JP4892127B2 - 万能工作機械 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工すべきワークピース用のワークピース・スライドを備えた万能工作機械であって、前記ワークピース・スライドは、モータによってマシーン・ベッド上で移動可能であり、加工装置は、モータによって複数の軸に沿って移動可能であると共に、工作機械を受容するためのモータ駆動型ワーク・スピンドルを有することを特徴とする万能工作機械に関する。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、ＥＰ ０ ６６４ １７６ Ｂ１より周知のこのような万能ミリング、ドリル、ボアリング・マシンにおいて、ワーク・スピンドルは、垂直面に関して４５度に傾いた上記表面壁の上にある支持収容部の表面壁に垂直な位置合わせ面について回動可能な旋回ミリング・ヘッド内に配置される。この支持収容部は、垂直に移動可能となるように移動スタンドの表面上に配置され、前記移動スタンドが、モータによって移動可能なようにマシン・ベッドの後端にガイドレール上に取り付けられる。マシン・ベッドの前部では、ワークピース・スライドを備えるテーブル・スライドが、水平動作可能なように配置される。このように配置された工作機械により、複雑なミリング、ドリル、スレッド操作が、単一のクランプ位置でワークピースの複数の側で行える。しかし、ワークピースによる回転式主切断動作を含む回動操作は、このような機械では全く行えない。
【０００３】
より小さいボアリングまたはミリング・ヘッドが挿入できるツール・リボルバーを備えた回動マシンも周知である。しかし、これらにおいては、ミリング・ヘッドの移動能力および切断性能は限りがあり、これらのマシンの駆動が比較的複雑である。従って、回動マシン内のこのようなミリングおよびドリル・ヘッドの適用範囲は、限られている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い切断性能を有するミリングおよびドリル操作に加えて、１つのクランプ位置におけるワークピースの完全自動加工のための回動操作を可能にする上記種類の万能工作機械を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記目的は、少なくとも１つの回動可能なワークピース収容部を有するワークピース・スライドと、前記ワークピース収容部が、加工すべきワークピースに関する回動操作を行うために駆動できる関連回転ドライブを設けることによって解決される。
【０００６】
本発明による万能工作機械は、ツール毎の回転主切断動作を含むミリング、ドリルおよびスレッド動作に加えて、ワークピース毎の回転式主切断動作を含む回動操作を行う可能性を提供する。このように、回動マシンと、ミリングまたはドリル・マシンとの間のワークピースの複雑な再クランプなしに、複雑な形状のワークピースでさえも完全自動加工が行える。ワークピースの再クランプを避けることによってより高い加工精度が得られる。本発明の工作機械のもう１つの重要な利点は、ミリングおよびドリルのために提供されたワーク・スピンドルの移動経路が、回動操作のための供給および供給動作にも使用でき、それによって、構造および制御技術の複雑さが減少される。ミリング技術とは別に、回動技術も、同じユーザ・インタフェースを有する１つの制御機構でカバーでき、この機械の概念の利点は、回動操作にも使用可能である。
【０００７】
本発明の有効な実施例は、サブクレームに示される。
【０００８】
ワークピース収容部は、例えば、ワークピース・クランプ手段を含む水平回転式スピンドルとして形成してもよい。特別に強力で堅剛な実施例において、回転式スピンドルは、例えば、ワークピース・スライドと一体的に形成されたスピンドル・ヘッド内で軸受けされる。しかし、この回転式スピンドルも、必要に応じてワークピース・スライド上に取り付けることができる別のスピンドル・ヘッド内に配置される。前記配置により、加工タスクを可能な限り変更するための回転式スピンドルの後付けまたは取り外しが簡単に行える。
【０００９】
水平回転式スピンドルの他、あるいはその代わりに、ワークピース・スライドは、垂直軸を中心として回動可能な水平ワークピース・スライドも有し、ワークピース収容部として統合回転式ドライブを有する。このようなワークピース・スライドを備えた工作機械により、大型または嵩張るワークピース上でさえも１つのクランプ位置でミリングおよび回動操作が行える。このように、この工作機械の適用範囲は、拡大することができ、加工精度も向上させることができる。
【００１０】
ワークピース収容部は、例えば、ワークピースのコンソールに固定されたステータ・リングと、特別にコンパクトな実施例におけるターン・テーブルに固定されたロータ・リングとを備えるリング形状の駆動モータによって駆動してもよい。この駆動モータは、例えば、高いダイナミクスを有する直接ドライブと、追加噛み合いや結合のない正確な位置決めを可能にする集電子の無いリング形状トルクであってもよい。このワークピース収容部は、このような空間要件および重量が殆どなく、回動操作を行うための高いダイナミクスで駆動するだけでなく、例えば、特別なミリングまたはドリル操作を行うために任意の角度位置に位置決めしてもよい。
【００１１】
本発明のもう１つの有利な実施例において、ワーク・スピンドル内に挿入可能なワークピース・エクスチェンジャが設けられる。このワーク・スピンドルは、回転式スピンドルでのワークピース交換に必要な動作全てを行うことができ、この場合、別個の駆動モータまたは移動素子が必要である。ワークピース・エクスチェンジャは、例えば、複数のグリッパ・アームを備えたワークピース・グリッパであってもよく、それによって、仕上げワークピースは、回転式スピンドルからワークピース・デポジットに搬送される。回転式スピンドルは、ワークピース・グリッパ経由で新しいワークピースと共に供給してもよい。ロッド供給マガジンを設けて、回動スピンドルをロッド形状材料と共に供給してもよい。
【００１２】
簡単で効果的な一実施例において、ワークピース・グリッパは、ワーク・スピンドル内の内部冷却剤供給により動作可能である。このように、追加操作デバイスは、省いてもよい。
【００１３】
効果的なのは、回転式スピンドル上に自動的に動作可能な３つ以上のジョー・チャックを配置することである。しかし、この回転式スピンドルは、異なった電力のジョー・チャックを受容するための内部クランプ・コーンを備えてもよい。
【００１４】
本発明の更なる特記事項および利点は、以下の図面を参照して以下の実施例の利点の説明からも明らかである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
図１に概略的に示される万能工作機械は、モータによって二重矢印３の方向におけるＹ軸に沿って移動可能とするためワークピース・スライド２を配置したマシン・ベッド１を備える。このワークピース・スライド２は、スピンドル・ヘッド４を備え、ヘッド内では、水平回転式スピンドル５が、駆動モータ（図示せず）によって回転駆動されると共に、ワークピースをクランプするクランプ手段として自動的に動作する３つのジョー・チャック６を有することで、回転可能に軸受けされる。しかし、この回転式スピンドル５は、他のワークピース・クランプ手段および／または異なった電力のジョー・チャックなどを受容する内部クランプ・コーンを備えてもよい。
【００１６】
マシン・ベッド１の後部では、図平面に関して垂直に延びるガイドレール７および８が取り付けられ、そのガイドレール７および８の上では、移動スタンド９が、モータ駆動式スレッド型スピンドル１０経由でＸ軸に沿って水平に移動可能なように案内される。移動スタンド９の前方には、支持収容部１１が、二重矢印１２の方向にＺ軸に沿って垂直に上昇および下降動作可能なように配置される。垂直面に関して、４５度に傾き、斜め下方向に延びる支持収容部１１の表面壁では、モータによって回動可能なワーク・スピンドル１５を有する旋回ミリング・ヘッド１４が、表面壁１３に垂直な旋回軸１６について回動可能なように加工ユニットとして取り付けられる。このワーク・スピンドル１５は、旋回軸１６に関して、４５度の角度の範囲内で、旋回ミリング・ヘッド１４内に軸受けされる。旋回軸１６について旋回ミリング・ヘッド１４の回転に対応させることにより、ワーク・スピンドル１５は、このように、実線によって示される垂直加工位置から破線によって示される水平加工位置まで回動させることができる。マシン・ベッド１の端部には、加工処理時に発生したチップを除去するためにチップ・コンベア１７が配置される。
【００１７】
例えば、ミリング、ドリル、ボアリングまたはスレッド操作とは別に、回動操作用ツールは、ワーク・スピンドル１５内に挿入してもよい。前記ツールは、ツール・マガジン（図示せず）内に配置されかつ適切なツール・エクスチェンジャによってワーク・スピンドル内に挿入することができる対応するクランプまたはツール収容部内に配置される。例えば、回転式スピンドル５にクランプされたワークピース上の回動操作を実行するため、インデックス可能な挿入部のためのツール・キャリアを、ワーク・スピンドル内に挿入することができる。この回転式主切断動作は、その後、モータ駆動回転式スピンドル５によって生成される。このＹ軸に沿った供給動作は、その上に配置された回転式スピンドルでワークピース・スライド２を動かすことにより行われる一方、Ｘ軸およびＺ軸に沿った供給動作は、移動スタンド９および支持収容部１１を移動させることによって行われる。個々の移動および回動軸に沿った移動制御により、複雑な回動動作を、このように高精度に行ってもよい。その上、ミリング、ドリル、ボアリング、スレッド・プロセスなどのための共通ツールも、ワーク・スピンドル１５に挿入することができる。従って、ミリング、ドリル、ボアリング、リームおよびスレッドなど他の全ての種類の加工が、回動操作の前後に回動スピンドル５にクランプされたワークピース上で行うこともできる。このため、異なった種類のマシン同士の複雑な再クランプなしに完全な加工が可能となる。
【００１８】
しかし、回転式スピンドル５にクランプされたワークピースを交換する図１に概略的に示されるワークピース・エクスチェンジャ１８は、ワーク・スピンドル１５内にも挿入可能であってもよい。ワーク・スピンドル１５内へのワークピース・エクスチェンジャ１８の挿入は、自動ツール・エクスチェンジャ（図示せず）によって行ってもよく、その場合、ワークピース・エクスチェンジャ１８は、加工プロセス時にツール・マガジン（図示せず）内に配置される。このワークピース・エクスチェンジャは、例えば、クランプ・コーン経由でワーク・スピンドル１５内に挿入可能な複数のグリップ・アーム１９を備えたワークピース・グリッパであってもよい。このグリップ・アーム１９の操作は、有用な実施例におけるワーク・スピンドル１５の内部冷却剤供給により行ってもよい。例えば、４０００hPa(４０bar)の相対的に高い圧力は、通常、工作機械の冷却剤供給によって利用可能であるため、グリップ・アーム１９の操作に追加電源供給は必要ない。
【００１９】
ワーク・スピンドル１５によって移動可能なツール・グリッパにより、仕上げワークピースは、回転式スピンドルから検出して、ワークピース・デポジットに搬送することができる。この回転式スピンドルは、ワークピース・グリッパ経由で新しいワークピースと共に供給してもよい。また、ロッド供給マガジンを設けて、適切なロッド材料を回転式スピンドルに搬送することも可能である。
【００２０】
図２に示す本発明による万能工作機械の更なる実施例において、周知のロッド供給マガジン１８自体は、マシン・ベッド１の前方に配置される。このロッド・マガジン１８により、ロッド形状のワークピースは、中空シャフトとして形成され、３つのジョー・チャック６によってクランプされる回転式シャフト５に搬送してもよい。図２に、工作機械を通常包囲する保護キャビン１０も示す。
【００２１】
図３に、図１および２に図示したワークピース・スライド２の代わりに使用することができるもう１つのワークピース・スライド２０を示す。このワークピース・スライド２０は、水平ターン・テーブル２２をリング・ベアリング２３経由で軸受けし、垂直軸を中心として回転可能になるようにしたコンソール２１を備える。コンソール２１内のワークピース・テーブル２２の回転軸に垂直なリング・スペース２４において、リング・スペース２４の内壁のコンソール２１に固定して接続された内側ステータ・リング２６と、ワークピース・スライド２０の底側に固定された外側ロータ・リング２７とを備える駆動モータ２５が配置される。ターン・テーブル２２の底側にあり、その回転軸に同心した状態で、下方に突出するタペット２８が固定され、この軸周辺では、スリップ・リング２９およびシャフト・エンコーダー３０が配置される。駆動モータ２５は、例えば、回動操作を行う高いダイナミックスに加えて、結合または噛み合いや連結が無くても異なった角度位置でミリングおよびドリル操作を行う正確な位置決めを可能にする集電子の無いリング形状トルク・モータであってもよい。
【００２２】
ターン・テーブルや、回転駆動しないワークピース上でミリング・プロセスを行う回転式スピンドルのクランプは、必要に応じて、モータや、起動することができる別個のクランプ手段によって行ってもよい。その上には、受け入れ不可能な調速機おもりを検出することができ、工作機械をオフにすることができる１つ以上の調速機おもりセンサを、ターン・テーブルまたは回転式スピンドルの上に配置してもよい。
【００２３】
図４に、図３によるワークピース・スライド２０を備える、本発明による工作機械内の回動操作についての実施例を示す。ターン・テーブル２２の上には、加工すべきテーブル３１が、上下逆さまにクランプされる。図１に示すワーク・スピンドル１５内に挿入することができる回動ツール３２、３３、および３４の使用により、ターン・テーブル２２の対応する駆動により異なった回動操作を行ってもよい。例えば、このターン・テーブルの内側および外側での回動操作は、回動ツール３２および３４によって行ってもよく、回動ツール３３によって嵌め込み作業を行ってもよい。
【００２４】
本発明は、図面において詳細に説明され、図示される実施例には限定されない。回動スピンドルは、例えば、テーブル・スライド上に取り外し可能に取り付けられる別個のスピンドル・ヘッドに配置してもよい。このワークピース・スライドは、垂直軸を中心として回動可能なワークピースだけでなく、水平軸を中心として回動可能な回転式スピンドルを追加的に備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】ミリング、ドリル、回動操作用の万能工作機械の概略側面図である。
【図２】ロッド供給マガジンおよび保護キャビンを備える図１に示す万能工作機械の概略的な部分断面側面図である。
【図３】ターン・テーブルを備えるワークピース・スライドの部分断面斜視図である。
【図４】本発明による万能工作機械における回動操作を説明するためにクランプされたワークピースおよび回動ツールを含む図３に図示されたワークピース・スライドを示す。
【符号の説明】
１ マシン・ベッド
２ ワークピース
３ 二重矢印
４ スピンドル・ヘッド
５ 水平回転式スピンドル
６ ジョー・チャック
７、８ ガイドレール
９ 移動スタンド
１０ モータ駆動式スレッド型スピンドル
１１ 支持収容部
１２ 二重矢印
１３ 表面壁
１４ 旋回ミリング・ヘッド
１５ ワーク・スピンドル
１６ 旋回軸
１７ チップ・コンベア
１８ ロッド供給マガジン
１９ グリップ・アーム

Claims (3)

1. モータによって座標軸の一つに沿ってマシン・ベッド（１）上を水平に移動可能な、ワークピース・スライド（２０）と、
   リング・ベアリング（２３）を介してコンソール（２１）上に取り付けられ、駆動モータ（２５）を有するワークピース収容部（２２）であって、駆動モータ（２５）のステータ・リング（２６）は、コンソール（２１）に固定して連結され、駆動モータ（25）のロータ・リング（２７）は、ワークピース収容部（２２）に連結して固定される、ワークピース収容部（２２）と、
   モータによって複数の座標軸に移動可能であり、ミリングツールまたはターニングツールを選択的に受容するワーク・スピンドル（１５）を備える加工ユニット（１４）とを備える、万能工作機であって、
   ワークピース収容部（２２）を支えるコンソール（２１）は、ワークピース・スライド（２０）の一部であり、
   駆動モータ（２５）は、コンソール（２１）のリング・スペース（２４）に配置され、
   半径方向に内側のステータ・リング（２６）の内側の外表面は、コンソール（２１）に固定され、
   半径方向外側に配置されるロータ・リング（２７）は、ワークピース収容部（２２）の底側に固定されることを特徴とする、万能工作機械。
2. 前記駆動モータ（２５）は、集電子の無いトルクモータであることを特徴とする請求項１に記載の万能工作機械。
3. 前記ワークピース収容部（２２）の底側に、中心のタペット（２８）が固定され、スリップ・リング（２９）とシャフト・エンコーダー（３０）が、中心のタペット（２８）の周りに配置されることを特徴とする、請求項１または２に記載の万能工作機械。

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