JP2023041340A - 粘着剤用樹脂組成物 - Google Patents

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絵理 増田
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Abstract

【課題】貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力及び低温使用時の柔らかさに優れる粘着層を形成できる粘着用樹脂組成物を提供する。【解決手段】マクロモノマー(A)由来の構成単位と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有する(メタ)アクリル系共重合体を含み、前記マクロモノマー(A)が、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有する、粘着剤用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤用樹脂組成物に関する。
保持力に優れた粘着層を形成できる粘着剤として、数平均分子量が500以上6000未満のマクロモノマー及びビニル単量体を含有する単量体混合物を重合して得られる、重量平均分子量が5万~100万である(メタ)アクリル系共重合体を含むものが知られている(特許文献1)。上記マクロモノマーとしては、メチルメタクリレート由来の構成単位を有するものが用いられている。
国際公開第2015/080244号
粘着層を介して部材同士を貼合するにあたっては、例えば、一対のセパレートフィルムで挟まれた状態の粘着層を用意し、一方のセパレートフィルムを剥離して一方の部材を積層し、他方のセパレートフィルムを剥離して他方の部材を積層し、得られた積層体を加熱加圧する。このときの加熱温度は、プロセスにもよるが、例えば70℃程度である。
粘着層を介して貼合する部材の少なくとも一方の表面に凹凸が存在する場合、粘着層には、貼合時に凹凸に追従して変形することが求められる。また、粘着層がフォルダブルディスプレイに用いられる場合、低温(例えば-20℃)で折り曲げられることがあり、低温使用時の柔らかさが求められる。
しかし、特許文献1に記載の(メタ)アクリル系共重合体を含む粘着剤は、凹凸追従性や低温使用時の柔らかさが充分ではないことがあった。
本発明者らが検討したところ、上記(メタ)アクリル系共重合体の分子量を上げると、常温下での形状保持力が上昇し、貼合前保管時のセパレートフィルム間からの粘着層はみ出しを抑制することができるが、粘度上昇により、貼合時の凹凸追従性が低下する問題が生じた。また、ランダム共重合体の場合、形状保持力を持つほど分子量を上げると、溶液粘度や溶融粘度が高くなりすぎるため、製造ライン上での溶液移送や、均一な厚さで塗膜形成が困難になる。
本発明の目的は、貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力及び低温使用時の柔らかさに優れる粘着層を形成できる粘着用樹脂組成物を提供することにある。
本発明は以下の態様を有する。
[1]マクロモノマー(A)由来の構成単位と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有する(メタ)アクリル系共重合体を含み、
前記マクロモノマー(A)が、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有する、粘着剤用樹脂組成物。
[2]前記マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合が、70質量%以上である前記[1]の粘着剤用樹脂組成物。
[3]前記アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位が、炭素数12~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構成単位を含む前記[1]又は[2]の粘着剤用樹脂組成物。
[4]前記マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構成単位の割合が、40質量%以上である前記[3]の粘着剤用樹脂組成物。
[5]前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、炭素数1~4のアルキル基を有するアクリル(メタ)アルキレート(b)由来の構成単位を含む前記[1]~[4]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[6]全ての前記ビニル単量体(B)由来の構成単位100質量%に対する前記アクリル(メタ)アルキレート(b)由来の構成単位の割合が、50質量%以上である前記[5]の粘着剤用樹脂組成物。
[7]前記マクロモノマー(A)の数平均分子量が、1000~30000である前記[1]~[6]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[8]前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、50000~2000000である前記[1]~[7]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[9]前記(メタ)アクリル系共重合体は、23℃、100Pa、10分の条件のクリープ試験での変形量が15%以下であり、70℃、1000Pa、1分の条件のクリープ試験での変形量が100%以上であり、-20℃、1Hzでの貯蔵弾性率G’が700kPa以下である前記[1]~[8]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[10]表面に凹凸を有する部材と有機発光ダイオードを有する部材との貼合用である前記[1]~[9]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
本発明によれば、貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力及び低温使用時の柔らかさに優れる粘着層を形成できる粘着用樹脂組成物を提供できる。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロニトリル」、「(メタ)アクリルアミド」も同様である。
「(メタ)アクリル系共重合体」は、(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位を有する共重合体を意味する。(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体(例えばスチレン等)由来の構成単位をさらに有していてもよい。
「(メタ)アクリル系単量体」は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
「ビニル単量体」は、エチレン性不飽和結合(重合性炭素-炭素二重結合)を有する化合物を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
〔粘着剤用樹脂組成物〕
本発明の一態様に係る粘着剤用樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも記す。)は、(メタ)アクリル系共重合体(以下、「共重合体(I)」とも記す。)を含む。本樹脂組成物に含まれる共重合体(I)は1種でもよく2種以上でもよい。
本樹脂組成物は、必要に応じて、共重合体(I)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
(共重合体(I))
共重合体(I)は、マクロモノマー(A)由来の構成単位と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有する。
<マクロモノマー(A)>
マクロモノマー(A)は、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有する。
アルキル基の炭素数が8以上30以下であれば、形成される粘着層の貼合時(例えば70℃程度の高温下)の凹凸追従性、保管時の形状保持力、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさに優れる。アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよいが、分岐状の方がより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)の具体例としては、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート(a)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)としては、低温時の柔らかさの点から、炭素数12~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)が好ましい。アルキル(メタ)アクリレート(a1)が有するアルキル基の炭素数は、12~18が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、炭素数12~30のアルキル基を有する第1のアルキル(メタ)アクリレートと、炭素数12~30のアルキル基を有し、第1のアルキル(メタ)アクリレートとは異なる炭素数のアルキル基を有する第2のアルキル(メタ)アクリレートの混合物であってもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)と、炭素数8~11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとを併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)は、重合性の点から、メタクリレートであることが好ましい。
マクロモノマー(A)は、アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。
他の構成単位を形成する単量体には種々のものが用いられ得るが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸3,5,5-トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、テルペンアクリレートやその誘導体、水添ロジンアクリレートやその誘導体、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、「プラクセルFM」(ダイセル化学(株)製カプロラクトン付加モノマー、商品名)、「ブレンマーPME-100」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME-200」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME-400」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの)、商品名)、「ブレンマー50POEP-800B」(日油(株)製オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの)、商品名)及び「ブレンマー20ANEP-600」(日油(株)製ノニルフェノキシ(エチレングリコール-ポリプロピレングリコール)モノアクリレート、商品名)、「ブレンマーAME-100」(日油(株)製、商品名)、「ブレンマーAME-200」(日油(株)製、商品名)及び「ブレンマー50AOEP-800B」(日油(株)製、商品名)、ビスコート#150(大阪有機化学工業製、商品名)、ビスコート#190(大阪有機化学工業製、商品名)、ビスコート#230(大阪有機化学工業製、商品名)、2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、:サイラプレーンFM-0711(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンFM-0721(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンFM-0725(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンTM-0701(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンTM-0701T(JNC(株)製、商品名)、X-22-174DX(信越化学工業(株)製、商品名)、X-22-2426(信越化学工業(株)製、商品名)、X-22-2475(信越化学工業(株)製、商品名)、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシリコーン系モノマー、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のシランカップリング材含有モノマー、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロー1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー、1-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1-(2-エチルへキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1-(シクロへキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート)、2-テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等のアセタール構造を持つモノマー、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、(メタ)アクリル酸-2-イソシアナトエチル等が挙げられる。
マクロモノマー(A)は、典型的には、下記式(a’)で示される構成単位(以下、「構成単位(a’)」とも記す。)を2以上有し、2以上の構成単位(a’)の少なくとも一部が、アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位である。
2以上の構成単位(a’)が有するPはそれぞれ同じでもよく異なっていてもよい。2以上の構成単位(a’)が有するQはそれぞれ同じでもよく異なっていてもよい。
マクロモノマー(A)は、構成単位(a’)以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。
Figure 2023041340000001
式(a’)中、Pは、水素原子、メチル基又はCHOHを示す。QはOR、OCR、ハロゲン、COH、COR、COR、CN、CONH、CONHR、CONR、COOCH(CH)OR及びR’からなる群から選ばれ、Rは、水素原子、置換及び非置換アルキル基、置換及び非置換シクロアルキル基、置換及び非置換アリール基、置換及び非置換複素環基、置換及び非置換アラルキル基、置換及び非置換アルカリール基、及び置換及び非置換オルガノシリル基からなる群から選ばれ、置換基は同じであるか又は異なり、かつカルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基及びハロゲン原子からなる群から選ばれ、R’は、置換及び非置換アリール基、置換及び非置換ヘテロアリール基からなる芳香族群から選ばれ、置換基は同じであるか又は異なり、かつカルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、置換及び非置換アルキル基、置換及び非置換アリール基、置換及び非置換オレフィン基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる。
アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位は、式(a’)中のPが水素原子又はメチル基であり、QがCORであり、Rが炭素数8~30のアルキル基である構成単位である。
アルキル(メタ)アクリレート(a)以外の構成単位(a’)を形成する単量体や、他の構成単位を形成する単量体としては、前記と同様のものが挙げられる。
マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構成単位の割合は、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
マクロモノマー(A)は、マクロモノマー(A)を構成する構成単位として、メタクリレート由来の構成単位を有することが好ましい。
マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するメタクリレート由来の構成単位の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。メタクリレート由来の構成単位の割合が50質量%以上であれば、マクロモノマー(A)の分子量を低くすることができる。
生産性の観点から、マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するカルボキシ基含有単量体由来の構成単位の割合は、0~10質量%が好ましい。
マクロモノマー(A)は、典型的には、ラジカル重合性基、又はヒドロキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、チオール基等の付加反応性の官能基を有する。ラジカル重合性基と官能基はどちらか一方のみを有していてもよく、両方を有していてもよい。ラジカル重合性基と官能基の両方を有する場合、ラジカル重合性基、官能基はそれぞれ2つ以上でもよい。
上述の中で、特にビニル単量体(B)と共重合可能な点で、ラジカル重合性基を有するものが好ましい。マクロモノマー(A)が有するラジカル重合性基は、2つ以上でもよいが、1つが好ましい。マクロモノマー(A)が官能基を有する場合も、官能基は2つ以上でもよいが、1つが好ましい。
マクロモノマー(A)としては、2以上の構成単位(a’)を含む主鎖の末端にラジカル重合性基を有するものが好ましく、下記式(1)の末端構造を有するものがより好ましい。なお、式(1)中の「・・・」は、2以上の構成単位(a’)を含む主鎖部分を示す。
Figure 2023041340000002
式(1)においてRは、前記Rと同様のものを有することができる。
Rは、例えば、炭素数1~20の分岐又は直鎖アルキル基であってよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びイコシル基が挙げられる。これらの中で、入手のし易さから、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基がより好ましい。
Rは、例えば、炭素数3~20のシクロアルキル基であってよい。その具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びアダマンチル基が挙げられる。入手のし易さから、シクロプロピル基、シクロブチル基及びアダマンチル基が好ましい。
Rは、例えば、炭素数6~18のアリール基であってよい。その具体例としては、フェニル基及びナフチル基、ベンゾフェノン構造等が挙げられる。
Rは、例えば、炭素数5~18の複素環基であってよい。その複素環基の具体例としては、ピリジル基等のヘテロアリール基、γ-ブチロラクトン基及びε-カプロラクトン基が挙げられる。
Rが有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(-COOR’’)、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基(-NR’’R’’’)、アミド基(-CONR’’R’’’)、ハロゲン原子、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(-OR’’)、シロキシ基、又は親水性若しくはイオン性を示す基からなる群から選択される基又は原子が挙げられる。R’’及びR’’’は、それぞれ独立して、Rと同様のものが挙げられる。
上記置換基のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基が挙げられる。
上記置換基のアミノ基としては、アミノ基、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。
上記置換基のアミド基としては、例えば、カルバモイル基(-CONH),N-メチルカルバモイル基(-CONHMe)、N,N-ジメチルカルバモイル基(ジメチルアミド基:-CONMe)が挙げられる。Meはメチル基を示す。
上記置換基のハロゲン原子としては、例えばふっ素原子、塩素原子、臭素原子及びよう素原子が挙げられる。
上記置換基のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1~12のアルコキシ基が挙げられ、具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
上記置換基の親水性又はイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシル基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
Zは、マクロモノマー(A)の末端基である。マクロモノマー(A)の末端基としては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
マクロモノマー(A)としては、(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位を、マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対して80質量%以上の割合で含むものが好ましく、下記式(2)の構造を有するものが特に好ましい。(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位の少なくとも一部は、アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位である。
Figure 2023041340000003
式(2)中、nは2~10万の自然数である。R及びRは、それぞれ独立に、前述のRと同様のものを用いることができる。n個のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは、前述の式(a’)中のPと同様のものを用いることができる。n個のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Zは末端基である。
Zとしては、式(1)中のZと同様の末端基が挙げられる。
マクロモノマー(A)の数平均分子量(Mn)は、1000~30000が好ましく、2000~20000がより好ましく、3000~10000がさらに好ましい。マクロモノマー(A)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、分子同士の絡み合いが増え、保持力が良好となる傾向がある。マクロモノマー(A)の数平均分子量が前記上限値以下であれば、凹凸追従性が良好となる傾向がある。
マクロモノマー(A)の数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
マクロモノマー(A)のガラス転移温度(以下、「Tg」とも記す。)は、-20℃以下が好ましく、-50以下℃がより好ましい。Tgの下限は特に限定されないが、例えば-100℃である。Tgが前記上限値以下であれば、低温時の柔らかさが良好となる傾向がある。
Tgは、マクロモノマー(A)を形成する単量体が1種である場合は、該単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、マクロモノマー(A)を形成する単量体が複数種である場合は、Foxの計算式によって算出される値である。
例えば、マクロモノマー(A)が、単量体p由来の構成単位と、単量体q由来の構成単位と、単量体r由来の構成単位とからなる場合、単量体p、単量体q又は単量体rの各々のホモポリマーのガラス転移温度及び質量分率から、下記Foxの計算式によって算出されるTgをマクロモノマー(A)のガラス転移温度(単位:℃)とする。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
(式中、Wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。)
なお、単量体iのホモポリマーのガラス転移温度は、文献値、例えばポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕や単量体のカタログに記載されている値を用いることができる。
マクロモノマー(A)は、公知の方法で製造したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
ラジカル重合可能な重合性基を持つマクロモノマー(A)の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α-メチルスチレンダイマー等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(A)の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。なお、コバルト連鎖移動剤を用いて製造した場合のマクロモノマー(A)の構造は、前記式(1)に該当するものである。
ビニル単量体(B)からなる重合体に付加できる官能基を持つマクロモノマー(A)の製造方法としては、例えば、該当の官能基を有するビニル単量体を共重合する方法、チオグリコール、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を用いて官能基を導入する方法、開始剤を用いて官能基を導入する方法が挙げられる。
マクロモノマー(A)を製造する際の重合方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法及び懸濁重合法、乳化重合法等の水系分散重合法が挙げられる。特にコバルト連鎖移動剤を用いて製造する場合は、回収工程が簡便である点から水系分散重合法が好ましい。
重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法としては、例えば、ハロゲン基を有する重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法、酸基を有するビニル系単量体とエポキシ基を有するビニル系重合体とを反応させる方法、エポキシ基を有するビニル系重合体と酸基を有するビニル系単量体とを反応させる方法、水酸基を有するビニル系重合体とジイソシアネート化合物とを反応させ、イソシアネート基を有するビニル系重合体を得て、このビニル系重合体と水酸基を有するビニル系単量体とを反応させる方法が挙げられ、いずれの方法によって製造されても構わない。
<ビニル単量体(B)>
ビニル単量体(B)としては、マクロモノマー(A)を得るための単量体と同等のものを用いることができる。ビニル単量体(B)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。ビニル単量体(B)は、(メタ)アクリル系単量体でもよく、(メタ)アクリル系以外の単量体でもよく、これらを組み合わせてもよい。
ビニル単量体(B)としては、炭素数1~4のアルキル基を有するアクリル(メタ)アルキレート(b)が好ましい。ビニル単量体(B)由来の構成単位がアクリル(メタ)アルキレート(b)由来の構成単位を含むと、共重合体(I)が相分離しやすく、優れた保持力が発現しやすい。また、接着性にも優れる。
アクリル(メタ)アルキレート(b)が有するアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。
アクリル(メタ)アルキレート(b)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート(b)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。
アクリル(メタ)アルキレート(b)は、重合性の点から、アクリレートであることが好ましい。
アクリル(メタ)アルキレート(b)と他のビニル単量体とを併用してもよい。
他のビニル単量体としては、前記したマクロモノマー(A)を得るための単量体のなかから適宜選択できるが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、スチレン等が好ましい。
マクロモノマー(A)をビニル単量体(B)からなる重合体に付加させる場合は、ビニル単量体(B)はマクロモノマー(A)の官能基と反応できる官能基を有するものを含むことが適している。
全てのビニル単量体(B)由来の構成単位100質量%に対するアクリル(メタ)アルキレート(b)由来の構成単位の割合は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
共重合体(I)は、マクロモノマー(A)ユニット及びビニル単量体(B)の重合体ユニットを持つ。共重合体(I)中には、マクロモノマー(A)由来の構成単位のみを有する重合体、1種又は2種以上のビニル単量体(B)由来の構成単位を有する重合体、未反応のマクロモノマー(A)及び未反応のビニル単量体(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。さらに、共重合体(I)は、マクロモノマー(A)及びビニル単量体(B)由来の繰り返し単位を有するブロック型、並びに側鎖にマクロモノマー(A)由来の繰り返し単位を有し、主鎖にビニル単量体(B)の重合体を持つグラフト型からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
共重合体(I)において、マクロモノマー(A)由来の構成単位の含有量は、共重合体(I)100質量%に対し、3~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。マクロモノマー(A)由来の構成単位の含有量が前記範囲内であれば、形成される粘着層の貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力がより優れる。
ビニル単量体(B)由来の構成単位の含有量は、共重合体(I)100質量%に対し、70~97質量%が好ましく、75~95質量%がより好ましく、80~90質量%がさらに好ましい。
共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は、50000~2000000が好ましく、100000~1500000がより好ましく、300000~1000000がさらに好ましい。共重合体(I)の重量平均分子量が前記下限値以上であれば、粘着層の耐久性が良好となる傾向にあり、前記上限値以下であれば、樹脂組成物の塗工性が良好となる傾向にある。
共重合体(I)の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
共重合体(I)は、23℃、100Pa、10分の条件のクリープ試験での変形量(以下、「23℃での変形量」とも記す。)が15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。23℃での変形量の下限は特に限定されないが、例えば1%である。23℃での変形量が前記上限値以下であれば、形成される粘着層が非貼合時の形状保持力に優れ、粘着層をセパレートフィルムで挟まれた状態で保管する間にセパレートフィルムから粘着層がはみ出す、粘着層とセパレートフィルムを剥離する際に糊残りが生じる、積層後に再剥離ができず歩留まりが低下する等の問題が生じにくい。
23℃での変形量は、例えば、マクロモノマー(A)中のアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合、マクロモノマー及び共重合体(I)の分子量により調節できる。例えば、マクロモノマー(A)中のアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合が増えると、23℃での変形量が小さくなる傾向がある。
クリープ試験での変形量の詳しい測定方法は、後述する実施例に示すとおりである。
共重合体(I)は、70℃、1000Pa、1分の条件のクリープ試験での変形量(以下、「70℃での変形量」とも記す。)が100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることがさらに好ましい。70℃での変形量の上限は特に限定されないが、例えば1000%である。70℃での変形量が前記下限値以上であれば、形成される粘着層が貼合時の凹凸追従性に優れ、貼合する部材の少なくとも一方の表面に凹凸が存在していても、粘着層と凹凸との間に気泡が残りにくい。
70℃での変形量は、例えば、マクロモノマー(A)中のアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合、マクロモノマー及び共重合体(I)の分子量により調節できる。例えば、マクロモノマー(A)中のアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合が増えると、70℃での変形量が大きくなる傾向がある。
共重合体(I)は、-20℃、1Hzでの貯蔵弾性率G’(以下、「-20℃でのG’」とも記す。)が700kPa以下であることが好ましく、400kPa以下であることがより好ましく、200kPa以下であることがさらに好ましい。-20℃でのG’の下限は特に限定されないが、例えば10kPaである。-20℃でのG’が前記上限値以下であれば、形成される粘着層が低温使用時の柔らかさに優れる。
例えばフォルダブルディスプレイ用途では、粘着層を介して貼合された部材が低温下で折り曲げられることがある。粘着層が低温使用時の柔らかさに優れていれば、粘着層を介して貼合された部材が低温下で折り曲げられたときに、部材を保護でき、粘着層自体の耐久性も良好となる。
-20℃でのG’は、例えば、マクロモノマー(A)中のアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合、共重合体(I)中に占めるマクロモノマー(A)の割合により調節できる。例えば、マクロモノマー(A)中のアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合が増えると、-20℃でのG’が低くなる傾向がある。
貯蔵弾性率G’の詳しい測定方法は、後述する実施例に示すとおりである。
共重合体(I)は、23℃での変形量が15%以下であり、70℃での変形量が100%以上であり、-20℃でのG’が700kPa以下であることが好ましい。70℃での変形量のより好ましい値、23℃での変形量のより好ましい値、-20℃でのG’のより好ましい値はそれぞれ前記したとおりである。
共重合体(I)の130℃における溶融粘度は、20~800Pa・sが好ましく、20~600Pa・sがより好ましく、50~600Pa・sがさらに好ましく、100~500Pa・sが特に好ましい。共重合体(I)の130℃における溶融粘度が前記範囲内であれば、本樹脂組成物をそのまま加熱して塗工するホットメルト法による塗工が可能となる。
溶融粘度は、例えば株式会社ユービーエム製の粘弾性測定装置Rheosol-G5000を用いて測定することができる。本発明においては、25mmφのコーンプレートを用い、130℃で歪み0.7%、0.02Hzで測定した時の粘度(η*)値を130℃における溶融粘度の値とした。
共重合体(I)は、比誘電率が3.5以下であることが好ましい。比誘電率が3.5以下であれば、タッチパネルに搭載された時の粘着層の薄膜化が可能になり、またタッチパネルの応答性が良好になる。
共重合体(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、マクロモノマー(A)がラジカル重合性基を有する場合は、マクロモノマー(A)及びビニル単量体(B)を含む単量体混合物を重合する方法を用いることができる。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法等、公知の重合方法によって製造することが可能である。本樹脂組成物は粘着剤に用いられるため、溶液重合法が好ましい。
マクロモノマー(A)が付加反応性の官能基を有し、ビニル単量体(B)の少なくとも一部がマクロモノマー(A)の官能基と反応できる官能基を有する場合は、ビニル単量体(B)の重合体とマクロモノマー(A)とを反応(付加反応)させる方法を用いることができる。
本樹脂組成物中の共重合体(I)の含有量は、本樹脂組成物100質量%に対し、50~100質量%が好ましく、75~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。
(他の成分)
本樹脂組成物は、通常の粘着剤組成物に配合される公知の成分を含有してもよい。
例えば、耐熱性、熱伝導性、難燃性、電気伝導性等を付与するために、充填剤を含有させることができる。充填剤としては、例えば、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末等の金属系粉末、アセチレンブラック等のカーボンブラック、タルク、ガラスパウダー、シリカ粉末、導電性粒子、ガラス粉末等の無機充填剤;ポリエチレン粉末、ポリエステル粉末、ポリアミド粉末、フッ素樹脂粉末、ポリ塩化ビニル粉末、エポキシ樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋した粘着層を形成するために、共重合体(I)に官能基を導入し、本樹脂組成物に架橋剤や重合開始剤を含有させることもできる。
架橋剤としては、例えばイソシアネート系、エポキシ系、金属キレート系、光硬化系、メラミン系、アジリジン系等が挙げられる。2種以上の架橋剤を組み合わせて使用することもできる。
イソシアネート系の架橋剤としては、例えばキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記芳香族ポリイソシアネートの水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの2量体又は3量体、これらのポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオールとからなるアダクト体が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を併用することができる。
エポキシ系の架橋剤としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジンが挙げられる。
金属キレート系の架橋剤としては、例えば多価金属が有機化合物と共有結合又は配位結合しているものが挙げられる。多価金属としては、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、銅、鉄、スズ、チタン、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウムが挙げられる。共有結合又は配位結合する有機化合物としては、アセチルアセトン等のケトン化合物、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物等の、酸素原子を持つものが挙げられる。
メラミン系の架橋剤としては、例えばへキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂が挙げられる。
アジリジン系の架橋剤としては、例えばテトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)が挙げられる。
本樹脂組成物は、光重合開始剤等の反応開始剤を添加、又は架橋剤、ビニル単量体、オリゴマー成分から選ばれる少なくとも1種、及び光重合開始剤等の反応開始剤を添加し、紫外線照射等によって架橋させることができる。
光重合開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
架橋剤としては、例えば(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート、或いはイソシアネート基、エポキシ基、メラミン基、グリコール基、シロキサン基、アミン等の官能基を2個以上有する多官能有機樹脂、或いは亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、ジルコニウム、カルシウム等の金属錯体を有する有機金属化合物が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリエチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA-エチレンオキサイド(EO)/プロピレンオキサイド(PO)変性ジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ポリイソブチレンジアクリレート、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルコキシ化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレートが挙げられる。
ビニル単量体としては、マクロモノマー(A)に用いるものと同様のものが挙げられる。
オリゴマー成分としては、例えば(メタ)アクリル系、ウレタン系、イソプレン系、イソプレンアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、スチロール系、エポキシ系、オレフィン系が挙げられる。これらは光重合可能な反応性基を持っていてもよい。
本樹脂組成物は、必要に応じて、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、防錆剤、加水分解防止剤等の各種の添加剤を適宜含有させることもできる。反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜含有してもよい。
酸化防止剤の種類としては、例えばフェノール系、リン系、ヒドロキシルアミン系、イオウ系等が挙げられる。中でも、加熱後の樹脂の着色が少ないフェノール系、リン酸系の酸化防止剤が好ましい。これらは単独で使用してもよいし、数種類を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤の含有量は共重合体(I)100質量部に対して0.1~5質量部の範囲とすることが好ましい。
本樹脂組成物は、例えば、前記のようにして共重合体(I)を製造し、必要に応じて他の成分を添加する方法により製造できる。
本樹脂組成物は、シート成形して粘着シートとして使用することができる。
粘着シートは、溶剤を用いた溶液状態や組成物中の低分子量成分で希釈した溶液状態で塗工することもできるし、溶剤を用いないホットメルト系の粘着組成物として調製することもできる。溶剤を用いないホットメルト系の粘着組成物とすれば、溶剤を用いた粘着組成物に比べて、より厚みを持たせることができるため、例えば画像表示装置の構成部材間の空隙を充填するに足る十分な厚みを持たせることができる。また、他の重合性成分や架橋剤で希釈して塗工した後、紫外線照射や加熱等によって硬化させることもできる。
本樹脂組成物から得られた粘着シートは、様々な部材の接着に際し用いることができ、しかも非常に良好な粘着性能を発現する。例えば透明プラスチックフィルムに適用することにより、あるいは粘着フィルム状に加工することにより、車両用、建築用の窓貼りフィルムの貼合や、ラベル表示におけるラベルの貼合に用いることができる。また透明両面粘着シート状に加工することにより、液晶パネル等の画像表示装置における各種パネルの貼合や、ガラス等の透明板材の貼合等に用いることができる。
また、本樹脂組成物は、溶剤を用いた溶液状態や共重合体(I)以外の成分で希釈した溶液状態で塗工する場合、前記粘着シートと同様の用途に用いることができる。
本樹脂組成物は、貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力に優れるので、少なくとも一方の部材が表面に凹凸を有する部材(凹凸部材)である部材同士の貼合に有用である。
例えば、凹凸部材と有機発光ダイオード(OLED)を有する部材とを本樹脂組成物で貼合すると、本樹脂組成物が凹凸部材の凹凸を隙間なく埋め、OLED側の表面を平滑にすることで、凹凸模様のない鮮明な画像を表示させることができる。
特に、上記特性に加えて、低温使用時の柔らかさにも優れるので、フォルダブルディスプレイを構成する部材(OLED、保護フィルム、感圧センサの凹凸基板、カメラホールを有する偏光板等)の貼合に好適である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例における「部」は「質量部」を意味する。
実施例中の測定及び評価は、以下に示す方法で行った。
(マクロモノマーの分子量)
マクロモノマー(a)の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、東ソー社製カラム(TSKgel SuperHZM-M×HZM-M×HZ2000(4.6mmID×15cmL)、TSKguardcolumn SuperHZ-L(4.6mmID×2.0cmL))が装着されたGPC装置(東ソー社製、HLC-8320)に上記の溶液10μLを注入し、流量:0.35mL/分、溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤BHT)、カラム温度:40℃の条件でGPCを行い、標準ポリスチレン換算にて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
(共重合体の分子量)
共重合体(A)の0.27質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、東ソー社製カラム(TSKgel SuperHZMH×2(6.0mmID×15cmL)、TSKguardcolumn SuperHZ-H(4.6mmID×3.5cmL))が装着されたGPC装置(東ソー社製、HLC-8320)に上記の溶液10μLを注入し、流量:0.5mL/分、溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤BHT)、カラム温度:40℃の条件でGPCを行い、標準ポリスチレン換算にて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
(クリープ試験)
セパレートフィルムの上に試料を塗布し、真空下130℃で6時間乾燥して溶媒を除いた。得られた乾燥試料について、動的粘弾性測定装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、HAAKE MARS 60)を用い、23℃又は70℃でクリープ試験を行って歪量(変形量)を求めた。クリープ試験においては、35mmφ、コーン角1°のコーンプレートを用いた。23℃のクリープ試験では、100Paの一定応力をかけて10分後の歪量を測定した。70℃のクリープ試験では1000Paの一定応力をかけて1分後の歪量を測定した。コーンプレートへの試料の取り付けは130℃で行い、コーン指定の測定ギャップが0.052mmであるのに対し、トリミングはギャップ0.1mmで行った。
(貯蔵弾性率G’)
上記クリープ試験と同様に作製した乾燥試料について、動的粘弾性測定装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、HAAKE MARS 60)を用い、-20℃での貯蔵弾性率G’を測定した。貯蔵弾性率G’の測定においては、20mmφのパラレルプレートを用い、ギャップ1mm、周波数1Hz、歪量0.1%とした。パラレルプレートへの試料の取り付けは130℃で行い、トリミングはギャップ1.05mmで行った。
(不揮発分)
試料をアルミ皿の上に約1g載せ、105℃の送風機付きオーブンで2時間乾燥させ、乾燥前後の質量を電子天秤で測定し、下記式により不揮発分濃度を求めた。
不揮発分濃度(%)=(乾燥後の試料の質量(g)/乾燥前の試料の質量(g))×100
(B型粘度)
B型粘度計(東機産業社製、TVB10形粘度計)を用い、M4ローターを使用し、回転速度60rpm、測定温度25℃の条件で粘度を測定した。
(使用材料)
MMA:メチルメタクリレート、三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルM。
BMA:n-ブチルメタクリレート、三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルB。
EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート、三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルEH。
SLMA:アルキル基の炭素数が12であるアルキルメタクリレートと、アルキル基の炭素数が13であるアルキルメタクリレートとの混合物、三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルSL。
iSMA:イソステアリルメタクリレート、新中村化学工業社製、商品名:NKエステルS-1800M。
BA:n-ブチルアクリレート、三菱ケミカル社製。
EHA:2-エチルヘキシルアクリレート、三菱ケミカル社製。
AA:アクリル酸、三菱ケミカル社製。
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート、三菱ケミカル社製。
AMBN:2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、大塚化学社製。
(実施例1)
<マクロモノマーの製造>
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、SLMAの100部、連鎖移動剤としてビス[(ジフルオロボリル)ジフェニルグリオキシメイト]コバルト(II)の0.00075部、及び酢酸エチルの58部を仕込み、窒素バブリングによって酸素を置換した。次に、重合開始剤としてAMBNの0.4部、及び酢酸エチルの2部を加えた。次に、ウォーターバスで外温を90℃まで昇温し、還流状態で2時間反応させた。次に、AMBNの0.2部、酢酸エチルの20部を1時間かけて滴下し、その後さらに還流状態で2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却してマクロモノマーを含む溶液を得た。この溶液に酢酸エチルを加えることで、不揮発分濃度を50質量%に調整した。
<共重合体の製造>
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、仕込み溶媒として酢酸エチルの25部、イソプロピルアルコール(IPA)の2部、調製したマクロモノマー溶液(濃度50質量%)の30部を仕込み、窒素ガス通気下、ウォーターバスで外温を85℃に昇温した。還流状態が安定した後、酢酸エチルの20部、BAの85部、ナイパーBK40 MT(日本油脂社製)の0.13部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、パーオクタO(日本油脂社製)の0.3部と酢酸エチルの15部からなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、酸化防止剤として「イルガノックス1010」(BASF社製商品名)の0.5部、酢酸エチルの23部を添加し、室温まで冷却して共重合体(BA/SLMA=85/15)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例2)
実施例1の<共重合体の製造>において、IPAを2部から3部とし、BAの85部をBAの77部及び4HBAの4部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/4HBA/SLMA=77/8/15)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例3)
実施例1の<共重合体の製造>において、BAの85部をBAの55部、EHAの26部及びAAの4部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/EHA/AA/SLMA=55/26/4/15)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例4)
実施例1の<マクロモノマーの製造>において、SLMAをEHMAとし、<共重合体の製造>において、IPAを2部から1.5部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/EHMA 85/15)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例5)
実施例1の<マクロモノマーの製造>において、SLMAをiSMAとした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/EHMA 85/15)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例6)
実施例1の<マクロモノマーの製造>において、SLMAをSLMAとBMAとの混合物(SLMA:BMA=7:8(質量比))とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/SLMA/BMA=85/7/8)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例7)
実施例1の<共重合体の製造>において、初期仕込みの酢酸エチルを25部から30部とし、マクロモノマー溶液を30部から20部とし、BAの85部を90部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/SLMA=10/90)を含む樹脂組成物を得た。
(実施例8)
実施例1の<マクロモノマーの製造>において、SLMAをEHMAとBMAとの混合物(EHMA:BMA=11:4(質量比))とし、<共重合体の製造>において、IPAを2部から1.5部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/EHMA/BMA=85/11/4)を含む樹脂組成物を得た。
(比較例1)
<マクロモノマーの製造>を行わず、<共重合体の製造>において、初期仕込みの酢酸エチルを25部から40部とし、滴下する混合物にSLMAの15部をさらに加えた以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/SLMA=85/15、ランダム共重合体)を含む樹脂組成物を得た。
(比較例2)
<分散剤1の製造>
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びMMA12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
<MMAマクロモノマーの製造>
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤1(固形分10質量%)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、MMAを100部、連鎖移動剤としてビス[(ジフルオロボリル)ジフェニルグリオキシメイト]コバルト(II)を0.0035部及び重合開始剤としてパーオクタO(日本油脂社製)0.35部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して1時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、MMAマクロモノマーを得た。
<共重合体の製造>
実施例1の<共重合体の製造>において、初期仕込みの酢酸エチルを25部から40部とし、IPAを2部から5部とし、マクロモノマー溶液の30部を上記MMAマクロモノマー(乾燥状態)の15部とし、BAの85部をBAの81部及びAAの4部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/AA/MMA=81/4/15)を含む樹脂組成物を得た。
(比較例3)
実施例1の<マクロモノマーの製造>において、SLMAをBMAとし、<共重合体の製造>において、IPAを2部から1.5部とした以外は実施例1と同様にして、共重合体(BA/BMA=85/15)を含む樹脂組成物を得た。
表1~2に、各例で得た樹脂組成物に含まれる共重合体の組成、物性(貯蔵弾性率G’、クリープ試験による歪量)及び分子量(Mn、Mw)、マクロモノマーの分子量(Mn、Mw)及びガラス転移温度(Tg)、樹脂組成物のB型粘度を示す。B型粘度の測定に際しては、必要に応じて樹脂組成物に酢酸エチルを加えることで、不揮発分濃度を50質量%に調整した。
Figure 2023041340000004
Figure 2023041340000005
実施例1~8の樹脂組成物は、23℃での変形量が15%以下であったことから、室温下で変形しにくく、非貼合時の形状保持力に優れることがわかる。また、70℃での変形量が100%以上であったことから、高温下で変形しやすく、貼合時の凹凸追従性に優れることがわかる。また、-20℃での貯蔵弾性率G’が700kPa以下であったことから、低温使用時に柔らかいことがわかる。
一方、マクロモノマーを用いなかった比較例1の樹脂組成物は、23℃での変形量が大きかった。
MMA単位のみからなるマクロモノマーを用いた比較例2の樹脂組成物は、70℃での変形量が小さく、-20℃での貯蔵弾性率G’が高かった。
BMA単位のみからなるマクロモノマーを用いた比較例3の樹脂組成物は、-20℃での貯蔵弾性率G’が高かった。

Claims (10)

  1. マクロモノマー(A)由来の構成単位と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有する(メタ)アクリル系共重合体を含み、
    前記マクロモノマー(A)が、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有する、粘着剤用樹脂組成物。
  2. 前記マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合が、70質量%以上である、請求項1に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  3. 前記アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位が、炭素数12~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構成単位を含む請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  4. 前記マクロモノマー(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構成単位の割合が、40質量%以上である請求項3に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  5. 前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、炭素数1~4のアルキル基を有するアクリル(メタ)アルキレート(b)由来の構成単位を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  6. 全ての前記ビニル単量体(B)由来の構成単位100質量%に対する前記アクリル(メタ)アルキレート(b)由来の構成単位の割合が、50質量%以上である請求項5に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  7. 前記マクロモノマー(A)の数平均分子量が、1000~30000である請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  8. 前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、50000~2000000である請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  9. 前記(メタ)アクリル系共重合体は、23℃、100Pa、10分の条件のクリープ試験での変形量が15%以下であり、70℃、1000Pa、1分の条件のクリープ試験での変形量が100%以上であり、-20℃、1Hzでの貯蔵弾性率G’が700kPa以下である請求項1~8のいずれか1項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  10. 表面に凹凸を有する部材と有機発光ダイオードを有する部材との貼合用である請求項1~9のいずれか1項に記載の粘着剤用樹脂組成物。
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