以下、この発明の実施形態に係る製造物管理製造システム、製造物管理製造方法及び製造管理装置について説明する。本実施形態では、製造物として車両におけるワイヤーハーネスを製造する形態について説明する。
<ワイヤーハーネスの製造工程>
まず、ワイヤーハーネスの製造工程について説明する。図1はワイヤーハーネスの製造工程を示す図である。
ワイヤーハーネスを製造するにあたっては、まず、部品組立工程において、ワイヤーハーネスの構成部品を製造する。本実施形態では、説明の便宜上、ワイヤーハーネスの構成部品が、仮結部品A,仮結部品B、トルク締部品Cである例について説明する。勿論、ワイヤーハーネスの形態に応じて、構成部品として、その他の種々の部品を含むこともあり得る。
図2(a)は仮結部品Aの一例を示す図であり、図2(b)は仮結部品Bの一例を示す図である。これらの図に示すように、仮結部品A,Bは、後述するワイヤーハーネス20の部分を構成する部品である。より具体的には、仮結部品A,Bは、適宜長さに切断された電線10を複数準備し、各電線10の端部にコネクタ端子12を圧着し、各コネクタ端子12をコネクタ14のキャビティ(端子収容固定用の孔部)内に挿入して取付けた構成とされている。なお、一部のコネクタ端子12は、コネクタ14に取付けられずに、露出した状態のままとなっており、後述する集合組立工程において、他の仮結部品A,B等のコネクタ14に取付けられる。
図3はトルク締部品Cの一例を示す図である。トルク締部品Cも、ワイヤーハーネス20の部分を構成する部品である。より具体的には、トルク締部品Cは、適宜長さに切断された電線16の端部にネジ締端子17を取付け、このネジ締端子17とネジ取付部品18とをネジ19によってネジ締め固定した構成とされている。ネジ取付部品18は、電線16に対して比較的大きい接触面積でかつ大きな強度で接続する必要がある部品であり、例えば、リレーボックス部品等である。
図4はワイヤーハーネスの組立形態を示す図である。すなわち、次の集合組立工程では、構成部品である各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cが集められる。そして、所定のハーネス組立作業台15上で、上記各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cが適宜配線形態に束ねられてテープ等の結束部材で結束されると共に、車体への取付用のクランプ等を含むハーネス外装部材が取付けられる。
次の止水工程では、ワイヤーハーネス20に対して止水剤の塗布や止水用のゴム栓(グロメットともいう)の取付等がなされる。
そして、最後の全体検査工程では、ワイヤーハーネス20に対して導通検査、外観検査等がなされる。
<タグの発行及びその流れ>
本製造管理システムでは、各構成部品や製造物に対して発行されたタグ30により製造履歴の管理を行う。
すなわち、後述するタグ発行装置40より、各構成部品である各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品C(必要に応じてその他の部品)、それらの集合製造物であるワイヤーハーネス20に対して、それぞれタグ30(カンバンともいう)が発行される(図1参照)。
そして、部品組立工程では、各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品C等に対応づけて発行された各タグ30(部品用の製造履歴記憶装置)に対して、それぞれの製造履歴データが記録される。各タグ30は、対応づけられた各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cと共に次の製造ラインである集合組立製造ラインに搬送される。
集合組立工程では、各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cを受入れるにあたって、各タグ30の製造履歴データを読込んでそれらをチェックする。
また、各構成部品に対して発行されたタグ30に書込まれた製造履歴データ等が、ワイヤーハーネス20に対して発行されたタグ30(集合物製造履歴記憶装置)に書込まれて併合された後、各構成部品に対して発行されたタグ30が回収される。さらに、本集合組立工程における製造履歴データが、ワイヤーハーネス20に対して発行されたタグ30に追加して書込まれる。
そして、ワイヤーハーネス20に対して発行されたタグ30が、本ワイヤーハーネス20と共に次工程ラインに搬送される。
次の止水工程では、ワイヤーハーネス20を受入れるにあたって、タグ30が読取られて製造履歴データ等がチェックされる。そして、止水工程における製造履歴データがタグ30に追加書込みされる。
最後の全体検査工程では、ワイヤーハーネス20に対応づけられたタグ30に記憶された製造履歴データを読込んで、これを各ワイヤーハーネス20に固有の製造番号に対応づけて所定のデータベースに記憶保存する。以降は、ワイヤーハーネス20に固有の製造番号と製造履歴データ等とを対応づけて、上記データベース上で管理がなされる。この工程で、ワイヤーハーネス20に対して発行されたタグ30は回収される。
<タグ発行装置及び各製造ラインの説明>
以下、タグ発行装置及び上記各工程における各製造ラインについてより詳細に説明する。
<タグ発行装置>
図5はタグ発行装置及びタグを示すブロック図である。
タグ30は、いわゆる無線タグと呼ばれるもの等であり、電波信号がアンテナコイル31を介して受信されると、受信信号が送受信部32から復調回路33を介して制御部34に与えられる。制御部34は、メモリ35と接続されており、上記受信信号に応じて所定のデータをメモリ35に書込む。または、制御部34は、上記受信信号に応じてメモリ35内の所定のデータを読出して、変調回路36から送受信部32を介してアンテナコイル31に出力し、アンテナコイル31から前記所定のデータを含む電波信号を出力する。
タグ発行装置40は、品番を書込んだタグ30を発行する装置であり、品番受付部42と、タグ発行制御部44と、タグリーダライタ装置46とを備えている。ここで、品番は、製造ないし組立てるべき構成部品(仮結部品A、仮結部品B、トルク締部品C等)や製造物(ワイヤーハーネス20)等の種類を示す番号(製造品種識別符号)である。
なお、本実施形態では、タグ発行装置40にプリンタ装置が組込まれており、上記タグ30に対して品番を書込む際に、プリンタ装置によりタグ30の表面に上記品番等を印刷するようになっている。これにより、タグ30に対する品番等の情報の記録と、タグ30に対する表示情報の印刷とを同タイミングで行うことができ、両情報の不整合を防止することができる。この場合に、タグ30の表面にリライタブルシートを貼付けると共に、プリンタ装置としてリライタブルプリンタ装置を用い、タグ30表面の表示情報を繰返し印刷及び消去可能にするとよい。
品番受付部42は、キーボードやテンキー等の入力装置や他の端末装置等から発行すべき品番を受付けると、これをタグ発行制御部44に出力する。
タグリーダライタ装置46は、いわゆる無線タグ用のリーダライタ等であり、タグ30との間で無線通信を行って、タグ30に対して所定のデータを書込むべき指令を送信して該タグ30に所定のデータを書込み、或は、タグ30から所定のデータを受信してタグ30のデータを読込む。
そして、タグ発行制御部44は、上記品番受付部42を通じて発行すべき品番が指示されると、タグリーダライタ装置46を通じて指示された品番をタグ30に書込む。これにより、指定された品番が書込まれたタグ30が発行される。
本タグ発行装置40では、構成部品である仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cのそれぞれに対応づけてタグ30が発行される。各タグ30には、仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cに対応する品番(例えば、”×××−001”、”×××−002”、”×××−003”等)が書込まれる。
また、タグ発行装置40では、集合製造物であるワイヤーハーネス20に対応づけてタグ30が発行される。このタグ30には、該ワイヤーハーネス20に対応する品番(例えば、”△△△−001”等)が書込まれる。
これらのタグ30は、各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品C、ワイヤーハーネス20に対して物理的にも対応づけられて管理され、それらとともに搬送可能とされる。各タグ30と仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品C、ワイヤーハーネス20とを物理的に対応づける構成としては、例えば、各タグ30を仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品C、ワイヤーハーネス20に紐等で結び付ける構成や、仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品C、ワイヤーハーネス20を収容したケースに対応するタグ30を取付ける構成等が挙げられる。
<仮結部品A製造ライン>
図6は仮結部品A製造ラインに設けられた導通検査装置及び仮結部品A製造管理装置を示すブロック図であり、図7は仮結部品A製造管理装置を示す概略斜視図である。
この仮結部品A製造ラインは、仮結部品Aを製造するための製造ラインであり、導通検査装置50と仮結部品A製造管理装置60とを備えている。
導通検査装置50は、コネクタ14に接続可能な複数のコネクタ接続部52と、導通検査部54とを備えている。コネクタ接続部52は、仮結部品Aのコネクタ14に接続可能に構成されており、その内部に該コネクタ14のコネクタ端子12に接触可能な検査ピンが組込まれている。そして、本コネクタ接続部52がコネクタ14に接続されることで、各コネクタ端子12と検査ピンとの間で導通が得られるようになっている。
各コネクタ接続部52は、各検査ピン毎に対応づけられた複数の配線(図6では1本のみ図示)を通じて導通検査部54に接続されている。導通検査部54には、各コネクタ14間において、各コネクタ端子12同士の導通、非導通の状態(導通パターン)が設定されている。なお、この導通パターンは、仮結部品の配線態様等、即ち、品番に応じて設定される。
そして、上記各コネクタ接続部52を対応する各コネクタ14に接続した状態で、各コネクタ端子12間の導通、非導通状態を検査して、仮結部品Aの導通検査を行っている。これにより、コネクタ端子12が誤った位置に取付けられている場合や途中で断線している場合等に、導通不良が検出されるようになっている。
そして、導通検査が終了すると、導通状態の良否、導通不良である場合における不良位置を特定する情報を、仮結部品A製造管理装置60に与える。
仮結部品A製造管理装置60は、本製造ラインにおける製造履歴データをタグ30に書込むための装置であり、管理制御部62と、記憶部63と、入力部64と、表示部65と、リーダライタ装置66とを備えている。
管理制御部62は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、その演算動作はすべて予め格納されたソフトウェアプログラムによって実行される。そして、上記導通検査結果や入力部64を通じた所定の指示、データが本管理制御部62に入力されると共に、本管理制御部62によって、記憶部63に対する書込み、読出し、リーダライタ装置66を通じたタグ30の書込み、読出し、導通検査装置50への品番指示、表示部65に対する表示制御等がなされる。本管理制御部62による具体的な動作については後に詳述する。
入力部64は、入力スイッチ等を含む入力手段であり、この入力部64を通じて、所定の動作指示、作業者名や、不良がある旨、不良内容、不良があった場合に手直しをして確認した者(以下、単に確認者という)等が入力される。なお、これらの入力内容(特に、作業者名や確認者等)は、後述するリーダライタ装置66を通じて入力される構成であってもよい。
表示部65は、発光部又は液晶表示装置等を含む要素であり、この表示部65により、上記入力内容の確認や、所定のエラー表示、その他、必要に応じて作業内容(例えば、導通検査の結果等)が表示される。
リーダライタ装置66は、上記タグリーダライタ装置46と同様、タグ30との間で無線通信を行って、タグ30に対して所定のデータを書込み、或は、タグ30から所定のデータを読込む装置である。
本リーダライタ装置66は、上方が開口したケース体66a(セット部)の本体部内に、無線通信用のアンテナ部及び送受信回路等を含むリーダライタ本体部66b(書込部、履歴読込部)が取付けられた構成とされている。そして、上記タグ30をケース体66a内に収容するようにセットすることで、該タグ30との間で無線通信が行われ、タグ30に対するデータの書込み、読込みがなされるようになっている。
本仮結部品A製造ラインでは、導通検査装置50及び入力部64は、第1の製造ライン装置として機能するものであり、特に、導通検査装置50は、本製造ラインで検査を施す検査装置として機能し、入力部64は不良内容や確認者等の入力を受付ける入力装置として機能するものである。
図8は本仮結部品A製造管理装置の動作を説明するフローチャートであり、図9は本製造ラインにおいてタグに書込まれる製造履歴データの例を示す図である。
まず、ステップS1において、作業者の設定が有るか否かが判定される。作業者の設定が無い場合にはステップS1を繰返す。一方、入力部64を通じて作業者の設定がなされた場合には、次ステップS2に進む。
ステップS2では、タグ30がリーダライタ装置66にセットされたか否かが判定される。リーダライタ装置66を通じてタグ30との間で通信不成立である場合には、ステップS2を繰返す。一方、作業者がタグ30をリーダライタ装置66にセットした結果、タグ30との間で通信が成立した場合には、タグ30のセット有りと判断され、次ステップS3に進む。
ステップS3では、タグ30に登録された品番等の読出しを試みて、タグチェックの合格の有無を判定する。タグチェックとしては、ここでは、例えば、品番登録の有無や読出した品番が正しい品番かどうか(本製造ラインで製造対象となる品番かどうか等)のチェックを行う。ここで、不合格である場合、ステップS9に進んで、エラー表示を行って、ステップS2に戻り、以下の処理を繰返す。一方、品番登録が有り、読出した品番が正しいものであり、タグチェックが合格であると判定されると、ステップS4に進む。
ステップS4では、作業開始時間及び作業者をタグ30に書込んで、ステップS5に移行する。
ステップS5では、読込んだ品番を導通検査装置50に与える等する。これにより、導通検査装置50では、当該品番に応じた検査初期設定を行い、検査開始状態となる。
続くステップS6では、入力部64を通じて不良があった旨の入力操作があるか否かが判別される。ここで、例えば、作業者が目視等で不良箇所を発見して入力部64を通じて不良があった旨を入力した場合、不良入力操作があったと判断され、ステップS10に進む。一方、不良入力操作が無いと判断されると、ステップS7に進む。
ステップS7では、導通検査装置50からの検査結果信号に基づいて、検査合格か不合格かが判断される。即ち、作業者が各コネクタ14を対応するコネクタ接続部52に接続して、導通検査装置50による導通検査を行うと、その検査結果が仮結部品A製造管理装置60に入力される。ここで、検査不合格であると判断された場合、ステップS10に進む。
ステップS6及びステップS7において、不良入力操作有り又は検査不合格であると判断されると、ステップS10に進む。ステップS10では、不良内容入力又は不良内容の確認入力の有無が判別され、これらの入力が無い場合にはステップS10を繰返し、入力があった場合に次ステップS11に進む。例えば、不良入力操作有りと判別された場合(ステップS6参照)に、作業者が入力部64を通じて不良内容(例えば、導通状態の良否、導通不良位置等)を入力すると、次ステップS11に進む。また、例えば、導通検査装置50で検査不合格であると判断された後(ステップS7参照)に、該導通検査装置50からの検査結果信号に基づいて不良内容(例えば、不良箇所等)が特定及び表示され、作業者が該不良内容を確認して入力部64を通じて確認した旨入力すると、次ステップS11に進む。本ステップS10により、生じた不良内容が特定及び確認される。
ステップS11では、確認者の入力の有無が確認され、確認者の入力が無い場合にはステップS11を繰返し、確認者の入力有りと判断されると、次ステップS12に進む。例えば、作業者が上記特定及び確認された不良を修正し、不良を修正した確認者を入力すると、次ステップS12に進む。なお、ここでの確認者については、予め権限ある確認者が設定され、権限ある正規の確認者が入力されたときのみ、次ステップS12に進むようにしておくことが好ましい。
ステップS12では、上記不良内容及び確認者をタグ30に記録して、ステップS6に戻り、以下の処理を繰返す。
ステップS7において、検査合格であると判断されると、ステップS8に進む。ステップS8では、導通検査に合格した旨の製造履歴及び作業終了時間をタグ30に記録して、処理を終了する。
なお、入力部64が本工程の作業を中断する旨受付可能に構成されており、ステップS6,S7,S10〜S12において、作業を中断する旨受付けると、必要に応じて不良内容等をタグ30に記録した後、合格した旨の履歴等をタグ30に記録しないで、処理を終了するようにしてもよい。
上記の製造工程を経ると、この仮結部品Aに対応づけられたタグ30には、図9に示すように、少なくとも品番、作業者、開始時間、終了時間、該工程における検査合格判定を含む製造履歴データが記憶される。また、検査不合格が生じた場合には、製造履歴データには、不良内容、確認者等が付加される。
なお、仮結部品Bは、仮結部品A製造ラインと同様に構成された仮結部品B製造ラインにて製造される。
<トルク締部品C製造ライン>
図10はトルク締部品C製造ラインに設けられたトルク締装置及びトルク締部品C製造管理装置を示すブロック図である。
上記トルク締装置70は、ネジ19をネジ締めするための装置であり、ネジ締め部72と、該ネジ締め部72を回転させるためのサーボモータ等の回転駆動部74と、該回転駆動部74を駆動制御するためのネジ締め制御部76とを備えている。このトルク締装置70は、ネジ締め部72を回転駆動する際に、回転駆動部74による回転量及び必要トルク、ネジ締め部72の進退量等を監視している。そして、ネジ締め部72が本来のネジ締め開始位置に達してから回転しない場合や、回転量が比較的少ない段階や進退量が比較的少ない段階で必要トルクが過大になってネジ締めを終了した場合等に、ネジ締め不良を検出するようになっている。そして、ネジ締め良否、ネジ締めが良好であった場合にネジ締めに要したトルク等がトルク締部品C製造管理装置60Cに与えるようになっている。
このトルク締装置70は、本製造ラインで製造されるトルク締部品Cに対して製造加工を施す製造加工装置として機能すると共に、その製造加工中におけるネジ締めの良否を検査する検査装置としても機能する。
トルク締部品C製造管理装置60Cは、次に説明する点を除いて、上記仮結部品A製造管理装置60と同様構成とされている。すなわち、このトルク締部品C製造管理装置60Cには、導通検査装置50に換えてトルク締装置70が接続されている。そして、タグ30に書込まれる製造履歴データは、図11に示すように、品番、作業者、開始時間、終了時間、ネジ締めの良否(製造履歴)を含んでいる。そして、ネジ締め良好であった場合には、製造履歴データに必要トルクが付加され、ネジ締め不良であった場合には、製造履歴データには不良内容、確認者が付加される。
トルク締部品C製造管理装置に関するその他の構成及び動作は、仮結部品A製造管理装置60と同様なので、ここではその詳細な説明を省略する。
<集合組立製造ライン>
図12は集合組立製造ラインに設けられたクランプ取付検査装置及び集合組立製造管理装置を示すブロック図であり、図13は集合組立製造管理装置のリーダライタ装置を示す説明図である。
この集合組立製造ラインは、仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cを集めて所定のワイヤーハーネス20に組立てるための製造ラインであり、クランプ取付検査装置80と、集合組立製造管理装置60Dとを備えている。
クランプ取付検査装置80は、作業台88上に設置された少なくとも一つ(ここでは複数)クランプ保持治具82と、クランプ保持治具82に接続されたクランプ検査部84とを備えている。
作業台88上には、ワイヤーハーネス20の配線形態に応じた各位置にハーネス保持具(図示省略)が立設されている。この作業台88上で仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cが適宜結束等されてワイヤーハーネス20に組立てられる。
また、各クランプ保持治具82は、ワイヤーハーネス20の配線経路に応じた位置に設置されている。クランプ保持治具82は、クランプをセット可能に構成されると共に、リミットスイッチ等の検知手段によってそのクランプのセット状態を検知可能に構成されている。この各クランプ保持治具82からの検知信号はクランプ検査部84に与えられる。
クランプ検査部84は、各クランプ保持治具82からの検知信号に基づいて各クランプの取付状態を検査し、合否を判定する。例えば、必要なクランプ保持治具82の全てにクランプがセットされている場合に、取付状態が合格であると判定し、必要なクランプ保持治具82にクランプがセットされていないような場合に不合格であると判定する。そして、その合否判定結果を集合組立製造管理装置60Dに与える。
このクランプ取付検査装置80は、本製造ラインで製造されるワイヤーハーネス20に対して検査を施す検査装置として機能する。
集合組立製造管理装置60Dは、概略的に、上記仮結部品A製造管理装置60と同様構成とされており、ここでは、主な相違点を中心に説明する。
すなわち、本集合組立製造管理装置60Dには、上記導通検査装置50に換えてクランプ取付検査装置80が接続されている。
また、図13に示すように、リーダライタ装置66Dは、複数のタグ30を同時読取り及び書込み可能とされている。従って、リーダライタ装置66Dに、所定のタグ30がセットされ該タグ30を認識して読取り及び書込み可能な状態で、他のタグ30をリーダライタ装置66Dの前方にかざすと、該他のタグ30も認識されて読取り及び書込み可能とされる。
また、この集合組立製造管理装置60Dは、上記仮結部品A製造管理装置60と同様に、本製造ラインにおける製造履歴データをタグ30に記憶させる機能を有している。
また、この集合組立製造管理装置60Dの記憶部63には、図14に示すように、本ラインで所定の集合組立製造物を組立るにあたって必要となる品番のデータ(必要品番データ)が記憶されると共に、図15に示すように、部品に対して必要とされる製造履歴に関するデータ(必要製造履歴データ)データが記憶されている。例えば、図14では、所定品番(例えば、”△△△−001”)を有する集合組立製造物に対して必要な部品の品番(例えば、”×××−001”、”×××−002”、”×××−003”)がリンクされた形式で登録されている。また、例えば、図15では、各部品の品番(例えば、”×××−001”、”×××−002”、”×××−003”)に対して、必要履歴として”所定の工程(工程○○や工程△△、工程××等)での検査製造履歴(検査合格やネジ締め良好等)が必要である旨設定されている。
そして、本集合組立製造管理装置60Dは、各タグ30に記憶された品番を上記必要品番データと照合することで、必要な部品であるかどうかのチェックを実施する機能を有する。また、各タグ30に記憶された製造履歴データを必要製造履歴データと照合することで、前工程での検査合否を判定する機能をも有している。
さらに、本集合組立製造管理装置60Dは、各部品に対応づけられた各タグ30の製造履歴データを、一つのタグ30に併合する機能をも有している。
図16は、本集合組立製造管理装置60Dが上記各機能を実現する動作を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS21において、作業者の設定が有るか否かが判定される。作業者の設定が無い場合にはステップS21を繰返す。一方、入力部64を通じて作業者の設定がなされた場合には、次ステップS22に進む。
ステップS22では、タグ30がリーダライタ装置66にセットされたか否かが判定される。リーダライタ装置66を通じてタグ30との間で通信不成立である場合には、ステップS22を繰返す。一方、作業者が、ワイヤーハーネス20に対して発行されたタグ30をリーダライタ装置66Dにセットした結果、タグ30との間で通信が成立した場合には、タグ30のセット有りと判断され、次ステップS23に進む。
ステップS23では、タグ30に登録された品番及び製造履歴の読出しを試みて、タグチェックの合格の有無を判定する。タグチェックとしては、ここでは、例えば、品番登録の有無や読出した品番が正しい品番かどうか(本製造ラインで製造対象となる品番かどうか等)のチェック及び該品番に対応する製造履歴を満たしているか否か(前工程を経ているか、前工程で合格しているか否か)のチェックを行う。ここで、不合格である場合、ステップS34に進んでエラー表示を行って、ステップS22に戻り、ステップS22以下の処理を繰返す。一方、タグチェックに合格と判断された場合には、ステップS24に進む。
ステップS24では、作業開始時間及び作業者をタグ30に記録して、ステップS25に進む。
ステップS25では、図14及び図15に示すデータに基づいて、ワイヤーハーネス20を製造するのに必要な品番及び該品番に必要な製造履歴を決定し、次ステップS26に進む。
ステップS26では、他のタグ30との通信有無が確認される。他のタグ30との通信不成立である場合、ステップS26を繰返す。一方、作業者が、仮結部品Aや仮結部品B、トルク締部品C等に対応づけられたタグ30をリーダライタ装置66Dにかざすと、他のタグ30との間で通信が成立し、他のタグ30との通信有りと判断され、次ステップS27に進む。
ステップS27では、該他のタグ30に記憶された品番及び製造履歴データの読出しが試みられ、タグチェックの合否が判定される。タグチェックの合否判定では、例えば、品番登録の有無や、読出された品番が必要品番であるか否か、及び、読出された製造履歴データが必要製造履歴を満たしているか否かが判定される。判定結果が不合格である場合には、ステップS35に進み、エラー表示を行って、ステップS26に戻り、ステップS26以下の処理を繰返す。一方、判定結果が合格である場合には、ステップS28に進み、その読出した品番及び製造履歴データを、本集合製造物であるワイヤーハーネス20に対して発行されたタグ30に書込んで併合する。
次ステップS29では、他の必要品番の有無が判定される。ここで、図14に示すデータに基づいて他の部品が必要であると判断された場合には、ステップS26に戻って、ステップS26以下の処理を繰返し、他の部品を受入れる。一方、他の必要品番が無いと判断された場合には、ステップS30に進んで、ステップS23で読込んだワイヤーハーネス20の品番をクランプ取付検査装置80に与えて検査設定を行い、検査開始状態となる。これにより、クランプ取付検査装置80は、当該品番に応じた検査初期設定を行う。
続くステップS30では、入力部64を通じて不良があった旨の入力操作があるか否かが判別される。ここで、例えば、作業者が目視等で不良箇所を発見して入力部64を通じて不良があった旨を入力した場合、不良入力操作があったと判断され、ステップS36に進む。一方、不良入力操作が無いと判断されると、ステップS32に進む。
ステップS32では、クランプ取付検査装置80からの検査結果信号に基づいて、検査合格か不合格かが判断される。即ち、作業者がワイヤーハーネス20の結束作業を行った後、クランプを取付けて、各クランプを保持治具82にセットして、クランプの取付状態の検査を行うと、その検査結果が集合組立製造管理装置60Dに入力される。ここで、検査不合格であると判断された場合、ステップS36に進む。
ステップS31及びステップS32において、不良入力操作有り又は検査不合格であると判断されると、ステップS36に進む。ステップS36では、不良内容入力又は不良内容の確認入力の有無が判別され、これらの入力が無い場合にはステップS36を繰返し、入力があった場合に次ステップS37に進む。例えば、不良入力操作有りと判別された場合(ステップS31参照)に、作業者が入力部64を通じて不良内容(例えば、クランプの取付不良等)を入力すると、次ステップS37に進む。また、例えば、クランプ取付検査装置80で検査不合格であると判断された後(ステップS32参照)に、該クランプ取付検査装置80からの検査結果信号に基づいて不良内容(例えば、クランプ取付の良否等)が特定及び表示され、作業者が該不良内容を確認して入力部64を通じて確認した旨入力すると、次ステップS37に進む。本ステップS36により、生じた不良内容が特定及び確認される。
ステップS37では、確認者の入力の有無が確認され、確認者の入力が無い場合にはステップS37を繰返し、確認者の入力有りと判断されると、次ステップS38に進む。例えば、作業者が上記特定及び確認された不良を修正し、不良を修正した確認者を入力すると、次ステップS38に進む。なお、ここでの確認者については、予め権限ある確認者が設定され、権限ある正規の確認者が入力されたときのみ、次ステップS38に進むようにしておくことが好ましい。
ステップS38では、上記不良内容及び確認者をタグ30に記録して、ステップS31に戻り、以下の処理を繰返す。
ステップS32において、検査合格であると判断されると、ステップS33に進む。ステップS33では、導通検査に合格した旨の製造履歴及び作業終了時間をタグ30に記録して、処理を終了する。
なお、入力部64が本工程の作業を中断する旨受付可能に構成されており、ステップS31,S32,S36〜S38において、作業を中断する旨受付けると、必要に応じて不良内容等をタグ30に記録した後、合格した旨の履歴等をタグ30に記録しないで、処理を終了するようにしてもよい。
これにより、本製造ラインにおける集合組立製造物であるワイヤーハーネス20に対応づけられたタグ30には、例えば、図17に示すように、少なくとも品番、作業者、開始時間、終了時間、該工程における検査合格判定を含む製造履歴データが記憶されてる。さらに、検査不合格を生じた場合には、製造履歴データには確認者等が付加される。
なお、このタグ30には、前工程における製造履歴データ(図9、図11参照)も記憶されている。
<止水製造ライン>
図18は止水製造ラインに設けられた止水剤塗布装置及び止水製造管理装置を示すブロック図である。
この止水製造ラインは、ワイヤーハーネス20に対して止水処理を施すための製造ラインであり、止水剤塗布装置90及び止水製造管理装置60Eとを備えている。
止水剤塗布装置90は、塗布ヘッド92と、該塗布ヘッド92にシリコン止水剤等の止水剤を供給するための止水剤供給機構94と、止水剤供給機構94を制御するための止水剤供給制御部96とを備えている。
そして、塗布ヘッド92の先端側にワイヤーハーネス20の止水箇所を配設した状態で、塗布ヘッド92から止水剤を吐出させることで、止水剤がワイヤーハーネス20の止水箇所周りに塗布されるようになっている。この止水剤塗布装置90は、一度の塗布による止水剤の供給量が不十分であったような場合や、システム異常等により動作が停止したような場合に、塗布作業が失敗したと判断して、止水剤塗布作業の結果を出力して、止水製造管理装置60Eに与える。また、塗布作業が失敗しない場合には、止水剤の塗布量等を含む製造加工に関する情報を止水製造管理装置60Eに与える。
本止水剤塗布装置90は、本製造ラインで製造されるワイヤーハーネス20に対して製造加工を施す製造加工装置として機能すると共に、その製造加工である止水の良否を検査する検査装置として機能する。
止水製造管理装置60Eは、上記仮結部品A製造管理装置60と同様構成とされており、ここでは、主な相違点を中心に説明する。
すなわち、止水製造管理装置60Eには、上記導通検査装置50に換えて止水剤塗布装置90が接続されている。そして、この止水製造管理装置60Eは、上記仮結部品A製造管理装置60と同様に、本製造ラインにおける製造履歴データをタグ30に記憶させる機能を有している。
加えて、止水製造管理装置60Eの記憶部63には、ワイヤーハーネス20に対応けられた品番に、該ワイヤーハーネス20に必要とされる製造履歴(例えば、クランプ検査の合格判定等)を対応づけた必要製造履歴データが記憶されている。そして、止水製造管理装置60Eは、ワイヤーハーネス20に対応づけられたタグ30に記憶された製造履歴データを読込んで、これを上記必要製造履歴データと照合することで、ワイヤーハーネス20の合否を判定する機能をも有している。
図19は、止水製造管理装置60Eが上記各機能を実現する動作を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS41において、作業者の設定が有るか否かが判定される。作業者の設定が無い場合にはステップS41を繰返す。一方、入力部64を通じて作業者の設定がなされた場合には、次ステップS42に進む。
ステップS42では、タグ30がリーダライタ装置66にセットされたか否かが判定される。リーダライタ装置66を通じてタグ30との間で通信不成立である場合には、ステップS42を繰返す。一方、作業者がタグ30をリーダライタ装置66にセットした結果、タグ30との間で通信が成立した場合には、タグ30のセット有りと判断され、次ステップS43に進む。
ステップS43では、タグ30に登録された品番等の読出しを試みて、タグチェックの合否を判定する。タグチェックとしては、ここでは、例えば、品番登録の有無や読出した品番が正しい品番かどうか(本製造ラインで製造対象となる品番かどうか等)のチェック、及び、必要製造履歴データに基づいて、該品番を有するワイヤーハーネス20を製造するのに必要な製造履歴を満たしているか否かのチェックがなされる。ここで、不合格である場合、ステップS49に進んで、エラー表示を行って、ステップS42に戻り、以下の処理を繰返す。一方、品番登録が有り、読出した品番が正しいものであり、タグチェックが合格であると判定されると、ステップS44に進む。
ステップS44では、作業開始時間及び作業者をタグ30に書込んで、ステップS45に移行する。
ステップS45では、読込んだ品番を止水剤塗布装置90に与えて検査設定を行い、検査開始状態にする。これにより、止水剤塗布装置90は、当該品番に応じた検査初期設定を行う。
続くステップS46では、入力部64を通じて不良があった旨の入力操作があるか否かが判別される。ここで、例えば、作業者が目視等で不良箇所を発見して入力部64を通じて不良があった旨を入力した場合(止水作業の不良等)、不良入力操作があったと判断され、ステップS50に進む。一方、不良入力操作が無いと判断されると、ステップS47に進む。
ステップS47では、止水剤塗布装置90からの検査結果信号に基づいて、検査合格か不合格かが判断される。即ち、作業者が、止水剤塗布装置90により止水剤塗布作業を行うと、その作業結果(止水剤塗布作業の良否、止水剤の塗布量等)が止水製造管理装置60Eに入力される。この作業結果に基づいて不合格であると判断された場合(例えば、止水作業の中断や塗布量不良、過多等の場合)、ステップS50に進む。
ステップS46及びステップS47において、不良入力操作有り又は検査不合格であると判断されると、ステップS50に進む。ステップS50では、不良内容入力又は不良内容の確認入力の有無が判別され、これらの入力が無い場合にはステップS50を繰返し、入力があった場合に次ステップS51に進む。例えば、作業者が不良入力操作有りと判別された場合(ステップS46参照)に、続けて作業者が入力部64を通じて不良内容(例えば、止水剤塗布の不足、はみ出し等)を入力すると、次ステップS51に進む。また、例えば、止水剤塗布装置90で検査不合格であると判断された後(ステップS47参照)に、該止水剤塗布装置90からの作業結果結果信号に基づいて不良内容が特定及び表示され、作業者が該不良内容を確認して入力部64を通じて確認した旨入力すると、次ステップS51に進む。本ステップS50により、生じた不良内容が特定及び確認される。
ステップS51では、確認者の入力の有無が確認され、確認者の入力が無い場合にはステップS51を繰返し、確認者の入力有りと判断されると、次ステップS52に進む。例えば、作業者が上記特定及び確認された不良を修正し、不良を修正した確認者を入力すると、次ステップS52に進む。なお、ここでの確認者については、予め権限ある確認者が設定され、権限ある正規の確認者が入力されたときのみ、次ステップS52に進むようにしておくことが好ましい。
ステップS52では、上記不良内容及び確認者をタグ30に記録して、ステップS46に戻り、以下の処理を繰返す。
ステップS47において、検査合格であると判断されると、ステップS48に進む。ステップS48では、導通検査に合格した旨の製造履歴及び作業終了時間をタグ30に記録して、処理を終了する。
なお、入力部64が本工程の作業を中断する旨受付可能に構成されており、ステップS46,S47,S50〜S52において、作業を中断する旨受付けると、必要に応じて不良内容等をタグ30に記録した後、合格した旨の履歴等をタグ30に記録しないで、処理を終了するようにしてもよい。
これにより、ワイヤーハーネス20に対応づけられたタグ30には、例えば、本製造ラインにおける作業者、作業開始時間、作業流量時間、塗布作業の合格判定を含む製造履歴データ、さらに、塗布作業不良を生じた場合には、不良内容、確認者等が付加された製造履歴データが記憶される。
<全体検査ライン>
図20は、全体検査ラインに設けられた全体検査管理装置及びそれに接続されたデータサーバ装置を示すブロック図である。
すなわち、最後の全体検査ラインには、全体検査管理装置60F及びデータベースサーバ装置100が設けられている。
全体検査管理装置60Fは、光学式マーク読取装置68(OMR、バーコードリーダともいう)を付加的に備えた点を除いて、仮結部品A製造管理装置60と同様構成とされている。
また、データベースサーバ装置100は、いわゆるパーソナルコンピュータ等によって構成されており、このデータベースサーバ装置100の記憶装置102内に所定のデータベースが構築される。
これらの全体検査管理装置60F及びデータベースサーバ装置100は、LAN通信線等を介して通信可能に接続されている。
そして、本製造ラインにワイヤーハーネス20が搬送されると、それに対応づけられたタグ30がリーダライタ装置66にセットされる。すると、そのタグに記憶された全ての製造履歴データがリーダライタ装置66を通じて読取られる。また、この際、光学式マーク読取装置67を通事該ワイヤーハーネス20に割当てられた製造番号を読取ると、この製造番号に固有の識別番号を付加した番号が該ワイヤーハーネス20に割当てられる。これにより、そのワイヤーハーネス20に関する全ての製造履歴データは、各ワイヤーハーネス20に固有の製造番号に対応づけられて、データベースサーバ装置100の記憶装置102に製造履歴データベースとして記憶される。
これにより各タグ30とワイヤーハーネス20との対応づけは解除され、タグ30は回収される。
以降の外観検査、導通検査等の検査結果は、製造履歴データベースにおいて、上記固有の製造番号に対応づけて管理される。
<全体説明>
本管理システムにおけるワイヤーハーネス20の全体的な製造手順について説明する。
まず、タグ発行装置40より、各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cに対応するタグ30が発行される。
そして、仮結部品A製造ライン、仮結部品B製造ライン、トルク締部品C製造ラインのそれぞれにおいて、タグ30をセットした状態で、各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cを製造し、また、検査を行う。すると、各タグ30に、それぞれの製造ラインにおける検査結果(導通の合否、トルク締の合否等)、手操作による入力結果(不良内容や確認者等)、製造状況(トルク値等)を含む製造履歴データが書込まれる。勿論、各工程の作業内容に応じて、各タグ30に書込まれる製造履歴データの内容は、所定の製造装置又は検査装置による検査結果(導通の合否、トルク締の合否等)と、手操作による入力結果(不良内容)とのうちのいずれか一方だけであってもよい。
そして、各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cは、それぞれに対応づけられたタグ30と共に次の集合組立製造ラインに搬送される。
また、集合組立製造物であるワイヤーハーネス20に対して、タグ発行装置40よりタグ30が発行される。このタグ30を、集合組立製造ラインにおける集合組立製造管理装置60Dのリーダライタ装置66Dにセットすることで、必要とされる部品の品番及び各品番の必要製造履歴が決定される。
そして、上記各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cに対応するタグ30を、リーダライタ装置66Dに読込ませることで、必要とされる部品であるか否か、それぞれについて必要な製造履歴を経ているか否かが判断される。そして、これらの判断結果が不合格である場合に、エラー表示する。これにより、必要とされる品番以外の品番を持つ部品は排除される。また、必要とされる品番の部品であっても、所要の製造履歴を有していない部品は排除される。
また、同時に、上記各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cに対応するタグ30に記憶された製造履歴データは、ワイヤーハーネス20に対応づけられたタグ30に書込まれ併合される。
そして、上記を経て各仮結部品A、仮結部品B及びトルク締部品Cが受入れられると、作業者はこれらを組立ててワイヤーハーネス20を製造する。さらに、このワイヤーハーネス20に対してクランプの取付状態の検査を行う。すると、その検査結果(クランプの取付良否等)が本製造ラインでの製造履歴データとしてタグ30に追加して書込まれる。
このワイヤーハーネス20は、それに対応づけられたタグ30と共に、次の止水製造ラインに搬送される。
止水製造ラインは、まず、タグ30を止水製造管理装置60Eのリーダライタ装置66にセットする。すると、該タグ30の品番及び製造履歴データが読取られ、その品番に対応する所要の製造履歴を満たしているか否かがチェックされる。製造履歴のチェック後、ワイヤーハーネス20に対して止水処理を施すと、その製造結果(止水作業の良否等)が本ラインにおける製造履歴データとしてタグ30に追加書込みされる。
このように止水処理を施されたワイヤーハーネス20は、それに対応づけられたタグ30と共に、次の全体検査ラインに搬送される。
そして、全体検査ラインでは、上記タグ30の全製造履歴データを読込んで、各ワイヤーハーネス20に割振られた製造番号と製造履歴データとを対応づけたデータベースを作成、更新する。以降では、該データベースに基づいてワイヤーハーネス20の検査管理等を実施する。
本製造物管理システムでは、部品組立工程と集合組立工程とを基準にして考えると、部品組立工程を実施するための仮結部品A製造ライン、仮結部品B製造ライン、トルク締部品C製造ラインが第1の製造ラインに該当し、それらのラインにおける導通検査装置50及びトルク締装置70、入力部64等が第1の製造ライン装置に該当し、また、仮結部品A製造管理装置60、トルク締部品C製造管理装置60C等が第1の製造管理装置に該当する。また、集合組立工程を実施するための集合組立製造ラインが第2の製造ラインに該当し、集合組立製造管理装置60Dが第2の製造管理装置に該当する。
以上のように構成された製造物管理製造システム、製造物管理製造方法及び製造管理装置によると、上流側の製造ラインである仮結部品A製造ライン、仮結部品B製造ライン、トルク締部品C製造ラインにおける製造履歴データがタグ30に記憶され、上流側の製造ラインにおける部品である仮結部品A、仮結部品B、トルク締部品Cが、それぞれのタグ30と共に下流側の製造ラインである集合組立ラインに搬送される。そして、集合組立製造ラインにおいて、集合組立製造管理装置60Dによって、上流側での製造ラインにおける製造履歴データと必要製造履歴データとが照合されて、部品の合否が判定される。このため、上流側の製造ラインにおける工程飛びや不良品混入等に起因する製造履歴不備等があると、部品の不合格が判定され、工程飛びや不良品混入等をより確実に無くすことができる。また、製造履歴データがタグ30に記憶されるため、このタグ30を用いて製造履歴を容易に管理することができる。
また、集合組立製造管理装置60Dは、上流側の各部品に対応づけられた各タグ30の製造履歴データを、一つのタグ30に書込んで併合しているため、複数の部品を集めて集合製造物を製造していく場合に、各製造履歴データを一つのタグ30に集約して容易に管理できる。
特に、集合組立製造ラインよりも上位工程である各部品段階では、各タグ30が各部品に物理的に対応づけられているため、各部品に固有の識別番号(シリアル番号)等を付与することなく、各履歴を管理することができ、さらに、その各部品の履歴を、集合製造物であるワイヤーハーネス20に製造番号を割振った段階で、該製造番号に紐付してデータベースとして管理することができるという利点もある。
しかも、製造加工装置の加工状況(例えば、トルク値、止水剤量)、検査結果、入力部64からの出力結果に基づいて、製造履歴データをタグ30に書込むようにしているため、多様な製造履歴データを蓄積することができる。
特に、製造加工装置の加工状況(例えば、トルク値、止水剤量)を記憶することで、単なる不良発生の有無のみならず、製造加工装置の動作状況(例えば、トルクや供給する止水剤量が現象傾向であるといった状況)をも把握することができ、事前の不具合発生予測等にも参照することができる。
なお、本製造物管理システムにおいて、集合組立工程と止水製造管理装置60Eとを基準にして考えると、次のように捉えることができる。すなわち、集合組立工程を実施するための集合組立製造ラインが第1の製造ラインに該当し、このラインにおけるクランプ取付検査装置80及び入力部64が第1の製造ライン装置に該当し、集合組立製造管理装置60Dが第1の製造管理装置に該当する。また、止水工程を実施するための止水製造ラインが第2の製造ラインに該当し、止水製造管理装置60Eが第2の製造管理装置に該当する。
なお、上記実施形態では、ワイヤーハーネスを製造する場合について説明したが、これに限られず、複数の製造ラインを経て製造される全ての製造物について適用できる。
また、製造履歴データとしては、上記例に限られず、種々の製造加工装置からの製造状況出力、種々のセンサを利用した検査装置からの検査結果出力に基づく製造状況及び検査情報を含むことができる。また、これ以外にも、手作業による製造加工の内容や目視等による作業者の検査結果を入力部を介して受付けて、それらの内容を製造履歴データに含ませることもできる。また、これらの情報のうち少なくとも一つが、製造履歴データとして含まれていればよい。また、上記実施形態に用いられるタグ30として、データを繰返し書込み及び消去可能な部材、より好ましくは、さらに繰返し印字及び消去可能な部材を用いて、リサイクルすることで、省資源化にも貢献することができる。
なお、本実施形態では、各部品A,B,C及びワイヤーハーネス20とタグ30とが1対1で対応づけて発行される例について説明したが、必ずしもその必要はなく、例えば、部品A,B,C及びワイヤーハーネス20のうちの一種類の部品(又は製造物)とタグ30とが複数対1の関係で対応づけて発行されていてもよい。より具体的な例としては、複数の部品Aに対して一つのタグ30が対応づけて発行されていてもよい。この場合、一つのタグ30が、それに対応づけられた複数の部品Aを含むグループ単位で、製造履歴データが記憶され、また、当該グループ単位で製造履歴がチェック及び管理等されることになる。