JP4908411B2 - 圧力センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、防水性を向上させた半導体圧力センサが記載されている。
この半導体圧力センサは、圧力センサ本体における出力端子として、半導体圧力検知ユニットからの接続ピン(リードピン)にFPC(フレキシブルプリント基板)からなる結線材で接続されたコンタクトピンを設け、外部への電線の先端に結合されている端子に該コンタクトピンが嵌め込まれるようにし、該電線の端子とコンタクトピンの接続部(コネクタ部)を常温硬化性樹脂によってモールドするようにしている。
このような防水型の圧力センサにおいて、接続の信頼性を上げること及びコストダウンを図るために、前記コネクタ部をなくして外部への電線を前記コンタクトピンに直接接続することが考えられる。
このような電線直付け型の半導体圧力センサで要求される電線は通常3線式(出力、電源、接地)が多く、外部機器との接続に使用される長さは0.5〜3m程度である。
要求される長さがまちまちで、その箇所をモールドするため、センサ組立工程中において電線組立は通常最後の工程になっている。中間工程で電線をつけてしまうと、電線がかさばり作業しづらく、また、電線の長さもまちまちであるため、装置の自動化も難しいためである。
電流を流して溶着させる抵抗溶接により電線芯線とコンタクトピンを直接接合する方法は、センサ製品において電子部品がついていない状態(中間工程)であれば使えるが、前述の理由から主流となっていない。
また、電線芯線とコンタクトピンとを直接接合する方法として、かしめる方法もあるが、モールド材がかしめ部に進入するので接合の信頼性は低く、導通不良を起こす可能性がある。
他の方法として、半田付けがある。しかし、半田付け作業は作業者の技量などにより接合の状態が変わる(半田不足や半田剥離など)。また、電線の熱容量が大きいため、半田が溶け出すのに時間を要するため、工数面で不利となる。周辺部品の温度も上昇するという問題もある。
また、前記電線は複数本あり、複数個の前記コンタクトピンが一列に配置されて樹脂製の本体部に挿入されており、該樹脂製の本体部における前記コンタクトピン間には仕切り板が設けられているものである。
さらに、前記電線と前記コンタクトピンとの接合部を覆う樹脂ケースを有し、前記電線と前記コンタクトピンとの接合部は封止材でモールドされているものである。
さらにまた、前記樹脂ケースの内側に、電線の倒れを防止するための突起部が設けられているものである。
さらにまた、本発明の圧力センサの製造方法は、上述した圧力センサの製造方法であって、前記電子部品に電気的に接続されたリードピンと前記結線材とをレーザースポット溶接により接続する工程と、前記結線材と樹脂製の本体部に挿入されている前記コンタクトピンとをレーザースポット溶接により接続する工程と、前記電線を前記コンタクトピンに超音波溶着により接合する工程とを有するものである。
さらにまた、前記電線はセミストリップされた状態で前記コンタクトピンに超音波溶着されるものである。
さらにまた、前記電線は複数本あり、該複数本の電線と複数個一列に配置された前記コンタクトピンとを同時に超音波溶着するものである。
さらにまた、前記樹脂製の本体部に樹脂ケースを被せ、該樹脂ケースに封止材を流し込むことにより前記電線と前記コンタクトピンとの接合部を封止材でモールドする工程を有するものである。
また、コンタクトピンの剛性を低下させることにより、超音波振動による他部品への影響を受けないようにすることができる。
さらに、超音波溶着による接合部は摩擦により瞬間的に発熱するだけなので、他部品への熱影響が半田付けに比べ少ない。
さらにまた、超音波発振時間は1秒以下で充分な接合が達成されるため、複数本同時溶着と合わせ工数削減を図ることができる。
さらにまた、半田やコネクタを使用しないで電線と圧力センサを直接接合するため、部品点数が減り、安価な圧力センサを提供することができる。
さらにまた、複数個のコンタクトピンを一列に配置することにより、複数本同時溶着ができる。
さらにまた、コンタクトピン間に仕切り板を設けることにより、電線同士の短絡を防止することができる。
さらにまた、電線をセミストリップすることにより、安定した溶着を行うことができる。
さらにまた、電線とコンタクトピンとの接合部を封止材でモールドすることにより、接合部の固定と保護を確実なものとし、防水効果を高めることができる。
さらにまた、樹脂ケースの内側に電線の倒れを防止するための突起部を設けることにより、封止材を流し込むときの電線の倒れを防止するとともに、電線接合部のネック部へのダメージを少なくすることができる。
図1は、本発明の半導体圧力センサの一実施の形態の外観構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
図1に示すように半導体圧力センサは、外観上、圧力センサ本体10、継手部30及び樹脂ケース40に大別され、外部機器に接続される電線50が樹脂ケース40内に導入されている。この実施の形態では、電線50は、出力、電源及び接地に対応する3本の電線(50−1、50−2、50−3)から構成されている。そして、図1の(c)に示すように、前記電線50が導入される樹脂ケース40の内側はエポキシ樹脂やシリコン樹脂などの封止材(モールド樹脂)42によりモールドされている。
図2の(a)に示すように、前記圧力センサ本体10は、圧力検出エレメント11、樹脂製の樹脂本体12、蓋体13及びこれらを機械的に結合する円筒状のカシメ板14から構成されている。ここで、前記圧力検出エレメント11と樹脂本体12との間は封止材29によりシールされている。
前記圧力検出エレメント11は、金属製のエレメントハウジング15と、該エレメントハウジング15の中央開口部にハーメチック固着されたハーメチックガラス16と、該ハーメチックガラス16に貫通状態でハーメチック装着された複数のリードピン17、オイル充填用パイプ18及びセンサチップマウント部材19と、前記センサチップマウント部材19にガラスを介して固着された圧力検出用センサチップ20とからなっている。
センサチップ20はシリコン基板の裏面中央部をエッチングしてダイヤフラム(シリコンダイヤフラム)を形成したものであり、該シリコンダイヤフラム部の上部にはブリッジ回路を形成する複数の圧力検出素子(ピエゾ抵抗素子)が形成され、その周囲に該ブリッジ回路の出力信号を処理する増幅回路、直線補正回路、温度補正回路及び補正データ保持回路などの電子回路が半導体回路集積化技術により集積化されている。センサチップ20表面のボンディングパッドと前記リードピン17とはワイヤボンディングにより接続されている。
例えばステンレス製とされるオイル充填用パイプ18は、液封室23にオイルを充填する充填口として使用され、オイル充填完了後に外側のパイプ先端をつぶして密着され、その部分を溶接される。これにより、オイルが液封室23に封止される。
また、前記ハーメチックガラス16の外周部の高さは中心部よりも高く形成されており、該外周部の内側に、リング状の金属部材24が嵌め込まれ、その端部に開口部が設けられた金属板(シールド板)25が電気的かつ機械的に接続されている。そして、該リング状の金属部材24は前記センサチップのゼロ電位と接続されている。
これにより、前記金属ダイヤフラム21と前記センサチップ20上の電子回路のゼロ電位との間に電位差があるときでも、センサチップ20に集積された電子回路に対する悪影響を防止することができる。
前記樹脂本体12には、複数(この実施の形態においては3個)のコンタクトピン27(27−1〜27−3)が挿入され、固定材(接着剤)28により固定されている。前記リードピン17とコンタクトピン27はフレキシブルプリント基板(FPC)などの結線材26により電気的に接続される。ここで、前記リードピン17と前記結線材26の接続、及び、前記結線材26と前記コンタクトピン27−1〜27−3との接続はレーザースポット溶接により行われる。
なお、前記リードピン17として、前記センサチップ20の電源電位、ゼロ電位、出力端子及び1又は複数のテストポイントにそれぞれ接続される複数のリードピンが設けられており、そのうちの前記電源電位、ゼロ電位及び出力端子のピンが前記結線材26により、対応するコンタクトピン27−1〜27−3に接続される。
このように、本発明においては、コンタクトピン27−1〜27−3に外部機器に接続する電線を直付けする手段として、超音波溶着を採用した。超音波溶着は接合部のみが瞬間的に温度上昇するだけで、センサチップや周辺部品への熱影響が少ない。また、電流を流し溶着させる抵抗溶接とは、接合方式が異なり、摩擦により接合を行うため、電気的なダメージをセンサチップなどに与えることがない。したがって、電線組立を最後の工程とすることができる。
そして、樹脂ケース40内に封止材42を封入することにより該接合部はモールドされている。これにより、接合部の保護と防水を行うことができる。また、前記樹脂ケース40の内側には、電線が倒れるのを防止する突起部41が設けられている。
図3の(a)は前記樹脂本体12の正面図、(b)は前記樹脂本体12の平面図、(c)は前記コンタクトピン27の平面図、(d)は樹脂本体12にコンタクトピン27が挿入された様子を示す正面図、(e)はコンタクトピンの結合部を切り離した後の正面図である。
図3の(a)及び(b)に示すように、前記樹脂本体12には、前記コンタクトピン27(27−1〜27−3)を挿入するためのガイド板33、仕切り板34及び挿入孔35が設けられている。また、図3の(c)に示すように、前記コンタクトピン27は、当初は、結合部36により結合されて一体の部品とされており、切込み部37で折り曲げることで結合部36を切り離すことにより、3本のコンタクトピン27−1〜27−3となるように構成されている。さらに、39は前記電線が超音波溶着される超音波溶着用領域である。この超音波溶着用領域39の面積は可能な限り大きくとられている。
そして、図3の(d)に示すように、前記コンタクトピン27の3本に分かれた部分を前記樹脂本体12の挿入孔35に挿入して前記固定材28(図2)で固定する。
そして、前記切込み部37から折ることにより結合部36を切り離して、図3の(e)に示すように、3本のコンタクトピン27−1〜27−3が一直線上に配置された樹脂本体12とすることができる。
そこで、本発明においては、図示するように、前記各コンタクトピン27−1〜27−3に穴(開口部)38が形成されている。この穴38は、各コンタクトピン27−1〜27−3の剛性を低下させるために設けられたものである。このように、コンタクトピン27−1〜27−3の剛性を低下させ、伝達される振動エネルギーを減衰させることにより、前記結線材26との接続がはずれることを防止することができる。本発明者らによる実験では、何らの対策を施さずに超音波溶着を行うことにより約80%のコンタクトピンにおいて結線材との接続が切断されていたのが、穴38を設けることにより発生しないようになった。
なお、穴38の形状は、図示したような四角形に限られることはなく、円形など他の形状でも良い。また、穴の数も、図示したように、各リードピンに1個ずつである必要はなく、複数個の穴を設けるようにしても良い。なお、加工される位置については、適切に決定される。
さらに、穴38を設ける方法以外の方法でコンタクトピン27−1〜27−3の剛性を低下させるようにしてもよい。例えば、コンタクトピン27−1〜27−3の幅を狭くしたり、厚さを薄くしたりしても良い。前記方法を組み合わせることも、適切に決定される。
ただし、前記切込み部37から折り曲げる工程でコンタクトピン27−1〜27−3の部分が曲がらないような強度は確保する必要がある。また、前記超音波溶着用領域39を可能な限り大きく確保することも必要である。
(1)前記図3に示したように、前記コンタクトピン27を樹脂本体12に差し込み、固定材により固定する。なお、この段階では、前記結合部36は切り離されていない(図3の(d)及び図4の(b))。
(2)前記複数のリードピン17と前記コンタクトピン27−1〜27−3とを前記結線材26で接続する。前記複数のリードピン17の内の電源、出力及び接地に接続されたリードピンと前記結線材26の対応する電極部をレーザースポット溶接により接続し、同様に、該結線材26の電極部と前記コンタクトピン27−1〜27−3とをレーザースポット溶接により接続する。
(3)前記センサ本体の圧力検出エレメント11と前記樹脂本体12を封止材29(図2)を介して組合せ、円筒状のカシメ板14(図4の(c))で機械的に結合する。これにより、図4の(d)に示すように、継手部30が接続された圧力センサ本体10が構成される。
(4)前記コンタクトピンの結合部36をクリップで挟み、絶縁抵抗及び絶縁耐力の検査を行う。絶縁抵抗及び絶縁耐力の検査は、このように、3本のコンタクトピンに接続された端子についてまとめて行う。
(5)前記切込み部37からコンタクトピンを折ることにより前記結合部36を切り離す。
図5の(b)はその様子を示す図である。この図に示すように、超音波ホーン55とアンビル56とで前記コンタクトピン27−1〜27−3と前記電線50−1〜50−3をそれぞれ挟むことにより超音波溶着する。超音波ホーン55の形状はコンタクトピン27−1〜27−3の超音波溶着用領域39の面積に匹敵するサイズとされており、電線をセットする位置がコンタクトピン上にありさえすれば完全な溶着をすることができる形状とされている。
ここで、本発明においては、3本のコンタクトピン27−1〜27−3を一直線に配置し、超音波ホーン55の形状は接合面を3箇所同じ高さに設け、それぞれのコンタクトピン上に来るように配置し、受け側のアンビル56も同様に配置した。これにより、3線同時溶着が可能となり、工数を削減することができる。
また、前記樹脂本体12には電線間に設けられた仕切り板34とガイド板33が設けられており、電線同士の短絡を防止することができる。ここで、図中51に示すように電線がセミストリップの場合、溶着時にホーンとアンビルで挟み込む際に、芯線がばらけずに安定した溶着形状が得られる。また、超音波ホーン55の電線への食い込み量を押さえられるため、接合部のネック強度も高くなる(図5の(c))。
一般に、半田付けに比べると、超音波溶着の場合、超音波ホーン55とアンビル56で挟むため、接合部の電線ネック部が細くなり、強度が弱くなるが、エポキシ樹脂・シリコン樹脂などのモールド樹脂を使用し固定されるので、ネック強度は製品上問題とならない。また、モールド前には樹脂ケース40の内側の突起部41にて電線の倒れを抑制しており、ネック部のダメージを最小限としている。また、その突起が封止材硬化後、樹脂ケース自体の抜け防止する構成としている。
そして、コンタクトピンは可能な限り接合面の面積を設け、結線材に振動が伝わりにくい形状(穴を開けた形状)としている。
また、樹脂本体には、コンタクトピン間に仕切り板を設け、電線同士の短絡を防止するようにしている。
さらに、3本のコンタクトピンを本体上に一直線に配置し、ホーン形状は接合面を3箇所同じ高さに設けて、3線同時溶着が可能な形状としている。
さらにまた、樹脂本体に樹脂ケースをかぶせ、封止材を流し込むことにより、溶着部の保護と防水機能とを果たすようにしている。そして、樹脂ケース内側に設けた突起により、電線の倒れと接合部のネック強度低下を防止している。
また、上記においては、外部機器との接続を3本の電線により行う場合について説明したが、これに限られることはなく、1本又は任意の複数本の電線の場合にも同様に適用することができる。
Claims (6)
- 電子部品を搭載する圧力センサであって、
前記電子部品に電気的に接続されるとともに、外部機器と接続する電線が直付けされたコンタクトピンを有し、
該コンタクトピンは、前記電線を超音波溶着により直付けするときに前記電子部品と該コンタクトピンとの電気的接続が切断されるのを防止するために、前記電線が超音波溶着される超音波溶着用領域と前記電子部品に電気的に接続される結線材が接続される部分との間の領域に開口部を形成することにより、その剛性が低下するようになされているものであることを特徴とする圧力センサ。 - 前記電線は複数本あり、
複数個の前記コンタクトピンが一列に配置されて樹脂製の本体部に挿入されており、
該樹脂製の本体部における前記コンタクトピン間には仕切り板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。 - 前記電線と前記コンタクトピンとの接合部を内側に突起部を有する樹脂ケースで覆い、
前記電線と前記コンタクトピンとの接合部は封止材でモールドされていることを特徴とする請求項2記載の圧力センサ。 - 前記請求項1記載の圧力センサの製造方法であって、
前記電子部品に電気的に接続されたリードピンと前記結線材とをレーザースポット溶接により接続する工程と、
前記結線材と樹脂製の本体部に挿入されている前記コンタクトピンとをレーザースポット溶接により接続する工程と、
前記電線を前記コンタクトピンに超音波溶着により接合する工程と
を有することを特徴とする圧力センサの製造方法。 - 前記電線は複数本あり、セミストリップされた状態で複数個一列に配置された前記コンタクトピンに同時に超音波溶着されることを特徴とする請求項4記載の圧力センサの製造方法。
- 前記樹脂製の本体部に樹脂ケースを被せ、該樹脂ケースに封止材を流し込むことにより前記電線と前記コンタクトピンとの接合部を封止材でモールドする工程を有することを特徴とする請求項4記載の圧力センサの製造方法。
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