JP4907807B2 - エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法及び伝動ベルト - Google Patents

エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法及び伝動ベルト Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法及び伝動ベルトに係り、詳しくはエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維コード等とを良好に接着することができるエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法及び伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギー化、コンパクト化の社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム周辺の雰囲気温度は従来に比べて上昇してきている。これにともない伝動ベルトの使用環境温度も高くなってきた。従来、伝動ベルトは主として天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが使用されてきたが、高温雰囲気下では、硬化した圧縮ゴム層で早期にクラックを生じるという問題が発生した。
【0003】
このようなベルトの早期破壊現象に対し、従来からクロロプレンゴムの耐熱性の改善が検討されてきたが、これに代わり最近ではエチレン−プロピレン系ゴム(EPR)あるいはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン−α−オレフィンエラストマーが優れた耐熱性、耐寒性を有し、比較的に安価なポリマーであり、伝動ベルトへの使用も検討されつつあり、例えば特開平6−345948号公報に開示されている。
【0004】
しかしながら、エチレン−プロピレン系ゴムは引き裂き力が低く、パーオキサイド架橋系を用いると、更に引き裂き力が低下して、走行時に心線がポップアウトしやすいという問題があった。一方、硫黄架橋系を用いたものは、加硫度を十分に上げるのが困難であるため、走行時に摩耗が多くなり、特にVリブドベルトでは、摩耗紛がリブ部間の底部で蓄積され粘着摩耗を起こしやすく、これが発音を引き起こす大きな問題になっていた。また、加硫度を上げるために、分子内の二重結合量の極めて多いEPDMを用いると、粘着摩耗はある程度改善できるが、耐熱性が低下するという不具合が発生した。
【0005】
更に、問題になる点は、エチレン−α−オレフィンエラストマーと繊維コードとの接着方法にある。具体的には、繊維材料をレゾルシン−ホルマリン−スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラテックスとを含有するディップ液に浸漬処理した後、EPDMゴム組成物と加硫接着する方法(特開平8−113657号公報)、またレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス接着液で接着処理した繊維材料と、メチレン供与体、メチレン受容体及び珪酸化合物と配合したEPDMゴム組成物と加硫接着する方法(特開平8−113656号公報)などが試みられてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レゾルシン−ホルマリン−スチレン−ブタジエン−ビニルピリジンラテックスを含有するディップ液で処理する場合には、接着力が改善されても、これを伝動ベルトの心線のような繰り返し屈曲疲労をうける部位に使用した場合には、心線と接着ゴム層とが早期に剥離することがあった。
【0007】
また、メチレン供与体、メチレン受容体及び珪酸化合物と配合したEPDMゴム組成物を使用した場合でも、同様に繰り返し屈曲疲労をうける部位に使用すると、心線と接着ゴム層とが早期に剥離することがあった。
【0008】
本発明は、これらの点を考慮し、エチレン・α−オレフィンゴム組成物と伝動ベルトの心線となる繊維コードやカバー帆布のような織物等とを良好に接着することができるエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法及び伝動ベルトを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明は、エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物の製造方法において、上記繊維をエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対してシリカを5〜40質量部を含むゴム組成物からなるゴム糊であって、かつ該ゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%であるゴム糊でオーバーコート処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法にあり、オーバーコート処理液であるゴム糊のゴム組成物に所定量のシリカと所定量のエチレン・α−オレフィンゴムを含めることによって繊維とエチレン・α−オレフィンゴム組成物との加硫接着力を高めることができる。
【0012】
本願請求項記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる伝動ベルトにおいて、心線としてエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対してシリカを5〜40質量部を含むゴム組成物からなるゴム糊であって、かつ該ゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%であるゴム糊でオーバーコート処理したコードを、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなる接着ゴム層に埋設した伝動ベルトであり、ベルト初期接着力、ベルト残存接着力が向上し、ベルト走行寿命が長くなることが期待できる。
【0013】
本願請求項記載の発明は、伝動ベルトがベルト長さ方向に沿って繊維コードをエチレン・α−オレフィンゴム組成物中に埋設した接着ゴム層と、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなるベルト長さ方向に延びる複数のリブ部を積層したVリブドベルトである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するエチレン・α−オレフィンゴムとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、あるいはオクテン)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)からなるゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。
【0015】
上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物が使用される。有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、通常エチレン−α−オレフィンエラストマー100gに対して0.005〜0.02モルgの範囲で使用される。
【0016】
また、架橋助剤(co−agent)を配合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。架橋助剤として挙げられるものとしては、TIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N‘−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架橋に用いるものである。
【0017】
そして、それ以外に必要に応じてカーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。
【0018】
本発明で使用する繊維は、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN繊維)のようなポリエステル繊維であり、その形態としてのコード、織物が使用される。
【0019】
使用する繊維の場合には、下記3種の方法によって処理される。
(イ)繊維をエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるRFL処理液で処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴムにシリカを含めたゴム組成物からなるゴム糊でオーバーコート処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫する。
【0020】
(ロ)繊維をイソシアネート化合物又は/及びエポキシ化合物からなる前処理液で付着処理し、上記RFL処理液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴムにシリカを含めたゴム組成物からなるゴム糊でオーバーコート処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫することもできる。また前処理では、未処理の繊維をイソシアネート化合物又は/及びエポキシ樹脂で室温に設定した処理液に0.5〜30秒間浸漬した後、150〜190℃に調節したオーブンに2〜5分間通して乾燥される。
【0021】
RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期縮合物をエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルマリン樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルマリンの反応があまり進まないため、接着力が低下する。そして、上記RFL液に加硫促進剤もしくは加硫促進剤と加硫剤を添加してもよい。
【0022】
エチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスとして、その代表的なものとしてエチレン−プロピレン−ジエンモノマーラテックスゴムがあり、ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげられる。
【0023】
上記ゴムラテックスの製造方法としては、以下の2種類あり、一つは、固形ポリマーを溶剤に溶かした後、相変化させて水に乳化分散させ、ラテックスとする方法で、もう一つは、乳化させたモノマーを重合してそのままラテックスとする方法である。後述の実施例では前者の方法で製造したエチレン−プロピレン−ジエンモノマーラテックスを用いているが、いずれの方法で製造したものでもよい。
【0024】
また、レゾルシン−ホルマリンの初期縮合物と上記ゴムラテックスの固形分質量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルマリンの樹脂分が多くなり、皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン−ホルマリンの樹脂分が少なくなるため、逆に皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
【0025】
オーバーコート処理に用いるゴム組成物は、エチレン・α−オレフィンゴムにシリカ、カーボンブラック、加硫促進剤等を含めることができる。エチレン・α−オレフィンゴムは前述ものものと同じであり、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、あるいはオクテン)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)からなるゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。
【0026】
シリカとしては、含水シリカを含み、粒子径、PH等は特に限定しない。その添加量はエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対して、5〜40質量部である。5質量部未満では、未加硫ゴムとの接着が不十分であり、一方40質量部を超えると、ゴムの粘度が上昇して繊維への浸透性が劣り、接着力が低下する。
【0027】
カーボンブラックの種類としては、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等があり、特に規定しない。その添加量はエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対して、5〜50質量部である。5質量部未満では、処理繊維の経時接着力の低下が大きく、また50質量部を超えると、ゴムの粘度が上昇して繊維への浸透性が劣り、接着力が低下する。
【0028】
オーバーコート処理液に使用するゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%である。60質量%未満では、ゴムの粘度が上昇して繊維への浸透性が劣り、接着力が低下し、他方90質量%を超えると、処理繊維の経時接着力の低下が大きくなる。
【0029】
この前処理液で使用するイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。このイソシアネート化合物もトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0030】
また、上記イソシアネート化合物にフェノール類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートも使用可能である。
【0031】
前処理液で使用するエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールとエピクロルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール.ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン.ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などである。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0032】
上記接着処理をした繊維の用途として、例えば図1に示すVリブドベルトの心線に使用される。このVリブドベルト1によると、接着ゴム層3中の撚糸コードを素材とする高強度で低伸度のコードよりなる心線2を接着ゴム層3中に埋設し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層4を有している。この圧縮ゴム層4にはベルト長手方向にのびる断面略三角形の複数のリブ7が設けられている。また、ベルト表面にはゴム付帆布5を設けてもよいが、設ける必要もない。
【0033】
前記圧縮ゴム層4に使用されるゴム組成物は、エチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対して、アラミド、ナイロン、ポリステル、ビニロン、綿など短繊維を1〜50質量部、好ましくは5〜25質量部含有してもよい。
【0034】
一方、接着ゴム層3には耐熱性を有し、そして心線との接着を良好にするためにも、上記エチレン・α−オレフィンゴム組成物であって硫黄により架橋できるものを使用する。そして、それ以外に必要に応じてカーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合に用いるものが使用される。
【0035】
上記接着ゴム層3における硫黄の添加量は、エチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対して0.5〜3.0質量部である。
【0036】
尚、この接着ゴム層3に使用するエチレン・α−オレフィンゴムのうちEPDMは、ヨウ素価が4以上で40未満であり、4未満であるとゴム組成物の硫黄による架橋が充分でなく、心線のポップアウトの問題が発生する。一方、40を超えると、ゴム組成物のスコーチが短くなって取扱にくくなり、また耐熱性が悪くなる。
【0037】
Vリブドベルトの製造方法の一例は以下の通りである。まず、円筒状の成形ドラムの周面に1〜複数枚のカバー帆布と接着ゴム層とを巻き付けた後、この上にロープからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に圧縮ゴム層を順次巻きつけて積層体を得た後、これを硫黄や有機過酸化物により架橋して架橋スリーブを得る。
【0038】
次に、架橋スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させた研削ホイールを走行中の架橋スリーブに当接するように移動して架橋スリーブの圧縮ゴム層表面に3〜100個の複数の溝状部を一度に研磨する。
【0039】
このようにして得られた架橋スリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、該架橋スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げる。
【0040】
また、本発明においては、上記のVリブドベルト以外にも、図2に示すようにベルトの上下表面のみにゴム付帆布22を付着したVベルト21も含む。このVベルト21は、心線23を接着ゴム層24中に埋設し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層26を有している。この圧縮ゴム層26には、コグを長手方向に沿って所定間隔で設けてもよい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1〜4、比較例1
1220dtex/1×5のポリエチレンテレフタレート(PET)の未処理撚糸コードを準備し、表1に示すプレディップ液に浸漬した後、180℃で4分間熱処理した。次に、表2に示すRFL液に浸漬し、230℃で2分間熱処理した。更に、オーバーコート処理液に浸漬し、150℃で4分間熱処理した。オーバーコート処理液は、表3の配合ゴムをトルエンに溶解して、作製したものである。表4にシリカとカーボンブラックの組合わせを示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004907807
【0043】
【表2】
Figure 0004907807
【0044】
【表3】
Figure 0004907807
【0045】
【表4】
Figure 0004907807
【0046】
得られたコードを表5に示す配合をもつ厚さ4mmのゴムシートの上に25mm幅に並べ、プレス板で2.0MPaの圧力をかけ、163℃で30分間加硫し、剥離試験用の試料を作製した。そして、JISK6256に従い剥離力を測定した。その結果を表6に、また図3に純ゴム分と剥離力の関係を示すグラフである。
【0047】
【表5】
Figure 0004907807
【0048】
【表6】
Figure 0004907807
【0049】
その結果、シリカを配合しない場合には、ほとんど接着せず、少なくとも5質量部以上必要であることが判る。しかし、シリカの配合量が多く程、剥離力が増してくるが、シリカとカーボンブラックを総量が55質量部を超えると、剥離力が低下する。オーバーコート処理液の純ゴム分を60質量%にすることによって、コードとゴムとの剥離力は増している。
【0050】
得られた処理コードを心線とし、接着ゴム層として表5のゴム配合、また圧縮ゴム層として表5のゴム配合にナイロンカット糸20質量部を添加したものを用意した。そして、円筒状の成型ドラムの周面にゴム付綿帆布を2プライと接着ゴム層を積層し、上記心線をピッチ1.03mm、張力50Nでピニングした後に圧縮ゴム層を積層し、この積層物を加硫した。加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架して所定の張力下で走行させながら、回転中の研削ホイールを圧縮ゴム層表面に当てて複数の溝状部を研磨加工し、そして所定幅に切断してVリブドベルトを得た。
【0051】
得られたVリブドベルトはRMA規格による長さ975mmのK型3リブドベルトであり、リブピッチ3.56mm、リブ高さ2.0mm、ベルト厚さ4.3mm、リブ角度40°である。得られたベルト初期接着力と走行後のベルト残存接着力を以下の方法で求めた。その結果を表7に示す。
【0052】
(1)ベルト初期接着力
ベルト周方向に埋設した心線を2本引き起こし、50mm/分の速度で剥離したときの応力である。
(2)ベルト残存接着力
ベルトを駆動プーリ(直径120mm)、従動プーリ(直径120mm)、テンションプーリ(直径45mm)の各プーリに掛架した。テンションプーリ上でのベルトの曲げ角度は約90°Cである。そして、雰囲気温度100℃、駆動プーリの回転数4900rpm、従動プーリの負荷8.8kwとし、テンションプーリに834Nの初張力をかけて100時間ベルトを走行させた後、ベルト周方向に埋設した心線を2本引き起こし、50mm/分の速度で剥離したときの応力である。
【0053】
【表7】
Figure 0004907807
【0054】
この結果、実施例では、オーバーコート処理液のシリカの量を特定し、そして純ゴム分を60質量%以上にすることによって、ベルト初期接着力、ベルト残存接着力が向上し、ベルト走行寿命が長くなることが期待できる。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本願請求項記載の発明は、繊維をエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対してシリカを5〜40質量部を含むゴム組成物からなるゴム糊であって、かつ該ゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%であるゴム糊でオーバーコート処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法であり、オーバーコート処理液にシリカを含めたエチレン・α−オレフィンゴム組成物を使用することによって繊維とエチレン・α−オレフィンゴム組成物との加硫接着力を高めることができる。
また、心線としてエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対してシリカを5〜40質量部を含むゴム組成物からなるゴム糊であって、かつ該ゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%であるゴム糊でオーバーコート処理したコードを、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなる接着ゴム層に埋設したことを特徴とする伝動ベルトであり、ベルト初期接着力、ベルト残存接着力が向上し、ベルト走行寿命が長くなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】Vリブドベルトの断面図である。
【図2】Vベルトの断面図である。
【図3】オーバーコート処理液に純ゴム分と剥離力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 Vリブドベルト
2 心線
3 接着ゴム層
4 圧縮ゴム層
5 ゴム付帆布
7 リブ

Claims (3)

  1. エチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着物の製造方法において、上記繊維をエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対してシリカを5〜40質量部を含むゴム組成物からなるゴム糊であって、かつ該ゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%であるゴム糊でオーバーコート処理した後、エチレン・α−オレフィンゴムの未加硫ゴム組成物と密着加硫せしめことを特徴とするエチレン・α−オレフィンゴム組成物と繊維との接着体の製造方法。
  2. ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる伝動ベルトにおいて、心線としてエチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスからなるレゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス液で付着処理し、更にエチレン・α−オレフィンゴム100質量部に対してシリカを5〜40質量部を含むゴム組成物からなるゴム糊であって、かつ該ゴム組成物中のエチレン・α−オレフィンゴム分が60〜90質量%であるゴム糊でオーバーコート処理したコードを、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなる接着ゴム層に埋設したことを特徴とする伝動ベルト。
  3. 伝動ベルトがベルト長さ方向に沿って繊維コードをエチレン・α−オレフィンゴム組成物中に埋設した接着ゴム層と、エチレン・α−オレフィンゴム組成物からなるベルト長さ方向に延びる複数のリブ部を積層したVリブドベルトである請求項記載の伝動ベルト。
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