JP2015019452A - コイル及びコイル形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルを複数の同心巻部を用いて形成する場合に、コイルの製造工数の低減を図ることのできる技術を実現する。【解決手段】コイル3は、複数本の渡り部60を備える同心巻部を、複数備える。同心巻部の第一コイル辺部及び第二コイル辺部の一方が、周方向Cに隣接する他の同心巻部の第一コイル辺部と第二コイル辺部との周方向Cの間に配置されるように、複数の同心巻部が周方向Cに沿って配置される。同心巻部のそれぞれの巻回数が、1つのスロット40に配置されるコイル辺部の本数と同数に設定される。周方向Cに隣接する2つの同心巻部のそれぞれの周方向Cの配置領域が重複する重複領域Aにおいて、一方の同心巻部の複数本の渡り部60と、他方の同心巻部の複数本の渡り部60とが、1本ずつ又は複数本ずつ径方向Rに交互に配置される。【選択図】図2
Description
本発明は、円筒状のコア基準面の軸方向に延びるスロットがコア基準面の周方向に複数分散配置されているコアに巻装されるコイル、及び当該コイルを形成するコイル形成方法に関する。
上記のようなコイルとして、特開2008−104293号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。特許文献1には、一対のスロット間に複数回巻回される同心巻部を複数用いて、コイルを形成する技術が記載されている。1つのコイル辺部の径方向の配置領域を1層とすると、特許文献1の構成では、当該文献の図8に示されるように、1つの同心巻部が備える複数のコイル辺部は、一対のスロットのそれぞれにおいて、6つの層のうちの径方向の内側又は外側の3つの層に配置される。そして、残りの3つの層には、他の同心巻部が備えるコイル辺部が配置される。すなわち、1つのスロットの内部には、2つの同心巻部の一方のコイル辺部の群(ここでは3本のコイル辺部)と他方のコイル辺部の群とが、径方向Rに並べて配置される。特開2012−125043号公報(特許文献2)に記載の構成においても、1つのスロットの内部には、2つの同心巻部のそれぞれのコイル辺部が配置される。
ところで、同心巻部同士の接合部の個数は、コイルの製造工数を少なくするという観点から、少ないことが望ましい。また、複数の同心巻部を円環状に並べた状態で、複数のコア片を径方向内側に移動させて各スロットの内部にコイル辺部を挿入する場合には、コア片の組み付け性の観点から、各スロット内でのコイル辺部の周方向の位置のばらつきが少ないことが望ましい。しかしながら、特許文献1や特許文献2では、これらの点について特段の認識がなされておらず、特許文献1や特許文献2の技術には改善の余地があった。
そこで、コイルを複数の同心巻部を用いて形成する場合に、コイルの製造工数の低減を図ることのできる技術の実現が望まれる。
本発明に係る円筒状のコア基準面の軸方向に延びるスロットが前記コア基準面の周方向に複数分散配置されているコアに巻装されるコイルの特徴構成は、一対の前記スロット間に複数回巻回される同心巻部を複数備え、前記同心巻部のそれぞれは、前記周方向の一方側に配置される複数本の第一コイル辺部と、前記周方向の他方側に配置される複数本の第二コイル辺部とを、前記スロットの内部に配置されるコイル辺部として備えると共に、前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部とを前記コアの前記軸方向の外側において接続する複数本の渡り部を備え、前記同心巻部の前記第一コイル辺部及び前記第二コイル辺部の一方が、前記周方向に隣接する他の前記同心巻部の前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部との前記周方向の間に配置されるように、複数の前記同心巻部が前記周方向に沿って配置され、前記同心巻部のそれぞれの巻回数が、1つの前記スロットに配置される前記コイル辺部の本数と同数に設定され、前記周方向に隣接する2つの前記同心巻部のそれぞれの前記周方向の配置領域が重複する重複領域において、一方の前記同心巻部の複数本の前記渡り部と、他方の前記同心巻部の複数本の前記渡り部とが、1本ずつ又は複数本ずつ前記コア基準面の径方向に交互に配置されている点にある。
上記の特徴構成によれば、同心巻部のそれぞれの巻回数が、1つのスロットに配置されるコイル辺部の本数と同数に設定されるため、各スロットの内部に1つの同心巻部に備えられた複数のコイル辺部を配置することで、コイルを形成することができる。よって、同心巻部のそれぞれの巻回数が、1つのスロットに配置されるコイル辺部の本数より少なく設定され、各スロットの内部に複数の同心巻部のそれぞれに備えられた複数のコイル辺部を配置する必要がある場合に比べて、コイルを形成するために必要な同心巻部の個数を少なく抑えることができる。よって、同心巻部の個数が少なくなることに応じて同心巻部同士の接合部の個数を少なく抑えることができ、結果、コイルの製造工数の低減を図ることができる。
更に、上記の特徴構成によれば、各スロットの内部には、1つの同心巻部に備えられた複数のコイル辺部のみが配置されるため、各スロットの内部に複数の同心巻部のそれぞれに備えられた複数のコイル辺部を配置する必要がある場合に比べて、各スロットの内部における複数のコイル辺部同士の位置を合わせることが容易となる。よって、例えば、複数の同心巻部を円環状に並べた状態で、複数のコア片を径方向内側に移動させて各スロットの内部にコイル辺部を挿入する場合に、コア片の組み付け性の向上を図り、それによっても製造工数を低減することができる。
更に、上記の特徴構成によれば、各スロットの内部には、1つの同心巻部に備えられた複数のコイル辺部のみが配置されるため、各スロットの内部に複数の同心巻部のそれぞれに備えられた複数のコイル辺部を配置する必要がある場合に比べて、各スロットの内部における複数のコイル辺部同士の位置を合わせることが容易となる。よって、例えば、複数の同心巻部を円環状に並べた状態で、複数のコア片を径方向内側に移動させて各スロットの内部にコイル辺部を挿入する場合に、コア片の組み付け性の向上を図り、それによっても製造工数を低減することができる。
ここで、前記同心巻部のそれぞれにおける、複数本の前記渡り部のそれぞれの前記重複領域での前記径方向の幅の平均値が、1つの前記スロットに配置される複数本の前記コイル辺部のそれぞれの前記径方向の幅の平均値よりも小さい構成とすると好適である。
この構成によれば、渡り部により構成されるコイルエンド部の径方向の幅を抑制することができる。よって、例えばコアがステータコアである場合に、コイルエンド部がステータコアよりも径方向に大きくなることを抑制しつつ、コアに対して径方向に見て重複する位置にロータを組み付ける工程の簡素化を図ることができる。
また、前記スロットのそれぞれにおいて、前記コイル辺部が前記径方向に沿って一列に並んで配置される構成とすると好適である。
この構成によれば、コイル辺部が径方向に沿って複数列に並んで配置される場合に比べて、同心巻部の形状を簡素なものとして、同心巻部の製造工程の簡素化を図ることができる。
また、前記渡り部のそれぞれは、前記第一コイル辺部との接続部である第一接続部と、前記第二コイル辺部との接続部である第二接続部と、前記第一接続部と前記第二接続部との間において前記周方向に延びる本体部とを備え、前記同心巻部のそれぞれにおける、複数本の前記渡り部のそれぞれの前記本体部での前記軸方向の幅の平均値が、1つの前記スロットに配置される複数本の前記コイル辺部のそれぞれの前記周方向の幅の平均値よりも大きい構成とすると好適である。
この構成によれば、上述した、同心巻部のそれぞれにおける、複数本の渡り部のそれぞれの重複領域での径方向の幅の平均値が、1つのスロットに配置される複数本のコイル辺部のそれぞれの径方向の幅の平均値よりも小さい構成を、コイル辺部と本体部との間での断面積の差が大きくなることを抑制しつつ実現することができる。
また、前記同心巻部のそれぞれの前記渡り部は、前記周方向の一方側に隣接する他の前記同心巻部の前記渡り部と前記周方向の配置領域が重複する第一重複部と、前記周方向の他方側に隣接する他の前記同心巻部の前記渡り部と前記周方向の配置領域が重複する第二重複部と、前記第一重複部と前記第二重複部とを連結する連結部とを備え、前記第一重複部及び前記第二重複部のそれぞれは、前記軸方向に見て、前記周方向に沿って延びる円弧状に形成され、前記第一重複部と前記第二重複部とが前記径方向における互いに異なる位置に配置されると共に、前記連結部の少なくとも一部が、隣接する前記スロット間に形成されるティースと前記周方向の同じ位置に配置される構成とすると好適である。
この構成によれば、第一重複部と第二重複部とが径方向における互いに異なる位置に配置されるため、複数の同心巻部のそれぞれを、互いに干渉させることなく、周方向の配置領域を一部重複させながら周方向に沿って配置することが可能となる。この際、連結部の少なくとも一部が、ティースと周方向の同じ位置に配置されるため、連結部を他の同心巻部と干渉させることなく配置することが容易となる。
また、前記渡り部のそれぞれが、前記軸方向に直交する面に沿って延びる部分を有する構成とすると好適である。
この構成によれば、渡り部により構成されるコイルエンド部の軸方向の幅を抑制することができる。また、上記のように渡り部が連結部を備える場合には、連結部を構成する屈曲部を渡り部に形成する必要がある。この構成によれば、連結部を、渡り部における軸方向に直交する面に沿って延びる部分(すなわち、径方向に見て直線状の部分)に形成することができるため、渡り部における径方向に見て屈曲している屈曲部に更に連結部を形成する場合に比べて、絶縁皮膜の損傷を抑制しつつ連結部を設けることが容易となると共に、成形荷重を小さく抑えて同心巻部の製造工程の簡素化を図ることができる。
また、前記同心巻部が第一同心巻部であり、一対の前記スロット間に複数回巻回される第二同心巻部を、前記第一同心巻部のそれぞれに対応させて、前記第一同心巻部と同数備え、前記第二同心巻部のそれぞれは、前記第一同心巻部を前記軸方向及び前記周方向のそれぞれにおいて縮小した形状を備えると共に、対応する前記第一同心巻部と前記径方向の同じ位置に同心状に配置されている構成とすると好適である。
この構成によれば、第二同心巻部の渡り部を、対応する第一同心巻部の渡り部に対して径方向に見て重複しないように配置することができる。すなわち、第二同心巻部の渡り部を、対応する第一同心巻部の渡り部に対して軸方向に並べて配置することができるため、上記のように渡り部のそれぞれが軸方向に直交する面に沿って延びる部分を有する構成を、容易に実現することができる。
本発明に係るコイル形成方法の特徴構成は、巻回軸周りの螺旋状に線状導体を巻回して形成された環状コイルを、上述した同心巻部として用意する準備工程と、前記コアに巻装された状態に比べて前記巻回軸に沿う方向に引き伸ばされた形状の複数の前記同心巻部を、前記周方向に沿って並べる配置工程と、前記同心巻部のそれぞれを前記巻回軸に沿う方向に縮めて、前記コアに巻装された状態と同じ形状に成形する成形工程と、を備え、前記配置工程の開始から前記成形工程の終了までの間に、前記同心巻部の複数本の前記コイル辺部のそれぞれを、前記周方向に隣接する他の前記同心巻部である隣接同心巻部に形成された前記径方向の隙間を通して、当該隣接同心巻部の前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部との前記周方向の間に配置する点にある。
同心巻部の形状は、巻回軸に沿う方向に引き伸ばした場合には、径方向に隣接する部分同士の間の径方向の隙間が広くなり、巻回軸に沿う方向に縮めた場合には、当該径方向の隙間が狭くなる形状である。上記の特徴構成によれば、同心巻部の形状についての上記性質を有効に利用して、比較的容易に、同心巻部の複数本のコイル辺部のそれぞれが隣接同心巻部の第一コイル辺部と第二コイル辺部との周方向の間に配置されるように、複数の同心巻部を周方向に沿って配置することができる。
本発明に係るコイル及びコイル形成方法の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、本発明に係るコイルを、図1に示すように、回転電機のステータ1に巻装されるコイル3に適用した場合を例として説明する。すなわち、本実施形態では、ステータ1のコアであるステータコア2が、本発明における「コア」に相当する。なお、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
以下の説明では、特に区別して明記している場合を除き、「軸方向L」、「周方向C」、及び「径方向R」は、円筒状のコア基準面S(図1〜図3参照)を基準として定義している。「軸第一方向L1」は、軸方向Lにおける一方側へ向かう方向を表し、「軸第二方向L2」は、軸方向Lにおける他方側へ向かう方向(軸第一方向L1とは反対方向)を表す。「周第一方向C1」は、周方向Cにおける一方側へ向かう方向を表し、「周第二方向C2」は、周方向Cにおける他方側へ向かう方向(周第一方向C1とは反対方向)を表す。ここでは、図1に示すように、軸第一方向L1側から軸方向Lに沿って見た場合の時計回り方向が、周第一方向C1である。
以下では、コイル3がステータコア2に巻装された状態(図1参照)を想定して、ステータコア2に巻装される前の状態のコイル3の説明においても、軸方向L、周方向C、及び径方向Rの各方向を用いて説明する。また、本明細書では、寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態も含む概念として用いている。
1.ステータの全体構成
ステータ1は、図1及び図2に示すように、ステータコア2と、ステータコア2に巻装されるコイル3とを備えている。ステータ1は、回転界磁型の回転電機に用いられるステータであり、電機子として機能する。ステータコア2の径方向Rの内側には、永久磁石や電磁石等を備える界磁としてのロータ(図示せず)が配置され、ステータ1から発生する回転磁界よりロータが回転する。本実施形態では、ステータ1は、三相交流(多相交流の一例)で駆動される回転電機のステータであり、U相コイル、V相コイル、及びW相コイルの3つの相コイルを備えたコイル3が、ステータコア2に巻装される。
ステータ1は、図1及び図2に示すように、ステータコア2と、ステータコア2に巻装されるコイル3とを備えている。ステータ1は、回転界磁型の回転電機に用いられるステータであり、電機子として機能する。ステータコア2の径方向Rの内側には、永久磁石や電磁石等を備える界磁としてのロータ(図示せず)が配置され、ステータ1から発生する回転磁界よりロータが回転する。本実施形態では、ステータ1は、三相交流(多相交流の一例)で駆動される回転電機のステータであり、U相コイル、V相コイル、及びW相コイルの3つの相コイルを備えたコイル3が、ステータコア2に巻装される。
ステータコア2には、軸方向L及び径方向Rに延びるスロット40が、周方向Cに複数分散配置されている。複数のスロット40は、周方向Cに沿って一定間隔で配置されている。本実施形態では、毎極毎相あたりのスロット数が“2”であり、ステータコア2には、各相用のスロット40が、2つずつ周方向Cに沿って繰り返し現れるように配置されている。周方向Cに隣接する2つのスロット40の間には、ティース23が形成される。上述した「円筒状のコア基準面S」は、スロット40の配置や構成に関して基準となる仮想面であり、本実施形態では、図1〜図3に示すように、複数のティース23のそれぞれの径方向Rの内側の端面を含む円筒状の仮想面(コア内周面)を、コア基準面Sとしている。ステータコア2の径方向Rの外側の面(コア外周面)等をコア基準面Sとしても良い。
スロット40のそれぞれは、ステータコア2を軸方向Lに貫通するように形成されている。スロット40のそれぞれは、径方向Rの内側に向けて開口する開口部を有する。本実施形態では、スロット40のそれぞれは、周方向Cの中央部が径方向Rに平行に延びるように形成されている。また、本実施形態では、スロット40のそれぞれはオープンスロットであり、ティース23の径方向Rの内側の端部には、セミオープンスロットの場合に備えられるような周方向Cに突出する突出部は形成されていない。
本実施形態では、図3に示すように、ステータコア2には、スロット40として、第一スロット41と第二スロット42との2種類のスロットが形成されている。第一スロット41と第二スロット42とは、1つずつ周方向Cに沿って交互に配置されている。第一スロット41は、周方向Cの幅が径方向Rに沿って均一に形成されている。すなわち、第一スロット41は平行スロットであり、第一スロット41の周方向Cの両側の側面部(周方向Cに対向する2つの側面部)は、互いに平行に形成されている。第二スロット42は、周方向Cの幅が径方向Rの位置により異なるように形成されている。具体的には、第二スロット42は、径方向Rの内側の端部が径方向Rの外側の端部よりも周方向Cの幅が小さくなるように形成されている。本例では、第二スロット42は、周方向Cの幅が径方向Rの内側に向かうに従って次第に小さくなるように形成されている。
ステータコア2は、図1〜図3に示すように、複数のコア片20を周方向Cに沿って環状に配置して構成される。コア片20のそれぞれは、周方向Cに延びる本体部(ヨーク部)と、当該本体部から径方向Rの内側に延びるティース23とを備え、当該本体部の周方向Cの両側の端面が、隣接するコア片20との接合面とされる。本実施形態では、この接合面は、スロット40(本例では第二スロット42)と周方向Cの同じ位置に形成されている。すなわち、本実施形態では、円筒状のステータコア2は、スロット40(本例では第二スロット42)の底部(径方向Rにおける開口部とは反対側の部分)と周方向Cの同じ位置において、複数のコア片20に分割(本例では24分割)されている。環状に配置された複数のコア片20は、本実施形態では、径方向Rの外側の面(外周面)に嵌合された円筒状の固定部材4を用いて、互いに移動不能に固定される。コア片20は、例えば、複数枚の磁性体板(例えば、ケイ素鋼板等の電磁鋼板)を積層して構成され、或いは、磁性材料の粉体を加圧成形してなる圧粉材を主な構成要素として構成される。
本実施形態では、複数のコア片20は、互いに同じ形状を有している。また、本実施形態では、図3に示すように、コア片20のそれぞれは、2つのティース23を備えている。本実施形態では、ステータコア2には合計で48個のティース23が形成されており、ステータコア2は、24個のコア片20を周方向Cに沿って環状に配置して構成される。1つのコア片20に形成された2つのティース23の間に第一スロット41が形成され、隣接する2つのコア片20のそれぞれのティース23の間に第二スロット42が形成される。ステータ1を製造する際には、ステータコア2に巻装された状態と同じ円筒状に形成されたコイル3に対して、複数のコア片20を径方向Rの外側から挿入する。
2.コイルの構成
コイル3は、線状の導体である線状導体34により構成される。線状導体34は、導電性を有する材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属)を用いて形成される。本実施形態では、図3に示すように、線状導体34として、延在方向に直交する断面の形状がスロット40の断面形状に合う形状の導体を用いている。なお、以下の説明では、特に断らない限り、コイル3の各部についての「断面」は、線状導体34の延在方向に直交する断面を意味する。線状導体34の表面は、他の導体との接続部等の一部を除いて、樹脂等からなる絶縁皮膜により被覆されている。
コイル3は、線状の導体である線状導体34により構成される。線状導体34は、導電性を有する材料(例えば、銅やアルミニウム等の金属)を用いて形成される。本実施形態では、図3に示すように、線状導体34として、延在方向に直交する断面の形状がスロット40の断面形状に合う形状の導体を用いている。なお、以下の説明では、特に断らない限り、コイル3の各部についての「断面」は、線状導体34の延在方向に直交する断面を意味する。線状導体34の表面は、他の導体との接続部等の一部を除いて、樹脂等からなる絶縁皮膜により被覆されている。
コイル3は、図2〜図4に示すように、スロット40の内部に配置されるコイル辺部30と、一対のコイル辺部30をステータコア2の軸方向Lの外側において接続する渡り部60とを備える。図3に示すように、各スロット40には複数本のコイル辺部30が配置される。すなわち、1本のコイル辺部30の径方向Rの配置領域を1層とすると、各スロット40には、コイル辺部30が複数の層に分かれて配置される。本実施形態では、各スロット40にはコイル辺部30が8層に分かれて配置され、各スロット40には8本のコイル辺部30が配置される。本実施形態では、スロット40のそれぞれにおいて、コイル辺部30が径方向Rに沿って一列に並んで配置される。
上述したように、第一スロット41は、周方向Cの幅が径方向Rに沿って均一に形成されるため、第一スロット41に配置される複数本のコイル辺部30は、互いに同じ断面形状を有する。一方、第二スロット42は、周方向Cの幅が径方向Rの位置により異なるように形成されるため、第二スロット42に配置される複数本のコイル辺部30は、互いに異なる断面形状を有する。ここで、複数本のコイル辺部30は互いに同等の断面積を有する。そのため、第二スロット42に配置されるコイル辺部30は、スロット幅が小さくなるのに応じて、周方向Cの幅が小さくなると共に径方向Rの幅が大きくなる。本実施形態では、第二スロット42は、周方向Cの幅が径方向Rの内側に向かうに従って次第に小さくなるように形成されている。そのため、第二スロット42に配置される複数本のコイル辺部30のそれぞれは、径方向Rの外側に隣接する層に配置された他のコイル辺部30よりも径方向Rの幅が広く、径方向Rの内側に隣接する層に配置された他のコイル辺部30よりも径方向Rの幅が狭くなっている。また、第二スロット42に配置される複数本のコイル辺部30のそれぞれは、径方向Rの外側に隣接する層に配置された他のコイル辺部30よりも周方向Cの幅が狭く、径方向Rの内側に隣接する層に配置された他のコイル辺部30よりも周方向Cの幅が広く形成されている。
コイル3は、図2〜図6に示すように、複数の同心巻部50を用いて形成される。本実施形態では、後述するように、同心巻部50として、第一同心巻部51と第二同心巻部52とが用いられる。本実施形態では、スロット40の個数の半分である24個の同心巻部50を用いて、コイル3が形成される。同心巻部50は、一対のスロット40間に複数回巻回される単コイル部(重ね巻部)である。同心巻部50は、ステータコア2に巻装される前に螺旋状に成形されるカセットコイルである。本実施形態では、同心巻部50は、1本の線状導体34を螺旋状に複数回巻回して形成される。同心巻部50のそれぞれの巻回数は、1つのスロット40に配置されるコイル辺部30の本数と同数に設定される。本実施形態では、1つのスロット40には8本のコイル辺部30が配置され、同心巻部50のそれぞれの巻回数は“8”に設定されている。線状導体34における延在方向の両側の端部のそれぞれが、同心巻部50の端部50aを構成する。図2及び図5に示すように、同心巻部50の一対の端部50aのそれぞれは、ステータコア2に対して軸第一方向L1側に配置される。各同心巻部50の端部50aのそれぞれは、他の同心巻部50の端部50aと接合され、或いは、電源端子や中性点等に接続される。
図3及び図5に示すように、同心巻部50のそれぞれは、周第一方向C1側に配置される複数本の第一コイル辺部31と、周第二方向C2側に配置される複数本の第二コイル辺部32とを、コイル辺部30として備える。1つの同心巻部50が備える複数本の第一コイル辺部31は、1つのスロット40において、間に他のコイル辺部30を挟むことなく径方向Rに一列に並んで配置される。1つの同心巻部50が備える複数本の第二コイル辺部32は、別の1つのスロット40において、間に他のコイル辺部30を挟むことなく径方向Rに一列に並んで配置される。
また、同心巻部50のそれぞれは、複数本の渡り部60を備え、渡り部60のそれぞれは、第一コイル辺部31と第二コイル辺部32とをステータコア2の軸方向Lの外側において接続する。軸方向Lの同じ側に配置される複数本の渡り部60は、互いに同様の形状を有する。本実施形態では、軸第一方向L1側の渡り部60は、互いに異なるスロット40内の互いに隣接する層にそれぞれ配置された第一コイル辺部31と第二コイル辺部32とを接続する。本例では、軸第一方向L1側の渡り部60は、第一コイル辺部31と、当該第一コイル辺部31に対して径方向Rの外側に隣接する層に配置された第二コイル辺部32とを、接続する。また、軸第二方向L2側の渡り部60は、互いに異なるスロット40内の互いに同じ層にそれぞれ配置された第一コイル辺部31と第二コイル辺部32とを接続する。渡り部60は、ステータコア2から軸方向Lに突出するコイル3の部分であるコイルエンド部を形成する。
1つの同心巻部50が備える複数本の第一コイル辺部31、複数本の第二コイル辺部32、及び複数本の渡り部60のそれぞれは、本実施形態では、1本の線状導体34における延在方向の互いに異なる部分により形成される。そして、同心巻部50の各部は、互いに同等の断面積を有する。
本実施形態では、コイル3は、同心巻部50として、第一同心巻部51と第二同心巻部52とを備えている。第二同心巻部52は、第一同心巻部51のそれぞれに対応させて、第一同心巻部51と同数備えられる。本実施形態では、コイル3は、12個の第一同心巻部51と12個の第二同心巻部52とを備えている。図5及び図6に示すように、第二同心巻部52のそれぞれは、第一同心巻部51を軸方向L及び周方向Cのそれぞれにおいて縮小した形状を備える。なお、ここでの「縮小」は、各方向における配置位置の縮小(各方向における同心巻部50の配置領域の縮小)を意味し、線状導体34の断面形状の縮小を意味しない。また、第二同心巻部52のそれぞれは、対応する第一同心巻部51と径方向Rの同じ位置に同心状に配置されている。すなわち、第二同心巻部52のそれぞれは、対応する第一同心巻部51と周方向Cの同じ位置に配置されている。そして、第一同心巻部51と第二同心巻部52とは、対応する部分同士(例えば、渡り部60の各部同士)が径方向Rの同じ位置に配置される。本実施形態では、第一同心巻部51が本発明における「同心巻部」に相当する。
互いに同心状に配置された第一同心巻部51と第二同心巻部52とにより、図5に示すように、同心巻セット10が構成される。1つの同心巻セット10を構成する第一同心巻部51と第二同心巻部52とは、本実施形態では、互いに直列に接続される。図3に示すように、本実施形態では、第一同心巻部51の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32とは、スロット40の配設ピッチの7倍だけ離間して配置された一対のスロット40に分かれて配置され、第二同心巻部52の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32とは、スロット40の配設ピッチの5倍だけ離間して配置された一対のスロット40に分かれて配置される。そして、図1、図2、図6に示すように、本実施形態に係るコイル3は、複数の同心巻セット10を周方向Cの位置をずらしながら配置することで形成される。本実施形態では、スロット40の個数の4分の1である12個の同心巻セット10を、周方向Cの一方側にスロット40の配設ピッチの4倍ずつずらしながら配置することで、コイル3が形成される。
コイル3を構成する複数の同心巻セット10は、周方向Cの配設位置が異なる点を除いて、互いに同様に構成されている。そのため、以下では、1つの同心巻セット10に着目して、同心巻セット10の構成について説明する。なお、図1、図2、図3、図6では、着目する1つの同心巻セット10について濃いハッチングを施している。また、以下では、着目する1つの同心巻セット10に対して周第一方向C1側に隣接する同心巻セット10を第一隣接同心巻セット11とし、着目する1つの同心巻セット10に対して周第二方向C2側に隣接する同心巻セット10を第二隣接同心巻セット12とする。
図3に示すように、第二同心巻部52の第一コイル辺部31は、第一同心巻部51の第一コイル辺部31が配置されるスロット40に対して周第二方向C2側に隣接するスロット40に配置される。本実施形態では、第一同心巻部51の第一コイル辺部31は第一スロット41に配置され、第二同心巻部52の第一コイル辺部31は第二スロット42に配置される。また、第二同心巻部52の第二コイル辺部32は、第一同心巻部51の第二コイル辺部32が配置されるスロット40に対して周第一方向C1側に隣接するスロット40に配置される。本実施形態では、第一同心巻部51の第二コイル辺部32は第二スロット42に配置され、第二同心巻部52の第二コイル辺部32は第一スロット41に配置される。このように、本実施形態では、第一同心巻部51と第二同心巻部52とでは、第一コイル辺部31が配置されるスロット40の種類が互いに異なると共に、第二コイル辺部32が配置されるスロット40の種類が互いに異なる。
図5に示すように、第二同心巻部52の軸第一方向L1側の渡り部60は、第一同心巻部51の軸第一方向L1側の渡り部60に対して径方向Rに見て重複しないように、第一同心巻部51の軸第一方向L1側の渡り部60よりも軸第二方向L2側に配置される。また、第二同心巻部52の軸第二方向L2側の渡り部60は、第一同心巻部51の軸第二方向L2の渡り部60に対して径方向Rに見て重複しないように、第一同心巻部51の軸第二方向L2側の渡り部60よりも軸第一方向L1側に配置される。すなわち、第二同心巻部52は、渡り部60が第一同心巻部51の渡り部60に対して径方向R視で重複しないように、第一同心巻部51の内側に配置される。なお、本実施形態では、第一同心巻部51の渡り部60は、スロット40の配設ピッチの7倍だけ離間して配置された一対のコイル辺部30を接続し、第二同心巻部52の渡り部60は、スロット40の配設ピッチの5倍だけ離間して配置された一対のコイル辺部30を接続する。
図6に示すように、同心巻セット10の第一コイル辺部31及び第二コイル辺部32の一方が、周方向Cに隣接する他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置されるように、複数の同心巻セット10が周方向Cに沿って配置される。ここで、同心巻セット10の第一コイル辺部31は、当該同心巻セット10を構成する同心巻部50のそれぞれの第一コイル辺部31の群により構成され、同心巻セット10の第二コイル辺部32は、当該同心巻セット10を構成する同心巻部50のそれぞれの第二コイル辺部32の群により構成される。具体的には、同心巻セット10の第一コイル辺部31が、第一隣接同心巻セット11の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置され、同心巻セット10の第二コイル辺部32が、第二隣接同心巻セット12の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。
第一同心巻部51及び第二同心巻部52のそれぞれについて見ると、第一同心巻部51の第一コイル辺部31及び第二コイル辺部32の一方が、周方向Cに隣接する他の第一同心巻部51の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置されるように、複数の第一同心巻部51が周方向に沿って配置される。また、第二同心巻部52の第一コイル辺部31及び第二コイル辺部32の一方が、周方向Cに隣接する他の第二同心巻部52の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置されるように、複数の第二同心巻部52が周方向に沿って配置される。具体的には、第一同心巻部51の第一コイル辺部31が、第一隣接同心巻セット11の第一同心巻部51に備えられる第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置され、第二同心巻部52の第一コイル辺部31が、第一隣接同心巻セット11の第二同心巻部52に備えられる第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。この際、第一同心巻部51の第一コイル辺部31も、第一隣接同心巻セット11の第二同心巻部52に備えられる第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。また、第一同心巻部51の第二コイル辺部32が、第二隣接同心巻セット12の第一同心巻部51に備えられる第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置され、第二同心巻部52の第二コイル辺部32が、第二隣接同心巻セット12の第二同心巻部52に備えられる第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。この際、第一同心巻部51の第二コイル辺部32も、第二隣接同心巻セット12の第二同心巻部52に備えられる第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。
そして、図2に示すように、周方向Cに隣接する2つの同心巻部50のそれぞれの周方向Cの配置領域が重複する重複領域Aにおいて、一方の同心巻部50の複数本の渡り部60と、他方の同心巻部50の複数本の渡り部60とが、1本ずつ又は複数本ずつ径方向Rに交互に配置される。本実施形態では、重複領域Aは、周方向Cに隣接する2つの同心巻セット10のそれぞれの周方向Cの配置領域が重複する領域である。そして、重複領域Aにおいて、一方の同心巻セット10の第一同心巻部51の複数本の渡り部60と、他方の同心巻セット10の第一同心巻部51の複数本の渡り部60とが、1本ずつ又は複数本ずつ径方向Rに交互に配置されると共に、一方の同心巻セット10の第二同心巻部52の複数本の渡り部60と、他方の同心巻セット10の第二同心巻部52の複数本の渡り部60とが、1本ずつ又は複数本ずつ径方向Rに交互に配置される。本実施形態では、重複領域Aにおいて、一方の同心巻部50の複数本の渡り部60と、他方の同心巻部50の複数本の渡り部60とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。以下、このような構成を実現するための渡り部60の構成について説明する。
図5、図7、図8に示すように、渡り部60のそれぞれは、第一コイル辺部31との接続部である第一接続部61と、第二コイル辺部32との接続部である第二接続部62と、第一接続部61と第二接続部62との間において周方向Cに延びる本体部80とを備えている。なお、図7及び図8では、発明の理解を容易にすべく、第一同心巻部51及び第二同心巻部52のそれぞれを、巻回軸に沿う方向(ステータコア2に巻装された状態では、径方向Rに平行な方向)に沿って引き伸ばした状態を示している。本実施形態では、本体部80は、軸方向Lに直交する面に沿って延びるように形成される。具体的には、本体部80は、軸方向Lの同じ位置において周方向Cに延びるように形成されている。よって、本実施形態では、渡り部60のそれぞれが、軸方向Lに直交する面に沿って延びる部分を有する。
第一接続部61は、第一コイル辺部31と周方向Cの同じ位置において少なくとも軸方向Lに延びる第一軸方向延在部61aと、線状導体34を軸方向Lの外側(軸方向Lにおけるステータコア2から離れる側)に向かうに従って周第二方向C2側に向かうように屈曲する第一屈曲部61bとを備える。また、第二接続部62は、第二コイル辺部32と周方向Cの同じ位置において少なくとも軸方向Lに延びる第二軸方向延在部62aと、線状導体34を軸方向Lの外側に向かうに従って周第一方向C1側に向かうように屈曲する第二屈曲部62bとを備える。第一軸方向延在部61aと第二軸方向延在部62aとの双方は、軸方向Lにおけるコイル辺部30と第二同心巻部52の本体部80との間に配置される。よって、第一軸方向延在部61aと第二軸方向延在部62aとのそれぞれは、径方向Rに見て他の同心巻部50と重複しないように配置される。
本体部80は、周方向Cにおける中央部に、線状導体34を径方向Rにオフセットさせる連結部83を備えている。本体部80における連結部83より周第一方向C1側の部分により第一本体部81が構成され、本体部80における連結部83より周第二方向C2側の部分により第二本体部82が構成される。図2に示すように、第一本体部81及び第二本体部82のそれぞれは、軸方向Lに見て、周方向Cに沿って延びる円弧状に形成されている。本実施形態では、第一本体部81の周第一方向C1側に連続する第一屈曲部61bは、第一本体部81と径方向Rの同じ位置に配置されると共に、軸方向Lに見て、周方向Cに沿って延びる円弧状に形成されている。第二本体部82の周第二方向C2側に連続する第二屈曲部62bは、第二本体部82と径方向Rの同じ位置に配置されると共に、軸方向Lに見て、周方向Cに沿って延びる円弧状に形成されている。
第一本体部81と第二本体部82とは、径方向Rにおける互いに異なる位置に配置され、連結部83の径方向Rのオフセット量は、第一本体部81と第二本体部82との間の径方向Rの位置の差に等しい。連結部83の少なくとも一部は、ティース23と周方向Cの同じ位置に配置される。本実施形態では、連結部83の全体が、ティース23と周方向Cの同じ位置に配置されている。また、連結部83の軸方向Lの幅は、第一本体部81及び第二本体部82のそれぞれの軸方向Lの幅に等しい。
本実施形態では、第一本体部81の径方向Rの幅は、第二本体部82の径方向Rの幅に等しく、第一本体部81と第二本体部82とは、第一本体部81或いは第二本体部82の径方向Rの幅に応じた設定量だけ、径方向Rにおける互いに異なる位置に配置される。この設定量は、第一本体部81或いは第二本体部82の径方向Rの幅に、調整量を加算した値に設定される。調整量は、零以上の値に設定され、例えば、寸法公差や絶縁距離等を考慮した値とされる。図5に示すように、軸方向Lの両側では、連結部83により連結される第一本体部81と第二本体部82との径方向Rの位置関係が反転するため、連結部83による径方向Rのオフセット方向は、軸方向Lの両側で互いに逆方向となる。すなわち、軸第一方向L1側の連結部83は、第一本体部81を第二本体部82に対して径方向Rの内側にオフセットさせ、軸第二方向L2側の連結部83は、第一本体部81を第二本体部82に対して径方向Rの外側にオフセットさせる。
図2に示すように、同心巻セット10は、周第一方向C1側の重複領域Aである第一重複領域A1において、第一隣接同心巻セット11と周方向Cの配置領域が重複し、周第二方向C2側の重複領域Aである第二重複領域A2において、第二隣接同心巻セット12と周方向Cの配置領域が重複する。そして、第一重複領域A1では、複数本の第一本体部81と、第一隣接同心巻セット11の複数本の第二本体部82とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。本実施形態では、第一重複領域A1において、第一同心巻部51の複数本の第一本体部81と、第一隣接同心巻セット11の第一同心巻部51の複数本の第二本体部82とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。また、第一重複領域A1において、第二同心巻部52の複数本の第一本体部81と、第一隣接同心巻セット11の第二同心巻部52の複数本の第二本体部82とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。
第二重複領域A2では、複数本の第二本体部82と、第二隣接同心巻セット12の複数本の第一本体部81とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。本実施形態では、第二重複領域A2において、第一同心巻部51の複数本の第二本体部82と、第二隣接同心巻セット12の第一同心巻部51の複数本の第一本体部81とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。また、第二重複領域A2において、第二同心巻部52の複数本の第二本体部82と、第二隣接同心巻セット12の第二同心巻部52の複数本の第一本体部81とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される。
ところで、図2、図5、図6に示すように、第一重複領域A1には、第一同心巻部51の第一屈曲部61bと、第一隣接同心巻セット11の第一同心巻部51或いは第二同心巻部52の第二本体部82とが径方向に見て重複する領域が含まれる。また、第一重複領域A1には、第二同心巻部52の第一屈曲部61bと、第一隣接同心巻セット11の第二同心巻部52の第二本体部82とが径方向に見て重複する領域が含まれる。本実施形態では、第一同心巻部51及び第二同心巻部52のそれぞれについて、第一屈曲部61bの径方向Rの幅を、第一本体部81の径方向Rの幅に等しく設定していると共に、第一屈曲部61bを、第一本体部81と径方向Rの同じ位置において、軸方向Lに見て周方向Cに沿って延びる円弧状に形成している。そのため、第一重複領域A1に含まれる上記の重複領域においては、第一同心巻部51の複数本の渡り部60のそれぞれの第一屈曲部61bと、第一隣接同心巻セット11の第一同心巻部51或いは第二同心巻部52の複数本の第二本体部82とが、1つずつ径方向Rに交互に配置されると共に、第二同心巻部52の複数本の渡り部60のそれぞれの第一屈曲部61bと、第一隣接同心巻セット11の第二同心巻部52の複数本の第二本体部82とが、1つずつ径方向Rに交互に配置される。渡り部60における第一本体部81及び第一屈曲部61bが構成する部分が、本発明における「第一重複部」に相当する。なお、第一軸方向延在部61aも、第一重複領域A1に配置されるが、第一軸方向延在部61aは、径方向Rに見て、他の同心巻部50とは重複しないため、本発明における「第一重複部」には含めないものとする。
同様に、第二重複領域A2には、第一同心巻部51の第二屈曲部62bと、第二隣接同心巻セット12の第一同心巻部51或いは第二同心巻部52の第一本体部81とが径方向に見て重複する領域が含まれる。また、第二重複領域A2には、第二同心巻部52の第二屈曲部62bと、第二隣接同心巻セット12の第二同心巻部52の第一本体部81とが径方向に見て重複する領域が含まれる。本実施形態では、第一同心巻部51及び第二同心巻部52のそれぞれについて、第二屈曲部62bの径方向Rの幅を、第二本体部82の径方向Rの幅に等しく設定していると共に、第二屈曲部62bを、第二本体部82と径方向Rの同じ位置において、軸方向Lに見て周方向Cに沿って延びる円弧状に形成している。そのため、第二重複領域A2に含まれる上記の重複領域においては、第一同心巻部51の複数本の渡り部60のそれぞれの第二屈曲部62bと、第二隣接同心巻セット12の第一同心巻部51或いは第二同心巻部52の複数本の第一本体部81とが、1つずつ径方向Rに交互に配置されると共に、第二同心巻部52の複数本の渡り部60のそれぞれの第二屈曲部62bと、第二隣接同心巻セット12の第二同心巻部52の複数本の第一本体部81とが、1つずつ径方向Rに交互に配置される。渡り部60における第二本体部82及び第二屈曲部62bが構成する部分が、本発明における「第二重複部」に相当する。なお、第二軸方向延在部62aも、第二重複領域A2に配置されるが、第二軸方向延在部62aは、径方向Rに見て、他の同心巻部50とは重複しないため、本発明における「第二重複部」には含めないものとする。
第一本体部81や第二本体部82の断面形状は、図4に示すように、軸方向Lの幅よりも径方向Rの幅が小さくなる扁平形状とされている。なお、図4では、第一本体部81の断面形状のみが示されているが、第二本体部82も第一本体部81と同一の断面形状を有する。第一本体部81及び第二本体部82は、少なくともいずれかのコイル辺部30よりも径方向Rの幅が小さく形成される。本実施形態では、図3に示すように、径方向Rの幅が最も小さいコイル辺部30は、第二スロット42の最も径方向Rの外側の層(最外層)に配置されるコイル辺部30であり、本実施形態では、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅は、第二スロット42の最外層に配置されるコイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さい。すなわち、本実施形態では、いずれのコイル辺部30についても、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅が、コイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さい。よって、本実施形態では、同心巻部50のそれぞれにおける、複数本の渡り部60のそれぞれの第一本体部81や第二本体部82での径方向Rの幅の平均値が、1つのスロット40に配置される複数本のコイル辺部30のそれぞれの径方向Rの幅の平均値よりも小さくなる。
本実施形態では、第一重複領域A1には、第一本体部81に加えて第一屈曲部61bも配置されるが、第一屈曲部61bの径方向Rの幅は、第一本体部81の径方向Rの幅に等しく設定されている。また、第二重複領域A2には、第二本体部82に加えて第二屈曲部62bも配置されるが、第二屈曲部62bの径方向Rの幅は、第二本体部82の径方向Rの幅に等しく設定されている。よって、本実施形態では、同心巻部50のそれぞれにおける、複数本の渡り部60のそれぞれの重複領域Aでの径方向Rの幅の平均値が、1つのスロット40に配置される複数本のコイル辺部30のそれぞれの径方向Rの幅の平均値よりも小さくなる。なお、この場合の渡り部60の重複領域Aでの径方向Rの幅には、径方向Rに見て他の同心巻部50と重複しないように配置される第一軸方向延在部61aや第二軸方向延在部62aの径方向Rの幅は考慮しないものとする。すなわち、本実施形態では、重複領域Aを、異なる同心巻部50(本例では異なる同心巻セット10)のそれぞれの渡り部60の周方向Cの配置領域が重複する領域であって、当該それぞれの渡り部60の軸方向Lの配置領域が重複する領域としている。
本体部80の断面積は、コイル辺部30の断面積と同等である。そして、上記のように、本実施形態では、いずれのコイル辺部30についても、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅が、コイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さい。そのため、いずれのコイル辺部30についても、第一本体部81や第二本体部82の断面における径方向Rに直交する方向(すなわち、軸方向L)の幅は、コイル辺部30の断面における径方向Rに直交する方向(すなわち、周方向C)の幅よりも大きくなる。そして、第一本体部81と第二本体部82とを連結する連結部83の軸方向Lの幅は、第一本体部81や第二本体部82の軸方向Lの幅に等しい。この結果、本実施形態では、同心巻部50のそれぞれにおける、複数本の渡り部60のそれぞれの本体部80での軸方向Lの幅の平均値が、1つのスロット40に配置される複数本のコイル辺部30のそれぞれの周方向Cの幅の平均値よりも大きくなる。
ところで、本実施形態では、上述したように、いずれのコイル辺部30についても、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅が、コイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さく設定される。そのため、図4及び図5に示すように、第一軸方向延在部61aや第二軸方向延在部62aは、軸方向Lの外側に向かうに従って、径方向Rの幅が小さくなると共に周方向Cの幅が大きくなるように形成される。また、本実施形態では、第一軸方向延在部61aや第二軸方向延在部62aは、接続対象のコイル辺部30と第一本体部81或いは第二本体部82との間の径方向Rの中心位置のずれに応じた幅だけ、線状導体34を径方向Rにオフセットさせるように形成されている。本実施形態では、径方向Rの内側部分に配置される第一軸方向延在部61aや第二軸方向延在部62aは、線状導体34の径方向Rの中心を軸方向Lの外側に向かうに従って径方向Rの内側にオフセットさせ、径方向Rの外側部分に配置される第一軸方向延在部61aや第二軸方向延在部62aは、線状導体34の径方向Rの中心を軸方向Lの外側に向かうに従って径方向Rの外側にオフセットさせる。
3.コイルの形成方法
本実施形態に係るコイル3の形成方法について、図7〜図11を参照して説明する。図11に示すように、コイル形成方法には、準備工程P1、配置工程P2、及び成形工程P3が含まれ、これらの各工程を順に実行することで、ステータコア2に巻装された状態と同じ位置関係で各同心巻部50が配置されたコイル3が形成される。
本実施形態に係るコイル3の形成方法について、図7〜図11を参照して説明する。図11に示すように、コイル形成方法には、準備工程P1、配置工程P2、及び成形工程P3が含まれ、これらの各工程を順に実行することで、ステータコア2に巻装された状態と同じ位置関係で各同心巻部50が配置されたコイル3が形成される。
準備工程P1は、巻回軸周りの螺旋状に線状導体34を巻回して形成された環状コイルを、同心巻部50として用意する工程である。本実施形態では、準備工程P1において、12個の第一同心巻部51と12個の第二同心巻部52との、合計24個の同心巻部50を用意する。また、本実施形態では、準備工程P1において、ステータコア2に巻装された状態と同じ形状(図5参照)の同心巻部50を用意する。
配置工程P2は、ステータコア2に巻装された状態に比べて巻回軸に沿う方向に引き伸ばされた形状の複数の同心巻部50を、周方向Cに沿って並べる工程である。なお、巻回軸に沿う方向は、ステータコア2に巻装された状態において、径方向Rに平行な方向となる。本実施形態では、配置工程P2には、準備工程P1において用意された複数の同心巻部50のそれぞれを巻回軸に沿う方向に引き伸ばす工程が含まれる。この際、同心巻部50は弾性変形する。
本実施形態では、配置工程P2では、図10に示すように、伸長状態の複数の同心巻セット10を、周方向Cに沿って環状に配置する。ここで、伸長状態とは、ステータコア2に巻装された状態に比べて巻回軸に沿う方向に引き伸ばされた形状を有する状態である。図10では、環状に配置される複数の同心巻セット10のうちの2つのみを示している。本実施形態では、準備工程P1又は配置工程P2に、第一同心巻部51と第二同心巻部52とを互いに同心状に配置して同心巻セット10を形成する工程が含まれる。この工程では、例えば、第二同心巻部52を第一同心巻部51の内部に対して径方向Rの外側から径方向R(巻回軸に沿う方向)に挿入する。
図9に示すように、伸長状態の同心巻セット10には、径方向Rの隙間Gが形成される。この隙間Gは、径方向Rに隣接する第一コイル辺部31同士の間、径方向Rに隣接する第二コイル辺部32同士の間、及び径方向Rに隣接する渡り部60同士の間のそれぞれに形成される。図9に示すように、伸長状態の同心巻セット10は、図7に示す伸長状態の第一同心巻部51と、図8に示す伸長状態の第二同心巻部52とを組み合わせた構成を有する。この際、ステータコア2に巻装された状態で周方向Cに隣接する第一コイル辺部31同士の径方向Rの相対位置関係や、ステータコア2に巻装された状態で周方向Cに隣接する第二コイル辺部32同士の径方向Rの相対位置関係が維持されるように、第一同心巻部51と第二同心巻部52とのそれぞれが引き伸ばされた状態とされる。
よって、第一同心巻部51の第一コイル辺部31同士の間に形成された隙間Gは、第二同心巻部52の第一コイル辺部31同士の間に形成された隙間Gに対して周方向Cに連通し、第一同心巻部51の第二コイル辺部32同士の間に形成された隙間Gは、第二同心巻部52の第二コイル辺部32同士の間に形成された隙間Gに対して周方向Cに連通する。また、第一同心巻部51の軸第一方向L1側の渡り部60同士の間に形成された隙間Gは、第二同心巻部52の軸第一方向L1側の渡り部60同士の間に形成された隙間Gに対して軸方向Lに連通し、第一同心巻部51の軸第二方向L2側の渡り部60同士の間に形成された隙間Gは、第二同心巻部52の軸第二方向L2側の渡り部60同士の間に形成された隙間Gに対して軸方向Lに連通する。
本実施形態では、図10に示すように、径方向Rの内側領域においてのみ、同心巻セット10の第一コイル辺部31が、周第一方向C1側に隣接する他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置され、同心巻セット10の第二コイル辺部32が、周第二方向C2側に隣接する他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置されるように、複数の伸長状態の同心巻セット10が配置される。すなわち、本実施形態では、径方向Rの内側領域において、周方向Cに隣接する2つの同心巻セット10のそれぞれの周方向Cの配置領域が重複し、径方向Rの外側領域において、周方向Cに隣接する2つの同心巻セット10のそれぞれの周方向Cの配置領域が重複しないように、複数の伸長状態の同心巻セット10が配置される。この際、本実施形態では、各スロット40において径方向Rの最も内側の層(最内層)に配置されるコイル辺部30同士が、ステータコア2に巻装された状態と同じ位置関係で配置される。
本実施形態では、複数の同心巻セット10のそれぞれを円筒状の配置領域に対して軸方向Lに近づけて、複数の同心巻セット10を、周方向Cに沿って環状に配置する。この際、径方向Rの内側領域では、同心巻セット10の渡り部60及びコイル辺部30が、周方向Cに隣接する他の同心巻セット10の渡り部60同士の間に形成された隙間Gを通り、当該コイル辺部30が、当該隣接する他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。なお、一部の同心巻セット10については、上記の円筒状の配置領域に対して軸方向Lに対して交差する方向に近づける構成とすることもできる。この場合、当該一部の同心巻セット10のコイル辺部30の少なくとも一部が、周方向Cに隣接する他の同心巻セット10のコイル辺部30同士の間に形成された隙間Gを通り、当該コイル辺部30が、当該隣接する他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。
成形工程P3は、同心巻部50のそれぞれを巻回軸に沿う方向に縮めて、ステータコア2に巻装された状態と同じ形状(図6参照)に成形する工程である。本実施形態では、各同心巻セット10のそれぞれについて、径方向Rの内側の端部の径方向Rの位置が固定される状態で、径方向Rの外側の部分を径方向Rの内側に近づける。成形工程P3の実行により、径方向Rの外側領域において、同心巻セット10の第一コイル辺部31が、周第一方向C1側に隣接する他の同心巻セット10のコイル辺部30同士の間に形成された隙間Gを通って、当該他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。また、径方向Rの外側領域において、同心巻セット10の第二コイル辺部32が、周第二方向C2側に隣接する他の同心巻セット10のコイル辺部30同士の間に形成された隙間Gを通って、当該他の同心巻セット10の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置される。
このように、本実施形態に係るコイル形成方法では、配置工程P2の開始から成形工程P3の終了までの間に、同心巻部50の複数本のコイル辺部30のそれぞれを、周方向Cに隣接する他の同心巻部50である隣接同心巻部に形成された径方向Rの隙間Gを通して、当該隣接同心巻部の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置する。本実施形態では、径方向Rの内側の一部のコイル辺部30(本例では、最内層のコイル辺部30)については、配置工程P2において隣接同心巻部の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置し、径方向Rの外側の残りのコイル辺部30については、成形工程P3において隣接同心巻部の第一コイル辺部31と第二コイル辺部32との周方向Cの間に配置する。
4.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
最後に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態では、第一スロット41と第二スロット42との2種類のスロット40が、ステータコア2に形成された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、図12に示すように、1種類のスロット40のみがステータコア2に形成された構成とすることもできる。図12に示す例では、スロット40は、上記実施形態の第二スロット42と同様に、周方向Cの幅が径方向Rの内側に向かうに従って次第に小さくなるように形成されている。また、図12に示す例では、上記実施形態とは異なり、各スロット40の内部には、10本のコイル辺部30が配置されている。更に、図12に示す例では、上記実施形態とは異なり、コア片20のそれぞれは1つのティース23を備える。
(2)上記の実施形態では、重複領域Aにおいて、一方の同心巻部50の複数本の渡り部60と、他方の同心巻部50の複数本の渡り部60とが、1本ずつ径方向Rに交互に配置される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、重複領域Aにおいて、一方の同心巻部50の複数本の渡り部60と、他方の同心巻部50の複数本の渡り部60とが、複数本ずつ径方向Rに交互に配置される構成とすることもできる。例えば、重複領域Aにおいて、一方の同心巻部50の複数本の渡り部60と、他方の同心巻部50の複数本の渡り部60とが、2本ずつ径方向Rに交互に配置された構成とすることができる。この場合、連結部83の径方向Rのオフセット量は、上記実施形態の場合の2倍程度に設定される。また、この場合、上記実施形態とは異なり、2本の線状導体34の束を螺旋状に複数回巻回して同心巻部50が形成される構成とすることもできる。この場合、同心巻部50の巻回数を1つのスロット40に配置されるコイル辺部30の本数と同数にするため、1本の線状導体34の巻回数は、1つのスロット40に配置されるコイル辺部30の本数の半分に設定される。
(3)上記の実施形態では、コイル3が、同心巻部50として、第一同心巻部51と第二同心巻部52とを備えた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、毎極毎相当たりのスロット数が“1”である構成として、コイル3が同心巻部50として第一同心巻部51のみを備える構成とすることができる。また、毎極毎相当たりのスロット数が“3”である構成として、コイル3が、同心巻部50として、第一同心巻部51と第二同心巻部52とに加えて、更に第三同心巻部を備える構成とすることもできる。この場合、この第三同心巻部は、第二同心巻部52を軸方向L及び周方向Cのそれぞれにおいて縮小した形状を備えると共に、第二同心巻部52と径方向Rの同じ位置に同心状に配置される。
(4)上記の実施形態では、いずれのコイル辺部30についても、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅が、コイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さい構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、一部のコイル辺部30のみについて、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅が、コイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さい構成とすることもできる。例えば、上記の実施形態の例において、第二スロット42の最外層に配置されるコイル辺部30の径方向Rの幅が、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅よりも小さい構成とすることも可能である。このように、一部のコイル辺部30のみについて、第一本体部81や第二本体部82の径方向Rの幅が、コイル辺部30の径方向Rの幅よりも小さい場合であっても、同心巻部50のそれぞれにおける、複数本の渡り部60のそれぞれの重複領域Aでの径方向Rの幅の平均値が、1つのスロット40に配置される複数本のコイル辺部30のそれぞれの径方向Rの幅の平均値よりも小さい構成とすると好適である。
(5)上記の実施形態では、渡り部60のそれぞれが、軸方向Lに直交する面に沿って延びる部分を有する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第一本体部81が、周第二方向C2側に向かうに従って軸方向Lの外側に向かう形状を有し、第二本体部82が、周第一方向C1側に向かうに従って軸方向Lの外側に向かう形状を有する構成とすることもできる。この場合であっても、コイルエンド部の軸方向Lの幅を小さく抑えるためには、軸方向Lに直交する面に対する第一本体部81や第二本体部82の延在方向の傾斜角を小さい角度(例えば、5度以下の角度、或いは10度以下の角度等)に設定すると好適である。
(6)上記の実施形態では、連結部83の全体がティース23と周方向Cの同じ位置に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、連結部83の一部がティース23と周方向Cの同じ位置に配置され、連結部83の一部がスロット40と周方向Cの同じ位置に配置された構成とすることも可能である。すなわち、連結部83の周方向Cにおける配置領域が、ティース23の周方向Cにおける配置領域よりも大きい構成とすることも可能である。
(7)上記の実施形態では、スロット40のそれぞれにおいてコイル辺部30が径方向Rに沿って一列に並んで配置される構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、スロット40のそれぞれにおいて、コイル辺部30が径方向Rに沿って複数の列(例えば周方向Cに隣り合う二列)に並んで配置される構成とすることも可能である。
(8)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、円筒状のコア基準面の軸方向に延びるスロットがコア基準面の周方向に複数分散配置されているコアに巻装されるコイルに利用することができる。
2:ステータコア(コア)
3:コイル
23:ティース
30:コイル辺部
31:第一コイル辺部
32:第二コイル辺部
34:線状導体
40:スロット
51:第一同心巻部(同心巻部)
52:第二同心巻部
60:渡り部
61:第一接続部
62:第二接続部
80:本体部
83:連結部
A:重複領域
C:周方向
G:隙間
L:軸方向
P1:準備工程
P2:配置工程
P3:成形工程
R:径方向
S:コア基準面
3:コイル
23:ティース
30:コイル辺部
31:第一コイル辺部
32:第二コイル辺部
34:線状導体
40:スロット
51:第一同心巻部(同心巻部)
52:第二同心巻部
60:渡り部
61:第一接続部
62:第二接続部
80:本体部
83:連結部
A:重複領域
C:周方向
G:隙間
L:軸方向
P1:準備工程
P2:配置工程
P3:成形工程
R:径方向
S:コア基準面
Claims (8)
- 円筒状のコア基準面の軸方向に延びるスロットが前記コア基準面の周方向に複数分散配置されているコアに巻装されるコイルであって、
一対の前記スロット間に複数回巻回される同心巻部を複数備え、
前記同心巻部のそれぞれは、前記周方向の一方側に配置される複数本の第一コイル辺部と、前記周方向の他方側に配置される複数本の第二コイル辺部とを、前記スロットの内部に配置されるコイル辺部として備えると共に、前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部とを前記コアの前記軸方向の外側において接続する複数本の渡り部を備え、
前記同心巻部の前記第一コイル辺部及び前記第二コイル辺部の一方が、前記周方向に隣接する他の前記同心巻部の前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部との前記周方向の間に配置されるように、複数の前記同心巻部が前記周方向に沿って配置され、
前記同心巻部のそれぞれの巻回数が、1つの前記スロットに配置される前記コイル辺部の本数と同数に設定され、
前記周方向に隣接する2つの前記同心巻部のそれぞれの前記周方向の配置領域が重複する重複領域において、一方の前記同心巻部の複数本の前記渡り部と、他方の前記同心巻部の複数本の前記渡り部とが、1本ずつ又は複数本ずつ前記コア基準面の径方向に交互に配置されているコイル。 - 前記同心巻部のそれぞれにおける、複数本の前記渡り部のそれぞれの前記重複領域での前記径方向の幅の平均値が、1つの前記スロットに配置される複数本の前記コイル辺部のそれぞれの前記径方向の幅の平均値よりも小さい請求項1に記載のコイル。
- 前記スロットのそれぞれにおいて、前記コイル辺部が前記径方向に沿って一列に並んで配置される請求項1又は2に記載のコイル。
- 前記渡り部のそれぞれは、前記第一コイル辺部との接続部である第一接続部と、前記第二コイル辺部との接続部である第二接続部と、前記第一接続部と前記第二接続部との間において前記周方向に延びる本体部とを備え、
前記同心巻部のそれぞれにおける、複数本の前記渡り部のそれぞれの前記本体部での前記軸方向の幅の平均値が、1つの前記スロットに配置される複数本の前記コイル辺部のそれぞれの前記周方向の幅の平均値よりも大きい請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル。 - 前記同心巻部のそれぞれの前記渡り部は、前記周方向の一方側に隣接する他の前記同心巻部の前記渡り部と前記周方向の配置領域が重複する第一重複部と、前記周方向の他方側に隣接する他の前記同心巻部の前記渡り部と前記周方向の配置領域が重複する第二重複部と、前記第一重複部と前記第二重複部とを連結する連結部とを備え、
前記第一重複部及び前記第二重複部のそれぞれは、前記軸方向に見て、前記周方向に沿って延びる円弧状に形成され、
前記第一重複部と前記第二重複部とが前記径方向における互いに異なる位置に配置されると共に、前記連結部の少なくとも一部が、隣接する前記スロット間に形成されるティースと前記周方向の同じ位置に配置される請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル。 - 前記渡り部のそれぞれが、前記軸方向に直交する面に沿って延びる部分を有する請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル。
- 前記同心巻部が第一同心巻部であり、
一対の前記スロット間に複数回巻回される第二同心巻部を、前記第一同心巻部のそれぞれに対応させて、前記第一同心巻部と同数備え、
前記第二同心巻部のそれぞれは、前記第一同心巻部を前記軸方向及び前記周方向のそれぞれにおいて縮小した形状を備えると共に、対応する前記第一同心巻部と前記径方向の同じ位置に同心状に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載のコイルを形成するコイル形成方法であって、
巻回軸周りの螺旋状に線状導体を巻回して形成された環状コイルを、前記同心巻部として用意する準備工程と、
前記コアに巻装された状態に比べて前記巻回軸に沿う方向に引き伸ばされた形状の複数の前記同心巻部を、前記周方向に沿って並べる配置工程と、
前記同心巻部のそれぞれを前記巻回軸に沿う方向に縮めて、前記コアに巻装された状態と同じ形状に成形する成形工程と、を備え、
前記配置工程の開始から前記成形工程の終了までの間に、前記同心巻部の複数本の前記コイル辺部のそれぞれを、前記周方向に隣接する他の前記同心巻部である隣接同心巻部に形成された前記径方向の隙間を通して、当該隣接同心巻部の前記第一コイル辺部と前記第二コイル辺部との前記周方向の間に配置するコイル形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013143645A JP2015019452A (ja) | 2013-07-09 | 2013-07-09 | コイル及びコイル形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112913122A (zh) * | 2018-10-18 | 2021-06-04 | 松下知识产权经营株式会社 | 线圈装置 |
CN113708521A (zh) * | 2021-10-22 | 2021-11-26 | 天津市松正电动汽车技术股份有限公司 | 一种卷绕的电机定子及电机 |
-
2013
- 2013-07-09 JP JP2013143645A patent/JP2015019452A/ja active Pending
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