JP2004160599A - 立形マシニングセンタ - Google Patents

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直樹 岩渕
Hajime Kimura
肇 木村
Ryuichi Fujiwara
竜一 藤原
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Abstract

【課題】棒状工作物を押し出すような複雑な構成の供給装置を設けなくても、省スペースで棒状工作物の収納,供給,加工を行うことができる立形マシニングセンタを提供する。
【解決手段】立形マシニングセンタ1は、主軸頭5が棒状工作物2に対して相対的に直交3軸方向に移動可能で下方にテーブル6が配置されたマシニングセンタであり、縦方向に棒状工作物を収納可能な立形のストッカ7を加工領域の近傍に配置し、棒状工作物を把持,把持解除可能なハンド部10を主軸頭に設け、主軸頭をストッカとテーブルとの間で移動させることにより、ハンド部は、棒状工作物を搬送しストッカとテーブルのチャック11に対してそれぞれ受け渡す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒状工作物を加工可能な立形マシニングセンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
主軸の軸線が垂直方向を向いている立形マシニングセンタにおいて、径方向寸法より軸線方向寸法の方が長い棒状工作物(バー材,バーワーク)をバーフィード装置(棒状工作物供給装置)から供給して、棒状工作物に対して旋削用工具による旋削加工や回転工具による切削加工を行う技術は既に知られている。
【0003】
また、米国特許第6131259号明細書(特許文献1)には、棒材供給手段(バーフィード装置)が設けられた立形のマシニングセンタに関する技術が開示されている。
この立形マシニングセンタでは、棒状工作物を水平に配置する横形の棒材供給手段により、棒材(棒状工作物)を立形マシニングセンタに供給するようになっている。棒材供給手段は、棒材をクランプ装置で押出す構成であり、また、棒材の揺動動作を妨害しない位置に移動可能になっている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第6131259号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1に記載の立形マシニングセンタでは、移動動作可能で且つ棒材を押出す構成の棒材供給手段を設ける必要があり、全体の構成が複雑化していた。
また、棒材供給手段は、立形マシニングセンタとは別個に設けられ且つ横置きなので、立形マシニングセンタの本体から平面視で外方に大きくはみ出している。そのため、棒材供給手段を含む立形マシニングセンタ全体を設置するのに必要な平面視のスペースが大きくなっていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、棒状工作物を押し出すような複雑な構成の供給装置を設けなくても、省スペースで棒状工作物の収納,供給,加工などを行うことができる立形マシニングセンタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる立形マシニングセンタは、主軸頭が工作物に対して相対的に直交3軸方向に移動可能で下方にテーブルが配置された立形マシニングセンタであって、縦方向に棒状工作物を収納可能な立形のストッカを加工領域の近傍に配置し、前記棒状工作物を把持,把持解除可能なハンド部を前記主軸頭に設け、前記主軸頭を前記ストッカと前記テーブルとの間で移動させることにより、前記ハンド部は、前記棒状工作物を搬送するとともに前記ストッカと前記テーブルのチャックとに対してそれぞれ受け渡すようにしている。一つの好ましい実施形態にかかる立形マシニングセンタは、主軸頭に回転可能に支持されている主軸の軸線が床面に対してほぼ垂直方向を向き、チャックを有して上向きに位置決め可能なテーブルが前記主軸頭の高さ位置より下方に配置され、前記チャックに把持された工作物に対して前記主軸頭が直交3軸方向に相対的に移動可能で、且つ、前記テーブルがテーブル用駆動装置に駆動されて揺動可能で少なくとも回転動作も可能な5軸制御の立形マシニングセンタであって、縦方向に棒状工作物を収納可能な立形のストッカを前記テーブルの近傍に配置し、前記棒状工作物を把持,把持解除可能なハンド部を前記主軸頭に設け、この主軸頭を前記ストッカの棒状工作物受け渡し位置と前記テーブルとの間で移動させることにより、前記ハンド部は、前記棒状工作物を搬送するとともに前記ストッカと前記テーブルの前記チャックとに対してそれぞれ受け渡すようにしている。
前記ストッカは、複数の前記棒状部材を収納可能であり、前記立形マシニングセンタの基体の上部スペースまたは前記テーブル用駆動装置の上部スペースを利用して配置され、前記棒状工作物受け渡し位置に前記棒状工作物を割出し可能であるのが好ましい。
前記立形マシニングセンタは、前記棒状工作物とこの棒状工作物以外のチャックワークとに対して、旋削加工と切削加工が可能であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施の形態の一例を、図1ないし図4を参照して説明する。
図1および図2は、それぞれ立形マシニングセンタの斜視図および平面図、図3および図4は、前記立形マシニングセンタの動作を示す説明図である。
図1,図2に示すように、本実施形態における立形マシニングセンタ(以下、MCと記載)1は、工作物としての棒状工作物2を5軸制御で少なくとも旋削加工可能な工作機械である。
MC1は、NC(数値制御)装置とプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)とからなる制御装置20により制御されている。なお、制御装置20は、NC装置にPLC部を内蔵したものであってもよい。
【0009】
MC1の主軸3の軸線CLは、床面4に対して垂直方向を向いているが、この垂直方向に対して所定角度傾斜した方向(この場合も、「床面に対してほぼ垂直方向」とする)を向いている場合でもよい。
主軸3を回転可能に支持する主軸頭5が、工作物(たとえば、棒状工作物2)に対して相対的に直交3軸方向(X軸方向,Y軸方向,Z軸方向)に移動可能で、下方にはテーブル6が配置されている。
MC1において、主軸3の軸線CLと平行な方向をZ軸(図1の上下方向の軸)とし、これに直交して直交座標系をなす各軸線方向をX軸(図2の左右方向の軸),Y軸(図2の上下方向の軸)とする。なお、説明の便宜上、−Y軸方向および+Y軸方向,+X軸方向および−X軸方向を、それぞれMC1の前方および後方,右方および左方とする。
【0010】
MC1には、縦方向に棒状工作物2を収納可能な立形のストッカ7が、加工領域8の近傍に配置されている。ストッカ7も、制御装置20により制御されている。
MC1では、径方向寸法より軸線方向寸法の方が長い棒状工作物(たとえば、軸線方向寸法が約500〜900mm,外径寸法が約100mm以下の「短尺材」と呼ばれている棒状の材料(バー材,バーワーク))をストッカ7から供給し、旋削用工具による旋削加工や回転工具による切削加工などの加工が完了したら、加工済の棒状工作物としてストッカ7に戻す。
また、MC1では、未加工の材料(たとえば、チャックワーク)がチャック11に供給され、旋削加工や切削加工が完了したら加工済の工作物としてチャック11から取り外す場合もある。
このように、MC1は、棒状工作物2のほかにチャックワークの加工も可能であるが、本発明の立形マシングセンタは、棒状工作物の加工専用であってもよい。
本実施形態では、工作機械として、テーブル6が揺動するいわゆる「ゆりかご式」の5軸制御のMC1の場合を示している。なお、本発明の「立形マシニングセンタ」には、工作物に対して主軸頭が相対的に直交3軸方向に移動可能で、テーブルが下方に配置されている立形の工作機械たとえばターニングセンタなども含まれる。
【0011】
主軸頭5には、棒状工作物2を把持,把持解除可能なハンド部10が設けられている。主軸頭5をストッカ7とテーブル6との間で移動させることにより、ハンド部10は、棒状工作物2を搬送するとともに、ストッカ7とテーブル6のチャック11とに対してそれぞれ棒状工作物2を受け渡すようにしている。
その結果、MC1では、棒状工作物2を押し出すような複雑な構成の供給装置を設けなくても、省スペースで棒状工作物2の収納,供給,加工などを行うことができる。
【0012】
次に、MC1の構成について説明する。
MC1は、その基体12を構成するベッド13を有している。基体12には、サドル14が、X軸ガイドレール15に案内されてX軸方向(左右方向)に移動可能に設けられている。
サドル14の上部には、コラム16が、Y軸ガイドレール17に案内されてY軸方向(前後方向)に移動可能に設けられている。コラム16の前部には主軸頭5が設けられている。
主軸頭5には、主軸3が回転可能に支持されている。主軸頭5は、コラム16に対して、主軸3の軸線CLと平行なZ軸方向(上下方向)に、Z軸ガイドレール18に案内されて移動可能である。
【0013】
テーブル6は、ベッド13に支持され、主軸頭5の高さ位置より下方に配置されている。テーブル6は、テーブル用駆動装置30に駆動されて、揺動可能で且つ少なくとも回転動作(ここでは、回転動作と割出し動作の両方)も可能になっている。
テーブル6は、チャック11を有して、上向き(+Z軸方向)に位置決め可能である。チャック11は、複数の爪(たとえば、三つ爪)11aを有し、棒状工作物2やチャックワークなどの工作物を把持,把持解除可能である。
テーブル6およびチャック11の中心位置には、棒状工作物2を挿入するための挿入孔19が形成されている。挿入孔19に棒状工作物2を挿入した状態で、チャック11は棒状工作物2を把持,把持解除することができる。
テーブル6には、チャック11の爪11aを駆動するためのチャックシリンダ(図示せず)が設けられている。チャック11の複数の爪11aは、チャックシリンダに駆動されて同時に開閉動作を行い、棒状工作物2やチャックワークなどの把持,把持解除を行う。
【0014】
テーブル用駆動装置30は、テーブル6をB軸まわりに揺動させるための揺動用駆動装置31と、テーブル6に対してチャック11をA軸まわりに回転させるとともに割出すための回転用駆動装置32とを有している。B軸はY軸方向と平行であり、A軸はチャック11の(すなわち、テーブル6の)回転中心である。
揺動用駆動装置31は、MC1の前方に配置されて、テーブル6を揺動可能に両持ち支持している。揺動用駆動装置31を駆動することにより、テーブル6とテーブル6に設けられた回転用駆動装置32などが、B軸まわりに揺動するとともに、テーブル6が所定の位置に割出される。
【0015】
旋削加工時には、回転用駆動装置32を回転駆動すると、テーブル6に支持されているチャック11がA軸のまわりに所定の回転速度で回転することができる。また、回転工具による切削加工時には、回転用駆動装置32を制御することにより、チャック11をA軸まわりの所定位置に割出すこともできる。
したがって、チャック11に棒状工作物2またはチャックワークなどの工作物が把持されている状態で、チャック11をA軸のまわりに所定の回転速度で回転させれば、この工作物は回転して、主軸3に装着された旋削用工具33により旋削加工される。
また、回転用駆動装置32によりチャック11をA軸まわりの所定位置に割出した場合には、チャック11に把持された工作物を、主軸3に装着された他の回転工具33で切削加工することができる。
【0016】
前記構成のMC1において、主軸頭5は、テーブル6のチャック11に把持された棒状工作物2やチャックワークなどの工作物に対して直交3軸方向に相対的に移動可能である。また、テーブル6が、テーブル用駆動装置30に駆動されて揺動動作および回転動作可能である。したがって、MC1は、X軸,Y軸,Z軸,A軸,B軸の5軸制御で工作物を加工することができる。
MC1は、棒状工作物2とこの棒状工作物以外のチャックワークなどの工作物に対して、旋削用工具による旋削加工と回転工具による切削加工が可能である。これにより、MC1で加工可能な工作物の種類が多くなり、また、これら工作物に対して各種の加工が可能になり、MC1は複合機としての機能を発揮することができる。
【0017】
ストッカ7は、テーブル6の近傍に配置され、棒状工作物2を縦方向に収納可能である。ストッカ7に収納可能な棒状工作物2の本数は、複数(ここでは、三本)の場合を示しているが、一本のみ収納可能な場合でもよい。
ストッカ7には、主軸頭5に設けられたハンド部10との間で棒状工作物2を受け渡すための棒状工作物受け渡し位置S1が設定されている。ストッカ7は、棒状工作物受け渡し位置S1に、棒状工作物2または空の収納筒42(後述する)を割出すことができる。棒状工作物受け渡し位置S1では、棒状工作物2は、ストッカ7とハンド部10との間で自動的に受け渡される。
主軸頭5を、ストッカ7の棒状工作物受け渡し位置S1とテーブル6との間で移動させることにより、ハンド部10は、棒状工作物2を搬送するとともに、ストッカ7とテーブル6のチャック11とに対してそれぞれ棒状工作物2を受け渡すことになる。
これにより、棒状工作物2を押し出すような複雑な構成の供給装置を設けなくてもよいので、ストッカ7の構成が簡略化する。また、ストッカ7は、棒状工作物2を垂直に収納するので平面視で省スペースにできる。ストッカ7を含んだMC1全体がコンパクトになって、省スペースで棒状工作物2の収納,供給,加工などを行うことができる。
【0018】
本実施形態のストッカ7は、テーブル用駆動装置30の上部スペースを利用して配置されている。なお、基体12の上部スペースが利用可能であれば、この基体12の上部スペースにストッカ7を直接配置した場合であってもよい。
このように、利用されていないデッドスペースがテーブル用駆動装置30の上部または基体12の上部にある場合、本発明では、この上部スペース(デッドスペース)をストッカ7の配置用に有効に利用しているので、ストッカ7の全体(または、ほぼ全体)を、MC1の平面視での占有エリア内に配置することができる。その結果、ストッカ7を含むMC1全体を、平面視でコンパクトにして省スペース化ができる。
【0019】
ストッカ7は、ストッカ本体40,旋回部41および複数(ここでは、三個)の収納筒42を有している。
ストッカ本体40内には、棒状工作物2を棒状工作物受け渡し位置S1に割出すための割出し用駆動装置(図示せず)が設けられている。ストッカ本体40は、テーブル6を揺動させるための揺動用駆動装置31の上面に固定され、且つ、平面視でB軸の一方側(ここでは、左側)に配置されている。
旋回部41は、ストッカ本体40の上部に水平に取付けられている。旋回部41は、円形の中心を残して直線状に切欠いた半円形板により構成されており、その中心の旋回軸線CL1まわりに旋回可能である。
ストッカ7が待機状態(図2に示す状態)のとき、旋回部41の直線状の切欠き面43は、X軸と平行な方向を向くようになっている。これにより、MC1が加工動作しているときに、主軸頭5などの移動部が旋回部41と干渉することはない。
【0020】
複数(三個)の収納筒42は、旋回部41の上面に固定され、上方を向いて旋回軸線CL1と平行に配置されている。ストッカ7には、旋回軸線CL1を中心として旋回部41と同心の基準円44が設定されている。
棒状工作物受け渡し位置S1は基準円44上に位置している。三個の収納筒42は、互いに90度ずつ離れ且つその中心位置が基準円44と一致するように、旋回部41上に上方を向いて配置されている。
収納筒42は、円筒形または有底円筒形をなして上方に開口している。棒状工作物2を旋回軸線CL1と平行な上下方向に移動させれば、この棒状工作物2を収納筒42に対して収納,取り出し可能になっている。
【0021】
ストッカ本体40に設けられた割出し用駆動装置を駆動し、旋回部41を旋回軸線CL1まわりに旋回することにより、所望の棒状工作物2が収納された収納筒42または空の収納筒42を、棒状工作物受け渡し位置S1に割出して位置決めすることができる。
また、ストッカ7を待機状態にするときには、割出し用駆動装置を駆動し、旋回部41を旋回軸線CL1まわりに旋回させて、切欠き面43をX軸と平行な左右方向に向ける。こうすれば、主軸頭5など移動部が、旋回部41,収納筒42または収納中の棒状工作物2などと干渉することはなくなる。
ストッカ7に未加工の棒状工作物2を供給する作業や、ストッカ7から加工済の棒状工作物2を搬出する作業は、作業者が人力により行なってもよいが、棒状工作物2を吊り下げる装置を別途設けて、この装置を利用してこれらの段取り替え作業を行えば作業者の負担が軽減するので好ましい。
【0022】
ハンド部10は、主軸頭5の前方に取付けられて主軸頭5とともに直交3軸方向に移動する。本実施形態では、ハンド部10を主軸頭5の所定位置に取付けた場合を示しているが、ハンド部10を、主軸頭5に対して相対的にZ軸方向に移動するように制御してもよい。このようにすれば、棒状工作物2の上昇速度,下降速度を速くして、受け渡し時間を短縮することができる。
ハンド部10は、同時に開動作または閉動作する一対のハンド50を有している。一対のハンド50が、X軸と平行な方向に開閉動作することにより、棒状工作物2を把持,把持解除することができる。
したがって、ハンド部10は、棒状工作物受け渡し位置S1では、この受け渡し位置S1に割出された収納筒42に対して、棒状工作物2を収納,取り出しすることができる。
【0023】
ハンド部10は、テーブル6の位置では、チャック11に対して棒状工作物2を受け渡すことができる。すなわち、テーブル6のチャック11が上方を向き、テーブル6のA軸がZ軸と平行に割出されて位置決めされているとき、ハンド部10は、テーブル6の上方位置から、挿入孔19に対して棒状工作物2を挿入,引き抜き動作を行う。
主軸頭5が直交3軸方向に移動するので、ハンド部10は、棒状工作物受け渡し位置S1とテーブル6との間で棒状工作物2を搬送するとともに、棒状工作物受け渡し位置S1では、棒状工作物2を収納筒42に対して受け渡すことができる。また、ハンド部10は、テーブル6の上方に位置して、棒状工作物2をテーブル6に対して受け渡すことができる。
【0024】
加工領域8は、切削油剤(クーラント)や切りくずなどが外部に飛散しないように、スプラッシュガード(図示せず)で覆われている。工作物交換時用のシャッターと工具交換時用のシャッターが、スプラッシュガードに設けられて、それぞれ開閉可能になっている。これらシャッターが開閉することにより、工作物の交換や工具の交換を行うことができる。
基体12には、複数の工具を収納し且つ工具交換可能な自動工具交換装置(以下、ATCと記載。図示せず)が設けられている。ATCは、所定の工具(または、空の工具収納部)を工具交換位置に割出して、主軸3との間で工具を自動的に交換する機能を有している。
ATCには、棒状工作物2やチャックワークなどの工作物を旋削加工するための旋削用工具(内径工具,外径工具など)33の他に、これら工作物を切削加工するための回転工具が収納されている。なお、複数の工具を収納するための工具マガジンをATCとは別体で設けてもよい。
制御装置20は操作盤21を有している。操作盤21には、表示手段(ディスプレイ,CRTなど)および入力手段(キーボード,タッチパネルなど)が設けられており、MC1およびストッカ7などの操作が可能になっている。
ベッド13の近傍には、加工位置に供給される切削油剤を貯留するためのクーラントタンク(図示せず)が配置されている。
【0025】
次に、MC1およびストッカ7の動作について、図1ないし図4を参照して説明する。
なお、図3,図4は、図中(A)に示す手順から図中(J)に示す手順に順次移行する場合を示しており、図中(A)〜(J)における上段の図は概略平面図を示し、下段の図はその概略正面図を示している。
【0026】
図3(A)に示すように、MC1の運転開始時に、ストッカ7の三個の収納筒42のうち、二個の収納筒42に未加工の棒状工作物2が収納されている場合について説明する。
制御装置20から棒状工作物2の交換指令が出力されると、MC1とストッカ7は、この指令に基づいて棒状工作物2の交換動作を開始する。すると、一対のハンド50は開状態になり、チャック11の爪11aも開状態になる。
また、揺動用駆動装置31を駆動し、テーブル6を揺動させてチャック11を上方に向け、A軸をZ軸と平行にする。ストッカ7の割出し用駆動装置を駆動して旋回部41を旋回させ、これから加工する未加工の棒状工作物2を棒状工作物受け渡し位置S1に割出して位置決めする。
【0027】
次に、図3(B)に示すように、サドル14,コラム16を介して主軸頭5を直交3軸方向に移動させる。これにより、ハンド部10の中心位置を、テーブル6の上方から棒状工作物受け渡し位置S1に移動させる。
このとき、棒状工作物受け渡し位置S1の近傍では、主軸頭5は後方から前方に移動すれば、ハンド部10など移動体が棒状工作物2と干渉することがない。なお、棒状工作物受け渡し位置S1で、ハンド部10を棒状工作物2の上方に位置させた後、主軸頭5をZ軸方向に真っ直ぐに下降させれば、ハンド部10と棒状工作物2との干渉の恐れがより少なくなるので好ましい。
こうして、図3(C)に示すように、ハンド部10の中心位置が棒状工作物受け渡し位置S1と一致した状態で、ハンド50を閉じて棒状工作物2を把持する。
次に、図3(D)に示すように、主軸頭5をZ軸方向に上昇させると、棒状工作物2が収納筒42から引き抜かれる。その後、主軸頭5を、棒状工作物受け渡し位置S1からチャック11の上方まで移動させて、ハンド部10で棒状工作物2を搬送する。
【0028】
図3(E)に示すように、ハンド部10の中心位置がチャック11の中心位置に一致した状態で、主軸頭5をZ軸方向に真っ直ぐに下降させる。一方、旋回部41は逆方向に旋回して待機する。
図4(F)に示すように、ハンド部10に把持された棒状工作物2の下部がチャック11の挿入孔19に挿入される。そして、主軸頭5を所定高さ位置で停止させた状態で、チャック11の爪11aを閉じたのち、ハンド50を開く。
これにより、棒状工作物2は、チャック11に把持されるとともに、ハンド部10から把持解除される。棒状工作物2はチャック11のみで把持されているので、この状態で主軸頭5をZ軸方向に真っ直ぐに上昇させる。
【0029】
図4(G)に示すように、主軸頭5が所定の高さ位置に上昇したら、主軸頭5を停止させ、ハンド50を閉じて棒状工作物2をハンド50で把持したのち、チャック11の爪11aを開いて棒状工作物2を把持解除する。これにより、棒状工作物2は、ハンド部10のみで把持されていることになる。この状態で、主軸頭5を再びZ軸方向に真っ直ぐに下降させる。
図4(H)に示すように、主軸頭5は、所定の高さ位置まで下降したら停止する。その後、チャック11の爪11aを閉じて、チャック11で棒状工作物2を再び把持したのち、ハンド50を開いて把持解除する。
その後、ハンド50が棒状工作物2の上端の高さ位置より上方に位置して棒状工作物2から離れるまで、主軸頭5をZ軸方向に真っ直ぐに上昇させる。なお、棒状工作物2の軸線方向寸法が長い場合には、上述のチャック11とハンド10による把持し直しの動作を何回か繰り返せばよい。
【0030】
こうして、図4(I)に示すように、棒状工作物2がチャック11に把持された状態で加工工程に移行する。そのためには、揺動用駆動装置31を駆動し、テーブル6をB軸まわりに揺動させ、棒状工作物2の中心軸線CL2を上下方向(Z軸と平行な方向)から水平方向(X軸と平行な方向)に移動させて位置決めする。
そして、図4(J)に示すように、回転用駆動装置32によりチャック11を回転駆動して、棒状工作物2を所定の回転速度で回転させる。主軸頭5を直交2軸方向(または、直交3軸方向)に移動させれば、主軸3に装着された旋削用工具33で棒状工作物2を旋削加工することができる。
なお、棒状工作物2に対して、他の種類の旋削加工を行う場合や、回転工具で切削加工を行う場合には、ATCで主軸3に対して工具を交換する。
【0031】
回転工具で切削加工を行う場合には、回転用駆動装置32を駆動して、チャック11を円周方向の所定位置に割出した状態で位置決め固定する。これにより、棒状工作物2は、チャック11に把持された状態で所定の角度位置に割出される。
そして、主軸3に装着された回転工具を所定の回転速度で回転させ、チャック11に把持された棒状工作物2に対して、主軸頭5を直交3軸方向に相対的に移動させながら、回転工具で棒状工作物2を切削加工する。
このように、MC1によれば、棒状工作物2に対して旋削加工,切削加工などを自在に順次連続して且つ自動的に行うことができる。
なお、揺動用駆動装置31を駆動すれば、棒状工作物2を、水平方向のほかに斜め方向を向いた状態で割出すことができ、多種類の旋削加工,切削加工を自在に行うことができる。
一方、ストッカ7は、次の棒状工作物交換指令が出力されるまで待機することになる。
【0032】
一つの棒状工作物2の旋削加工や切削加工が完了して、次の棒状工作物交換指令が出力されると、前記手順,動作とは逆の手順,動作により、加工済の棒状工作物2をストッカ7に戻す。その後、前記手順と同じ手順,動作により棒状工作物2の交換を行なって、次の未加工の棒状工作物2を加工することになる。このような手順,動作を繰り返すことにより、順次、棒状工作物2の旋削加工,切削加工などが行われる。
一方、ストッカ7では、作業者は加工済の棒状工作物2を取り外したのち、未加工の棒状工作物2をストッカ7に供給する段取り替え作業を行う。
【0033】
上述のように、MC1は、テーブル6を上方に向けて位置決めできる構成なので、棒状工作物2を縦方向に向けたままでテーブル6との間で受け渡しすることができる。その結果、立形のストッカ7を設けて棒状工作物2を縦方向に収納することが可能になる。
ストッカ7が、棒状工作物2を縦方向に収納でき平面視の大きさが小さいので、テーブル用駆動装置30の上部スペースまたは基体12の上部スペースに、ストッカ7を設置することができる。これにより、デッドスペースとなっていた前記上部スペースが有効に活用されるので、平面視でのMC1全体をコンパクトにして省スペース化が可能になる。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
たとえば、上述の実施形態では、主軸頭5が直交3軸方向に移動する構造の工作機械としたが、これに限らず、主軸頭が直交2軸方向(たとえば、Z軸方向,Y軸方向)に移動し、下方のテーブルが1軸方向(たとえば、X軸方向)に移動し、ストッカが機械本体に設けられた構成にしてもよい。
この場合、棒状工作物受け渡し位置は、主軸頭の正面に位置することになり、主軸頭とストッカとの間の棒状工作物の受け渡しは、Y軸方向とZ軸方向の動きで可能となる。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したので、立形マシニングセンタにおいて棒状工作物を押し出すような複雑な構成の供給装置を設けなくても、省スペースで棒状工作物の収納,供給,加工などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図4は本発明の実施形態の一例を示す図で、図1は立形マシニングセンタの斜視図である。
【図2】前記立形マシニングセンタの平面図である。
【図3】前記立形マシニングセンタの動作を示す説明図である。
【図4】前記立形マシニングセンタの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
1 立形マシニングセンタ
2 棒状工作物(工作物)
3 主軸
4 床面
5 主軸頭
6 テーブル
7 ストッカ
8 加工領域
10 ハンド部
11 チャック
12 基体
30 テーブル用駆動装置
CL 主軸の軸線
S1 棒状工作物受け渡し位置

Claims (4)

  1. 主軸頭が工作物に対して相対的に直交3軸方向に移動可能で下方にテーブルが配置された立形マシニングセンタであって、
    縦方向に棒状工作物を収納可能な立形のストッカを加工領域の近傍に配置し、
    前記棒状工作物を把持,把持解除可能なハンド部を前記主軸頭に設け、
    前記主軸頭を前記ストッカと前記テーブルとの間で移動させることにより、前記ハンド部は、前記棒状工作物を搬送するとともに前記ストッカと前記テーブルのチャックとに対してそれぞれ受け渡すようにしたことを特徴とする立形マシニングセンタ。
  2. 主軸頭に回転可能に支持されている主軸の軸線が床面に対してほぼ垂直方向を向き、
    チャックを有して上向きに位置決め可能なテーブルが前記主軸頭の高さ位置より下方に配置され、
    前記チャックに把持された工作物に対して前記主軸頭が直交3軸方向に相対的に移動可能で、且つ、前記テーブルがテーブル用駆動装置に駆動されて揺動可能で少なくとも回転動作も可能な5軸制御の立形マシニングセンタであって、
    縦方向に棒状工作物を収納可能な立形のストッカを前記テーブルの近傍に配置し、
    前記棒状工作物を把持,把持解除可能なハンド部を前記主軸頭に設け、
    この主軸頭を前記ストッカの棒状工作物受け渡し位置と前記テーブルとの間で移動させることにより、前記ハンド部は、前記棒状工作物を搬送するとともに前記ストッカと前記テーブルの前記チャックとに対してそれぞれ受け渡すようにしたことを特徴とする立形マシニングセンタ。
  3. 前記ストッカは、
    複数の前記棒状部材を収納可能であり、
    前記立形マシニングセンタの基体の上部スペースまたは前記テーブル用駆動装置の上部スペースを利用して配置され、
    前記棒状工作物受け渡し位置に前記棒状工作物を割出し可能であることを特徴とする請求項2に記載の立形マシニングセンタ。
  4. 前記立形マシニングセンタは、前記棒状工作物とこの棒状工作物以外のチャックワークとに対して、旋削加工と切削加工が可能であることを特徴とする請求項1,2または3に記載の立形マシニングセンタ。
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