JP4888979B2 - 意匠性積層材及びその製造方法 - Google Patents
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特に、接着剤により接着した場合には、厚みが均一にでないために鏡面性を得られず、反射像の歪みが解消できないことが多い。また、加熱して接着した場合には、基材と表面材の線膨張係数が異なると、積層後に剥離が生じることが多い。また、圧力を加えて接着した場合には、圧力によって基材表面の凹凸を拾ってしまうため、表面材の表面を平滑な鏡面状に仕上げることが難しかった。
本発明の意匠性積層材は、例えば装飾に深味感を発揮させた窓材、壁材、扉材、床材、天井材など、より具体的には、型板ガラス、カーテンブラインド等を用いた窓材、樹脂被覆鋼板、化粧板、壁紙等を用いた壁、扉材などへ応用することができる。但し、これに限定されるものではない。
なお、少なくとも基材の片面側において上記の構成を備えていればよく、基材の両面側に上記の構成を備えていてもよい。さらに、表面材の外側に例えば保護層などの他の層を備えていてもよい。
基材の材質は、ガラス質、合成樹脂質、繊維質、紙質、木質、金属質、陶磁器質など任意である。
基材の形状は、板状体、シート状体、フィルム状体など、面を備えた形状であれば任意である。
具体的には、窓材、壁材、扉材などに使われる、ガラス板、プラスチック板乃至シート、任意の板材を樹脂(例えばPVC、メラミン、フェノール、FRP等)で被覆してなる化粧板、レース調生地、突板、壁紙、金属板、タイル板等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
透明粘着シートは、厚みが50μm〜2000μmで、JIS Z0237に準拠した保持力が0.2mm〜10mmであるのが好ましい。シート状であるから、液状に比べて、取り扱いや厚み精度が良い。
中でも好ましくは、凹凸の深さに対して2倍以上、特に2.5倍以上の厚さにするのがよい。
即ち、測定温度20℃、周波数1Hzでの貯蔵弾性率G´(1Hz)が、2×103〜4×104Paであって、かつ基準温度20℃、周波数10−7Hzでの貯蔵弾性率G´(10−7Hz)が、5×101〜2×103Paであるのが好ましい。
G´(1Hz)が上記の範囲であれば、ハンドリングがより一層良好となる上、適度に柔らかくて基材により一層なじみ易い。また、G´(10−7Hz)が上記の範囲であれば、適当なクリープ性を有し、寸法安定性に優れるほか、基材表面の凹凸で気泡や泡が発生するようなこともない。
なお、この貯蔵弾性率G´は、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置ダイナミックアナライザーRDAIIを用いて、温度:20〜150℃、角振動数:ω=0.005〜500rad/sec、パラレルプレート:25mm径、歪み量:3%の条件で測定した値に基づき、20℃を基準温度として温度−時間換算のマスターカーブを作成し、周波数f値をf(Hz)=ω/2πにより算出し、それぞれの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、及びG”/G’=tanδを読み取ることによって求めることができる。
溶融粘度が5万(mPa・s)未満では、シート成形時の形状安定性を得るのが難しく、又、架橋後のシートに十分な柔軟性を得ることが難しい。
また、Tgが−20℃より高いと、室温において透明粘着シートが硬くて基材表面の凹凸に馴染みにくくなる。
なお、本発明における「溶融粘度」及び「Tg」は、B型粘度計(例えばレオメトリックス社製の粘弾性測定装置ダイナミックアナライザーRDA−II)を用いて測定することができる。この際、溶融粘度は、パラレルプレート25mmφ、歪み2%、130℃、0.02Hzで測定した時の粘度を読みとればよく、Tgは、パラレルプレート25mmφ、歪み2%、周波数1Hzで測定した時のTanδの極大値を示す温度を読みとればよい。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を形成するために用いる(メタ)アクリレート、すなわち、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート成分としては、アルキル基がn−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−ブチル、イソブチル、メチル、エチル、イソプロピルのうちのいずれか1つであるアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートの1種またはこれらから選ばれた2種以上の混合物が使用するのが好ましい。
その他の成分として、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基等の有機官能基を有するアクリレートまたはメタクリレートを共重合しても良い。
前記アルキル(メタ)アクリレート成分と有機官能基を有する(メタ)アクリレート成分を適宜に選択、組み合わせたモノマー成分を出発原料として加熱重合して得ることができる。
この際、α、β不飽和カルボン酸を含有した(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、例えば、イソ−オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等から少なくとも1種類以上と、アクリル酸とを共重合させたものである。
有機官能基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマー、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマー等の前記不飽和カルボン酸と反応する官能基を有するものを用いることができる。その含有量は、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100重量部に対し、0.01〜1.0重量部、特に0.02〜0.1重量部とするのが好ましい。
光開始剤としては、着色性及び臭気性の少ないものが好ましい。例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンのいずれか或いはこれらの二種類以上の組合わせを用いることができる。その添加量は、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100重量部に対し、0.05〜2.0重量部、特に0.1〜1.0重量部とするのが好ましい。
そして、このような不飽和カルボン酸と、(メタ)アクリレートモノマーの有機官能基とを反応させて(メタ)アクリロイル基をグラフトさせてシート状に成形し、得られたシート体に対して、直接或いは透明な離型フィルムを介して、高圧水銀ランプなどを用いて紫外線を照射して架橋させればよい。紫外線の照射に際し、モノマー及び光開始剤の量に応じて照射量を調節することにより好ましい弾性率を得ることができる。
表面材は、透明であって、好ましくは表面が平滑で、更に好ましくは剛性が高いものが好ましい。
材質は特に問わないが、ガラス質や合成樹脂質などを用いるのが一般的であり、形状は板状体、シート状体或いはフィルム状体であればよい。
具体的には、ガラス系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、アクリル系、PVC系、ナイロン系、ポリオレフィン系等から選択された材料からなる板状体、シート状体或いはフィルム状体を挙げることができる。
凹凸や模様を備えた基材表面の意匠性を損なわない範囲で、表面材の表面に意匠性を備えた印刷、ハードコート、反射防止、熱線カット、紫外線カット処理が施されていてもかまわない。
上記の基材表面に、上記の透明粘着シートをその粘着力によって貼り合わせ、当該透明粘着シートの表面に、透明粘着シートの粘着力によって上記の表面材を貼り合わせて積層して意匠性積層材を製造することができる。
また、図1に示すように、透明粘着シート1の両面に離型フィルム2、2を貼着しておき、図2に示すように、片面の離型シート2を剥してその表面を基材4の表面に貼着した後、他方の面の離型シート2を剥してその表面に表面材3を貼着してもよい(図3参照)。
また、透明粘着シートの両面に離型シートを貼着しておき、片面の離型シートを剥してその表面に表面材を貼着した後、他方の面の離型シートを剥してその表面を基材表面に貼着してもよい。
さらにまた、図4に示すように、予め透明粘着シート1と表面材3とを貼着して一体化しておき、透明粘着シート1の表面材3とは反対側の面に離型シート2を貼着しておき、この離型シート2を剥してその表面を基材表面4に貼着するようにしてもよい(図3参照)。
上記の製造方法において、表面材を透明粘着シートに貼り合わせる前に、表面材を積層した後に反応させて透明粘着シートを硬化させ得る反応性液体を、透明粘着シートの表面に塗布するなどして含浸させ、当該透明粘着シートの表面に表面材を貼り合わせた後、当該反応性液体を反応させて透明粘着シートを硬化させるようにしてもよい。
反応性液体を含浸させる方法は、基材或いは表面材に予め反応性液体を適宜塗布しておいたり、透明粘着シートに直接塗布したり、透明粘着シートを浸漬させたりする方法を採用すればよいが、これに限定されるものではない。
表面に意匠性・装飾性を施した基材として、皮目9号柄塩化ビニルシート積層鋼板(三菱樹脂社製、商品名「ヒシメタル」)、即ち表面に深さ150〜200μmのエンボス模様を備えた塩化ビニルシート積層鋼板を用いた。
なお、アクリル酸エステル共重合体の組成は、n−ブチルアクリレート:78.4重量%、2−エチルヘキシルアクリレート:19.6重量%、アクリル酸:2.0重量%を共重合させたもので、Tgは−40℃、130℃溶融粘度は25万(mPa・s)であった。
表面に意匠性・装飾性を施した基材として、エンボス深さ300μmレース調のカーテン生地を表面に接着したポリエチレンテレフタレート(PET)シートを用いた。
実施例1で使用した粘着剤を用いて、これを離型フィルムに挟んで厚み1000μmのシート状に成形した後、紫外線架橋して柔らかい透明粘着シートを得た。
そして、前記レース調PETシートとこの透明粘着シートと実施例1のPC表面材とを用いて、実施例1と同様の作製方法で意匠性積層体を得た。
意匠性・装飾性を施した基材として、エンボス深さ20μmの梨地模様の化粧板を用いた。
実施例1で使用した粘着剤を用いて、これを離型フィルムに挟んで厚み100μmのシート状に成形した後、紫外線架橋して柔らかい透明粘着シートを得た。透明な高剛性の表面材として厚さ200μmのPETフィルムを用いた。
前記化粧板、前記100μmの透明粘着シートおよび前記200μmPETフィルムを用いて実施例1と同様の作製方法で意匠性積層体を得た。
実施例1と同様の装飾基材表面に2液混合型の液状ウレタン系接着剤を流し込んで、実施例1と同様の表面材を接着剤が硬化する前にラミネートして意匠性積層材を得た。
実施例2で用いた装飾基材と実施例1で用いた表面材との間に厚さ400μmのEVA系ホットメルトシートを挟んでオートクレーブで接着して意匠性積層材を得た。
実施例3と同様の装飾基材と表面材を用いて、市販の厚さ50μmの透明粘着シート(日東電工社製、商品名「HJ−9150W」)を2枚重ねたものを使用し、実施例1と同様の作製方法で意匠性積層材を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した粘着シートは、前記測定方法にて40℃保持力を測定し、意匠性積層材については表面の鏡面性について外観観察した結果を表−1に示した。
なお、鏡面性については、表面材に蛍光灯を反射させて反射像の歪みのないものを(○)と評価した。
2 離型フィルム
3 基材
4 表面材
Claims (9)
- 凹凸模様或いは印刷模様を備え、凹凸の深さが20μm〜300μmである基材に、ガラス転移温度(Tg)が−20℃以下のベース樹脂を含み、厚みが100μm〜2000μmであって且つ前記凹凸の深さの2倍以上であり、JIS Z0237に準拠した下記40℃保持力が0.2mm〜10mmである透明粘着シートと、透明な表面材とを、順次積層してなる構成を備えた意匠性積層材。
40℃保持力:JIS Z0237に準拠して、シートを38μmPETフィルムで背貼りした後、JIS Z0237で規定するところのSUS板を用いて面積20mm×20mmで接着させ、40℃の環境下で500gfの荷重を2時間かけた後のズレ長さ。 - 基材の凹凸模様或いは印刷模様における凹凸の深さが150μm〜300μmであるのに対し、透明粘着シートの厚みが325μm〜2000μmであることを特徴とする請求項1記載の意匠性積層材。
- 透明粘着シートは、α、β不飽和カルボン酸を含有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体からなり、ガラス転移温度(Tg)が−20℃以下であるベース樹脂と、前記不飽和カルボン酸と反応する有機官能基含有(メタ)アクリレートモノマーと、光開始剤とを含有するものである請求項1又は2に記載の意匠性積層材。
- 透明粘着シートに、表面材を積層した後に反応させて透明粘着シートを硬化させ得る反応性液体が含浸してなる請求項1〜3の何れかに記載の意匠性積層材。
- 基材は、ガラス質、合成樹脂質、繊維質、紙質、木質、金属質或いは陶磁器質の材質からなる、板状体、シート状体或いはフィルム状体である請求項1〜4の何れかに記載の意匠性積層材。
- 表面材は、ガラス質或いは合成樹脂質の材質からなる、板状体、シート状体或いはフィルム状体である請求項1〜5の何れかに記載の意匠性積層材。
- 凹凸模様或いは印刷模様を備え、凹凸の深さが20μm〜300μmである基材に、ガラス転移温度(Tg)が−20℃以下のベース樹脂を含み、厚みが100μm〜2000μmであって且つ前記凹凸の深さの2倍以上であり、JIS Z0237に準拠した下記40℃保持力が0.2mm〜10mmである透明粘着シートをその粘着力によって貼り合わせ、当該透明粘着シートに、当該透明粘着シートの粘着力によって透明な表面材を貼り合わせることを特徴とする意匠性積層材の製造方法。
40℃保持力:JIS Z0237に準拠して、シートを38μmPETフィルムで背貼りした後、JIS Z0237で規定するところのSUS板を用いて面積20mm×20mmで接着させ、40℃の環境下で500gfの荷重を2時間かけた後のズレ長さ。 - 表面材を貼り合わせる前に、表面材を貼り合わせた後に反応させて透明粘着シートを硬化させ得る反応性液体を透明粘着シートに含浸させ、当該透明粘着シートの表面に表面材を貼り合わせた後、当該反応性液体を反応させて透明粘着シートを硬化させることを特徴とする請求項7に記載の意匠性積層材の製造方法。
- 透明粘着シートは、α、β不飽和カルボン酸を含有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体からなり、ガラス転移温度(Tg)が−20℃以下であるベース樹脂と、前記不飽和カルボン酸と反応する有機官能基含有(メタ)アクリレートモノマーと、光開始剤とを含有するものである請求項7又は8に記載の意匠性積層材の製造方法。
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