JP4891098B2 - 射出成形体、射出成形体の製造方法および射出成形体製造用金型 - Google Patents

射出成形体、射出成形体の製造方法および射出成形体製造用金型 Download PDF

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本発明は、自動車のボディに取り付けられるサイドウインカー等の中空状のランプに代表される射出成形体、射出成形体の製造方法および射出成形体製造用金型の技術分野に属するものである。
一般に、この種中空状の射出成形体を製造する場合、これがサイドウインカーである場合に、透光性素材で形成されるレンズ部と、バルブ(光源)が組込まれるハウジングとを一次射出した後、金型移動によってレンズ部とハウジングとを突合せ、その突合せ部に二次射出をして一体化して中空状のサイドウインカーを製造することが知られている。
ところでこのものにおいてレンズ部とハウジングとを突合せ部にコーナー状の射出スペースを形成し、ここに樹脂材を二次射出する場合、二次射出した樹脂材が一次射出したレンズ部外面と金型内面とのあいだに浸入する惧れがあり、そこで二次射出する際に、レンズ部外端縁(コーナー部)よりも内側に金型端縁(コーナー部)が位置するように位置ずれさせ、これによって二次射出された樹脂材がレンズ部外面に流れ込まないようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。
特開2002−113743号公報
ところが前記手法でレンズを製造する際、一次射出したレンズ部の外端縁が熱収縮により内方に僅かに偏倚し、これによってレンズ部外周面と金型内周面とのあいだに隙間が形成されることがあり、この隙間が生じた状態でレンズ部とハウジングとをつき合わせて二次射出により一体化させると、二次射出した樹脂が前記隙間に入り込んでしまうことがあるという問題がある。そのうえ前記隙間は、レンズ部の肉厚や形状等によって大きさが部分的に異なって不揃いになり、しかもサイドウインカーのような小型製品でなく、フロントランプやテールランプのように大型製品になるほど大きく不揃いな隙間になるため、このまま二次射出をした場合、製造されたランプの二次射出部位がバラバラに波を打ったような状態になって外観性が損なわれるといった問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、半割りされた半割り成形体の一対を一次の射出工程で成形した後、これら半割り成形体同士を突き合わせ、しかる後、該突き合わせ面に樹脂材を二次射出して一体化して中空状の射出成形体を製造するようにした射出成形体の製造方法において、前記両半割り成形体同士を突き合わせたとき、一方の半割り成形体の外周面を金型内面に強制的に当接せしめるべく該一方の半割り成形体の外周縁部を外方に押し出すための偏倚をさせるにあたり、該偏倚を、位置ズレした凹凸嵌合部同士の嵌合で行うようにしたことを特徴とする射出成形体の製造方法である。
請求項2の発明は、外方に押し出し偏倚される一方の半割り成形体のガラス転移点は、外方に押し出す他方の半割り成形体のガラス転移点以下であることを特徴とする請求項1記載の射出成形体の製造方法である。
請求項3の発明は、一次の射出工程で成形した半割り成形体同士を突き合わせ、しかる後、該突き合わせ面に樹脂材を二次射出して一体化して製造される中空状の射出成形体を、前記半割り成形体同士を突き合わせたとき、一方の半割り成形体の外周面を金型内面に強制的に当接せしめるべく該一方の半割り成形体の外周縁部を外方に押し出すための偏倚をさせて成形するにあたり、該偏倚を、位置ズレした凹凸嵌合部同士の嵌合で行うようにしたことを特徴とする射出成形体である。
請求項4の発明は、半割りされた半割り成形体の一対を一次の射出工程で成形した後、これら半割り成形体同士を突き合わせ、しかる後、該突き合わせ面に樹脂材を二次射出して一体化して中空状の射出成形体を製造するようにした射出成形体の金型に、前記半割り成形体同士を突き合わせたとき、一方の半割り成形体の外周面を金型内面に強制的に当接せしめるべく該一方の半割り成形体の外周縁部を外方に押し出して偏倚させるための型面を設けるにあたり、該金型には、該偏倚を、位置ズレした凹凸嵌合部同士の嵌合で行うための型面が形成されていることを特徴とする射出成形体製造用金型である。
請求項1の発明とすることにより、一次射出において、成形体の凹凸嵌合部を相互に位置ズレさせて成形体を形成し、嵌合する際に一方の成形体を他方の成形体によって外方に押し出し偏倚させることで、該成形体の外周面を金型面に強制的に当接させた状態で二次射出をすることができる。
請求項の発明とすることにより、一次射出で成形された外方に偏倚する一方の成形体のガラス転移点は、他方の成形体のガラス転移点以下であるため、容易に偏倚させることができる。
請求項の発明とすることにより、偏倚手段を設けることで外方への押し出し偏倚を保証することができる。
請求項の発明とすることにより、偏倚を考慮した金型としているため、一方の半割り成形体の外周面を金型面に強制的に当接させることができる。
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はサイドウインカー(ランプ)であって、該サイドウインカー1は、レンズ部2と、電球(光源であればよく、例えば発光ダイオードでも実施することができる。)3が組み込まれるハウジング4とで構成されるが、レンズ部2、ハウジング4は半割り製品である一次製品として固定型、可動型でそれぞれ成形された後、可動型をスライド移動させて両一次製品同士を突き合わせた後、後述するように該突き合わせた面部の樹脂材5を二次射出して一体成形される従来から知られた手法により成形されるもので、その詳細については省略する。尚、一次射出した後、ハウジング内面に反射膜を形成し、次いで二次射出して一体化するようにしても本発明を実施することができる。
前記一次の射出成形で形成されるレンズ部2は椀形状になっており、前後方向を向いた開口端縁部には、水平状となった第一端面部2aが形成され、該第一端面部2aの外周縁からハウジング4側に向けて段差状に突出する段差面部2b、該段差面部2bの先端縁から水平状になってレンズ部2の外周面2cに続く第二端面部2dが順次形成されている。また前記第一端面部2aの内側には、椀状となったレンズ部内周面2eに続く状態でレンズ部底側ほど中央よりに傾斜するテーパ面部(第一のテーパ部)2fがさらに形成されている。加えて、前記第一端面部2aの内径側(テーパ面部2f側)には、ハウジング4側に形成の後述する嵌合凸部4eを嵌合するための嵌合凹部2hが凹溝状に形成されている。因みに、レンズ部2を構成する材料は、光を透過するポリメチルメタアクリレート樹脂である。
一方、一次射出成形で形成されるハウジング4は、電球(バルブ)3および端子板3aが取付けられるソケット部4aと、該ソケット部4aの基端外周縁から水平方向(左右方向)フランジ状に突出するフランジ部4bとで一体形成されるが、該フランジ部4bの端縁部は、前記レンズ部嵌合凹部2hと嵌合する嵌合凸部4eと、前記レンズ部段差面部2bから離間する状態で前記嵌合凸部4eの外周端面となる外端面部4dとが形成されている。さらに、該フランジ部4bの外周縁には、前記テーパ面部2fと対向するよう傾斜状になったテーパ面部(第二のテーパ部)4fが嵌合凸部4eよりも内径側に形成されている。因みに、ハウジング4の材料はポリカルボネート(PC)樹脂であり、その溶融温度(ガラス転移点)(145〜147℃)はレンズ部2を構成する前記ポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂の溶融温度(110〜120℃)よりも高温になっている。
そしてサイドウインカー1は、前記一次製品として射出成形されたレンズ部2とハウジング4とを公知の金型移動の手法によって突き合わせ対向せしめることになるが、このとき、ハウジング嵌合凸部4eがレンズ部嵌合凹部2hに嵌合し、テーパー面部2f、4f同士が接触対向する状態となる。この場合に、ハウジング嵌合凸部4eは、レンズ部嵌合凹部2hに対して外径側に押し出し偏倚し、かつハウジングテーパー面部4fは、レンズ部テーパー面部2fに対して外径側に押し出し偏倚する状態になるよう一次射出で成形されている。尚、ハウジング嵌合凸部4eの偏倚は、レンズ部嵌合凹部2h、レンズ部外周面2cの開口端縁部2g等において熱収縮が発生した場合の偏倚よりも大きいものとする。そして、レンズ部2とハウジング4とを突合せた場合、ハウジング嵌合凸部4eがレンズ部嵌合凹部2hを外径側に強制的に押し出し偏倚させ、これによってレンズ部2の偏倚によって生じる金型Yとレンズ部2の外周面2cの開口端縁部2gの外周面とのあいだのスペースSがなくなり、レンズ部開口端縁部2gの外周面は金型Yaと当接する状態に変形し、この状態で樹脂材5を二次射出することで、安定してレンズを製造することが出来るように設定されている。なお、二次射出される樹脂材5は、本実施の形態では、レンズ部2と色、材質とも同じポリメチルメタアクリレート樹脂を採用することとするが、ハウジング4と色、材質とも同じポリメチルメタアクリレート(PMMA)樹脂を採用しても構わない。
さらにこのものでは、サイドウインカー1は楕円形状をしており、そして、車両ボディBに穿設された取付け孔6にハウジング4を嵌合組み込みすることになるが、フランジ部裏面4gの長径方向一側には、取り付け孔6に係止するための係止凹部4hを備えた係止突片4nが形成され、他側には弾性を有する係止脚4iが形成されている。そしてサイドウインカー1は、係止脚4iを中心側に弾性変形させるようにして取付け孔6に無理嵌合し、係止溝4hが取付け孔6の孔縁に達した段階で係止脚4iを一部弾性復帰させることで係止溝4hに取付け孔6の内周縁が嵌合することになって簡単な弾性取付けができるようになっている。
次に、図3〜5を用いて一次射出、二次射出する際の公知の金型移動の手法に基づく金型の型合わせ状態について詳細に説明する。Xを固定側である第一金型、Yを可動側である第二金型と仮定した場合に、まず、一次射出する際の型合わせ状態であるが、図3に示すように、レンズ部2側において、第一金型Xには、レンズ部内周面2e、テーパ面部2f、嵌合凹部2h、第一端面部(接触水平面部)2a、段差面部(突出面部)2b、第二端面部2d等の各面に対応する型面が形成されている。一方、第二金型Yには、レンズ外周面2cに対応する金型面である型面Ya等の型面が形成されている。これに対し、図4に示すように、ハウジング4側において、第一金型Xには、フランジ部4bの裏面4g、二次射出する樹脂材5の射出領域の裏面、つまりフランジ部裏面4gとフラットになる型面Xa、さらに樹脂材5の射出領域の外面、つまり前記型面Xaと略L字状となる型面Xb等の型面が形成されている。一方、第二金型Yには、フランジ部4bの外端面部4d、嵌合凸部4eの表面、テーパ面部4f等に対応する型面が形成されている。そしてこの型合わせ状態で一次の射出が実行され、レンズ部2、ハウジング4が一次製品として型成形される。
この一次の射出成形が実行されると、レンズ部2側では第一金型Xが脱型され、ハウジング4側では二次金型Yが脱型される。次いで、レンズ部2、ハウジング4とが突き合うように型移動がなされ、レンズ部嵌合凹部2hとハウジング嵌合凸部4eとを嵌合させることで型合わせされることになるが、レンズ部2は、第一金型Xの脱型により型移動がなされる間に、特にレンズ部開口端縁部2gが内径側に偏倚し、金型Yの型面Yaと開口端縁部2gの外周面とのあいだにスペースSが形成される。この状態でレンズ部2とハウジング4とを突き合わせると、レンズ部嵌合凹部2hは、前記外側に位置ズレ形成されているハウジング嵌合凸部4eにより強制的に外方に偏倚させられ、これによって該スペースSはなくなり、該レンズ部開口端縁部2gは、金型Yと当接することになる。因みに、この強制的な偏倚は、レンズ部2を形成する樹脂材よりもハウジング4を形成する樹脂材の方が溶融温度(ガラス転移点)が高いため、型温度を例えば80℃に設定した場合に、ハウジング4の方が早期に硬化することになり、この結果、前記突き合わせた場合に、レンズ部2がハウジング4によって押し当てられる状態になって前記偏倚の確実化が保証される。
そして、この型合わせ状態で樹脂材5が二次射出されることになるが、この二次射出の領域は、外面が第一金型Xの型面Xbと、裏面が該型面Xbと略L字状となる型面Xaとに形成されたコーナー部位の帯状の空間であって、該空間に樹脂材5が射出されることになる。なお、型面Xbは、レンズ部外周面2cとレンズ部開口端縁部2gに対して、凹陥状になっているものとして設定されている。これにより、二次射出された樹脂材5は、レンズ部2の第二端面部2d、段差面部2b、第一端面部2a、そしてハウジング4の外端面部4dに接着するようにして肉盛りされる設定になっており、このようにして一次製品であるレンズ部2とハウジング4とは、二次製品であるサイドウインカー1となったときの略L字形となったコーナー部位に面接触状に突き合わされる設定になっている。そして、二次射出される樹脂材5は、第一金型Xとハウジング4との隙間に浸入したとしても、嵌合凹部2hと嵌合凸部4eとの嵌合部位までで食い止められることになって、この嵌合部位を越えてレンズ部テーパ面部2fや、レンズ部内周面2eにまで達してしまうことを回避できるようになっている。さらに、このとき、レンズ部開口端縁部2gは、第二金型Yの型面Yaに当接した状態で二次射出するため、レンズの大きさは型の大きさとなり、一定の大きさのものとして成形される。
叙述の如く構成された本形態において、一次射出で成形されたレンズ部2とハウジング4を突き合わせる時に、ハウジング4がレンズ部2を押し出し偏倚させてレンズ部外周面2cを金型Yの型面Yaに当接させることで、熱収縮によって発生する金型Yaとレンズ部開口端縁部2gとのあいだのスペースSをなくし、この状態で樹脂材5を二次射出することで、サイドウインカー1の大きさが製品ごとに不揃いなものとなることなく、一定のものとすることができる。さらに、レンズ部2で発生する熱収縮の大きさが、部位によって差が生じて、レンズ部開口端縁部2gが波打つような形状になったものであっても、ハウジング4に押し出し偏倚された状態で、樹脂材5を二次射出することで、該開口端縁部2gの浪打を解消することができ、意匠性の優れた物として製造することが容易にできる。
さらに、一次射出において、レンズ部嵌合凹部2hとハウジング嵌合凸部4eとを相互に位置ズレさせて成形体を形成することで、嵌合する際にレンズ部2をハウジング4によって外方に押し出し偏倚させることができる。また、レンズ部2のガラス転移点は、ハウジング4のガラス転移点以下であるため、容易に偏倚させることができる。このような偏倚手段を設けることで、外方への押し出し偏倚を保証することができる。なお、金型Xはハウジング4がレンズ部2を押し出し偏倚させることを考慮したものとして構成されているため、レンズ部外周面2cを金型面Yaに強制的に当接させることができる。
サイドウインカーの側面図である。 サイドウインカーの横断面図である。 レンズ部の一次射出工程を表した部分端面図である。 ハウジングの一次射出工程を表した部分端面図である。 二次射出工程を表した部分端面図である。 二次射出後の射出成形品の部分拡大断面図である。
符号の説明
2 レンズ部
2c レンズ外周面
2g 開口端縁部
2h 嵌合凹部
4 ハウジング
4e 嵌合凸部
5 二次射出された樹脂材
S スペース

Claims (4)

  1. 半割りされた半割り成形体の一対を一次の射出工程で成形した後、これら半割り成形体同士を突き合わせ、しかる後、該突き合わせ面に樹脂材を二次射出して一体化して中空状の射出成形体を製造するようにした射出成形体の製造方法において、前記両半割り成形体同士を突き合わせたとき、一方の半割り成形体の外周面を金型内面に強制的に当接せしめるべく該一方の半割り成形体の外周縁部を外方に押し出すための偏倚をさせるにあたり、該偏倚を、位置ズレした凹凸嵌合部同士の嵌合で行うようにしたことを特徴とする射出成形体の製造方法。
  2. 外方に押し出し偏倚される一方の半割り成形体のガラス転移点は、外方に押し出す他方の半割り成形体のガラス転移点以下であることを特徴とする請求項1記載の射出成形体の製造方法。
  3. 一次の射出工程で成形した半割り成形体同士を突き合わせ、しかる後、該突き合わせ面に樹脂材を二次射出して一体化して製造される中空状の射出成形体を、前記半割り成形体同士を突き合わせたとき、一方の半割り成形体の外周面を金型内面に強制的に当接せしめるべく該一方の半割り成形体の外周縁部を外方に押し出すための偏倚をさせて成形するにあたり、該偏倚を、位置ズレした凹凸嵌合部同士の嵌合で行うようにしたことを特徴とする射出成形体。
  4. 半割りされた半割り成形体の一対を一次の射出工程で成形した後、これら半割り成形体同士を突き合わせ、しかる後、該突き合わせ面に樹脂材を二次射出して一体化して中空状の射出成形体を製造するようにした射出成形体の金型に、前記半割り成形体同士を突き合わせたとき、一方の半割り成形体の外周面を金型内面に強制的に当接せしめるべく該一方の半割り成形体の外周縁部を外方に押し出して偏倚させるための型面を設けるにあたり、該金型には、該偏倚を、位置ズレした凹凸嵌合部同士の嵌合で行うための型面が形成されていることを特徴とする射出成形体製造用金型。
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