JP4883968B2 - 燃料電池セルの製法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池セル製法に関するものである。
次世代エネルギーとして、近年、燃料電池セルのスタックを収納容器内に収容した燃料電池が種々提案されている。
従来の燃料電池に用いられる燃料電池セルは、導電性支持基板に内側電極、固体電解質、外側電極を順次積層して構成しており、固体電解質、外側電極から露出した内側電極には、外側電極に接続しないようにインターコネクタが設けられている。導電性支持基板には複数のガス通路が形成されている。
一方の燃料電池セルと他方の燃料電池セルとの電気的接続は、一方の燃料電池セルの内側電極を、導電性支持基板に設けられたインターコネクタ、集電部材を介して、他方の燃料電池セルの外側電極に接続することにより行われていた。そして、導電性支持基板は、従来、押出成形されて作製されていた(例えば特許文献1参照)。
特開平2004−234969号公報
しかしながら、従来は、支持基板が押出成形法により作製されていたため、成形体中の有機バインダ量が多く、これにより乾燥工程が長く、また、脱バインダ処理に長時間を要するという問題があった。
即ち、押出成形法では、支持基板材料を含有する坏土に流動性が必要であり、又、所定の口金内を通過させ、所定形状を保持する必要があるため、一般に原料粉末100質量部に対して10〜15質量%の有機バインダを添加する必要があり、これにより成形体の長時間にわたる乾燥が必要となり、脱バインダ処理に長時間を要するという問題があった。
また、上記したように、押出成形法では、有機バインダを多量に含有させる必要があったため、多量の有機バインダの蒸発させるため、乾燥工程中に乾燥割れやクラックが発生することがあり、製品の歩留まり低下を引き起こしていた。
本発明は、成形体の乾燥工程を短時間で行うことができ、短時間で作製できるとともに、製品歩留まりを向上できる新規な燃料電池セル製法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池セルの製法は、内部にガス通路を有する多孔質の燃料電池セル用支持体上に、少なくとも固体電解質、電極が積層された燃料電池セルの製法であって、前記燃料電池セル用支持体を、該燃料電池セル用支持体を形成するための原料粉末、有機バインダ、溶媒および造孔剤の混合物を用いて、前記ガス通路の通路面積を2分割するプレス成形で作製された一対の分割成形体を、前記燃料電池セル用支持体を形成するための原料粉末、有機バインダおよび溶媒を含有するスラリーを介して貼り合わせ、所定温度に加熱し前記有機バインダを除去することにより接合して支持体成形体を作製し、該支持体成形体を焼成して形成することを特徴とする。
このような燃料電池セルの製法では、燃料電池セル用支持体が、ガス通路の通路面積を2分割するような形状の分割成形体をプレス成形により一対作製し、この一対の分割成形体を接合して支持体成形体を作製するため、上記したように、燃料電池セル用支持体を短時間で作製することができるとともに、乾燥工程を短時間で行うことができるため、燃料電池セルを短時間で作製でき、製品歩留まりを向上できる。
即ち、従来は、支持体が押出成形法により作製されていたため、成形体中の有機バインダ量が多く、これにより乾燥工程が長く、また、脱バインダ処理に長時間を要し、さらに
、乾燥工程中に乾燥割れやクラックが発生し、歩留まりを低下させていたが、本発明では、粉末加圧成形により支持体を作製するため、支持体形成粉末中のバインダ量が、原料粉末100質量部に対して2〜7質量部と少なくなり、これにより、支持体成形体の乾燥時間が短くなり、また、脱バインダ処理時間も短くできる。さらに、有機バインダ量が少ないことに起因して乾燥工程での乾燥割れやクラック発生を抑制し、歩留まりを向上することができる。さらに、有機バインダが少ないことに起因して、工程上での温度、湿度などの環境をそれほど管理する必要がなくなり、工程管理が容易となる。
また、従来採用されていた押出成形では、支持基板材料を含有する坏土を所定の口金から押し出すため、内部に形成するガス通路も単純な直線形状しか形成できないが、本発明では、粉末加圧成形で支持体を作製するため、複雑なガス通路、例えば、ミアンダ形状のガス通路の形成が可能となる。
また、本発明の燃料電池セルの製法は、前記支持体成形体は平板棒状であり、ガス通路が長さ方向に形成され、前記支持体成形体の厚み方向に分割された一対の分割成形体により作成されていることを特徴とする。このような燃料電池用支持体の製法では、平板棒状のいわゆる中空平板型の燃料電池セルを短時間で容易に作製でき、製品歩留まりを向上できる。
さらに、本発明の燃料電池セルの製法は、前記ガス通路の通路面積を2分割するようなプレス成形による一対の分割成形体を接合して作製された支持体成形体上に、第1電極成形体、固体電解質成形体が順次積層された積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を焼成する工程と、該焼結体の固体電解質上に前記第2電極を形成する工程とを具備することを特徴とする。このような燃料電池セルの製法では、支持体成形体と、第1電極成形体、固体電解質成形体を同時焼成により形成することができるため、燃料電池セルをさらに短時間で容易に作製することができる。
本発明燃料電池セルの製法では、支持体原料粉末を粉末加圧成形(プレス成形)して支持体成形体を作製するため、支持体成形体中の有機バインダ量を少なくでき、これにより、支持体成形体の乾燥時間が短くなり、また、脱バインダ処理時間も短くできる。また、有機バインダ量が少ないことに起因して乾燥工程での乾燥割れやクラック発生を抑制し、歩留まりを向上することができる。さらに、有機バインダが少ないことに起因して、工程上での温度、湿度などの環境をそれほど管理する必要がなくなり、工程管理が容易となる。また、粉末加圧成形で支持体成形体を作製するため、複雑なガス通路、例えば、ミアンダ形状のガス通路の形成が可能となる。
本発明の製法で得られた中空平板状の燃料電池セルは、図1に示すように、支持基板33a上に、燃料側電極(第1電極)33b、固体電解質33c、酸素側電極(第2電極)33d、インターコネクタ層33eを積層して構成されている。
即ち、支持基板33aは、板状かつ棒状の多孔質体であり、その内部には、長さ方向に断面円形状のガス通路34が貫通して設けられ、その下面には、多孔質な燃料側電極33b、緻密質な固体電解質33c、多孔質な酸素側電極33dが順次積層され、また上面には、緻密質なインターコネクタ層33eが積層されている。また、固体電解質33c、この固体電解質33c上に積層された燃料側電極33bは、支持基板33aの下面から、その両側を介して上面まで延設されており、その両端部は、インターコネクタ層33eの両端に接合されており、これにより、支持基板33aの外周面が、長さ方向両端面を除き、絶縁材料である緻密な固体電解質33c又はインターコネクタ層33eにより被覆されている。
そして、燃料電池セルの支持基板33aは、後述するように、ガス通路34の通路面積を2分割するようなプレス成形で作製された一対の分割成形体を接合し、焼成して構成されている。尚、図1に、破線にて接合部分を記載した。ガス通路34を形成する側面において接合面を確認することにより、プレス成形により支持基板33aを作製したか否かを確認できる。
(支持基板33a)
支持基板33aは、断面がほぼ長方形で、全体的に見て板状の導電体とされ、その幅方向両端面は、外側に突出した曲面状とされている。支持基板33aは、燃料ガスを燃料側電極33bまで透過させるためにガス透過性とされている。また、インターコネクタ層33eを介しての集電を行うために導電性であることが要求されるが、このような要求を満たすと同時に、同時焼成により生じる不都合を回避するために、鉄属金属成分と特定の希土類酸化物とから支持基板33aを構成する。
鉄族金属成分は、支持基板33aに導電性を付与するためのものであり、鉄族金属単体であってもよいし、また鉄族金属酸化物、鉄族金属の合金もしくは合金酸化物であってもよい。鉄族金属には、鉄、ニッケル及びコバルトがあり、本発明では、何れをも使用することができるが、安価であること及び燃料ガス中で安定であることからNi及び/またはNiOを鉄族成分として含有していることが好ましい。
また希土類酸化物成分は、支持基板33aの熱膨張係数を、固体電解質33cを形成している希土類元素を含有するZrOと近似させるために使用されるものであり、高い導電率を維持し且つ固体電解質33c等への拡散を防止するために、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prからなる群より選ばれた少なくとも1種の希土類元素を含む酸化物が、上記鉄族成分と組合せで使用される。このような希土類酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、特に安価であるという点で、Y,Ybが好適である。
支持基板33aとインターコネクタ層33eとの間には、より接合を強度にするために中間層を設けてもよい。また、インターコネクタ層33eの外側に、出力を取り出すためにP型半導体などを設けてもよい。
(インターコネクタ層33e)
インターコネクタ層33eは、導電性セラミックスからなるが、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、かかる導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が使用される。また、支持基板33aの内部を通る燃料ガス及び支持基板33aの外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。
かかるインターコネクタ層33eは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜200μmであることが望ましい。即ち、この範囲よりも厚みが薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚みが大きいと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがあるからである。
(燃料側電極33b)
燃料側電極33bは電極反応を生じせしめるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性サーメットから形成される。例えば、希土類元素が固溶しているZrOと、Ni及び/またはNiOとから形成される。この希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)としては、以下に述べる固体電解質33cの形成に使用されているものと同様のものを用いるのがよい。
燃料側電極33b中の安定化ジルコニア含量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65〜35体積%であるのがよい。さらに、この燃料側電極33bの開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのがよく、その厚みは、1〜30μmであることが望ましい。例えば、燃料側電極33bの厚みがあまり薄いと、性能が低下するおそれがあり、またあまり厚いと、固体電解質33cと燃料側電極33bとの間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
(固体電解質33c)
この燃料側電極33b上に設けられている固体電解質33cは、一般に3〜15モル%の希土類元素が固溶したZrO(通常、安定化ジルコニア)と呼ばれる緻密質なセラミックスから形成されている。希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを例示することができるが、安価であるという点からY、Ybが望ましい。
この固体電解質33cを形成する安定化ジルコニアセラミックスは、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、且つその厚みが10〜100μmであることが望ましい。固体電解質33cとしては、安定化ジルコニア以外に、ランタンガレート系ペロブスカイト型組成物から構成されていても良い。
(酸素側電極33d)
酸素側電極33dは、所謂ABO型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成される。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにLaを有するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物の少なくとも1種が好適であり、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaFeO系酸化物が特に好適である。尚、上記ペロブスカイト型酸化物においては、AサイトにLaと共にSrなどが存在していてもよいし、さらにBサイトには、FeとともにCoやMnが存在していてもよい。
また、酸素側電極33dは、ガス透過性を有していなければならず、従って、酸素側電極33dを形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが望ましい。このような酸素側電極33dの厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが望ましい。酸素側電極33dには、酸素ガスや酸素を含有する空気等が供給される。
(燃料電池セルの製造)
以上のような構造を有する燃料電池セルは、以下のようにして製造される。先ず、支持基板成形体を作製する。
支持基板成形体は、例えば、支持基板を形成するための原料粉末100質量部に、2〜7質量部の有機バインダ、100〜200質量部の溶媒、アクリル樹脂等の造孔剤10〜18質量部を添加混合し、乾燥、造粒し、これを図2に示すプレス成形機41を用い、図3に示すような、一対の分割成形体33a1、33a2を作製する。図2を用いて具体的に説明すると、プレス成形機41は、下金型41a、上金型41b、上金型41bを押圧するためのプレス治具41cとを具備して構成されており、下金型41aには、図2(b)に示すように、複数の突条41a1が所定間隔をおいて形成されている。
そして、下金型41a上に、支持基板の原料粉末を収容し、この混合粉末上に上金型41bを配置し、この上金型41bをプレス治具41cにより所定圧力で加圧することにより、図3に示すような分割成形体33a1、33a2をそれぞれ作製する。
この後、一対の分割成形体33a1、33a2を、ガス通路34を形成するように、その接合面間に、支持基板を形成するための原料粉末100質量部に、2〜7質量部の有機バインダ、100〜200質量部の溶媒を添加混合したスラリーを介して、凹部側面を貼り合わせ、所定温度に加熱し、脱バインダ処理し、仮焼処理する。これにより、一対の分割成形体33a1、33a2が接合され、支持基板成形体が作製される。
次に、燃料側電極用材料(Ni或いはNiO粉末と安定化ジルコニア粉末)、有機バインダ及び溶媒を混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて燃料側電極用のシートを作製する。また、燃料側電極用のシートを作製する代りに、燃料極側電極形成用材料を溶媒中に分散したペーストを、上記で形成された支持基板成形体の所定位置に塗布し乾燥して、燃料側電極用のコーティング層を形成してもよい。
さらに、安定化ジルコニア粉末と、有機バインダと、溶媒とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを用いて固体電解質用シートを作製する。
上記のようにして形成された支持基板成形体、燃料側電極用シート及び固体電解質用シートを、図1に示すような層構造となるように積層し、乾燥する。この場合、支持基板成形体の表面に燃料側電極用のコーティング層が形成されている場合には、固体電解質用シートのみを支持基板成形体に積層し、乾燥すればよい。
この後、インターコネクタ層用材料(例えば、LaCrO系酸化物粉末)、有機バインダ及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ層用シートを作製する。
このインターコネクタ層用シートを、上記で得られた積層体の所定位置にさらに積層し、焼成用積層体を作製する。
次いで、上記の焼成用積層体を脱バインダ処理し、酸素含有雰囲気中、1300〜1600℃で同時焼成し、得られた焼結体の所定の位置に、酸素側電極用材料(例えば、LaFeO系酸化物粉末)と溶媒を含有するペースト、及び必要により、P型半導体層形成用材料(例えば、LaFeO系酸化物粉末)と溶媒を含むペーストを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で焼き付けることにより、図1に示す構造の本発明の燃料電池セル33を製造することができる。燃料電池セルの断面寸法は、例えば厚さが2.5〜10mm、幅が15〜40mm、燃料電池セルの長さ(ガス通過孔形成方向の長さ)が100〜200mmとされている。
尚、支持基板33aや燃料側電極33bの形成にNi単体を用いた場合には、酸素含有雰囲気での焼成により、Niが酸化されてNiOとなっているが、必要により、還元処理することにより、Niに戻すことができる。
(セルスタック)
セルスタックは、上述した燃料電池セル33が複数集合して、隣接する一方の燃料電池セル33と他方の燃料電池セル33との間に、金属フェルト及び/又は金属板からなる集電部材を介在させ、両者を互いに直列に接続することにより構成されている。即ち、一方の燃料電池セル33の支持基板33a、燃料側電極33bは、インターコネクタ33e、集電部材を介して、他方の燃料電池セル33の酸素側電極33dに電気的に接続されている。このようなセルスタックは、サイドバイサイドに配置されており、隣接するセルスタック同士は、導電部材によって直列に接続される。
燃料電池は、上記のようなセルスタックを、収納容器内に収容して構成される。この収納容器には、外部から水素等の燃料ガスを燃料電池セル33に導入する導入管、及び空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル33の外部空間に導入するための導入管が設けられており、燃料電池セルが所定温度(例えば、600〜900℃)に加熱されることにより発電し、使用された燃料ガス、酸素含有ガスは、収納容器外に排出される。
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記形態では、支持基板33a上に燃料側電極33bを形成した場合について説明したが、支持基板自体に燃料極としての機能を付与し、支持基板に固体電解質、酸素極層を形成しても良い。
また、上記形態では、支持基板成形体、燃料側電極用シート及び固体電解質用シート、インターコネクタ層用シートからなる積層成形体を同時焼成し、この後酸素側電極を形成したが、酸素側電極も同時焼成しても良いし、また、支持基板成形体に、燃料側電極、固体電解質、インターコネクタ用材料を含有するディップ用液中に浸漬し、それぞれの層を順次形成しても良い。
さらに、本発明では、金型の突条41a1の形状を変更することにより、ガス通路の断面形状、断面積、ガス通路全体形状を容易に変更することができる。例えば、図4(a)に示すように、下金型41aとして、6本の断面半円形の突条41a1が、その長さ方向に向けて次第に断面積が小さくなるように形成されている。このような下金型41aをプレス成形機41にセットし、一対の分割成形体を作製し、これらを接合することにより、図4(b)に示すように、ガス通路34の断面積が、支持基板の長さ方向の一端から他端に向けて次第に小さくなるような支持基板成形体を作製することができる。
このような支持基板成形体を用いて燃料電池セルを作製した場合には、例えば、燃料ガスを供給する上流側、即ちガスマニホールド42に接合される側をガス通路34が狭い側とすることにより、得られた燃料電池セルにおいて、固体電解質へのガス拡散を、セル長さ方向に対して十分に行うことができる。
即ち、ガス通路34の断面積がセル長さ方向に対して同一である場合には、燃料電池セルのガス入口部ではガス(水素)の濃度が高く、出口部では低い。そのため入口部のガス通路34の断面積を狭くして、流速を速くしてもガスの拡散は十分であるが、出口部ではガスの濃度が低いため、ガス通路34の面積を広くし、ガス流速を遅くさせることができ、ガス拡散を十分に行うことができる。
また、図5(a)に示すように、下金型41aとして、断面半円形の突条41a2を蛇行させたものを用いると、図5(b)に示すように、ガス通路34が蛇行した支持基板成形体33a11を作製することができ、このような支持基板成形体33a11を用いて燃料電池セルを作製した場合には、ガス通路34が一つであるため、支持基板の強度が大きくなり、例えば、ガスマニホールドに燃料電池セルを立設する際に、その固定部近傍において折損することを防止できる。
さらに、本発明では、図6に示すように、下金型41aとして、断面半円形の突条41a1表面に、複数の凹部46を形成したものを用いることにより、ガス通路34内に突出する突出部を形成することができる。この場合には、燃料電池セルのガス通路34を流れるガスに乱流を発生させることができ、ガス通路を流れるガスを固体電解質に供給し易くすることができる。
さらにまた、本発明では、プレス成形により、図7に示すように、燃料電池セルのガス通路の上流側端部の断面積を下流側端部の断面積よりも大きくし、ガス通路の上流側端部と下流側端部の形状が異なる形状の燃料電池セル支持体を容易に作製できるが、このように、ガスマニホールド42に立設される燃料電池セル33のガス通路の上流側端部の断面積を下流側端部の断面積よりも大きくすることにより、燃料電池セル33の重心がガスマニホールド42側に下がるため、燃料電池セル33をガスマニホールド42に安定して固定できる。これにより、燃料電池の輸送等及び運転時の振動、衝撃に対して破損を防止できる。
本発明の製法で得られた燃料電池セルを示すもので、(a)は横断面図、(b)は斜視図である。 料電池セル用支持体の製法に用いられるプレス成形機を示すもので、(a)はプレス成形機の説明図、(b)は下金型の斜視図である。 分割成形体を貼り合わせる状態を示す斜視図である。 (a)は燃料電池セル用支持体を作製するための下金型を示すもので、突条が一方側に向けて小さく形成された下金型を示す斜視図であり、(b)は燃料電池セルをガスマニホールドに立設した状態を示す側面図である。 (a)は蛇行するガス通路を形成するための下金型を示す斜視図であり、(b)は(a)の下金型を用いて作製した分割成形体を示す斜視図である。 下金型の突条表面に複数の凹部を形成した状態を示す斜視図である。 ガス通路の上流側端部の断面積が下流側端部の断面積よりも大きい燃料電池セルをガスマニホールドに立設した状態を示す側面図である。 ガス通路形状の有機樹脂からなる中子を混合粉末中に埋設し、成形する状態を示す説明図である。
符号の説明
33a・・・支持基板(支持体)
33a1、33a2、33a11・・・分割成形体
33b・・・燃料側電極(第1電極)
33c・・・固体電解質
33d・・・酸素側電極(第2電極)
34・・・ガス通路
53・・・中子

Claims (3)

  1. 内部にガス通路を有する多孔質の燃料電池セル用支持体上に、少なくとも固体電解質、電極が積層された燃料電池セルの製法であって、前記燃料電池セル用支持体を、該燃料電池セル用支持体を形成するための原料粉末、有機バインダ、溶媒および造孔剤の混合物を用いて、前記ガス通路の通路面積を2分割するプレス成形で作製された一対の分割成形体を、前記燃料電池セル用支持体を形成するための原料粉末、有機バインダおよび溶媒を含有するスラリーを介して貼り合わせ、所定温度に加熱し前記有機バインダを除去することにより接合して支持体成形体を作製し、該支持体成形体を焼成して形成することを特徴とする燃料電池セルの製法。
  2. 前記支持体成形体は平板棒状であり、前記ガス通路が前記支持体成形体の長さ方向に形成され、前記支持体成形体が、厚み方向に分割された一対の分割成形体を接合して作製されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セルの製法。
  3. 記支持体成形体上に、第1電極成形体、固体電解質成形体が順次積層された積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を焼成する工程と、該焼結体の固体電解質上に前記第2電極を形成する工程とを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池セルの製法。
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