JP2023147169A - 粘着剤用樹脂組成物 - Google Patents

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Akihito Matsushita
公平 広瀬
Kohei Hirose
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kota Taniguchi
亘晃 金澤
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Abstract

【課題】貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力及び低温使用時の柔らかさに優れる粘着層を形成できる粘着用樹脂組成物を提供する。【解決手段】セグメント(A)と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体である、(メタ)アクリル系共重合体を含み、前記セグメント(A)が、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有し、前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、炭素数6~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位と、極性基を有するビニル単量体(B2)由来の構成単位とを含む、粘着剤用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤用樹脂組成物に関する。
近年、テレビやパソコン用モニター、ノートパソコンや携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル機器において、ディスプレイと位置入力装置を組み合わせたタッチパネルが広く用いられている。なかでも、静電容量式タッチパネルが一般的に普及している。
タッチパネルは、通常、有機EL又は液晶からなるディスプレイ、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(保護ガラス)から構成される。これらのタッチパネルの部材の貼り合せには透明粘着シートが用いられる。透明粘着シートには、タッチパネルの部材の貼り合わせた際に被着体を保持する保持力が求められる。
保持力に優れた粘着層を形成できる粘着剤として、数平均分子量が500以上6000未満のマクロモノマー及びビニル単量体を含有する単量体混合物を重合して得られる、重量平均分子量が5万~100万である(メタ)アクリル系共重合体を含むものが知られている(特許文献1)。上記マクロモノマーとしては、メチルメタクリレート由来の構成単位を有するものが用いられている。
国際公開第2015/080244号
粘着層を介して部材同士を貼合するにあたっては、例えば、一対のセパレートフィルムで挟まれた状態の粘着層を用意し、一方のセパレートフィルムを剥離して一方の部材を積層し、他方のセパレートフィルムを剥離して他方の部材を積層し、得られた積層体を加熱加圧する。このときの加熱温度は、プロセスにもよるが、例えば70℃程度である。
粘着層を介して貼合する部材の少なくとも一方の表面に凹凸が存在する場合、粘着層には、貼合時に凹凸に追従して変形することが求められる。
また、粘着層がフォルダブルディスプレイに用いられる場合、低温(例えば-20℃)で折り曲げられることがあり、低温使用時の柔らかさが求められる。
しかし、特許文献1に記載の(メタ)アクリル系共重合体を含む粘着剤は、凹凸追従性や低温使用時の柔らかさが充分ではないことがあった。
本発明者らが検討したところ、上記(メタ)アクリル系共重合体の分子量を上げると、常温下での形状保持力が上昇し、貼合前保管時のセパレートフィルム間からの粘着層のはみ出しを抑制することができるが、粘度上昇により、貼合時の凹凸追従性が低下する問題が生じた。
また、ランダム共重合体の場合、形状保持力を持つほど分子量を上げると、溶液粘度や溶融粘度が高くなりすぎるため、製造ライン上での溶液移送や、均一な厚さで塗膜形成が困難になる。
本発明の目的は、貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力及び低温使用時の柔らかさに優れる粘着層を形成できる粘着用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、以下の知見を得た。
・特許文献1に記載の(メタ)アクリル系共重合体のように異種のポリマー成分が共有結合をしているポリマーは、マイナー成分がナノメートルオーダーのドメイン、メイン成分がマトリックスをとったミクロ相分離構造と呼ばれる構造を自己集合的に形成する。ミクロ相分離構造が形成されている状態は、形成されていない状態と比べて、共重合体が流れにくくなって形状保持力が向上し、粘着層のはみ出しが抑えられる。
・枝ポリマー(マクロモノマー)を形成する単量体として長鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることで、低温使用時の柔らかさが向上する。
・さらに、幹ポリマーに中鎖乃至長鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることで、低温使用時の柔らかさがさらに向上する。一方で、中鎖乃至長鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのみでは、幹ポリマーと枝ポリマーとの極性の差が小さく、相分離の力が弱くなり形状保持力が低下する。
・そこで、枝ポリマーと幹ポリマーの極性の差をつけ相分離の力を高めるために、幹ポリマーに極性基を導入した。これにより、形状保持力が改善された。
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下の態様を有する。
[1]セグメント(A)と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体である、(メタ)アクリル系共重合体を含み、
前記セグメント(A)が、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有し、
前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、炭素数6~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位と、極性基を有するビニル単量体(B2)由来の構成単位とを含む、粘着剤用樹脂組成物。
[2]前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記セグメント(A)の割合が、1~30質量%である前記[1]の粘着剤用樹脂組成物。
[3]前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記アルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位の割合が、10~90質量%である前記[1]又は[2]の粘着剤用樹脂組成物。
[4]前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記ビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合が、1~80質量%である前記[1]~[3]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[5]前記極性基が、水酸基、ポリアルキレングリコール基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[1]~[4]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[6]前記ビニル単量体(B2)由来の構成単位が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む前記[1]~[5]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[7]前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、前記アルキル(メタ)アクリレート(B1)及び前記ビニル単量体(B2)以外のビニル単量体(B3)由来の構成単位を含む前記[1]~[6]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[8]前記セグメント(A)の数平均分子量が、1000~30000である前記[1]~[7]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[9]前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、50000~2000000である前記[1]~[8]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
[10]表面に凹凸を有する部材と有機発光ダイオードを有する部材との貼合用である前記[1]~[9]のいずれかの粘着剤用樹脂組成物。
本発明によれば、貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力及び低温使用時の柔らかさに優れる粘着層を形成できる粘着用樹脂組成物を提供できる。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロニトリル」、「(メタ)アクリルアミド」も同様である。
「(メタ)アクリル系共重合体」は、(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位を有する共重合体を意味する。(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体(例えばスチレン等)由来の構成単位をさらに有していてもよい。
「(メタ)アクリル系単量体」は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
「ビニル単量体」は、エチレン性不飽和結合(重合性炭素-炭素二重結合)を有する化合物を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
〔粘着剤用樹脂組成物〕
本発明の一態様に係る粘着剤用樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」とも記す。)は、(メタ)アクリル系共重合体を含む。本樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系共重合体は1種でもよく2種以上でもよい。
本樹脂組成物は、必要に応じて、(メタ)アクリル系共重合体以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
((メタ)アクリル系共重合体)
(メタ)アクリル系共重合体は、ブロック共重合体又はグラフト共重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系共重合体がブロック共重合体又はグラフト共重合体であると、形状保持性及びホットメルト性に優れた粘着シートとすることが容易になる。なお、ブロック共重合体である(メタ)アクリル系共重合体と、グラフト共重合体である(メタ)アクリル系共重合体を併用してもよい。
「ブロック共重合体」とは、同種の(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位で構成されるセグメントを複数有し、各セグメント間で構成単位の化学構造が異なっており、それら複数のセグメントが直鎖状に結合した共重合体を意味する。ブロック共重合体である(メタ)アクリル系共重合体は、一部のセグメントが、マクロモノマー由来の構成単位を有する共重合体であることが好ましい。
「グラフト共重合体」とは、幹成分として(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位を有し、かつ枝成分の導入により、櫛型ポリマー、ブラシ状ポリマー、スターポリマー、ヤシ状ポリマー、ダンベルポリマー等の構造をもつ共重合体を意味する。グラフト共重合体である(メタ)アクリル系共重合体は、枝成分としてマクロモノマー由来の構成単位を有する共重合体であることが好ましい。
マクロモノマー由来の構成単位を有するブロック共重合体とグラフト共重合体は、いずれもマクロモノマー由来の構成単位が凝集して相分離するため、同様の効果を得ることができると考えられる。
貼合時の凹凸追従性、低温使用時の柔らかさ、耐屈曲性、合成の容易さ、組成調整のし易さの観点から、(メタ)アクリル系共重合体としては、炭素数8以上30以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を含むセグメント(A)を有するブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。
<セグメント(A)>
セグメント(A)は、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有する。
アルキル基の炭素数が8以上であれば、分子の動きの自由度が高いため、貼合時(例えば70℃程度の高温下)の凹凸追従性、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさ、耐屈曲性に優れる傾向がある。アルキル基の炭素数が30以下であれば、アルキル基が結晶化を起こしにくく、硬くなりにくいため、貼合時(例えば70℃程度の高温下)の凹凸追従性、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさ、耐屈曲性に優れる傾向がある。アルキル基の炭素数は、9~18が好ましく、10~14がより好ましい。
アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、直鎖と分岐鎖が混在していてもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)の具体例としては、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等が挙げられ、中でも保持力の高さと重合性の点で、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルが好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレート(a)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(a)は、重合性の点から、アルキルメタクリレートであることが好ましい。
セグメント(A)は、アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。
他の構成単位を形成する単量体には種々のものが用いられ得るが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸4-t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸3,5,5-トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、テルペンアクリレートやその誘導体、水添ロジンアクリレートやその誘導体、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸t-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、「プラクセルFM」(ダイセル化学(株)製カプロラクトン付加モノマー、商品名)、「ブレンマーPME-100」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME-200」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME-400」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が9であるもの)、商品名)、「ブレンマー50POEP-800B」(日油(株)製オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-メタクリレート(エチレングリコールの連鎖が8であり、プロピレングリコールの連鎖が6であるもの)、商品名)及び「ブレンマー20ANEP-600」(日油(株)製ノニルフェノキシ(エチレングリコール-ポリプロピレングリコール)モノアクリレート、商品名)、「ブレンマーAME-100」(日油(株)製、商品名)、「ブレンマーAME-200」(日油(株)製、商品名)及び「ブレンマー50AOEP-800B」(日油(株)製、商品名)、ビスコート#150(大阪有機化学工業製、商品名)、ビスコート#190(大阪有機化学工業製、商品名)、ビスコート#230(大阪有機化学工業製、商品名)、2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、:サイラプレーンFM-0711(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンFM-0721(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンFM-0725(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンTM-0701(JNC(株)製、商品名)、サイラプレーンTM-0701T(JNC(株)製、商品名)、X-22-174DX(信越化学工業(株)製、商品名)、X-22-2426(信越化学工業(株)製、商品名)、X-22-2475(信越化学工業(株)製、商品名)、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシリコーン系モノマー、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のシランカップリング材含有モノマー、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロー1-(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有モノマー、1-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1-(2-エチルへキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1-(シクロへキシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート)、2-テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等のアセタール構造を持つモノマー、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、(メタ)アクリル酸-2-イソシアナトエチル等が挙げられる。
セグメント(A)は、典型的には、下記式(a’)で示される構成単位(以下、「構成単位(a’)」とも記す。)を2以上有し、2以上の構成単位(a’)の少なくとも一部が、アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位である。
2以上の構成単位(a’)が有するPはそれぞれ同じでもよく異なっていてもよい。2以上の構成単位(a’)が有するQはそれぞれ同じでもよく異なっていてもよい。
前記セグメント(A)は、構成単位(a’)以外の他の構成単位をさらに有していてもよい。
Figure 2023147169000001
式(a’)中、Pは、水素原子、メチル基又はCHOHを示す。QはOR、OCR、ハロゲン、COH、COR、COR、CN、CONH、CONHR、CONR、COOCH(CH)OR及びR’からなる群から選ばれ、Rは、水素原子、置換及び非置換アルキル基、置換及び非置換シクロアルキル基、置換及び非置換アリール基、置換及び非置換複素環基、置換及び非置換アラルキル基、置換及び非置換アルカリール基、及び置換及び非置換オルガノシリル基からなる群から選ばれ、置換基は同じであるか又は異なり、かつカルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基及びハロゲン原子からなる群から選ばれ、R’は、置換及び非置換アリール基、置換及び非置換ヘテロアリール基からなる芳香族群から選ばれ、置換基は同じであるか又は異なり、かつカルボン酸基、カルボン酸エステル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イソシアナト基、スルホン酸基、置換及び非置換アルキル基、置換及び非置換アリール基、置換及び非置換オレフィン基、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる。
アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位は、式(a’)中のPが水素原子又はメチル基であり、QがCORであり、Rが炭素数8~30のアルキル基である構成単位である。
アルキル(メタ)アクリレート(a)以外の構成単位(a’)を形成する単量体や、他の構成単位を形成する単量体としては、前記と同様のものが挙げられる。
セグメント(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
セグメント(A)は、構成単位として、メタクリレート由来の構成単位を有することが好ましい。
前記セグメント(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するメタクリレート由来の構成単位の割合は、非貼合時の形状保持力の観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。メタクリレート由来の構成単位の割合が50質量%以上であれば、セグメント(A)の分子量を低くすることができる。
生産性の観点から、セグメント(A)を構成する全ての構成単位100質量%に対するカルボキシ基含有単量体由来の構成単位の割合は、0~10質量%が好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記セグメント(A)の割合は、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。セグメント(A)の割合が前記下限値以上であれば、相分離の力が強くなり、粘着シートの非貼合時の形状保持力がより優れる傾向があり、前記上限値以下であれば、貼合時に相分離構造が崩れやすく、凹凸追従性がより優れる傾向がある。前記セグメント(A)の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
セグメント(A)の数平均分子量(Mn)は、1000~30000が好ましく、2000~20000がより好ましく、3000~10000がさらに好ましい。セグメント(A)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、分子同士の絡み合いが増え、保持力が良好となる傾向がある。セグメント(A)の数平均分子量が前記上限値以下であれば、凹凸追従性が良好となる傾向がある。前記セグメント(A)の数平均分子量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
セグメント(A)の重量平均分子量(Mw)は、2000以上60000以下が好ましく、4000以上40000以下がより好ましく、6000以上20000以下がさらに好ましい。セグメント(A)の重量平均分子量が前記下限値以上であれば、分子同士の絡み合いが増え、保持力が良好となる傾向がある。セグメント(A)の重量平均分子量が前記上限値以下であれば、凹凸追従性が良好となる傾向がある。前記セグメント(A)の重量平均分子量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
セグメント(A)の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
セグメント(A)のガラス転移温度(以下、「Tg」とも記す。)は、0℃未満が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-50以下℃がさらに好ましい。Tgの下限は特に限定されないが、例えば-100℃である。Tgが前記上限値以下であれば、低温時の柔らかさが良好となる傾向がある。
Tgは、セグメント(A)を形成する単量体が1種である場合は、該単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、セグメント(A)を形成する単量体が複数種である場合は、Foxの計算式によって算出される値である。
例えば、セグメント(A)が、単量体p由来の構成単位と、単量体q由来の構成単位と、単量体r由来の構成単位とからなる場合、単量体p、単量体q又は単量体rの各々のホモポリマーのガラス転移温度及び質量分率から、下記Foxの計算式によって算出されるTgをセグメント(A)のガラス転移温度(単位:℃)とする。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
(式中、Wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。)
なお、単量体iのホモポリマーのガラス転移温度は、文献値、例えばポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕や単量体のカタログに記載されている値を用いることができる。
(メタ)アクリル系共重合体は、前記セグメント(A)と、後述するビニル単量体(B)由来の構成単位とを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体であるのが好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、前記セグメント(A)と、後述するビニル単量体(B)由来の構成単位を有するセグメントを持つブロック共重合体又はグラフト共重合体であるのがより好ましい。前記(メタ)アクリル系共重合体は、セグメント(A)及びビニル単量体(B)由来の構造単位を有するセグメントの両方が主鎖を構成するブロック共重合体、又は前記セグメント(A)若しくはビニル単量体(B)由来の構成単位を有するセグメントが主鎖を構成し、他方のセグメントが側鎖を構成するグラフト共重合体を含む。
(メタ)アクリル系共重合体は、後述するマクロモノマー(A1)由来の構成単位を有するセグメントを有し、前記マクロモノマー(A1)が前記アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有するブロック共重合体又はグラフト共重合体(以下、「共重合体(I)」とも記す。)であるのがさらに好ましい。
マクロモノマー(A1)は、典型的には、ラジカル重合性基、又はヒドロキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、チオール基等の付加反応性の官能基を有する。ラジカル重合性基と官能基はどちらか一方のみを有していてもよく、両方を有していてもよい。ラジカル重合性基と官能基の両方を有する場合、ラジカル重合性基、官能基はそれぞれ2つ以上でもよい。
上述の中で、特にビニル単量体(B)と共重合可能な点で、ラジカル重合性基を有するものが好ましい。マクロモノマー(A1)が有するラジカル重合性基は、2つ以上でもよいが、1つが好ましい。マクロモノマー(A1)が官能基を有する場合も、官能基は2つ以上でもよいが、1つが好ましい。
マクロモノマー(A1)としては、2以上の構成単位(a’)を含む主鎖の末端にラジカル重合性基を有するものが好ましく、下記式(1)の末端構造を有するものがより好ましい。なお、式(1)中の「・・・」は、2以上の構成単位(a’)を含む主鎖部分を示す。
Figure 2023147169000002
式(1)においてRは、前記Rと同様のものを有することができる。
Rは、例えば、炭素数1~20の分岐又は直鎖アルキル基であってよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びイコシル基が挙げられる。これらの中で、入手のし易さから、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基及びt-ブチル基がより好ましい。
Rは、例えば、炭素数3~20のシクロアルキル基であってよい。その具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びアダマンチル基が挙げられる。入手のし易さから、シクロプロピル基、シクロブチル基及びアダマンチル基が好ましい。
Rは、例えば、炭素数6~18のアリール基であってよい。その具体例としては、フェニル基及びナフチル基、ベンゾフェノン構造等が挙げられる。
Rは、例えば、炭素数5~18の複素環基であってよい。その複素環基の具体例としては、ピリジル基等のヘテロアリール基、γ-ブチロラクトン基及びε-カプロラクトン基が挙げられる。
Rが有してもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(-COOR’’)、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基(-NR’’R’’’)、アミド基(-CONR’’R’’’)、ハロゲン原子、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(-OR’’)、シロキシ基、又は親水性若しくはイオン性を示す基からなる群から選択される基又は原子が挙げられる。R’’及びR’’’は、それぞれ独立して、Rと同様のものが挙げられる。
上記置換基のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基が挙げられる。
上記置換基のアミノ基としては、アミノ基、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基が挙げられる。
上記置換基のアミド基としては、例えば、カルバモイル基(-CONH),N-メチルカルバモイル基(-CONHMe)、N,N-ジメチルカルバモイル基(ジメチルアミド基:-CONMe)が挙げられる。Meはメチル基を示す。
上記置換基のハロゲン原子としては、例えばふっ素原子、塩素原子、臭素原子及びよう素原子が挙げられる。
上記置換基のアルコキシ基としては、例えば、炭素数1~12のアルコキシ基が挙げられ、具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
上記置換基の親水性又はイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシ基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
Zは、マクロモノマー(A1)の末端基である。マクロモノマー(A1)の末端基としては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
マクロモノマー(A1)としては、(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位を、マクロモノマー(A1)を構成する全ての構成単位100質量%に対して80質量%以上の割合で含むものが好ましく、下記式(2)の構造を有するものが特に好ましい。(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位の少なくとも一部は、アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位である。
Figure 2023147169000003
式(2)中、nは2~10万の自然数である。R及びRは、それぞれ独立に、前述のRと同様のものを用いることができる。n個のRはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Xは、前述の式(a’)中のPと同様のものを用いることができる。n個のXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Zは末端基である。
Zとしては、式(1)中のZと同様の末端基が挙げられる。
マクロモノマー(A1)を構成する全ての構成単位100質量%に対するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
マクロモノマー(A1)は、マクロモノマー(A1)を構成する構成単位として、メタクリレート由来の構成単位を有することが好ましい。
マクロモノマー(A1)を構成する全ての構成単位100質量%に対するメタクリレート由来の構成単位の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。メタクリレート由来の構成単位の割合が50質量%以上であれば、マクロモノマー(A1)の分子量を低くすることができる。
生産性の観点から、マクロモノマー(A1)を構成する全ての構成単位100質量%に対するカルボキシ基含有単量体由来の構成単位の割合は、0~10質量%が好ましい。
マクロモノマー(A1)の数平均分子量(Mn)は、1000~30000が好ましく、2000~20000がより好ましく、3000~10000がさらに好ましい。マクロモノマー(A1)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、分子同士の絡み合いが増え、保持力が良好となる傾向がある。マクロモノマー(A1)の数平均分子量が前記上限値以下であれば、凹凸追従性が良好となる傾向がある。前記マクロモノマー(A1)の数平均分子量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
マクロモノマー(A1)の重量平均分子量(Mw)は、2000以上60000以下が好ましく、4000以上40000以下がより好ましく、6000以上20000以下がさらに好ましい。マクロモノマー(A1)の重量平均分子量が前記下限値以上であれば、分子同士の絡み合いが増え、保持力が良好となる傾向がある。マクロモノマー(A1)の重量平均分子量が前記上限値以下であれば、凹凸追従性が良好となる傾向がある。前記マクロモノマー(A1)の重量平均分子量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
マクロモノマー(A1)の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
マクロモノマー(A1)のガラス転移温度(以下、「TgA1」とも記す。)は、0℃未満が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-50以下℃がさらに好ましい。TgA1の下限は特に限定されないが、例えば-100℃である。TgA1が前記上限値以下であれば、低温時の柔らかさが良好となる傾向がある。
TgA1は、マクロモノマー(A1)を形成する単量体が1種である場合は、該単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、マクロモノマー(A1)を形成する単量体が複数種である場合は、前記したFoxの計算式によって算出される値である。
マクロモノマー(A1)は、公知の方法で製造したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
ラジカル重合可能な重合性基を持つマクロモノマー(A1)の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α-メチルスチレンダイマー等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(A1)の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。なお、コバルト連鎖移動剤を用いて製造した場合のマクロモノマー(A1)の構造は、前記式(1)に該当するものである。
ビニル単量体(B)からなる重合体に付加できる官能基を持つマクロモノマー(A1)の製造方法としては、例えば、該当の官能基を有するビニル単量体を共重合する方法、チオグリコール、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を用いて官能基を導入する方法、開始剤を用いて官能基を導入する方法が挙げられる。
マクロモノマー(A1)を製造する際の重合方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法及び懸濁重合法、乳化重合法等の水系分散重合法が挙げられる。
重合体にラジカル重合性基を化学的に結合させる方法としては、例えば、ハロゲン基を有する重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素-炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法、酸基を有するビニル系単量体とエポキシ基を有するビニル系重合体とを反応させる方法、エポキシ基を有するビニル系重合体と酸基を有するビニル系単量体とを反応させる方法、水酸基を有するビニル系重合体とジイソシアネート化合物とを反応させ、イソシアネート基を有するビニル系重合体を得て、このビニル系重合体と水酸基を有するビニル系単量体とを反応させる方法が挙げられ、いずれの方法によって製造されても構わない。
<ビニル単量体(B)由来の構成単位>
ビニル単量体(B)由来の構成単位は、炭素数6~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位と、極性基を有するビニル単量体(B2)由来の構成単位とを含む。
アルキル(メタ)アクリレート(B1)は、炭素数6以上30以下のアルキル基を有する。
アルキル基の炭素数が6以上であれば、貼合時(例えば70℃程度の高温下)の凹凸追従性、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさ、耐屈曲性がより優れる傾向がある。アルキル基の炭素数が30以下であれば、貼合時(例えば70℃程度の高温下)の凹凸追従性、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさ、耐屈曲性がより優れる傾向がある。アルキル基の炭素数は、6~14が好ましく、6~10がより好ましい。
アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、直鎖と分岐鎖が混在していてもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(B1)の具体例としては、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート(B1)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(B1)は、重合速度が大きく、高分子量の本共重合体が得られやすい観点から、アクリレートであることが好ましい。
ビニル単量体(B2)は、極性基を有する。ビニル単量体(B2)に由来する構成単位を含むことで、ビニル単量体(B)の重合体成分の極性が高まり、共重合体(I)が相分離を起こしやすくなる。また、粘着性にも優れる。
極性基としては、例えば水酸基、ポリアルキレングリコール基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ポリアルキレングリコール基におけるアルキレン基の炭素数は、2~4が好ましく、2が特に好ましい。
極性基としては、粘着シートの金属等に対する耐腐食性の観点では、水酸基、ポリアルキレングリコール基、アミド基及びアミノ基が好ましい。
貼り合わせる被着体表面の親水性が高く、被着体表面の蒸留水に対する接触角が例えば60度以下である場合には、粘着力の観点から、極性基としては水酸基が好ましい。
極性基は、ビニル単量体(B2)のエチレン性不飽和結合を構成する炭素原子に直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、-C(=O)-O-C2q-、-O-C2q-が挙げられる。qは1~12の整数であり、2~6の整数が好ましい。
ビニル単量体(B2)に由来する構成単位の側基の長さが長い方が、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさがより優れる傾向がある。そのため、極性基がポリアルキレングリコール基以外の基(例えば水酸基やカルボキシ基)である場合、極性基は、連結基を介して結合していることが好ましい。
ビニル単量体(B2)の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシブチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシ基含有単量体、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート、N-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド等のアミド基含有単量体等が挙げられる。ビニル単量体(B2)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。ビニル単量体(B2)は、(メタ)アクリル系単量体でもよく、(メタ)アクリル系以外の単量体でもよく、これらを組み合わせてもよい。ビニル単量体(B2)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。ビニル単量体(B2)は、(メタ)アクリル系単量体でもよく、(メタ)アクリル系以外の単量体でもよく、これらを組み合わせてもよい。
ビニル単量体(B2)としては、被着体表面の親水性が高い場合の粘着力の観点、低温時の柔らかさの観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキル基の炭素数が2~6のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、重合速度が大きく、高分子量の本共重合体が得られやすい観点から、アクリレートであることが好ましい。
ビニル単量体(B)由来の構成単位は、アルキル(メタ)アクリレート(B1)及びビニル単量体(B2)以外のビニル単量体(B3)由来の構成単位をさらに含んでいてもよい。
ビニル単量体(B3)としては、セグメント(A)を得るための単量体と同等のものを用いることができる(ただし、アルキル(メタ)アクリレート(B1)及びビニル単量体(B2)を除く)。ビニル単量体(B3)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。ビニル単量体(B3)は、(メタ)アクリル系単量体でもよく、(メタ)アクリル系以外の単量体でもよく、これらを組み合わせてもよい。
ビニル単量体(B3)としては、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B3-1)が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(B3-1)が有するアルキル基の炭素数は、低温(例えば-20℃)使用時の柔らかさの点から、2~4が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(B3-1)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート(B3-1)は1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。
アルキル(メタ)アクリレート(B3-1)は、重合性の点から、アルキルアクリレートであることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(B3-1)と他のビニル単量体(B3)とを併用してもよい。
他のビニル単量体(B3)としては、前記したセグメント(A)を得るための単量体のなかから適宜選択できるが、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、スチレン等が好ましい。
セグメント(A)をビニル単量体(B)からなる重合体に付加させる場合は、ビニル単量体(B)はセグメント(A)の官能基と反応できる官能基を有するものを含むことが適している。
共重合体(I)は、マクロモノマー(A1)由来の構成単位を有するセグメント及びビニル単量体(B)由来の構成単位を有するセグメントを持つ。共重合体(I)中には、マクロモノマー(A1)由来の構成単位のみを有する重合体、1種又は2種以上のビニル単量体(B)由来の構成単位を有する重合体、未反応のマクロモノマー(A1)及び未反応のビニル単量体(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
共重合体(I)を構成する全ての構成単位100質量%に対するマクロモノマー(A1)由来の構成単位の割合は、1~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。マクロモノマー(A1)由来の構成単位の割合が前記下限値以上であれば、相分離の力が強くなり、非貼合時の形状保持力がより優れる傾向があり、前記上限値以下であれば、粘着シートの低温環境下での柔軟性がより優れ、常温下で相分離構造が崩れにくくなり、非貼合時の形状保持力がより優れる傾向がある。前記マクロモノマー(A1)由来の構成単位の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
共重合体(I)を構成する全ての構成単位100質量%に対するビニル単量体(B)由来の構成単位の割合は、70質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上97質量%以下がより好ましく、75質量%以上97質量%以下がより好ましく、80質量%以上97質量%がさらに好ましく、85質量%以上95質量%以下がより一層好ましく、85質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
共重合体(I)を構成する全ての構成単位100質量%に対するアルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位の割合は、10~90質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。アルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位の割合が前記下限値以上であれば、低温使用時の柔らかさ、耐屈曲性がより優れる傾向があり、前記上限値以下であれば、常温下で相分離構造が崩れにくくなり、非貼合時の形状保持力がより優れる傾向がある。前記アルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位の含有量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
共重合体(I)を構成する全ての構成単位100質量%に対するビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合は、1~80質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい。ビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合が前記下限値以上であれば、相分離の力が強くなり、非貼合時の形状保持力がより優れる傾向があり、また、粘着力もより優れる傾向がある。ビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合が前記上限値以下であれば、貼合時に相分離構造が崩れやすく、凹凸追従性がより優れる傾向がある。前記ビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
共重合体(I)の数平均分子量(Mn)は、30000~300000が好ましく、40000~200000がより好ましく、40000~100000がさらに好ましい。共重合体(I)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、粘着層の耐久性が良好となる傾向にあり、前記上限値以下であれば、樹脂組成物の塗工性が良好となる傾向にある。
共重合体(I)の数平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は、50000~2000000が好ましく、100000~1500000がより好ましく、300000~1000000がさらに好ましい。共重合体(I)の重量平均分子量が前記下限値以上であれば、粘着層の耐久性が良好となる傾向にあり、前記上限値以下であれば、樹脂組成物の塗工性が良好となる傾向にある。
共重合体(I)の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
共重合体(I)の130℃における溶融粘度は、20~800Pa・sが好ましく、20~600Pa・sがより好ましく、50~600Pa・sがさらに好ましく、100~500Pa・sが特に好ましい。共重合体(I)の130℃における溶融粘度が前記範囲内であれば、本樹脂組成物をそのまま加熱して塗工するホットメルト法による塗工が可能となる。
溶融粘度は、例えば株式会社ユービーエム製の粘弾性測定装置Rheosol-G5000を用いて測定することができる。本発明においては、25mmφのコーンプレートを用い、130℃で歪み0.7%、0.02Hzで測定した時の粘度(η*)値を130℃における溶融粘度の値とした。
共重合体(I)は、比誘電率が3.5以下であることが好ましい。比誘電率が3.5以下であれば、タッチパネルに搭載された時の粘着層の薄膜化が可能になり、またタッチパネルの応答性が良好になる。
共重合体(I)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、マクロモノマー(A1)がラジカル重合性基を有する場合は、マクロモノマー(A1)、アルキル(メタ)アクリレート(B1)及びビニル単量体(B2)を含む単量体混合物を重合する方法を用いることができる。単量体混合物は、ビニル単量体(B3)をさらに含んでいてもよい。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法等、公知の重合方法によって製造することが可能である。本樹脂組成物は粘着剤に用いられるため、溶液重合法が好ましい。
マクロモノマー(A1)が付加反応性の官能基を有し、ビニル単量体(B)の少なくとも一部がマクロモノマー(A1)の官能基と反応できる官能基を有する場合は、ビニル単量体(B)の重合体とマクロモノマー(A1)とを反応(付加反応)させる方法を用いることができる。
本樹脂組成物は、マクロモノマー(A1)由来の構成単位のみを有する重合体、ビニル単量体(B)由来の構成単位のみを有する重合体、未反応のマクロモノマー(A1)及び未反応のビニル単量体(B)の少なくとも1種を含むことができる。
(メタ)アクリル系共重合体は、実施形態に係る粘着シートにおいて、要件(1)のクリープ歪が調整しやすく、凹凸追従性に優れた粘着シートを得やすい点では、炭素数8以上30以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位と、アルキル(メタ)アクリレート(a)以外のビニル単量体(B)由来の構成単位とを含み、前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、極性基を含むビニル単量体(B2)由来の構成単位を有する共重合体(「共重合体(II)」とも記す。)であることが好ましい。
炭素数8以上30以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)および、アルキル(メタ)アクリレート(a)以外のビニル単量体(B)としては、前述した共重合体(I)を得るための単量体と同等のものを用いることができる。
共重合体(II)を構成する全ての構成単位100質量%に対するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合は、1質量%以上60質量%以下が好ましく、3質量%以上50質量%以下がより好ましく、3質量%以上40質量%以下がさらに好ましく、3質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上30質量%以下がより一層好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましい。上記割合であることにより、低温環境下での柔軟性に優れた粘着シートが得られる傾向がある。前記アルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
共重合体(II)を構成する全ての構成単位100質量%に対するビニル単量体(B)由来の構成単位の割合は、40質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上97質量%以下がより好ましく、60質量%以上97質量%以下がより好ましく、65質量%以上97質量%以下がさらに好ましく、70質量%以上95質量%以下がより一層好ましく、70質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
本共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対するビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、2質量%以上15質量%以下がさらに好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。ビニル単量体(B2)由来の構成単位を上記範囲で含むことにより、フレキシブル性に優れた粘着シートが得られる傾向がある。前記ビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
本樹脂組成物中の(メタ)アクリル系共重合体の含有量は、粘着剤組成物100質量%中、50質量%以上99.5質量%以下が好ましく、75質量%以上99質量%以下がより好ましく、90質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。前記(メタ)アクリル系共重合体の含有量の下限と上限は任意に組み合わせることができる。
粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系共重合体の含有量は、100質量%としてもよい。
(他の成分)
本樹脂組成物は、通常の粘着剤組成物に配合される公知の成分を含有してもよい。
例えば、耐熱性、熱伝導性、難燃性、電気伝導性等を付与するために、充填剤を含有させることができる。充填剤としては、例えば、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末等の金属系粉末、アセチレンブラック等のカーボンブラック、タルク、ガラスパウダー、シリカ粉末、導電性粒子、ガラス粉末等の無機充填剤;ポリエチレン粉末、ポリエステル粉末、ポリアミド粉末、フッ素樹脂粉末、ポリ塩化ビニル粉末、エポキシ樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋した粘着層を形成するために、(メタ)アクリル系共重合体に官能基を導入し、本樹脂組成物に架橋剤や重合開始剤を含有させることもできる。
架橋剤としては、例えばイソシアネート系、エポキシ系、金属キレート系、光硬化系、メラミン系、アジリジン系等が挙げられる。2種以上の架橋剤を組み合わせて使用することもできる。
イソシアネート系の架橋剤としては、例えばキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記芳香族ポリイソシアネートの水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの2量体又は3量体、これらのポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオールとからなるアダクト体が挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を併用することができる。
エポキシ系の架橋剤としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジンが挙げられる。
金属キレート系の架橋剤としては、例えば多価金属が有機化合物と共有結合又は配位結合しているものが挙げられる。多価金属としては、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、銅、鉄、スズ、チタン、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウムが挙げられる。共有結合又は配位結合する有機化合物としては、アセチルアセトン等のケトン化合物、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物等の、酸素原子を持つものが挙げられる。
メラミン系の架橋剤としては、例えばヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂が挙げられる。
アジリジン系の架橋剤としては、例えばテトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N’-ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)が挙げられる。
本樹脂組成物は、光重合開始剤等の反応開始剤を添加し、又は架橋剤、ビニル単量体、オリゴマー成分から選ばれる少なくとも1種、及び光重合開始剤等の反応開始剤を添加し、紫外線照射等によって架橋させることができる。
[光重合開始剤]
本樹脂剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体に加えて、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、紫外線や可視光線等の光、より具体的には、波長200nm~780nmの光を照射することによって活性なラジカル種を発生する化合物を使用できる。
開裂型光開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、及びそれらの誘導体が挙げられる。
水素引抜型光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイル蟻酸メチル、ビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、及びそれらの誘導体が挙げられる。
光重合開始剤としては、開裂型光開始剤及び水素引抜型光開始剤のいずれであってもよく、それぞれ単独に使用しても両者を混合して使用してもよく、さらに、各々について1種又は2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤として水素引抜型光開始剤を用いた場合、(メタ)アクリル系共重合体からも水素引抜反応を起こして、活性エネルギー線硬化性化合物のみならず(メタ)アクリル系共重合体も架橋構造に取り込まれ、架橋点が多い架橋構造を形成することができる点で好ましい。
反応開始剤と共に用いられる架橋剤としては、例えば(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート、或いはイソシアネート基、エポキシ基、メラミン基、グリコール基、シロキサン基、アミン等の官能基を2個以上有する多官能有機樹脂、或いは亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、ジルコニウム、カルシウム等の金属錯体を有する有機金属化合物が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
中でも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル系単量体がより好ましい。
(メタ)アクリル系単量体の分子量は、硬化物に適度な柔軟性を付与する観点から、200以上が好ましく、300以上がより好ましく、400以上がさらに好ましく、500以上が特に好ましい。なお、かかる分子量の上限は通常3000未満であり、好ましくは2000以下である。
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられる。中でも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。
実施形態に係る粘着シートを硬化させた際に靭性の高い硬化物が得られること、言い換えれば、適度な柔軟性を有する硬化物が得られることから、(メタ)アクリル系オリゴマーの分子量は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、8000以上がさらに好ましく、10000以上が特に好ましい。なお、かかる分子量の上限は通常100000以下であり、好ましくは50000以下である。
本樹脂組成物が架橋剤、ビニル単量体、オリゴマー成分から選ばれる少なくとも1種を含む場合、架橋剤、ビニル単量体、オリゴマー成分の合計の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して1~10質量部の範囲とすることが好ましい。
本樹脂組成物は、必要に応じて、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、防錆剤、加水分解防止剤等の各種の添加剤を適宜含有させることもできる。反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を適宜含有してもよい。
酸化防止剤の種類としては、例えばフェノール系、リン系、ヒドロキシルアミン系、イオウ系等が挙げられる。中でも、加熱後の樹脂の着色が少ないフェノール系、リン酸系の酸化防止剤が好ましい。これらは単独で使用してもよいし、数種類を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤の含有量は(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~5質量部の範囲とすることが好ましい。
本樹脂組成物は、例えば、前記のようにして(メタ)アクリル系共重合体を製造し、必要に応じて他の成分を添加する方法により製造できる。
本樹脂組成物は、シート成形して粘着シートとして使用することができる。
粘着シートは、溶剤を用いた溶液状態や組成物中の低分子量成分で希釈した溶液状態で塗工することもできるし、溶剤を用いないホットメルト系の粘着組成物として調製することもできる。溶剤を用いないホットメルト系の粘着組成物とすれば、溶剤を用いた粘着組成物に比べて、より厚みを持たせることができるため、例えば画像表示装置の構成部材間の空隙を充填するに足る十分な厚みを持たせることができる。また、他の重合性成分や架橋剤で希釈して塗工した後、紫外線照射や加熱等によって硬化させることもできる。
本樹脂組成物から得られた粘着シートは、様々な部材の接着に際し用いることができ、しかも非常に良好な粘着性能を発現する。例えば透明プラスチックフィルムに適用することにより、あるいは粘着フィルム状に加工することにより、車両用、建築用の窓貼りフィルムの貼合や、ラベル表示におけるラベルの貼合に用いることができる。また透明両面粘着シート状に加工することにより、液晶パネル等の画像表示装置における各種パネルの貼合や、ガラス等の透明板材の貼合等に用いることができる。
また、本樹脂組成物は、溶剤を用いた溶液状態や(メタ)アクリル系共重合体以外の成分で希釈した溶液状態で塗工する場合、前記粘着シートと同様の用途に用いることができる。
本樹脂組成物は、貼合時の凹凸追従性、非貼合時の形状保持力に優れるので、少なくとも一方の部材が表面に凹凸を有する部材(凹凸部材)である部材同士の貼合に有用である。
例えば、凹凸部材と有機発光ダイオード(OLED)を有する部材とを本樹脂組成物で貼合すると、本樹脂組成物が凹凸部材の凹凸を隙間なく埋め、OLED側の表面を平滑にすることで、凹凸模様のない鮮明な画像を表示させることができる。
特に、上記特性に加えて、低温使用時の柔らかさにも優れるので、フレキシブルディスプレイやフォルダブルディスプレイを構成する部材(OLED、保護フィルム、感圧センサの凹凸基板、カメラホールを有する偏光板等)の貼合に好適である。
なお、フレキシブルディスプレイは、淵が無い又は淵が曲面であり、製造時に折り曲げられるディスプレイである。フォルダブルディスプレイは、繰り返しの折り曲げが可能なディスプレイである。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例における「部」は「質量部」を意味する。
実施例中の測定及び評価は、以下に示す方法で行った。
(マクロモノマーの分子量)
マクロモノマー(a)の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、東ソー社製カラム(TSKgel SuperHZM-M×HZM-M×HZ2000(4.6mmID×15cmL)、TSKguardcolumn SuperHZ-L(4.6mmID×2.0cmL))が装着されたGPC装置(東ソー社製、HLC-8320)に上記の溶液10μLを注入し、流量:0.35mL/分、溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤BHT)、カラム温度:40℃の条件でGPCを行い、標準ポリスチレン換算にて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
(共重合体の分子量)
共重合体(A)の0.27質量%テトラヒドロフラン溶液を調製し、東ソー社製カラム(TSKgel SuperHZMH×2(6.0mmID×15cmL)、TSKguardcolumn SuperHZ-H(4.6mmID×3.5cmL))が装着されたGPC装置(東ソー社製、HLC-8320)に上記の溶液10μLを注入し、流量:0.5mL/分、溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤BHT)、カラム温度:40℃の条件でGPCを行い、標準ポリスチレン換算にて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
(不揮発分濃度)
試料をアルミ皿の上に約1g載せ、105℃の送風機付きオーブンで2時間乾燥させ、乾燥前後の質量を電子天秤で測定し、下記式により不揮発分濃度を求めた。
不揮発分濃度(%)=(乾燥後の試料の質量(g)/乾燥前の試料の質量(g))×100
なお、揮発分濃度は下記式により求められる。
揮発分濃度(%)=100-不揮発分濃度(%)
<凹凸追従性>
(クリープ試験)
各例で作製した離型フィルム付き粘着シート(pre-UV)から片面側の離型フィルムを取り除き、ハンドローラーで積層することを繰り返して、複数の粘着シートが厚さ約0.9mmになるように積層され、その両側に離型フィルムが積層された積層体を得た。この積層体を直径8mmの円状に打ち抜いたものをサンプルとした。
上記サンプルについて、離型フィルムを取り除いてレオメータ(T.A.Instruments社製「DHR-2」)へ設置し、測定治具:直径8mmパラレルプレート、温度:25℃、圧力:2000Paにて、600秒後の歪み(クリープ歪)(%)を測定した。
クリープ歪は、1000%以上が好ましく、2000%以上がより好ましい。
<形状保持力>
(保持力)
各例で作製した離型フィルム付き粘着シート(pre-UV)を40mm×50mmに裁断して片面側の離型フィルムを取り除き、裏打フィルムとしてPETフィルム(三菱ケミカル社製、ダイアホイルS-100、厚さ38μm)をハンドローラーで貼着した。これを幅20mm×長さ100mmの短冊状に裁断して試験片とした。次に、残る離型フィルムを剥がし、その長手方向の一端部を、SUS板(120mm×50mm×厚さ1.2mm)に対して、貼着面積が20mm×20mmとなるようにハンドローラーで貼着した。次に、40℃の雰囲気下で、試験片を15分養生させ、試験片の他端部(未貼着部分)に500gf(4.9N)の錘を取り付け、錘側が下側になるようにSUS板を垂直方向に立て掛けて静置した後、錘が落下するまでの時間(秒)を測定し、その値を保持力とした。
保持力は、70秒以上が好ましい、90秒以上がより好ましく、100秒以上がさらに好ましく、200秒以上が特に好ましい。
<低温使用時の柔らかさ>
(貯蔵剪断弾性率G’)
各例で作製した離型フィルム付き粘着シート(pоst-UV)から片面側の離型フィルムを取り除き、ハンドローラーで積層することを繰り返して、複数の粘着シートが厚さ約0.9mmになるように積層され、その両側に離型フィルムが積層された積層体を得た。この積層体を直径8mmの円状に打ち抜いたものをサンプルとした。
上記サンプルについて、離型フィルムを取り除いてレオメータ(T.A.Instruments社製「DHR-2」)へ設置し、測定治具:直径8mmパラレルプレート、周波数:1Hz、測定温度:-50~150℃、昇温速度:5℃/分にて動的粘弾性測定を行い、貯蔵剪断弾性率G’の値を読み取った。
-20℃での貯蔵剪断弾性率G’は、235kPa以下が好ましく、220kPa以下がより好ましく、200kPa以下がさらに好ましい。
<粘着力>
(粘着力)
PETフィルム(三菱ケミカル社製、ダイヤフィルムS-100、厚さ50μm、蒸留水に対する接触角71°)に対して、表面処理として真空プラズマ処理を施し、蒸留水に対する接触角が28°となるPETフィルムを作製し、ソーダライムガラスに貼りあわせた。なお、かかる接触角は、測定雰囲気23℃、50%RHの環境下において、自動接触角計(協和界面科学株式会社製、「DM-501」)用いて液滴法により測定を行った。蒸留水の滴下量は2μLとした。
各例で作製した離型フィルム付き粘着シート(pоst-UV)から片面側の離型フィルムを取り除き、裏打ちフィルムとしてPETフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA4300、厚さ100μm)をハンドローラーで貼着した。これを、幅10mm×長さ150mmの短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、予めソーダライムガラスに貼り合わせたPETフィルムにハンドローラーで貼着した。得られた積層体にオートクレーブ処理(60℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着し、粘着力測定サンプルを作製した。
得られた粘着力測定サンプルについて、下記に示す条件1又は条件2にて、180°をなす角度に剥離速度300mm/分にて引っ張りながら、ソーダライムガラスから裏打ちフィルムを剥離し、ロードセルで引張強度を測定して、粘着力(N/cm)を測定した。
条件1:60℃、10%RH。
条件2:60℃、93%RH。
条件1での粘着力は、1.5N/cm以上が好ましく、2.0N/cm以上がより好ましい。条件2での粘着力は、1.0N/cm以上が好ましく、1.5N/cm以上がより好ましい。
(使用材料)
<マクロモノマー(A1)>
SLMA:メタクリル酸ラウリルと、メタクリル酸ステアリルの混合物、三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルSL。
<炭素数6~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B1)>
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート、三菱ケミカル社製。
nOA:n-オクチルアクリレート、大阪有機化学工業社製。
<極性基を有するビニル単量体(B2)>
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート、三菱ケミカル社製。
HEA:4-ヒドロキシエチルアクリレート、ナカライテスク社製。
AA:アクリル酸。
<アルキル(メタ)アクリレート(B3-1)>
nBA:n-ブチルアクリレート、三菱ケミカル社製。
<開始剤>
AMBN:2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、大塚化学社製。
(マクロモノマー製造例1)
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、SLMAの100部、連鎖移動剤としてビス[(ジフルオロボリル)ジフェニルグリオキシメイト]コバルト(II)の0.00075部、及び酢酸エチルの58部を仕込み、窒素バブリングによって酸素を置換した。次に、重合開始剤としてAMBNの0.4部、及び酢酸エチルの2部を加えた。次に、ウォーターバスで外温を90℃まで昇温し、還流状態で2時間反応させた。次に、AMBNの0.2部、酢酸エチルの20部を1時間かけて滴下し、その後さらに還流状態で2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却してマクロモノマー(SLMA-MM)を含む溶液を得た。この溶液に酢酸エチルを加えることで、不揮発分濃度を50質量%に調整した。
(実施例1)
<共重合体の製造>
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、仕込み溶剤として酢酸エチルの25部及びイソプロピルアルコール(IPA)の1.5部、製造例1で得たマクロモノマー(A)(SLMA-MM)の溶液(不揮発分濃度50質量%)の30部を仕込み、窒素ガス通気下、ウォーターバスで外温を85℃に昇温した。還流状態が安定した後、酢酸エチルの20部、nOA(B1)の26部、4HBA(B2)の8部、nBA(B3-1)の51部、ナイパーBK40 MT(日本油脂社製)の0.13部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、パーオクタO(日本油脂社製)の0.3部と酢酸エチルの15部からなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、酸化防止剤として「イルガノックス1010」(BASF社製商品名)の0.5部、酢酸エチルの23.5部を添加し、室温まで冷却して共重合体(nBA/nOA/4HBA/SLMA-MM=51/26/8/15)を含む溶液(以下、共重合体溶液1とも記す。)を得た。
<離型フィルム付き粘着シートの作製及び評価>
不揮発分として100部となる量の共重合体溶液1、架橋剤(三菱ケミカル社製、紫光UV-3700B)の1.5部、開始剤(IGM社製、Esacure TZT)の1.5部、共重合体溶液1中の揮発分との合計が154.5部となる量の酢酸エチルを配合して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を、シリコーン離型処理された厚さ100μmの離型フィルム(三菱ケミカル社製PETフィルム)上に、樹脂組成物の厚さが200μmとなるようにシート状に展開した。次に、離型フィルムと共に当該シート状の樹脂組成物を、90℃に加熱した乾燥機内に入れて10分保持して樹脂組成物中の溶剤を揮発させた。さらに、溶剤を揮発させた当該シート状の樹脂組成物の上に、シリコーン離型処理された厚さ75μmの離型フィルム(三菱ケミカル社製PETフィルム)を積層した。これにより、厚さ50μmの粘着シート(サンプル)の表裏両側に離型フィルムが積層された離形フィルム付き粘着シート(以下、「離形フィルム付き粘着シート(pre-UV)」とも記す。)を得た。
離形フィルム付き粘着シート(pre-UV)に対し、高圧水銀ランプを用いて、離型フィルムを通して波長365nmの光照射を行い、粘着シートを硬化させた。光照射は、照射量が積算で4000mJ/cmとなるように行った。これにより、硬化した厚さ50μmの粘着シートの表裏両側に離型フィルムが積層された離形フィルム付き粘着シート(以下、「離形フィルム付き粘着シート(pоst-UV)」とも記す。)を得た。
離形フィルム付き粘着シート(pre-UV)について、クリープ歪及び保持力を評価した。離形フィルム付き粘着シート(pоst-UV)について貯蔵剪断弾性率G’及び粘着力を評価した。
(実施例2~5、比較例1~5)
実施例1の<共重合体の製造>において、仕込み溶剤としての酢酸エチル及びIPAの量、マクロモノマー(SLMA-MM)の量、滴下する混合物の組成、パーオクタO又は酸化防止剤と共に添加する酢酸エチルの量を表1に示すようにした以外は実施例1と同様にして、共重合体を含む溶液を調製し、離型フィルム付き粘着シートの作製及び評価を行った。
表2に、各例で得た樹脂組成物に含まれる共重合体のモノマー種別及び分子量(Mn、Mw)、樹脂組成物の不揮発分濃度、樹脂組成物から作製した離型フィルム付き粘着シートの評価結果を示す。
Figure 2023147169000004
Figure 2023147169000005
実施例1~5の樹脂組成物から形成された粘着シートは、60℃でのクリープ歪が1000%以上であったことから、高温下で変形しやすく、貼合時の凹凸追従性に優れることがわかる。また、40℃での保持力が100秒以上であったことから、常温下で変形しにくく形状保持力に優れることがわかる。また、-20℃での貯蔵剪断弾性率G’が220kPa以下であったことから、低温使用時の柔らかさに優れることがわかる。さらに、粘着力も良好であった。
一方、共重合体が構成単位(B1)及び構成単位(B2)を有さない比較例1の樹脂組成物から形成された粘着シートは、実施例1~5に比べ、低温使用時の柔らかさ、粘着力に劣っていた。
共重合体がセグメント(A)を有さない比較例2の樹脂組成物から形成された粘着シートは、常温下での形状保持力に劣っていた。
共重合体が構成単位(B2)を有さない比較例3の樹脂組成物から形成された粘着シートは、常温下での形状保持力、粘着力に劣っていた。
共重合体が構成単位(B1)を有さない比較例4、5の樹脂組成物から形成された粘着シートは、低温使用時の柔らかさに劣っていた。

Claims (10)

  1. セグメント(A)と、ビニル単量体(B)由来の構成単位とを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体である、(メタ)アクリル系共重合体を含み、
    前記セグメント(A)が、炭素数8~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a)由来の構成単位を有し、
    前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、炭素数6~30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位と、極性基を有するビニル単量体(B2)由来の構成単位とを含む、粘着剤用樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記セグメント(A)の割合が、1~30質量%である請求項1に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記アルキル(メタ)アクリレート(B1)由来の構成単位の割合が、10~90質量%である請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル系共重合体を構成する全ての構成単位100質量%に対する前記ビニル単量体(B2)由来の構成単位の割合が、1~80質量%である請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  5. 前記極性基が、水酸基、ポリアルキレングリコール基、カルボキシ基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  6. 前記ビニル単量体(B2)由来の構成単位が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  7. 前記ビニル単量体(B)由来の構成単位が、前記アルキル(メタ)アクリレート(B1)及び前記ビニル単量体(B2)以外のビニル単量体(B3)由来の構成単位を含む請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  8. 前記セグメント(A)の数平均分子量が、1000~30000である請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  9. 前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、50000~2000000である請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
  10. 表面に凹凸を有する部材と有機発光ダイオードを有する部材との貼合用である請求項1又は2に記載の粘着剤用樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024053735A1 (ja) * 2022-09-09 2024-03-14 三菱ケミカル株式会社 重合体、潤滑油用摩擦低減剤、および潤滑油組成物

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