JP5679177B2 - 積層板、積層板の製造方法及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
軽量化の方法として、太陽電池モジュールの前面板を従来のガラス板から、アクリル樹脂板とガラス板を積層した積層板に置き換えることが考えられる。しかしこの方法では、アクリル樹脂板に吸着した水分の影響、及びアクリル樹脂板とガラス板との線膨張係数の違いから、ガラス板の割れを生じるという課題を有する。
また、特許文献2では、プラスチック板を80℃以上の温度で2時間以上加熱する、又は真空乾燥する方法が提案されている。
また本発明は、キャスト法で製造したアクリル樹脂板(A)をアニール処理した後、ガラス板(B)を活性エネルギー線硬化型重合性組成物を塗布した後硬化させるか、数平均分子量が8,000以上のブロック共重合体を含有する溶液を塗布した後、溶剤を除くことで接着させる前記積層板の製造方法である。
更に本発明は、前記積層板を用いた太陽電池モジュールである。
本発明の積層板はこれらの特性を有するため、太陽電池モジュールの前面板として好適に用いることができる。ガラスの比重が約2.5、アクリル樹脂の比重が約1.2であることから、太陽電池モジュール全体の約6割の質量を占める前面板として本発明の積層板を用いる場合、太陽電池モジュールを約3割軽量化することが可能となる。
他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール等の多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を示す。
これらの重合開始剤の中でも、単量体成分の重合効率が良好となることから、単量体成分に溶解する重合開始剤が好ましい。
また、単量体成分の重合では、必要に応じて連鎖移動剤を用いてもよい。
バッチ式キャスト法としては、例えば、ガラス板やステンレス板等の2枚の板とポリ塩化ビニル製の無端ガスケットとからなる鋳型の空間部に、単量体成分を注入し、重合硬化させ、樹脂板を得る方法が挙げられる。
連続式キャスト法としては、例えば、相対して同一方向へ同一速度で走行する2枚のエンドレスベルトと、エンドレスベルトの相対する面側の両端部においてエンドレスベルトと同一速度で走行するガスケットからなる鋳型の空間部に、単量体成分を注入し、重合硬化させ、樹脂板を得る方法が挙げられる。
単量体成分の含有率が40質量%以上であると、シロップ状の混合物の粘度が高くなることなく取り扱い性が良好となる。また、単量体成分の含有率が95質量%以下であると、単量体成分の重合効率が良好となる。
重合体の含有率が5質量%以上であると、単量体成分の重合効率が良好となる。また、重合体の含有率が60質量%以下であると、シロップ状の混合物の粘度が高くなることなく取り扱い性が良好となる。
アクリル樹脂板(A)の厚さが0.5mm以上であると、得られる積層板の強度が良好となる。また、アクリル樹脂板(A)の厚さが10mm以下であると、得られる積層板の軽量化が良好となる。
アニール処理は、アクリル樹脂板の製造後、一定温度の雰囲気下で一定時間以上おくことで、アクリル樹脂板の製造時の応力により生じた樹脂板内に残存する歪みを除去することを目的とする。
アニール処理温度としては、アクリル樹脂板(A)の種類に応じて適宜設定すればよく、アクリル樹脂板(A)の荷重たわみ温度以上であることが好ましく、具体的には、100〜200℃であることが好ましく、積層板を太陽電池モジュールの前面板として用いる場合、一般にラミレーション法により製造するときの圧着温度である150℃程度に耐える必要があることから、150〜200℃であることがより好ましい。
尚、荷重たわみ温度は、JIS K7191に準拠し、曲げ応力1.8MPa、試験片の方向がエッジワイズの条件で測定したものである。
ガラス板(B)の市販品としては、例えば、「D−263T」(商品名、SCHOTT(株)製)、「NSG−GE」(商品名、日本板硝子(株)製)、「OA−10」、「OA−21」、「OA−10G」(商品名、日本電気硝子(株)製)、「ソライト」(商品名、AGC(株)製)が挙げられる。
本発明のガラス板(B)の原料としては、例えば、ソーダガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、パイレックス(登録商標)ガラスが挙げられる。
ガラス板(B)の厚さが0.005mm以上であると、ガラス板(B)の強度が良好となる。また、ガラス板(B)の厚さが1.0mm以下であると、得られる積層板の軽量化が良好となる。
接着層(C)を構成するための接着剤としては、アクリル樹脂板(A)及びガラス板(B)の両方の界面で剥離を生じないものであればよく、例えば、エピカコールEP433(商品名、(株)アーデル製)等の活性エネルギー線硬化型重合性組成物;熱硬化型重合性組成物;熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
接着剤は、液状であってもよく、フィルム状やシート状であってもよい。
これらの単官能性単量体の中でも、アクリル樹脂板(A)とガラス板(B)の両者の接着性が良好となることから、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチルが好ましい。
添加剤としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロン等の重合体類;トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の低分子化合物;有機ハロゲン化合物;有機ケイ素化合物;可塑剤;安定剤が挙げられる。
以下に、ブロック共重合体について述べる。
これらの中では、重合の容易さ、接着剤として使用した際の接着層の引張強度や曲げ強度等の機械的特性が良好となることから、トリブロック共重合体が好ましい。
ブロック共重合体の数平均分子量が8,000以上であれば、アクリル樹脂板(A)及びガラス板(B)に対する接着性が充分に発現する。ブロック共重合体の数平均分子量が400,000以下であれば、加温時の樹脂粘度が高すぎないことからアクリル樹脂板(A)及びガラス板(B)に対する接着性が低下しない。
この方法によると、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭い(Mw/Mn=1.1〜1.5)重合体が得られ、分子量を単量体と開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。また、ブロック共重合体の製造も容易である。
使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体との比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の分子量を制御することができる。
1価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅が挙げられる。これらの中では、塩化第一銅、臭化第一銅が、重合制御が良好となることから好ましい。
ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリブチホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好ましい。
また、ガラス転移点が室温より高い重合体が生成する場合、系の粘度を下げて攪拌効率を上げるために適当な有機溶媒を添加した場合には、重合速度が低下する傾向があるが、そのような場合には、触媒、配位子を多くして、重合速度を増大させることができる。
これらの方法によれば、ATRPと同様、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭い(Mw/Mn=1.1〜1.5)重合体が得られ、分子量を単量体と上記調整剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができる。また、ブロック共重合体の製造も容易である。
また、N−t−ブチル−1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキサイド、N−t−ブチル−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキサイド、N−t−ブチル−1−ジベンジルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキサイド、N−フェニル−1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキサイド等の開環型のニトロキサイド化合物を用いることができる。
両者の併用割合は特に限定はないが、ニトロキサイド化合物1モルに対し、ラジカル発生剤0.1〜10モルが適切である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキシド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類が挙げられる。特にベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、アルコキシアミン化合物が水酸基等の官能基を有するものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
重合するビニル単量体に対して連鎖移動定数が大きいほど、RAFT重合がうまく進行して分子量分布の狭い重合体が得られる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記重合は、室温〜200℃の範囲、好ましくは50〜150℃の範囲で行なうことが
できる。
重合工程の簡便性の点からは、単量体の逐次添加による方法が好ましく、前のブロックの単量体が残存して次のブロックに共重合してしまうことを避けたい場合には、予め合成した重合体を高分子開始剤として次のブロックを重合する方法が好ましい。
転化率が95%を超えると、高分子鎖の成長反応が確率的に抑えられる。また、高分子ラジカル同士が反応しやすくなるために、不均化、カップリング、連鎖移動等の副反応が起こりやすくなる傾向がある。
転化率が80%未満であると、先に重合させるために仕込んだ単量体が次に重合させたい単量体と混合して共重合してしまうことが問題となる場合がある。
3つ目以降のブロックを重合させたい場合にも、2つ目のブロックの場合と同様に操作すればよい。この方法では、2つ目以降のブロックの重合時に、残存した前のブロックの単量体が共重合してしまうことを避けることができる。
重量法は、重合系の反応液をサンプリングして、その乾燥前の重量と乾燥後の重量から固形分濃度を求め、単量体の全体しての転化率を求める方法である。この方法の利点は、簡単に転化率を求めることができることである。
重合温度については、例えば、−100〜250℃、好ましくは0〜200℃の温度で重合できる。
塗工性を良好にするため、ブロック共重合体及び必要に応じて各種の添加剤が可溶な有機溶剤を配合することが好ましい。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
メラミン樹脂としては、例えば、n−ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂が挙げられる。
具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;前記ジイソシアネート類の過剰量と多価アルコールや水等との付加物;前記ジイソシアネート類の重合体及びビューレット体が挙げられる。
接着層の厚さが0.01mm以上であれば、界面で生じる応力を緩和しやすくなり、剥離が生じにくい。また、接着層の厚さが1.0mm以下であれば、得られる積層板が軽量となる。
アクリル樹脂板(A)の両面にガラス板(B)を積層する場合、アクリル樹脂板(A)の片面にガラス板(B)を積層した後、もう一方の面にガラス板(B)を積層してもよく、アクリル樹脂板(A)の両面に同時に積層してもよい。
特に、本発明の積層板は、アクリル樹脂板(A)とガラス板(B)の積層板のため、透明性、封止材との接着性に優れ、ガラス板を有する表層は、耐候性、ガスバリア性、難燃性、耐擦傷性が良好となることから、太陽電池モジュールの前面板として好適に用いることができる。
実施例、比較例における各物性評価は、以下に示す方法により実施した。
得られた積層板を150℃の恒温槽に30分間静置し、目視により積層板の反りを確認し、以下の基準で評価した。
○:反りが確認できない。
△:僅かに反りが確認できる。
×:大きな反りや歪みが確認できる。
得られた積層板を150℃の恒温槽に30分間静置し、目視により積層板のガラス板(B)の割れを確認し、以下の基準で評価した。
○:割れが確認できない。
×:割れが確認できる。
得られた積層板を150℃の恒温槽に30分間静置し、目視により接着剤が凝集破壊して白濁した部分を観察し、以下の基準で評価した。
○:白濁した面積が、接着面積全体の1%未満
△:白濁した面積が、接着面積全体の1%以上10%未満
×:白濁した面積が、接着面積全体の10%以上
尚、接着剤が凝集破壊して白濁した部分は、アクリル樹脂板(A)とガラス板(B)に接着しておらず、白濁した部分の面積の割合は、アクリル樹脂板(A)とガラス板(B)の接着性の指標となり得る。
得られたアクリル樹脂板を、JIS K7191に準拠し、曲げ応力1.8MPa、試験片の方向がエッジワイズの条件で測定した。
アクリル樹脂板(A−1)として連続式キャスト法により製造された「アクリライトL」(商品名、三菱レイヨン(株)製、ポリメタクリル酸メチル98%以上、荷重たわみ温度100℃、厚さ3mm)を100mm角に切断し、110℃で6時間アニール処理を行なった。
接着剤としてアクリル酸−4−ヒドロキシブチル90部とポリメタクリル酸メチル(商品名「VH000」、三菱レイヨン(株)製)10部とからなる混合物に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「IRGACURE184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)1部を溶解した活性エネルギー線硬化型重合性組成物を、得られたアクリル樹脂板の片面に塗布し(厚さ0.2mmのスペーサーを使用)、ガラス板(B−1)として「D−263T」(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.4mm、100mm角)を積層し、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2の紫外線を2時間照射し、接着剤を硬化させ接着層(C−1)を形成させ、積層板を得た。
アクリル樹脂板(A−1)として「アクリライトL」(厚さ3mm)を100mm角に切断し、110℃で2.5時間アニール処理を行なった。
実施例1と同様の接着剤を、得られたアクリル樹脂板の片面に塗布し(厚さ0.2mmのスペーサーを使用)、ガラス板(B−1)として「D−263T」(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.4mm、100mm角)を積層し、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2の紫外線を2時間照射し、接着剤を硬化させ接着層(C−1)を形成させ、積層板を得た。次に、アクリル樹脂板のもう一方の面に、前記同様にガラス板(B−1)、接着層(C−1)を積層し、積層板を得た。
アクリル樹脂板(A−1)として「アクリライトL」(厚さ3mm)を100mm角に切断し、110℃で2.5時間アニール処理を行なった。
実施例1と同様の接着剤を、得られたアクリル樹脂板の両面に塗布し(厚さ0.2mmのスペーサーを使用)、ガラス板(B−2)として「D−263T」(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.5mm、100mm角)を積層し、1分間の照射エネルギー120mJ/cm2の紫外線を4時間照射し、接着剤を硬化させ接着層(C−1)を形成させ、積層板を得た。
アニール処理温度、アニール処理時間を変更した以外は、実施例3と同様に行ない、積層板を得た。
単量体成分としてメタクリル酸メチル85部、メタクリル酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート15部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.1部、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボナート0.1部、連鎖移動剤としてテルピノレン0.02部、離型剤としてリン酸ジエチルエステル0.01部を混合し、単量体混合物を得た。
得られた単量体混合物を減圧脱気した後、ポリ塩化ビニル製ガスケットを介して相対する2枚の強化ガラス板からなる鋳型に注入した。鋳型を60℃の温水中に1時間浸漬させた後、130℃の熱風炉に2時間入れ、25℃に冷却した後、鋳型から剥離して、100mm角、厚さ3mmのアクリル樹脂板(A−2)を得た。得られたアクリル樹脂板の荷重たわみ温度は120℃であった。
アニール処理温度を変更し、得られたアクリル樹脂板(A−2)を用いた以外は、実施例2と同様に行ない、積層板を得た。
(PMMA−b−PnBA−b−PMMAの合成)
2L丸底フラスコに、アクリル酸ブチル(nBA) 120g(0.936mol)、臭化第一銅 1.35g(9.41mmol)、トルエン 12g及びジメチルホルムアミド(DMF) 108gを仕込み、窒素バブリングにより窒素置換した。よく撹拌し、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA) 2mL(9.58mmol)を加えた後、内温が70℃になるまで昇温させ、同温度で10分間攪拌し、臭化第一銅とPMDETAの錯体を溶解させた。
10分後、重合開始剤としてジメチル−2,6−ジブロモヘプタンジオエート 2mL(9.19mmol)を添加し、重合を開始した。重合開始から2時間経過後(nBAの重合転化率89%)に、メタクリル酸メチル(MMA) 500g(4.99mol)、トルエン 50g及びDMF 450gを添加した。
更に重合開始から4時間経過後と6時間経過後に、それぞれ臭化第一銅 0.675g(4.70mmol)及びPMDETA 1mL(4.79mmol)を添加した。重合開始から9時間経過後に丸底フラスコを冷却して重合を終了させ、重合溶液を得た。重合終了時点のMMAの重合転化率は73%であった。得られた重合溶液をアセトンで希釈した後、シリカゲルカラムに通し、溶出液を2mol/L塩酸2%含有メタノール中に加えて沈殿させた。沈殿物を回収後、メタノールで洗浄し、60℃で一晩真空乾燥して重合体(d−1)を得た。GPCによるMnは57800、PDIは1.41であった。
実施例1と同様に、アクリル樹脂板(A−1)として「アクリライトL」(商品名、三菱レイヨン(株)製、厚さ3mm)を100mm角に切断し、110℃で2.5時間アニール処理を行なった。
接着剤として、製造例1で得られた重合体(d−1)5部をトルエン10部に溶解した組成物を、得られたアクリル樹脂板の片面に塗布し(0.2mmの厚さになるよう、アプリケーターを使用)、30分間室温で溶剤を飛ばした後、90℃に設定した乾燥器内で30分間乾燥させた。
次いで、ガラス板(B−1)として「D−263T」(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.4mm、100mm角)を積層し、ローラーを用いて空気が入らないように圧力を掛けながら接着させ、接着層(C−2)を有する積層板を得た。
実施例6で得た、接着層(C−2)を有する積層板のアクリル樹脂板側に、製造例1で得られた重合体(d−1)5部をトルエン10部に溶解した組成物を塗布し(0.2mmの厚さになるよう、アプリケーターを使用)、30分間室温で溶剤を飛ばした後、90℃に設定した乾燥器内で30分間乾燥させた。次いで、ガラス板(B−1)として「D−263T」(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.4mm、100mm角)を積層し、ローラーを用いて空気が入らないように圧力を掛けながら接着させ、接着層(C−2)を両面に有する積層板を得た。
アニール処理を行なわなかったこと以外は、実施例3と同様に行ない、積層板を得た。
アクリル樹脂板を(A−2)とし、アニール処理を行なわなかったこと以外は、実施例1と同様に行ない、積層板を得た。
(A−1):アクリライトL(商品名、三菱レイヨン(株)製、連続式キャスト法により製造、厚さ3mm)
(A−2):メタクリル酸メチル85部、メタクリル酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート15部をバッチ式キャスト法により製造して得られたアクリル樹脂板(厚さ3mm)
(B−1):D−263T(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.4mm)
(B−2):D−263T(商品名、SCHOTT社製、厚さ0.5mm)
(C−1):ポリメタクリル酸メチル10部を溶解した4−ヒドロキシブチルアクリレート90部を重合して得られた接着層(厚さ0.2mm)
(C−2):PMMA−b−PnBA−b−PMMAをトルエンに溶解させて塗工して得られた接着層(厚さ0.2mm)
片面 :アクリル樹脂板(A)の片面に接着層(C)とガラス板(B)を積層
両面(1):アクリル樹脂板(A)の片面ずつ、両面に接着層(C)とガラス板(B)を積層
両面(2):アクリル樹脂板(A)の両面に、同時に接着層(C)とガラス板(B)を積層
接着層(C)としてトリブロック共重合体(d−1)を用い、ガラス板を片面に積層した実施例6は、同じくガラス板の積層が片面である実施例1と比較して、積層板の反りが見られなかった。このことから、接着層としては、トリブロック共重合体(d−1)を用いることが良好であった。
接着層(C)としてトリブロック共重合体(d−1)を用い、ガラス板を両面に積層した実施例7は、同じくガラス板の積層が両面である実施例2と同様の結果であった。
特に、本発明の積層板は、アクリル樹脂板(A)とガラス板(B)の積層板のため、透明性、封止材との接着性に優れ、ガラス板を有する表層は、耐候性、ガスバリア性、難燃性、耐擦傷性が良好となることから、太陽電池モジュールの前面板として好適に用いることができる。
2 封止材
3 太陽電池セル
4 バックシート
5 アクリル樹脂板(A)
6 ガラス板(B)
7 接着層(C)
Claims (6)
- アニール処理したアクリル樹脂板(A)に、活性エネルギー線硬化型重合性組成物を硬化して得られる接着層(C)を介して、厚さが0.1〜1.0mmであるガラス板(B)を積層した積層板。
- アニール処理したアクリル樹脂板(A)に、数平均分子量が8,000以上のブロック共重合体を含有する溶液を乾燥して得られる接着層(C)を介して、厚さが0.1〜1.0mmであるガラス板(B)を積層した積層板。
- アニール処理したアクリル樹脂板(A)の両面に、前記接着層(C)を介して、厚さが0.1〜1.0mmであるガラス板(B)を積層した請求項1又は2に記載の積層板。
- キャスト法で製造したアクリル樹脂板(A)をアニール処理した後、厚さが0.1〜1.0mmであるガラス板(B)を活性エネルギー線硬化型重合性組成物を塗布した後、硬化させることにより接着させる積層板の製造方法。
- キャスト法で製造したアクリル樹脂板(A)をアニール処理した後、厚さが0.005〜0.6mmであるガラス板(B)を数平均分子量が8,000以上のブロック共重合体を含有する溶液を塗布した後、溶剤を除くことにより接着させる積層板の製造方法。
- 請求項1〜3いずれかに記載の積層板を用いた太陽電池モジュール。
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