JP4895447B2 - ケイ酸カルシウム材およびその製造方法 - Google Patents

ケイ酸カルシウム材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ酸カルシウム材およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、自動車用トンネル、鉄道用トンネル等の各種トンネル構造物の耐火被覆材として有用であるとともに、耐火性、断熱性、加熱残存収縮率等に優れるケイ酸カルシウム材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、トンネル構造物、例えば鉄道用トンネル、自動車用等の各種トンネル内部の火災時は、雰囲気温度が1000℃以上の高温になり、とくに天井部は熱や炎によって大きな負荷がかかり、該構造物を構成するコンクリートの爆裂や落下の危険性がある。
そこで従来、トンネル構造物を火災から保護するためにその内側表面の一部、例えば天井部に耐火用の内装材が設置されている。このような内装材としては、ケイ酸カルシウムを原料としたものが幾つか提案されている(例えば特開平11−294098号公報、特開2001−207793号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のケイ酸カルシウムを原料とした耐火用の内装材は、いまだ耐火性および断熱性に満足のいくものではない。
したがって、本発明の目的は、自動車用トンネル、鉄道用トンネル等の各種トンネル構造物の内装材として有用であるとともに、耐火性、断熱性、加熱残存収縮率等に優れるケイ酸カルシウム材およびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるケイ酸カルシウム材において、
前記ケイ酸カルシウム水和物は、石灰質原料とケイ酸質原料をCaO/SiO のモル比0.9〜1.1、温度190〜210℃、かつ養生時間5時間〜15時間でオートクレーブ養生したケイ酸カルシウム水和物であり、トバモライトとゾノトライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0であり、
前記ケイ酸カルシウム材は、前記繊維として、前記ケイ酸カルシウム材に占める比率が20〜60質量%の範囲の針状ワラストナイトおよび1〜10質量%の範囲のセルロースパルプを含有することにより、
1200℃における加熱残存収縮率が5%以下であることを特徴とするケイ酸カルシウム材を提供するものである。
【0005】
また本発明は、ケイ酸カルシウム材が、マイカ粉、タルク粉、炭酸カルシウム粉、ドロマイト粉およびワラストナイト粉からなる群から選択される少なくとも1種の充填材を30質量%以下の範囲で含有してなる前記のケイ酸カルシウム材を提供するものである。
【0006】
また本発明は、針状ワラストナイトおよび/またはセルロースパルプの一部を、ガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維およびポリエチレンパルプからなる群から選択される1種以上の繊維で置換してなる前記のケイ酸カルシウム材を提供するものである。
【0007】
また本発明は、石灰質原料、ケイ酸質原料、繊維原料および水を混合し、原料スラリーを形成し、前記原料スラリーを加熱養生し加圧脱水成形してケーキを形成し、前記ケーキをオートクレーブ養生して硬化させる工程を有するケイ酸カルシウム材の製造方法において、
前記石灰質原料とケイ酸質原料のCaO/SiO2のモル比を0.9〜1.1とし、
前記繊維原料として、前記ケイ酸カルシウム材に占める比率が20〜60質量%の範囲の針状ワラストナイトおよび1〜10質量%の範囲のセルロースパルプを使用し、
前記加熱養生の加熱温度は80〜100℃であり、
前記加圧脱水成形における圧力は2MPa〜10MPaであり、
前記オートクレーブ養生は温度が190〜210℃、かつ養生時間が5時間〜15時間であることにより、
ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるケイ酸カルシウム材を形成し、
ここで前記ケイ酸カルシウム水和物は、トバモライトとゾノトライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0であり、かつ前記ケイ酸カルシウム材は、1200℃における加熱残存収縮率が5%以下であることを特徴とするケイ酸カルシウム材の製造方法を提供するものである。
【0008】
また本発明は、繊維原料の一部を、原料スラリーの加熱養生後、かつ加圧脱水成形前に添加する前記のケイ酸カルシウム材の製造方法を提供するものである。
【0009】
また本発明は、ケイ酸質原料として、非晶質ケイ酸と結晶質ケイ酸とを使用し、かつ前記非晶質ケイ酸と結晶質ケイ酸との質量比が、前者/後者として0.1〜1.5である前記のケイ酸カルシウム材の製造方法を提供するものである。
【0010】
また本発明は、原料スラリーに、マイカ粉、タルク粉、炭酸カルシウム粉、ドロマイト粉およびワラストナイト粉からなる群から選択される少なくとも1種の充填材を、製造されるケイ酸カルシウム材に対して30質量%以下の範囲で含まれるように配合する前記のケイ酸カルシウム材の製造方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、針状ワラストナイトおよび/またはセルロースパルプの一部を、ガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維およびポリエチレンパルプからなる群から選択される1種以上の繊維で置換してなる前記のケイ酸カルシウム材の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに説明する。
本発明のケイ酸カルシウム材は、ケイ酸カルシウム水和物がトバモライトとゾノトライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0、好ましくは0.8〜4.0、さらに好ましくは0.8〜3.0であることを一つの特徴としている。
前記比が0.3未満であると加熱残存収縮率が大きくなり、逆に5.0を超えると結晶水量が減少するため吸熱効果が小さくなり耐火性および断熱性に劣り、いずれも本発明の目的を達成することができない。なお、ここでいうゾノトライトの(001)面のX線回折強度(Xoh)は、CuKα線を用いたときの2θ=12.5度付近の(001)回折線高さ読み取り値を意味し、トバモライトの(002)面のX線回折強度(Toh)は、CuKα線を用いたときの2θ=7.8度付近の(002)回折線高さ読み取り値を意味するものとする。
【0013】
また、本発明で使用する繊維は、針状ワラストナイトおよびセルロースパルプを必須成分とする。針状ワラストナイトは、ケイ酸カルシウム材に占める比率が20〜60質量%であり、好ましくは30〜50質量%、さらに好ましくは40〜50質量%である。またセルロースパルプは、ケイ酸カルシウム材に占める比率が1〜10質量%であり、好ましくは2〜10質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。なお本発明でいう繊維とは、アスペクト比(長さと径の比)が3以上のものを意味している。
針状ワラストナイトが20質量%未満であると、加熱残存収縮率が大きくなり、逆に60質量%を超えるとマトリックスの相対的に減少し結晶水量が減少するため吸熱効果が小さくなり耐火性および断熱性に劣り、いずれも本発明の目的を達成することができない。また、セルロースパルプが1質量%未満であると、加圧脱水成形性が悪化し好ましくない。逆に10質量%を超えると耐火性および断熱性ともに低下し好ましくない。
【0014】
針状ワラストナイトは、繊維長さとして30μm〜500μm、好ましくは50μm〜200μmであるのがよい。
またセルロースパルプは、針葉樹、広葉樹の晒しパルプが好ましいが、未晒のものも使用可能である。その他、綿、麻パルプ等も利用可能である。セルロースパルプの濾水度は、JIS−P−8121のカナダ標準濾水度(CSF)で100〜700ml、好ましくは200〜700mlがよい。100ml未満では、加圧脱水成形時の濾水性が悪化し、強度の低下をもたらし好ましくない。逆に700mlを超えるとセルロースパルプの分散不良のため強度が低下する。
【0015】
なお本発明においては、針状ワラストナイトおよび/またはセルロースパルプの一部を、ガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維およびポリエチレンパルプからなる群から選択される1種以上の繊維で置換してもよい。これら置換繊維が繊維原料全体に占める比率は、10質量%以下が好ましい。
【0016】
また本発明のケイ酸カルシウム材は、上記のような原料の他に、例えばマイカ粉、タルク粉、炭酸カルシウム粉、ドロマイト粉およびワラストナイト粉からなる群から選択される少なくとも1種の充填材を含有することもできる。これら充填材は、ケイ酸カルシウム材に占める比率が30質量%以下の範囲であるのが好ましい。
【0017】
次に本発明のケイ酸カルシウム材の製造方法について説明する。
本発明のケイ酸カルシウム材は、石灰質原料、ケイ酸質原料、繊維原料および水を混合し、原料スラリーを形成し、前記原料スラリーを加熱養生し、加圧脱水成形して所望の形状のケーキを形成し、前記ケーキをオートクレーブ養生して硬化させることにより製造することができる。
【0018】
石灰質原料としては、例えば消石灰、生石灰を用いることができる。
【0019】
ケイ酸質原料としては、非晶質ケイ酸と結晶質ケイ酸とを併用するのが好ましい。この場合、非晶質ケイ酸と結晶質ケイ酸との質量比が、前者/後者として0.1〜1.5であるのがよい。前記比が0.1未満であると、ゾノトライトの生成量が減少し、逆に1.5を超えるとトバモライトの生成量が減少する傾向にある。
【0020】
非晶質ケイ酸としては、例えばフェロシリコンダスト、シリコンダスト、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン等を利用することができる。なお、これら非晶質ケイ酸は、不純物であるAl23が2質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下であるのがよい。
結晶質ケイ酸としては、例えば石英からなる粉末珪石、クリストバライト、トリジマイト等を利用することができる。結晶質石英は、不純物であるAl23が2質量%以下、好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下であるのがよい。また、SiO2が90質量%以上、好ましくは95質量%以上であるのがよい。さらにブレーン値が2000〜11000cm2/g、好ましくは2000〜7000cm2/g、さらに好ましくは3000〜7000cm2/gであるのがよい。
【0021】
また、前記石灰質原料とケイ酸質原料のCaO/SiO2のモル比(C/S)は、0.9〜1.1、好ましくは0.95〜1.05、さらに好ましくは0.97〜1.03であるのがよい。該モル比が0.9未満であると、ゾノトライトの生成量が少なくなる傾向にあり、逆にモル比が1.1を超えるとトバモライトの生成量が減少する傾向にある。
【0022】
繊維原料は、前記したとおり、針状ワラストナイトおよびセルロースパルプを使用し、必要に応じてその他の繊維原料、すなわちガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンパルプ等を用いることができる。
【0023】
原料スラリーを形成するために用いる水は、{水/(石灰質原料+ケイ酸質原料+充填材を使用する場合は充填材+繊維原料)}が1.5〜5(質量比)、好ましくは2〜4となるように配合するのがよい。該比が1.5未満であると加熱養生後の流動性が低下し作業上好ましくなく、逆に5を超えると加圧脱水成形時に巣穴や層状剥離等が生じ好ましくない。
【0024】
調製された原料スラリーに、続いて加熱養生を施す。
加熱養生の加熱温度は80〜100℃、好ましくは90〜95℃がよい。80℃未満ではゲル化反応が不十分で成形性が悪化するので好ましくない、100℃を超えると圧力容器が必要になるので好ましくない。また加熱時間は0.5時間〜3時間が好ましい。この加熱養生により原料スラリーがゲル化し、かさ比重の低いケイ酸カルシウム材を得ることができる。本発明では針状ワラストナイトを配合しているので、かさ比重が高くなる傾向にある。かさ比重が高くなると断熱性が低下し好ましくないが、本発明では加熱養生する工程を設けることにより、このかさ比重の増加を抑制することができる。また次の加圧脱水成形工程の脱水効率も向上することができる。なおこのゲル化反応は、石灰質原料と非晶質ケイ酸と水とが反応し、非晶質または結晶度の低いゲル状のCaO−SiO2−H2Oの系の反応生成物を生じる反応である。
【0025】
なお、繊維原料は原料スラリー調製時に一括して加えてもよいが、繊維原料の一部をこの加熱養生工程時に加えてもよい。これとは別に繊維原料の全部をこの加熱養生工程時に加えることもできる。
【0026】
続いて加熱養生に施された原料スラリーは、加圧脱水成形され、所望の形状の形のケーキに調製される。加圧脱水成形は、圧力2MPa〜10MPaとして行うのが好ましい。なお、加圧脱水成形は、公知のモールドプレス脱水成形法、抄造法により得られたグリーンシートをプレス脱水成形する方法等により行うことができる。
【0027】
次に得られたケーキは、オートクレーブ養生を施され硬化する。オートクレーブ養生は、温度が190〜210℃、好ましくは190〜200℃、時間が5時間〜15時間であるのがよい。オートクレーブ養生し、硬化したケイ酸カルシウム材に、例えば100〜200℃の温度で乾燥を施す。
【0028】
このようにして製造された本発明のケイ酸カルシウム材は、ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるものであり、ケイ酸カルシウム水和物は、前記したように、ゾノトライトとトバモライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0であり、かつ、1200℃における加熱残存収縮率が5%以下である。加熱残存収縮率が5%を超えると、高温に暴露されたとき亀裂等が生じ耐火性および断熱性ともに悪化する。
ここで1200℃における加熱残存収縮率とは、ケイ酸カルシウム材から作製された試験片を、105℃で24時間乾燥させ、そのときの長さをl0とし、1200℃で3時間加熱し室温まで冷却したときの長さをl1としたときに、{(l0−l1)/l0}×100(%)で定義される。
【0029】
また、本発明のケイ酸カルシウム材を、自動車用トンネル、鉄道用トンネル等の各種トンネル構造物の内装材(パネル)として利用する場合、そのサイズは例えば、縦1800〜3000mm×横900〜1200mm×厚さ10〜50mmが例示される。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
石灰質原料として消石灰、非晶質ケイ酸としてAl23含量0.5質量%およびSiO298質量%のフェロシリコンダスト、結晶質ケイ酸としてAl23含量1質量%、SiO2含量98質量%およびブレーン値3000cm2/gの粉末珪石、繊維原料として平均繊維長さ約100μm、アスペクト比約10の針状ワラストナイト、CSF200mlの叩解セルロースパルプを用い、下記表1に示す配合割合において原料スラリーを調製した。続いて原料スラリーを90℃、2時間加熱養生し、続いて4MPaの圧力で加圧脱水成形してケーキを形成し、このケーキを温度195℃、10時間オートクレーブ養生し、硬化させ、長さ200mm×幅200mm×厚さ27mmの成形体を得た。
また得られた成形体は、ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるケイ酸カルシウム材であり、顕微鏡分析の結果、ケイ酸カルシウム水和物は、トバモライトとゾノトライトとからなることが分かった。さらに前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度とトバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者(Xoh/Toh)として1.1であり、かつ1200℃における加熱残存収縮率が4.5%であった。
また得られた成形体に対し、JIS−A−1408に基づく曲げ強度について調べた。結果を表1に示す。
また、200mm×200mm×厚さ100mmのコンクリートの200mm×200mm面に、得られた成形体の四隅をアンカーボルトで固定し、耐火性能評価用試験体を作製した。次に間口(200mm×200mm)に扉を有する、奥行き400mmの横形電気炉を予め1000℃に昇温した後、扉を開け、電気炉が冷えないよう速やかに間口部分をふさぐようにして試験体を設置した。その後電気炉内温度が10分後1200℃、20分後1260℃、30分後1300℃、60分後1350℃となるよう温度制御しながら試験体をケイ酸カルシウム材側から60分間片面加熱した。コンクリートの200mm×200mm面の中央部かつケイ酸カルシウム板とコンクリートの界面には予め熱電対がセットされており、コンクリートの表面の温度上昇を測定できるようになっている。表1に測定した60分加熱後のコンクリート表面温度を示す。一般的にコンクリートは350℃以上の雰囲気に曝されると水蒸気圧による爆裂現象で破壊が進むと言われている。従ってコンクリート表面温度を350℃以下に抑えることができれば、ケイ酸カルシウム材は十分な耐火性能を有するコンクリート用耐火被覆材であると評価できる。
【0031】
実施例2〜8および比較例1〜11
下記表1および2のように配合割合、成形圧力およびオートクレーブ温度を変更したこと以外は実施例1を繰り返した。結果を表1および2に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004895447
【0033】
【表2】
Figure 0004895447
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車用トンネル、鉄道用トンネル等の各種トンネル構造物の内装材として有用であるとともに、耐火性、断熱性、加熱残存収縮率等に優れるケイ酸カルシウム材およびその製造方法が提供される。

Claims (8)

  1. ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるケイ酸カルシウム材において、
    前記ケイ酸カルシウム水和物は、石灰質原料とケイ酸質原料をCaO/SiO のモル比0.9〜1.1、温度190〜210℃、かつ養生時間5時間〜15時間でオートクレーブ養生したケイ酸カルシウム水和物であり、トバモライトとゾノトライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0であり、
    前記ケイ酸カルシウム材は、前記繊維として、前記ケイ酸カルシウム材に占める比率が20〜60質量%の範囲の針状ワラストナイトおよび1〜10質量%の範囲のセルロースパルプを含有することにより、
    1200℃における加熱残存収縮率が5%以下であることを特徴とするケイ酸カルシウム材。
  2. ケイ酸カルシウム材が、マイカ粉、タルク粉、炭酸カルシウム粉、ドロマイト粉およびワラストナイト粉からなる群から選択される少なくとも1種の充填材を30質量%以下の範囲で含有してなる請求項1に記載のケイ酸カルシウム材。
  3. 針状ワラストナイトおよび/またはセルロースパルプの一部を、ガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維およびポリエチレンパルプからなる群から選択される1種以上の繊維で置換してなる請求項1または2に記載のケイ酸カルシウム材。
  4. 石灰質原料、ケイ酸質原料、繊維原料および水を混合し、原料スラリーを形成し、前記原料スラリーを加熱養生し加圧脱水成形してケーキを形成し、前記ケーキをオートクレーブ養生して硬化させる工程を有するケイ酸カルシウム材の製造方法において、
    前記石灰質原料とケイ酸質原料のCaO/SiOのモル比を0.9〜1.1とし、
    前記繊維原料として、前記ケイ酸カルシウム材に占める比率が20〜60質量%の範囲の針状ワラストナイトおよび1〜10質量%の範囲のセルロースパルプを使用し、
    前記加熱養生の加熱温度は80〜100℃であり、
    前記加圧脱水成形における圧力は2MPa〜10MPaであり、
    前記オートクレーブ養生は温度が190〜210℃、かつ養生時間が5時間〜15時間であることにより、
    ケイ酸カルシウム水和物からなるマトリックスと繊維とを含有してなるケイ酸カルシウム材を形成し、
    ここで前記ケイ酸カルシウム水和物は、トバモライトとゾノトライトとからなるとともに、前記ゾノトライトの(001)面のX線回折強度と前記トバモライトの(002)面のX線回折強度との比が、前者/後者として0.3〜5.0であり、かつ前記ケイ酸カルシウム材は、1200℃における加熱残存収縮率が5%以下であることを特徴とするケイ酸カルシウム材の製造方法。
  5. 繊維原料の一部を、原料スラリーの加熱養生後、かつ加圧脱水成形前に添加する請求項4に記載のケイ酸カルシウム材の製造方法。
  6. ケイ酸質原料として、非晶質ケイ酸と結晶質ケイ酸とを使用し、かつ前記非晶質ケイ酸と結晶質ケイ酸との質量比が、前者/後者として0.1〜1.5である請求項4または5に記載のケイ酸カルシウム材の製造方法。
  7. 原料スラリーに、マイカ粉、タルク粉、炭酸カルシウム粉、ドロマイト粉およびワラストナイト粉からなる群から選択される少なくとも1種の充填材を、製造されるケイ酸カルシウム材に対して30質量%以下の範囲で含まれるように配合する請求項4ないしのいずれか1項に記載のケイ酸カルシウム材の製造方法。
  8. 針状ワラストナイトおよび/またはセルロースパルプの一部を、ガラス繊維、耐アルカリガラス繊維、炭素繊維、炭化珪素繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維およびポリエチレンパルプからなる群から選択される1種以上の繊維で置換してなる請求項4ないし7のいずれか1項に記載のケイ酸カルシウム材の製造方法。
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