、本発明によれば、磁歪定数λが正の組成を有し扁平状に加工された軟磁性体粉末と、有機結合剤からなることを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、磁歪定数λが負の組成を有し扁平状に加工された軟磁性体粉末と、有機結合剤からなることを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、前記複合磁性体において、前記軟磁性体粉末は、前記扁平状に加工された後、加工により生じる残留歪み緩和化のための焼鈍処理が施されたものであることを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれかの複合磁性体において、前記扁平状に加工された軟磁性体粉末の平均厚さは、該複合磁性体の使用周波数における表皮深さδよりも小さいことを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれかの複合磁性体において、前記扁平状に加工された軟磁性体粉末は、該複合磁性体中において、配向配列されていることを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれかの複合磁性体において、前記軟磁性体粉末は、少なくともその表面に酸化物層を有することを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、前記複合磁性体において、前記少なくともその表面に酸化物層を有する軟磁性体粉末は、気相中徐酸法又は液相中徐酸法により酸素含有混合ガスにてその表面を酸化処理することにより形成されたものであることを特徴とする磁性複合体が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれかの複合磁性体において、前記軟磁性体粉末と、前記有機結合剤とからなり、且つ、電気的に非良導性であることを特徴とする複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、異なる大きさの及び/又は異なる符号の磁歪定数λを有する少なくとも二つの扁平状軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、焼鈍処理条件の異なる少なくとも2つの扁平状軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体が得られる。
また、本発明によれば、軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体の製造方法に関し、前記軟磁性体粉末を扁平状に加工し、該加工により前記軟磁性体粉末に生じる残留歪み緩和化のための焼鈍処理を施し、該焼鈍処理が施された前記軟磁性体粉末の少なくとも表面に、気相中徐酸法又は液相中徐酸法により酸素含有ガスにて酸化物層を形成することを特徴とする複合磁性体の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体の製造方法に関し、前記軟磁性体粉末を扁平状に加工し、前記軟磁性体粉末の少なくとも表面に、気相中徐酸法又は液相中徐酸法により酸素含有ガスにて酸化物層を形成し、該酸化物層が形成された前記軟磁性体粉末に、前記扁平状に加工したことにより生じる残留歪み緩和化のための焼鈍処理を施すことを特徴とする複合磁性体の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体の製造方法に関し、前記軟磁性体粉末を扁平状に加工し、該加工された前記軟磁性体粉末に、前記加工により前記軟磁性体粉末に生じる残留歪み緩和化のための焼鈍処理と、前記軟磁性体粉末の少なくとも表面に、気相中徐酸法により酸素含有ガスにて酸化物層を形成する処理とを同時に行うことを特徴とする複合磁性体の製造方法が得られる。
また、本発明によれば、前記いずれかの複合磁性体の製造方法に関し、前記軟磁性体粉末を扁平状に加工する際に、前記軟磁性体粉末に加わる歪み量、あるいは前記焼鈍処理の条件を変えることにより該複合磁性体の複素透磁率の周波数特性を制御することを特徴とする複合磁性体の製造方法が得られる。
更に、本発明によれば、前記いずれかの複合磁性体をその構成要素として有する電磁干渉抑制体であって、前記複合磁性体の互いに異なる大きさの残留歪みに相応して相異なる周波数領域に出現する複数の磁気共鳴の内、最も低い周波数領域に現れる磁気共鳴が、所望する電磁干渉抑制周波数帯域の下限よりも低い周波数領域にあることを特徴とする電磁干渉抑制体が得られる。
本発明によれば、軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体において、渦電流による透磁率特性の劣化を抑止出来る構成により高い実部透磁率を実現しつつ、磁歪定数λがゼロでない値の軟磁性体粉末を用い、更に焼鈍処理を組み合わせることで、残留歪み量を変化させ高周波透磁率特性を広い範囲で制御することが出来る。
また、本発明の一実施形態である異なる残留歪み量を有する複数の軟磁性体粉末からなる複合磁性体を用いた電磁干渉抑制体においては、異なる複数の磁気共鳴の出現により広帯域なμ″分散特性が得られるので、優れた電磁干渉抑制効果が現れている。即ち、本発明によれば、移動体通信機器をはじめとする高周波電子機器類内部での電磁波の干渉抑制に有効な薄厚の電磁干渉抑制体を得ることが出来る。
尚、本発明の複合磁性体及び電磁干渉抑制体は、その構成要素から判るように容易に可撓性を付与することが可能であり、複雑な形状への対応や、厳しい耐振動、衝撃要求への対応が可能である。
本発明においては、高周波透磁率の大きな鉄アルミ珪素合金(センダスト)、鉄ニッケル合金(パーマロイ)、或いはアモルファス合金等の金属軟磁性材料を原料素材として用いることが出来る。
本発明では、これらの粗原料を粉砕、延伸・引裂加工等により扁平化し、その厚みを表皮深さと同等以下にすると共に、反磁界係数Nをほぼ1にするために扁平化された軟磁性体粉末のアスペクト比を概ね10以上とする必要がある。ここで表皮深さδは次式により与えられる。
δ=(ρ/πμf)1/2
前式において、ρは比抵抗、μは透磁率、fは周波数である。したがって表皮深さδは、目的の周波数によってその値が異なってくるが、所望の表皮深さとアスペクト比を得るには、出発粗原料粉末の平均粒径を特定するのが最も簡便な手段の一つである。この粉砕、延伸・引裂加工に用いることの出来る代表的な粉砕手段として、ボ−ルミル、アトライタ、ピンミル等を挙げることが出来、前述した条件を満足する軟磁性体粉末の厚さとアスペクト比が得られれば粉砕手段に制限はないが、本発明の効果に密接にかかわる延伸・引裂加工により生じる残留歪みの大きさを考慮して加工手段及び加工条件を設定する必要がある。
本発明において、磁歪定数λが正の原料磁性体を用いた場合には、延伸・引裂加工により形状磁気異方性が生じると共に、残留歪みによる歪磁気異方性(磁気弾性効果)が生じ、両者の向きが同じとなるため、異方性磁界は両者の和となる。従って、磁歪定数λがゼロである原料を用いた場合に比べて、異方性磁界はより大きな値となり、磁気共鳴周波数もより高いものとなる。
ところで、この扁平化加工により生じる残留歪みは、適当な焼鈍処理を施すことにより緩和されるので、扁平化処理後に焼鈍処理を行った原料粉末を用いた複合磁性体では、焼鈍処理条件に応じた周波数frに磁気共鳴が現れる。この磁気共鳴周波数frは、焼鈍処理をしていない磁性粉を用いた複合磁性体よりも低く、磁歪定数λがゼロの磁性粉を用いた複合磁性体よりも高くなり、焼鈍処理条件を制御することで、磁気共鳴周波数をその範囲内において任意に設定することが可能である。一方、磁歪定数λが負の原料磁性体を用いた場合には、残留歪みにより生じる歪み磁気異方性(磁気弾性効果)の向きが形状磁気異方性の向きと直交することになり、異方性磁界が小さくなり磁気共鳴周波数がゼロ磁歪原料の場合に比べて低くなる。
このように、形状異方性と磁歪定数λの符号、及び焼鈍処理条件を組み合わせることにより、磁気共鳴周波数frを大幅に変化させることが可能となる。
また、本発明においては、個々の磁性粉末同士の電気的に隔離、即ち複合磁性体の非良導性を磁性粉の高充填状態においても確保出来るよう、軟磁性体粉末は、その表面に誘電体層が形成されている必要がある。この誘電体層は、金属磁性粉末の表面を酸化させることにより得られる構成元素と酸素とからなる金属酸化物層であり、例えば、鉄アルミ珪素合金(センダスト)の場合には、主にAlO及びSiOであると推察される。金属粉末の表面を酸化させる手段の一例として、特に粉末の大きさが比較的小さく、活性度の高いものについては、炭化水素系有機溶媒中あるいは不活性ガス雰囲気中にて酸素分圧の制御された窒素−酸素混合ガスを導入する液相中徐酸法あるいは気相中徐酸法により酸化処理することが制御の容易性、安定性、及び安全性の点で好ましい。
尚、この表面酸化のための徐酸処理と、先に説明した残留歪み低減のための焼鈍処理については、どちらを先に行ってもよく、また、同一工程にて行うことも可能である。
本発明の一構成要素として用いる有機結合剤としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、或いはそれらの共重合体を挙げることが出来る。
以上に述べた、本発明の構成要素を混練・分散し複合磁性体を得る手段には特に制限はなく、用いる結合剤の性質や工程の容易さを基準に好ましい方法を選択すればよい。
この混練・分散された磁性体混合物中の磁性粒子を配向・配列させる手段としては、剪断応力による方法と磁場配向による方法があり、いずれの方法を用いても良い。
次に本発明の効果を検証するために実験を行ったので、以下に実施例として詳細に説明する。
はじめに、水アトマイズ法により作製された磁歪定数λの異なる複数の鉄−ニッケル合金粉末及び鉄アルミ珪素合金粉末を用意し、アトライタ及びピンミルを用い様々な条件下にて粉砕、延伸・引裂加工を行い、更に、炭化水素系有機溶媒中で酸素分圧35%の窒素−酸素混合ガスを導入しながら8時間撹拌し液相中徐酸処理した後、分級処理を施し異方性磁界(H)の異なる複数の粉末試料を得た。ここで得られた粉末を表面分析した結果、金属酸化物の生成が明確に確認され、試料粉末の表面における酸化被膜の存在が認められた。
尚、粉砕、延伸・引裂加工処理された鉄−ニッケル合金粉末、及び鉄アルミ珪素合金粉末を減圧乾燥し、これを酸素分圧20%の窒素−酸素混合ガス雰囲気中で気相徐酸した試料についてもその表面に金属酸化物が検出され、本発明の複合磁性体に用いることの出来る少なくともその表面が酸化された軟磁性体粉末が液相中徐酸法あるいは気相中徐酸法にて作成できることが確認された。
本発明の効果を検証するにあたり、これらの粉末試料を用いて以下に述べる複合磁性体を作製し、μ−f特性及び電磁干渉抑制効果を調べた。
μ−f特性の測定には、トロイダル形状に加工された複合磁性体試料を用いた。これを1ターンコイルを形成するテストフィクスチャに挿入し、インピーダンスを計測することにより、μ′及びμ″を求めた。
一方、電磁干渉抑制効果の検証は、図1に示される評価系により行い、電磁干渉抑制体試料10として、銅板8が裏打ちされた厚さ2mmで一辺の長さが20cmの複合磁性体2を用いた。ここで、波源用素子及び受信用素子にはループ径1.5mmの微小ループアンテナ4,5を用い、受信用素子に接続される信号源にはスイープジェネレータ(電磁界波源用発振器)6を使用し、結合レベルの測定にはネットワークアナライザ(電磁界強度測定器)7を使用した。
[検証用試料1]
以下の配合からなる軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い下記表1に示される検証用試料1を得た。
Figure 2007173859
尚、得られた試料1を走査型電子顕微鏡を用いて解析したところ、粒子配列方向は試料膜面内方向であった。
ここで磁歪の大きさは、H=200エルステッドでの歪み量dl/l×10−6の値であり、これは後述する検証用試料2乃至検証用試料4、及び比較用試料5及び比較用試料6についても同じである。
[検証用試料2]
以下の配合からなる軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い下記表2に示される検証用試料2を得た。
Figure 2007173859
尚、得られた試料2を走査型電子顕微鏡を用いて解析したところ、粒子配列方向は試料膜面内方向であった。
[検証用試料3]
以下の配合からなる軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い下記表3に示される検証用試料3を得た。
Figure 2007173859
尚、得られた試料3を走査型電子顕微鏡を用いて解析したところ、粒子配列方向は試料膜面内方向であった。
[検証用試料4]
以下の配合からなる軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い下記表4に示される検証用試料4を得た。
Figure 2007173859
尚、得られた試料4を走査型電子顕微鏡を用いて解析したところ、粒子配列方向は試料膜面内方向であった。
[比較用試料5]
以下の配合からなる軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い下記表5に示される検証用試料5を得た。
Figure 2007173859
尚、得られた試料5を走査型電子顕微鏡を用いて解析したところ、ほぼ等方的な配列であった。
[比較用試料6]
以下の配合からなる軟磁性体ペーストを調合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱プレスを施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い下記表6に示される検証用試料6を得た。
Figure 2007173859
尚、得られた試料6を走査型電子顕微鏡を用いて解析したところ、粒子配列方向は試料膜面内方向であった。
得られた各試料の実部透磁率μ′及び磁気共鳴周波数frを下記表7に示す。
Figure 2007173859
また、図2は、本発明の検証例である試料1乃至試料2及び比較例である試料6のμ−f特性であり、磁気共鳴周波数frは、正の磁歪定数λを有する磁性粉末を用いた試料1が最も高く、実部透磁率μ′の値は磁歪定数λがほぼゼロである試料6が最も大きな値を示している。試料2は、試料1で用いた磁性粉末に焼鈍処理を施したものを原料粉末に用いたものであるが、図2から明らかなように磁気共鳴周波数frの値、及び実部透磁率μ′の値ともに試料1と試料6の中間に位置している。
一方、前記表7から判るように、負の磁歪定数λを有する試料3では、磁気共鳴周波数frが磁歪定数λがほぼゼロである試料6よりも更に低い周波数となっていると共に、実部透磁率μ′の値も試料6より大きな値を示している。尚、いずれの場合でも略球状の原料磁性粉末を用いた比較用試料である試料5に比べて実部透磁率μ′の差は歴然である。
これらの結果から、磁歪定数λをゼロでない値とし、更に焼鈍により残留歪み量をも変化させたことにより、透磁率の周波数特性を広い範囲にて制御することが出来、加えて磁性粉末の厚さを特定し、その表面に誘電体層を設けたことで、高周波域において高い透磁率が得られることが明白である。
次に、検証用試料4及び比較用試料5について、それぞれの粉末充填率、表面抵抗、μ″分布、及び電磁干渉抑制効果を比較した結果を下記表8に示す。
Figure 2007173859
ここで、表面抵抗はASTM−D−257法による測定値であり、μ″分布は互いを相対的に比較したものであり、電磁干渉抑制効果の値は、銅板を基準(0dB)としたときの信号減衰量である。
前記表8より以下に述べる効果が明白である。
即ち、本発明の検証用試料及び比較用試料共、表面抵抗の値が10〜10Ωとなっており、少なくとも表面が酸化された磁性粉末を用いることによって、複合磁性体を非良導性とすることが出来、導体やバルクの金属磁性体等にみられるようなインピーダンス不整合による電磁波の表面反射を抑制出来る。
更に、本発明の検証用試料では、粉末の充填率が比較用試料に比べて低いにもかかわらず良好な電磁干渉抑制効果を示しており、本発明によるμ″分布の拡張効果が電磁干渉抑制に有効であることが理解出来る。
本発明の実施例において、電磁干渉抑制体の特性評価に用いた評価系を示す概略図である。 本発明の実施例において、検証用試料1乃至検証用試料2及び比較用試料6の条件にて作製した各試料のμ−f特性を示す図である。
符号の説明
2 複合磁性体
4,5 微小ループアンテナ
6 電磁界波源用発信器
7 電磁界強度測定器
8 銅板
10 電磁干渉抑制体

Claims (1)

  1. 軟磁性体粉末と有機結合剤とからなる複合磁性体を備え、該複合磁性体の虚数部透磁率μ″を利用して不要輻射を抑制する電磁干渉抑制体の製造方法において、前記軟磁性体粉末の磁歪定数λを正又は負とすることにより前記虚数部透磁率μ″の周波数を制御することを特徴とする電磁干渉抑制体の製造方法。
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JP2013254757A (ja) * 2011-07-29 2013-12-19 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 複合磁性体及びそれを備えたアンテナ並びに通信装置
JP2015056618A (ja) * 2013-09-13 2015-03-23 株式会社リケン 近傍界用電波吸収シート
JP2017208416A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 株式会社リケン 近傍界用ノイズ抑制シート

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