JP3590002B2 - 吸収性製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば使い捨てのオシメや生理用ナプキン、失禁用パッドなどに適用され、尿などの体液を吸収保持するための吸収性製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような吸収性製品として、例えば従来の失禁パッドや生理用ナプキンは次のように構成されている。
一般に、このような吸収性製品である例えば失禁パッドは、軽い尿漏れの心配がある使用者が、日常の生活,すなわち、ひるま起きて行動している時間帯や、夜の就寝中に下半身に装着して使用する。
このため、吸収性製品は、使用者が装着したときに外面となる箇所には、液体不透過性のシート材が適用され、その内側には尿等の液体を吸収するための吸収材が配置され、さらにその内側で使用者の肌と接触する箇所には、液体を透過するシート材が配置されている。
【0003】
図21は、従来の吸収性製品の一例として使い捨ての失禁パッドを示している。この失禁パッド1は、使用者が装着した状態において、尿や便等の排泄物を覆うことができるように、前後に長い形状になっている。
この失禁パッド1の外面となる箇所には、液体不透過性のバックシート2が用いられている。バックシート2の内側には、尿等の液体を吸収するための吸収体4が収容されている。吸収体4のさらに内側には、表面材5が配置されている。この表面材5は、液体を通過する材質で作られている。表面材5とバックシート2は重ねて配置されており、表面材5の内側には、2つの立体ギャザー部6,6が設けられている。立体ギャザー部6の外側には股ギャザー部7が設けられている。この立体ギャザー部6は、失禁パッド1を使用者が装着した時に、使用者の股を包囲するようにして、尿等の液体が失禁パッド1の外部に流れないようにして、下着等を汚してしまうのを防止している。
【0004】
このため、失禁パッド1は、図21において、前後に長い形状を有しており、立体ギャザー部6及び股ギャザー部7が、装着状態において、使用者の股下に位置し、一端部8が身体の後面側に位置して、臀部の下部領域を覆い、他端部9が身体の前面側に位置して、生殖器周辺を覆うようになっている。そして、失禁パッド1の外面12には、剥離紙13を剥離すると露出するようにされたズレ防止用の接着部11が形成されており、この接着部11により、下着の内面に仮固定できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような、失禁パッド1は、図22に示すように、使用者Hの下半身に装着される。図22は、使用者Hが失禁パッド1を装着した状態の下半身を後から見た状態の概略図である。
この場合、失禁パッド1の一端部8は、臀部の下部領域を覆っているが、この一端部8は、もともと、紙や不織布といった材料を重ねて形成されており、その表面材5側は平らな面となっている。
一方、人の臀部は、中央の割れ目で区分された2つの突出した部分でなる複雑な3次元形状をしており、この割れ目部分に対応した個所で、失禁パッド1の一端部8の上端部と、上記割れ目部分の谷となった個所に隙間14が生じてしまう。
このため、特に、使用者が就寝中等において身体の下側に位置した隙間14から、尿等の体液が外に出て、着衣等を汚してしまうという問題がある。
【0006】
この隙間14は、図22において、身体の前後の方向に沿った表面材5の内側を、突出させるような構造を付加して、この突出部分が上記割れ目に沿うような構成としても無くすことができない。
つまり、失禁パッド1は、接着部11で、下着側に仮固定できるようになっているが、下着がずれると失禁パッド1と身体との位置もずれてしまう。この結果、上記割れ目部分の谷となった個所がやはり隙間14を生じてしまうことになる。
【0007】
さらに、失禁パッド1や生理用ナプキン等の吸収性製品では、その使用目的との関係で、装着していることが、着衣の外側からできるだけ知られないようにすることが好ましい。
しかし、従来の失禁パッド1のような吸収性製品では、特に、一端部8が、複雑な3次元形状でなる臀部の下部領域と接するため、この部分の身体の外形に完全に沿った形状とすることができず、必ず多少の浮き上がりを生じている。その結果、例えば、下着等の生地の薄い着衣の内側から、失禁パッド1の一部が着衣の不規則な盛り上がり個所を形成し、外部から装着していることを視認されやすいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、失禁パッド,生理用ナプキン,オシメ等の吸収性製品において、複雑な3次元形状の身体に好適にフィットして、体液が外に漏れだすことを防止し、しかも、装着状態を外部からきわめて判別しにくくした吸収性製品を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明によれば、一方向に長い形状を有しており、液体の透過を防止するバックシートと、身体に接触する面側に配置される液体透過性の表面材と、前記バックシートと前記表面材との間に配置されて前記表面材を透過した液体を吸収して保持する吸収体と、前記一方向に長い形状に関して、一端側の領域の短手方向中央部にて、製品の短手方向に沿って収縮力を付与するための弾性体と、前記収縮力により前記表面材側に凸となるように曲折された曲折部とを備え、前記弾性体が、前記曲折部を横切って配置されており、かつこの弾性体の両端部と、中間付近の少なくとも一箇所が前記バックシートに対して固定されている吸収性製品により、達成される。
【0010】
請求項1の構成によれば、本発明の吸収性製品は、複数のシート状材料を積層固着して一方向に長い基本形状を有している。前記バックシートは液体の透過を防止する。前記表面材は身体に接触する面側に配置される液体透過性のものである。前記吸収体はバックシートと表面材の間に配置されて表面材を透過した液体を吸収して保持する。
この構成の特徴部分である曲折部は、吸収性製品の短手方向の中心部に位置して、長手方向に沿うように延びるものであって、吸収性製品の一端側の領域に設けられる。曲折部を吸収性製品のこの一端側の領域に設けることが重要で、吸収性製品のこの一端側の領域とは、使用者が吸収性製品を装着した時、身体の後側,すなわち、臀部の割れ目もしくは、臀部の両ふくらみの谷間に相当する個所である。
【0011】
前記曲折部は、吸収性製品をその表面材の側が凸となるように二つ折りに曲折して形成されている。このため、表面材側は凸となるが、バックシートの表面は折り込まれて凹状となる。
このような曲折部を効果的に形成するために、弾性体が使用されている。すなわち、弾性体は、曲折部と交差するように配置されて、製品の短手方向に沿って収縮力を付与する機能を発揮する。
このように形成することにより、前記曲折部の凸部分の形状は、従来の製品に見られるように、吸収体等の一部の厚みを厚くして、表面材側を盛り上げた場合の形状等とはと著しく異なり、その凸となった部分の厚みは薄く、先端分は比較的先鋭な形状となっている。このため、曲折部の第1の作用として、曲折部の凸状先端は、臀部の割れ目に入り込んで、その谷間となっている個所に充填され、隙間を無くす作用がある。
【0012】
また、このような曲折部の第2の作用としては、臀部の割れ目に入り込んで挟まれることで、吸収性製品が保持されて位置ずれしないし、製品が浮いた状態とならないことである。
また、このような曲折部の第3の作用としては、表面材側が凸となることに対応して、バックシート側は曲折凹部となるから、外形上も臀部の形状と一致する形状となることで、外部からきわめて視認しにくく、装着していることが判別されにくいというものである。
また、前記弾性体が、前記曲折部を横切って配置されており、かつこの弾性体の両端部と、中間付近の少なくとも一箇所が前記バックシートに対して固定されているから、複数の弾性体を用いないで、曲折部に対して折り曲げる力として作用する強い収縮力を働かせることができる。
【0013】
上記目的は、請求項2の発明によれば、一方向に長い形状を有しており、液体の透過を防止するバックシートと、身体に接触する面側に配置される液体透過性の表面材と、前記バックシートと前記表面材との間に配置されて前記表面材を透過した液体を吸収して保持する吸収体と、前記一方向に長い形状に関して、一端側の領域の短手方向中央部にて、製品の短手方向に沿って収縮力を付与するための弾性体と、前記収縮力により前記表面材側に凸となるように曲折された曲折部とを備え、前記弾性体とほぼ90度交差する方向に、さらに他の弾性体が配置されている吸収性製品により、達成される。
請求項2の構成によれば、請求項1で説明したのと同様に、前記曲折部の第1、第2,第3の作用を発揮できるとともに、製品の長さ方向に沿って収縮力を付与する弾性体を加えることで、身体の前後方向に曲面をなす使用者の下半身に対して、より忠実に適合する製品を得ることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれかの構成において、前記吸収体の前記曲折部に対応した部分に曲げ応力が集中する曲折案内部を設けることを特徴とする。
請求項3の構成によれば、前記曲折部を形成するための折り線にそって、構造的に弱い領域を形成して、曲げ応力が集中させることにより、曲折部を容易に形成することができる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1または2のいずれかの構成において、前記弾性体が、シート材料に固定されて形成された弾性部材を設け、この弾性部材により、製品の短手方向に沿って収縮力を付与する構成としたことを特徴とする。
請求項4の構成によれば、前記弾性体が、シート材料に固定されて形成された弾性部材を用意することで、製造工程上扱いやすい弾性部材を利用して曲折部を形成することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1または2のいずれかの構成において、前記曲折部の前記バックシート側の曲折凹部において、互いに対向する面の少なくとも奥側が接着されていることを特徴とする。
請求項5の構成によれば、前記曲折凹部を接着することで、曲折部の曲折形態を確実に保持することができる。この場合、必ずしも、曲折凹部の互いに対向する面全体を接着する必要はなく、奥側等の一部だけでも接着すれば、形態保持には有効である。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態の構成を説明するための前提となる吸収性製品の構成が示されており、その一例として失禁パッドの使用時の形状例を示している。図3は、図1のA−A線概略断面図、図4は図1のB−B線概略断面図である。
この例では、吸収性製品を代表させて失禁パッドに適用した例を説明するが、全体の大きさ等を多少変えることで、同一の構造にて、生理用ナプキンやオシメにも適用できるものである。ここで、図1は、失禁パッド20を正面から見た概略斜視図であり、図中「前」と表示されている方が装着時に身体の前面側となる。
【0025】
図1において、失禁パッド20は、バックシート22、吸収体24、表面材25、左右の立体ギャザー部26、左右の股ギャザー部27を有している。
バックシート22は、外側のシート材であり、液体の透過を防止する材質により作られている。バックシート22の材質としては、たとえば薄いプラスチックフィルム、具体的には、ポリエチレンフィルムやポリエチレンラミネート紙等が使用できる。バックシート22は液体は通さないが好ましくは水蒸気を透過させて蒸れを防止でき、ある程度可撓性を備えている材質を選択する。これにより失禁パッド20の内側の内容物(汚物である固形物や尿、血液等)が外側に漏れ出ないようになっている。
【0026】
吸収体24は、バックシート22と表面材25の間に配置して収容されるものであり、ティシュや吸収保持層にて構成されており、液体等を吸収して保持するための部分である。
ティッシュは、液体等を吸収する柔らかい材質、たとえばパルプ(バージンパルプ、古紙再生パルプ)、レーヨン、コットン、ケナフ、バガス、シルク、親水処理をした繊維(ポリオレフィン系、ポリエステル、アクリル)などを単一又は複合してシート化したものを用いることができる。
吸収保持層は、表面材25のセンター表面材28を透過した液体成分を吸収して保持する役割を果たす。従って液体吸収性に優れる材質のものであれば使用することができ、このような吸収体24の材質としては、たとえばパルプに吸収材であるポリマーを混合したりパルプにポリマーを散布したりして形成するパルプ吸収体もしくはポリマー等が好ましい。ここでパルプは、たとえば木材を機械的または化学的に処理して、抽出したセルロース繊維の集合体であり、これをシート状にしたものが用いられる。また、ここでは、吸収体24を一枚のシートして構成しているが、ティッシュで吸収保持層を覆うように形成してもよく、複数の吸収体24を積層してもよい。
【0027】
表面材25は、センター表面材28と2つのサイド表面材29,30を有している。センター表面材28は、吸収体24やバックシート22に対して長手方向Lに沿って接着剤により固定される部分であり、センター表面材28は直接使用者の肌に触れるものであるから、肌を必要以上に損なうことなく肌触りの良い点を考慮してこれに適した材料が選択される。センター表面材28は内側のシートもしくはトップシート等とも呼んでおり、液体を透過させ特に速やかに液体成分が透過されるのに適した材質の繊維として、たとえば種々の天然繊維、合成繊維あるいはこれらの組み合わせから選択できる。たとえば合成繊維としては一例としてポリエステルやポリプロピレンのファイバーを素材として液体透過性をよくするように形成した繊維が好ましい。
【0028】
サイド表面材29,30は、センター表面材28の長手方向Lに沿って、センター表面材28の両側に配置されている。センター表面材28が液体を透過させることができるのに対して、サイド表面材29,30は液体の透過を防止する材質で作られている。例えば、センター表面材28が不織布で作られる場合には、例えば、湿式不織布(紙、ティッシュ、ハイドロスパン(デクスター社)、ケミカルボンド(又はレジンボンド)、サーマルボンド(エンボス、アンビル、エアスルー)、エアレイド、スパンレース、スパンボンド、メルトブローン、ニードルパンチ、ステッチボンド、そしてスパンボンドとメルトブローン不織布を複合して作られたSM不織布(スパンボンドとメルトブローンの積層体)、SMS不織布(スパンボンドとメルトブローンとスパンボンドの積層体)等が採用できる。この中ではセンター表面材28の材質としては、特にサーマルボンド、スパンボンド、スパンレースが好ましい。
これに対して、サイド表面材29,30の材質としては、たとえばポリオレフィン系不織布あるいはポリエステル系不織布と薄いプラスチックフィルムとを組み合わせたもの、ポリエステル系不織布等とポリエチレンフィルム等を組み合わせたもの、SM不織布、SMS不織布等が採用できる。
【0029】
左右の立体ギャザー部26,26は、それぞれサイド表面材29,30の少なくとも長手方向の中央部に弾性体55を配置することで形成されている。この立体ギャザー部26は、図示例ではサイド表面材30の少くとも長手方向Lの中央部に弾性体を配置することで形成されている。
この立体ギャザー部26を形成するために、線状の弾性体55がサイド表面材29あるいはサイド表面材30の少なくとも中央部分において長手方向Lに沿って収容されている。この弾性体55の弾性収縮能力により、サイド表面材29,30の少くとも中央部には、図1に示すように立体ギャザー部26が形成されている。この立体ギャザー部26を形成することにより、使用者の排泄物もしくは液体成分が失禁パッド20の短手方向Tに沿って外側に漏れ出さないように使用者の身体に密着して阻止する。
股ギャザー部27は、立体ギャザー部26と協働して、失禁パッド20の股にあたる短手方向両端部を弾性体55の弾性力で引くことで、使用者の股へのフィット性を高め、使用者の排泄物もしくは液体成分が股部から漏れる事を防ぐ。
【0030】
さらにサイド表面材29,30の構造を図4を利用して詳細に説明する。
図4において、サイド表面材29とサイド表面材30は、それぞれ立体ギャザー部26を形成するための弾性体55を収容している。この弾性体55は、サイド表面材29と30の内端54を折り曲げて袋状にすることにより収容している。内端54はサイド表面材29,30に対して、例えば、ヒートシールを用いて一体的に固定している。弾性体55はたとえば線状の弾性材料、具体的にはゴム等により作られていて、サイド表面材29,30の袋状部分の中に収容されている。
なお、バックシート、サイド表面材等の別部材の接触部は、例えば、基本的にホットメルトにより接着されているが図面の簡単化のために表示を省略している。
【0031】
また、図4は、弾性体44が、接着剤57等の固着手段を介して、バックシート22側に固定されている構成を示している。
このような構成によれば、弾性体44の収縮による皺が身体に当接する表面材側に形成されることが少ないので、不快な刺激が生じない。また、液体不透過性のバックシート22に接着することで、強固に固定される。
【0032】
尚、図1には示されていないが、図21で説明した外面12に設けられる仮固定用の接着部11及びハクリ紙13を失禁パッド20にも設けることができる。
これにより、失禁パッド20を使用する時には、このハクリ紙13を剥離して、ずれ防止用接着部11を露出することにより、ずれ防止用接着部11がたとえば下着等の内面に着脱可能に粘着して貼り付くことにより、失禁パッド20がパンツのような下着に対してずれないように固定することができることになる。
【0033】
図1において、一方向(図では、Lの方向)に長い吸収性製品20の長手方向の一端部の領域である後パッド部31には、曲折部40が設けられている。
具体的には、曲折部40は、後パッド部31の短手方向Tに関して、その中央部に、表面材側に向かって凸となるように曲折された曲折部40が形成されている。この曲折部40は、図2(a)に示すように、使用者Hが失禁パッド20を装着した時に、使用者の臀部の両方の膨らみの間の谷間に入り込む位置に対応して設けられ、しかもこの谷間の延びる方向に沿って,すなわち、図1のLの方向に沿って長い形状とされている。
【0034】
さらに、この曲折部40は、図1に示すように、内面側に凸になった曲折凸部42に対して、裏側では、内側に入り込んだ曲折凹部43となっている。この曲折部40は、好ましくは、例えば、図3に示されているように、その曲折するための折り線に沿って、曲げ応力が集中する個所としての曲折案内部41が設けられている。
【0035】
図3は、上述した曲折案内部41の構成例を示すために、図1の曲折部40の中央を通過する切断線であるA−A線概略断面図であり、図示の便宜のため、図1の失禁パッド20の湾曲を引き延ばして、直線的な状態で示したものである。
曲折案内部41は、折り線が延びる方向に沿って、折り曲げ応力を集中させる機能を有するものであり、種々の形態により実現される。例えば、図において、曲折案内部41は、曲折部40の延びる方向に沿って、吸収体24の表面材25側に開口やエンボス,スリットや複数の空孔等を連続して設けることにより形成されている。
【0036】
このような曲折部40を適切に形成するために、この曲折部40に対応して、弾性体44が使用されている。弾性体44は、図1では、太い実線で示されているが、本来は、表面材25よりも内側にあって視認できない位置に設けられており、図1では、その配置位置を理解するために、便宜上実線で示している。
この弾性体44は、上述した弾性体15と同様の構造のものが使用できるが、例えば、帯状もしくはリボン状としたポリウレタンを使用したフィルム状のものが好適である。
【0037】
曲折部40を形成するための弾性体44はひとつだけでもよいが、この弾性体44は、複数,図示の場合には3本の弾性体44が使用されている。
この3本の弾性体44,44,44は、例えば、曲折部40の延びる方向と90度交差するように、それぞれ矢印T方向に並列的に並んで配置されている。この各弾性体44は、上述したように、好ましくは吸収体44とバックシート22との間に設けられ、さらに好ましくは、バックシート22と固定されている。つまり、各弾性体44は、バックシート22の内面と接着等により固定されている。
【0038】
ここで、図2(b)は、曲折部40を模式的に示した説明図であり、L1,L2は上述した弾性体44の長さを示している。バックシート22の内側に配置される弾性体44は、より短い方が、すなわち、図2(b)において、上下方向で表される曲折部40の高さ方向に関して、低い位置ではなく、例えばその中間付近に固定される方が好ましい。つまり、図において、L2よりもL1の長さのもの方が、臀部の膨らみの外縁45よりも内側に位置するから、製品を着用した時に、下着の外側から見た時に判別されにくく、目立たない。しかしながら、使用する弾性体44を短くすると、バックシート22に対して接着される面積も小さくなり、これに応じて発揮される収縮力も低下する。このため、ここでは、複数の弾性体44を使用することで、1本だけ使用した場合の収縮力の不足を補うようにしている。
【0039】
すなわち、複数の弾性体44を用いることで、ひとつひとつの弾性体44は、あまり幅が広くなくても長さ方向に沿って収縮する力を十分に発揮し、この収縮力により、曲折部40を形成して、曲折状態を保持するための折り曲げ力を得ることができる。これにより、外観上目立ちにくく、かつ曲折部40を形成して保持するための十分な収縮力を発揮することができる。
さらに好ましくは、図4において、曲折凹部43の左右の傾斜した面である対向面43aと43bを中央に寄せて、接着剤を適用し(図示せず)互いに貼り合わせることで、接着してもよい。これにより、曲折部40の曲折形態をより安定的に保持できる。そして、この貼り合わせ固定に際しては、好ましくは、図4の曲折凹部43の奥側,つまり、図において、頂点付近を貼り合わせればさらに好ましい。
特に、この曲折凹部43の対向面43a,43bの固定は、製品の製造時に行ってもよく、あるいは、対向面43a,43bに接着剤を適用して剥離紙を貼って出荷し、使用者が使用直前に剥離紙を剥がして、固定するようにしてもよい。
【0040】
次に上述の構成の作用を説明する。
図2(b)は、使用者Hにより失禁パッド20が使用された例を示す説明図である。図に示されているように、失禁パッド20の曲折部40の曲折凸部42の形状は、従来のように、吸収体等の厚みを厚くして、表面材側を盛り上げた場合の形状と著しく異なり、その凸となった部分の厚みが薄く、先端分は比較的先鋭な形状となっている。このため、曲折部40は使用者Hの臀部割れ目Cに入り込んで、その谷間となっている個所に充填され、隙間を無くす作用がある。 このため、使用者Hは失禁パッド20を装着した状態において、立ち働いたり、あるいは、そのまま就寝しても、臀部の割れ目Cの個所にて、失禁パッド20との間に隙間がないことから、ここから尿等が漏れ出ることがなく、下着等の着衣を汚す心配がない。
【0041】
また、失禁パッド20の曲折部40が、臀部の割れ目Cに入り込んで挟まれることで、失禁パッド20が保持されて位置ずれしないし、失禁パッド20が浮いた状態とならない。
これによって、身体と失禁パッド20との間に隙間が生じることがないので、隙間から尿等が漏れ出ることがなく、この点でも下着等の着衣を汚す心配がない。
【0042】
さらに、また、失禁パッド20の曲折部40の表面材25側には、曲折凸部42が形成されるだけでなく、バックシート22側は曲折凹部43となるから、外形上も臀部の形状と一致する形状となることで、外部からきわめて視認しにくく、装着していることが判別されにくい。
【0043】
尚、この曲折部40は、失禁パッド20の後パッド部31の領域だけでなく、例えば、前パッド部32を含む失禁パッド20のほぼ全長にわたって形成してもよい。この場合、後パッド部31の領域が臀部の谷間Cに、前パッド部32の領域が、身体の前面下部の領域に対応して、特に、女性の場合において、身体の前面下部にも曲折部40が入り込んで、保持されるようにしてもよい。
【0044】
図5ないし図8は、失禁パッドの別の例を示しており、図5はその全体斜視図、図7は、図5のC−C線断面図、図8は、図5のD−D線断面図である。この別の例で、先に説明した例と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略して、相違点を中心に説明する。
【0045】
この例では、失禁パッド60の曲折部40に設けられる弾性体の設け方が先の例と異なっている。すなわち、図1及び図7,図8に示されているように、複数の弾性体82,83,84が別体の布等で形成したシート体81に固定され、このシート体81が製造工程において、バックシート22に固定されるようになっている。
このように、弾性体82,83,84を予め用意したシート体81に先に固定することで、製造工程において、製品の長さ方向と交差する方向に延びる弾性体を容易に設けることができる。
【0046】
さらに、この場合、複数の弾性体82,83,84の収縮力がそれぞれ異なるようにされている。
図6は、このような複数の弾性体82,83,84の配置構成を説明するための模式図である。図において、製品の前の方,すなわち、製品を装着した場合に使用者の性器に近い領域もしくは股下に近い領域となる方に配置される弾性体82の方が収縮力が大きく、後ろへ配置されるに従い、弾性体83,84と順次に収縮力が小さくなるようにされている。これにより、弾性体82,83,84が収縮力を作用させることで、曲折部40の曲折凸部42を立ち上がらせる高さが異なるようになっている。
すなわち、弾性体82付近の立ち上がり高さH1の方が、弾性体84付近の立ち上がり高さH2よりも高くなるようにされている。
【0047】
このように、複数の弾性体82,83,84の収縮力を異ならせる手法としては、例えば、同じ弾性体を用いた場合には、収縮力を発揮する長さを異ならせることで対応できる。つまり、弾性体82の両端にて、シート体81と接着される接着部82a,82aの面積は、弾性体83の両端にて、シート体81と接着される接着部83a,83aの面積よりも小さくされ、また、弾性体83の両端にて、シート体81と接着される接着部83a,83aの面積は、弾性体84の両端にて、シート体81と接着される接着部84a,84aの面積よりも小さくされている。
【0048】
また、このように構成することで、製品の後ろ側では、人体の背面に近い臀部に位置するから、このような位置に対応した弾性体84は、図2(b)で説明したのと同じ理由により、外観から判別されにくくすることができる。
これ以外の点については、この例も先の例と同様の作用効果を発揮することができる。
【0049】
図9ないし図11は、失禁パッドのさらに別の例を示しており、図9はその全体斜視図、図10は、図9のE−E線断面図、図11は、図9のF−F線断面図である。この例において、上述の説明で用いたのと同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略して、相違点を中心に説明する。
【0050】
この例では、弾性体を複数用いないで、ひとつの弾性体71を設けている。この弾性体71は、上述したように、複数設ける場合と比べると、材料の幅を大きくして、収縮力を強くすることで、ひとつの弾性体71でも十分な収縮力を得るようにされている。
【0051】
しかも、図9に示されているように、この弾性体71は、失禁パッド70の長手方向Lに関して、その中央部側に配置されている。
これにより、失禁パッド70を使用者が図2(a)のようにして装着した場合において、弾性体71は、外観上目立ちにくい股下付近に位置することになる。これにより、下着や着衣の上からは、失禁パッド70の存在が、より一層判別しにくくなる。
このような点を除き、この例も最初に説明した吸収性製品と同様の作用効果を発揮することができる。
【0052】
図12ないし図14は、失禁パッドのさらに別の例を示しており、図12はその全体斜視図、図13は、図12のG−G線断面図、図14は、図11のH−H線断面図である。 この例において、最初に説明した例と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略して、相違点を中心に説明する。
【0053】
この例においては、弾性体を複数用いないで、ひとつの弾性体81を設けている。この弾性体81は、先に説明した例のように、複数設ける場合と比べると、材料の幅を大きくして、収縮力を強くすることで、ひとつの弾性体81でも十分な収縮力を得るようにされている。
特に、弾性体81は、図12及び図13に示されているように、曲折部40の長さ方向,すなわち、矢印Lの方向にに大きな寸法を有する幅の広い形状とされている。
【0054】
これにより、特に、曲折部を形成するための収縮力を強くすることができ、曲折部の形態を安定的に保持することができる。また、弾性体81の長さ方向がが、失禁パッド80の長さ方向と一致するため、製造時に両者を同一の方向に揃えることができ、製造が容易となる。
このような点を除き、この例も最初に説明した吸収性製品と同様の作用効果を発揮することができる。
【0055】
図15ないし図17は、失禁パッドの第1の実施形態を示しており、図15はその全体斜視図、図16は、図15のI−I線断面図、図17は、図15のJ−J線断面図である。この第1の実施形態において、先に説明した構造例と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略して、相違点を中心に説明する。
【0056】
この実施形態においては、弾性体を複数用いないで、ひとつの弾性体86を設けている。この弾性体86は、第1及び第2の実施形態のように、複数設ける場合と比べると、材料の幅を大きくして、収縮力を強くすることで、ひとつの弾性体86でも十分な収縮力を得るようにされている。
さらに、弾性体86は、曲折部40を横切って、矢印Tの方向に沿って配置されており、かつこの弾性体86の両端部と、中間付近の少なくとも一箇所がバックシート22に対して固定されている。
【0057】
具体的には、弾性体86は、図15及び図17に黒く塗りつぶして示されている位置が固定されている。図17に示されているように、弾性体86は、バックシート22に対して、弾性体86の各端部87a,87aと、弾性体86の中間付近の2箇所87b,87bに接着部を設けて固定されている。
このような構成においては、弾性体86のバックシート22に固定されていない箇所が収縮力を発揮するため、固定領域を少なくして、強い収縮力を得ることができる。また、弾性体の中間付近の少なくとも一箇所がバックシート22に対して固定されていることで、弾性体86の曲折部40のを曲折形状に沿った状態で固定することができる。
このような点を除き、第1の実施形態は、最初に説明した吸収性製品と同様の作用効果を発揮することができる。
【0058】
図18ないし図20は、失禁パッドの第2の実施形態を示しており、図18はその全体斜視図、図19は、図18のK−K線断面図、図20は、図18のL−L線断面図である。この第2の実施形態において、先に説明した構造例と同じ符号を付した箇所は同一の構成であるから重複する説明は省略して、相違点を中心に説明する。
【0059】
この実施形態においては、弾性体を複数用いているが、第1の弾性体91は、曲折部40を横切って、矢印Tの方向に沿って配置されており、例えば、その両端部が、バックシート22に対して固定されている。あるいは、この弾性体91は、図15の弾性体86のように固定されていてもよい。
これに加えて、本実施形態では、第1の弾性体91とほぼ90度交差する方向に、さらに他の弾性体として、第2の弾性体92が配置されており、例えばこの第2の弾性体92の両端部は、バックシート22に対して固定されている。
【0060】
この実施形態では、第1の弾性体91の他に、矢印Lの方向に沿って収縮力を付与する第2の弾性体92を加えることで、身体の前後方向に曲面をなす使用者の下半身に対して、より忠実に適合する製品を得ることができる。
このような点を除き、第2の実施形態も最初に説明した吸収性製品と同様の作用効果を発揮することができる。
尚、第1の実施形態と第2の実施形態に対しては、これらの構成と図1ないし図14までで説明した構成を組み合わせることができることは勿論である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、失禁パッド,生理用ナプキン,オシメ等の吸収性製品において、複雑な3次元形状の身体に好適にフィットして、体液が外に漏れだすことを防止し、しかも、装着状態を外部からきわめて判別しにくくした吸収性製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性製品の実施形態を説明するための前提となる失禁パッドの構成例を示す前方から見た斜視図。
【図2】図2(a)は、図1の失禁パッドを装着した様子を示す図、図2(b)は、弾性体の長さと、曲折部との関係を示す説明図。
【図3】図1のA−A線概略断面図。
【図4】図1のB−B線概略断面図。
【図5】吸収性製品の別の例である失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図6】図5の失禁パッドの弾性体の配置及び固定構造を示す説明図。
【図7】図5のC−C線概略断面図。
【図8】図5のD−D線概略断面図。
【図9】吸収性製品の別の例である失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図10】図9のE−E線概略断面図。
【図11】図9のF−F線概略断面図。
【図12】吸収性製品の別の例である失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図13】図10のG−G線概略断面図。
【図14】図10のH−H線概略断面図。
【図15】本発明の吸収性製品の第1の実施形態に係る失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図16】図15のI−I線概略断面図。
【図17】図15のJ−J線概略断面図。
【図18】本発明の吸収性製品の第2の実施形態に係る失禁パッドを示す前方から見た斜視図。
【図19】図18のK−K線概略断面図。
【図20】図18のL−L線概略断面図。
【図21】従来の失禁パッドの構成を示す概略断面図。
【図22】図51の失禁パッドを装着した様子を示す図。
【符号の説明】
20,60,70,80,85,90・・・失禁パッド(吸収性製品)、22・・・バックシート、23・・・ティッシュ、24・・・吸収体、25・・・表面材、26・・・立体ギャザー部、40・・・曲折部、41・・・曲折案内部、L・・・失禁パッドの長手方向、T・・・失禁パッドの短手方向。

Claims (5)

  1. 一方向に長い形状を有しており、
    液体の透過を防止するバックシートと、
    身体に接触する面側に配置される液体透過性の表面材と、
    前記バックシートと前記表面材との間に配置されて前記表面材を透過した液体を吸収して保持する吸収体と、
    前記一方向に長い形状に関して、一端側の領域の短手方向中央部にて、製品の短手方向に沿って収縮力を付与するための弾性体と、
    前記収縮力により前記表面材側に凸となるように曲折された曲折部と
    を備え、
    前記弾性体が、前記曲折部を横切って配置されており、かつこの弾性体の両端部と、中間付近の少なくとも一箇所が前記バックシートに対して固定されている
    ことを特徴とする、吸収性製品。
  2. 一方向に長い形状を有しており、
    液体の透過を防止するバックシートと、
    身体に接触する面側に配置される液体透過性の表面材と、
    前記バックシートと前記表面材との間に配置されて前記表面材を透過した液体を吸収して保持する吸収体と、
    前記一方向に長い形状に関して、一端側の領域の短手方向中央部にて、製品の短手方向に沿って収縮力を付与するための弾性体と、
    前記収縮力により前記表面材側に凸となるように曲折された曲折部と
    を備え、
    前記弾性体とほぼ90度交差する方向に、さらに他の弾性体が配置されている
    ことを特徴とする、吸収性製品。
  3. 前記吸収体の前記曲折部に対応した部分に曲げ応力が集中する曲折案内部を設けることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸収性製品。
  4. 前記弾性体が、シート材料に固定されて形成された弾性部材を設け、この弾性部材により、製品の短手方向に沿って収縮力を付与する構成としたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸収性製品。
  5. 前記曲折部の前記バックシ−ト側の曲折凹部において、互いに対向する面の少なくとも奥側が接着されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸収性製品。
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