JP4154184B2 - 音声端末及び音声通信方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の音声端末間で、通話路設定前に、音声データを送信する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの音声端末間で音声による通話を行う場合、その音声端末間で所定の呼制御手順に従った処理を行い、呼を確立した後、音声による通話が実現される。
【0003】
例えば、通信路の一部あるいは全ての区間でパケット通信を行う電話サービス、特にインターネットを使用してパケット通信を行う電話サービスである、インターネット電話サービスなどにおいては、発信側音声端末から、ITU−TのH.323やSIP(Session Initiation Protocol)などに規定されている呼制御手順を行い、着信側音声端末から応答することを示す指示を受け、呼を確立してから、その確立された呼を利用して音声パケットのやりとりを行っている。このため、着信側音声端末のユーザは、呼を確立する前には、その音声端末と呼を確立しようとしている音声端末があることのみを、着信音によって認識することができた。
【0004】
ところが、着信音だけでは、発信元がわからず、不便であった。そこで、呼を確立する前に着信側音声端末のユーザに発信側音声端末を知らせるものとして、例えば、ナンバーディスプレイ機能が提供されている。これは、呼制御手順を処理中に発信側音声端末の発番号を着信側音声端末に通知するものである。また、企業内網などにおいては、発信側音声端末に応じて着信音を変更する設定ができるものもあり、着信音により着信側音声端末のユーザが、発信側音声端末を認識することができるものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ナンバーディスプレイ機能や、着信音の設定により、呼を確立する前、即ち、着信側音声端末で応答処理を行う前に、着信側音声端末のユーザが、発信側音声端末を認識することはできる。しかしながら、1台の音声端末を複数のユーザで使用している場合など、着信側音声端末のユーザが、呼を確立するまでは、発信側音声端末の発番以外を認識できないため、依然不便な点がある。例えば、企業内で複数の者が1台の音声端末を利用している場合など、誰宛にかかってきた通話であるかがわからないと不便である。また、工場のように、広い場所で多数のユーザが複数の電話を共同で使用している場合は、このような情報が得られないと、一旦、誰かが応答した後、放送などで所望の人を呼び出すなどの必要があり、さらに手間がかかっている。
【0006】
本発明の目的は、このような不便を解消するため、着信側音声端末が応答処理を行う前であっても、発信側音声端末からの音声データを着信側音声端末で出力できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の音声通信システムは、通話路設定前であっても、音声データを発信し、また、受信した音声データを出力する機能を、音声端末に持たせたものである。
【0008】
すなわち、ネットワークを介して接続される他の音声端末と確立した呼を用いて音声データのやりとりを行う音声端末であって、前記呼を確立する手順を実行中に音声の入力を受け付けるプレ音声入力受付手段と、前記プレ音声入力受付手段において受け付けた音声を、前記手順を実行中に、前記他の音声端末に送出するプレ音声送出手段とを備えることを特徴とする音声端末を提供するものである。
【0009】
また、ネットワークを介して接続される他の音声端末と確立した呼を用いて音声データのやりとりを行う音声端末であって、前記呼を確立する手順を実行中に、前記他の音声端末から送出された音声を受信するプレ音声受信手段と、前記プレ音声受信手段において受信した音声を出力するプレ音声出力手段とを備えることを特徴とする音声端末を提供するものである。
【0010】
なお、以下、呼を確立する前に送信する音声を、呼が確立後に通話路を用いてやりとりする通常の音声と区別するため、プレ音声と呼ぶ。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態が適用された音声通信システムの概略構成図である。
【0013】
本図に示すように、本実施形態の音声通信システムは、ネットワーク100に接続された複数の音声端末101〜106を備えて構成される。
【0014】
この場合のネットワーク100は、有線、無線双方を含む公衆回線網や企業内網、インターネットを始めとするIP網等、特に限定されない。
【0015】
また、この場合の音声端末は、公衆回線網や企業内網で使用される固定電話端末、IP網で使用されるIP電話端末、無線網で使用される無線電話端末など、ネットワーク100に応じて定まるものである。
【0016】
以下においては、ネットワーク100がIP網、音声端末101〜106がIP電話機であるIP電話システムを例にとって説明する。
【0017】
従って、本実施形態においては、IP電話システムが通常備える、各IP電話機のIPアドレスと電話番号との対応関係を管理する、ゲートキーパ120がさらにネットワーク100に接続されている。なお、このゲートキーパ120と同等の機能を、各IP電話機が自身に備える構成であってもよい。
【0018】
図2は、図1に示す音声端末101〜106の機能構成を示す図である。音声端末101〜106は同じ構成を持つため、ここでは、音声端末101を取り上げて説明する。
【0019】
本図に示すように、音声端末101は、通話路設定後の音声を出力する音声出力部302と、音声の入力を受け付ける音声入力部303と、電話番号の入力、オンフック、オフフックなど呼制御に必要な各種の入力指示を受け付ける指示受付部307と、通話路設定前の呼び出し音などを出力するプレ音声出力部301とを備える。
【0020】
また、音声復号化処理部311と、音声符号化処理部312と、呼制御情報処理部315と、ネットーク100と接続するためのネットワークインタフェース部317とを備える。
【0021】
音声復号化処理部311は、RTP(Real-time Transport Protocol)に従い、ネットワークインタフェース部317より受け取ったRTPパケット(音声用IPパケット)から音声信号を取り出し、これを音声出力部302へ受け渡す。
【0022】
音声符号化処理部312は、音声入力部303を介して受け取った音声信号をRTPに従ってパケット化する。そして、この音声用IPパケットを、ネットワークインタフェース部317へ受け渡す。
【0023】
呼制御処理部315は、ITU-TのH.323やSIPなどのプロトコルに従い、呼制御手順を行う。具体的には、指示受付部307を介して入力された信号をITU-TのH.323やSIPに従ってパケット化する。そして、このパケット(呼制御用IPパケット)を、ネットワークインタフェース部317へ受け渡す。また、ITU-TのH.323やSIPに従い、ネットワークインタフェース部317より受け取った呼制御用IPパケットから信号を生成し、発信側音声端末と着信側音声端末との間の呼を確立する。
【0024】
なお、着信側音声端末が特定され、そのIPアドレスをゲートキーパ120から取得すると、ネットワークインタフェース部317は、その着信側音声端末を宛先として、IPパケットをネットワーク100に送出する。また、その着信側音声端末より送られてきた自身宛のIPパケットを受信する。
【0025】
これらの機能は、従来より用いられている一般的な、IP電話機と基本的に同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0026】
これらの機能に加え、本実施形態の音声端末101は、放送開始指示受付部304と、放送終了指示受付部305と、特定/決定指示受付部306と、放送開始信号受信処理部309と、放送終了信号受信処理部310と、放送開始信号送信処理部313と、放送終了信号送信処理部314と、状態管理部316とを備える。
【0027】
このうち、放送開始信号受信処理部309と、放送終了信号受信処理部310とは、呼を確立する前に、発信側音声端末から送信されたプレ音声データを出力するためのものである。
【0028】
また、放送開始指示受付部304と、放送終了指示受付部305と、特定/決定指示受付部306と、放送開始信号送信処理部313と、放送終了信号送信処理部314とは、呼を確立する前に、音声入力部303で受け付けた音声を、プレ音声データとして着信側音声端末へ送信するためのものである。
【0029】
そして、状態管理部316は、音声端末101の各処理部の状態を管理するものである。
【0030】
放送開始指示受付部304は、着信側音声端末に対して送信する、放送開始を示す信号の入力を受け付けるものである。この放送開始指示受付部304において受け付けた入力信号は、放送開始信号送信処理部313において、放送開始信号としてパケット化され、ネットワークインタフェース部317から送出される。
【0031】
放送終了指示受付部305は、着信側音声端末に対して送信する、放送終了を示す信号の入力を受け付けるものである。この放送終了指示受付部305において受け付けた入力信号は、放送終了信号送信処理部314において、放送終了信号としてパケット化され、ネットワークインタフェース部317から送出される。
【0032】
放送開始信号受信処理部309および放送終了信号受信処理部310は、それぞれ、ネットワーク100からネットワークインタフェース部317において受信した放送開始信号および放送終了信号を受け取るものである。後述する状態管理部316の制御により、放送開始信号を受信した後、放送終了信号を受信する、または、指示受付部307により応答する意志を受け付けるまでの間、音声復元化処理部311は、ネットワークインタフェース部317において受信したIPパケットを、プレ音声が格納されているIPパケットとして受け取り、プレ音声として、プレ音声出力部301から出力する。
【0033】
また、着信側音声端末では、発信側音声端末から呼制御手順に従って呼出信号を受け取ったとき、例えば、内蔵の音源などを利用して、着信音を鳴動させる。放送開始信号を受け取ると、放送開始信号受信処理部309は、プレ音声が出力できるように、この着信音の鳴動を止める。このとき、プレ音声データが出力されることを通知するために、例えば、「放送を開始します。」などの音声をプレ音声出力部301から出力するように設定してもよい。
【0034】
放送終了信号受信処理部310は、放送終了信号を受け取ると、着信音の鳴動を再開させる。着信音の鳴動の前に、「放送を終了します。」などの音声をプレ音声出力部301から出力するように設定してもよい。
特定/決定指示受付部306は、指示受付部307において受け付けた、着信側音声端末を特定する情報(以下、電話番号と呼ぶ)を決定するものである。これは、着信側音声端末が複数の場合、指示受付部307で、複数の電話番号を連続して受け付けることになる。このような場合、それぞれの電話番号の区切りを示す情報の入力を受け付けるものである。
【0035】
この特定/決定指示受付部306を用いて、複数の着信側音声端末の電話番号を入力する具体的な手順は以下1)〜4)の通りである。
【0036】
1)特定/決定指示受付部306において、入力を受け付ける。
【0037】
2)指示受付部307において、プレ音声データを送信する着信側音声端末の電話番号の入力を受け付ける。
【0038】
3)特定/決定指示受付部306において、入力を受け付ける。
【0039】
4)以下、2)および3)を、プレ音声データを送信する音声端末の数だけ繰り返す。
【0040】
このようにして受け付けられた複数の着信側音声端末の電話番号を基に、呼制御処理部315は、ネットワークインタフェース部317を介してゲートキーパ120に問合せ、各々のIPアドレスを入手する。
【0041】
もちろん、着信側音声端末が単数の場合であっても、電話番号の入力の前または後に、この特定/決定指示受付部306において指示の入力を受け付けるようにしてもよい。本実施の形態においては、着信側音声端末を単数指定する場合、特定/決定ボタンの押下は不要な構成を例として説明する。
【0042】
放送開始信号受信処理部309と、放送終了信号受信処理部310と、音声復元化処理部311と、音声符号化処理部312と、放送開始信号送信処理部313と、放送終了信号送信処理部314と、呼制御情報処理部315とは、いずれも状態管理部316との間で情報を交換しており、状態管理部316がこれらの処理部を制御することにより、音声端末101の状態管理は行われる。なお、状態管理については図4および図5を用い、別途説明する。
【0043】
これらの機能を実現するハードウエアの一例として、図3に音声端末101の概観を示す。
【0044】
例えば、音声出力部302および音声入力部303は、スピーカ203とマイクロホン202とを備えた受話器204によって、指示受付部307は、ダイヤルボタン201とフック205とによって、プレ音声出力部301は、拡声スピーカ206によって、放送開始指示受付部304は、放送開始ボタン207によって、放送終了指示受付部305は、放送終了ボタン208によって、そして、特定/決定指示受付部306は、特定/決定ボタン209によって実現できる。
【0045】
次に、状態管理部316によって制御される、音声端末の内部状態の遷移について、発信側と着信側に分けて説明する。
【0046】
まず、発信側音声端末101と着信側音声端末102との間で、呼を確立するための呼制御手順を行っている最中にプレ音声データの通信を行う場合の、発信側音声端末101の内部状態の遷移を図4を用いて説明する。
【0047】
フック205が受話器204などによって押し下げられた状態、すなわち、指示受付部307が呼制御手順を開始する指示を受け付けていない状態(以後、空きと呼ぶ)801において、呼制御処理部315が呼制御手順を開始する指示を受け付けると、状態管理部316は、発信側音声端末101の状態を呼出中802とする。
【0048】
ここで、呼制御手順を開始する指示は、受話器204が取り上げられ、フック205の押下状態が解除されることによって受け付けられる。この後、発信側音声端末101は、ダイヤル201の押下による着信側音声端末102の電話番号の指定を受け付け、着信側音声端末102が特定され、着信側音声端末102に向けて呼制御手順に従って呼出信号を送出する。
【0049】
発信側音声端末101が呼出中802の状態で、呼制御処理部315が、着信側音声端末102から、発信側音声端末101からの呼制御情報に応答する信号(以後、受信応答信号と呼ぶ)を受信すると、状態管理部316は、発信側音声端末101の状態を通話中803に遷移させる。
【0050】
次に、発信側音声端末101が、通話中803の状態、または、呼出中802の状態で、呼制御情報処理部315が、フック205を押し下げることで指示受付部において受け付けられた回線切断の指示を受け取ると、状態管理部316は、発信側音声端末101の状態を、空き801に遷移させる。
【0051】
呼出中802の状態で、呼制御手順を中断すると、状態管理部316は、発信側音声端末を空き801の状態にする。
【0052】
また、呼出中802の状態で、マイクロホン202を介して音声入力部303が音声信号の入力を受け付けると、状態管理部316は、音声符号化処理部312に、プレ音声としてパケット化させ、ネットワークインタフェース部317からネットワーク100へ送出させる。
【0053】
なお、通話中803の状態の間は、マイクロホン202を介して音声入力部303が音声信号の入力を受け付けると、状態管理部316は、音声符号化処理部312に、音声としてパケット化させ、ネットワークインタフェース部317からネットワーク100へ送出させる。そして、ネットワーク100からネットワークインタフェース部317がIPパケット化された音声データを受け付けると、状態管理部316は、音声復元化処理部311に音声データに復元させ、音声出力部302から音声データを出力させる。
【0054】
次に、発信側音声端末101と着信側音声端末102との間で呼制御手順を行っている最中に、プレ音声データの通信を行う場合の、着信側音声端末102の内部状態の遷移を図5を用いて説明する。
【0055】
空き901状態で、呼制御処理部315が、ネットワークインタフェース部317を介して発信側音声端末101から送出された呼出信号を受け取ると、状態管理部316は、着信側音声端末102を呼出中902の状態に遷移させる。
【0056】
呼出中902の状態で、指示受付部307が受信に応答する意志を受け付け、呼制御処理部315がネットワークインタフェース部317からネットワーク100へ受信応答信号を送出すると、状態管理部316は、着信側音声端末102を、通話中903の状態に遷移させる。
【0057】
ここで、受信に応答する意志は、受話器204を取り外すことでフック205が持ち上げられたことにより受け付ける。
【0058】
通話中903の状態で、呼制御情報処理部315が、フック205を押し下げることで指示受付部307において受け付けられた回線切断の指示を受け取ると、状態管理部316は、着信側音声端末102の状態を、空き901に遷移させる。
【0059】
呼出中902の状態で、発信側音声端末101が呼制御手順を中断すると、状態管理部316は、着信側音声端末102の状態を、空き901に遷移させる。
【0060】
また、呼出中902の状態で、プレ音声データが格納されているIPパケットをネットワークインタフェース部317で受け取ると、状態管理部316は、音声復元化処理部311に、プレ音声出力部301からプレ音声として出力させる。
【0061】
なお、通話中903の状態の間は、マイクロホン202を介して音声入力部303が音声信号の入力を受け付けると、状態管理部316は、音声符号化処理部312に、音声としてパケット化させ、ネットワークインタフェース部317からネットワーク100へ送出させる。そして、ネットワーク100からネットワークインタフェース部317がIPパケット化された音声データを受け付けると、状態管理部316は、音声復元化処理部311に音声データに復元させ、音声出力部302から音声データを出力させる。
【0062】
次に、発信側音声端末を101と着信側音声端末を102との間で呼制御手順を行っている最中に、プレ音声データの通信を行う手順を、図6を用いて説明する。
【0063】
まず、発信側音声端末101の呼制御処理部315は、呼制御手順を開始する意志と着信側音声端末102を特定する電話番号との入力を指示受付部307において受け付ける(ステップ411)と、呼制御手順の中の呼出手順を行う(ステップ401)。
【0064】
ここで行われる呼出手順は、指示受付部307において受け付けた電話番号をネットワークインタフェース部317とを介してネットワーク100に接続されているゲートキーパ120に送出し、着信側音声端末102のIPアドレスを取得し、そのIPアドレス宛てに呼出信号を送出するものである。
【0065】
その呼出信号を受け付けた着信側音声端末102は、着信音を鳴動させる(ステップ421)。
【0066】
次に、発信側音声端末101は、放送開始指示受付部304において、指示を受け付け(ステップ412)、ステップ401で取得したIPアドレスに向けて、受け付けた指示をIPパケット化して送出する(ステップ402)。
【0067】
ステップ402で送出された放送開始を示す信号をネットワークインタフェース部317において受け付けた着信側音声端末102では、放送開始信号受信処理部309においてその信号を処理し、着信音の鳴動を止め、プレ音声出力部301を出力可能な状態とする(ステップ422)。本実施形態においては、ここで、着信側音声端末のプレ音声出力部301から、「放送を開始します」などの放送開始を示す音声を出力する。
【0068】
発信側音声端末101の音声入力部303は、音声の入力を受け付け、音声符号化処理部311において符号化し、ネットワークインタフェース部317においてIPパケット化して、プレ音声データとして着信側音声端末102宛てに送出する(ステップ403)。
【0069】
ステップ403で送出されたプレ音声データを受け取った着信側音声端末102は、ネットワークインタフェース部317においてIPパケットを分解し、音声復号化処理部311において音声に復号し、プレ音声出力部301から出力する。
【0070】
ステップ403の処理は、着信側音声端末102から、受信応答信号が送出される(ステップ423)まで続けられる。
【0071】
受信応答信号が送出された後、その後の呼制御手順が遂行され(ステップ404)、確立された呼を使って、RTPに従い、音声データのやりとりが行われる(ステップ405)。
【0072】
なお、ステップ403の後、着信側音声端末102が受信応答信号を送出する前に、プレ音声データの送出を終了することもできる。この場合の手順を図7に示す。
【0073】
ステップ403の後、発信側音声端末101において、放送終了ボタン208が押されたことを、放送終了指示受付部305で受け付けると、発信側音声端末101の放送終了信号送信処理部314においてその信号を処理し、ネットワークインタフェース部317からネットワーク100を介して着信側音声端末102に送信する(ステップ406)。それを、ネットワークインタフェース部317で受けた着信側音声端末102は、放送終了信号受信処理部310で処理をし、プレ音声出力部301から「放送を終了します」などの放送終了を示す所定の音声を出力させ、再度、着信音を鳴動させる(ステップ424)。
【0074】
その他の処理手順は図6と基本的に同様である。
【0075】
また、本実施形態に用いられている音声端末は、音声データをIPパケット化してIPネットワークを介してやりとりを行うIP電話機である。このため、IPマルチキャストにより、一度に複数の音声端末を指定して、音声用IPパケットを送信することができる。
【0076】
このような場合の、処理手順を図8を参照し、以下に説明する。なお、ここでは、2つの着信側音声端末102および103を指定する場合を例に説明する。もちろん、指定する着信側音声端末の数は2つに限られない。
【0077】
まず、呼制御処理部315は、呼制御手順を開始する意志を、フック205の押下状態を解除したことを指示受付部307で受け付け、着信側音声端末102および103を特定する電話番号の入力を、特定/決定ボタン209およびダイヤル201を介して、特定/決定指示受付部306と指示受付部307とにおいて受け付ける(ステップ711)。複数の音声端末を特定する電話番号の入力は、前述のとおりである。
【0078】
次に、呼制御処理部315は、呼出手順を行う(ステップ701)。この場合の呼制御処理部315による呼出手順は、ネットワークインタフェース部317を介して、ゲートキーパ120に問い合わせることで各々の電話番号に対応するIPアドレスを取得し、取得したIPアドレスに向けて、呼確立のための呼出信号を送出するものである。なお、ネットワークインタフェース部317は、受け取った2つのIPアドレスを送信先アドレス格納部に格納したIPパケットに組み立て、ネットワーク100に送信する。
【0079】
制御信号を受け付けた着信側音声端末102および103は、着信音を鳴動させる(ステップ721)。
【0080】
次に、発信側音声端末101は、放送開始指示受付部304において、指示を受け付け(ステップ712)、ステップ701で取得した2つのIPアドレスに向けて、受け付けた指示をIPパケット化して送出する(ステップ702)。
【0081】
ステップ702で送出された放送開始を示す信号をネットワークインタフェース部317において受け付けた着信側音声端末102および103では、放送開始信号受信処理部309においてその信号を処理し、各々の着信音の鳴動を止め、プレ音声出力部301を出力可能な状態とする(ステップ722)。本実施形態においては、ここで、着信側音声端末のプレ音声出力部301から、「放送を開始します」などの放送開始を示す音声を出力する。
【0082】
発信側音声端末101の音声入力部303は、音声の入力を受け付け、音声符号化処理部311において符号化し、ネットワークインタフェース部317においてIPパケット化して、プレ音声データとして着信側音声端末102および103宛てに送出する(ステップ703)。
【0083】
ステップ703で送出されたプレ音声データを受け取った着信側音声端末102および103は、ネットワークインタフェース部317においてIPパケットを分解し、音声復号化処理部311において音声に復号し、現在出力可能な状態であるプレ音声出力部301から出力する。
【0084】
ここで、発信側音声端末101から放送終了信号が送出される(ステップ706)と、着信側音声端末102および103は、プレ音声出力部301から放送終了を示す音声を出力させ、着信音を再度鳴動させる(ステップ724)。
【0085】
その後、着信側音声端末102または103のいずれか一方の着信側音声端末から、受信応答の指示が送出される(ステップ723)と、発信側音声端末101はその指示を受付、その受信応答の指示を送出した着信側音声端末と、その後の呼制御手順を遂行し(ステップ704)、確立された呼を使って、RTPに従い、音声データのやりとりが行われる。(ステップ705)。
【0086】
なお、本手順においても、図6を用いて説明したように、着信側音声端末の一方が受信応答の指示を送出した時点で、プレ音声データの送出を終了し、呼制御手順を再開することもできる。送出先を全着信側音声端末にする以外の点は、図6を用いて説明した手順と基本的に同様である。
【0087】
本実施形態では、上述したように、放送開始信号を送信する機能を持たせ、その信号が送信されると、呼制御手順の途中であっても、音声データをIPパケットとして送出できる構成となっている。すなわち、発信側音声端末から着信側音声端末に、呼を確立する前に、音声データを送信できる。このため、呼を確立する前に、着信側音声端末のユーザは、音声によって発信側音声端末のユーザからの情報を得ることができる。
【0088】
例えば、発信側音声端末のユーザが誰宛の電話であるかを、呼を確立する前に音声で伝えることができ、複数の人で電話を共同使用している場合など、有効である。
【0089】
また、本実施形態のようなIP電話システムの場合、呼制御手順を行っている最中は、1対1に通話路が確定していないため、ある1つの音声端末から複数の音声端末に対して音声を送信することができる。例えば、本実施形態の音声端末を備える既存の内線電話システムを、ある1つの発信側音声端末がマイクロホンとなり、複数の着信側音声端末がスピーカとなるような放送設備として機能させることができる。この場合、マイクロホンとなる音声端末を1つの端末に限定する必要がなく、ネットワークに接続された全ての音声端末がマイクロホンとなる音声端末になることができるため、使い勝手もよい。
【0090】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0091】
例えば、発信側音声端末の機能だけを備えた音声端末、着信側音声端末の機能だけを備えた音声端末であってもよい。
【0092】
また、上記の実施形態においては、ネットワークをIP網、接続されている電話機をIP電話機に限定して説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0093】
例えば、IP網に、ゲートウエイを介し、従来の電話機を接続する構成であってもよい。また、ネットワークはISDNなどの通常の回線交換網であってもよい。この場合、音声データは、ユーザ・ユーザ情報要素に格納し、送受すればよい。
【0094】
【発明の効果】
着信側音声端末が呼制御の応答処理を行う前に、発信側音声端末から送信された音声データを着信側音声端末で出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明が適用された音声通信システムの概略構成図である。
【図2】図2は、本実施形態における音声端末の機能ブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態における音声端末の概観図である。
【図4】図4は、本実施形態における発信側音声端末の内部状態の遷移図である。
【図5】図5は、本実施形態における着信側音声端末の内部状態の遷移図である。
【図6】図6は、本実施形態におけるプレ音声データの送信を行う手順を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施形態におけるプレ音声データの送信を行う手順を説明するための図である。
【図8】図8は、本実施形態において、複数の着信側音声端末に向けてプレ音声データの送信を行う手順を説明するための図である。
【符号の説明】
100:ネットワーク、101、102、103、104、105、106:音声端末、201、308:ダイヤルボタン、202:マイクロホン、203、:受話スピーカ、204:受話器、205:フックボタン、206:拡声スピーカ、207:放送開始ボタン、208:放送終了ボタン、209:特定/決定ボタン、301:プレ音声出力部、302:音声出力部、303:放送開始指示受付部、304:放送終了指示受付部、305:放送終了指示受付部、306:特定/決定指示受付部、307:指示受付部、309:放送開始信号受信処理部、310:放送終了信号受信処理部、311:音声復元化処理部、312:音声符号化処理部、313:放送開始信号送信処理部、314:放送終了信号送信処理部、315:呼制御処理部、316:状態管理部、317:ネットワークインタフェース部、

Claims (5)

  1. IP網で通信を行うための呼制御手段と、
    音声情報を受け付ける音声入力手段と、
    前記呼制御手段が所定の通信プロトコルにて通信相手先のアドレスを取得し、当該通信相手先を呼び出す呼制御処理中に指示受付手段が音声情報送信開始指示を受け付けた場合、音声情報送信開始信号送信手段が音声情報送信開始信号を前記取得した通信相手先のアドレスを宛先として送信した後、前記音声入力手段により受け付けた前記音声情報をパケット化する符号化手段と、
    前記符号化手段がパケット化したパケット音声データを、前記取得した通信相手先のアドレスを宛先として前記IP網へ送出するパケットデータ送出手段と、
    を備えることを特徴とする音声端末。
  2. IP網で通信を行うための呼制御手段と、
    前記IP網からの着信があった場合に着信音を鳴動させる着信音鳴動手段での着信音鳴動中に前記IP網から音声情報送信開始信号受信手段が音声情報送信開始信号を受信した後、着信音鳴動停止手段が前記着信音の鳴動を停止させ、当該着信音の鳴動停止後に前記IP網からのパケット音声データを受信するパケットデータ受信手段と、
    前記パケットデータ受信手段が受信したパケット音声データを音声データに復元する復元化手段と、
    前記復元化手段が復元した音声データを出力する音声出力手段と、
    を備えることを特徴とする音声端末。
  3. IP網で通信を行うための呼制御手段と、
    音声情報を受け付ける音声入力手段と、
    前記呼制御手段が所定の通信プロトコルにて通信相手先のアドレスを取得し、当該通信相手先を呼び出す呼制御処理中に指示受付手段が音声情報送信開始指示を受け付けた場合、音声情報送信開始信号送信手段が音声情報送信開始信号を前記取得した通信相手先のアドレスを宛先として送信した後、前記音声入力手段により受け付けた前記音声情報をパケット化する符号化手段と、
    前記符号化手段がパケット化したパケット音声データを、前記取得した通信相手先のアドレスを宛先として前記IP網へ送出するパケットデータ送出手段と、
    前記IP網からの着信があった場合に着信音を鳴動させる着信音鳴動手段での着信音鳴動中に前記IP網から音声情報送信開始信号受信手段が前記音声情報送信開始信号を受信した後、着信音鳴動停止手段が前記着信音の鳴動を停止させた後、前記IP網からの受信したパケット音声データを受信するパケットデータ受信手段と、
    前記パケットデータ受信手段が受信したパケット音声データを音声データに復元する復元化手段と、
    前記復元化手段が復元した音声データを出力する音声出力手段と、
    を備えることを特徴とする音声端末。
  4. IP網で通信を行うための呼制御手段と、
    前記呼制御手段が所定の通信プロトコルにて複数の通信相手先のアドレスを取得し、当該通信相手先を呼び出す呼制御処理中に音声情報を受け付ける音声入力手段と、
    指示受付手段が、前記呼出の呼制御処理中に音声情報送信開始指示を受け付けた場合、音声情報送信開始信号送信手段が音声情報送信開始信号を前記取得した複数の通信相手先のアドレスを宛先として送信した後、受け付けた前記音声情報をパケット化する符号化手段と、
    前記符号化手段がパケット化したパケット音声データを、取得した前記複数の通信相手先を宛先として前記IP網へ送出するパケットデータ送出手段と、
    を備えることを特徴とする音声端末。
  5. 通信相手先を呼び出し中に、IP網を介して接続される音声端末間で音声データのやりとりを行う音声通信方法であって、
    前記音声端末の中の発信側の音声端末において、
    所定の通信プロトコルにて通信相手先のアドレスを取得し着信側の音声端末を特定するとともに、前記呼を確立する手順を開始する指示を受け付け、前記着信側の音声端末に送信するステップと、
    前記着信側の音声端末が前記指示を受け付けて呼び出され、応答する前に、
    音声情報送信開始指示を受け付けた場合、音声情報送信開始信号を前記取得した通信相手先のアドレスを宛先として送信した後、音声の入力を受け付けるステップと、
    前記受け付けた音声をパケットデータ化して、前記取得したアドレス宛に送出するステップと、を有し、
    前記着信側の音声端末において、
    当該着信側の音声端末に前記IP網からの着信があった場合に着信音を鳴動させ、
    着信音鳴動中に、前記IP網から音声情報送信開始信号を受信した後、前記着信音の鳴動を停止させ前記発信側の音声端末から受信したパケットデータを受け付けるステップと、
    前記受け付けたパケットデータを音声に復元して出力するステップと
    を有することを特徴とする音声通信方法。
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