JP4905568B2 - 回転電機の固定子 - Google Patents

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Description

本発明は回転電機の固定子に関し、詳しくは分割コアを外筒に焼きバメなどによる勘合固定してなる回転電機の固定子に関する。
近年、電動機および発電機として使用される回転電機において、小型高出力が求められている。たとえば、車両に搭載される回転電機においては、回転電機を搭載するためのスペースが小さくなってきている一方で、出力の向上が求められている。
従来の回転電機として、周方向に分割された固定子コアを円環状に配置し、その外周に円筒状のケース(外筒)を嵌めて固定する構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1では、円環状に配置された分割コアの外周に外筒を嵌めこむ方法として、焼きバメと呼ばれる方法を開示している。この焼きバメ工程では、円環状コアの外周寸法に比べて小さな内周寸法の外筒を用意し、この外筒を加熱して内周寸法を拡径した状態で外筒内に円環状コアを挿入する。焼きバメ後の円環状コアと外筒とはその寸法差により生じる応力によって固定される。
特開2002−51485号公報
ところで、小型高出力が要求される回転電機では、外筒の厚みを薄くすることが求められる。しかし外筒の厚みを薄くすると剛性が低くなるため、分割コアの組み付け状態の真円度が低くなるという問題があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、回転電機の小型高出力化を実現しつつ、回転電機の固定子の真円度を確保することを解決すべき技術課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、複数の相巻線を有し、分割コアを組み付けたコア組み付け体の外周に外筒を所定の締め代で嵌合固定してなる回転電機の固定子であって、前記外筒の軸方向端側のうち少なくとも一方に、前記外筒の中心軸から離れる方向に鍔を有し、前記鍔が前記外筒の周方向に少なくとも2つ以上に分割配置されているものであって、前記締め代は、前記外筒の周方向において均一でなく、前記鍔に対応する位置における前記締め代が、前記鍔に対応しない位置における前記締め代よりも小さいことを特徴とする。
この構成によれば、薄い肉厚の外筒に鍔を設けることにより、周方向の剛性が高くなり、コア組み付け体の真円度を高く維持するとともに、鍔を分割して小さくできるため回転電機の固定子の軽量化が可能となる。また、剛性が高い鍔のある部分の締め代を小さくし、剛性が小さい鍔のない部分の締め代大きくすることで、外筒とコア組み付け体とを嵌合したときの締め付け力を均一化でき、真円度を高くすることができる。
請求項に記載の発明は、前記鍔は前記外筒の軸方向の一端側にのみ配置され、前記締め代は前記外筒の軸方向において均一でなく、前記一端側の前記締め代が前記一端側に対して軸方向反対側に位置する他端側の前記締め代よりも小さいことを特徴とする。
この構成によれば、剛性が高い鍔のある部分の締め代を小さくし、剛性が小さい鍔のない部分の締め代を大きくすることで、外筒とコア組み付け体とを嵌合したときの締め付け力を均一化でき、真円度を高くすることができる。
請求項に記載の発明は、前記締め代が、前記外筒の軸方向において前記一端側から前記他端側へ漸増していることを特徴とする。
この構成によれば、鍔のある外筒の一端側からコア組み付け体を挿入する際に、他端側に向かうにつれて徐々に締め代が大きくなるので、コア組み付け体の嵌合が容易となる。
請求項に記載の発明は、前記外筒は、軸方向の一端側において中心軸から離れる方向に設けられた鍔と、軸方向の他端側において中心軸に向かう方向に設けられた鍔とを有することを特徴とする。
この構成によれば、鍔を外筒の軸方向他端側において外筒の中心軸に向かう方向に設けることにより、この鍔がストッパになり、外筒に嵌め込まれたコア組み付け体がこの一端側において外筒から飛び出すことを防止することができ、信頼性が向上する。また、鍔を、コア組み付け体を挿入する際の位置決めとして用いることもできる。
請求項に記載の発明は、前記嵌合固定は、焼きバメであることを特徴とする。
この構成によれば、コア組み付け体の外周に外筒を焼きバメして嵌合固定することにより、コア組み付け体の外筒への嵌挿をスムーズに行うことができるとともに、確実な固定力を得ることができるという効果を奏する。
実施形態1に係る回転電機の構成を模式的に示す軸方向断面図である。 実施形態1に係る固定子の斜視図である。 実施形態1に係る固定子コアの平面図である。 実施形態1に係る分割積層コアの平面図である。 変形例の固定子コアの平面図である。 変形例の分割積層コアの平面図である。 実施形態1に係る固定子コイルを構成する巻線の断面図である。 実施形態1に係る固定子コイルの結線を示す図である。 実施形態1に係る固定子コイルとなる巻き取り体の斜視図である。 実施形態1に係る固定子コイルの展開図であり、組み込み体の平面図である。 実施形態1に係る組み付け体の斜視図である。 実施形態1に係る外筒の斜視図である。 実施形態1に係る外筒の中心軸位置における側断面図である。 実施形態2に係る外筒の斜視図である。 実施形態2に係る外筒の中心軸位置における側断面図である。 実施形態3に係る外筒の斜視図である。 実施形態3に係る外筒の中心軸位置における側断面図である。 実施形態4に係る外筒の斜視図である。 実施形態4に係る外筒の平面図である。
以下、本発明に係る回転電機の固定子の実施形態について詳しく説明する。
なお、説明する実施形態はあくまでも実施形態の例にすぎず、本発明に係る回転電機の固定子は、下記実施形態に限定されるものではない。本発明に係る回転電機の固定子は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
また、各実施形態の構成を適宜組み合わせて実施することは本発明の範疇であることは言うまでもない。以下の説明において、「真円」という場合には、当該真円の径を基準として許容範囲内の歪みがある円を含むものとする。「一端側(一端部)」および「両端側(他端部)」という場合には、端面に限らず、端面から所定距離だけ離れた位置を含むものとする。
(実施形態1)
まず、本実施形態の回転電機の固定子を用いた回転電機1の構成について説明する。
この回転電機1は、図1に示すように、略有底筒状の一対のハウジング部材100、101が開口部同士で接合されてなるハウジング10と、ハウジング10に軸受け110、111を介して回転自在に支承された回転軸20と、回転軸20に固定された回転子2と、ハウジング10の内部で回転子2を包囲する位置でハウジング10に固定された固定子3と、を備えている。
回転子2は、永久磁石により周方向に交互に異なる磁極を、固定子3の内周側と向き合う外周側に複数形成している。回転子2の磁極の数は、回転電機により異なるため限定されるものではない。本実施形態では、8極(N極:4、S極:4)の回転子が用いられている。
固定子3は、図2に示すように、固定子コア30と、複数の各相巻線から形成された三相の固定子コイル4と、固定子コア30に外挿された外筒5と、を備えた構成を有している。
固定子コア30は、図3に示すように、内周に複数のスロット31が形成された円環状を呈している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように形成されている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子2の磁極数に対し、固定子コイル4の一相あたり2個の割合で形成されている。本実施形態では、8×3×2=48より、スロット数は48個とされている。
固定子コア30は、図4に示す分割コア32を所定の数(本実施形態では、24個)だけ周方向に連結して形成されている。分割コア32は、一つのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア32との間で一つのスロット31を区画する形状を呈している。具体的には、分割コア32は、径方向内方に伸びる一対のティース部320と、ティース部320を径方向外方で連結するバックコア部321とを有している。
固定子コア30を構成する分割コア32は、電磁鋼板を積層させて形成されている。なお、積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。固定子コア30を構成する分割コア32は、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板および絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
なお、本発明に適用可能な固定子コアの形状は、図3および図4に示したものに限られるものではなく、たとえば図5および図6に示す形状のものであってもよい。
この図5および図6に示す例の固定子コア1030は、内周に複数のスロット1031が形成された円環状を呈しており、分割コア1032を周方向に連結して形成されている。分割コア1032は、一つのスロット1031を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア1032との間で一つのスロット1031を区画する。スロット1031は、径方向内方に伸びるティース部1320と隣接するティース部1320によって区画される。また、この例のバックコア部1321は、径方向において他の分割コア1032と重ならない形状である。なお、分割コア1032の数や材質等は図4に示した分割コア32と同様である。
固定子コイル4は、複数の巻線40を所定の巻回方法で巻回してなる。この固定子コイル4を構成する巻線40は、図7(A)に示すように、銅製の導体41と、導体41の外周を覆い導体41を絶縁する内層420および外層421からなる絶縁皮膜42とから形成されている。
このように、内層420および外層421からなる絶縁皮膜42の厚みが厚いので、巻線40同士を絶縁するために巻線40同士の間に絶縁紙等を挟み込む必要がなくなっているが、巻線40同士の間あるいは固定子コア30と固定子コイル4との間に絶縁紙を配設してもよい。
さらに、固定子コイル4の巻線40は、図7(B)に示すように、内層420および外層421からなる絶縁皮膜42の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材49で被覆して形成してもよい。この場合、回転電機1に発生する熱により融着材49が絶縁皮膜42よりも早く溶融するので、同じスロット31に設置されている複数の巻線40同士が融着材49同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の巻線40が一体化し巻線40同士が鋼体化することで、スロット31内の巻線40の機械的強度が向上する。
固定子コイル4は、図8に示すように、それぞれが2本の三相巻線(U1、U2、V1、V2、W1、W2)により形成されている。
固定子コイル4は、図9に示すように、複数の巻線40を所定の形状に組み込んだ組み込み体47(図10参照)を巻回してなる巻き取り体48である。固定子コイル4を構成する巻線40は、固定子コア30の内周側で周方向に沿って波巻きされる形状で成形されている。
固定子コイル4を構成する巻線40は、固定子コア30のスロット31に収容される直線状のスロット収容部43と、隣り合ったスロット収容部43同士を接続するターン部44と、を備えている。スロット収容部43は、所定のスロット数(本実施形態では、3相×2個=6個)ごとのスロット31に収容されている。ターン部44は、固定子コア30の軸方向の端面から突出して形成されている。
固定子コイル4は、複数の巻線40の両端を固定子コア30の軸方向の端面から突出させ、かつ複数の巻線40を周方向に沿って波状に巻装した状態で形成されている。固定子コイル4の1相は、第1の巻線部40aと第2の巻線部40bとの端部同士を溶接により接合して形成されている。すなわち、2本の電気導体線から成形した2つの成形体の端部同士を接合して形成された一つの組体から固定子コイル4の1相が形成されている。
第1の巻線部40aのスロット収容部43と第2の巻線部40bのスロット収容部43とは、同一スロット31に収容される。このとき、第1の巻線部40aのスロット収容部43と、第2の巻線部40bのスロット収容部43とは、スロット31の深さ方向で交互に位置するように設置されている。そして、第1の巻線部40aと第2の巻線部40bとの接合部45は、第1の巻線部40aと第2の巻線部40bの巻装される方向が反転するスロット収容部43よりなる折り返し部46に形成されている。
固定子コイル4の展開図、すなわち巻回される前の組み込み体47の平面図を図10に示す。固定子コイル4は、互いに巻装方向が異なる第1の巻線部40aと第2の巻線部40bとからなる組体を6組有し、6組の組体を用いて、3相(U,V,W)×2個(倍スロット)のコイルとされている。各組体において、第1の巻線部40aの中性点側(または相端子側)の端部とは反対側の端部と、第2の巻線部40bの相端子側(または中性点側)の端部とは反対側の端部とが、折り返し部46よりなるスロット収容部43を介して接続されている。各相の巻線40の結線方法は同様である。
固定子コイル4(巻き取り体48)に固定子コア30を組み付けてなる組み付け体50の斜視図を図11に示す。また、この組み付け体50の外周に焼きバメする外筒5の斜視図を図12に示す。さらに、この外筒5の中心軸位置における側断面図を図13に示す。
組み付け体50の外周には軸方向に積層された分割コア32のバックコア部321が表れている。外筒5は、たとえば、厚さ2mmの円筒形状をしており、磁束が通過可能な低炭素鋼などによって形成されている。
この実施形態1では、この外筒5は、その軸方向一端側(図12および図13における上端側)の外周面に鍔5aを設けている。鍔5a(外鍔)は、外筒5の中心軸から離れる方向に設けられている。さらに、鍔5aは、外筒5の周方向で3つに分割して配置されている。この分割数は少なくとも2つ以上であればよく、3つに限られるものではない。
また、分割された鍔5aのそれぞれには、たとえば固定子3をハウジング10に固定する際に用いられる貫通孔5bが設けられている。貫通孔5bは、分割された鍔5aのそれぞれすべてに設けてもよいし、分割された鍔5aのいずれかのみに設けてもよいし、設けなくてもよい。
なお、外筒5の筒部5cの内径は、真円としている。
また、この実施形態1においては、組み付け体50の外径をAとし、外筒5の内径をBとし、外筒5の焼きバメ工程の加熱時に熱膨張した内径をCとしたとき、C>A>Bの関係になるように寸法を定めて各部品を製造する。ここで、(A−B)を締め代と呼ぶ。
以上のように、実施形態1によれば、コア内径の真円度の低下の問題を解消することができる。しかも、鍔5aを分割して小さくした分だけ回転電機の固定子の軽量化が可能となる。
また、鍔5aを外筒5の軸方向一端側において外筒5の中心軸から離れる方向に設けることにより、この鍔5aは、外筒5の剛性を高めながらも組み付け体50の挿入を邪魔することなく、組み付け体50の嵌合が容易となる。
以下、実施形態1の、固定子コイル4(巻き取り体48)に固定子コア30を組み付けて組み付け体50(図11参照)とし、この組み付け体50を外筒5に焼きバメした固定子3の製造方法について説明する。なお、組み付け体50が、本発明のコア組み付け体を構成するものである。また、径方向は芯部材または巻き取り体の径方向を意味し、周方向は芯部材または巻き取り体の周方向を意味する。
<成形工程>
まず、12本の電気導体線から12個の成形体を成形する。ここで成形する各成形体は、互いに平行に延びて成形体の長手方向に並列した複数の直状部431と、隣り合う直状部431同士を直状部431の一端側と他端側とで交互に連結する複数のターン部44とを有する。
<組み込み工程>
12個の成形体を組み込むことにより、組み込み体47を形成する。この組み込み体47においては、6組の組体が組み込み体47の長手方向に並列している。
各組体は、第1の巻線部40aとなる第1線部と、第2の巻線部40bとなる第2線部とからなる。なお、第1線部が1個の成形体よりなり、第2線部も1個の成形体よりなる。
各組体における第1線部の端部と第2線部の端部とが溶接接合されて接合部45とされている。なお、12個の成形体を組み込んでから、各組体における第1線部の端部と第2線部の端部とを接合してもよいし、第1線部の端部と第2線部の端部とを接合して6組の組体を形成してから、この6組の組体を組み込んでもよい。
組み込み体47における各組体は、第1線部における複数の直状部431と第2線部における複数の直状部431とがそれぞれ重ね合わされて形成された複数の直状重ね合わせ部471を組み込み体47の長手方向に有する。ただし、後述の巻き取り工程の巻き始めである折り返し部46の6個の直状部431および、巻き終わりの6個の直状部431のそれぞれは、他の直状部431と重ね合わされない。
<巻き取り工程>
組み込み体47を折り返し部46が軸心側に位置するように所定の巻数(たとえば、3回とか4回)だけ巻回して、図9に示した巻き取り体48を形成する。このとき、組み込み体47のターン部44を所定の巻き取り半径に塑性変形させながら巻き取る。
なお、たとえば所定の曲げR形状の成形面を有する成形型や所定の成形ローラを用いてターン部44を曲げ成形してもよい。巻き取り工程の詳細は後述する。
巻き取り体48は、一つの組体における複数の直状重ね合わせ部471が径方向に巻数分だけ積層されて形成された複数の直状積層部481を巻き取り体48の周方向に有する。各直状積層部481においては、巻数の2倍の数の直状部431が重ね合わされて径方向(放射方向)に一列に並んでいる。このとき、各直状積層部481は、巻き取り体48の周方向で小間隔を隔てた状態で位置している。
<組み付け工程>
以上のようにして得られた巻き取り体48に対して、径方向外方から分割コア32のティース部320を隣り合う直状積層部481同士の間の隙間に挿入し、隣り合う分割コア32同士を連結して組み付けて組み付け体50を得る(図11参照)。
<挿入(焼きバメ)工程>
組み付け体50(図11参照)を外筒5(図12、図13参照)に挿入して嵌め込む。まず、図示しないヒータによって外筒5を所定温度(たとえば300℃)に加熱する。
続いて、加熱した外筒5に組み付け体50を挿入する。このとき、外筒5の軸方向他端側(図12および図13における上端側)から組み付け体50を挿入する。この時、組付け体50の軸方向から外筒5の軸方向他端側(図12および図13における上端側)を挿入してもよい。このように、挿入は外筒5と組み付け体50とを相対的に移動させればよい。
外筒5への組み付け体50の挿入を完了した後、図示しない送風機などの冷却手段によって30分程度冷却して挿入(焼きバメ)工程は終了する。
(実施形態2)
次に本発明の実施形態2について説明する。実施形態2において、組み付け体50の外周に焼きバメする外筒105の斜視図を図14に示す。また、この外筒105の中心軸位置における側断面図を図15に示す。
本実施形態では、実施形態1で用いた外筒5の代わりに外筒105を用いる。他の構成は実施形態1と同様である。なお、鍔105aは鍔5aに対応し、貫通孔105bは貫通孔5bに対応し、筒部105cは筒部5cに対応する。
実施形態1では外筒5の筒部5cの内径を真円になるようにしたが、実施形態2の外筒105では、その筒部5cの内径は真円ではなく、鍔105aを設ける部位で外側に膨らんだ形状になっている。すなわち、実施形態2では、外筒105と組み付け体50との間の締め代が、外筒105の剛性の高い鍔105aのある部分の締め代を、剛性の低い鍔105aのない部分との周方向の締め代よりも小さくすることで、外筒105と組み込み体50とを嵌合したときの変位量差を抑えている。
図15では、外筒105の筒部105cに内接する(鍔105aがない部分で接する)真円を二点鎖線で示している。この二点鎖線で示した真円の径をBとする。また、真円の径Bと鍔部における外筒の外側への膨らみ量との和をDとする。実施形態2では、この二点鎖線で示した真円の径が、実施形態2の外筒105の内径寸法と等しくなるようにする。一方、鍔105aがある部分は径差(D−B)だけ締め代が大きくなっている。
以上のように、実施形態2によれば、コア内径の真円度の低下の問題を解消することができる。本実施形態では、鍔105aを外筒105の軸方向一端側において外筒105の中心軸から離れる方向に設けることにより、この鍔105aは、外筒105の剛性を高めながらも組み付け体50の挿入を邪魔することなく、組み付け体50の嵌合が容易となる。
(実施形態3)
次に本発明の実施形態3について説明する。実施形態3において、組み付け体50の外周に焼きバメする外筒205の斜視図を図16に示す。また、この外筒205の中心軸位置における側断面図を図17に示す。
本実施形態では、実施形態1で用いた外筒5の代わりに外筒205を用いる。他の構成は実施形態1と同様である。なお、鍔205aは鍔5aに対応し、貫通孔205bは貫通孔5bに対応し、筒部205cは筒部5cに対応する。
実施形態1では、外筒5の筒部5cの内径が、外筒5の軸方向の位置にかかわらず一定であるようにしたが、実施形態5の外筒205では、その筒部205cの内径は、軸方向一端側(図20および図21における上端側)から他端側(図20および図21における下端側)にかけてテーパを有して徐々に小さくなる形状になっている。すなわち、実施形態3では、外筒205と組み付け体50との間の締め代が、外筒205の軸方向において一端側から他端側へ漸増し、均一でない状態になっている。
図17に示すように、本実施形態において筒部205cの内径は、軸方向上端側でEであり、軸方向下端側でB(ただし、B<E)である。この軸方向下端側内径Bを、実施形態3の外筒205の内径寸法と等しくなるようにする。一方、軸方向上端側では径差(E−B)だけ締め代が小さくなっている。
以上のように、実施形態5によれば、コア内径の真円度の低下の問題を解消することができる。
本実施形態では、鍔205aを外筒205の軸方向一端側において外筒205の中心軸から離れる方向に設けることにより、この鍔205aは、外筒205の剛性を高めながらも組み付け体50の挿入を邪魔することなく、組み付け体50の嵌合が容易となる。
また本実施形態によれば、外筒205の剛性の高い鍔205aのある部分(軸方向一端側)と剛性の低い鍔205aのない部分(軸方向他端側)との軸方向の締め代を、同一にしないことで、外筒205と組み込み体50とを嵌合したときの変位量差を抑え、真円度を高くすることができる。
(実施形態4)
次に本発明の実施形態4について説明する。実施形態4において、組み付け体50の外周に焼きバメする外筒305の斜視図を図18に示す。また、この外筒305の平面図を図19に示す。
本実施形態では、実施形態1で用いた外筒5の代わりに外筒305を用いる。他の構成は実施形態1と同様である。なお、鍔305aは鍔5aに対応し、貫通孔305bは貫通孔5bに対応し、筒部305cは筒部5cに対応する。
本実施形態の外筒305は、外筒305の軸方向一端側(図18および図19における下端側)の内周面に鍔305dを設けている。この鍔305d(内鍔)は、外筒305の中心軸に向かう方向に設けられている。このため、外筒305への組み付け体50の挿入が進むと、組み付け体50が外筒305の鍔305dに当接し挿入が完了する。
本実施形態では、外筒305の片側に鍔305dを設けることにより、外筒305の周方向の剛性が高くなり、組み付け体50の組み付け状態の影響を抑えつつ、組み付け体50と外筒305との嵌合が可能となり、組み付け体50の内側の真円度を高く維持することができる。また、鍔305dを外筒305の軸方向一端側において外筒305の中心軸に向かう方向に設けることにより、この鍔305dがストッパになり、外筒305に嵌め込まれた組み付け体50がこの一端側において外筒305から飛び出すことを防止することができ、信頼性が向上する。また、鍔305dを、組み付け体50を挿入する際の位置決めとして用いることもできる。
なお、鍔305dを、実施形態1から3の外筒にそれぞれ組み合わせることによって、各実施形態の効果に加えて、上記の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態1から4では、鍔(5a、105a)を、外筒(5、105)の軸方向の一端側に設けた(図2、図12、図14、図16、図18を参照)。この形態に代えて、軸方向の両端側や中間位置(上端面から下端面までの間)に設けてもよい。これらの場合でも、一端側に設ける場合と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態1から4では、コア組み付け体の外周と外筒の内周との嵌合において、焼きバメを用いたが、必要な嵌合力を得るために、外周面と内周面との圧入によって、勘合するなどしても、よい。
本発明は、電気・ハイブリッド車両に搭載する回転電機に適用することができ、その回転電機の固定子コアの内周を真円に近くすることができ、回転電機の小型化、出力向上に有効である。
1 回転電機
3 固定子
30 固定子コア
31a、31b スロット
32 分割コア
321 バックコア部
4 固定子コイル
43 スロット収容部
44 ターン部
47 組み込み体
48 巻き取り体
431 直状部
471 直状重ね合わせ部
472 隙間
481 直状積層部
5、105、205、305 外筒
5a、105a、205a、305a 鍔(外鍔)
5b、105b、205b、305b 貫通孔
5c,105c、205c、305c 筒部
305d 鍔(内鍔)

Claims (5)

  1. 複数の相巻線を有し、分割コアを組み付けたコア組み付け体の外周に外筒を所定の締め代で嵌合固定してなる回転電機の固定子であって、
    前記外筒の軸方向端側のうち少なくとも一方に、前記外筒の中心軸から離れる方向に設ける鍔を有し、
    前記鍔が前記外筒の周方向に少なくとも2つ以上に分割配置されているものであって、
    前記締め代は、前記外筒の周方向において均一でなく、前記鍔に対応する位置における前記締め代が、前記鍔に対応しない位置における前記締め代よりも小さいことを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記鍔は前記外筒の軸方向の一端側にのみ配置され、前記締め代は前記外筒の軸方向において均一でなく、前記一端側の前記締め代が前記一端側に対して軸方向反対側に位置する他端側の前記締め代よりも小さいことを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記締め代が、前記外筒の軸方向において前記一端側から前記他端側へ漸増していることを特徴とする請求項に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記外筒は、軸方向の一端側において中心軸から離れる方向に設けられた鍔と、軸方向の他端側において中心軸に向かう方向に設けられた鍔とを有することを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の回転電機の固定子。
  5. 前記嵌合固定は、焼きバメであることを特徴とする請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の回転電機の固定子。
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