以下、この発明による保留制御方法の実施形態を、電話端末として、VoIP電話端末(以下、IP電話機という)を用いる場合を例にとって、図を参照しながら説明する。
図1は、複数個のIP電話機を備えるVoIP電話システムにおける電話通信のための構成図である。
図1において、10Aおよび10Bは、実施形態のVoIP電話システムを示し、同じ構成を備えるので、図1では、VoIP電話システム10Aについて、詳細構成例を示している。なお、図1では、VoIP電話システムは、10A,10Bの2個のみを示したが、2個以上の多数個が存在するようにすることができることは言うまでもない。
VoIP電話システム10A,10Bのそれぞれは、主装置11と、複数個のIP電話機12と、外線ゲートウエイ13と、保留サーバ14とを備えている。なお、IP電話機12は、1個でも良いことは言うまでもない。
主装置11は、VoIP電話システム10Aおよび10BのIP電話機12からの発信や他のネットワークからのIP電話機12に対する着呼などの呼制御、および着呼時の複数個のIP電話機12の一斉呼び出し制御や複数個のIP電話機12の使用状態表示などのランプ制御などを行うもので、前記制御を含む種々の制御をソフトウエア処理として実行するためのマイクロコンピュータを搭載して構成されている。
複数個のIP電話機12は、LAN15を通じて互いに接続されており、LAN15は給電ハブ16を通じて主装置11に接続されている。外線ゲートウエイ13もLAN15に接続されている。主装置11は、LAN15に接続されているIP電話機12のそれぞれや外線ゲートウエイ13のLAN15上のアドレス(IPアドレス)を記憶して管理すると共に、保留サーバ14のIPアドレスも記憶して管理している。
IP電話機12は、この例では、保留キーを備えており、当該IP電話機12で通話中にこの保留キーを押下すると、その押下操作は保留操作(保留要求操作)となって、後述するようにして通話中回線は、保留状態になる。そして、保留状態で、再度、保留キーを押下すると、その押下操作は、保留解除要求操作となる。なお、この例では、保留キーに対応して、保留サーバ14のIPアドレスが記憶されており、通話中に保留キーが押下されたときには、保留サーバ14を呼び出すことができるように構成されている。
なお、IP電話機12に、保留キーに対応して保留サーバ14のIPアドレスを保持しておくのではなく、主装置11に保留サーバ14のIPアドレスを保持しておき、保留キーが操作されたときに、IP電話機12が、主装置11に保留サーバ14のIPアドレスを問い合わせ、この問い合わせに対する回答として、主装置11から保留サーバ14のIPアドレスを取得し、この取得したIPアドレスを用いて保留サーバ14に、保留要求のための呼出メッセージを送るようにしてもよい。
また、IP電話機12は、この例では、通信の相手側端末での保留操作についての対応内容および/または相手側端末での保留操作時の対応内容を規定する保留対応情報を、発信前に、使用者が設定することができるように構成されている。そして、その設定された保留対応情報は、設定情報メモリに記憶されて保持される。そして、発信時に、この設定情報メモリから、設定された保留対応情報を読み出して、呼出メッセージに含めて相手側に送るようにする。
ここで、通信の相手側端末での保留操作についての対応内容の例は、この実施形態では、相手側端末での保留操作を拒否する「保留拒否」または保留操作を許諾する「保留許諾」とされる。「保留拒否」と「保留許諾」のいずれを保留対応情報とするかは、使用者によって、発信前に設定される。発信操作前の時点で使用者により設定された「保留拒否」または「保留許諾」のいずれかの情報は、保留対応情報として設定情報メモリに保持される。
この「保留拒否」または「保留許諾」のいずれを保留対応情報とするかの使用者による選択設定のために、この例では、IP電話機12には、保留拒否設定キーが設けられる。そして、IP電話機12では、保留対応情報メモリには、初期的には、「保留許諾」が保留対応情報として記憶されており、発信前に使用者により保留拒否設定キーが押下されると、保留対応情報が「保留許諾」から「保留拒否」に変更される。そして、この例では、通話が終了すると、IP電話機12のメモリの保留対応情報は、「保留拒否」から「保留許諾」の初期状態に常に復帰するように構成されている。これは、一例であり、後述の他の例のようにしても良い。
また、この実施形態では、相手側端末での保留操作時の対応内容を規定する保留対応情報の例は、コマーシャルなどのサービスメッセージを保留音の代わりに聴取することを許諾(サービスメッセージ聴取許可)することを意図する情報とされる。この実施形態では、このサービスメッセージ聴取許可の設定は、サービスメッセージ聴取許可設定キーがIP電話機12に設けられていて、前述の保留拒否設定キーと同様に、発信の都度、必要に応じて当該設定キーが押下されることにより、「サービスメッセージ聴取許可」が設定される。
この例では、発信前にサービスメッセージ聴取許可設定キーが押下されなかったときには、保留対応情報は「通常の保留音」を意味するものとなる。なお、通話が終了すると、IP電話機12の設定情報メモリの保留対応情報は、「サービスメッセージ聴取許可」から「通常の保留音」の初期状態に常に復帰するように構成されている。これは、一例であり、後述の他の例のようにしても良い。
また、IP電話機12は、通話中の相手側端末から取得した保留対応情報が「保留拒否」であるときには、保留操作を禁止して、もしも保留操作がなされたときにはエラー報知を使用者に対して実施する機能も備えている。
さらに、IP電話機12は、後述する保留シーケンスにおいて、呼を保留サーバ14に転送する際に、保留サーバ14に対して、「サービスメッセージ聴取許可」であるかどうかを通知するようにする。この通知は、この例では、保留転送のために、IP電話機12から保留サーバ14に対して呼出メッセージを送るときに、その呼出メッセージに、「通常保留音」あるいは「サービスメッセージ聴取許可」の情報を含めることでなされる。
そして、この例では、LAN15は、外線ゲートウエイ13を経由して、PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆電話網)20に接続されている。
外線ゲートウエイ13は、PSTN20と、LAN15との間での中継交換を行う機能を備える。したがって、VoIP電話システム10Aおよび10Bの複数のIP電話機12は、主装置11および外線ゲートウエイ13を通じて、PSTN20に接続されている一般電話機21との間で電話通信が可能となる。
また、この例では、主装置11は、IP(Internet Protocol)網30に接続されており、VoIP電話システム10Aおよび10Bの複数のIP電話機12は、それぞれの主装置11を通じて、電話通信が可能となる。また、VoIP電話システム10Aおよび10Bの複数のIP電話機12は、主装置11を通じて、IP網30に接続されているIP電話機31との間で電話通信を行なうことも可能となる。
また、保留サーバ14は主装置11に対してハブ17を介して接続されている。この実施形態のVoIP電話システム10Aおよび10Bにおいては、通話中のIP電話機12で、使用者が保留ボタンを操作して、保留要求をすると、相手側端末から取得した保留対応情報により保留拒否されていないときには、当該通話中の呼が保留サーバ14に転送されて、保留状態が現出される。
この保留状態では、保留サーバ14は、通話中であった相手電話端末(被保留電話端末)に、通常は、保留音を提供するようにする。
また、特に、この例では、保留サーバ14は、コマーシャルメッセージ音声や、その他のサービスメッセージ音声を、通常の保留音とは別個に備えている。そして、保留操作がなされたIP電話機12が相手側端末から取得した保留対応情報が、サービスメッセージ聴取可能の情報であるときには、当該IP電話機12から保留サーバ14に、そのサービスメッセージ聴取可能の情報が通知される。保留サーバ14は、このサービスメッセージ聴取可能の情報を受け取ると、通常の保留音に代えて、コマーシャルなどのサービスメッセージ音声を、相手側端末に送信するようにする。
また、保留サーバ14は、LAN15に接続されているIP電話機12からの保留解除要求に基づいて、保留していた呼を、保留解除要求してきたIP電話機12に転送して保留解除するようにする機能を備える。
[IP用電話機12のハードウエア構成例]
図2に、この実施の形態のVoIP電話システムにおけるIP電話機12のハードウエア構成例を示す。この実施の形態のIP電話機12は、図2に示すように、IP電話機本体TEと、ハンドセットHSとからなる。ハンドセットHSは、図示を省略したが、送話器を構成するマイクロホンと、送話アンプと、受話器を構成するスピーカと、受話アンプとを備えている。
IP電話機本体TEは、マイクロコンピュータにより構成されており、CPU(Central Processing Unit)101に対して、システムバス100を介して、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ディスプレイコントローラ104と、LEDドライブ部105と、操作入力インターフェース(図ではインターフェースはI/Fと記載する。以下同じ)106と、LANインターフェース107と、パケット処理部108と、音声データ入出力インターフェース109と、設定情報メモリ110と、保留対応情報メモリ111が接続されている。
ROM102には、IP電話機としての発信時や着信時の処理シーケンスを実行するプログラム、保留・保留解除の要求入力を受け付け、保留・保留解除時の処理、保留拒否の処理などを実行するためのプログラムが記憶されている。
RAM103は、主としてROM102のプログラムがCPU101によって実行される際にワークエリアとして使用される。
ディスプレイコントローラ104には、ディスプレイ112が接続されており、このディスプレイ112の表示画面には、CPU101の制御にしたがった表示が行われる。
また、操作入力インターフェース106には、テンキー、回線ボタンキー、保留キー、カーソルキー、保留拒否設定キー、サービスメッセージ聴取可能設定キーやその他の操作キーを含む操作入力部114が接続されている。CPU101は、操作入力インターフェース106を介して操作入力部114を通じて使用者がいずれの入力キーを操作したかを認識し、その認識結果に基づいて、キー入力操作に応じた処理をROM102のプログラムに従って実行する。
LEDドライブ部105には、回線キーやその他のボタンキーなどに関連した表示を行うための複数個のLEDからなるLED群113が接続されている。LED群113には、この実施形態では、相手方から取得した保留対応情報が「保留拒否」であるとき、また、「サービスメッセージ聴取可能」であるとき、そのことを、当該IP電話機12の使用者に報知するためのLEDも含まれている。なお、相手方から取得した保留対応情報が「保留拒否」であるとき、また、「サービスメッセージ聴取可能」であるとき、そのことを、ディスプレイ112の表示画面に表示するようにしてもよい。
LANインターフェース107は、IPネットワークを構成するLAN15を通じて送られてくるパケット化データを取り込み、また、LAN15にパケット化データを送出するための機能を備える。
パケット処理部108は、LANインターフェース107により取り込んだパケット化データを分解して、制御データや音声データを得る機能と、送信する制御データや音声データをパケット化して送出するパケット化データを生成する機能を有する。このパケット処理部108は、パケット化データを分解したり、生成したりするためのバッファメモリを備える。
なお、このパケット処理部108のパケット分解処理機能や生成処理機能は、CPU101が、ROM102に記憶されているプログラムに従って、RAM103をワークエリアとして用いて実行するソフトウエア処理として実現することもできる。
音声データ入出力インターフェース109は、パケット分解されて得られた音声データをアナログ音声信号に変換してハンドセットHSに供給し、また、ハンドセットHSから入力されるアナログ音声信号をデジタル信号に変換して取り込む機能を備える。
設定情報メモリ110には、この実施形態では、自端末で使用者に設定される保留対応情報が記憶されて保持されている。前述したように、この例では、定常状態においては、保留対応情報は、「保留許諾」および「サービスメッセージ聴取不可(通常の保留音)」を示す情報となっている。
そして、発信に先立ち、保留拒否設定キーが押下されると、保留対応情報が「保留拒否」を示す情報に変更される。また、発信に先立ち、サービスメッセージ聴取可能設定キーが押下されると、保留対応情報は、「保留許諾」は変わらずに、「サービスメッセージ聴取不可(通常の保留音)」から「サービスメッセージ聴取可能」を示す情報に変更される。
そして、前述したように、この実施形態では、IP電話機12で相手端末との通話が終了すると、この設定情報メモリ110の保留対応情報は、「保留許諾」および「サービスメッセージ聴取不可(通常の保留音)」を示す情報に戻されるように構成されている。
保留対応情報メモリ111は、通話開始前に、着信情報に含まれて相手側端末から送られてくる保留対応情報を、当該着信の回線の識別子と対応して一時記憶する。通話が終了すると、一時記憶されていた保留対応情報は消去される。なお、保留対応情報メモリ111には、保留対応情報そのものを記憶するのではなく、保留対応情報を解析して、認識された当該保留対応情報で示される保留操作についての対応内容、または、保留操作時の対応内容を示す情報(認識結果の情報)を、記憶するようにしても良い。
CPU101は、保留対応情報メモリ111に一時記憶されている通話中の回線についての保留対応情報を参照して、保留操作の拒否やサービスメッセージ聴取許可について判定および認識し、また、保留操作が拒否されているときに、保留操作が使用者によりなされたときには、使用者にエラーを警告する処理を実行する。これらの処理については、さらに後述する。
[保留サーバ14の構成例]
図3に、この実施形態の保留サーバ14の構成例のブロック図を示す。図3に示すように、この実施形態の保留サーバ14は、マイクロコンピュータを備えており、CPU201に対して、システムバス200を通じて、ROM202、RAM203、通信インターフェース204、パケット処理部205、保留音発生部206、サービスメッセージ発生部207、が接続されて構成されている。
ROM202には、この保留サーバ14で実行する種々の処理用プログラムが格納されており、CPU201が、その処理プログラムに従って、RAM203をワークエリアとして用いて、種々のソフトウエア処理を実行する。
通信インターフェース204は、主装置11に接続されているハブ17に接続されている。通信インターフェース204は、ハブ17を通じて送られてくる受信パケットを受信して、パケット処理部205に渡すと共に、パケット処理部205から転送されてくる送信パケットを、ハブ17に送り出すようにする。
パケット処理部205は、通信インターフェース204からの受信パケットを分解して、システムバス200に送出する機能と、この保留サーバ14内で生成された音声データや制御データをパケット化して、送信パケットとして通信インターフェース204に転送する機能を備える。
保留音発生部206は、保留音の音声データや音声メッセージのデータを発生する。これらの音声データは、予め保留音発生部206の記憶部に記憶されていて、必要に応じて読み出されるものである。
サービスメッセージ発生部207は、この例では、コマーシャルメッセージ音声の音声データを発生する。サービスメッセージ音声としては、コマーシャルメッセージ音声のほか、クイズの設問、クイズの解答などを、適宜の手順で、音声データにより被保留電話端末の使用者に提供するものであってもよいし、その他種々のサービスメッセージ音声を使用することも可能である。
上述のような構成を備える、この実施形態によるVoIP電話システムにおける着信時および保留操作時のシーケンスを、次に説明する。
[保留拒否の場合のシーケンス]
図4は、例えばVoIP電話システム10BのIP電話機12(以下、VoIP電話システム10BのIP電話機12をIP電話機12Bという)から、VoIP電話システム10Aに着信があって、VoIP電話システム10Aの任意のIP電話機12(以下、VoIP電話システム10AのIP電話機12をIP電話機12Aという)が、その着信に応答した場合であって、VoIP電話システム10BのIP電話機12Bで、発信前に、保留拒否設定キーが押下されて、保留対応情報として「保留拒否」が呼出メッセージに含められる場合のシーケンスである。
図4に示すように、先ず、VoIP電話システム10BのIP電話機12BからVoIP電話システムへの発信がなされると、呼出メッセージが、VoIP電話システム10Aの主装置11(以下、VoIP電話システム10Aの主装置11を主装置11Aという)に着信する。このとき、この呼出メッセージには、「保留拒否」を示す保留対応情報が含められている。
主装置11Aは、LAN15に接続されている複数のIP電話機12Aに対して、一斉呼出を行い、複数のIP電話機12Aに対して着信通知をする。このときの一斉呼出メッセージにも、「保留拒否」を示す保留対応情報が含められている。
この一斉呼出に対して、図4に示すように、VoIP電話システム10Aの任意のIP電話機12Aが応答したとする。すると、IP電話機12Aは、応答メッセージを主装置11Aに返す。主装置11Aは、その応答メッセージをVoIP電話システム10BのIP電話機12Bに対して送る。これにより、IP電話機12BとIP電話機12Aとの間に通話路が形成され、通話状態になる。
このとき、着信に応答したIP電話機12Aは、通話状態になる前に取得して保留対応情報メモリ111に記憶された一斉呼出メッセージに含まれていた保留対応情報を抽出して解析し、相手側端末により「保留拒否」が設定されていることを認識する。そして、IP電話機12Aでは、この認識結果により、相手側端末が「保留拒否」をしていることを、LED群113のうちの、当該「保留拒否」に対応するLEDを点灯または点滅させて、IP電話機12Aの使用者に報知する。また、ディスプレイ112の表示画面に、「保留拒否」されていることを表示するようにしても良い。
この状態で、もしも、IP電話機12Aの使用者が、上記の保留拒否についての報知にも拘わらず、保留キーを操作して保留要求をしたときには、この実施形態のIP電話機12Aは、例えばブザー音などのエラーを報せる警告音を発生して、使用者に注意を促し、保留処理シーケンスは実行しない。
[保留承認およびサービスメッセージ聴取可能の場合のシーケンス]
図5は、図4のシーケンス例と同様に、VoIP電話システム10BのIP電話機12Bから、VoIP電話システム10Aに着信があって、VoIP電話システム10Aの任意のIP電話機12Aが、その着信に応答した場合であって、VoIP電話システム10BのIP電話機12Bで、発信前に、サービスメッセージ聴取可能設定キーが押下されて、保留対応情報として「保留承認およびサービスメッセージ聴取可」が呼出メッセージに含められる場合のシーケンスである。
この例の場合、図5に示すように、先ず、VoIP電話システム10BのIP電話機12BからVoIP電話システムへの発信がなされると、呼出メッセージが、主装置11Aに着信する。このとき、この呼出メッセージには、「保留承認およびサービスメッセージ聴取可」を示す保留対応情報が含められている。
主装置11Aは、LAN15に接続されている複数のIP電話機12Aに対して、一斉呼出を行い、複数のIP電話機12Aに対して着信通知をする。このときの一斉呼出メッセージにも、「保留承認およびサービスメッセージ聴取可」を示す保留対応情報が含められており、この情報は、保留対応情報メモリ111に格納される。
この一斉呼出に対して、図5に示すように、VoIP電話システム10Aの任意のIP電話機12Aが応答したとする。すると、IP電話機12Aは、応答メッセージを主装置11Aに返す。主装置11Aは、その応答メッセージをVoIP電話システム10BのIP電話機12Bに対して送る。これにより、IP電話機12BとIP電話機12Aとの間に通話路が形成され、通話状態になる。
このとき、通話状態になる前に、着信に応答したIP電話機12Aは、通話状態になる前に取得して保留対応情報メモリ111に記憶された一斉呼出メッセージに含まれていた保留対応情報を抽出して解析し、相手側端末により「保留承認およびサービスメッセージ聴取可」が設定されていることを認識する。そして、IP電話機12Aでは、この認識結果により、相手側端末が「保留承認およびサービスメッセージ聴取可」をしていることを、LED群113のうちの、対応するLEDを点灯させて、IP電話機12Aの使用者に報知する。また、ディスプレイ112の表示画面に、「保留承認およびサービスメッセージ聴取可」とされていることを表示するようにしても良い。
この通話状態において、IP電話機12Aで保留操作が行われると、IP電話機12Aから保留準備のメッセージが主装置11Aに送られる。主装置11Aは、これに対して、準備完了のメッセージをIP電話機12Aに返す。次に、IP電話機12Aは、保持しているIPアドレスを用いて保留サーバ14(以下、VoIP電話システム10Aの保留サーバ14を保留サーバ14Aという)に呼出メッセージを送る。このとき、この呼出メッセージには、「サービスメッセージ聴取可」を示す情報が含められている。
IP電話機12Aからの呼出メッセージを受け取った保留サーバ14Aは、応答メッセージをIP電話機12Aに返す。応答メッセージを受け取ったIP電話機12Aは、保留準備のメッセージを保留サーバ14Aに送る。保留サーバ14Aは、この保留準備メッセージに対しては準備完了メッセージをIP電話機12Aに返す。
準備完了メッセージを受け取ったIP電話機12Aは、転送指示メッセージを保留サーバ14Aに送る。保留サーバ14Aは、この転送指示メッセージに対してIP電話機12Aに転送了承のメッセージを送った後、主装置11Aに接続メッセージを送る。
主装置11Aがこの接続メッセージに対応して応答メッセージを保留サーバ14Aに送ると、IP電話機12Aで通話中であった呼は、保留サーバ14Aに転送されて、保留サーバ14Aと主装置11Aとが接続され、保留サーバ14Aと、相手側のIP電話機12Bとの間に保留中の通話路が形成される。
そして、保留サーバ14Aは、保留のためのIP電話機12Aからの保留サーバ14Aへの呼出メッセージに含まれる情報を解析し、サービスメッセージ音声の聴取が可能であるかどうかを判定する。そして、その判定の結果、サービスメッセージ音声の聴取が可能であるときには、保留音の代わりに、サービスメッセージ発生部207からサービスメッセージの音声データを読み出して、保留中の通話路により、主装置11Aを介してIP電話機12Bに送出する。IP電話機12Bでは、このサービスメッセージ音声を保留音の代わりに聴取しながら、保留が解除されるのを待つことになる。
なお、保留解除要求は、保留操作をしたIP電話機12Aのみではなく、LAN15に接続されている任意のIP電話機12Aから送出することができる。保留解除要求(保留中の回線についての回線接続要求)には、当該保留解除要求を送出したIP電話機12Aの識別情報やIPアドレスが付加されているので、主装置11Aは、保留サーバ14Aに保留中の回線についての回線接続要求を送るときに、当該保留解除要求を送出したIP電話機のIPアドレスを付加して送る。保留サーバ14Aは、この取得したIPアドレスを用いて、保留解除要求してきたIP電話機12Aを呼び出して、転送することができる。
なお、このときにも、保留サーバ14Aは、「サービスメッセージ聴取可」を示す情報を、保留解除要求してきたIP電話機12Aへの呼出メッセージに含めるようにするのは、保留操作をしたIP電話機12Aからの保留解除要求の場合と同様である。これにより、「サービスメッセージ聴取可」の情報が、保留解除要求をしたIP電話機にも転送され、当該IP電話機では、サービスメッセージ聴取可を使用者に報知する表示をする。
[IP電話機における処理動作のフローチャート]
<発信>
図6は、IP電話機における発信時の処理例を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの各ステップは、IP電話機のCPU101が、ROM102のプログラムにしたがって、RAM103をワークエリアとして用いて実行する。この図6の処理ルーチンは、発信操作がなされたとき、発信スタートから開始する。なお、上述のことから明らかなように、発信操作をする前に、使用者は、必要に応じて、保留拒否設定キーや、サービスメッセージ聴取可能設定キーなどを予め操作するものである。
先ず、CPU101は、設定情報メモリ110に格納されている保留対応情報を読み出し(ステップS101)、その読み出した保留対応情報を含めた呼出メッセージを送出する(ステップS102)。
次に、CPU101は、相手側端末の使用者が着信に対して応答したことに基づいて、相手側端末から送られてくる応答メッセージを受信したか否か判別し(ステップS103)、応答メッセージを受信したと判別したときには、通話路を生成して、通話状態になる(ステップS104)。
そして、CPU101は、自端末での使用者によるオンフックにより終話になったか、あるいは、相手側端末でのオンフックにより終話になったか否かを判別し(ステップS105)、終話になったと判別したときには、通話中の回線を切断して(ステップS106)、この処理ルーチンを終了する。
また、ステップS103で、応答を受信しなかったと判別したときには、CPU101は、自端末での使用者によりオンフックされたか否か判別し(ステップS107)、オンフックされていないと判別したときには、ステップS103に戻って、このステップS103以降の処理を繰り返す。また、ステップS107で、オンフックされたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。
<着信>
図7およびその続きである図8は、IP電話機における着信時の処理例を説明するためのフローチャートである。また、図9は、保留解除の処理例を説明するためのフローチャートである。これらのフローチャートの各ステップは、IP電話機のCPU101が、ROM102のプログラムにしたがって、RAM103をワークエリアとして用いて実行する。この図6の処理ルーチンは、一斉呼出(または個別呼出)を受信したときに、着信スタートから開始する。
CPU101は、相手側端末から主装置11を通じて送られてくる呼出メッセージを受け取ると、リンガーを鳴動させて、使用者に着信報知を行う(ステップS111)。なお、呼出メッセージに含まれる保留対応情報は、保留対応情報メモリ111に保持される。当該IP電話機が応答しなかったときには、保持された保留対応情報は、消去される。
次に、CPU101は、使用者が応答操作をしたか否か判別し(ステップS112)、応答操作がなされなかったと判別したときには、他のIP電話機が応答した、あるいは発信側が呼を放棄したなどの理由により、着信が消滅したか否か判別し(ステップS113)、着信が消滅したと判別したときには、着信報知を停止してこの処理ルーチンを終了する。また、ステップS112で、応答操作がなされたと判別したときには、CPU101は、着信報知を停止すると共に、応答メッセージを主装置11を通じて相手側端末に送るようにし(ステップS114)、その後、通話路を生成して通話状態になる(ステップS115)。
そして、CPU101は、保留対応情報メモリ111に記憶されている着信時の呼出メッセージに含まれていた保留対応情報を解析して、対応内容を認識する(ステップS116)。そして、CPU101は、その認識の結果、保留対応情報が「保留拒否」を示す情報であるか否か判別する(ステップS117)。
このステップS117で、取得した保留対応情報が「保留拒否」を示す情報であると判別したときには、CPU101は、前述したように、LED群113のうちの保留拒否に対応するLEDを点灯または点滅すると共に、ディスプレイ112の画面に保留拒否されていることを文字メッセージ表示するようにする(ステップS118)。
ステップS117で、取得した保留対応情報が「保留拒否」を示す情報ではないと判別したときには、CPU101は、取得した保留対応情報が「サービスメッセージ聴取可能」を示す情報であるか否か判別し(ステップS119)、「サービスメッセージ聴取可能」を示す情報であると判別したときには、LED群113のうちのサービスメッセージ聴取可能に対応するLEDを点灯すると共に、ディスプレイ112の画面にサービスメッセージ聴取可能であることを文字メッセージ表示するようにする(ステップS120)。
ステップS119で、保留対応情報は「サービスメッセージ聴取可能」を示す情報ではないと判別したとき、また、ステップS118またはステップS120の次には、CPU101は、使用者により保留キーの押下による保留操作がなされたか否か判別する(図8のステップS121)。
このステップS121で、保留操作がなされていないと判別したときには、CPU101は、自端末での使用者によるオンフックにより終話になったか、あるいは、相手側端末でのオンフックにより終話になったか否かを判別し(ステップS127)、終話になったと判別したときには、通話中の回線を切断して(ステップS128)、この処理ルーチンを終了する。
また、ステップS127で、終話になってはいないと判別したときには、CPU101は、通話状態を継続するようにし(ステップS129)、ステップS121に戻る。
そして、ステップS121で、保留操作がなされたと判別したときには、CPU101は、保留拒否状態であるか否か判別する(ステップS122)。なお、保留拒否状態であるか否かを判別するためには、ステップS117で保留拒否が設定されていると認識したときに、保留拒否の表示をすると共に保留拒否フラグを立てるようにしておき、ステップS122で、この保留拒否フラグが立っているか否かを判別することによって、行うようにすることができる。また、そのようにするのではなく、保留対応情報メモリ111に記憶されている保留対応情報を参照してももちろん良い。
ステップS122で、保留拒否状態になっていると判別したときには、CPU101は、保留操作は禁止であるため、当該保留キーの操作はエラーであることを、この例では、警告ブザー音により報知し、保留のためのシーケンスは行わずに通話状態を継続する(ステップS123)。この際、エラーの警告音がなっているときに、当該IP電話機の使用者がオンフック操作しても、通話状態を維持するようにする。これは、保留ができないため、相手方との音声通話を経ずに、一方的に通信を切断したようになるのを防止するためである。そして、ステップS127に進み、前述したステップS127以降の処理を実行する。
ステップS122で、保留拒否状態ではないと判別したときには、CPU101は、保留対応情報メモリ111に記憶されている保留対応情報を参照して、サービスメッセージ聴取可能に設定されているか否か判別し(ステップS124)、サービスメッセージ聴取可能に設定されていると判別したときには、その旨の情報を含む呼出メッセージを保留サーバ14に送り、保留状態となる(ステップS125)。
また、ステップS124で、サービスメッセージ聴取可能に設定されていないと判別したときには、CPU101は、その旨の情報を含む呼出メッセージを保留サーバ14に送り、保留状態となる(ステップS126)。そして、この処理ルーチンを終了する。
なお、この例では、ステップS124で保留対応情報メモリ111に記憶されている保留対応情報を参照して、サービスメッセージ聴取可能に設定されているか否かを判別するようにしたが、この判別ステップを省略して、保留対応情報メモリ111に格納されている保留対応情報を読み出して、保留サーバ14に送る呼出メッセージに含めるようにしても良い。その場合には、保留サーバ14が保留対応情報を解析して認識して、サービスメッセージ聴取可能に設定されているか否かを判別する。
保留状態になった後においては、IP電話機12では、図9に示す保留解除処理ルーチンを開始する。この保留解除処理ルーチンにおいては、先ず、CPU101は、保留解除要求の操作が使用者によりなされたか否かを判別し(ステップS131)、保留解除要求の操作はなされていないと判別したときには、他のIP電話機12からの保留解除要求がなされたなどの理由による保留消滅を待ち(ステップS132)、保留消滅を判別したときには、この保留解除処理ルーチンを終了する。
また、ステップS131で、保留解除要求の操作がなされたと判別したときには、CPU101は、保留解除シーケンスを実行する(ステップS133)。そして、CPU101は、保留解除シーケンスの実行の際に、保留サーバから送られてくる、保留転送時の呼出メッセージなどに含まれる保留対応情報を取得し、取得した保留対応情報により示される対応内容を認識する(ステップS134)。そして、図7のステップS117に進み、前述したこのステップS177以降の処理を繰り返す。
[保留サーバ14における処理動作のフローチャート]
図10は、この実施形態における保留サーバ14の処理動作を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの各ステップは、保留サーバ14のCPU201が、ROM202のプログラムに従って、RAM203をワークエリアとして用いて実行するものである。
CPU201は、先ず、IP電話機12からの呼出メッセージを受け取ったか否か判別し(ステップS141)、受け取ったと判別したときには、この呼出に応答して、前述の図5に示したように、呼出を送ってきたIP電話機が通話中であった回線の呼を保留するためのシーケンスを実行して、自装置(保留サーバ14)を主装置11と接続して、保留状態とするようにする(ステップS142)。
次に、CPU201は、IP電話機12から受け取った呼出メッセージに含まれていた情報を解析して、サービスメッセージ聴取可能となっているか否か判別する(ステップS143)。
そして、ステップS143で、サービスメッセージ聴取可能となっていると判別したときには、CPU201は、サービスメッセージ発生部207からのサービスメッセージ音声を、通常の保留音の代わりに被保留電話端末に対して送出する(ステップS144)。
また、ステップS143で、サービスメッセージ聴取可能とはなっていないと判別したときには、CPU201は、保留音発生部206からの通常の保留音を被保留電話端末に対して送出する(ステップS145)。
ステップS144またステップS145の次には、CPU201は、保留解除要求を待ち(ステップS146)、保留解除要求を受信したと判別すると保留解除シーケンスを実行する(ステップS147)。以上で、この処理ルーチンを終了する。
[他の実施形態および変形例]
上述の実施形態では、保留拒否のためには、発信の前に、保留拒否ボタンを、その都度操作するようにしたが、保留拒否を一旦設定したら、常に、発信時の呼出メッセージに、保留拒否の保留対応情報を含めるようにしてもよい。また、サービスメッセージ聴取許可の設定についても、発信の都度ではなく、予め設定しておき、常に、発信時の呼出メッセージに、サービスメッセージ聴取許可の保留対応情報を含めるようにしてもよい。
また、相手先電話番号を操作ボタンに対応させて記憶するワンタッチダイヤルの機能や、相手先電話番号と短縮番号とを対応させて記憶する短縮ダイヤルの機能を備える電話端末の場合には、ワンタッチダイヤルや短縮ダイヤルを登録する際に、相手先電話番号と共に、保留拒否やサービスメッセージ聴取許可の設定情報を保留対応情報として記憶しておくようにしても良い。
また、上述の実施形態では、発信側端末が発信時に呼出メッセージに含めて、保留対応情報を着信側端末に送るようにしたが、着信側端末も、応答メッセージに含めて、保留対応情報を発信側端末に送るようにしても良い。その場合には、発信側端末での保留操作についての対応内容、また、保留操作時の対応内容を、着信側端末からの保留対応情報で処理制御することができる。
なお、保留対応情報は、上述の例では、発信時に、保留対応情報メモリから読み出して、常に、呼出メッセージに含めて送出するようにしたが、「保留拒否」でなく「保留許諾」の場合や、「サービスメッセージ聴取許可」でなく「通常の保留音」の状態である場合には、保留対応情報を、発信時の呼出メッセージに含めなくても良い。すなわち、相手側は、保留対応情報が存在しなければ、従来通りに、保留操作を実行し、また、通常の保留音を送出する動作のすることが可能であるからである。
また、保留対応情報により、保留拒否ではなく、保留が可能な回数を制限するようにしてもよい。例えば、電話の受付者から担当者への取次ぎを考慮して、1回の保留は許可するが、それ以上の保留は拒否するようにする場合には、保留許可回数を1回と設定する。2回以上の保留許可回数を許可する設定としても、もちろんよい。この場合には、主装置では、保留解除処理時に、保留許可回数−1の演算を行って、次の保留が拒否となるか否かを判断するようにする。
なお、図1では、VoIP電話システムは、PSTNとIP網のいずれにも接続されるように構成されているが、いずれか一方のネットワークにのみ接続されていてもかまわない。
なお、上述の保留対応情報を解析する機能を有しない電話端末である場合には、当該保留対応情報は、無視されて、従来通りに、保留操作が実行可能とされて、また、保留音が相手側に送出されるものである。
上述の実施形態では、保留サーバ14は、ハブ17を介して主装置11に接続するように構成したが、ハブ17を省略して、主装置11に接続するようにすることもできる。また、保留サーバ14の機能を、主装置11が持つ、あるいは、主装置11に、保留サーバ14の機能部を設けるようにしてもよい。そして、保留サーバ14の機能は、マイクロコンピュータを用いたソフトウエア処理とすることができる。
上述の実施形態は、VoIP電話システム間における保留制御方法について説明したが、VoIP電話システム10A,10Bと、IP網30に接続されたIP電話機31との間の電話通信における保留制御方法にも適用できる。
その場合、例えば、図1の例におけるIP電話機31の構成を、IP電話機12と同様に、保留拒否設定ボタン、サービスメッセージ聴取許可設定ボタンおよび設定情報メモリを備える構成とする。そして、発信時に、この設定情報メモリから、使用者により事前に設定されている保留対応情報を読み出して、呼出メッセージに含めて相手側に送るようにする。
このような構成のIP電話機31であれば、着信側端末としてIP電話機12と同じ構成を備えるIP電話機に発信をすることにより、上述と同様の作用効果を得られる。
また、IP電話機31に、保留キーを設け、当該IP電話機31自身で、呼を保留して保留音を相手側に送る機能を備える構成とすると共に、通話中の相手側端末から取得した保留対応情報が「保留拒否」であるときには、保留操作を禁止して、エラー報知を使用者に対して実施する機能も備える構成とすることもできる。
以上のようなIP電話機31では、IP電話機単体で、上述した保留制御方法の、発信側端末と着信側端末の両方の機能が実行されることになる。
なお、IP電話機31ではなく、PSTNに接続される一般電話機21にも、上述したような発信側端末の機能手段および/または着信側端末の機能手段を設けることにより、上述した保留制御方法が適用できる。
10A,10B…VoIP電話システム、11…主装置、12…IP電話機、13…外線ゲートウエイ、14…保留サーバ、15…LAN、110…設定情報メモリ、111…保留対応情報メモリ