JP2720488B2 - アクリル系粘着剤の製造方法 - Google Patents

アクリル系粘着剤の製造方法

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JP2720488B2 JP63317853A JP31785388A JP2720488B2 JP 2720488 B2 JP2720488 B2 JP 2720488B2 JP 63317853 A JP63317853 A JP 63317853A JP 31785388 A JP31785388 A JP 31785388A JP 2720488 B2 JP2720488 B2 JP 2720488B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アクリル系粘着剤であって、特に粘着保持
力の優れた、溶剤を使用しないイオン架橋型のアクリル
系粘着剤を容易に得ることができる製造方法に関する。
(従来の技術及びその課題) アクリル系粘着剤として、不飽和カルボン酸が共重合
されたアクリル系共重合体に対し金属イオンを含有さ
せ、イオン架橋体を形成させたいわゆるイオン架橋型の
粘着剤が知られている。
このイオン架橋型の粘着剤では、高温溶融時にはイオ
ン架橋が解離し常温では架橋するという可逆的特性を有
しているため架橋反応を促進するための熟成が不要であ
る。また高温溶融状態で塗布することもでき、常温では
架橋により優れた粘着保持力、すなわち粘着後、外力に
より剥離せずその粘着状態を保持できる性能を得ること
ができるものである。
このようなイオン架橋型のアクリル系粘着剤を製造す
る方法として、アクリル系共重合体を溶液重合した後、
溶液状態で有機又は無機金属化合物を添加することで溶
液タイプの粘着剤を得る方法がある。このような溶液タ
イプではフイルム等への粘着剤塗布工程で溶剤を揮発し
除去させなければならないという環境上の問題がある。
また上記アクリル系共重合体を溶液重合した後、溶液
状態で有機又は無機金属化合物を添加後、反応系から溶
剤を留去し、無溶剤タイプの粘着剤を得る方法がある。
この方法では溶剤の留去とともに架橋反応が進行し、系
内は極めて高粘度となる。このため溶剤を完全に留去す
ることが不可能となったり、反応槽から架橋が進行した
粘着剤を取出すことが非常に困難になるという問題があ
る。
本発明は取扱いが容易なイオン架橋型アクリル系粘着
剤の製造方法を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明の製造方法におい
ては、特定のアクリル系共重合体と特定の金属化合物と
を使用し、溶剤を使用せずに溶融混練することにより、
上記問題点を解消できることを見出したものであって、
その要旨とするところは、 側鎖に金属イオンと架橋可能な反応基を有すると共
に、130℃での溶融粘度が5×104〜7×105cpsの範囲の
アクリル系共重合体に対して、金属キレート化合物、金
属アルコラート、カルボン酸金属塩より選ばれてなる有
機金属化合物を添加した後、無溶剤で加熱混合して反応
させることを特徴とするアクリル系粘着剤の製造方法に
存する。
本発明に使用するアクリル系共重合体は、アクリル酸
エステル及び/又はメタクリル酸エステルを60重量%以
上含有するものである。エステルを構成するアルコール
成分としては、例えばブチルアルコール、オクチルアル
コール、2−エチルヘキシルアルコール、ウラリルアル
コール等の一級アルコールが通常使用される。
共重合体中には、さらに酢酸ビニルや塩化ビニル等の
共重合可能なビニルモノマーを含有させてもよい。この
場合のビニルモノマーの使用量は共重合体成分の全原料
中32重量%以下とするのがよく、32重量%を越すもので
はタックが不足しやすい。当該アクリル酸及び/又はメ
タクリル酸エステルには金属イオンと架橋可能な反応基
を少なくとも1以上有する単量体を共重合させる必要が
あり、下記(a)乃至(e)に示した反応基を有する単
量体が好適に使用できる。
(a) カルボキシル基を有する単量体;アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、マイレン酸等。
(b) ヒドロキシル基を有する単量体;2−ヒドロキシ
エチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート等。
(c) アミド基を有する単量体;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−
ブチロールアクリルアミド等。
(d) アミノ基を有する単量体;N,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル
メタクリレート等。
(e) りん酸基を有する単量体;2−アクリロイルオキ
シエチルアシドフォスフェート、2−メタクリロイルオ
キシアシドフォスフェート等。
上記単量体は、一種又は二種類以上含有させてもよ
く、その使用量は、共重合体成分の全原料中0.05〜8.0
重量%程度の範囲で好適に使用できる。使用量が0.05重
量%未満では粘着保持力の向上が見られず、またロール
状に巻取ったテープの側面への粘着剤のしみ出しが起こ
りやすく不都合である。8.0重量%を越すものではタッ
クが不足しやすい。
上記成分からなるアクリル系共重合体は、通常の溶液
重合法等により得られるが、脱溶剤後の粘度特性とし
て、130℃における溶融粘度が5×104〜7×105cpsの範
囲、好ましくは10×104〜5×105cpsの範囲のものが好
適に使用できる。溶融粘度の測定方法は通常のB型粘度
計によればよく、上記溶融粘度が5×105cps未満のもの
では凝集力が不足気味で粘着保持力が低く、また金属化
合物の添加量を増やして凝集力を上げても、タックが不
足する等、粘着特性のバランスが悪くなるという問題が
ある。また7×105cpsを越えるものについては通常の溶
液重合法では共重合が困難になる傾向があり、また得ら
れる粘着剤を塗布することが困難になりやすい傾向が見
られる。
本発明では上記溶融粘度を有するアクリル系共重合体
に特定の有機金属化合物を添加し加熱混合して反応させ
る必要がある。有機金属化合物としては、(i)金属キ
レート化合物、(ii)金属アルコラートおよび(iii)
カルボン酸金属塩から選ぶ必要があり、これらの金属化
合物は、無溶剤で溶融混合により容易にポリマー中に均
一分散でき、また上記アクリル系共重合体中の反応基と
容易に反応し、架橋構造を形成できる。上記(i)乃至
(ii)以外の金属化合物、例えば酸化亜鉛や酸化カルシ
ウム等の無機金属化合物を使用した場合はアクリル系共
重合体に対する相溶性に劣るという問題がある。
ここで、(i)金属キレート化合物としては、キレー
ター成分として、β−ジケトン類(2,4ペンタンジオ
ン、2,4ヘプタンジオン等)、ケトエステル類(アセト
酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)、ヒドロキシカルボ
ン酸類(乳酸エステル、酒石酸等)、ケトアルコール類
(4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−
2−ヘプタノン等)、アミノアルコール類(モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン等)等が挙げられ、こ
れらのキレーターと、キレート結合をなし得る金属、例
えばNa、Be、Mg、Ca、Cu、Pb、Fe、Co、Ni、Zn、Al、T
i、Zr等から形成されるキレート化合物が挙げられる。
また、(ii)金属アルコラートとしては、アルカリ金
属アルコラート類(リチウムプロピナート、ナトリウム
メチラート、セシウムプロピナート等)、アルミニウム
アルコラート(イソプロピレート、sec−ブチレート
等)、チタンアルコラート(テトライソプロピルチタネ
ート、テトラn−ブチルチタネート、ポリトリブチルチ
タネート等)等が使用できる。
(iii) カルボン酸金属塩のカルボン酸としては脂肪
族カルボン酸、芳香族カルボン酸、修酸、クエン酸、ロ
ジン、水添ロジン等があり、金属としてはNa、K、Be,M
g、Ca,Cu,Sn,Pb,Fe,Mn、Co,Ni,Zn,Al,Zr等が使用でき
る。
上記有機金属化合物はアクリル系共重合体に対する添
加量が増加するに従い粘着保持力は改良されるが、ボー
ルタック等の粘着特性が低下するため、上述のアクリル
系共重合体中の反応基に対し当量比で0.05〜2.0の範囲
とするのが好ましい。
本発明では上述したアクリル系共重合体と有機金属化
合物を無溶剤で加熱混合して反応させる必要があるが、
その方法としては、加熱機構を有するニーダー等のバッ
チ式の混練機や、押出機を用いて混練り吐出により連続
して行なうこともできる。架橋前後の粘度等によって、
適宜選択すればよい。
上記の方法で得られた粘着剤はイオン架橋のために、
すでに充分な内部凝集力を有しており、このもの単独で
も粘着剤組成物として使用できるが、必要に応じて粘着
付与剤、可塑剤、安定剤、充填剤等の配合剤を添加して
もよい。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
(実施例) 実施例1〜4 アクリル酸2−エチルヘキシル 57重量% アクリル酸ブチル 40〃 アクリル酸 3〃 上記組成からなる共重合体の40%酢酸エチル溶液を、
減圧下で脱溶剤を行ない、130℃での溶融粘度(B型粘
度計による)が2.3×105cpsのアクリル系共重合体を得
た。
次に加熱機構を有するニーダーにて窒素雰囲気下で16
0℃まで昇温させ、上記アクリル系共重合体100重量部に
対して表1に示した組成の有機金属化合物及び添加剤を
添加し、1.5時間溶融混練することにより粘着剤を得
た。
得られた粘着剤をホットメルト塗布装置により、ポリ
エステルフイルム(PET,38μm)上に塗布厚み20μmと
なるように均一に塗布した。塗布後の各フイルム試料を
用いて「ボールタック」、「保持力」及び「接着力」に
ついて下記の方法で評価した結果を表1に示した。
比較例1 有機金属化合物の代りに酸化亜鉛を使用した以外は、
実施例1〜4と同一内容でフイルム試料を得、その評価
を行なった。
[評価方法] 「ボールタック」;各フイルム試料を、傾斜角度が30
度の傾斜面上に粘着剤層を表面にして置き、フイルムの
上端より傾斜面上10cm離れた所より直径1/32インチ〜32
/32インチの範囲の、径が異なる鋼球を23℃の雰囲気温
度下でころがし、フイルムの上端から傾斜面の下方10cm
以内で静止した鋼球の最大径で示した。
「保持力」;各フイルム試料(18mm×20mm)をステン
レス板(SUS304)上に貼着後、2Kg重のゴムロールで一
往復加圧し、40℃×20分間放置後、ステンレス板を垂直
にし、試料の下端に1Kgの荷重をかけ、試料が落下する
までの時間、又は、この時間が2時間以上の場合は2時
間後のずれ長さを測定した。
「接着力」;各フイルム試料(18mm×20mm)をステン
レス板(SUS304)上に貼着後、2Kg重のゴムロールで一
往復加圧し、23℃×20分間放置後、23℃の雰囲気下300m
m/分の引張速度で180度剥離試験を行なった。
ここで、上記特性は「ボールタック」5以上、「保持
力」として2時間後のずれが5mm以下、「接着力」が400
g/18mm以上の全ての特性を満足するものが粘着テープと
して良好とされる。
表1から本発明により得られた実施例1乃至4の粘着
剤は、充分な保持力を有しており、その他の粘着特性も
優れていることが判る。これに対して、有機金属化合物
を使用しない比較例1についてはアクリル系共重合体の
架橋が不充分なため粘着特性が劣ることが判る。なお比
較例1の粘着剤は酸化亜鉛が充分に溶解せず白濁が見ら
れた。
実施例5〜7、比較例2〜3 実施例1〜4に示した組成のアクリル系共重合体であ
って、130℃での溶融粘度が表2に示した数値を有する
各共重合体を使用し、ビスアセチルアセトナト亜鉛を上
記共重合体100重量部に対し表2に示した重量部を添
加、実施例1〜4と同様な操作により各試料を得た。つ
いで、実施例1〜4と同様に「ボールタック」、「保持
力」及び「接着力」について測定した結果を表2に示し
た。
表2から本発明により得られた実施例5〜7の粘着剤
は、充分な保持力を有し、かつ他の粘着特性についても
優れていることが判る。これに対して、130℃溶融粘度
が低いアクリル系共重合体を用いた比較例2については
保持力が不足しており、また保持力を改良するために有
機金属化合物の添加量を増加した比較例3ではタックが
不足することが判る。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の方法によれば粘着保持
力の優れたイオン架橋型のアクリル系粘着剤を容易に得
ることができ、各種粘着テープ等への利用性が大であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 喜三 滋賀県長浜市三ツ矢町5番8号 三菱樹 脂株式会社長浜工場内 (56)参考文献 特開 昭50−139135(JP,A) 特開 平1−249872(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖に金属イオンと架橋可能な反応基を有
    すると共に、130℃での溶融粘度が5×104〜7×105cps
    の範囲のアクリル系共重合体に対して、金属キレート化
    合物、金属アルコラート、カルボン酸金属塩より選ばれ
    てなる有機金属化合物を添加した後、無溶剤で加熱混合
    して反応させることを特徴とするアクリル系粘着剤の製
    造方法。
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