JP5803057B2 - 染色繊維材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた顔料染色繊維材料およびその製造方法に関する。
顔料は耐光性や耐薬品性に優れること、繊維材料等に容易に染着できることから、近年、各種繊維材料等の染色に使用されるようになってきている。繊維を連続的に着色する方法として、顔料の水分散液中に繊維を浸漬して連続的に顔料を染着するパディング法や、吸尽法による顔料を使った製品染め等が知られている。これらの顔料染色法では、顔料が繊維の表面に物理的に付着した状態となり、使用下で洗濯等により顔料が脱落し易いため、通常、これを防止するため、顔料固着用のバインダーが使用される。
このようなバインダーの使用方法としては、繊維材料に顔料を付着させた後にバインダーに接触させる方法(特許文献1)、繊維材料に顔料を染着させる際にバインダーを顔料の水分散液中に混合して用いる方法(特許文献2)などが知られている。
特許文献1には、カチオン性水性顔料分散組成物(以下、CT顔料という。)を用いて繊維材料を染色した後、バインダー処理がされる工程が記載されている。具体的には、繊維材料をCT顔料染色した後水洗し、得られた染色繊維材料をバインダー液に浸漬し、いわゆる絞り工程を経た後、乾燥・キュアリング、必要により酵素等の後加工を行い、乾燥し、染色繊維製品を得るものである。前記絞り工程は、繊維材料に一旦多量に吸収されたバインダー液のうち、過剰なバインダー液をローラー、遠心分離機などで絞り出し、バインダー樹脂の繊維材料への付着量を調節する工程であるが、一般に、絞り工程では、最終的に繊維材料に吸収されたバインダー液に含まれるバインダー樹脂が繊維材料に吸着するため、バインダー樹脂の繊維材料への付着量を増加させるには、バインダー液の吸収量を増やすか、バインダー樹脂の濃度を増加させる必要がある。しかし、吸収量を増やすと後の乾燥工程での加熱負荷が増し、バインダー樹脂濃度を増加させると、使用原料の増加に加え、廃棄する未吸着バインダー樹脂量が増加することとなり、製造コスト、環境への負荷の点で問題がある。また、この様な従来からのバインダー処理工程によれば、バインダー樹脂の繊維材料への付着量の制御が困難で、付着量が不安定となる等の問題があった。品質的にも、バインダーによる顔料の繊維への固着効果が充分得られない場合があった。
また特許文献2には、カチオン化処理された繊維材料を、合成樹脂エマルジョン、顔料および曇点が25〜58℃のノニオン活性剤を含む水浴中に浸漬してこの浴をノニオン系界面活性剤の曇点まで上昇し、繊維材料上に合成樹脂および顔料を吸着させる染色加工工程が記載されているが、当該方法では、顔料による染色と合成樹脂によるバインダー処理を同時に行うため、装置の汚染が懸念される。
一方、特許文献3には、カチオン性重合体を用いて機能剤を分散したカチオン性繊維浸漬吸収処理分散組成物が記載され、当該組成物により繊維材料に機能性を容易に付与することが可能となる旨が開示されている。しかながら、当該組成物を用いても、機能剤の付着効率の面では、検討の余地があった。
特開平10−310718号公報 特開平10−259579号公報 特開2008−2047号公報
本発明は、バインダー樹脂の繊維材料への吸着、固着を容易に制御できるとともに、バインダー樹脂を含む液の廃棄量を低減して、環境負荷を低減することが可能な染色繊維材料の製造方法を提供することを目的とする。また、バインダー樹脂の付着量が制御された染色繊維材料を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本願発明者らが鋭意検討した結果、顔料染色処理後の繊維材料のバインダー処理を行う際に、バインダー樹脂吸着補助剤が存在することにより、バインダー樹脂が効率的に顔料染色処理後の繊維材料に吸着し、固着され、所定条件下では使用バインダー樹脂の全てないし大部分が繊維材料に付着して廃液には残存することがなく、またバインダー樹脂の繊維材料への付着量を極めて正確に制御できることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)本発明の第一は、バインダー樹脂吸着補助剤存在下でバインダー樹脂エマルジョンにより顔料染色処理後の繊維材料をバインダー処理する工程を含み、前記バインダー樹脂吸着補助剤が、ギ酸、酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸又はその塩、及びエポキシ変性ポリアミドから選択され、前記バインダー処理がバインダー樹脂吸着補助剤を添加した液槽に顔料染色処理後の繊維材料を浸漬し、次いでバインダー樹脂エマルジョンを添加し、攪拌する工程を含む染色繊維材料の製造方法である。
(2)本発明の好ましい態様は、(1)記載の染色繊維材料の製造方法において、前記顔料染色処理後の繊維材料をバインダー処理する工程の前及び/又は前記処理中にバインダー樹脂吸着補助剤を添加する工程を含むものである。
(3)本発明のより好ましい態様は、(1)または(2)記載の染色繊維材料の製造方法において、前記バインダー樹脂吸着補助剤の当初の添加量が、バインダー樹脂エマルジョン中のバインダー樹脂に対して1〜8重量%である。
(4)本発明では、(1)〜(3)のいずれかに記載の染色繊維材料の製造方法において、前記バインダー樹脂吸着補助剤を複数回に分けて前記液槽に添加してもよい。
本発明によれば、バインダー樹脂吸着補助剤により、バインダー樹脂が顔料染色処理後の繊維材料へ効率的に吸着し、固着されることから、バインダー樹脂の繊維材料への付着量の制御が容易で、安定して所望の付着量を得ることができる。また、吸着収率が高く、条件によっては使用バインダー樹脂のほぼ全量を染色繊維材料に吸着させることができるため、バインダー樹脂の廃棄量が極めて少なく、環境への負荷を非常に小さくすることができる。また例えば液槽を用いてバインダー処理を行う場合、バインダー処理後のバインダー液がほぼ透明になるため、バインダー樹脂の使用量に無駄がなく、廃棄量が極めて少ないうえ、設備の汚染を低減することができる。また、バインダー樹脂と同時に機能剤を使用すると、バインダー樹脂と共に機能剤が繊維材料に効率的に吸着し、固着されることから、上記バインダー樹脂の効果と同様、機能剤の使用量の無駄がない等の効果が得られる。
また、本発明によれば、バインダー樹脂の付着量が制御された染色繊維材料を容易に得ることができ、従来と同等以上のバインダー樹脂による顔料の固着効果を得ることができる。
本発明の染色繊維材料の製造方法は、バインダー樹脂吸着補助剤存在下でバインダー樹脂エマルジョンにより顔料染色処理後の繊維材料をバインダー処理する工程を含むものである。
本発明において使用可能な繊維材料としては、全ての天然繊維及び合成繊維、例えば綿、ウール、シルク、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアクリル、レーヨン、ポリノジックレーヨン、テンセル及び種々の繊維が混紡若しくは交織されたもの、またはこれらを織布、メリヤスあるいはニットウェアーの他、種々の形態にしたものが挙げられる。具体的には、綿及び混紡品のジーンズ、またはカジュアルウェアー用品で、既に縫製された衣類などのほか、マット材などの産業資材などが挙げられる。
本発明では上記の繊維材料を、公知の顔料等を用いてパディング法、吸尽法などの公知の方法で染色処理し、得られる顔料染色処理後の繊維材料(以下、単に繊維材料という場合がある。)を後述のようにしてバインダー処理を行う。
公知の染色処理方法のうち吸尽法を代表例として、本発明において用いる場合の態様について、簡略的に説明すると以下のとおりである。
繊維材料を15〜85℃の水又は温水で洗浄して洗浄処理を行い、必要によりカチオン化剤により前記洗浄処理後の繊維材料をカチオン化処理する。この際使用するカチオン化剤としては、(メタ)アクリル系重合体、(メタ)アクリレート系重合体、アミノ基含有ウレタン系重合体、などのカチオン性重合体を用いることができる。このようなカチオン性重合体としては、公知のもの(特許文献1参照)や、市販のもの(例えば、CT F1101、山陽色素株式会社製)を用いることができる。繊維材料をカチオン化処理することで、後の各処理(染色処理、バインダー処理)において、顔料、バインダー樹脂、機能剤等の吸尽性が向上する場合がある。
前記洗浄処理後又はカチオン化処理後の繊維材料を、顔料を含む染浴に浸漬、撹拌し、顔料を繊維材料に吸尽させる。浸漬、撹拌は、20〜70℃、好ましくは30〜70℃の染浴において、一定温度で、又は、適宜昇温しながら行うとよい。前記顔料としては、特に限定はないが、カチオン化処理した繊維材料を用いた場合は、吸尽性の点で、カチオン性顔料(またはその顔料分散体)を用いると良い。このような顔料又は顔料分散体としては、公知のもの(特許文献1参照)や、市販のもの(例えば、EMACOL CT RED 4318N、山陽色素株式会社製)を用いることができる。
その後、洗浄、必要により脱水を行って、染色処理をした繊維材料が得られる。
本発明のバインダー樹脂エマルジョンとしては、特に限定はなく、例えばポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、合成ゴム系等の水性エマルジョンなど公知のものを用いることができる。
本発明のバインダー樹脂吸着補助剤としては、バインダー樹脂エマルジョンからバインダー樹脂を凝集、析出させる機能を有する無機系化合物、有機系化合物であれば良い。前記機能を有する無機系化合物としては、無機酸、無機塩、無機系高分子化合物などであり、具体的には、無機酸としては、塩酸、硫酸などが例示でき、無機塩としては、塩化アル
ミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸マグネシウムなどが例示できる。また、前記機能を有する有機系化合物としては、有機酸、有機酸塩、有機系高分子化合物などであり、具体的には、有機酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸などが例示でき、有機酸塩としては、前記有機酸のカリウム、ナトリウム、カルシウム等の金属塩が例示でき、有機系高分子化合物としては、ポリアクリルアミド系高分子化合物(ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性のいずれでも良い)、エポキシ変性ポリアミドなどが例示できる。
これらのうち、バインダー樹脂エマルジョンからバインダー樹脂を効果的に凝集、析出させ、繊維材料への吸着、固着を効果的に促進させるという観点から、硫酸アルミニウム、ギ酸、エポキシ変性ポリアミドが好適に用いられる。
本発明では、前述の繊維材料、バインダー樹脂エマルジョンおよびバインダー樹脂吸着補助剤が同時に存在している状態でバインダー処理を行う。これにより、バインダー樹脂吸着補助剤によってバインダー樹脂エマルジョンに含まれていたバインダー樹脂が凝集・析出し、繊維材料の表面全体に効率的に吸着し、固着する。従って、繊維材料に対してバインダー樹脂として所望量を添加すれば、バインダー樹脂の大部分あるいは全部が繊維材料の表面に吸着して、固着され、吸着収率が高いことから、バインダー樹脂としての量を適宜調整することにより、その付着量を容易に制御することができる。
上記のように、繊維材料、バインダー樹脂エマルジョンおよびバインダー樹脂吸着補助剤が同時に存在している限り、これらをどのように接触させてもよく、例えば、バインダー処理の前及び/又は前記処理中にバインダー樹脂吸着補助剤を添加する工程を含むようにして前記3部材を接触させても良い。
その際、効率よく、繊維材料の表面全体にバインダー樹脂を吸着させ、固着させるためには、水等の液槽中でバインダー処理を行うのが好ましい。また前記のとおり、液槽への前記3部材の添加の仕方は任意であり、バインダー処理を行う前にバインダー樹脂吸着補助剤を添加する工程としては、(a)予め水等を入れた槽(液槽)内に、バインダー樹脂吸着補助剤を添加した後に、繊維材料を浸漬し、その後バインダー樹脂エマルジョンを添加して、バインダー処理を行うもの、(b)液槽内に繊維材料を浸漬した後、バインダー樹脂吸着補助剤を添加し、その後バインダー樹脂エマルジョンを添加してバインダー処理を行うものなどが例示できる。
また、バインダー処理を行う工程中にバインダー樹脂吸着補助剤を添加する工程としては、(c)液槽に繊維材料を浸漬した後またはその前にバインダー樹脂エマルジョンを添加してバインダー処理を行いながら、適宜バインダー樹脂吸着補助剤を添加するものなどが例示できる。尚、上記(a)または(b)のようにしてバインダー処理を行う工程中に、別途更に適宜バインダー樹脂吸着補助剤を添加しても良い。
上記各工程の中でも、繊維材料の表面全体に効率よくバインダー樹脂を吸着、固着させ、付着量を制御できる点で(a)または(b)と(c)の処理を組み合わせた処理工程が好ましい。以下に(b)と(c)を組み合わせた処理工程を例としてより具体的に説明する。
染色処理として、例えば繊維材料を所定の染浴に浸漬して染色する方法を採用した場合、処理槽(ワッシャー染色機など、一般的なものを使用することができる。)に水と水性顔料分散体を投入して染浴を調製し、当該染浴に繊維材料を浸漬して顔料を付着させた後、染浴を排出して、水を投入し、水洗を1回または2回以上行う(上述の吸尽法を採用しても良い)。当該洗浄に供した水を排出後、染色処理後の繊維材料の残った処理槽に新たに水を投入し、攪拌しながらバインダー樹脂吸着補助剤を添加する。この際、バインダー樹脂を均一に繊維材料表面に吸着、固着させ、かつ廃水量を低減する観点から、浴比は1:8〜1:30であることが好ましく、1:10〜1:20であることがより好ましい。また、前記補助剤の添加量は、バインダー樹脂エマルジョン中のバインダー樹脂に対して1〜8重量%が好ましい。
その後、バインダー樹脂エマルジョンを添加し、攪拌する。この際、バインダー処理温度は、常温(例えば、20〜35℃)で実施することができるが、必要により、適宜加温することにより吸着速度を上げ、容易に吸着を促進することができる。また、処理速度を向上するために、積極的に加温する場合、通常、35〜80℃、好ましくは40〜70℃に加温した状態で処理することができる。この場合、80℃を超えるとバインダー樹脂の繊維材料への吸着、固着が不均一になることにより、色むら等が発生し、着色繊維材料の外観を劣化させる傾向にある。
このようにして、液槽内のバインダー液が透明になるまで、好ましくは、透明でかつ、繊維材料に吸着しないで凝集浮遊するバインダー樹脂が実質的に存在しない条件下で処理を行う。処理時間としては、概ね5分〜120分、好ましくは10分〜80分であり、さらに好ましくは、5分から60分である。
攪拌速度は、各種条件によるため一概にはいえないが、攪拌をコントロールし、バインダー樹脂が繊維材料に均一に吸着し、固着するように、できるだけゆっくり均一に攪拌し、液槽内の繊維材料を回転及び/又は上下運動させてゆっくり操作するのが望ましい。例えば、処理槽としてワッシャー染色機を用いたい場合は、5〜15rpmで行うのが望ましい。
本発明によれば、前記エマルジョンの添加量は自由に設定することができ、繊維材料の用途などにより適宜決定することができるが、顔料の有する色合いや発色性などの特性、繊維材料自体の有する風合いなどの特性を妨げないようにする観点から、通常、0.5〜25%owf、好ましくは1.0〜20%owf、最も好ましくは2.0〜10%owfにするのがよい。攪拌は、前記条件で行うが、この際、前記エマルジョン添加により懸濁した液が、前記補助剤の作用によりエマルジョンとして存在していたバインダー樹脂が、徐々に凝集・析出して繊維材料に吸着、固着し、液の濁度が徐々に低下していくことが目視により観察される。
またバインダー樹脂を繊維材料全体に均一に吸着させるには、徐々に繊維材料に吸着させることが好ましいため、バインダー樹脂の繊維材料への吸着を補助する前記補助剤は複数回に分けて液槽に添加するのが好ましい場合がある。そのため、バインダー樹脂に対する前記補助剤の添加量を少なくして、液の濁度の低下具合を観察しながら別途前記補助剤を添加する。その際の添加量は、当初の添加量との関係で適宜決定すればよいが、概ねバインダー樹脂に対して1〜10重量%であり、その他の撹拌条件は上記と同様である。このようにして、1回または2回以上別途前記助剤を添加して前記と同様の条件にて撹拌を行うと、液の濁度が徐々に更に低下していき、最終的には、液がほぼ透明になることが目視により確認できる。
このように、本発明では添加したバインダー樹脂の全部ないしは大部分が繊維材料に吸着し、固着することが可能なことから、バインダー樹脂を必要量だけ使用すればよく、従来の方法のようにバインダー樹脂が無駄になることがない。また、廃液にはバインダー樹脂の残存が殆どないため、廃液処理が容易であり、廃棄量を低減することも可能になり、環境負荷を極めて小さくすることができる。更に、最終的には液槽内の水浴は透明になるため、設備の汚染も非常に低減することができる。
その後、バインダー処理に供した水浴を排出し、水を処理槽に投入し、1回または2回以上水洗し、脱水し、タンブラーで90〜110℃で乾燥して、染色繊維材料が得られる。尚、水洗後、必要により一般的な後処理(酵素処理など)を行っても良い。
以上のようにして得られた染色繊維材料は、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比、即ち(バインダー樹脂の付着量)/(顔料の付着量)を純分換算で、通常、0.5以上25以下、好ましくは、1.0以上20以下、最も好ましくは、2.0以上10.0以下にするのがよい。0.5以下では付着量が少なく摩擦堅牢性が不十分になることがあり、25を越えると風合いに欠けることがある。前述のとおり、バインダー樹脂の付着量を正確に制御することが可能であるため、顔料の有する色合いや発色性などの特性、繊維材料自体の有する風合いなどの特性とのバランスをとりながらバインダー樹脂による顔料の固着効果(例えば染色堅牢性など)を従来のものと同等以上にすることができる。尚、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量は実質的に100%吸着させることができるので、それぞれの使用量により算出することができる。
また本発明では、染色繊維材料に機能剤を含有させても良い。機能剤を染色繊維材料に含有させる方法は公知の方法を用いることができる。即ち、機能剤を紡糸の段階で練り込む方法、または、機能剤を樹脂に分散し、これをコーティング法、パッド・ディップ法、スプレー法、浸漬吸収法等により繊維表面に付与する方法である。また後者の場合、染色処理時、バインダー処理時、バインダー処理後のいずれの段階で行っても良いが、好ましくは、バインダー処理時、又はバインダー処理前に機能剤の含有処理を行うのがよい。
含有される機能剤としては、紫外線遮蔽剤(酸化チタンなど)、遠赤外線放射剤、蓄熱保湿剤、抗菌防臭剤、制菌剤、防ダニ剤、消臭剤、防汚剤、難燃・防炎剤、導電剤、吸湿剤、吸水・吸汗剤、撥水剤、防水剤、透湿防水剤、蓄光剤等がある。機能剤はこれらに限定されるものではない。尚、このような各機能剤の具体例は、特開2008−2047号公報に例示されるものを用いることができる。
(実施例1)
処理槽(ワッシャー染色機、神前鉄工株式会社製、品名6M−H(K−MINI))にカチオン性水分散赤色顔料(EMACOL CT RED 4318N、顔料分20%、山陽色素株式会社製)5%owfの染浴(浴比1:20)を投入し、当該染浴に綿ニット1000gを浸漬して染色処理を行った後、染浴を排出して水洗した(水洗に使用した水は排水した)。次に同じ処理槽に、浴比1:10となるように水(水温:40℃)を投入し、添加するバインダー樹脂に対して3重量%になるようにギ酸(丸善薬品産業株式会製、1%ギ酸水溶液に調製して使用した。)を添加して5分間ゆっくり攪拌した後、アニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(EMACOL CT BINDER H901、樹脂分50%、山陽色素株式会社製)5%owfを添加して15分間ゆっくり攪拌(攪拌速度10rpm)した。上記過程で水浴は前記エマルジョンの添加により懸濁し、その後徐々に懸濁物が綿ニットに吸着され、最終的に水浴が透明になったことを目視により確認した。尚、バインダー処理中水温は40℃に維持した。その後、水浴を排水して、水洗・脱水した後、90〜110℃、で乾燥し、本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。
当該綿ニットについて前記のようにして顔料とバインダー樹脂の付着量を算出したところ、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比((バインダー樹脂の付着量)/(顔料の付着量)、以下同じ。)が2.5であった。また、JIS L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。更に、バインダー処理に供した水浴のCODおよびBODをJIS K 0102に準拠して測定したところ、COD値が12.0mg/L、BOD値が20.0mg/Lであった。尚、本例では上述のように水浴は透明であり、COD値が極めて低いことから、樹脂純分の廃棄量は略0であることが分かる。尚この点は、バインダー処理後の水浴が透明である以下の各実施例の場合も同様のことがいえる。
(比較例1)
処理槽にカチオン性水分散赤色顔料(EMACOL CT RED 4318N、顔料分20%、山陽色素株式会社製)5%owfの染浴(浴比1:20)を投入し、当該染浴に綿ニット1000gを浸漬して染色処理を行った後、染浴を排出して水洗、脱水した。次に同じ処理槽に、浴比1:10となるように水(水温:40℃)を投入し、ノニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(EMACOL CT BINDER ASD、樹脂分40%、山陽色素株式会社製)15g/Lを添加した後、前記脱水後の綿ニットを投入して10分間ゆっくり攪拌した。その後、絞り工程(絞り100%)を経てから、90〜110℃で乾燥し、バインダー樹脂を固着させた。
当該綿ニットについて実施例1と同様にして顔料とバインダー樹脂の付着量を算出したところ、繊維に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が0.6であった。また、JIS L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2級であった。更に、バインダー処理に供した水浴のCODおよびBODをJIS K 0102に準拠して測定したところ、COD値が273.0mg/L、BOD値が29.0mg/Lであった。すなわち、COD値が大きく、絞り率100%で繊維に付着したバインダー処理液は1000gであり、残りのバインダー処理液9000g(90%)、即ち、樹脂純分の90%が廃棄されたことになる。
(実施例2)
実施例1と同様にして綿ニットの染色処理、水洗を行った後、処理槽に、浴比1:10となるように水(水温:20℃)を投入し、添加するバインダー樹脂に対して3重量%になるようにギ酸(丸善薬品産業株式会社製、1%ギ酸水溶液に調製して使用した。)を添加して5分間ゆっくり攪拌した後、アニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(EMACOL CT BINDER H901、山陽色素株式会社製)5%owfを添加して15分間ゆっくり攪拌した。続いてバインダー樹脂に対して3重量%になるように上記ギ酸を更に添加して20℃で30分間ゆっくり撹拌した。上記過程で水浴は前記エマルジョンの添加により懸濁し、その後徐々に懸濁物が綿ニットに吸着され、最終的に水浴が透明になったことを目視により確認した。尚、バインダー処理中水温は20℃に維持した。その後、水浴を排水して、水洗・脱水した後、90〜110℃、で乾燥し、本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。当該綿ニットについて、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が3級であった。
(実施例3)
水温を25℃に維持した点、ギ酸を追加した時の攪拌時間が15分である点を除き、実施例2と同様にして、本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。当該綿ニットについて、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が3級であった。
(実施例4)
水温を30℃に維持した点を除き、実施例1と同様にして、本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。当該綿ニットについて、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が3級であった。
(実施例5)
バインダー樹脂の添加量を10%owfとした以外は、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が5.0であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が4.0級、湿式試験の等級が3.0級であった。
(実施例6)
バインダー樹脂として、弱アニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(NK BINDER M−302HN、新中村化学工業株式会社製)を用い、該バインダー樹脂を添加して40℃で15分間ゆっくり撹拌した後、昇温速度3℃/分で70℃に加温した後5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例7)
バインダー樹脂として、ノニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(DC515−S、徳昌樹脂股ふん有限公司製)を用い、該バインダー樹脂を添加して40℃で15分間ゆっくり撹拌し、次いで昇温速度3℃/分で70℃に加温した後5分間ゆっくり撹拌し、添加するバインダー樹脂に対して6重量%になるようにギ酸を更に添加して70℃で5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例8)
バインダー樹脂として、アニオン系のウレタン系樹脂エマルジョン(ユニバインダー TN−2014、ユニ化成株式会社製)を用い、該バインダー樹脂を添加して40℃で15分間ゆっくり撹拌した後、昇温速度3℃/分で70℃に加温した後5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が2.5級、湿式試験の等級が2級であった。
(実施例9)
バインダー樹脂として、アニオン系のラテックス系樹脂エマルジョン(クロスレン NSK−72、ガンツ化成株式会社製)を用い、該バインダー樹脂を添加して40℃で15分間ゆっくり撹拌した後、昇温速度3℃/分で70℃に加温した後5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が2.5級、湿式試験の等級が2級であった。
(実施例10)
バインダー樹脂吸着補助剤として、酢酸(株式会社伏見製薬所製)を使用し、アニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(EMACOL CT BINDER H901、山陽色素株式会社製)を添加して、樹脂を添加して40℃で15分間ゆっくり撹拌し、次いで昇温速度3℃/分で70℃に加温した後5分間ゆっくり撹拌し、添加するバインダー樹脂に対して10重量%になるように酢酸を更に添加して70℃で5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例11)
バインダー樹脂吸着補助剤として、クエン酸(和光純薬工業株式会社製)を使用し、添加するバインダー樹脂に対して6重量%になるようにクエン酸を更に添加して70℃で5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例10と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例12)
バインダー樹脂吸着補助剤として、塩酸(網干産業株式会社製)を使用し、バインダー樹脂を添加して40℃で15分間ゆっくり撹拌した後、昇温速度3℃/分で70℃に加温した後5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例13)
バインダー樹脂吸着補助剤として、硫酸(日鉱金属株式会社製)を使用したことを除き、実施例12と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例14)
バインダー樹脂吸着補助剤として、ギ酸ナトリウム(広栄化学工業株式会社製)を使用した点を除き、実施例10と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例15)
バインダー樹脂吸着補助剤として、酢酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を使用した点を除き、実施例10と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例16)
バインダー樹脂吸着補助剤として、硫酸アルミニウム(浅田化学工業株式会社製)を使用し、添加するバインダー樹脂に対して3重量%になるように硫酸アルミニウムを更に添加して70℃で5分間ゆっくり撹拌したことを除き、実施例10と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例17)
バインダー樹脂吸着補助剤として、硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)を使用したことを除き、実施例10と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例18)
バインダー樹脂吸着補助剤として、エポキシ変性ポリアミド(ハーマイドPY、ハリマ化成株式会社製)を用いた以外、実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が2.5であった。また、JIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(実施例19)
綿ニットに替えて綿ブロードを用い、染色濃度3%owfにした以外は実施例1と同様にして本発明のバインダー処理された綿ブロードを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が4.2であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(比較例2)
綿ニットに替えて、綿ブロードを用い、3%owfの染浴を用いた以外は比較例1と同様にしてバインダー処理(絞り率50%)した綿ブロードを得た。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が0.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2.5級であった。尚、絞り率50%で繊維に付着したバインダー処理液は500gであり、残りのバインダー処理液9500g(95%)、即ち、樹脂純分の95%が廃棄されたことになる。
(実施例20)
ポリエステルジャージを用いた以外は実施例19と同様にして本発明のバインダー処理されたポリエステルジャージを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が4.2であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2.5級であった。
(比較例3)
ポリエステルジャージを用いた以外は比較例2と同様にしてバインダー処理したポリエステルジャージを得た。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が0.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2.5級であった。尚、絞り率50%で繊維に付着したバインダー処理液は500gであり、残りのバインダー処理液9500g(95%)、即ち、樹脂純分の95%が廃棄されたことになる。
(実施例21)
工業資材であるナイロンマット(玄関マット)を用い、8%owfの染浴を用い、アニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(EMACOL CT BINDER H901、山陽色素株式会社製)10%owfを用いた以外は実施例19と同様にして本発明のバインダー処理されたナイロンマットを得た。尚、最終的に水浴が透明になった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が3.1であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が4級、湿式試験の等級が3級であった。
(比較例4)
工業資材であるナイロンマット(玄関マット)を用い、8%owfの染浴を用いた以外は、比較例1と同様にしてバインダー処理(絞り率25%)したナイロンマットを得た。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比が0.1であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3級、湿式試験の等級が2級であった。尚、絞り率25%で繊維に付着したバインダー処理液は250gであり、残りのバインダー処理液9750g(97.5%)、即ち、樹脂純分の97.5%が廃棄されたことになる。
以上の実施例および比較例の製造条件の概略および評価結果を表1に示す。
Figure 0005803057
(実施例22)
綿ニット(綿100%)10gを湯洗い(80℃)と水洗い(常温(約20℃))を行って洗浄処理を行った後、水200mL(浴比1:20)およびカチオン性重合体(アクリル系重合体、CT F1101、山陽色素株式会社製)1.0%owf(0.1g)を投入した試験用小型槽に、前記洗浄処理後の綿ニットを浸漬し、30℃、10分間撹拌した。続けて、カチオン性水分散赤色顔料(EMACOL CT RED 4318N、顔料分20重量%、山陽色素株式会社製)5%owf(0.5g)を添加して染浴(浴比1:20)とし、30℃で10分、40℃で10分、50℃で10分、順次温度を上げて染色処理を行った。染色処理が終了した時点で、染色液が透明になり、前記の重合体および顔料が綿ニットに吸尽されたことを確認した。その後、染浴を排出して2回水洗した(水洗に使用した水は排水した)。
次に、水200mL(浴比1:20)および添加するバインダー樹脂に対して3重量%になるようにギ酸(丸善薬品産業株式会製、1%ギ酸水溶液に調整して使用した。)を投入した試験用小型槽に、前記染色処理後の綿ニットを浸漬し、40℃で5分撹拌した。
アニオン系のアクリル系樹脂エマルジョン(EMACOL CT BINDER H901、樹脂分50重量%、山陽色素株式会社製)3%owf(0.3g)を水で10倍に希釈した希釈液に、機能剤として蓄光顔料(ルミノーバ BGL−300、根本特殊化学株式会社製)1%owf(0.1g)を添加して撹拌し、蓄光顔料を希釈液に分散させて、機能剤含有希釈液を予め調製しておき、当該機能剤含有希釈液を、綿ニットを浸漬し、撹拌処理後の試験用小型槽に添加し、40℃で15分間ゆっくり攪拌(攪拌速度10rpm)した。上記過程で水浴は前記エマルジョンおよび蓄光顔料の添加により懸濁し、その後徐々に懸濁物が綿ニットに吸着され、最終的に水浴が透明になったことを目視により確認した。尚、バインダー処理中水温は40℃に維持した。その後、水浴を排水して、1回水洗し、脱水した後、90〜110℃、で乾燥して、本発明のバインダー処理された、蓄光顔料を含む綿ニットを得た。
当該綿ニットについて前記のようにして顔料とバインダー樹脂の付着量を算出したところ、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比((バインダー樹脂の付着量)/(顔料の付着量)、以下同じ。)が1.5であった。また、JIS L0849に準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
更に、バインダー処理に供した水浴のCODおよびBODをJIS K 0102に準拠して測定したところ、COD値が3.6mg/L、BOD値が29mg/Lであった。尚、本例では上述のように水浴は透明であり、COD値が極めて低いことから、樹脂純分の廃棄量は略0であることが分かる。
また更に、添加した蓄光顔料は全量綿ニットに吸尽されており、無駄のない綿ニットへの蓄光機能付与が期待できる。
(実施例23)
蓄光剤に替えて、抗菌剤(ノバロン AG−300、東亜合成株式会社製)を用いたことを除き実施例22と同様にして、本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。
バインダー処理において最終的に水浴が透明になり、当該バインダー処理に供した水浴のCODおよびBODをJIS K 0102に準拠して測定したところ、COD値が6.6mg/L、BOD値が32mg/Lであった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比は1.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
また更に、添加した抗菌剤は全量綿ニットに吸尽されており、無駄のない綿ニットへの抗菌機能付与が期待できる。
(実施例24)
蓄光剤に替えて、紫外線遮蔽剤として酸化チタン(TiO2 R550、石原産業株式会社製)を用いたことを除き実施例22と同様にして、本発明のバインダー処理された綿ニットを得た。
バインダー処理において最終的に水浴が透明になり、当該バインダー処理に供した水浴のCODおよびBODをJIS K 0102に準拠して測定したところ、COD値が6.5mg/L、BOD値が31mg/Lであった。また、繊維材料に対する顔料とバインダー樹脂の付着量の比は1.5であった。更にJIS L0849 IIに準拠して摩擦に対する染色堅牢性試験を行ったところ、乾式試験の等級が3.5級、湿式試験の等級が2.5級であった。
また更に、添加した酸化チタンは全量綿ニットに吸尽されており、無駄のない綿ニットへの紫外線遮蔽機能付与が期待できる。
以上の実施例の製造条件の概略および評価結果を表2に示す。
Figure 0005803057
本発明によれば、バインダー樹脂や機能剤の繊維材料への付着量の制御が容易で、安定して所望の付着量を得ることができるため、バインダー樹脂や機能剤の廃棄量が極めて少なく、環境への負荷を非常に小さくすることができるとともに、従来と同等以上のバインダー樹脂による顔料の固着効果を得ることができ、また機能剤による機能付与効果が期待できる。従って、本発明は、バインダー樹脂や機能剤の使用量を著しく低減し、環境負荷の極めて小さい効率的な生産が可能でありながら、従来と同等以上のバインダー樹脂による顔料の固着効果や機能付与効果を有する顔料染色繊維材料の提供に極めて有用である。


Claims (4)

  1. バインダー樹脂吸着補助剤存在下でバインダー樹脂エマルジョンにより顔料染色処理後の繊維材料をバインダー処理する工程を含み、
    前記バインダー樹脂吸着補助剤が、ギ酸、酢酸、クエン酸、塩酸、硫酸又はその塩、及びエポキシ変性ポリアミドから選択され、
    前記バインダー処理がバインダー樹脂吸着補助剤を添加した液槽に顔料染色処理後の繊維材料を浸漬し、次いでバインダー樹脂エマルジョンを添加し、攪拌する工程を含む染色繊維材料の製造方法。
  2. 前記バインダー処理の前及び/又は前記処理中にバインダー樹脂吸着補助剤を添加する工程を含む請求項1記載の染色繊維材料の製造方法。
  3. 前記バインダー樹脂吸着補助剤の当初の添加量が、バインダー樹脂エマルジョン中のバインダー樹脂に対して1〜8重量%である請求項1または2に記載の染色繊維材料の製造方法。
  4. 前記バインダー樹脂吸着補助剤を複数回に分けて前記液槽に添加する請求項1〜3のいずれかに記載の染色繊維材料の製造方法。
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