JP5504601B2 - 配向膜用組成物、配向膜の製造方法、及び光学異方体 - Google Patents
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Description
このような問題を解決するために、近年ラビングを行わない液晶配向膜作製技術が注目されている。とりわけ、基板上に設けた塗膜に何らかの異方性を有する光を照射することで液晶の配向を得る光配向法は、量産性に優れ、大型の基板にも対応できることから実用化が期待されている。
カルボキシル基
本発明に用いる光配向膜用組成物は、配向材料及びアルコール系溶剤を含有するが、配向材料としては、2色性色素を用いることが好ましい。2色性色素としては、主にアゾベンゼン誘導体のように光異性化反応をする化合物、シンナメート、クマリン、カルコン等の光二量化反応を生じる部位を有する化合物のような公知慣用の化合物を用いることができる。前記化合物の中では、前述したように比較的低温で光配向膜を形成でき、かつ、液晶配向能に優れる光配向膜材料として、例えば、アゾ化合物が知られているので、以下に詳細に説明する。
(アゾ化合物)
本発明で使用するアゾ化合物は一般式(1)で表される化合物が好ましい。
A1及びA2は各々独立して単結合又はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表し、
B1及びB2は各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−又は−O−CO−NH−を表すが、R1及びR2の結合において、−O−O−結合を形成することはなく、
m及びnは各々独立して0〜4の整数を表し(但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA1、B1、A2及びB2は同じであっても異なっていても良く、二つのB1又はB2の間に挟まれたA1又はA2はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表す。)、
R1、及びR2が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合、連結基A1、及びA2としてアルキレンオキシフェニレン基(フェニレン基がB1又はB2と結合するものとする。)を表し、B1及びB2が−CO−O−又は−O−CO−を表す形態が、高い配向規制力を得るために、これらの中で特に好ましい。
アルコキシ基としては、アルキル基部分が、炭素原子数1〜6の低級アルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基又は炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。また、炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜6の低級アルコキシ基で置換された炭素原子数1〜6の低級アルキル基としては、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、アルキル基部分が炭素原子数1〜6のものが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1−メチルエチル基等が挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上の化合物を混合して使用することもできる。
本発明で使用する配向膜用組成物は、塗布性を良好にする目的で、通常溶剤を使用する。使用する溶剤としては特に限定はないが、通常は配向膜用化合物が溶解するような溶媒を使用する。例えば、メタノール、エタノール、1―プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等のジオール系溶剤、テトラヒドロフラン、等のエーテル系溶剤、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、等が挙げられる。
本発明で使用するアルコール系溶剤としては、上記のアルコール系溶剤の他に例えば、2−メトキシエターノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−(メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,3-ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、酢酸ヒドロキシエチル、2−フェニルエタノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
これらは、上記溶剤との組み合わせで使用することができ、2種類以上混合して使用することもできる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、公知慣用の添加剤を添加してもよい。
(含フッ素アルコール系溶剤)
本発明で使用する含フッ素系アルコール溶剤としては、例えば、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、3−(パーフルオロブチル)プロパノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)プロパノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオトドデシル)エタノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール、1H,1H−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H,−ドデカフルオロペンタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、などが挙げられる。
本発明で使用する含フッ素アルコール系溶剤の比率は、配向膜用組成物に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜25%質量%がより好ましい。
本発明の配向膜用組成物の固形分比は、通常0.1質量%以上となるように調製する。中でも0.2〜5質量%となるように調製することが好ましい。
本発明で使用する配向膜用組成物をさらに均一に塗布し、膜厚の均一な光配向膜を得るために、汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤、等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
本願発明においては、前述の配向膜用組成物を用いた配向膜の製造方法を提供するものであるが、配向膜を坦持させる基材については以下に記載するような有機材料からなる基材が好ましく、配向膜用組成物の塗布、乾燥、光異性化の各工程は次のような方法が好ましい。
本発明で使用する基材は、液晶表示素子や光学異方体に通常使用する基材であって、配向膜用組成物溶液の塗布後の乾燥時、あるいは液晶素子製造時における加熱に耐えうる耐熱性を有する有機材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、主にプラスチック基材等が挙げられる。プラスチック基材としては、セルロース誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン、ポリスチレン等を使用することができる。配向膜用組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基材の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基板表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設けても良い。
より具体的には、本発明のプラスチック基材に対する塗布性に優れる効果を発現し易いことから、PETフィルム、ポリアリレート、セルロース誘導体、ポリシクロオレフィン誘導体、等の基材が特に好ましい。
塗布工程において用いられる方法としては、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。又、塗布後は乾燥させ、光配向膜用塗膜を得る。
前記方法により得た光配向膜用塗膜に、異方性を有する光を照射(以下、光異性化工程と略す)して、光配向膜用組成物からなる層に光照射して液晶配向能を生じさせた層(A)(以下層(A)と略す)を作成する。光異性化工程で使用する、異方性を有する光としては、直線偏光や楕円偏光等の偏光、もしくは基材面に対して斜めの方向から非偏光があげられる。偏光は直線偏光、楕円偏光のいずれでも良いが、効率よく光配向を行うためには、消光比の高い直線偏光を使用することが好ましい。
また、光照射装置において偏光を得るためには偏光フィルタ等を使用する必要があるので、膜面に照射される光強度が減少するといった欠点があるが、膜面に対して斜め方向から非偏光を照射する方法では、照射装置に偏光フィルタ等を必要とせず、大きな照射強度が得られ、光配向のための照射時間を短縮することができるという利点がある。このときの非偏光の入射角は基材法線に対して10°〜80°の範囲が好ましく、照射面における照射エネルギ−の均一性、得られるプレチルト角、配向効率等を考慮すると、20°〜60°の範囲が更に好ましく、45°が最も好ましい。
前記光源からの光を偏光フィルタやグラントムソン、グランテ−ラ−等の偏光プリズムを通すことで紫外線の直線偏光を得ることができる。
また、偏光を照射する際に、フォトマスクを使用すれば、光配向膜にパターン状に2以上の異なった方向に液晶配向能を生じさせることができる。具体的には、本発明の光配向膜用組成物を塗布乾燥した後に、基材にフォトマスクを被せて全面に偏光もしくは非偏光を照射し、パターン状に露光部分に液晶配向能を与える。必要に応じてこれを複数回繰り返すことで、複数方向に液晶配向能を生じさせることができる。
さらに場合によっては、前記光異性化工程の後に光配向膜を冷却することもできる。冷却方法としては、光異性化した光配向膜用塗膜が冷却されればよく、例えば、コールドプレート、チャンバー、低温恒温器等、公知慣用の冷却装置で基材ごと冷却を行う。
また、結露防止のため、冷却をする際に乾燥空気や窒素、アルゴン雰囲気下で行ってもよいし、乾燥空気や窒素等を基材に吹きかけながら冷却してもよい。
本発明で得られる光配向膜を予め重合させる場合は、光異性化工程後、親水性基を有する(メタ)アクリレートを重合させる。この場合は、後述の光重合開始剤を添加しておくことが好ましい。重合方法は光照射又は熱でよいが、光照射で行う場合は、光異性化工程で得られた配向状態を乱さないようにするため、アゾベンゼン骨格が持つ吸収帯以外の波長で行われることが好ましいとされる。このような光は、具体的には320nm以下の紫外光であるが、320nm以下の紫外光により光配向膜及び重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、320nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。
本発明で使用する光重合開始剤は公知慣用のものが使用できる。
320nm以下の紫外光で使用できる光重合開始剤としては1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)などが挙げられる。
また、アゾベンゼン骨格が有する光の吸収帯とは異なる光吸収波長帯域を持つ光重合開始剤としては、例えば、特許第3016606号に記載の近赤外線吸収色素と有機ホウ素を組み合わせたもの等が挙げられる。
(本発明の光学異方体の製造方法)
本発明の光学異方体は、前記方法で得た光配向膜層に重合性液晶組成物を積層し、前記光配向膜により配向させた状態で光照射もしくは加熱により重合させて得ることができる。
(方法1)
基材上に、前記光配向膜用組成物の塗膜を作成する工程1と、前記光配向膜用組成物塗膜上に重合性液晶組成物塗膜を作成する工程2と、異方性を有する光を照射して、配向材料を含む層及び液晶分子を配向させながら重合性液晶組成物を重合させる工程3を、この順に行う製造方法。
該方法においては、異方性を有する光を1度照射するだけで、光配向工程と重合とを同時に行うことができるので、効率的である。
基材上に、前記光配向膜用組成物の塗膜を作成する工程1と、前記光配向膜用組成物塗膜に異方性を有する光を照射して光配向膜層を得る工程2と、前記光配向膜用組成物塗膜上に重合性液晶組成物塗膜を作成する工程3と、熱又は光により重合性液晶組成物を重合させる工程4を、この順に行う製造方法。
該方法においては、前記光配向膜用組成物塗膜に直接光を照射するので、より液晶配向能の高い光配向膜を得ることができる。
基材上に、前記光配向膜用組成物の塗膜を作成する工程1と、前記光配向膜用組成物塗膜に異方性を有する光を照射して光配向膜層を得る工程2と、光配向膜中の(メタ)アクリレート基がある場合、熱又は光により重合させる工程3と、前記光配向膜用組成物塗膜上に重合性液晶組成物塗膜を作成する工程4と、熱又は光により重合性液晶組成物を重合させる工程5を、この順に行う製造方法。
該方法においては、機械的、あるいは化学的強度に優れた光配向膜が得られ、光配向膜を形成した基板を積み重ねたり巻き取ったりするプロセスが含まれる場合には好適である。また、光配向の工程を光重合の工程とは分けて行うので配向規制力の制御が容易である。
これら方法は光学異方体の製造プロセスに応じて適宜選択すればよい。重合性液晶を塗布する工程の前に光配向膜が他の基板等や装置などの物体に接することがないようなプロセスでは、(方法1)又は(方法2)が、重合操作が一度で済み簡便であり好ましく、(方法2)が、配向に優れた光学異方体が簡便に得られるのでさらに好ましい。一方、重合性液晶を塗布する工程の前に、基板の堆積あるいは巻き取りにより光配向膜が他の基板等や装置などの物体に接する可能性がある場合には光配向膜の構造を固定化するために(方法3)を選択することが好ましい。
本発明において、重合体層(B)を構成する重合可能な液晶組成物において、重合性基を有する液晶化合物は、単独または他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す。重合性基を有する化合物であれば、特に限定はない。例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、 あるいは特開2004−149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、 あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)や、特開平7−146409号公報に記載されているディスコティク重合性化合物が挙げられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
前記重合性液晶組成物を重合させるには、一般には紫外線等の光照射あるいは加熱により行う。光照射によって行う場合に使用する光重合開始剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア651」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。光重合開始剤の使用量は重合性液晶化合物に対して10質量%以下が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
得られた光学異方体の耐溶剤特性や耐熱性の安定化のために、光学異方体を加熱処理することもできる。この場合、前期重合性液晶膜のガラス転移点以上で加熱することが好ましい。通常は、50〜250℃が好ましく、80〜200℃がさらに好ましい。
前記重合性液晶組成物に使用する溶剤としては、特に限定はないが、前記化合物が良好な溶解性を示す溶媒が使用できる。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、添加剤を添加することもできる。
本発明の配向膜用組成物を用いた液晶表示素子の作製は、前記配向膜の作製を除いては、公知慣例の方法で行われるが、以下に示すが、以下に一例を示す。
まず、ITO等の透明電極を有する有機材料からなる基板の電極を設けた面に、本発明の液晶配向組成物を塗布、乾燥し、可視紫外光により配向処理を行う。次に配向膜面を、スペーサーを介して、かつ、互いの配向膜の配向方向が直交するように対向させ、その間隙に液晶を注入する。このようにして作製した液晶セルの外側に、それぞれの基板における配向膜の配向方向と透過する偏光方向とが一致するように偏光板を貼り付けることによって、TN型液晶表示素子を製造することができる。
(実施例1 光配向膜用組成物(1)の調整)
式(A)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。次に溶液1に2−ブトキシエタノール64.5部、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(1)を得た。
光配向膜用組成物(1)において、1H,1H−ペンタフルオロプロパノールを2−(パーフルオロブチル)エタノールに代えた以外は光配向膜用組成物(1)と同様にして、光配向膜用組成物(2)を得た。
(実施例3 光配向膜用組成物(3)の調整)
光配向膜用組成物(1)において、1H,1H−ペンタフルオロプロパノールを1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノールに代えた以外は光配向膜用組成物(1)と同様にして、光配向膜用組成物(3)を得た。
光配向膜用組成物(1)において、1H,1H−ペンタフルオロプロパノールを1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール代えた以外は光配向膜用組成物(1)と同様にして、光配向膜用組成物(4)を得た。
(実施例5 光配向膜用組成物(5)の調整)
式(A)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。溶液1に2−ブトキシエタノール44.5部、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール25部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(5)を得た。
式(A)で表される化合物0.5部を2−(2−エトキシエトキシ)エタノール29.5部に溶解させ、溶液1を得た。次にDA−212(ナガセケムテックス社製)1部を2−ブトキシエタノール64.5部に溶解させ、溶液2を得た。溶液1に溶液2、及び、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(6)を得た。
(実施例7 光配向膜用組成物(7)の調整)
本願発明の効果を明らかにするために、含フッ素アルコール系溶剤を使用しない光配向膜用組成物(8)を作製した。式(A)で表される化合物0.5部をN−メチル−2−ピロリドン29.5部に溶解させ、溶液1を得た。溶液1に2−ブトキシエタノール69.5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(8)を得た。
(比較例2 光配向膜用組成物(9)の調整)
比較例1と同様に、含フッ素アルコール系溶剤を使用しない光配向膜用組成物(9)を作製した。式(A)で表される化合物0.5部を純水29.5部に溶解させ、溶液1を得た。溶液1に2−ブトキシエタノール69.5部を加えた後、得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、光配向膜用組成物(9)を得た。
式(E)で示される化合物15部、式(F)で示される化合物15部をキシレン65部、アニソール5部からなる溶剤に溶解させた後、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)1.2部、式(G)で示されるアクリル共重合体0.3部を加え、溶液を得た。得られた溶液を0.20μmのメンブランフィルターでろ過し、重合性液晶組成物(LC−1)を得た。
実施例1で作製した光配向膜用組成物(1)をスピンコーターで80μmのプラスチックフィルム上に塗布し、50℃で1分間乾燥した。このときの乾燥膜厚は10nmであった。
次に超高圧水銀ランプに波長カットフィルター、バンドパスフィルター、及び、偏光フィルターを介して、波長365nm付近の可視紫外光(照射強度:20mW/cm2)の直線偏光でかつ平行光を、基材に対して垂直方向から照射し、光配向膜を得た。照射量は100mJ/cm2であった。
(目視評価)
A:全く欠陥が観察されない
B:部分的に膜の欠陥が観察される
C:膜の大部分で欠陥が観察される
D:膜が形成できない
光配向膜用組成物(1)に替えて、光配向膜用組成物(2)〜(7)を用いること以外は同様な方法により光配向膜を作製し、膜状態を目視評価した。光配向膜の評価結果を表1に示す。
実施例8と同様な方法で、比較例1及び2で作製した光配向膜用組成物(8)及び(9)について光配向膜を作製し膜状態を目視評価した。評価結果は実施例と併せて表1に示す。
実施例8で得た光配向膜上にスピンコーターで重合性液晶組成物(LC−1)を塗布し、80℃で2分乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm2照射することにより均一な光学異方体を得た。リタデーションは270nmであった。得られた光学異方体の膜状態を観察した結果を、外観評価に従い評価した。その結果を表1に示す。
(外観評価)
A:目視で欠陥が全くなく、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない
B:目視では欠陥は全くないが、偏光顕微鏡観察では無配向部分が存在している
C:目視では欠陥はないが、偏光顕微鏡観察で全体的に無配向部分が存在している
D:目視では一部欠陥が生じており、偏光顕微鏡観察でも全体的に無配向部分が存在している
E:目視で光配向膜全体にむらが生じている
実施例8において、光配向膜用組成物(2)〜(7)を用いて作製した光配向膜を用いた以外は同様にして光学異方体を作製し、膜状態の外観評価を行った。光学異方体の外観評価結果を表1に示す。
比較例3において、光配向膜用組成物(8)又は(9)を用いて作製した光配向膜を用いた以外は同様にして光学異方体を作製し、膜状態の外観評価を行った。光学異方体の外観評価結果を表1に示す。
実施例1〜7の光配向膜用組成物を用いた場合、光学異方体は外観上も欠陥がなく良好で、偏光顕微鏡で観察しても欠陥が見られなかった。
Claims (7)
- 有機材料からなる基材に接触させて使用する光配向膜用組成物であって、配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類は含フッ素アルコール系溶剤であることを特徴とする液晶配向用の光配向膜用組成物であって、前記配向材料がアゾベンゼン誘導体、シンナメート誘導体、クマリン誘導体及びカルコン誘導体から選ばれる1種以上の2色性色素を含有し、光配向膜用組成物中の前記含フッ素アルコール系溶剤の比率が0.1〜50質量%である光配向膜用組成物。
- 少なくとも2種以上のアルコール系溶剤を含有する請求項1記載の光配向膜用組成物。
- 含フッ素アルコール系溶剤が、1H,1H−ペンタフルオロプロパノール、1H,1H−ヘプタフルオロブタノール、2−(パーフルオロブチル)エタノール、3−(パーフルオロブチル)プロパノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロブチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、3−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロオクチル)プロパノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオトドデシル)エタノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)ヘキサノール、1H,1H−トリフルオロエタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H,−ドデカフルオロペンタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、2−パーフルオロプロポキシ−2,3,3,3−テトラフルオロプロパノール及び1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノールから選ばれる1種以上を含有する請求項1又は2記載の光配向膜用組成物。
- 2色性色素が一般式(1)で表されるアゾ化合物を含有する請求項1〜3の何れかに記載の光配向膜用組成物。
A1及びA2は各々独立して単結合又はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表し、
B1及びB2は各々独立して単結合、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−又は−O−CO−NH−を表すが、R1及びR2の結合において、−O−O−結合を形成することはなく、
m及びnは各々独立して0〜4の整数を表し(但し、m又はnが2以上のとき、複数あるA1、B1、A2及びB2は同じであっても異なっていても良く、二つのB1又はB2の間に挟まれたA1又はA2はアルコキシ基によって置換されていてもよい二価の炭化水素基を表す。)、
R3〜R6は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基若しくはそのアルカリ金属塩、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化メトキシ基、ヒドロキシ基、スルホニルオキシ基若しくはそのアルカリ金属塩、アミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基又は(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、ビニル基、ビニルオキシ基及びマレイミド基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す。) - 配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物であって、前記配向材料がアゾベンゼン誘導体、シンナメート誘導体、クマリン誘導体及びカルコン誘導体から選ばれる1種以上の2色性色素を含有し、光配向膜用組成物中の前記含フッ素アルコール系溶剤の比率が0.1〜50質量%である光配向膜用組成物を、有機材料からなる基材に塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射し異方性を付与させることによる配向膜の製造方法。
- 配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物であって、前記配向材料がアゾベンゼン誘導体、シンナメート誘導体、クマリン誘導体及びカルコン誘導体から選ばれる1種以上の2色性色素を含有し、光配向膜用組成物中の前記含フッ素アルコール系溶剤の比率が0.1〜50質量%である光配向膜用組成物を、有機材料からなる基材に塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射した異方性を有する配向膜上に、熱又は光により重合性液晶組成物を積層させたことを特徴とする光学異方体。
- 透明電極を有する有機材料からなる基板上に、配向材料及びアルコール系溶剤を含有し、かつ、アルコール系溶剤の少なくとも1種類が含フッ素アルコール系溶剤である配向膜用組成物であって、前記配向材料がアゾベンゼン誘導体、シンナメート誘導体、クマリン誘導体及びカルコン誘導体から選ばれる1種以上の2色性色素を含有し、光配向膜用組成物中の前記含フッ素アルコール系溶剤の比率が0.1〜50質量%である光配向膜用組成物を塗布、乾燥後に異方性のある紫外線光又は可視光を照射し異方性を付与させることによる配向膜を有し、該配向膜を有する二枚の基板に液晶材料を挟持させたことを特徴とする液晶表示素子。
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