JP4888985B2 - 抗菌および防臭性繊維構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐久性に優れた抗菌性、消臭性を有し、実着用において汗臭などの悪臭防臭効果のある繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から抗菌・防臭機能を備えた繊維製品に関しては、銀、銅、あるいは亜鉛などの無機系抗菌剤を合成繊維の紡糸段階で練り込む方法と、第四級アンモニウム塩などの有機系抗菌剤をスプレーあるいはパディング処理して付与する後加工の方法などがとられてきた。これらの方法だと、前者の場合、洗濯耐久性という面では優れているが、布などの製品には抗菌加工をすることができない。また、紡糸段階で口金面に抗菌剤が結晶として析出するため、糸切れが多発するなどの製糸上の問題があった。一方、後者の場合、布などの製品に抗菌加工ができるという利点はあるものの、抗菌性の洗濯耐久性という面では劣っていた。また、抗菌性のみの加工であるため、着用時の汗臭などの消臭という面からは性能が劣っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性および防臭性を有する繊維構造物を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、つぎのような手段を採用するものである。すなわち、本発明の抗菌性繊維構造物は、分子量が200〜700、無機性/有機性値=0.3〜1.4で、かつ、平均粒径が2μm以下であるピリジン系抗菌剤を繊維材料内部に吸尽・拡散させた繊維構造物であり、かつ、ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸モノマーと、化学式1および/または化学式2で示されるビニルモノマーとからなる重合物が該繊維構造物を構成する上記繊維材料の表面上に付与されていることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり十分な耐久性のある抗菌防臭性を有する繊維構造物について、鋭意検討し、特定の抗菌剤を繊維内部に吸尽・拡散させ、さらに特定のビニル系重合体を繊維表面に付与してみたところ、以外にもかかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0006】
本発明で用いられる抗菌剤は、分子量が200〜700であり、無機性/有機性値=0.3〜1.4のもので、かつ、平均粒径2μm以下であるというピリジン系抗菌剤である。
【0007】
かかるピリジン系抗菌剤は、合成繊維に対し強固に付着または吸尽・拡散する。これは、特定な分子量、無機性/有機性値ならびに平均粒径の3つの要件を、繊維内部に吸尽・拡散する分散染料に近い条件に近づけることにより、分散染料と同じ挙動を示すものと考えられる。これら条件を満足しない場合、抗菌剤は合成繊維に対して強固に付着または吸尽・拡散せず、十分な工業洗濯耐久性は得られない。
【0008】
分子量が200未満のときは、抗菌剤が合成繊維に付着または吸尽・拡散するが洗濯耐久性は低い。一方、分子量が700を超えるときは、抗菌剤が合成繊維に付着または吸尽しない。好ましくは、抗菌剤の分子量は300〜500である。
【0009】
次に、本発明でいう「無機性/有機性値」とは、藤田稔氏が考案した各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり〔改編 化学実験学−有機化学篇−河出書房(1971)参照〕、炭素(C)1個を有機性20とし、それに対し各種極性基の無機性、有機性の値を表1の如く定め、無機性値の和と有機性値の和を求め両者の比をとった値をいう。
【0010】
【表1】
【0011】
かかる有機概念で、例えばポリエチレンテレフタレートの無機性/有機性値を算出すると0.7、本発明は、かかる有機概念で算出された値をもとにして合成繊維と抗菌剤との親和性に注目し、無機性/有機性値が所定の範囲内にある抗菌剤を合成繊維に付着または吸尽・拡散させたものである。
【0012】
無機性/有機性値が0.3未満の場合は、有機性が強くなりすぎて、逆に1.4を超える場合は、無機性が強くなりすぎて、合成繊維に付着または吸尽・拡散しにくくなる。無機性/有機性値は、0.35〜1.3であることが好ましく、0.4〜1.2であることがより好ましい。
【0013】
例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ヒドロキシピリジンの場合、ベンゼン核を1つ、−Cl基を4つ、−OH基を1つ、−NR2 基を1つ含むため無機性値は265となる。また有機性値は、C(炭素)を5つ、−Cl基を4つ含むため180となり、無機性値/有機性値は1.47となる。また、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛はキレート錯体として存在し、電気陰性度の点から亜鉛と硫黄は共有結合をしていると考えるので、この化合物の無機性値は85、有機性値は190となり無機性値/有機性値は0.45と計算できる。一方、同じピリジン系抗菌剤である2−ピリジルチオール−1−オキシドナトリウムは、ナトリウムと硫黄は電気陰性度差が1.6以上あり、この結合はイオン結合となり、この場合、ナトリウムは軽金属塩として働くため無機性値は585、有機性値は190と算出でき、無機性値/有機性値は3.0となることから、ポリエステルとの親和性は悪くなる。
【0014】
また、本発明においては、かかる抗菌剤の中でも、平均粒径が2μm以下、好ましくは抗菌剤の平均粒径は1μm以下のものを用いる。平均粒径が2μmを超えると、合成繊維に付着または吸尽しにくくなる上に、加工液にした時に粒子の沈降が起こり、液の安定性に欠ける傾向を示すものである。
【0015】
かかる抗菌剤として、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5−トリクロロ−4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジルチオール−1−オキシド)等のピリジン系化合物を用いることができる。その中でも特に、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛が、繊維との親和性がよく、繊維に対して強固に付着、吸尽するため、洗濯耐久性が良く、MRSAをはじめ効果を示す対象菌種の広さの点で好ましい。
【0016】
本発明に用いるモノマーAとしては、ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸が使用される。かかるビニルカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などを使用することができる。また、ビニルスルホン酸としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「AMPS」という。)、2−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどを使用することができる。本発明では、これらのモノマー2種類以上用いることも何ら差し支えない。特に重合効率と、吸湿性および消臭性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、AMPS、スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0017】
本発明に用いるモノマーBの一種は、下記化学式1で表され、n=9〜23であるものである。nが9より小さくても、23より大きくても、十分な耐久性が得られない。吸汗性、吸湿性および制電性の面から、n=14〜23の範囲であることがモノマーBとして好ましく用いられる。また、これ以外の他のモノマーBとしては、下記化学式2で表され、m+n=10〜30であるものである。モノマーBとして、化学式1、2のモノマーをそれぞれ単独でも用いることができ、また化学式1および化学式2のものを併用してもよく、さらに、化学式1、2で表されるものに含まれる2種以上のものを用いても何ら差し支えない。またXについては、安全の面からX=CH3 を用いることが好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
かかるモノマーの重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を使用することができる。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素など無機系重合開始剤や、2,2’−アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(N、N−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチロニトリルなどの有機系重合開始剤を使用することができる。また、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオン等の界面活性剤で乳化させて用いてもよい。コスト、取り扱いに容易さの点からは、過硫酸アンモニウムが好ましく用いられる。さらに、重合効率を高めるために、重合開始剤としての過酸化物と還元性物質を併用する、いわゆるレドックス開始剤を用いてもよい。この過酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、還元性物質としては、例えば、スルホキシル酸ナトリウムとホルマリンとの反応物やハイドロサルファイトなどが用いられる。重合開始剤の使用濃度は、使用するモノマー濃度や処理条件にもよるが、0.1〜3%が好ましい。
【0021】
本発明で用いる抗菌剤を繊維構造物に付与する方法としては、まず液流染色機等で前記したピリジン系抗菌剤と、分散染料、酸性染料、カチオン染料、蛍光増白剤などの着色物を含む液中に繊維構造物を浸し、常圧または加圧の下、90〜160℃で加熱処理する。その加熱処理時間は10〜120分間が好ましい。120〜135℃で20〜60分間加熱処理することはより好ましい。このとき、着色物とピリジン系抗菌剤を同時に液中で加熱処理することにより、抗菌剤が染料と同じく繊維に付着し、繊維内部に吸尽・拡散する。先に繊維構造物を着色させてから、その後にピリジン系抗菌剤を浴中で90〜160℃の加熱処理を行うと、着色物が繊維から脱離し、所望の着色性が得られない。
【0022】
また、先に抗菌剤を繊維に含有させてから着色処理すると、ピリジン系抗菌剤が脱離し、制菌性能が低下しまう。また、90℃未満の加熱条件では抗菌剤は合成繊維に付着または吸尽しない。160℃を超える条件の場合、エネルギー消費量に見合った効果が得られず、コストパフォーマンスが悪くなる。
【0023】
かかる方法において、液中処理した後、テンター等で160〜200℃の乾熱処理をすることが好ましい。その処理時間は15秒〜5分間でよい。より好ましくは170〜190℃で30秒〜2分間の乾熱処理を行う。かかる乾熱処理により、抗菌剤は繊維表面から内部に拡散して、繊維内部リング分布の状態もしくは鎖状に吸尽拡散し、抗菌性を損なうことなく、洗濯耐久性を向上させることができる。160℃未満の加熱条件では、乾熱処理の効果が得られにくい。また、200℃を超える条件の場合、繊維材料の黄変や脆化、さらに染料や抗菌剤の昇華もしくは熱分解ならびにエネルギー消費量の増加などが生じるので好ましくない。この処理条件を変更することで、抗菌剤を繊維表面付着、繊維内部リング分布、繊維内部拡散の各状態にコントロールすることができる。
【0024】
本発明の抗菌性繊維構造物の製造方法の他の態様は、前記したピリジン系抗菌剤を含む液を、着色された繊維構造物にパディング処理またはスプレー処理で付着させた後、160〜200℃で乾熱または湿熱の加熱処理を行う。その加熱処理の時間は30秒〜10分間が好ましい。より好ましくは170〜190℃で2〜5分間の乾熱または湿熱の加熱処理を行う。160℃未満の加熱条件では、ピリジン系抗菌剤は繊維に強固に付着または吸尽しない。また、200℃を超える条件の場合、繊維材料の黄変や脆化、さらに染料や抗菌剤の昇華もしくは熱分解ならびにエネルギー消費量の増加などが生じるので好ましくない。
【0025】
また、前記したピリジン系抗菌剤は、コロイド状態で粒状化していることが好ましい。コロイド化されていると、抗菌剤が繊維に強固に付着または吸尽・拡散することができる。なかでも、水とホルマリン縮合物によりコロイド状態とすることによって、抗菌剤の分散性が高まり、良好な分散状態が保つことができ、合成繊維との親和性がよくなるという点で好ましい。
【0026】
本発明で用いるモノマーAとモノマーBを含む処理液を繊維材料に付与する方法としては、通常用いられる手段が採用可能である。例えば、パディング法、スプレー法、キスロールコータ、スリットコータなどを用いることができる。これらの方法で処理液を付与後、例えば真空脱水機で処理するなどして付与量を調整することも好ましく行われる。
【0027】
本発明で用いるモノマーAとモノマーBを繊維表面上で重合させる方法としては、ラジカル重合に用いられるあらゆる手段が採用可能である。例えば、感熱処理、スチーム処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫外線処理などが用いられる。マイクロ波処理とは、2450MHzまたは920MHzの波長の高周波を被加熱物に当てることで発熱させるものである。これらの処理手段は、単独で適用してもよいし、加熱効率を高めるために、例えば、スチーム処理または乾熱処理時にマイクロ波処理または紫外線処理を併用するなどしてもよい。なお、空気中の酸素が存在すると、重合が進みにくくなるので、乾熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理の場合には、不活性ガス雰囲気下で処理するのが好ましく、コールドバッチ法の場合にも、シール材で密封するのが好ましい。
【0028】
これらの重合法のなかでは、スチーム処理が、重合効率および処理の安定性の観点から好ましい。スチーム処理は、常圧スチーム、加熱スチーム、高圧スチームのいずれでもよいが、コスト面からは、常圧スチームまたは加熱スチームが好ましい。スチーム処理温度は、80〜180℃さらには100〜160℃が好ましい。スチーム処理時間は、1〜10分程度でよい。
【0029】
なお、本発明において、繊維材料に処理液を付与した後、モノマーAとモノマーBを重合させる前に、風乾あるいは乾燥機などで予備乾燥することも好ましく行われる。
【0030】
かかるモノマーの重合物は、吸汗性および消臭性能に優れているものの、風合いの粗硬化を防ぐ観点から、繊維材料に対して1〜20wt%とするのが好ましい。
【0031】
つぎに、本発明の繊維構造物に用いられる合成繊維としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン等が用いられる。本発明の繊維構造物は、これらの合成繊維のほかに、さらに木綿、羊毛、絹等の天然繊維、あるいはレーヨンなどの半合成繊維を組み合わせたもの、たとえば糸、織布、不織布等を使用することができる。かかる合成繊維の中でもポリエステルが、抗菌性の工業洗濯耐久性が最も優れている繊維構造物を提供することができる。
【0032】
また、本発明において合成繊維は着色されているものである。ここで着色されているとは、合成繊維が分散染料、酸性染料、カチオン染料、蛍光増白剤などの着色物を含むことをいう。
【0033】
かかる繊維構造物のうち、本発明に使用され得る繊維構造物は、繊維構造物1g当たりの合成繊維の表面積が0.1m2 以上または繊維構造物の単繊維繊度が8デニール以下であるもの、好ましくは表面積が0.15m2 以上または単繊維繊度が4デニール以下のものである。合成繊維に抗菌剤が付着または吸尽する作用は繊維の表面積もしくは繊維の単繊維繊度に依存するので、表面積が0.1m2 以上の繊維または単繊維繊度が8デニール以下の繊維では、高度な工業洗濯耐久性を有する抗菌性繊維構造物を得ることができる。なお、複数種の合成繊維やさらに天然繊維を組み合わせた場合でも同等の効果が得られる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の%および部とは、断らない限り重量基準である。また、実施例中での品質評価は次の方法に従った。
[洗濯方法]
ドラム染色機を用い、花王(株)製洗剤“ザブ”2g/l、過酸化水素水(35%工業用)3cc/l、過炭酸ナトリウム1.5g/l、温度85±2℃、浴比1:20で15分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフロー水洗を10分間実施した。その後脱水を行いこれを洗濯1回とした。最後にタンブラー・ドライヤーを用いて20分間で乾燥させた。
[抗菌試験方法]
試験方法は統一試験法を採用し、試験菌体はMRSA臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試料布に上記試験菌のブイヨン懸濁液を注加し、密閉容器中で37℃、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
【0035】
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を菌数増減値差とし、2.2以上を合格レベルとした。
【0036】
ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
[防臭性]
生地を8時間肌に密着させ、2時間30℃×90%の室温に放置した後、生地に残る臭いを以下の6段階で官能評価した。
【0037】
5:強烈な臭い、4:強い臭い、3:楽に感知できる、2:何の臭いかわかる弱いにおい、1:やっと感知できる、0:無臭
まず、予め、実施例と比較例に使用する抗菌剤のコロイド化処理を行っておく。すなわち、下記各実施例、比較例で使用する抗菌剤50gとナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物20gおよびリグニンスルホン酸ナトリウム30gを水300gと共にスラリー化し、次いでガラスビーズを用いて湿式粉砕処理を施し、平均粒径1μmのコロイド状態の組成物を得た。
実施例1
75デニール−72フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメント延伸糸を丸編にした供試布を高圧染色試験機を用い、抗菌剤2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛のコロイドを1%owf、分散染料を2%owf、均染剤を0.5g/l、浴比1:10、pH5の液中に供試布を浸し、130℃、60分間の条件で常法による染色加工を行った。この後、水洗し、170℃、2分間乾燥を行った。
【0038】
次に下記組成の処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0039】
AMPS 20g/l
化学式1においてX:−CH3 、n=23のモノマー 40g/l
N−メチロールアクリルアミド 7g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットし、評価に供した。結果を表2に示す。
実施例2
実施例1と同様の供試布を高圧染色試験機を用い、抗菌剤2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛のコロイドを1%owf、分散染料を2%owf、均染剤を0.5g/l、浴比1:10、pH5の液中に供試布を浸し、130℃、60分間の条件で常法による染色加工を行った。この後、水洗し、170℃、2分間乾燥を行った。
【0040】
次に、下記組成の処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0041】
AMPS 20g/l
化学式2においてX:−CH3 、m+n=30のモノマー 40g/l
N−メチロールアクリルアミド 7g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットし、評価に供した。結果を表2に示す。
実施例3
供試布として150デニール−48フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメント仮撚加工糸の丸編地を用い、抗菌剤として2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジンを使用した以外は、実施例1と同様の処理を行い、評価に供した。結果を表2に示す。
実施例4
供試布として60デニール−144フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメント仮撚加工糸を20%、150デニール−15フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメント延伸糸を80%混繊させた加工糸をタテとヨコ糸に使用した平織物を用いて、抗菌剤として2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジンを使用した以外は、実施例1と同様の処理を行い、評価に供した。結果を表2に示す。
実施例5
供試布として75デニール−12フィラメントのポリエチレンテレフタレートフィラメント仮撚加工糸の編地を用い、抗菌剤として2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジンを使用した以外は、実施例1と同様の処理を行ない、評価に供した。結果を表2に示す。
比較例1
抗菌剤として2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウムを使用する以外は、実施例1と同条件で加工し、評価に供した。結果を表2に示す。
比較例2
抗菌剤として1,4−(1−ジヨードメチルスルフォニル)ベンゼンを使用する以外は、実施例1と同条件で加工し、評価に供した。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1と同様の供試布を高圧染色試験機を用い、抗菌剤2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛のコロイドを1%owf、分散染料を2%owf、均染剤を0.5g/l、浴比1:10、pH5の液中に供試布を浸し、130℃、60分間の条件で常法による染色加工を行った。この後、水洗し、170℃、2分間乾燥を行った後、評価に供した。結果を表2に示す。
比較例4
実施例1と同様の供試布を下記組成の処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
【0042】
AMPS 20g/l
化学式1においてX:−CH3 、n=23のモノマー 40g/l
N−メチロールアクリルアミド 7g/l
過硫酸アンモニウム 2g/l
乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットし、評価に供した。結果を表2に示す。
比較例5
実施例1と同様の供試布を何も加工しないで、評価に供した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から明らかなように、実施例1〜5については、洗濯前および工業洗濯50回後も十分な抗菌性および防臭性があることがわかる。一方、比較例1〜5については、工業洗濯50回後、抗菌性が認められても防臭性が悪いか、抗菌性および防臭性の両方の効果が認められなかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、工業洗濯耐久性に優れた抗菌性および防臭性を有する繊維構造物を提供することができる。
Claims (7)
- 該繊維構造物1g当たりに用いられる合成繊維の表面積が0.1m2 以上である請求項1記載の繊維構造物。
- 該ビニルカルボン酸および/またはビニルスルホン酸モノマーと、化学式1および/または化学式2とからなる重合物が、繊維材料に対して1〜20wt%付着しているものである請求項1または2記載の繊維構造物。
- 該ピリジン系抗菌剤が、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5−トリクロロ−4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジルチオール−1−オキシド)から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。
- 該ピリジン系抗菌剤が、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物。
- 該ピリジン系抗菌剤が、該合成繊維に付着していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維構造物。
- 該ピリジン系抗菌剤が、該合成繊維に吸尽されているものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維構造物。
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KR101978097B1 (ko) * | 2018-11-22 | 2019-05-13 | 김병태 | 유황을 이용한 항균 염색조성물 제조방법 |
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JP2001131870A (ja) | 2001-05-15 |
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