JP3883738B2 - 透明積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、鉄道車両、船舶、建築、機械装置等の窓に用いられる透明積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス板を車両や船舶、さらには建築用の窓材として用いることは一般的である。これらの窓として耐衝撃性能の向上、衝突物の貫通防止のために、2枚のガラス板間にポリビニルブチラール(PVB)等からなる膜を挟んだ安全合わせガラスが一般的に用いられている。このような合わせガラスは重量が大きく、衝撃の際に貫通はし難いが、ガラス板にヒビ割れ等が発生することがある。
【0003】
そこで、割れ難い材料としてポリカーボネート(PC)板に代表される合成樹脂板を用い、衝撃が加わった際の破損を低減させる合成樹脂板/ガラス板の合わせ構成体が提案されている。
【0004】
合成樹脂板/ガラス板の積層体を得る方法としては、合成樹脂板とガラス板との間にPVB膜、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)膜、ウレタン系フィルム等の熱可塑性樹脂を挟み、オートクレーブを用いて高温・高圧条件下で貼り合わせるのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、熱可塑性樹脂を用いる場合には、一般的に80°C以上の加熱が必要であるため、合成樹脂板とガラス板との線膨張係数の相違により、加熱圧着後の積層体が室温に戻った際に、反りや割れが発生するという問題があった。
【0006】
この問題を解決するための手段として、室温で接着可能な粘着剤を積層した中間膜を使用することが提案されている(特開平7−101003号公報、特開平7−266523号公報)。しかし、この構成では積層体の反りや割れの問題は解決できるが、比較的高温(60〜80°C)下の環境で使用された場合、合成樹脂板から発生するアウトガスにより、粘着剤層との界面に気泡が発生し、合わせガラスとしての外観を大きく損ねる問題があった。
【0007】
なぜならば、ポリカーボネート、アクリル樹脂などのプラスチック材料は一般的に吸湿性が高く、水蒸気透過性も高いものとなっている。前記アウトガスとは保管中に合成樹脂板に吸収された水分が、高温化で使用された場合に合成樹脂板から外へ放出されたものである。そして、気泡が発生する原因は、吸湿状態の合成樹脂板が加熱された際に揮発した水分が、柔らかい粘着剤層を変形させるためと考えられる。
【0008】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的はオートクレーブによる高温・高圧処理を必要とすることなく室温で合成樹脂板とガラス板とを貼り合わせることができ、冷熱サイクル下及び高温・高湿度下の条件で用いられても、反り、割れあるいは気泡の発生を防止することができる透明積層体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ガラス板と透明な合成樹脂板とを中間膜層を挟んで貼り合わせた透明積層体であって、前記中間膜層が少なくとも1層の透明な粘着剤層と、少なくとも1層の高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層とを有するとともに、前記透明無機蒸着膜層は、前記粘着剤層より合成樹脂板側に積層されている。
【0010】
請求項2に記載の発明では、透明な合成樹脂板の少なくとも片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層を直接蒸着し、その蒸着面に透明な粘着剤層を介してガラス板を貼り合わせた。
【0011】
請求項3に記載の発明では、少なくとも片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層が蒸着されたフィルムを接着剤を介して積層した透明な合成樹脂板に、そのフィルムとの間に透明な粘着剤層を介してガラス板を貼り合わせた。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記透明無機蒸着膜層は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物、窒化ケイ素及びフッ化マグネシウムのいずれかの無機物で形成されている。
【0014】
請求項1〜請求項4に記載の発明では、ガラス板と透明な合成樹脂板との間に存在する粘着剤層の作用により、広い温度領域で粘弾性を有し、ヒートサイクル条件下に生じるガラス板と合成樹脂板の膨張率の差が吸収される。また、粘着剤層より合成樹脂板側に積層された高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜の存在のため、合成樹脂板が加熱された場合に発生するアウトガスによる気泡の発生が抑制される。
【0015】
請求項2に記載の発明では、高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層が合成樹脂板に直接蒸着されているため、合成樹脂板が加熱された場合に発生するアウトガスによる気泡の発生がより抑制される。
【0016】
請求項3に記載の発明では、高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層は直接合成樹脂板上に蒸着されるのではなく、透明無機蒸着膜層が形成されたフィルムが接着剤を介して合成樹脂板に積層される。フィルムに透明無機蒸着膜層を形成する場合は、蒸着膜層を形成すべきフィルムの面積が大きくても、フィルムをロール状としてフィルムを細長い蒸着部を順次通過させながら被蒸着面に順次蒸着を行うことにより、必要な面積の透明無機蒸着膜を形成することが可能になり、蒸着装置をさほど大型化する必要がない。従って、面積の大きな透明積層体を形成する場合でも、蒸着装置をさほど大型化する必要がない。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記透明無機蒸着膜層は酸化アルミニウム、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物等の金属酸化物あるいは窒化ケイ素及びフッ化マグネシウムのいずれかの無機物で形成されているため、可視光透過性に優れた膜の形成が容易に行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、透明積層体1はガラス板2と、透明な合成樹脂板3とを中間膜層4を挟んで貼り合わせた構成となっている。中間膜層4は少なくとも1層の透明な粘着剤層5と、少なくとも1層の高ガスバリアー性(特に水蒸気に対する高バリアー性)の透明無機蒸着膜層6とを有する。
【0020】
図1に示す透明積層体1では、中間膜層4は、合成樹脂板3の片面に直接蒸着された高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6と、その蒸着面に貼付された透明な粘着剤層5とで構成されている。
【0021】
図2に示す透明積層体1では、中間膜層4は、片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6が蒸着されたフィルム7と、フィルム7の透明無機蒸着膜層6の蒸着面と反対側に設けられた粘着剤層5とで構成されている。そして、フィルム7は透明無機蒸着膜層6側において接着剤8を介して合成樹脂板3に接着され、粘着剤層5を介してガラス板2に貼着されている。
【0022】
合成樹脂板3には、例えば耐衝撃性及び耐熱性に優れたポリカーボネート(PC)板が使用される。
粘着剤層5には、例えば耐候性及び透明性の良いアクリル系粘着剤を用いるのが好ましい。アクリル系粘着剤としてはガラス転移温度が低く(−60°C〜10°C)、比較的柔らかい粘着剤が良い。粘着剤層5は厚みが50〜1000μm、好ましくは100〜800μm、より好ましくは300〜600μmに形成される。
【0023】
透明無機蒸着膜層6としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物あるいは窒化ケイ素及びフッ化マグネシウムのいずれかで形成された蒸着膜が使用される。透明無機蒸着膜層6には酸素透過率(JISK7162):2.0(cc/平方m・24hr)以下、水蒸気透過率(JISK7129):1.5(g/平方m・24hr)以下の蒸着膜を用いるのが好ましい。そして、透明無機蒸着膜層6の厚みは前記透過性を満足する範囲で薄い方が好ましい。
【0024】
フィルム7には、透明無機蒸着膜層6の蒸着処理を施しても変質せず、形態安定性の良い材質のものが使用され、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが使用される。フィルム7の厚みは10〜50μm程度が好ましい。
【0025】
透明積層体1の作製にはオートクレーブを用いることもできるが、次の方法が好適である。図1に示す透明積層体1を作製する場合、即ち予め透明無機蒸着膜層6を直接形成した合成樹脂板3を使用する場合は、まずガラス板2又は合成樹脂板3の透明無機蒸着膜層6が形成された面のいずれか一方に、予め両面粘着中間膜を貼る。次いで他方のガラス板2又は合成樹脂板3の透明蒸着膜層面がニップロール間で始めて接触するように、ガラス板2と合成樹脂板3とをロール間に搬入し、ロール間の圧着力で気泡を押し出しながら両方の板を連続して積層する。ガラス板2及び合成樹脂板3のいずれか一方に、予め両面粘着中間膜を貼る場合も、上記と同様のニップロール間へ搬入する方法で貼り合わせることができる。
【0026】
また、図2に示す透明積層体1を作製する場合、即ち中間膜層4が、片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6が蒸着されたフィルム7と、フィルム7の透明無機蒸着膜層6の蒸着面と反対側に設けられた粘着剤層5とで構成されている場合は、先ずフィルム7をその透明無機蒸着膜層6側が合成樹脂板3と対向する状態で、熱可塑性接着剤あるいはドライラミネート接着剤等で合成樹脂板3にラミネートする。次に、ガラス板2と合成樹脂板3とをロール間に搬入し、ロール間の圧着力で気泡を押し出しながら中間膜層4の粘着剤層5を利用して、ガラス板2と合成樹脂板3とを連続して積層する。
【0027】
前記のように構成された透明積層体1は自動車、鉄道車両等の窓ガラスとして使用される。透明積層体1の中間膜層4に粘着剤層5が存在し、粘着剤層5が広い温度域で粘弾性を有しているため、ヒートサイクル条件下に生じるガラス板2と合成樹脂板3との膨張率の差が大きくても粘着剤層5で吸収され、反りや割れの発生が防止される。また、合成樹脂板3側に設けられた高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6の存在により、合成樹脂板3が加熱された場合に発生するアウトガスが粘着剤層5に到達するのが大幅に抑制され、アウトガスが粘着剤層5を変形させることに起因する気泡の発生が防止される。
【0028】
以下、実施例及び比較例により、更に詳しく説明する。
(実施例1)
ガラス板1に市販のフロートガラス板(厚さ5mm、幅450mm、長さ500mm)を使用し、合成樹脂板3として市販のPC板(厚さ2mm、幅450mm、長さ500mm、UVカット、表面ハードコート品)の表面に酸化ケイ素を真空蒸着して透明無機蒸着膜層6を形成したPC板を使用し、粘着剤層5として透明な粘着剤に金属イオン架橋したアクリル系透明両面粘着シート(厚さ0.5mm)を使用して透明積層体1としての合わせガラスを作製した。
【0029】
前記粘着剤はエチレンとα,β不飽和カルボン酸を含有した(メタ)アクリル酸エステル共重合体に金属化合物等を添加して金属イオン架橋したアイオノマー樹脂を使用した。金属化合物としては、亜鉛イオン、ナトリウムイオンなどを有するアセチルアセトン金属錯体、金属酸化物、脂肪酸金属塩等を用いる。アイオノマー樹脂は既にイオン架橋したものを使用してもよいが、中間膜の製造時に共重合体へ金属化合物を添加してイオン架橋させたものの方が好ましい。
【0030】
合わせガラス作製方法を以下に説明する。
酸化ケイ素を蒸着したPC板を80°Cで6時間以上乾燥後、そのPC板の酸化ケイ素を蒸着した面と、片方の離型フィルムを剥がした両面粘着シートの粘着面とが、ニップロールと駆動ゴムロール間で始めて接触するように、PC板及び両面粘着シートを両ロール間へ搬入し、線圧力:5kgf/cm、速度:1m/分で、PC板に粘着シートを貼付した。次に両面粘着シートの残りの離型フィルムを剥がし、粘着シートが貼付されたPC板を市販のフロートガラス板と接触させずに向かい合わせる。そして、ガラス板2とPC板の端部を、ニップロールと駆動ゴムロール間で始めて接触するように、室温下、線圧力:20kgf/cm、速度:1m/分でニップロール間に搬入し、合わせガラスを得た。
【0031】
(実施例2)
ガラス板2及び透明な粘着剤層5は実施例1と同様のものを使用し、合成樹脂板3に市販のPC板(厚さ2mm、幅450mm、長さ500mm、UVカット、表面ハードコート品)を使用した。
【0032】
高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6が蒸着されたフィルム7として、酸化ケイ素を片面に蒸着した市販の厚み12μmのポリエステルフィルム(以下、透明蒸着PETフィルムと称す。)を使用した。透明蒸着PETフィルムとPC板との接着にはドライラミネート型接着剤を使用した。
【0033】
合わせガラスの製造方法を以下に説明する。
ドライラミネート型接着剤を透明無機蒸着膜層6の面に貼付した透明蒸着PETフィルムと、80°Cで6時間以上乾燥したPC板とを、ニップロール間に搬入してラミネートする。
【0034】
PC板にラミネートした透明蒸着PETフィルムのフィルム面と、片方の離型フィルムを剥がした粘着シートとが、ニップロールと駆動ゴムロール間で始めて接触するように、PC板と粘着シートとをロール間に搬入し、線圧力:5kgf/cm、速度:1m/分で、PC板に粘着シートを貼付した。次に粘着シートの残りの離型フィルムを剥がし、粘着シートが貼付されたPC板を市販のフロートガラス板と接触させずに向かい合わせる。そして、ガラス板2とPC板の端部を、ニップロールと駆動ゴムロール間で始めて接触するように、室温下、線圧力:20kgf/cm、速度:1m/分で、ニップロール間に搬入し、合わせガラスを得た。
【0035】
(実施例3)
ガラス板2、透明な粘着剤、PC板及びドライラミネート接着剤は実施例2と同様のものを用いた。透明無機蒸着膜層6として酸化アルミニウムを片面に蒸着した市販の厚み12μmのPETフィルムを用いた。
【0036】
合わせガラスの製造方法は実施例2と同様の条件で行った。
(比較例1)
ガラス板2、PC板及び粘着剤は実施例2と同様のものを用いた。
【0037】
80°Cで6時間以上乾燥したPC板と、片方の離型フィルムを剥がした両面粘着シートとを実施例1と同様の条件で貼付し、次に前記両面粘着シートを貼付したPC板と、ガラス板2とを実施例1と同様の条件で貼り合わせて、合わせガラスを得た。
【0038】
(比較例2)
ガラス板2、PC板及び粘着剤は実施例2と同様のものを用い、実施例2で用いた透明蒸着PETの代わりに、厚み12μmの市販のコロナ処理PETフィルムを用いた。実施例2と同様の製造方法で合わせガラスを得た。コロナ処理は接着剤と粘着剤との界面接着力を高めるためのものである。
【0039】
上述した各実施例及び比較例により得られた、各々の合わせガラスを用いて下記項目について評価した結果を表1に示す。問題のなかったものは(○)で示している。
【0040】
[耐熱性試験]
80°Cで8週間放置した後、合わせガラスの層間剥離、割れ、気泡等の有無を観察した。
【0041】
[ヒートサイクル試験]
−40°C〜80°C×80%RH(4サイクル/日)で100サイクル後の層間剥離、割れ、気泡等の有無を観察した。
【0042】
[耐候性試験]
サンシャインウェザーメーターで2000時間後の層間剥離、割れ、気泡等の有無を観察した。
【0043】
【表1】
表1の結果から明らかなように、ガラス板とPC板との間に存在する中間膜層4として、透明無機蒸着膜層6と粘着剤層4とを有する実施例1〜実施例3のPC合わせガラス透明積層体の構成では、試験項目の全てが良好である。透明無機蒸着膜層6を形成したフィルム7を接着剤8を介してPC板に貼り合わせた場合(実施例2及び実施例3)、PC板と透明無機蒸着膜層6との間に接着剤8の層が存在するが、硬化後の接着剤は硬いため、接着剤の界面で気泡が発生することがないことも確認された。
【0044】
一方、透明無機蒸着膜層6のない粘着剤層を用いた比較例1及び比較例2のPC合わせガラス透明積層体の構成では、耐熱性試験及びヒートサイクル試験の項目を満足できなかった。即ち、接着剤と粘着剤層との界面接着力を上げても(比較例2)、透明無機蒸着膜層6のない場合は、気泡の発生を抑えることができないことが確認された。
【0045】
また、前記実施例1〜実施例3、比較例1及び比較例2で製作した合わせガラスを、40°C、相対湿度(RH)80%に4日保存したものと、製作直後の比較例1の合わせガラスについて、80°Cの加熱試験を行い気泡の発生の有無を調べた。その結果、実施例1〜実施例3の各合わせガラスは、PC板が吸湿し易い条件で保存した後に80°Cの加熱試験を行っても気泡の発生は観察できなかった。一方、比較例1及び比較例2の合わせガラスは、PC板が吸湿し易い条件で保存した後に80°Cの加熱試験を行った場合は気泡が発生し、合わせガラスの製作直後に80°Cの加熱試験を行った場合は気泡が発生しなかった。
【0046】
この結果から、高いガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6のない合わせガラスは、乾燥状態の合成樹脂板を用いて合わせガラスを作製した後、吸湿しない状態で使用すれば、高温条件化での気泡の発生を防止できるが、吸湿する条件に保存された後は、高温条件化での気泡の発生を防止できないことが確認された。
【0047】
この実施の形態では次の効果を有する。
(1) ガラス板2と合成樹脂板3とが粘着剤層5を介して貼り合わせられるため、オートクレーブによる高温・高圧処理を必要とすることなく室温で合成樹脂板とガラス板とを貼り合わせることができる。
【0048】
(2) ガラス板2と合成樹脂板3との間に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6が存在するため、合成樹脂板3に吸湿された水分が水蒸気となって放出されても、水蒸気が粘着剤層5の界面に粘着剤層5を変形させるほど溜まることがない。従って、透明積層体1が冷熱サイクル下及び高温・高湿度下の条件で用いられても、反り、割れ及び気泡の発生を防止することができる。
【0049】
(3) 合成樹脂板3に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6を直接蒸着し、その蒸着面に透明な粘着剤層5を介してガラス板2が貼り合わされている。従って、ガラス板2と合成樹脂板3との貼り合わせに必要な工数が少なくなる。
【0050】
(4) 少なくとも片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6が蒸着されたフィルム7を接着剤8を介して積層した透明な合成樹脂板3に、フィルム7との間に透明な粘着剤層5を介してガラス板2が貼り合わされている。従って、合成樹脂板3に透明無機蒸着膜層6を直接蒸着する構成に比較して、面積の大きな透明積層体1を形成する場合でも、蒸着装置をさほど大型化する必要がない。
【0051】
(5) 合成樹脂板3としてPC板が使用されているため、厚みが薄くて耐衝撃性及び耐熱性に優れた板を入手し易く、透明積層体1の薄肉化に寄与する。
(6) フィルム7としてポリエステルフィルムが使用されているため、蒸着処理を施して透明無機蒸着膜層6を形成しても変質せず、形態安定性の良い薄いフィルムを入手し易い。
【0052】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 透明積層体1は透明な合成樹脂板3の両面に、少なくとも高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層6と粘着剤層5とを有する中間膜4を介してガラス板2を貼り合わせた構成でもよい。この場合、ガラス板2は合成樹脂板3より硬度が高いため、透明積層体1の両面とも傷つき難くなる。
【0053】
○ 透明無機蒸着膜層6が蒸着されたフィルム7として、PETフィルム以外のものを使用してもよい。
○ 合成樹脂板3としてPC板に代えて、アクリル板、硬質ポリ塩化ビニル板、ポリエステル板などを使用してもよい。
【0054】
○ 透明無機蒸着膜層6は一種類の無機物から成る1層に限らず、異なる無機物から成る層を複数層設けてもよい。
○ 透明無機蒸着膜層6は少なくとも水蒸気に対して高いバリアー性を有するものであればよい。
【0055】
○ 透明積層体1は無色透明に限らず、着色透明であってもよい。
前記実施の形態から把握できる請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
【0056】
(1) 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記合成樹脂板にはポリカーボネート板が使用されている。この場合、厚みが薄くて耐衝撃性及び耐熱性に優れた板を入手し易く、透明積層体の薄肉化に寄与する。
【0057】
(2) 請求項3に記載の発明において、前記フィルムにはポリエチレンテレフタレートフィルムが使用されている。この場合、蒸着処理を施して透明無機蒸着膜層を形成しても変質せず、形態安定性の良い薄いフィルムを入手し易い。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、オートクレーブによる高温・高圧処理を必要とすることなく室温で合成樹脂板とガラス板を貼り合わせることができ、冷熱サイクル下及び高温・高湿度下の条件で用いられても、反り、割れ及び気泡の発生を防止することができる。
【0059】
請求項2に記載の発明では、高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層が合成樹脂板に直接蒸着されているため、透明積層体の製作時の工数が少なくなる。
請求項3に記載の発明では、合成樹脂板に透明無機蒸着膜層を直接蒸着する構成に比較して、面積の大きな透明積層体を形成する場合でも、蒸着装置をさほど大型化する必要がない。
【0060】
請求項4に記載の発明では、可視光透過性に優れた透明無機蒸着膜を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の合わせガラスの部分拡大模式断面図。
【図2】 実施の形態の合わせガラスの部分拡大模式断面図。
【符号の説明】
1…透明積層体、2…ガラス板、3…合成樹脂板、4…中間膜層、5…粘着剤層、6…透明無機蒸着膜層、7…フィルム、8…接着剤。
Claims (4)
- ガラス板と透明な合成樹脂板とを中間膜層を挟んで貼り合わせた透明積層体であって、前記中間膜層が少なくとも1層の透明な粘着剤層と、少なくとも1層の高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層とを有するとともに、前記透明無機蒸着膜層は、前記粘着剤層より合成樹脂板側に積層されていることを特徴とする透明積層体。
- 透明な合成樹脂板の少なくとも片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層を直接蒸着し、その蒸着面に透明な粘着剤層を介してガラス板を貼り合わせた請求項1に記載の透明積層体。
- 少なくとも片面に高ガスバリアー性の透明無機蒸着膜層が蒸着されたフィルムを接着剤を介して積層した透明な合成樹脂板に、前記フィルムとの間に透明な粘着剤層を介してガラス板を貼り合わせた請求項1に記載の透明積層体。
- 前記透明無機蒸着膜層は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物、窒化ケイ素及びフッ化マグネシウムのいずれかの無機物で形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の透明積層体。
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