JP5157755B2 - 回転電機の固定子 - Google Patents

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Description

本発明は回転電機の固定子に関し、詳しくは分割コアを外筒に焼きバメなどによる勘合固定してなる回転電機の固定子に関する。
近年、電動機および発電機として使用される回転電機において、小型高出力および高品質が求められている。
たとえば、車両に搭載される回転電機においては、回転電機を搭載するためのスペースが小さくなってきている一方で、出力の向上が求められている。
従来の回転電機として、周方向に分割された固定子コアを円環状に配置し、その外周に円筒状のケースを嵌めて固定する構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1では、円環状に配置された分割コアの外周に円筒状ケースを嵌めこむ方法として、焼きバメと呼ばれる方法を開示している。この焼きバメ工程では、円環状コアの外周寸法に比べて小さな内周寸法の円筒状ケースを用意し、この円筒状ケースを加熱して内周寸法を拡径した状態で円筒状ケース内に円環状コアを挿入する。焼きバメ後の円環状コアと円筒状ケースとはその寸法差により生じる応力によって固定される。
特開2002−51485号公報
ところで、連続巻線よりなる固定子コイルを製造する一方法として、たとえば以下に示すものがある。
まず、電気導体線から、並列した複数の直状部が複数のターン部で連結されてなる成形体を複数成形する。そして、これらの成形体を組み込んで組み込み体を形成する。
この組み込み体においては、一つの成形体と他の一つの成形体とからなる複数の成形体組が該組み込み体の長手方向に並列している。また、この組み込み体を構成する各成形体組は、一つの成形体における複数の直状部と他の一つの成形体における複数の直状部とがそれぞれ重ね合わされて形成された複数の直状重ね合わせ部を組み込み体の長手方向に有している。
このため、この組み込み体においては、複数の直状重ね合わせ部が組み込み体の長手方向に並列している。そして、この組み込み体を芯部材に所定回数巻回して巻き取り、巻き取り体を形成する。この巻き取り体においては、一つの成形体組における複数の直状重ね合わせ部が径方向に積層されて形成された複数の直状積層部を周方向に有している。
こうして得られた巻き取り体は円筒籠状の固定子コイルとして用いられる。この固定子コイルを固定子コアに組み付けるにあたっては、各直状積層部が固定子コアのスロット内に配設されるとともに、各ターン部がスロットの外部に配設される。
ところが、この円筒籠状の固定子コイルを、すでにコアの形状をなしている一体型の固定子コアに組み付けるのは非常に困難である。そこで、環状のコアを円周上で複数に分割した形状の分割コアを用いて、それぞれの分割コアを円筒籠状の固定子コイルの外側から組み付けた後に、全体を外筒に嵌め込んで固定子を製造する。この外筒への嵌め込みは、外筒を加熱して熱膨張させて嵌め込む焼きバメで行われる。
コア組み付け体に外筒を焼きバメする工程では、コア組み付け体の外周寸法に比べて小さな内周寸法の外筒を用意し、この外筒を加熱して内周寸法を熱膨張で拡径した状態で外筒内にコア組み付け体を挿入する。焼きバメ後のコア組み付け体と外筒とはその寸法差により生じる応力によって固定される。コア組み付け体の外周寸法から外筒の内周寸法を引いた寸法差である締め代と、焼きバメ後のコア組み付け体と外筒との間に生じる応力と、の間には、締め代が大きいほど応力が大きくなるといった線形の関係がある。
締め代は、コア組み付け体と外筒との固定に必要な応力が得られる値にすればよいが、各部品の寸法をその締め代の値に完全一致させて製造することはほぼ不可能であり、一般に寸法公差を設けている。この寸法公差を大きくすると部品製造上の困難さについては解消するが、以下のような問題があった。
すなわち、寸法公差が大きいために締め代が大きくなると、コア組み付け体と外筒との間に生じる応力が必要以上に大きくなり、これによって分割コア同士を突き合わせている箇所には周方向の大きな応力が発生し、この応力による損失が発生する虞があった。
また、こうなると、分割コアからなる円環状コアの変形、コア内径寸法のばらつき、コア内径の真円度の低下などの問題も生じてくる。
さらに、寸法公差が大きいと、寸法公差下限と上限とでは、コア組み付け体と外筒との間に生じる応力の違いが大きく、性能(損失)のばらつきが大きいという問題があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、寸法公差を大きくとりながらも、コア組み付け体と外筒との間に生じる応力の急激な増加を抑えることを解決すべき技術課題とする。
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
本発明に係る回転電機の固定子は、複数の相巻線を有し、分割コアを組み付けたコア組み付け体の外周に外筒を嵌合固定してなる回転電機の固定子であって、前記分割コアの外周と前記外筒の内周との間には、前記分割コアの周方向隣の分割コアとの突合せ端部が、前記外筒の内周の当たり面と径方向に対向するように、空隙が設けられており、前記空隙は、前記コア組み付け体の外周の形状によって形成され、前記コア組み付け体と前記外筒との間を軸方向に貫通するスリットであり、前記スリットは、前記分割コアの周方向の数の倍数だけ形成され、前記嵌合固定は、焼きバメであることを特徴とする。
本発明によれば、分割コアの外周と外筒の内周との間に空隙を設けることにより、締め代の増加と、コア組み付け体との外筒との間に生じる応力の増加と、の関係をなだらかなものにすることができる。これにより、分割コアの外周および外筒の内周の寸法公差を大きくとりながらも、コア組み付け体と外筒との間に生じる応力の急激な増加を抑えることができる。
また、隣り合う分割コア同士の突合せ端部には、空隙でなく、外筒の内周の当り面が当たるようにしたので、締め代による力を突合せ端部に均一に加えることができ、応力による損失を低減し、コア内径の寸法ばらつきを抑え、真円度の低下を防止することができる。
また、空隙としてコア組み付け体と外筒との間を軸方向に貫通するスリットを設けたので、たとえば、このスリット内に冷却風や冷却水を流すことができ、このようにすれば、コアおよび外筒を冷却することができ、高い性能を維持することができる。
また、前記スリットが、前記分割コアの周方向の数の倍数だけ形成されているので、隣り合う分割コア同士の突合せ端部に、外筒の内周の当り面を均等に当てることができる。
また、空隙が、コア組み付け体の外周の形状すなわち分割コアの形状によって形成されているので、分割コアを構成する積層鋼板を外周位置に凹部を有するものにするだけでよく、製造上、工程の増加を招くことがないし、低コストで製造することができるという効果を奏する。
なお、本発明において、コア組み付け体の外周と外筒の内周との間の空隙は、コア組み付け体の外周の形状および外筒の内周面の形状の両方によって形成されるものでもよいことは言うまでもない。
また、焼きバメであれば、コア組み付け体の外周に外筒を焼きバメして嵌合固定することにより、コア組み付け体の外筒への嵌挿をスムーズに行うことができるとともに、確実な固定力を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明に係る回転電機の固定子の実施形態について詳しく説明する。
なお、説明する実施形態はあくまでも実施形態の例にすぎず、本発明に係る回転電機の固定子は、下記実施形態に限定されるものではない。本発明に係る回転電機の固定子は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
(実施形態1)
まず、本実施形態の回転電機の固定子を用いた回転電機1の構成について説明する。
この回転電機1は、図1に示すように、略有底筒状の一対のハウジング部材100、101が開口部同士で接合されてなるハウジング10と、ハウジング10に軸受け110、111を介して回転自在に支承された回転軸20と、回転軸20に固定された回転子2と、ハウジング10の内部で回転子2を包囲する位置でハウジング10に固定された固定子3と、を備えている。
回転子2は、永久磁石により周方向に交互に異なる磁極を、固定子3の内周側と向き合う外周側に複数形成している。回転子2の磁極の数は、回転電機により異なるため限定されるものではない。本実施形態では、8極(N極:4、S極:4)の回転子が用いられている。
固定子3は、図2に示すように、固定子コア30と、複数の各相巻線から形成された三相の固定子コイル4と、固定子コア30に外挿された外筒5と、を備えた構成を有している。なお、詳しくは後述するが、本実施の形態の固定子3では、外筒5の内周面に設けたスリット5bによって、固定子コア30と外筒5との間に空隙が形成されている。
固定子コア30は、図3に示すように、内周に複数のスロット31が形成された円環状を呈している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように形成されている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子2の磁極数に対し、固定子コイル4の一相あたり2個の割合で形成されている。本実施形態では、8×3×2=48より、スロット数は48個とされている。
固定子コア30は、図4に示す分割コア32を所定の数(本実施形態では、24個)だけ周方向に連結して形成されている。分割コア32は、一つのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア32との間で一つのスロット31を区画する形状を呈している。具体的には、分割コア32は、径方向内方に伸びる一対のティース部320と、ティース部320を径方向外方で連結するバックコア部321とを有している。
固定子コア30を構成する分割コア32は、電磁鋼板を積層させて形成されている。なお、積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。固定子コア30を構成する分割コア32は、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板および絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
なお、本発明に適用可能な固定子コアの形状は、図3および図4に示したものに限られるものではなく、たとえば図5および図6に示す形状のものであってもよい。
この図5および図6に示す例の固定子コア1030は、内周に複数のスロット1031が形成された円環状を呈しており、分割コア1032を周方向に連結して形成されている。分割コア1032は、一つのスロット1031を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア1032との間で一つのスロット1031を区画する。スロット1031は、径方向内方に伸びるティース部1320と隣接するティース部1320によって区画される。また、この例のバックコア部1321は、径方向において他の分割コア1032と重ならない形状である。なお、分割コア1032の数や材質等は図4に示した分割コイル32と同様である。
固定子コイル4は、複数の巻線40を所定の巻回方法で巻回してなる。この固定子コイル4を構成する巻線40は、図7(A)に示すように、銅製の導体41と、導体41の外周を覆い導体41を絶縁する内層420および外層421からなる絶縁被膜42とから形成されている。
このように、内層420および外層421からなる絶縁皮膜42の厚みが厚いので、巻線40同士を絶縁するために巻線40同士の間に絶縁紙等を挟み込む必要がなくなっているが、巻線40同士の間あるいは固定子コア30と固定子コイル4との間に絶縁紙を配設してもよい。
さらに、固定子コイル4の巻線40は、図7(B)に示すように、内層420および外層421からなる絶縁皮膜42の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材49で被覆して形成してもよい。この場合、回転電機1に発生する熱により融着材49が絶縁皮膜42よりも早く溶融するので、同じスロット31に設置されている複数の巻線40同士が融着材49同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に設置されている複数の巻線40が一体化し巻線40同士が鋼体化することで、スロット31内の巻線40の機械的強度が向上する。
固定子コイル4は、図8に示すように、それぞれが2本の三相巻線(U1、U2、V1、V2、W1、W2)により形成されている。
固定子コイル4は、図9に示すように、複数の巻線40を所定の形状に組み込んだ組み込み体47(図10参照)を巻回してなる巻き取り体48である。固定子コイル4を構成する巻線40は、固定子コア30の内周側で周方向に沿って波巻きされる形状で成形されている。
固定子コイル4を構成する巻線40は、固定子コア30のスロット31に収容される直線状のスロット収容部43と、隣り合ったスロット収容部43同士を接続するターン部44と、を備えている。スロット収容部43は、所定のスロット数(本実施形態では、3相×2個=6個)ごとのスロット31に収容されている。ターン部44は、固定子コア30の軸方向の端面から突出して形成されている。
固定子コイル4は、複数の巻線40の両端を固定子コア30の軸方向の端面から突出させ、かつ複数の巻線40を周方向に沿って波状に巻装した状態で形成されている。固定子コイル4の1相は、第1の巻線部40aと第2の巻線部40bとの端部同士を溶接により接合して形成されている。すなわち、2本の電気導体線から成形した2つの成形体の端部同士を接合して形成された一つの組体から固定子コイル4の1相が形成されている。
第1の巻線部40aのスロット収容部43と第2の巻線部40bのスロット収容部43とは、同一スロット31に収容される。このとき、第一の巻線部40aのスロット収容部43と、第二の巻線部40bのスロット収容部43とは、スロット31の深さ方向で交互に位置するように設置されている。そして、第1の巻線部40aと第2の巻線部40bとの接合部45は、第1の巻線部40aと第2の巻線部40bの巻装される方向が反転するスロット収容部43よりなる折り返し部46に形成されている。
固定子コイル4の展開図、すなわち巻回される前の組み込み体47の平面図を図10に示す。固定子コイル4は、互いに巻装方向が異なる第1の巻線部40aと第2の巻線部40bとからなる組体を6組有し、6組の組体を用いて、3相(U,V,W)×2個(倍スロット)のコイルとされている。各組体において、第1の巻線部40aの中性点側(または相端子側)の端部とは反対側の端部と、第2の巻線部40bの相端子側(または中性点側)の端部とは反対側の端部とが、折り返し部46よりなるスロット収容部43を介して接続されている。各相の巻線40の結線方法は同様である。
固定子コイル4(巻き取り体48)に固定子コア30を組み付けてなる組み付け体50の斜視図を図11に示す。また、この組み付け体50の外周に焼きバメする外筒5の斜視図を図12に示す。さらに、組み付け体50の外周に外筒5を焼きバメしてなる固定子3の概要を示す模式平面図を図13に示す。
組み付け体50の外周には軸方向に積層された分割コア32のバックコア部321が表れている。外筒5は、たとえば、厚さ2mmの円筒形状をしており、磁束が通過可能な低炭素鋼などによって形成されている。また、外筒5には、固定子3をハウジング10に固定する際に用いられる貫通孔5aが設けられている。
この実施形態1においては、組み付け体50の外径をAとし、外筒5の内径をBとし、外筒5の焼きバメ工程の加熱時に熱膨張した内径をCとしたとき、C>A>Bの関係になるように寸法を定めて各部品を製造する。
ここで、(A−B)を締め代と呼ぶ。この締め代(A−B)が大きいほど、外筒5に組み付け体50を焼きバメして冷却したときの締め付け力が強まるが、固定に必要な締め付け力を大きく超えるような締め付け力これによる応力が掛かってしまうと、この応力によって損失が発生する虞、また、分割コアの変形、コア内径寸法のばらつき、コア内径の真円度の低下などの問題も生じてくる。
そこで、実施形態1では外筒5の内周面にスリット5bを形成して組み付け体50と外筒5との間に空隙を設け、これによって、締め代の増加に伴う締め付け力の増加がなだらかになるようにしている。この実施形態1ではスリット5bは、回転電機の軸方向に貫通し、均等の間隔で、分割コア32の周方向の数と同じく、24本設けられている。組み付け体50の外周に外筒5を焼きバメする際には、隣り合う分割コア同士の突合せ端部にはスリット5bが来ないようにする(図13参照)。
ここで、スリット5bの効果について図14を参照しながらさらに説明する。図14は、締め代と、組み付け体50と外筒5との間に係る締め付け力による応力と、の関係を、実験結果で示すグラフであり、図中、一点鎖線は、外筒5の内周面にスリット5bを形成しない場合の関係を示し、実線は、実施形態1のスリット5bを形成した場合の関係を示すものである。図中、横軸は締め代であり、縦軸は組み付け体50と外筒5との間に掛かる締め付け力による応力を示す。
図14においては、応力が、組み付け体50と外筒5とを固定するのに最低限必要とされる力である「必要固定力」となる締め代を下限値として示し、この下限値から一定の寸法公差範囲だけ幅を持たせた締め代を上限値として示している。寸法公差範囲は、スリット5bを形成しない一点鎖線の場合も、スリット5bを形成した実線の場合も同じ幅にしてある。
図14を参照して分かるように、スリット5bを形成しない場合は締め代の増加に伴う応力の増加が急激であり、スリット5bを形成した場合は締め代の増加に伴う応力の増加がなだらかである。これにより、同じ寸法公差範囲を確保しながらも、上限値における応力は実施形態1のスリット5bを形成した場合のほうが小さく、応力低減効果が得られている。すなわち、この応力低減効果により、実施形態1によれば、損失が発生する虞、また、分割コアの変形、コア内径寸法のばらつき、コア内径の真円度の低下などの問題を解消することができる。
なお、この実施形態1では、組み付け体50と外筒5との間の空隙として外筒5の内周面にスリット5bを形成し、図13に示すように、隣り合う分割コア同士の突合せ端部にはスリット5bが来ないように、組み付け体50と外筒5との周方向の位置決めをしている。これにより、この突合せ端部には外筒5の内周の当たり面5cが対向し、この当たり面5cによって分割コア同士がずれないよう均一に締め付け力を加えることができ、応力による損失を低減し、コア内径の寸法ばらつきを抑え、真円度の低下を防止することができる。
また、この実施形態1では、図12に示すように、組み付け体50と外筒5との間の空隙として、コア組み付け体50と外筒5との間を軸方向に貫通するスリットであるスリット5bを外筒5の内周面に形成している。これによれば、たとえば、このスリット5b内に冷却風や冷却水を流すことができ、このようにすれば、コアおよび外筒を冷却することができ、高い性能を維持することができる。
なお、実施形態1では、スリット5bの数を分割コア32の周方向の数と同じく24本にしたが、本発明はこれに限られるものではなく、たとえば分割コアの周方向の数の倍数にしてもよい。このようにすれば、隣り合う分割コア同士の突合せ端部に、外筒の内周面を均等に当てることができるという効果を奏する。
また、実施形態1では、外筒5の内周面の形状すなわちスリット5bによって組み付け体50と外筒5との間の空隙が形成されている。この場合、磁気回路を形成する分割コア32の形状を変更する必要がないので、磁気回路に影響を与えることなく、性能のよい回転電機を提供することができる。
以下、実施形態1の、固定子コイル4(巻き取り体48)に固定子コア30を組み付けて組み付け体50(図11参照)とし、この組み付け体50を外筒5に焼きバメした固定子3の製造方法について説明する。なお、組み付け体50が、本発明のコア組み付け体を構成するものである。また、径方向は芯部材または巻き取り体の径方向を意味し、周方向は芯部材または巻き取り体の周方向を意味する。
<成形工程>
まず、12本の電気導体線から12個の成形体を成形する。ここで成形する各成形体は、互いに平行に延びて成形体の長手方向に並列した複数の直状部431と、隣り合う直状部431同士を直状部431の一端側と他端側とで交互に連結する複数のターン部44とを有する。
<組み込み工程>
12個の成形体を組み込むことにより、組み込み体47を形成する。この組み込み体47においては、6組の組体が組み込み体47の長手方向に並列している。
各組体は、第1の巻線部40aとなる第1線部と、第2の巻線部40bとなる第2線部とからなる。なお、第1線部が1個の成形体よりなり、第2線部も1個の成形体よりなる。
各組体における第1線部の端部と第2線部の端部とが溶接接合されて接合部45とされている。なお、12個の成形体を組み込んでから、各組体における第1線部の端部と第2線部の端部とを接合してもよいし、第1線部の端部と第2線部の端部とを接合して6組の組体を形成してから、この6組の組体を組み込んでもよい。
組み込み体47における各組体は、第1線部における複数の直状部431と第2線部における複数の直状部431とがそれぞれ重ね合わされて形成された複数の直状重ね合わせ部471を組み込み体47の長手方向に有する。ただし、後述の巻き取り工程の巻き始めである折り返し部46の6個の直状部431および、巻き終わりの6個の直状部431のそれぞれは、他の直状部431と重ね合わされない。
<巻き取り工程>
組み込み体47を折り返し部46が軸心側に位置するように所定の巻数(たとえば、3回とか4回)だけ巻回して、図9に示した巻き取り体48を形成する。このとき、組み込み体47のターン部44を所定の巻き取り半径に塑性変形させながら巻き取る。
なお、たとえば所定の曲げR形状の成形面を有する成形型や所定の成形ローラを用いてターン部44を曲げ成形してもよい。巻き取り工程の詳細は後述する。
巻き取り体48は、一つの組体における複数の直状重ね合わせ部471が径方向に巻数分だけ積層されて形成された複数の直状積層部481を巻き取り体48の周方向に有する。各直状積層部481においては、巻数の2倍の数の直状部431が重ね合わされて径方向(放射方向)に一列に並んでいる。このとき、各直状積層部481は、巻き取り体48の周方向で小間隔を隔てた状態で位置している。
<組み付け工程>
以上のようにして得られた巻き取り体48に対して、径方向外方から分割コア32のティース部320を隣り合う直状積層部481同士の間の隙間に挿入し、隣り合う分割コア32同士を連結して組み付けて組み付け体50を得る(図11参照)。
<挿入(焼きバメ)工程>
組み付け体50(図11参照)を外筒5(図12参照)に挿入して嵌め込む。まず、図示しないヒータによって外筒5を所定温度(たとえば300℃)に加熱する。続いて、加熱した外筒5に組み付け体50を挿入する。このとき、外筒5の内周面に設けたスリット5bが、組み付け体50を構成する分割コア32同士の突合せ端部に来ないよう周方向の位置決めをしながら挿入する。挿入が完了したならば、図示しない送風機などによって30分程度冷却して挿入(焼きバメ)工程は終了する。
(実施形態2)
上述の実施形態1では、外筒5の内周面に設けたスリット5bによって、組み付け体50と外筒5との間に空隙を形成したが、本発明はこれに限られるものではない。この実施形態2では、組み付け体の外周の形状によって、組み付け体と外筒5との間に空隙を形成する。
図15は、実施形態2の分割積層コアの形状を示す平面図である。
この実施形態2の固定子コアは、図15に示す分割コア2032を所定の数(本実施形態では、24個)だけ周方向に連結して形成されている。分割コア2032は、一つのスロット2031を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア2032との間で一つのスロット2031を区画する形状を呈している。具体的には、分割コア2032は、径方向内方に伸びる一対のティース部2320と、ティース部2320を径方向外方で連結するバックコア部2321とを有している。
この分割コア2032同士を周方向に連結してなる固定子コアの外周すなわち図15のバックコア部2321の上部には凹部2332が設けられており、この凹部2332によって、組み付け体と外筒5との間に空隙を形成することができる。この実施形態2であっても実施形態1と同様の応力低減効果を得ることができる。
この実施形態2のようにコア組み付け体の外周の形状すなわち分割コアの形状によって空隙を形成するようにすれば、分割コアを構成する積層鋼板を外周位置に凹部を有するものにするだけでよく、製造上、工程の増加を招くことがないし、低コストで製造することができるという効果を奏する。
なお、本発明において、コア組み付け体の外周と外筒の内周との間の空隙は、コア組み付け体の外周の形状および外筒の内周面の形状の両方によって形成されるものでもよいことは言うまでもない。
また、上記実施形態では、コア組み付け体の外周と外筒の内周との嵌合において、焼きバメを用いたが、必要な嵌合力を得るために、外周面と内周面との圧入によって、たとえば当たり面を互いに挿入方向に対し傾斜させてテーパ勘合するなどしても、よい。
本発明は、電気・ハイブリッド車両に搭載する回転電機に適用することができ、その回転電機の固定子コアの内周を真円に近くすることができ、回転電機の小型化、出力向上に有効である。
実施形態1に係る回転電機の構成を模式的に示す軸方向断面図である。 実施形態1に係る固定子の平面図である。 実施形態1に係る固定子コアの平面図である。 実施形態1に係る分割積層コアの平面図である。 変形例の固定子コアの平面図である。 変形例の分割積層コアの平面図である。 実施形態1に係る固定子コイルを構成する巻線の断面図である。 実施形態1に係る固定子コイルの結線を示す図である。 実施形態1に係る固定子コイルとなる巻き取り体の斜視図である。 実施形態1に係る固定子コイルの展開図であり、組み込み体の平面図である。 実施形態1に係る組み付け体の斜視図である。 実施形態1に係る外筒の斜視図である。 実施形態1に係る固定子の概要を示す模式平面図である。 締め代と、組み付け体と外筒との間に係る締め付け力による応力と、の関係を、実験結果で示すグラフである。 実施形態2に係る分割積層コアの平面図である。
符号の説明
1 回転電機
3 固定子
30 固定子コア
31a、31b スロット
32 分割コア
321 バックコア部
4 固定子コイル
43 スロット収容部
44 ターン部
47 組み込み体
48 巻き取り体
431 直状部
471 直状重ね合わせ部
472 隙間
481 直状積層部
5 外筒
5a 貫通孔
5b スリット
5c 当たり面
50 組み付け体

Claims (1)

  1. 複数の相巻線を有し、分割コアを組み付けたコア組み付け体の外周に外筒を嵌合固定してなる回転電機の固定子であって、
    前記分割コアの外周と前記外筒の内周との間には、前記分割コアの周方向隣の分割コアとの突合せ端部が、前記外筒の内周の当たり面と径方向に対向するように、空隙が設けられており、
    前記空隙は、前記コア組み付け体の外周の形状によって形成され、前記コア組み付け体と前記外筒との間を軸方向に貫通するスリットであり、
    前記スリットは、前記分割コアの周方向の数の倍数だけ形成され、
    前記嵌合固定は、焼きバメであることを特徴とする回転電機の固定子。
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