JP4888690B2 - 光配向膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は異方性を有する光を基板上に設けられた塗膜に照射することで、液晶配向性を有する膜を得る液晶配向膜(以下、光配向膜と略す)の製造方法に関する。
液晶分子を特定の方向に配列させる技術は、TN、IPS、VA等の液晶表示素子にみられるように液晶の分子配列状態を電場等により可逆的に変化させ、これに伴う光学的特性変化を利用したものや、位相差フィルム、偏光板、等の光学フィルターにみられるように液晶の分子配列状態を固定化することにより、屈折率、誘電率、磁化率等の異方性を利用したものなど、多くの分野で応用されている。多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられるが、ここで、液晶分子を特定の方向に配列させるためには、液晶分子と基板の間に液晶を特定の方向に配列させる機能を有する膜(以下、液晶配向膜と略す)を基板側に施しているのが一般的である。
通常、液晶配向膜は、ガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦する、ラビングという配向処理法を施した状態で用いられる。この状態で、光配向膜に接する液晶分子はその長軸(ダイレクタ)がラビングの方向に平行になるように配列する。しかしながら、ラビング法は製造装置が簡単であるという利点を有するものの、製造工程において液晶配向膜表面に生じた傷や塵が原因で配向欠陥が発生し、得られる液晶表示素子の表示特性に悪影響を与えることがあった。また、近年多く用いられているTFT方式の液晶セルではラビング工程で発生する静電気のためあらかじめ基板に設けられたTFT素子が破壊され、これが製造時の歩留まり低下の原因にもなっている。
これに対し、近年ラビングを行わない液晶配向処理技術が注目されている。とりわけ、偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射して、液晶配向を生じさせる光配向法は簡便であり、盛んに研究が行われている。この光配向法は、有機分子中の光配向機能を発現させる光配向性基、例えばアゾ基等の光異性化や再配列によるもの、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基等の光二量化によるもの、ベンゾフェノン基等の光架橋やポリイミド樹脂等の光分解によるもの等が報告されている。
これらの中では、アゾ基等の光異性化や再配列による光配向法が最も感度(ここでいう感度とは、十分な配向規制力が得られるのに必要な照射エネルギーが小さいことを意味する。)が高いことから数々の検討がなされている。例えば、式(A)で表される二色性染料に異方性を有する光を照射して光配向膜を製造する方法が知られており、(例えば、参考文献1,特許文献1参照)、また、これら光配向性基の配向状態を安定させる目的で、配向性基を固定化することも検討されている(例えば、特許文献2参照)。該二色性染料は低分子なので簡単に配向でき、更に2個以上の重合性基を有し容易に重合させることができるので、長期安定性に優れる光配向膜を得ることができる。
Figure 0004888690
しかし、前記二色性染料等を使用しても、ラビング法のように短時間で配向膜を作成することは困難であった。特に、十分な液晶配向を得るために異方性の大きな配向膜、即ち、高いオーダーパラメーターの配向膜を得ようとする場合、大きい照射エネルギーの照射や長時間の光照射が必要である。しかも、大きい照射エネルギーの照射においても十分な液晶配向性が得られないこともあった。
また、最近液晶表示素子の製造において頻繁に用いられる液晶滴下法においても、前記文献に記載の光配向膜は適応させることが難しい。
液晶滴下法では、まず、一方の基板の周囲(全周)にシール剤を塗布し、次に、当該基板又は他方の基板面上に所定量の液晶滴下する。その後、2枚の基板を真空中で貼り合わせ、大気圧に戻すことにより基板の貼合せと液晶の注入及び封止とをほぼ同時に行う。しかし、前記文献に記載の光配向膜を使用した場合、液晶を滴下した部分に液晶滴下形状のむらが残りやすく、液晶表示素子の特性低下や歩留まりの悪化を招くという問題点があった。
即ち、少ない照射エネルギー量でも高いオーダーパラメーターを有する液晶配向を付与でき、且つ、液晶滴下法にも使用可能な光配向膜はまだ得られていないのが現状である。
特開平5−232473号公報 特開2002−250924号公報 Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2000 (352), p27, Molecular Crystals and Liquid Crystals,2001(360),p81, Liquid Crystals, 2002(29), p1321
本発明の課題は、少ない照射エネルギー量でもオーダーパラメーターが高く、且つ、液晶滴下法においても滴下むら等を生じることのない光配向膜を提供することにある。
十分な液晶配向を得るためには、大きい照射エネルギー量や長時間の光照射が必要である。小さい照射エネルギー量及び短時間の光照射では、液晶に配向付与できるオーダーパラメーターが不十分なことが多い。しかし、光照射を行いながら、または、光照射を行った後に、該光配向膜用塗膜を冷却する冷却工程を設けた光配向膜を用いて液晶配向を行うと、液晶配向付与できるオーダーパラメーターが大きく上昇することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、1分子中に光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を少なくとも1つ以上有する化合物を含有する光配向膜用組成物を基板上に塗布して光配向膜用塗膜を作成後、該塗膜に光照射を行う光配向膜の製造方法において、
光照射を行いながら、または、光照射を行った後に、該光配向膜用塗膜を冷却する冷却工程を有する光配向膜の製造方法を提供する。
本発明の製造方法により、少ない照射エネルギー量でもオーダーパラメーターが高く、且つ、液晶滴下法においても滴下むら等を生じることのない光配向膜を得ることができる。
本発明の製造方法は、1分子中に少なくとも1個の光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を有する化合物(以下、光配向性基を有する化合物と略す)を含有する光配向膜用組成物を基板上に塗布した後、異方性を有する光を照射し、その後冷却することを特徴とする。
(光配向膜用組成物)
本発明で用いる光配向膜用組成物は光配向性基を有する化合物を溶剤に溶解させ、必要に応じて添加剤等を添加した形態を有する。その固形分比は少なくとも0.2質量%以上となることが必要である。中でも0.5〜10質量%の範囲が好ましい。
(光配向性基を有する化合物)
本発明で用いる光配向性基を有する化合物としては、例えばシンナモイル骨格、クマリン骨格、カルコン骨格、ベンゾフェノン骨格等の光二量化反応を発現する基を有する化合物、アゾ骨格やアントラキノン骨格等の光異性化反応を発現する基を有する化合物、ポリイミド樹脂等の光分解を生じる樹脂等がある。
中でも、1分子中に少なくとも1個の光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基(以下、光配向性基と略す)を有する化合物が好ましい。特に分子の発色団による光吸収スペクトルが直線偏光の偏波面の方向によって異なる性質(以下、二色性と称す)を示すアゾベンゼン骨格、アントラキノン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格を有する化合物が好ましく、アゾベンゼン骨格、又はアントラキノン骨格を有する化合物は、偏光照射により良好な光配向性を示す点で特に好ましい。
本発明で用いるアゾベンゼン骨格を有する化合物としては公知のものを使用することができる。例えば、ダイレクトイエロー1、ダイレクトイエロー12、ダイレクトイエロー26、ダイレクトイエロー28、ディスパースイエロー7、ディスパースイエロー9、アシッドイエロー9、アシッドイエロー36、アシッドオレンジ8、モルダントイエロー1、モルダントイエロー10、モルダントイエロー12、等が挙げられる。
また、本発明で使用するアゾベンゼン骨格を有する化合物は、重合性基を有していてもよい。重合性基を有するアゾベンゼン誘導体は、例えば、ヒドロキシ基を有するアゾベンゼン誘導体に、公知の方法により、重合性基を有するカルボン酸、重合性基を有するカルボン酸クロライド、重合性基を有するカルボン酸無水物、などを反応させることによって、容易に合成することができる。また、ヒドロキシ基を有するアゾベンゼン誘導体は、公知の方法によって容易に合成することができる。
(重合性基)
重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、アジド基、クロロメチル基、エポキシ基、などが挙げられ、重合性基を有する誘導体としてケイ皮酸誘導体、チミン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、光重合や熱重合が比較的容易なことから、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、マレイミド基、又は(メタ)アクリルアミド基がより好ましい。
また、これらの重合性基は、アルキレン基及び/又はフェニレン基の如き連結基を介して、アゾベンゼン誘導体と結合していてもよく、該連結基は、エステル結合、エーテル結合、イミド結合又はアミド結合を有していてもよい。
光配向性基を有する化合物が重合性基を有する場合は、光配向後、冷却工程を経て、配向性を上昇させた後、その配向状態を重合性基を用いて重合を行い配向を固定化することが好ましい。
本発明で用いるアゾベンゼン骨格を有する化合物の中でも、一般式(1)で表される化合物は、水あるいは極性有機溶媒に高い溶解性を示し、かつガラス等に対して良好な親和性を示す。該化合物を水あるいは極性有機溶媒に溶解してなる光配向膜用組成物を、ガラス等の基板に塗布した後、水あるいは極性有機溶媒を除去するだけで、基板上に一様で、かつ安定な光配向膜用塗膜を形成することができる。
Figure 0004888690
式中、RおよびRは、各々独立して、ヒドロキシ基、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す。RおよびRが重合性官能基であると、光や熱に対する安定性の点で好ましい。重合性基の中では、特に(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。また、マレイミド基は、重合開始剤が不要となるので、より好ましい。
はRがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性官能基の場合、−(A−B−で表される連結基を表し、Xは、Rがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性官能基の場合、−(A−B−で表される連結基を表す。
ここで、A及びAは各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表す。二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き炭素数1〜18の直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチルトリエチレン基、2-メチルトリエチレン基、1-メチルテトラエチレン基、2−メチルテトラエチレン基、1−メチルペンタメチレン基、2-メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基の如き炭素数1〜18の分枝状アルキレン基;p−フェニレン基の如きフェニレン基;2−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−メトキシ-1,4−フェニレン基、2−エトキシ−1,4−フェニレン基、3−エトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5−トリメトキシ−1,4−フェニレン基の如き炭素数1〜18の直鎖状又は分枝上アルコキシ基を有するフェニレン基;2,6−ナフタレンジイル基の如きアリーレン基が挙げられる。B及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、又は−O−CO−NH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA、B,A及びBは同じであっても異なっていても良い。但し、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAは、単結合ではないものとする。R,Rが(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、連結基X、Xとしてアルキレンオキシフェニレン基が−CO−O−結合している形態が、高い配向規制力を得るために、これらの中で特に好ましい。
およびRは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、−OR(ただしRは、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6シクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、又は−CONR(R及びRは、各々独立して水素原子又は炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、またはメトキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシル基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子や塩素原子が挙げられる。ハロゲン化メチル基としては、トリクロロメチル基やトリフルオロメチル基が挙げられる。ハロゲン化メトキシ基としては、クロロメトキシ基やトリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
で表される炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。Rで表される炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル気としては、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
、及び、Rで表される炭素原子数1〜6のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシメチル基、カルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、シアノ基が好ましく、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、またはトリフルオロメチル基は良好な配向性が得られる点で特に好ましい。
また、R及びRは、4,4‘−ビス(フェニルアゾ)ビフェニル骨格の両端のフェニレン基のメタ位に置換していると、優れた光配向膜が得られ、特に好ましい。
およびRは各々独立して、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基又はヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシル基、スルホ基は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属と塩を形成していても良い。これらの中でも、基板表面に均一に光配向膜を形成するためにはガラスやITOなどの透明電極に親和性が高い官能基が好ましく、カルボキシル基又はその塩、スルホ基又はその塩が特に好ましい。また、RおよびRは、4,4’−ビス(フェニルアゾ)ビフェニル骨格の2、2’位に置換していると、優れた光配向性が得られ、特に好ましい。
具体的な構造としては、例えば、下記構造が挙げられる。
Figure 0004888690
Figure 0004888690
本発明で使用する光配向性基を有する化合物は、各々単独で用いることもできるし、2種類以上混合して用いることもできる。
(溶剤)
本発明で使用する光配向膜用組成物に用いる溶剤としては、特に限定はないが、前記化合物が良好な溶解性を示す溶媒が用いられる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等のジオール系溶剤、テトラヒドロフラン、2−メトキシエターノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のエーテル系溶剤、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。これらは、単独で用いることもできるし、2種類以上混合して用いることもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知慣用の添加剤を添加してもよい。
(添加剤)
本発明で使用する光配向膜用組成物を均一に塗布し、膜厚の均一な光配向膜を得るために、用途に応じて溶剤、あるいは添加剤等、その他の成分を用いることもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤、高分子材料等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
また、本発明で使用する光配向膜用組成物を重合させる場合には、重合開始剤を用いる。光照射による重合の場合には、重合開始剤として光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・ガイギー社製「イルガキュア907」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製「イルガキュア651」)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワードプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。中でも、短波長側に吸収のある1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が好ましい。
一方、加熱による重合の場合には、重合開始剤として熱重合開始剤を用いることが好ましい。熱重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4’−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイドの如き過酸化物類;7−アゾビスイソブチルニトリルの如きアゾ化合物類;テトラメチルチウラムジスルフィド、などが挙げられる。
(光配向膜の製造方法)
前記光配向膜用組成物を基板上に塗布乾燥した後に、紫外線、あるいは、可視光線等の異方性を有する光を照射し、光配向性を有する化合物を配向させ、その後、光異性化した光配向膜用塗膜が形成された基板ごと冷却を行い光配向膜を得る。あるいは、光配向膜用塗膜が形成された基板ごと冷却を行いながら、光配向性を有する化合物を配向させて光配向膜を得る。場合によっては、冷却後、重合を行う。
本発明においては、光異性化(以後、光異性化工程と略す)させた後冷却(以後、冷却工程と略す)しても、光異性化させながら冷却しても、液晶配向機能を向上させることができる。以下、光異性化工程と冷却工程とを分けて説明する。
(塗布、基板)
本発明で使用する光配向膜用組成物を、基板上にスピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法によって塗布し、乾燥させることにより光配向膜用塗膜を得る。使用する基板は、液晶表示素子や光学異方体に通常用いられる基板であって、光配向膜用組成物溶液の塗布後の乾燥時、あるいは液晶素子製造時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基板としては、ガラス基板や耐熱性の高分子材料が挙げられる。
(光異性化工程)
前記方法により得た光配向膜用塗膜に、異方性を有する光を照射して液晶配向機能を付与(以下、光異性化工程と略す)して、光異性化した光配向膜用塗膜を作成する。光異性化工程は通常室温で行う。光異性化工程で使用する、異方性を有する光としては、直線偏光や楕円偏光等の偏光、もしくは基板面に対して斜めの方向から非偏光があげられる。偏光は直線偏光、楕円偏光のいずれでも良いが、効率よく光配向を行うためには、消光比の高い直線偏光を用いることが好ましい。
また、光照射装置において偏光を得るためには偏光フィルタ等を用いる必要があるので、膜面に照射される光強度が減少するといった欠点があるが、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する方法では、照射装置に偏光フィルタ等を必要とせず、大きな照射強度が得られ、光配向のための照射時間を短縮することができるという利点がある。このときの非偏光の入射角は基板法線に対して10°〜80°の範囲が好ましく、照射面における照射エネルギ−の均一性、得られるプレチルト角、配向効率等を考慮すると、20°〜60°の範囲が更に好ましく、45°が最も好ましい。
照射する光は、使用する化合物の光配向性基が吸収を有する波長領域の光であれば良い。例えば光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合は、アゾベンゼンのπ→π遷移による強い吸収がある、波長350〜500nmの範囲の紫外線が特に好ましい。
照射光の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レ−ザ−等が挙げられる。特に光配向性基がアゾベンゼン構造を有する場合は、365nmの紫外線の発光強度が特に大きい超高圧水銀ランプを有効に使用することができる。
前記光源からの光を偏光フィルタやグラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムを通すことで紫外線の直線偏光を得ることができる。
また、偏光、非偏光のいずれを使用する場合でも、照射する光は、ほぼ平行光であることが特に好ましい。
(冷却工程)
冷却方法としては、光異性化した光配向膜用塗膜が室温以下に冷却されればよく、例えば、コールドプレート、チャンバー、低温恒温器等、公知慣用の冷却装置で基板ごと冷却を行う。
冷却条件としては、冷却温度が15℃で1分以上が好ましいが、冷却温度が15℃よりも低い場合はその限りではない。冷却温度としては、用いる溶剤の融点以上であればよいが、通常−40℃〜15℃の範囲が好ましい。液晶配向機能が向上した、より安定な光配向膜を得るには10℃以下が好ましく、冷却時間としては5分以上が好ましい。さらに冷却時間を短縮させるには冷却温度は5℃以下が好ましい。
また、結露防止のため、冷却をする際に乾燥空気や窒素、アルゴン雰囲気下で行ってもよいし、乾燥空気や窒素等を基板に吹きかけながら冷却してもよい。
(冷却工程の効果)
なお、本発明の光配向膜の製造方法において、冷却工程によりオーダーパラメーター等の配向性が向上する理由については、次のように推定している。
基板上に光配向膜用組成物を塗布して作成した光配向膜用塗膜中の光配向性基のすべてを、光照射により光異性化反応を生じさせ液晶配向機能を付与するためには、多くのエネルギーと時間が必要とされる。実際上すべての光配向性基を励起することは不可能と考えられる。また、
1)光照射が有効的に機能するのは、光配向膜用塗膜の表面がほとんどである。
2)光配向膜用塗膜が吸光度を有するため、深さ方向の励起が不十分である。
である。
従って、光照射しただけの光異性化した光配向膜用塗膜の深部には、配向しきれない化合物が存在すると考えられ、これが表面化合物の配向を乱す悪影響を及ぼしていると考えられる。
すべての光配向性基を光異性化させなくても配向性を上げるためには、
1)光配向性基を有する化合物間での分子間相互作用により光異性化した光配向膜用塗膜中の該化合物の配向性が上がれば、液晶配向機能が上昇すると考えられる。
2)深さ方向にある光配向基を有する化合物の液晶配向機能も、分子間相互作用により上昇すると、その分子を経由して新たな表面分子の配向にも良い影響を及ぼせる。
等の理由より光配向性基を有する化合物間の分子間力を上げる方法が有効であると考えられる。
冷却工程は、光配向性基を有する化合物の熱運動を抑制することにより、分子間相互作用を促進させ、このことにより光配向膜のオーダーパラメーター、ひいては光配向膜により配向される液晶のオーダーパラメーターが上昇しているのではないかと考えられる。
冷却すると配向性が向上する理由について、分光学的手法、及び、熱分析手法を用いて解析を試みた。
光配向性基を有する化合物として、下記の化合物を使用し、塗布乾燥直後の光配向膜用塗膜(即ち光異性化工程前)、及び、冷却工程後の光配向膜の吸光度を測定した。
Figure 0004888690
この結果、該化合物を含有する光配向膜用塗膜の冷却工程後の吸光度は、光異性化工程前よりも増加することが判った。このことから、冷却により何らかの変化が起こっていることは明らかで、光配向性基を有する化合物間で分子間相互作用が生じたのではないかと考えられる。
一方、光異性化工程前前、光異性化工程後、更に冷却工程後の塗膜について、示差走査熱量計(DSC)を用いて分析したところ、冷却後の塗膜から、室温付近のピークが得られた。これによっても冷却により何らかの変化が起こっていることは確認でき、これは、冷却することで該化合物がなんらかの相変化を起こしたピークではないかと考えられる。即ち、深さ方向にある光配向基を有する化合物が分子間相互作用することで、このようなピークが現れたのではと推定している。
このように、本発明における冷却温度は、冷却後の塗膜のDSC測定により得られるピーク温度と関連があると考えられる。例えば、冷却後の塗膜のピーク温度よりも高い温度で光異性化工程を行い、次に、該ピーク温度よりも低い温度で冷却工程を行うことが有効であると推定される。
(重合工程)
本発明で使用する光配向膜用組成物が重合性基を有する場合は、前記光異性化工程を行い、冷却工程を経て配向性を上昇させた後、その配向状態を重合性基を用いて重合を行い、配向を固定化することが好ましい。
重合工程は、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより行う。活性エネルギー線としては、光配向操作で使用する光と異なる波長の光、即ち、光配向膜用組成物で使用する化合物の光配向性基が吸収しない波長領域の光が好ましく、具体的には、200〜320nmの波長の非偏光な紫外光を照射することが好ましい。これにより、光配向操作で固定されている光配向膜用組成物の配向状態を乱さずに、重合させることができる。
一方、重合工程を加熱によって行う場合は、基板を加熱することによって行われる。加熱温度は、使用する熱重合開始剤の開裂温度にもよるが、通常は80〜300度の範囲が好ましく、80〜200度の範囲が特に好ましく、100〜200度の範囲が更に好ましい。
(用途)
本発明の製造方法で得られる光配向膜は、主に液晶組成物を配向させる目的で用いられ、以下にその例を示すが、これに限定されるものではない。
(液晶表示素子)
本発明の光配向膜の製造方法により得た光配向膜を用いた液晶表示素子の作製方法の一例を以下に述べる。即ち、ITO等の透明電極を設けた二枚のガラス基板の電極を設けた面に、本発明の製造方法に従い光配向膜を作成する。次に光配向膜を設けた面を、スペーサーを介して、かつ、互いの光配向方向が直交するように対向させ、その間隙に液晶を注入する。このようにして作製した液晶セルの外側に、それぞれの基板における光配向膜の配向方向と透過する偏光方向とが一致するように偏光板を貼り付けることによって、TN型液晶表示素子を製造することができる。
(光学異方体)
また、本発明の光配向膜の製造方法により得た光配向膜を用いて、光学異方体を作製することも可能である。製造方法は公知慣例の方法で行われ、以下に一例を示す。
例えば、ガラス基板やプラスチック基板等の基板上に本発明の製造方法に従い光配向膜を作製する。得られた光配向膜上に重合性液晶組成物等の光学異方体の形成が可能な材料を、塗布又は2枚の基板間に挟持させた後、重合させることによって、光学異方体を製造することができる。
以下に本発明を合成例、実施例、及び、比較例によって説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(合成例1)化合物(a)の合成
2,2’−ベンジジンジスルホン酸8.6g(25mmol)に2%塩酸230mlを加え、0〜5℃に保ちながら亜硝酸ナトリウム3.5g(51mmol)の水溶液を少しずつ滴下し、2時間反応させてジアゾニウム塩を調整した。次にサリチル酸6.9g(50mmol)を300mlの5%炭酸ナトリウム水溶液に溶かし、これに前記ジアゾニウム塩混合物を徐々に滴下した。1時間反応後、20%食塩水を加えて沈殿物を得た。この沈殿物を、エタノールと水の混合溶媒で再結晶させて、4.8gの式(a)で表されるアゾ化合物を得た。
Figure 0004888690
(a)
(合成例2)化合物(b)の合成
2,2’−ベンジジンジスルホン酸2.00g(5.81mmol)を3.3%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液28mlに溶解し、0〜5℃で撹拌した。この温度を保ちつつ、水24mlに溶解した亜硝酸ナトリウム0.843g(12.2mmol)を加え、次いで8N塩酸水溶液8.7mlをゆっくり滴下した。滴下終了後、反応液温度を保ちつつ3時間撹拌を続け、ジアゾニウム塩を調整した。次に前述の方法で合成したサリチルアミド1.59g(11.6mmol)を3.3%(w/v)水酸化ナトリウム水溶液60mlに溶解し、0〜5℃に冷却し、撹拌しつつ上記方法で得られたジアゾニウム塩混合物を徐々に滴下した。滴下終了後、反応液温度を保ちつつ一晩撹拌を続けた。反応液に、塩化ナトリウム35gを加え、室温でしばらく撹拌し、生じた沈殿を濾別して粗生成物を得た。得られた粗生成物を2−プロパノールと水の混合溶媒で再結晶させて、合成例2の3.5g(収率80%)を得た。
Figure 0004888690
(b)
光配向膜用組成物(1)の調製
式(c)で示される市販の色素(色素番号14010)1部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)49.5部に溶解させた後、2−ブトキシエタノール49.5部を加え、固形分比1.0%の溶液を作成した。得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(1)を得た。
Figure 0004888690
(c)
光配向膜用組成物(2)の調製
式(d)で示される市販の色素(色素番号24890)を用いた以外は、光配向膜用組成物(1)と同様にして光配向膜用組成物(2)を得た。
Figure 0004888690
(d)
光配向膜用組成物(3)の調製
合成例1で得られた式(a)で示される化合物1部、及び、をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)49.5部に溶解させた後、2−ブトキシエタノール49.5部を加え、固形分比1.0%の溶液を作成した。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(3)を得た。
光配向膜用組成物(4)の調製
合成例1で得られた式(a)で示される化合物0.9部、及び、合成例2で得られた式(b)で示される化合物0.1部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)49.5部に溶解させた後、2−ブトキシエタノール49.5部を加え、固形分比1.0%の溶液を作成した。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(4)を得た。
(照射条件)
超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:20mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射した。
(照射条件A)
超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長300〜500nm付近の可視紫外光(照射強度:50mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射し、光異性化した光配向膜用塗膜を得た。
(照射条件B)
超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:20mW/cm)の直線偏光でかつ平行光を、ガラス基板に対して垂直方向から照射し、光異性化した光配向膜用塗膜を得た。
(照射条件C)
超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、及びバンドパスフィルターを介して、波長365nm付近の無偏光の可視紫外光(照射強度:30mW/cm)の平行光を、ガラス基板の斜め45°の角度から照射し、光異性化した光配向膜用塗膜を得た。
(評価方法 オーダーパラメーター)
オーダーパラメーター(S)
吸光度からオーダーパラメーターを算出し、後述の実施例及び比較例で得た光配向膜の異方性とその方向を評価した。吸光度測定には、偏光可視紫外分光度計を使用した。オーダーパラメーターSの絶対値が大きい程液晶の配向能が高いことを示す。また、アゾ化合物が光配向膜に照射した偏光方向と平行に配向している場合は正の値を、垂直の場合は負の値を示す。
該光配向膜付きガラス基板の最大吸収波長の直線偏光に対する吸光度を測定し、数式(1)により、オーダーパラメーターを算出した。
Figure 0004888690
(1)
(式中、A//は光配向膜の配向のために照射した紫外光の偏光方向と吸光度の測定のために入射する偏光方向とが平行であるときの吸光度を表し、A⊥は光配向膜の配向のために照射した紫外光の偏光方向と吸光度の測定のために入射する偏光の偏光方向とが垂直であるときの吸光度を表す。)
(評価方法 液晶配向性)
後述の実施例及び比較例で得た光配向膜付きガラス基板の光配向膜面の周囲に、直径5μmのシリカビーズを含んだエポキシ系接着剤(商品名「ストラクトボンドXN−5A」:三井化学(株)社製)をディスペンサーを用いてガラス基板の周辺に塗布した。80℃で30分間予備硬化した後、真空下でTFT駆動用液晶組成物(商品名「11−3323」:大日本インキ化学工業(株)社製)をディスペンサーで適量塗布し、接着剤が塗布されていないガラス基板と配向面が上下で直交するように重ね合わせて圧着し、150℃90分で接着剤を硬化させることでTN液晶セルを得た。得られたTN液晶セルの上下に偏光板を置き、クロスニコル状態、及び、パラレルニコル状態でTN液晶セルを外観目視(以下参照)することにより評価を行った。
×:液晶材料は全く配向せず、滴下状むらも存在する。
△:液晶材料の配向は均一であるが、部分的に外観上のむらがある。滴下状むらも存在する。
○:液晶材料の配向は均一で欠陥が全く存在しないが。滴下状むらが若干存在する。
◎:液晶材料の配向が均一で欠陥が全く存在しない。さらに滴下状むらも全くない。
(実施例1〜12 比較例1〜4)光異性化後冷却した例
(実施例1)
光配向膜用組成物(1)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。該塗膜表面に、照射条件Aに従い照射エネルギー3.0J/cmの光照射を行い光異性化させた。次にガラス基板ごとコールドプレート上にのせ、結露防止のために毎分500mlの流量の窒素を塗膜表面に当てながら5℃で5分間冷却し、光配向膜を得た。得られた光配向膜について、オーダーパラメーター、液晶配向性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜12)
実施例1と同様にして、実施例2〜12を評価した。使用した光配向膜用組成物、照射エネルギー、冷却温度、及び結果は表1に記載した。
(比較例1〜4)
実施例1と同様にして、比較例1〜4を評価した。使用した光配向膜用組成物、照射エネルギー、冷却温度、及び結果は表1に記載した。
(実施例13〜19 比較例6〜9)光異性化後冷却した例
(実施例13)光異性化しながら冷却
光配向膜用組成物(1)をスピンコーターでガラス基板上に塗布し、100℃で1分間乾燥した。該塗膜付きの基板をコールドプレート上にのせ、結露防止のために毎分500mlの流量で窒素を塗膜表面に当てながら5℃で冷却し、1000mJ/cmの光照射を行い光配向膜を得た。得られた光配向膜について、オーダーパラメーター、液晶配向性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例14〜20)
実施例13と同様にして、実施例14〜20を評価した。使用した光配向膜用組成物、照射エネルギー、冷却温度、及び結果は表2に記載した。
(比較例5〜9)
実施例13と同様にして、比較例5〜9を評価した。使用した光配向膜用組成物、照射エネルギー、冷却温度、及び結果は表2に記載した。
Figure 0004888690
(実施例1〜12 比較例1〜4)光異性化後冷却した結果
実施例の結果より、冷却処理を施された光配向膜は、オーダーパラメーターが少なくとも2倍以上に増加し、それに伴い、液晶配向性も向上していることがわかる。化合物(a)を光配向性基を有する化合物として用いた実施例5〜9、比較例3及び比較例5を比較すると、比較例3で示したように照射エネルギー100mJ/cm2では、光照射のみでは光異性化した光配向膜用塗膜は十分なオーダーパラメーターを有しない。このため十分な液晶配向性を付与することができない。一方、本発明の製造方法に従った実施例5〜9では、光照射のみでは光異性化した光配向膜用塗膜は十分なオーダーパラメーターを有していないが、冷却工程により光配向膜のオーダーパラメーターが上昇し、良好な液晶配向性を付与することができる。
光照射のみで本発明の配向膜と同様のオーダーパラメーターを得ようとすると、比較例5に示したように10倍もの強さの照射エネルギーを与えねばならず、時間を要するとともに、光分解などの好ましくない現象も生じるため好ましくない。
Figure 0004888690
(実施例13〜19 比較例6〜9)光異性化後冷却した例
この結果、液晶配向膜用組成物(1)を使用した光配向膜は、冷却温度が5℃でオーダーパラメーターの絶対値が0.02増加した。(実施例13と比較例6)
液晶配向膜用組成物(2)を使用した光配向膜は、冷却温度が5℃でオーダーパラメーターの絶対値が0.07増加した。(実施例14と比較例7)
液晶配向膜用組成物(3)を使用した光配向膜は、冷却温度が5℃でオーダーパラメーターの絶対値が0.11増加した。(実施例15と比較例8)また、冷却時の照射エネルギー量を減らしても(実施例16)、冷却温度を12℃にしても(実施例17)、オーダーパラメータは増加した。
液晶配向膜用組成物(3)を使用してオーダーパラメータ0.28を得るには、通常照射エネルギー量が1000mJ/cm必要であるが(参考例)、冷却工程を併用すれば、照射エネルギー量25mJ/cmで同等(0.27)のオーダーパラメータを得ることができる(実施例16)
液晶配向膜用組成物(4)を使用した光配向膜は、冷却温度13℃では0.07、冷却温度が5℃では0.29増加した。(実施例18,19)

Claims (6)

  1. 分子中に光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を少なくとも1つ以上有する化合物を含有する光配向膜用組成物を基板上に塗布して光配向膜用塗膜を作成後、該塗膜に光照射を行う光配向膜の製造方法において、光照射を行いながら、または、光照射を行った後に、該光配向膜用塗膜を−40℃〜15℃に冷却する冷却工程を有することを特徴とする光配向膜の製造方法。
  2. 前記冷却工程が、光異性化した光配向膜用塗膜を−40℃〜15℃の冷却温度で保持する工程である請求項1記載の光配向膜の製造方法。
  3. 前記分子中に光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を少なくとも1つ以上有する化合物が、アゾベンゼン誘導体である請求項1 記載の光配向膜の製造方法。
  4. 前記分子中に光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を少なくとも1つ以上有する化合物が、重合性基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の光配向膜の製造方法。
  5. 前記冷却工程後に、前記分子中に光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を少なくとも1つ以上有する化合物が有する重合性基を重合させる請求項4記載の光配向膜の製造方法。
  6. 前記分子中に少なくとも1個の光異性化反応により液晶配向機能を発現する光配向性基を有する化合物が、一般式(1)
    Figure 0004888690
    (式中、R及びRは、各々独立して、ヒドロキシ基、又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性基を表す。
    は、Rがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、Rが重合性基の場合、−(A−B−で表される連結基を表し、Xは、Rがヒドロキシ基の場合、単結合を表し、R又はRが重合性基の場合、−(A−B−で表される連結基を表す。ここで、AはR又はRと結合し、AはR又はRと結合し、B及びBは各々隣接するフェニレン基と結合する。A及びAは各々独立して単結合、又は二価の炭化水素基を表し、B及びBは各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、又は−O−CO−NH−を表す。m及びnは各々独立して0〜4の整数を表す。但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA、B,A及びBは同じであっても異なっていても良い。但し、二つのB又はBの間に挟まれたA又はAは、単結合ではないものとする。RおよびRは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化メトキシ基、シアノ基、ニトロ基、−OR(ただしRは、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6シクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、又は−CONR(R及びRは、各々独立して水素原子又は炭素原子数1〜6の低級アルキル基を表す)、またはメトキシカルボニル基を表す。但し、カルボキシル基はアルカリ金属と塩を形成していてもよい。
    およびRは各々独立して、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基、又はヒドロキシ基を表す。但し、カルボキシル基、スルホ基はアルカリ金属と塩を形成していても良い。)
    で表される化合物である請求項1に記載の光配向膜の製造方法。
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