JP4911830B2 - 吸収性製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば使い捨てのオシメや生理用ナプキン、失禁用パッドなどに適用され、尿などの体液を吸収保持するための吸収性製品および吸収性製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような吸収性製品として、例えば従来の失禁パッドや生理用ナプキンは次のように構成されている。
一般に、このような吸収性製品である例えば失禁パッドは、軽い尿漏れの心配がある使用者が、日常の生活,すなわち、ひるま起きて行動している時間帯や、夜の就寝中に下半身に装着して使用する。
このため、吸収性製品は、使用者が装着したときに外面となる箇所には、液体不透過性のシート材が適用され、その内側には尿等の液体を吸収するための吸収材が配置され、さらにその内側で使用者の肌と接触する箇所には、液体を透過するシート材が配置されている。
【0003】
図43は、従来の吸収性製品の一例として使い捨ての失禁パッドを示している。この失禁パッド1は、使用者が装着した状態において、尿や便等の排泄物を覆うことができるように、前後に長い形状になっている。
この失禁パッド1の外面となる箇所には、液体不透過性のバックシート2が用いられている。バックシート2の内側には、尿等の液体を吸収するための吸収体4が収容されている。吸収体4のさらに内側には、表面材5が配置されている。この表面材5は、液体を通過する材質で作られている。表面材5とバックシート2は重ねて配置されており、表面材5の内側には、2つの立体ギャザー部6,6が設けられている。立体ギャザー部6の外側には股ギャザー部7が設けられている。この立体ギャザー部6は、失禁パッド1を使用者が装着した時に、使用者の股を包囲するようにして、尿等の液体が失禁パッド1の外部に流れないようにして、下着等を汚してしまうのを防止している。
【0004】
このため、失禁パッド1は、図43において、前後に長い形状を有しており、立体ギャザー部6及び股ギャザー部7が、装着状態において、使用者の股下に位置し、一端部8が身体の後面側に位置して、臀部の下部領域を覆い、他端部9が身体の前面側に位置して、生殖器周辺を覆うようになっている。そして、失禁パッド1の外面12には、剥離紙13を剥離すると露出するようにされたズレ防止用の接着部11が形成されており、この接着図11により、下着の内面に仮固定できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような、失禁パッド1は、図44に示すように、使用者Hの下半身に装着される。図44は、使用者Hが失禁パッド1を装着した状態の下半身を後から見た状態の概略図である。
この場合、失禁パッド1の一端部8は、臀部の下部領域を覆っているが、この一端部8は、もともと、紙や不織布といった材料を重ねて形成されており、その表面材5側は平らな面となっている。
一方、人の臀部は、中央の割れ目で区分された2つの突出した部分でなる複雑な3次元形状をしており、この割れ目部分に対応した個所で、失禁パッド1の一端部8の上端部と、上記割れ目部分の谷となった個所に隙間14が生じてしまう。
このため、特に、使用者が就寝中等において身体の下側に位置した隙間14から、尿等の体液が外に出て、着衣等を汚してしまうという問題がある。
【0006】
この隙間14は、図44において、身体の前後の方向に沿った表面材5の内側を、突出させるような構造を付加して、この突出部分が上記割れ目に沿うような構成としても無くすことができない。
つまり、失禁パッド1は、接着部11で、下着側に仮固定できるようになっているが、下着がずれると失禁パッド1と身体との位置もずれてしまう。この結果、上記割れ目部分の谷となった個所がやはり隙間14を生じてしまうことになる。
【0007】
さらに、失禁パッド1や生理用ナプキン等の吸収性製品では、その使用目的との関係で、装着していることが、着衣の外側からできるだけ知られないようにすることが好ましい。
しかし、従来の失禁パッド1のような吸収性製品では、特に、一端部8が、複雑な3次元形状でなる臀部の下部領域と接するため、この部分の身体の外形に完全に沿った形状とすることができず、必ず多少の浮き上がりを生じている。その結果、例えば、下着等の生地の薄い着衣の内側から、失禁パッド1の一部が着衣の不規則な盛り上がり個所を形成し、外部から装着していることを視認されやすいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、失禁パッド,生理用ナプキン,オシメ等の吸収性製品において、複雑な3次元形状の身体に好適にフィットして、体液が外に漏れだすことを防止し、しかも、装着状態を外部からきわめて判別しにくくした吸収性製品とその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一方向に長い形状を有しており、液体の透過を防止するバックシートと、身体に接触する面側に配置される液体透過性の表面材と、前記バックシートと前記表面材との間に配置されて前記表面材を透過した液体を吸収して保持する吸収体とを備えていて、前記一方向に長い形状に関して、少なくとも、一端側の領域の短手方向中央部に、前記表面材側に凸となるように曲折された曲折部が形成されており、前記吸収体の前記曲折部に対応した部分に曲げ応力が集中する曲折案内部を設け、前記曲折部に沿って、製品の長さ方向に縮む収縮力を発生する弾性体を配置し、前記弾性体が前記吸収体と前記バックシートの間に配置されて、バックシート側に固定されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、本発明の吸収性製品は、複数のシート状材料を積層固着して一方向に長い基本形状を有している。前記バックシートは液体の透過を防止する。前記表面材は身体に接触する面側に配置される液体透過性のものである。前記吸収体はバックシートと表面材の間に配置されて表面材を透過した液体を吸収して保持する。
この構成の特徴部分である曲折部は、吸収性製品の短手方向の中心部に位置して、長手方向に沿うように延びるものであって、少なくとも吸収性製品の一端側の領域に設けられる。吸収性製品のこの一端側の領域は、使用者が吸収性製品を装着した時、身体の後側,すなわち、臀部の少なくとも下部領域に当接する個所である。
吸収性製品の短手方向の中心部とは、臀部の谷間の部分に対応する領域である。
【0011】
前記曲折部は、吸収性製品をその表面材の側が凸となるように二つ折りに曲折して形成されている。このため、表面材側は凸となるが、バックシートの表面は折り込まれて凹状となる。
前記曲折部の凸部分の形状は、従来のように、吸収体等の厚みを厚くして、表面材側を盛り上げた場合の形状と著しく異なり、その凸となった部分の厚みは薄く、先端分は比較的先鋭な形状となっている。このため、曲折部の第1の作用として、曲折部の凸状先端は、臀部の割れ目に入り込んで、その谷間となっている個所に充填され、隙間を無くす作用がある。
【0012】
また、このような曲折部の第2の作用としては、臀部の割れ目に入り込んで挟まれることで、吸収性製品が保持されて位置ずれしないし、製品が浮いた状態とならないことである。
また、このような曲折部の第3の作用としては、表面材側が凸となることに対応して、バックシート側は曲折凹部となるから、外形上も臀部の形状と一致する形状となることで、外部からきわめて視認しにくく、装着していることが判別されにくいというものである。
【0013】
前記曲折部は、前記した吸収性製品の一端側の領域だけでなく、例えば、そのほぼ全長にわたって形成してもよい。この場合、一端側の領域が臀部の谷間の領域に、他端側の領域が、身体の前面下部の領域に対応して、特に、女性の場合において、身体の前面下部にも曲折部が入り込んで、保持されるようにしてもよい。
【0014】
さらに、前記曲折部を形成するための折り線にそって、構造的に弱い領域を形成して、曲げ応力が集中させることにより、曲折部を容易に形成することができる。
さらにまた、上記構成によれば、曲折部を形成するための曲げ応力が弾性体の収縮力により与えられることになるので、曲折部を容易に形成することができるとともに、曲折状態を安定的に保持することができる。
加えて、上記構成によれば、弾性体の収縮による皺が身体に当接する表面材側に形成されることがないので、不快な刺激が生じない。また、液体不透過性のバックシートに接着することで、強固に固定される。
【0015】
好ましくは、前記曲折案内部は、前記吸収体の前記曲折部に対応した箇所に、長手方向に沿って形成された、ひとつまたは連続する複数の空孔もしくはスリットにより設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、吸収体に連続する複数の空孔もしくはスリットを設けることで、曲折案内部として機能する個所を容易に設けることができる。
【0016】
好ましくは、前記曲折案内部は、前記吸収体の前記曲折部に対応した箇所に、長手方向に沿ってエンボス加工することにより設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、吸収体の前記曲折部に対応した箇所の前記表面材側に、長手方向に沿ってエンボス加工することで、曲折案内部として機能する個所を容易に設けることができる。
【0017】
好ましくは、前記吸収体が複数の吸収体層を積層して形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、吸収体を複数の吸収体層で構成することにより、その分多量の液体を吸収保持することができる。
【0018】
好ましくは、前記複数の吸収体層の表面材側を上層として、バックシート側を下層とした時、上層に位置する吸収体の曲折案内部が下層に位置する吸収体の曲折案内部よりも小さく形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、吸収性製品の曲折部が身体に当接する個所において、曲折案内部を上層側で小さくすることで、身体に接触する場合の刺激を小さくすることができる。
【0021】
好ましくは、前記曲折部に配置される前記弾性体とほぼ平行して、この弾性体両側に所定の間隔を隔てて、さらに他の弾性体を配置することを特徴とする。
上記構成によれば、曲折部の両側に、平行して他の弾性体を配置することにより、臀部の丸みに対して、より忠実に沿った形状とすることができ、身体からの浮き状態をより確実に防止することができる。
【0022】
好ましくは、前記他の弾性体が前記表面材または前記吸収体と前記バックシートの間に配置されて、バックシート側に固定されていることを特徴とする。
上記構成によれば、他の弾性体においても、液体不透過性のバックシートに接着することで、強固に固定される。
【0026】
また、本発明の吸収性製品の製造方法は、バックシート用シートの中央部であって、製品に対応した長さ方向の各端部よりも内側の位置に接着剤を適用し、長さ方向に沿って伸長した弾性体を前記バックシート用シートの中央部の接着剤適用部位に載置し、前記バックシートの前記中央部の接着剤適用部位の短手方向に関して両側に接着剤を適用し、次いで、その上に吸収体及び表面材を順次配置して積層体を形成し、前記伸長している弾性体を、製品に対応した間隔でカットし、前記カットにより前記弾性体が前記中央部の接着剤適用部位に向かって積層体内部に収縮した結果残る製品周縁部の開口を塞ぎ、製品外形に沿って前記露出した弾性体及び積層体をカットすることを特徴とする。
上記構成によれば、バックシートの曲折部を形成すべき中央部に弾性体を固定して、吸収体及び表面材が積層された製品を得ることができる。この場合、弾性体の収縮により開いた開口を塞ぐことで、バックシートと吸収体の間からこの開口を通って、吸収された体液や吸収体に含まれるポリマー等の液体が外部に漏れ出ることを有効に防止することができる。
【0027】
また、本発明は、長さ方向に沿って伸長した弾性体を、この弾性体の収縮力に対抗しつつ保持して、長さ方向の所定間隔毎にカットし、次いで、前記保持状態のまま前記カットした弾性体を、中央部であって長さ方向の各端部よりも内側の位置に予め接着部を形成したバックシート用シートの前記接着部に当接させて接着し、その後前記バックシート用シートに、シート状に供給される吸収体及び表面材を積層配置して接着し、このバックシート,吸収体,表面材の積層体を製品外形に沿ってカットするようにした、吸収性製品の製造方法により、達成される。
上記構成によれば、伸長した弾性体を、収縮しないように保持しつつバックシート側に固定することができるので、製造の過程で積層体の間と連絡した開口をつくることがなく、このような開口を塞ぐ等の面倒な処理を必要としないで、吸収性製品を製造することができる。
【0028】
この発明は、第1のカバーシートの中央部であって、長さ方向の各端部よりも内側の位置に接着剤を適用し、長さ方向に沿って伸長した弾性体を前記第1のカバーシートの接着剤適用部位に載置するとともに、その上に第2のカバーシートを積層し、次いで、前記積層体を、弾性体の収縮力に対抗して保持しつつ、所定間隔毎に幅方向に沿ってカットし、続いて、前記保持状態のまま前記積層体を、予め中央部であって長さ方向の各端部よりも内側の位置に接着部を形成したバックシート用シートの前記接着部に当接させて接着し、その後前記バックシート用シートに、シート状に供給される吸収体及び表面材を積層配置して接着し、このバックシート,吸収体,表面材の積層体を製品外形に沿ってカットするようにしたことを特徴とする。
上記構成によれば、第1及び第2のカバーシートの間に弾性体を固定した収縮機能をもつ積層体を、収縮の影響を受けにくいカバーシート端部で収縮しないように保持しつつバックシート側に固定することができるので、製造の過程で積層体の間と連絡した開口をつくることがなく、このような開口を塞ぐ等の面倒な処理を必要としないで、吸収性製品を製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0030】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性製品が示されており、その一例として失禁パッドの使用時の形状例を示している。この実施形態では、吸収性製品を代表させて失禁パッドに適用した例を説明するが、全体の大きさの多少変えることで、同一の構造にて、生理用ナプキンやオシメにも適用できるものである。ここで、図1は、失禁パッド20を正面から見た概略斜視図であり、図中「前」と表示されている方が装着時に身体の前面側となる。図2は図1の失禁パッド20を逆方向から見た概略斜視図である。
【0031】
図1と図2において、失禁パッド20は、バックシート22、ティッシュ23、吸収体24、表面材25、左右の立体ギャザー部26、左右の股ギャザー部27を有している。
バックシート22は、外側のシート材であり、液体の透過を防止する材質により作られている。バックシート22の材質としては、たとえば薄いプラスチックフィルム、具体的には、ポリエチレンフィルムやポリエチレンラミネート紙等が使用できる。バックシート22は液体は通さないが好ましくは水蒸気を透過させて蒸れを防止でき、ある程度可撓性を備えている材質を選択する。これにより失禁パッド20の内側の内容物(汚物である固形物や尿、血液等)が外側に漏れ出ないようになっている。
【0032】
ティッシュ23と吸収体24は、バックシート22と表面材25の間に配置して収容されるものであり、液体等を吸収して保持するための部分である。
ティッシュ23は、液体等を吸収する柔らかい材質、たとえばパルプ(バージンパルプ、古紙再生パルプ)、レーヨン、コットン、ケナフ、バガス、シルク、親水処理をした繊維(ポリオレフィン系、ポリエステル、アクリル)などを単一又は複合してシート化したものを用いることができる。
吸収体24は、表面材25のセンター表面材28を透過した液体成分を吸収して保持する役割を果たす。従って液体吸収性に優れる材質のものであれば使用することができ、このような吸収体24の材質としては、たとえばパルプに吸収材であるポリマーを混合したりパルプにポリマーを散布したりして形成するパルプ吸収体もしくはポリマー等が好ましい。ここでパルプは、たとえば木材を機械的または化学的に処理して、抽出したセルロース繊維の集合体であり、これをシート状にしたものが用いられる。また、ここでは、吸収体24を一枚のシートして構成しているが、ティシュ23で覆うように形成してもよく、複数の吸収体24を積層してもよい。
【0033】
表面材25は、センター表面材28と2つのサイド表面材29,30を有している。センター表面材28は、バックシート22に対して長手方向Lに沿って接着剤により固定される部分であり、センター表面材28は直接使用者の肌に触れるために、肌を必要以上に損なうことなく肌触りの良い点を考慮してこれに適した材料が選択される。センター表面材28は内側のシートもしくはトップシート等とも呼んでおり、液体を透過させ特に速やかに液体成分が透過されるのに適した材質の繊維として、たとえば種々の天然繊維、合成繊維あるいはこれらの組み合わせから選択できる。たとえば合成繊維としては一例としてポリエステルやポリプロピレンのファイバーを素材として液体透過性をよくするように形成した繊維が好ましい。
【0034】
サイド表面材29,30は、センター表面材28の長手方向Lに沿って、センター表面材28の両側に配置されている(後述する図22等参照)。センター表面材28が液体を透過させることができるのに対して、サイド表面材29,30は液体の透過を防止する材質で作られている。例えば、センター表面材28が不織布で作られる場合には、例えば、湿式不織布(紙、ティッシュ、ハイドロスパン(デクスター社)、ケミカルボンド(又はレジンボンド)、サーマルボンド(エンボス、アンビル、エアスルー)、エアレイド、スパンレース、スパンボンド、メルトブローン、ニードルパンチ、ステッチボンド、そしてスパンボンドとメルトブローン不織布を複合して作られたSM不織布(スパンボンドとメルトブローンの積層体)、SMS不織布(スパンボンドとメルトブローンとスパンボンドの積層体)等が採用できる。この中ではセンター表面材28の材質としては、特にサーマルボンド、スパンボンド、スパンレースが好ましい。
これに対して、サイド表面材29,30の材質としては、たとえばポリオレフィン系不織布あるいはポリエステル系不織布と薄いプラスチックフィルムとを組み合わせたもの、ポリエステル系不織布等とポリエチレンフィルム等を組み合わせたもの、SM不織布、SMS不織布等が採用できる。
【0035】
左右の立体ギャザー部26,26は、それぞれサイド表面材29,30の少なくとも長手方向の中央部に弾性体15を配置することで形成されている。この立体ギャザー部26は、図示例ではサイド表面材30の少くとも長手方向Lの中央部に弾性体を配置することで形成されている。
この立体ギャザー部26を形成するために、線状の弾性体15がサイド表面材29あるいはサイド表面材30の少なくとも中央部分において長手方向Lに沿って収容されている。この弾性体15の弾性収縮能力により、サイド表面材29,30の少くとも中央部には、図1に示すように立体ギャザー部26が形成されている。この立体ギャザー部26を形成することにより、使用者の排泄物もしくは液体成分が失禁パッド20の短手方向Tに沿って外側に漏れ出さないように使用者の身体に密着して阻止する。
股ギャザー部27は、立体ギャザー部26と協働して、失禁パッド20の股にあたる短手方向両端部を弾性力で引くことで、使用者の股へのフィット性を高め、使用者の排泄物もしくは液体成分が股部から漏れる事を防ぐ。
【0036】
尚、図1には示されていないが、図43で説明した外面12に設けられる仮固定用の接着部11及びハクリ紙13を本実施形態の失禁パッド20にも設けてもよい。
これにより、失禁パッド20を使用する時には、このハクリ紙13を剥離して、ずれ防止用接着部11を露出することにより、ずれ防止用接着部11がたとえば下着等の内面に着脱可能に粘着して貼り付くことにより、失禁パッド20がパンツのような下着に対してずれないように固定することができることになる。
【0037】
図1及び図2において、一方向(図では、Lの方向)に長い吸収性製品20の少なくとも一端部の領域として、好ましくは、後パッド部31には、曲折部40が設けられている。
具体的には、曲折部40は、後パッド部31の短手方向Tに関して、その中央部に、表面材側に向かって凸となるように曲折された曲折部40が形成されている。この曲折部40は、図6に示すように、使用者Hが失禁パッド20を装着した時に、使用者の臀部の谷間に入り込む位置に対応して設けられ、しかもこの谷間の延びる方向に沿って,すなわち、図1のLの方向に沿って長い形状とされている。
【0038】
さらに、この曲折部40は、図1に示すように、内面側に凸になった曲折凸部42に対して、図2に示すように、裏側では、内側に入り込んだ曲折凹部43となっている。この曲折部40は、好ましくは、例えば、図2に示されているように、その曲折するための折り線に沿って、曲げ応力が集中する個所としての曲折案内部41が設けられている。そして、この曲折案内部41に沿って長い形状の弾性体44が配置されている。この弾性体44は、上述した弾性体15と同様の構造のものが使用できるが、ポリウレタンを使用したフィルム状のものを利用してもよく、この場合、接着面を広く確保することができる。これにより、長さ方向に沿って収縮する力を発揮するものである。また、弾性体44は必ずしも必要ではないが、後述するように、曲折部40に弾性体44を設けた方がより好ましい作用がある。したがって、この弾性体44の設け方等については、詳しく後で説明する。
【0039】
図3は、この曲折案内部41の構成例を示すために、図2の曲折部40の中央を通過する切断線であるA−A線概略断面図であり、図示の便宜のため、図2の失禁パッド20の湾曲を引き延ばして、直線的な状態で示したものである。
図において、曲折案内部41は、曲折部40の延びる方向に沿って、吸収体24の表面材25側に開口やエンボス等を連続して設けることにより形成されている。
【0040】
一方、図4も曲折案内部41の構成例を示すために、図2の曲折部40の中央を通過する切断線であるA−A線概略断面図であり、図示の便宜のため、図2の失禁パッド20の湾曲を引き延ばして、直線的な状態で示したものである。
図4の場合、吸収体24のバックシート22側に開口した複数のエンボス46を連続して設けることにより形成されている。
【0041】
図5も、曲折案内部41の構成例を示すために、図2の曲折部40の中央を通過する切断線であるA−A線概略断面図であり、図示の便宜のため、図2の失禁パッド20の湾曲を引き延ばして、直線的な状態で示したものである。
図において、曲折案内部41は、曲折部40の長さ方向に連続するように、吸収体24に、複数の空孔もくは開口47を設けている。
このように曲折案内部41は、折り線が延びる方向に沿って、折り曲げ応力を集中させる構造を形成することにより、比較的容易に形成することができる。
【0042】
本実施形態は、以上のように構成されており、以下のような作用を発揮する。
図6は、使用者Hにより失禁パッド20が使用された例を示す説明図である。図に示されているように、失禁パッド20の曲折部40の曲折凸部42の形状は、従来のように、吸収体等の厚みを厚くして、表面材側を盛り上げた場合の形状と著しく異なり、その凸となった部分の厚みが薄く、先端分は比較的先鋭な形状となっている。このため、曲折部40は使用者Hの臀部割れ目Cに入り込んで、その谷間となっている個所に充填され、隙間を無くす作用がある。
このため、使用者Hは失禁パッド20を装着した状態において、立ち働いたり、あるいは、そのまま就寝しても、臀部の割れ目Cの個所にて、失禁パッド20との間に隙間がないことから、ここから尿等が漏れ出ることがなく、下着等の着衣を汚す心配がない。
【0043】
また、失禁パッド20の曲折部40が、臀部の割れ目Cに入り込んで挟まれることで、失禁パッド20が保持されて位置ずれしないし、失禁パッド20が浮いた状態とならない。
これによって、身体と失禁パッド20との間に隙間が生じることがないので、隙間から尿等が漏れ出ることがなく、この点でも下着等の着衣を汚す心配がない。
【0044】
さらに、また、失禁パッド20の曲折部40の表面材25側には、曲折凸部42が形成されるだけでなく、バックシート22側は曲折凹部43となるから、外形上も臀部の形状と一致する形状となることで、外部からきわめて視認しにくく、装着していることが判別されにくい。
【0045】
尚、この実施形態の曲折部40は、失禁パッド20の後パッド部31の領域だけでなく、例えば、前パッド部32を含む失禁パッド20のほぼ全長にわたって形成してもよい。この場合、後パッド部31の領域が臀部の谷間Cに、前パッド部32の領域が、身体の前面下部の領域に対応して、特に、女性の場合において、身体の前面下部にも曲折部40が入り込んで、保持されるようにしてもよい。
【0046】
ここで、曲折部40を形成するための曲折案内部41は、以下に説明するような種々な形態が考えられる。
図7は、曲折案内部の第1の変形例であり、図において、曲折案内部41−1以外の構成は図1で説明した失禁パッド20と同一の構成である。
この曲折案内部41−1は、吸収体24を曲折部40が位置する個所で切り離し、所定の幅で切除したスリット状に形成している。これにより、上述のエンボス等で形成した曲折案内部41と比べると、より曲折しやすくなっており、特に臀部の割れ目Cに対応する箇所で容易に曲折するようになっている。
【0047】
図8ないし図19は、曲折案内部41の各種変形例を示しており、これらの図は、図7の失禁パッド20を平らに伸ばした状態の概略平面図において、吸収体24に曲折案内部41を形成した状態を模式的に示しており、各曲折案内部以外の構成は図1で詳しく説明した構成と共通である。
【0048】
図8から図12までは、曲折案内部が、吸収体を所定の幅で切除したスリットもしくは空孔等で構成されている。図8は、図7で説明した曲折部40を形成するための曲折案内部の第1の変形例を概略的に示す模式図であり、その構成は上述した通りである。
図9は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第2の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−2は、吸収体24の曲折部40が位置する個所が、エンボスではなく、連続した空孔とされており、図5で説明した構造と同じである。この構成においても、エンボスで構成した場合と比べて、より曲折しやすくなっており、特に、臀部の割れ目Cに対応する箇所で容易に曲折するようになっている。
【0049】
図10は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第3の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−3は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、使用者の臀部の膨らみに対応して、図示のような2股となるように空孔を構成したものである。これにより、使用者の下半身の前部から中央に相当する領域では平面的形状であり、これより後ろにいくに従って、短手方向中央の幅が狭まり、短手方向両端は幅を広げることで、使用者の臀部の立体的な形状によりフィットするように曲折させることができる。
【0050】
図11は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第4の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−4は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、長手方向の空孔の他に、これと交差する方向に延びる複数の空孔を設けている。これにより、使用者の臀部の立体的な形状のうち、特に、身体の前後方向の円形形状に対応して、より立体的な後パッド部を形成することができると共に、曲折部40周辺に吸収体が重なって生じる皺(ギャザー)をあまり作らないで済み、使用者の身体に不快な感触を与えにくい。
【0051】
図12は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第5の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−5は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、長手方向に沿って交差する切れ目を連続的に曲折部の延びる方向に沿って設けている。これにより、図11の場合とほぼ同様に、使用者の臀部の立体的な形状のうち、特に、身体の前後方向の円形形状に対応して、より立体的な後パッド部を形成することができると共に、曲折部40周辺に皺(ギャザー)をあまり作らないで済み、使用者の身体に不快な感触を与えにくい。また、図11のように吸収体を所定の幅で切除する場合と比べて、単に切れ目をいれるだけであるから、製造が容易である。
【0052】
図13は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第6の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−6は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、長手方向に沿って連続するエンボスを設けている。このため、使用者の臀部の割れ目Cに対応する箇所で容易に曲折するようになっている。また、エンボスで形成したので、スリットを構成する場合と比べて製造しやすい。
【0053】
図14は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第7の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−7は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、長手方向に沿って断続的に連続するエンボスを設けており、図3もしくは図4の構成と一致している。このため、使用者の臀部の割れ目Cに対応する箇所で容易に曲折するようになっている。また、エンボスで形成したので、スリットを構成する場合と比べて製造しやすい。
【0054】
図15は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第8の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−8は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、長手方向に沿って連続するエンボスを設ける他、使用者の臀部の膨らみの上の位置と下の位置で、臀部を囲むような形状のエンボスをさらに設けている。これにより、使用者の臀部の立体的な形状によりフィットするように曲折させることができる。また、エンボスで形成したので、スリットを構成する場合と比べて製造しやすい。
【0055】
図16は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第9の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−9は、吸収体24の曲折部40が位置する個所で、その中心から左右にほぼ対称な形状で、使用者の臀部の膨らみが高くなる方向に沿って、2つの双曲線状のエンボスを設けている。これにより、使用者の臀部の立体的な形状によりフィットするように曲折させることができる。また、エンボスで形成したので、スリットを構成する場合と比べて製造しやすい。
【0056】
図17は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第10の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−10は、図11で説明した形状とほぼ同じ形状をエンボスで形成している。このため、第4の変形例と同じ作用を発揮するとともに、エンボスで形成したので、スリットを構成する第4の変形例の場合と比べて製造しやすい。
【0057】
図18は、曲折部40を形成するための曲折案内部の第11の変形例を概略的に示す模式図である。
図において、曲折案内部41−11は、複数,例えば2枚の吸収体層45,46でなる吸収体24を有しており、表面材25側を上層45として、バックシート22側を下層46としたものである。
図19は、図18のB−B線概略断面図であり、図において、上層45に位置する吸収体の曲折案内部45aが下層46に位置する吸収体の曲折案内部46aよりも小さく形成されている。これにより、失禁パッド20の曲折部40が身体に当接する個所において、曲折案内部を上層側で小さくすることで、身体に接触する場合の刺激を小さくすることができるようになっている。
【0058】
図20は、失禁パッド20について、曲折部40と弾性体44との関係を説明するための図である。図20は、図1と比較して、曲折部40に弾性体44が配置される様子が示されている点だけが異なっている。
また、図21は、図20のC−C線概略断面図、図22は、図20のD−D線概略断面図で、ともに引き延ばした状態を示している。
【0059】
図21及び図22に示されているように、曲折部40の曲折案内部41は、図8で説明したように、吸収体24を、曲折部40の位置で所定幅だけ切除して分離することにより形成したスリット51とされている。
そして、弾性体44は、このスリット51に沿って配置されており、表面剤25側もしくはバックシート22側と接着されることにより固定されている。
この弾性体44は、長さ方向に収縮する力を発揮する収縮手段であって、曲折部40に曲げ応力をかけ続けることによって、曲折部40の形態を安定的に保持することができる。すなわち、曲折部40の形成には、必ず弾性体44等の曲げ応力の付与手段を必要とするわけではないが、これを備えることにより、形成した曲折部40の形態保持性を向上させることができる。
【0060】
ここで、図1及び図2を参照しての説明では理解しにくかったサイド表面材29,30の詳しい説明を図21及び図22を利用して、詳細に説明する。
図22において、サイド表面材29とサイド表面材30は、それぞれ立体ギャザー部26を形成するための弾性体55を収容している。この弾性体55は、サイド表面材29と30の内端54を折り曲げて袋状にすることにより収容している。内端54はサイド表面材29,30に対して、例えば、ヒートシールを用いて一体的に固定している。弾性体55はたとえば線状の弾性材料、具体的にはゴム等により作られていて、サイド表面材29,30の袋状部分の中に収容されている。
なお、バックシート、サイド表面材等の別部材の接触部は、基本的にホットメルトにより接着されているが図面の簡単化のために表示を省略している。
【0061】
図23は、図22で示した弾性体44が、接着剤57等の固着手段を介して、バックシート22側に固定されている構成を示している。
このような構成によれば、弾性体44の収縮による皺が身体に当接する表面材側に形成されることが少ないので、不快な刺激が生じない。また、液体不透過性のバックシート22に接着することで、強固に固定される。
【0062】
図24ないし図26は、失禁パッドの第2の実施形態を示しており、図24はその全体斜視図、図25は、図24のI−I線断面図、図26は、図24のJ−J線断面図である。この第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0063】
この実施形態では、失禁パッド80に設けられた曲折部81の構成が異なっている。つまり、曲折部81は、第1の実施形態と同様の作用を発揮するものであるが、その形成の仕方は、以下の通りである。
この曲折部81は、表面材25側が凸となるように2つ折りにされる。この場合、曲折部81のバックシート22側は、内方に折り込まれることで、バックシート22の互いに対向する対向面82と83が接着部84により接着されている。
これにより、曲折部81のバックシート22側は、内方に折り込まれることで、凹部となり(図26参照)、内側に折り込まれる。この折り込まれた部分である互いに対向した対向面82と83が接着されることで、曲折部81の形態が安定的に保持される。
また、それ以外の点では、この実施形態も第1の実施形態と同じ作用効果を発揮することができる。
【0064】
図27ないし図29は、失禁パッドの第3の実施形態を示しており、図27はその全体斜視図、図28は、図27のK−K線断面図、図29は、図27のL−L線断面図である。この第3の実施形態において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0065】
この実施形態では、特に、後パッド部31に特徴的な3つの弾性体を配置している。弾性体44は、曲折部40の配置される弾性体であり、図20ないし図22で説明したものと同じである。
さらに、後パッド部31には、この弾性体44だけでなく、弾性体44とほぼ平行して、この弾性体44の両側に所定の間隔を隔てて、2つの他の弾性体91,92を配置している。
これにより、曲折部40の両側に、平行して他の弾性体91,92を配置することにより、使用者の臀部の前後方向の丸みに対して、より忠実に沿わせた形状とすることができ、失禁パッド90が身体からの浮き上がった状態となることをより確実に防止することができる。この時、弾性体44の収縮力が他の弾性体91,92の収縮力よりも強い方が、臀部の立体的形状によりフィットさせることができる。
また、それ以外の点では、この実施形態も第1の実施形態と同じ作用効果を発揮することができる。
【0066】
図30は、失禁パッドの第4の実施形態を示しており、この第4の実施形態において、第1の実施形態と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
この失禁パッド95では、バックシート22の表面22aには、仮固定部が形成されている。この実施形態では、特に、仮固定部は、曲折部40を挟んだ各吸収体24,24の対応して、バックシート22の表面22aに製品の長さ方向に沿って形成された一対の接着部96,97を備えている。この時、一対の接着部96,97は、曲折凹部43を除いた部分に設けられているため、仮固定された下着による影響をうけにくく、曲折状態を保持できる。
【0067】
この接着部96,97には、図51で説明したと同様なハクリ紙が付けられる。そして、このハクリ紙を手で剥がすと、各接着部96,97が露出するようになっている。
これにより、各接着部96,97を使用者の下着の内面に接着して仮固定することにより、失禁パッド95は一層位置ずれを生じにくい。
【0068】
さらに、この失禁パッド95は、後パッド部31の長手方向端部に切り欠き部98を備えている。
図31は、この切り欠き部98の位置を示す説明図であって、切り欠き部98は、失禁パッド95の長さ方向端部の先端に位置している。この位置は、曲折部40の長さ方向の延長上であり、表面材25とバックシート22とが直接接着された失禁パッド95の端部に設けられ、表面材25とバックシート22の接着部を残した端部が切り欠かれる。
【0069】
図32に示すように、後パッド部31の先端に切り欠きを形成しない場合、その端部94は、曲折部40の機能により表面材25側に湾曲し、この先端部94は内側に向かう。すなわち、使用者が失禁パッド95を装着した時に、このような端部94は、地肌に当たって不快な刺激となる。
このため、図33に示すように、この端部94を切除した切り欠き部98を形成することにより、後パッド部31の外縁を切り欠くことで、使用者の身体に対する不快な刺激を低減することができる。
また、それ以外の点では、この実施形態も第1の実施形態と同じ作用効果を発揮することができる。
【0070】
次に、吸収性製品としての失禁パッドの製造方法の実施形態として、第1の製造方法を説明する。
図34は第1の製造方法を簡単に示す工程図であり、図において、バックシート22の材料が一方向に長いシート状材料22Aとして矢印方向に送られる。
ここで、カット後に製品単位の大きさに対応したシート状材料22Aは、長さ方向に連続して配置されており、その中央部の曲折部に対応した領域に、接着部57を、例えばホットメルト等の接着剤をホットメルトノズル等の適用手段61によって適用することにより形成する。
【0071】
シート状材料22Aの長さ方向に沿って、伸長した状態の長く引き延ばされた弾性体材料44Aが、各接着部57に対応した中央部の接着剤適用部位の上に位置するように当接手段62により配置される。
次に、シート状材料22Aの接着部57に対応した中央部の接着剤適用部位(第1の接着剤適用部位)の短手方向の両側に、ホットメルトノズル等の適用手段64を用いて、それぞれ第2の接着剤適用部位63,63を連続的に形成する。
【0072】
次に、コンベヤベルト65により搬送された製品単位に外形をカットした吸収体24が、上述した第1の接着剤適用部位である接着部57が曲折部となる位置に合わせて載置され、接着部57と第2の接着剤適用部位63,63とにより接着され、さらにその上に、シート状の表面材材料25Aが重ねられて、第2の接着剤適用部位63,63により接着される。これにより、バックシート用のシート状材料22Aに吸収体24と表面材材料25Aが積層された積層体67が形成される。この一方向に長い積層体67は、部分カッター等の切断手段66により、点線で示す製品単位の外形の外側に対応した所定間隔毎に、前記弾性体材料44Aがカットされる。ここで、工程図の下に示した部分平面図に示すように、カット後において、バックシート22,吸収体24,表面材25の積層体67の中に、収縮した弾性体44が入り込む。この時、弾性体44は、接着部57と接着された部分は収縮せずに、収縮力を保持し、弾性体44の接着部57と接着されていない両端部は短く収縮して積層体67の中に入り込む。この結果、弾性体44が収縮により通過した開口がカット部分に対応して積層体67の製品単位における長手方向の両端部にS1,S2として形成され、この部分で弾性体44に沿って外部と連通している。
【0073】
図34のP2はP1の箇所からの続き工程であり、P2において、積層体67は、開口S1,S2の閉鎖手段を兼ねる接着手段であるヒートシール68により塞がれる。具体的には、ヒートシール68は対となる2つの圧着ローラに製品外形に沿った加熱部を備える圧着ローラであり、積層体67を挟んで、個々の製品外形にそう周縁部をヒートシールする。
次に、製品カッター69により、このヒートシール部の外側をカットして、失禁パッド20を形成する。
このように、本製造方法によれば、バックシート22の曲折部40を形成すべき中央部に弾性体44を固定して、吸収体24及び表面材25が積層された製品を得ることができる。この場合、弾性体44の収縮により開いた開口S1,S2を塞ぐことで、バックシート22と吸収体24の間から、これら開口S1,S2を通って、吸収された体液等の液体が外部に漏れ出ることを有効に防止することができる。
【0074】
次に、吸収性製品としての失禁パッドの製造方法の実施形態として、第2の製造方法を説明する。
図35において、図34の構成と共通する箇所は同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図35の製造方法では、バックシート22の材料が一方向に長いシート状材料22Aとして矢印方向に送られている。
シート状材料22Aの中央部の曲折部に対応した領域に、接着部57を、例えばホットメルト等の接着剤をホットメルトノズル等の適用手段61によって適用することにより形成する。
【0075】
シート状材料22Aの長さ方向に沿って、伸長した状態の長く引き延ばされた弾性体材料44Aが、各接着部57の上に位置するように当接手段62により配置される。
次いで、弾性体の切断手段である部分カッター71により、弾性体材料44Aの上記伸長状態を保持したままで、短手方向に沿って切断することで、製品単位の弾性体44とする。
これにより、弾性体44の接着部57と固定された領域は、長さ方向に伸長された状態を保ったまま、シート状材料22Aに固定される。
【0076】
次いで、幅の広い接着剤適用手段として、シート状材料22Aの幅方向の大きさの全体に接着剤を適用できるようなホットメルトノズル72により、シート状材料22Aの上面の全体に、例えばスパイラル状,ジグザグ状やべた塗り等で接着剤を適用する。
次に、コンベヤベルト65により搬送された製品単位に外形をカットした吸収体24が、上述した接着部57が曲折部となる位置に合わせて載置され、シート状材料22Aの上面の接着剤により接着される。
図35のQ2はQ1の箇所からの続き工程であり、Q2において、シート状材料22Aの上には、吸収体24の上から表面材材料25Aが積層される。この時、表面材材料25Aには、サイド不織布等を形成しておく。これにより、バックシート22の曲折部40を形成すべき中央部に弾性体44を固定して、吸収体24及び表面材25が積層された積層体67が形成される。
【0077】
次に、製品カッター69により、製品の外形にそって周囲に接着部を残しつつ、周縁接着部73の外側をカットして、失禁パッド20を形成する。
このように、本製造方法によれば、バックシート22の曲折部40を形成すべき中央部に弾性体44を固定して、吸収体24及び表面材25が積層された製品を得ることができる。この場合、第1の製造方法のように、弾性体44の収縮により開いた開口S1,S2等が工程上形成されないので、比較的簡単に製造することができる。
【0078】
次に、吸収性製品としての失禁パッドの製造方法の実施形態として、第3の製造方法を説明する。
図36に示されているように、矢印方向に沿って第1のカバーシート71が送られて来る。この第1のカバーシート71の上の中央部に、ホットメルトノズル85等の接着剤供給手段から接着剤,例えば、ホットメルトが適用され、接着部72が所定間隔をおいて連続的に形成される。
【0079】
一方、テンションローラ等の供給手段86により、伸長した状態の長く引き延ばされた弾性体材料44Aが、各接着部72の上に位置するように供給される。そして、弾性体材料44Aが、各接着部72に接着された状態で、その上から、第2のカバーシート74がローラ等の供給手段87を介して供給され、第1のカバーシート71と弾性体材料44Aと第2のカバーシート74の第1の積層体が形成される。
【0080】
図37は、この第1の積層体89を拡大して示している。この図では、理解の便宜のため、第1のカバーシート71と第2のカバーシート74の間の弾性体材料44Aや接着部72を実線で表している。
図示されているように、第1の積層体89は、長さ方向の所定間隔毎に幅方向に沿った仮想の切断線Cに沿って切断されるが、切断前に、弾性体材料44Aの領域を除いて、切断線Cと第1の積層体89の外周に沿った右上がりの斜線で示す領域が接着される。
次いで、切断線Cにそって切断されると、図38(a)に示すように、カット後の第1の積層体73内で、伸長力を絶たれた弾性体44が収縮する。この時のカット後の第1の積層体73の断面構造が図38(b)に示されている。
【0081】
この場合、弾性体44は、接着部72と接着された部分は収縮せずに、収縮力を保持し、弾性体44の接着部72と接着されていない両端部は短く収縮して積層体73の中に入り込む。つまり、図39に示すように、カット後の第1の積層体73においては、弾性体44のL1の部分は収縮力を保持しており、両端部L2,L2は収縮力を有していない状態となる。
【0082】
このような構造のカット後の第1の積層体73の矢印M方向の収縮力に抗して、このカット後の第1の積層体73を保持しつつ、図40に示すように、帯状に形成されて矢印方向に送られるバックシート用シート22Aの上へ所定間隔で接着する。この接着箇所は、製品の曲折部40の位置に対応している。
次いで、バックシート用シート22Aに、図示しない手段でシート状に供給される吸収体及び表面材を積層配置して接着し、このバックシート,吸収体,表面材でなる第2の積層体(図示せず)を製品外形に沿ってカットする。これにより、曲折部40内に弾性体を収容した失禁パッド20を製造することができる。
【0083】
図41は、カット後の第1の積層体73の矢印M方向の収縮力に抗して、このカット後の第1の積層体73を保持する手段の一例を示す図である。
図41のN1の箇所は、図36のN1の箇所と一体に連続しており、第1の積層体89は、ローラカッター79等の切断手段に送られる。ローラカッター79によりカット後の第1の積層体73は、このローラカッター79と隣接配置された第1のバキュームローラ76に渡される。この第1のバキュームローラ76には、第2のバキュームローラ77が隣接しており、カット後の第1の積層体73が所定の間隔をおいて連続するように等の調整がされる。
【0084】
一方、帯状のバックシート用シート22Aの上に、第2のバキュームローラ77により吸着されたカット後の第1の積層体73の保持間隔と一致した接着部78が、ホットメルトノズル15等の接着剤供給手段により形成されている。そして、第2のバキュームローラ77に保持されたカット後の第1の積層体73がバックシート用シート22A上の各接着部78に当接されることにより、このカット後の第1の積層体73が、バックシート用シート22Aの上へ所定間隔で接着される。
【0085】
図42は、第1及び第2のバキュームローラ76,77の構成を説明するための図であり、(a)は全体図、(b)は、部分断面図である。
バキュームローラ76,77の円筒表面には、カット後の第1の積層体73の大きさに対応した形状と大きさでなる保持部18が所定間隔で形成されている。保持部18の周縁部,少なくとも両端縁に吸引孔16,17が形成されている。これにより、各吸引孔16,17が真空引きすることにより、伸長された状態のカット後の第1の積層体73の収縮力がかかっていない両端部を保持することができるようになっている。
【0086】
このように、第3の製造方法によれば、第1及び第2のカバーシート71,74の間に弾性体44を固定した収縮機能をもつカット後の第1の積層体73を、収縮しないように保持しつつバックシート側に固定することができるので、第1の製造方法のように、製造の過程で積層体の間と連絡した開口をつくることがなく、このような開口を塞ぐ等の面倒な処理を必要としないで、失禁パッド20を製造することができる。
【0087】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上述の実施の形態の吸収性製品の例として失禁パッドを図示しているが、これに限らず失禁パッド以外の吸収性製品、たとえば女性用生理用品や、オムツ等種々の製品に適用することができる。
また、上述の実施形態では、層構造の2層の吸収体の例を説明したが、吸収体は単層でも、あるいは2層より多い多層の吸収体で構成してもよい。
上述の各実施形態の個別の構成は、必要により省略したり、説明しない他の構成と組み合わせてもよい。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、失禁パッド,生理用ナプキン,オシメ等の吸収性製品において、複雑な3次元形状の身体に好適にフィットして、体液が外に漏れだすことを防止し、しかも、装着状態を外部からきわめて判別しにくくした吸収性製品とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性製品の第1の実施形態に係る失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図2】本発明の吸収性製品の第1の実施形態に係る失禁パッドを示す後方から見た斜視図。
【図3】図1のA−A線概略断面図。
【図4】図1のA−A線概略断面の他の例を示す図。
【図5】図1のA−A線概略断面のさらに他の例を示す図。
【図6】図1の失禁パッドを装着した様子を示す図。
【図7】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第1の変形例を示す概略斜視図。
【図8】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第1の変形例を示す概略平面図。
【図9】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第2の変形例を示す概略平面図。
【図10】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第3の変形例を示す概略平面図。
【図11】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第4の変形例を示す概略平面図。
【図12】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第5の変形例を示す概略平面図。
【図13】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第6の変形例を示す概略平面図。
【図14】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第7の変形例を示す概略平面図。
【図15】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第8の変形例を示す概略平面図。
【図16】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第9の変形例を示す概略平面図。
【図17】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第10の変形例を示す概略平面図。
【図18】図1の失禁パッドの曲折部を形成するための曲折案内部の第11の変形例を示す概略平面図。
【図19】図18のB−B線概略断面図。
【図20】図1の失禁パッドの曲折部の弾性体の配置を示す斜視図。
【図21】図20のC−C線概略断面図。
【図22】図20のD−D線概略断面図。
【図23】図20のD−D線概略断面図の他の構成を示す図。
【図24】本発明の吸収性製品の第2の実施形態に係る失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図25】図24のI−I線概略断面図。
【図26】図24のJ−J線概略断面図。
【図27】本発明の吸収性製品の第3の実施形態に係る失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図28】図27のK−K線概略断面図。
【図29】図27のL−L線概略断面図。
【図30】本発明の吸収性製品の第4の実施形態に係る失禁パッドを示す後方から見た斜視図。
【図31】図20の失禁パッドの概略平面図。
【図32】図20の失禁パッドの後パッド部の構成を示す図。
【図33】図20の失禁パッドの後パッド部の切り欠き部を示す図。
【図34】本発明の吸収性製品のの実施形態に係る失禁パッドの第1の製造方法を示す概略工程図。
【図35】本発明の吸収性製品のの実施形態に係る失禁パッドの第2の製造方法を示す概略工程図。
【図36】本発明の吸収性製品の実施形態に係る失禁パッドの第3の製造方法における伸長した弾性体を接着する様子を示す概略平面図。
【図37】図36の製造方法において、第1の積層体を得るためのカット部を示す概略斜視図。
【図38】図37の切断処理により得られたカット後の第1の積層体の構成を示し、(a)はその概略斜視図、(b)はその概略断面図。
【図39】図37の切断処理により得られたカット後の第1の積層体における弾性体の構成を示す概略斜視図。
【図40】図37の切断処理により得られたカット後の第1の積層体をバックシート材料に接着する様子を示す概略斜視図。
【図41】図36の後工程を示す工程図。
【図42】図41の工程に使用されるバキュームローラの図であり、(a)はその概略斜視図、(b)はその要部断面図である。
【図43】従来の失禁パッドの構成を示す概略断面図。
【図44】図51の失禁パッドを装着した様子を示す図。
【符号の説明】
20・・・失禁パッド(吸収性製品)、22・・・バックシート、23・・・ティッシュ、24・・・吸収体、25・・・表面材、26・・・立体ギャザー部、40・・・曲折部、41・・・曲折案内部、L・・・失禁パッドの長手方向、T・・・失禁パッドの短手方向。
Claims (10)
- 一方向に長い形状を有しており、
液体の透過を防止するバックシートと、
身体に接触する面側に配置される液体透過性の表面材と、
前記バックシートと前記表面材との間に配置されて前記表面材を透過した液体を吸収して保持する吸収体と
を備えていて、
前記一方向に長い形状に関して、少なくとも、一端側の領域の短手方向中央部に、前記表面材側に凸となるように曲折された曲折部が形成されており、
前記吸収体の前記曲折部に対応した部分に曲げ応力が集中する曲折案内部を設け、
前記曲折部に沿って、製品の長さ方向に縮む収縮力を発生する弾性体を配置し、
前記弾性体が前記吸収体と前記バックシートの間に配置されて、バックシート側に固定されている
ことを特徴とする、吸収性製品。 - 前記曲折案内部は、前記吸収体の前記曲折部に対応した箇所に、長手方向に沿って形成された、ひとつまたは連続する複数の空孔もしくはスリットにより設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性製品。
- 前記曲折案内部は、前記吸収体の前記曲折部に対応した箇所に、長手方向に沿ってエンボス加工することにより設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性製品。
- 前記吸収体が複数の吸収体層を積層して形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性製品。
- 前記複数の吸収体層の表面材側を上層として、バックシート側を下層とした時、上層に位置する吸収体の曲折案内部が下層に位置する吸収体の曲折案内部よりも小さく形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の吸収性製品。
- 前記曲折部に配置される前記弾性体とほぼ平行して、この弾性体両側に所定の間隔を隔てて、さらに他の弾性体を配置することを特徴とする、請求項1に記載の吸収性製品。
- 前記他の弾性体が前記表面材または前記吸収体と前記バックシートの間に配置されて、バックシート側に固定されていることを特徴とする、請求項6に記載の吸収性製品。
- バックシート用シートの中央部であって、製品に対応した長さ方向の各端部よりも内側の位置に接着剤を適用し、
長さ方向に沿って伸長した弾性体を前記バックシート用シートの中央部の接着剤適用部位に載置し、
前記バックシートの前記中央部の接着剤適用部位の短手方向に関して両側に接着剤を適用し、
次いで、その上に吸収体及び表面材を順次配置して積層体を形成し、
前記伸長している弾性体を、製品に対応した間隔でカットし、
前記カットにより前記弾性体が前記中央部の接着剤適用部位に向かって積層体内部に収縮した結果残る製品周縁部の開口を塞ぎ、
製品外形に沿って前記露出した弾性体及び積層体をカットすることを特徴とする、吸収性製品の製造方法。 - 長さ方向に沿って伸長した弾性体を、この弾性体の収縮力に対抗しつつ保持して、長さ方向の所定間隔毎にカットし、
次いで、前記保持状態のまま前記カットした弾性体を、中央部であって長さ方向の各端部よりも内側の位置に予め接着部を形成したバックシート用シートの前記接着部に当接させて接着し、
その後前記バックシート用シートに、シート状に供給される吸収体及び表面材を積層配置して接着し、
このバックシート,吸収体,表面材の積層体を製品外形に沿ってカットするようにした
ことを特徴とする、吸収性製品の製造方法。 - 第1のカバーシートの中央部であって、長さ方向の各端部よりも内側の位置に接着剤を適用し、
長さ方向に沿って伸長した弾性体を前記第1のカバーシートの接着剤適用部位に載置するとともに、その上に第2のカバーシートを積層し、
次いで、前記積層体を、弾性体の収縮力に対抗して保持しつつ、所定間隔毎に幅方向に沿ってカットし、
続いて、前記保持状態のまま前記積層体を、予め中央部であって長さ方向の各端部よりも内側の位置に接着部を形成したバックシート用シートの前記接着部に当接させて接着し、
その後前記バックシート用シートに、シート状に供給される吸収体及び表面材を積層配置して接着し、
このバックシート,吸収体,表面材の積層体を製品外形に沿ってカットするようにした
ことを特徴とする、吸収性製品の製造方法。
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