JP4898115B2 - 鋏における指掛部構造 - Google Patents
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Description
この鋏(1)においては、両鋏片(2,3)を回動中心部(4)で互いに交叉させてその回動中心部(4)よりも先端側で両鋏片(2,3)に刃部(5)を設けるとともにその回動中心部(4)よりも基端側で両鋏片(2,3)に柄部(6)を設けている。
この両柄部(6)にそれぞれ設けた合成樹脂製の把持部(8)は、両刃部(5)から延設された連結板(7a)に一体的に取着された支持部(9)と、この支持部(9)に一体的に取着された指掛環(10)とを有している。この指掛環(10)はこの支持部(9)よりも軟質の合成樹脂からなる。
この両把持部(8)の指掛環(10)は、相対向して支持部(9)に一体的に取着された内側枠部(10a)と、この内側枠部(10a)に対し指掛孔(11)を介して対向して支持部(9)と離れた外側枠部(10b)と、この内側枠部(10a)の下側とこの外側枠部(10b)の下側との間の下側枠部(10c)と、この内側枠部(10a)の上側とこの外側枠部(10b)の上側との間でこの下側枠部(10c)に対し指掛孔(11)を介して対向する上側枠部(10d)とから環状をなす。この指掛環(10)には、内側枠部(10a)と外側枠部(10b)と下側枠部(10c)と上側枠部(10d)とにわたり、指掛孔(11)を形取る環状の内周面(12)と、この内周面(12)の外側で延びる環状の外周面(13)と、その内周面(12)と外周面(13)との間で環状に延びる両側面(14)とを設けている。この両指掛環(10)の上側枠部(10d)の外周面(13)は、指掛環(10)の内側枠部(10a)の外周面(13)から連続する外周面(13a)と、指掛環(10)の外側枠部(10b)の外周面(13)から連続する外周面(13b)とを有している。
この両指掛環(10)のうち少なくとも一方の指掛環(10)で、外側枠部(9)の外周面(13)から連続する上側枠部(10d)の外周面(13b)に設けた柔軟部(15)は、内側の底部(17)から外側へ向って延びるように立設されて指掛環(10)の環状方向に沿って並設されるとともに指掛環(10)の両側面(14)間を結ぶ方向(Y)へ延びる弾性突起としてのひれ板(16)を複数有している。この各ひれ板(16)間には撓み許容空間としての溝(18)を設けている。この各ひれ板(16)の外端部(16a)と、この各ひれ板(16)の外端部(16a)間で露出する溝(18)の開口(18a)とにより指当面(21)を有する指当部(19)を設けている。この溝(18)については、ひれ板(16)に沿って延びる方向(Y,Z)の両側で開放しても閉塞してもよい。ちなみに、この溝(18)はその両側を閉塞した場合、前記開口(18a)のみで開放された凹所になる。例えば、各ひれ板(16)は、指掛環(10)の延設方向(X)すなわち環状方向(X)に沿って並設され、両側面(14)間を互いに結ぶ幅方向(Y)または内周面(12)と外周面(13)とを互いに結ぶ厚み方向(Z)へ延び、各ひれ板(16)間の溝(18)はその幅方向(Y)または厚み方向(Z)の両側と前記開口(18a)とで開放されている。
この上側枠部(10d)の指当部(19)を指当部(19)の外周部(20)を含む両側域(M)とこの両側域(M)間の中間域(N)とに区分した場合、この上側枠部(10d)の指当部(19)に与えられる指当て力により各ひれ板(16)を撓ませた際に上側枠部(10d)の指当部(19)に生じる撓みを両側域(M)よりも中間域(N)で大きくするために、溝(18)の底部(18b)から立設された各ひれ板(16)で底部(17)から外端部(16a)までの高さ(H)については前記両側域(M)よりも中間域(N)で大きくし、上側枠部(10d)の指当部(19)の外周部(20)の両側部(20a)を通る想定面(P)よりも内側に凹んでいる指当面(21)でこの想定面(P)に対する指当面(21)の深さ(L)については前記両側域(M)よりも中間域(N)で大きくしている。
また、前記上側枠部(10d)の柔軟部(15)を有する一方の指掛環(10)で下側枠部(10c)の両側面(14)にもそれぞれ前記上側枠部(10d)の柔軟部(15)に対し離間された柔軟部(22)を設けている。この下側枠部(10c)の柔軟部(22)には、内側の底部(17)から外側へ向って延びるように立設されて指掛環(10)の環状方向に沿って並設されるとともに指掛環(10)の内周面(12)と外周面(13)とを結ぶ方向(Z)へ延びる弾性突起としてのひれ板(16)を複数有している。この各ひれ板(16)間には撓み許容空間としての溝(18)を設けている。この各ひれ板(16)の外端部(16a)と、この各ひれ板(16)の外端部(16a)間で露出する溝(18)の開口(18a)とにより指当面(21)を有する指当部(19)を設けている。
この下側枠部(10c)の指当部(19)を指当部(19)の外周部(20)を含む両側域(M)とこの両側域(M)間の中間域(N)とに区分した場合、この下側枠部(10c)の指当部(19)に与えられる指当て力により各ひれ板(16)を撓ませた際に下側枠部(10c)の指当部(19)に生じる撓みを両側域(M)よりも中間域(N)で大きくするために、溝(18)の底部(18b)から立設された各ひれ板(16)で底部(17)から外端部(16a)までの高さ(H)については前記両側域(M)よりも中間域(N)で大きくしている。下側枠部(10c)の指当部(19)の指当面(21)で各ひれ板(16)の外端部(16a)が指掛環(10)の内周面(12)と外周面(13)とを結ぶ方向(Z)の中央部で最も高くなるように外側へ凸状に湾曲している。
西洋鋏1においては、両鋏片2,3が回動中心部4で互いに交叉されてその回動中心部4よりも先端側で両鋏片2,3に刃部5が設けられているとともにその回動中心部4よりも基端側で両鋏片2,3に柄部6が設けられている。この両鋏片2,3の刃部5はそれぞれ金属製の刀身7からなる。この両鋏片2,3の柄部6はそれぞれ合成樹脂製の把持部8を備えている。この両把持部8は、両刀身7から延設された連結板7aに取着された支持部9と、この支持部9に取着された指掛環10(指掛部)とを有している。この把持部8の支持部9は、回動中心部4を含み、連結板7aの外周全体を覆う。ちなみに、両刀身7の連結板7aが成形型(図示せず)内のキャビティにインサートされた状態で、このキャビティに合成樹脂(例えばPPやABSなどのプラスチック)が注入されて、連結板7aに支持部9が一体的に取着される。さらに、この支持部9が成形型(図示せず)内のキャビティにインサートされた状態で、このキャビティには支持部9よりも軟質の合成樹脂(例えば合成ゴムなどのエラストマー)が注入されて、この支持部9に指掛環10が一体的に取着される。この指掛環10内で支持部9には凸部9aや貫通孔9bが形成され、この凸部9aが指掛環10にくい込んだりこの貫通孔9bに指掛環10が入り込んだりして支持部9に対する指掛環10の抜け止め機能を果たす。
Claims (1)
- 両鋏片を回動中心部で互いに交叉させてその回動中心部よりも先端側で両鋏片に刃部を設けるとともにその回動中心部よりも基端側で両鋏片に柄部を設けた鋏において、
この両柄部にそれぞれ設けた合成樹脂製の把持部は、両刃部から延設された連結板に一体的に取着された支持部と、この支持部に一体的に取着された指掛環とを有し、この指掛環はこの支持部よりも軟質の合成樹脂からなり、
この両把持部の指掛環は、相対向して支持部に一体的に取着された内側枠部と、この内側枠部に対し指掛孔を介して対向して支持部と離れた外側枠部と、この内側枠部の下側とこの外側枠部の下側との間の下側枠部と、この内側枠部の上側とこの外側枠部の上側との間でこの下側枠部に対し指掛孔を介して対向する上側枠部とから環状をなし、
この指掛環には、内側枠部と外側枠部と下側枠部と上側枠部とにわたり、指掛孔を形取る環状の内周面と、この内周面の外側で延びる環状の外周面と、その内周面と外周面との間で環状に延びる両側面とを設け、この両指掛環の上側枠部の外周面は、指掛環の内側枠部の外周面から連続する外周面と、指掛環の外側枠部の外周面から連続する外周面とを有し、
この両指掛環のうち少なくとも一方の指掛環で、外側枠部の外周面から連続する上側枠部の外周面に設けた柔軟部は、内側の底部から外側へ向って延びるように立設されて指掛環の環状方向に沿って並設されるとともに指掛環の両側面間を結ぶ方向へ延びる弾性突起としてのひれ板を複数有し、この各ひれ板間には撓み許容空間としての溝を設け、この各ひれ板の外端部と、この各ひれ板の外端部間で露出する溝の開口とにより指当面を有する指当部を設け、
この上側枠部の指当部を指当部の外周部を含む両側域とこの両側域間の中間域とに区分した場合、この上側枠部の指当部に与えられる指当て力により各ひれ板を撓ませた際に上側枠部の指当部に生じる撓みを両側域よりも中間域で大きくするために、溝の底部から立設された各ひれ板で底部から外端部までの高さについては前記両側域よりも中間域で大きくし、上側枠部の指当部の外周部の両側部を通る想定面よりも内側に凹んでいる指当面でこの想定面に対する指当面の深さについては前記両側域よりも中間域で大きくし、
また、前記上側枠部の柔軟部を有する一方の指掛環で下側枠部の両側面にもそれぞれ前記上側枠部の柔軟部に対し離間された柔軟部を設け、この下側枠部の柔軟部には、内側の底部から外側へ向って延びるように立設されて指掛環の環状方向に沿って並設されるとともに指掛環の内周面と外周面とを結ぶ方向へ延びる弾性突起としてのひれ板を複数有し、この各ひれ板間には撓み許容空間としての溝を設け、この各ひれ板の外端部と、この各ひれ板の外端部間で露出する溝の開口とにより指当面を有する指当部を設け、
この下側枠部の指当部を指当部の外周部を含む両側域とこの両側域間の中間域とに区分した場合、この下側枠部の指当部に与えられる指当て力により各ひれ板を撓ませた際に下側枠部の指当部に生じる撓みを両側域よりも中間域で大きくするために、溝の底部から立設された各ひれ板で底部から外端部までの高さについては前記両側域よりも中間域で大きくし、下側枠部の指当部の指当面で各ひれ板の外端部が指掛環の内周面と外周面とを結ぶ方向の中央部で最も高くなるように外側へ凸状に湾曲している
ことを特徴とする鋏における指掛部構造。
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