JP4883908B2 - 硬化材料の増強された耐摩耗性及び耐候性のためのエポキシ樹脂硬化剤 - Google Patents

硬化材料の増強された耐摩耗性及び耐候性のためのエポキシ樹脂硬化剤 Download PDF

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Description

本発明は、非常に高い色安定性、耐摩耗性、耐引掻き性及び耐薬品性を有する材料を製造するエポキシ樹脂用硬化剤に関する。本発明はまた、当該硬化剤を使用してエポキシ樹脂を硬化させる方法、及びそのようにして製造された硬化エポキシ材料に関する。
背景
市販のエポキシ樹脂と市販の硬化剤とを組み合わせて、防食のためのコーティング、複合材料の成分及び成形プラスチックとして広い用途を有する材料を製造する。出発原料は、エポキシ樹脂及び硬化剤の基本成分に加えて、染料、顔料、充填剤、反応性及び非反応性の希釈剤、揮発性溶媒、安定剤ならびに添加剤を含有することができる。
エポキシ樹脂は通常、1モルあたり1個を超える1,2−エポキシ基を含有し、飽和、不飽和、芳香族、脂肪族、脂環式又は複素環式の構造に基づくことができる。
硬化剤は普通、以下の群の化合物:芳香族、脂肪族、脂環式もしくは複素環式アミン、アミン付加物、ポリアミド、ポリアミドアミド、マンニッヒ塩基、ケチミン又はカルボン酸誘導体から選択される。また、メルカプタン化合物を硬化剤中で活性化合物として使用することができる。
充填剤としては、二酸化チタン、シリカ、多様なケイ酸塩、鉱物又はカーボンブラックがある。
安定剤としては、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー又はUV吸収剤がある。
添加剤としては、可塑剤、硬化反応のための触媒、レオロジー改良添加剤又は界面活性剤がある。
反応性希釈剤は、多くの場合、エポキシ樹脂よりもかなり低い粘度を有するエポキシ化合物である。
市販のエポキシ樹脂及び硬化剤から製造される材料の色安定性は、硬化剤か、あるいは硬化剤、樹脂及び添加剤の組み合わせが、硬化後でも強い黄変傾向を有するため、多くの場合に不十分であるということが知られている。黄変を減らす公知の方法は、脂肪族又は脂環式構造を有するアミン系硬化剤を使用することである。理由は、光の存在下で、脂環式アミンの黄変は、芳香族アミンの黄変よりも有意に少ないからである。
脂肪族又は脂環式アミンを硬化剤として使用する場合の欠点は、得られる材料の耐摩耗性及び耐引掻き性が、しばしば芳香族アミンの場合よりも劣ることである。
また、シリカのような充填剤の使用によって硬化エポキシの耐摩耗性、耐引掻き性及び耐薬品性を有意に改善することができることが知られている(US3794609)。しかし、不都合は、硬化エポキシ樹脂の透明度がかなり低下し、それが、特にその材料がコーティングとして使用される予定である場合、欠点として認められることである。
したがって、高い色安定性、耐摩耗性、耐引掻き性及び耐薬品性ならびに許容しうる透明度を有する硬化エポキシを製造する公知の方法は、低い黄変傾向を有する脂肪族又は脂環式アミン系硬化剤を添加剤としてのシリカ系ナノ粒子とともに使用することであることができる。シリカ系ナノ粒子の一例は、ドイツDegussa社のAerosil(登録商標)製品である。EP0774443A1から、ナノ分散二酸化チタンがとりわけポリマー系配合物の色安定性を改善するのに適していることが公知である。
良好な耐摩耗性、耐引掻き性及び耐薬品性を許容しうる透明度とともに有するコーティングを調製するための他の方法は、ポリマー形成性有機成分及び粒子含有又は粒子形成性無機成分(粒度は1〜150nmである)に基づくことである。コーティングは通常、有機成分と無機成分との混合物を表面に塗布し、熱及び/又はUV−VIS放射線の援用によって乾燥させることによって硬化させる。このようなコーティング形成性混合物は、エポキシ樹脂又はエポキシ基を有する化合物を含有することができる。このような有機−無機ハイブリッド材料の調製及び可能な用途を記載する、多数の特許及び公開物が存在する:JP09132637、US5618860、US5804616、WO9832792、EP496552、KR2,000059589、JP2001288401及びMilena Spirkovaら、"Hybrid Organic-Inorganic Epoxide-Based Coatings Prepared by Sol-Gel Process"、Proceedings of 6th Nuernberg Congress on Creative Advances in Coatings Technology", paper 12 (2001)。
エポキシ樹脂のような熱硬化性プラスチックはまた、コーティング以外の用途に関しても、ナノ分散無機粒子で改良することができる。DE19860691A1は、ナノ結晶を含有する磁気ペーストを記載している。WO9631572A1は、とりわけアクリル又はエポキシ樹脂に基づき、光電子素子の集積又は接合に使用することができる重合性のナノ粒子含有配合物を記載している。WO0130304A1は、有機熱硬化性樹脂及び無機ナノ粒子含有又はナノ粒子形成性成分に基づく材料を記載している。この材料は、歯科代用材料として使用される。加えて、多数の科学系出版物が、エポキシ樹脂のような熱硬化性プラスチックをナノ粒子含有又はナノ粒子形成性混合物で改良することを記載している(たとえば、Soo-Jin Parkら、"Surface Modification of Montmorillonite on Surface Acid-Base Characteristics of Clay and Thermal Stability of Epoxy/Clay Nanocomposites"、Journal of Colloid and Interface Science 251, 160-165 (2002))。
また、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂のための、加水分解性シラン化合物を用いる窒素含有塩基性硬化剤の調製が公知である。US4988778は、ジイソプロピルアミンを用いる(ただし水を加えない)、γ−アミノプロピルトリメトキシシランの部分的アルコーリシス/アミノリシスによって調製される硬化剤を記載している。JP04366159は、γ−グリシドプロピルトリメトキシシランと、水及び少量のアミジン化合物1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7との反応によって製造される、エポキシ含有熱硬化性混合物の硬化のための補助成分として使用される生成物を記載している。しかし、塩基性アミジン化合物は、シラン/水混合物の62重量ppm未満しか構成せず、したがって、生成物そのものは、エポキシ樹脂用硬化剤としては不適であるとみなされざるを得ない。
また、PCT/NO2001/00287には、既存の有機ラッカー又はゲルコートを適当なナノ粒子混合物で改良して、とりわけ改善された耐引掻き性を得ることができることが示されている。ここでは、安定なナノ粒子含有ゾルを調製し、それを、必要に応じて、既存の有機ラッカー又はゲルコートに添加する。
しかし、γ−アミノプロピルトリアルコキシシランもしくは他の窒素含有シラン類及び/又はメルカプトシラン類の制御された加水分解/縮合によって調製されるゾル−ゲル混合物の、エポキシ樹脂用硬化剤としての使用は、記録されていないと考える。
ゾル−ゲル法は、ナノ粒子系混合物を調製する簡単な方法である。ゾル−ゲル法は、たとえばシランアルコキシドの制御された加水分解/縮合に基づく。この方法は、PCT/NO2001/00287に記載されており、ポリマー及び/又は重合性有機配合物に比較的容易に混入することができるゲルを与える。
一つの例は、γ−アミノプロピルトリアルコキシシランの制御された加水分解/縮合によって調製されるゾルである。この場合、ゾル−ゲル法は、外部触媒を必要とせず、室温又はわずかな加熱で実施できるため、特に簡単である。
公知のエポキシ樹脂用硬化剤は、アミン、たとえば4,4′−ジアミノジフェニルメタン(I)又はメタキシリレンジアミン(II)
Figure 0004883908
に基づく。
アミンは、エポキシ樹脂の2個以上のポリマー鎖と架橋することにより、エポキシ樹脂と反応する。これが、アミン系硬化剤及びエポキシ樹脂からなる二成分系の固化(硬化)ならびに比較的耐摩耗性である材料の形成に通じる。アミン系硬化剤の欠点は、硬化した材料が、とりわけアミン系硬化剤中の成分の酸化による劣化のせいで、比較的速く黄変するということである。それに加えて、硬化した材料の耐摩耗/耐引掻き性は、多くの場合、過酷な用途で使用される材料にとって不十分である。
目的
本発明の目的は、高い耐摩耗性及び光安定性を有する硬化エポキシ材料を提供する、エポキシ樹脂用硬化剤を提供することである。
さらなる目的は、高い透明度及び明澄度を有する材料を提供する、上述の硬化剤を提供することである。
本発明のさらなる目的は、工業規模で製造しやすく、長い貯蔵寿命を有し、通常条件下でエポキシ樹脂を容易に硬化させることができる、硬化剤を提供することである。
本発明
本発明の第一の態様は、請求項1の特徴部分で開示される特徴によって定義されるエポキシ樹脂用硬化剤に関する。
第二の態様によると、本発明は、請求項15によって定義される硬化エポキシ樹脂に関する。
第三の態様によると、本発明は、請求項16によって定義されるエポキシ樹脂硬化法に関する。
本発明の好ましい実施態様が、従属項によって開示される。
本発明の第一の態様は、エポキシ樹脂を硬化させるために使用することができる、ゾル−ゲル系硬化剤に関する。第一の工程で、適当なアミン含有加水分解性及び縮合性シラン化合物の制御された加水分解/縮合によってゾルを調製する。適当なアミン含有加水分解性及び縮合性シラン化合物は、式
(X−B−)nSi(−Y)4-n (III)
(式中、n=1又は2であり、X=SH、−N=C=O又はNR12である)
に包含される化合物である。NR12は、水素、飽和又は不飽和C1〜C18アルキル、置換又は非置換のアリール、ホルミル、脂肪族又は芳香族カルボニル、カルバモイル、スルホニル、スルホキシル、ホスホニル、スルフィニル、ホスフィニルから選択され、前記化合物中の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含有することができ、及び/又は、場合によっては、1個以上の加水分解性シラン単位を含有し、あるいは、R1、R2は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択される。
ナノ粒子系組成物を調製する簡単な方法はゾル−ゲル法である。ゾル−ゲル法は、たとえばシラン酸化物の制御された加水分解/縮合に基づく。この方法は、PCT/NO2001/00287に記載されており、ポリマー含有配合物又は重合性有機配合物と比較的容易に混合することができるゲルを与える。一例は、γ−アミノプロピルトリアルコキシシランの制御された加水分解/縮合によるゾルの調製である。この場合、ゾル−ゲル法は、触媒を必要とせず、室温又はわずかな加熱で実施できるため、特に簡単である。
上述の特許の発明及び上述の公開物の結果に対する本発明の主な違いは次のとおりである。第一の工程で、適当な、おそらくは適切に変性されたシラン化合物の制御された加水分解/縮合によって安定なゾルを調製する。好ましい条件下で貯蔵されると、生成物は、6ヵ月以上にわたって安定であることができる。第二の工程で、ゾルを適当なエポキシ樹脂と混合して、改善された色安定性、耐摩耗性、耐引掻き性及び耐薬品性を有する硬化材料を得る。本発明者らが知る限り、2種以上の成分を有するエポキシ樹脂用硬化剤としての、長い安定性を有する安定なゾルを記載した従来技術は存在しない。
請求項1の特徴部分で記載された化合物の制御された加水分解/縮合は、一般に、粒子形成性縮合物又はオリゴマー縮合物が遊離アミノ基のいくつかを表面に有するゾルを与える。したがって、これらの粒子又はオリゴマーが、公知のアミン系硬化剤(I)及び(II)と同じ方法で、熱硬化性樹脂中の2個以上のポリマー鎖と架橋することにより、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂と反応することができる。他の窒素含有シラン化合物又はメルカプトシラン類の制御された加水分解/縮合によって調製されたゾルを用いての場合、そのゾルが十分に多数の遊離アミノ基及び/又はメルカプタン基を有する粒子又はオリゴマーを含有するならば、対応する硬化反応が可能である。一般に、ゾルをエポキシ樹脂用硬化剤又は硬化剤の成分として使用するためには、その前にゾル−ゲル法の反応生成物、たとえばアルコール又は過剰の水を除去しなければならない。
いくつかの遊離アミノ基を表面に有する粒子形成性縮合物とエポキシとの間の架橋反応、ひいては硬化反応は、(IV)
Figure 0004883908
のように記すことができる。
ときには、特にゾル−ゲル法からの反応生成物、たとえばアルコール類又は水が除去された後、ゾルの安定性が短すぎることもある。また、ゾルとエポキシ樹脂との間の硬化反応の速度が最適とはほど遠く、硬化反応が速すぎたり、遅すぎたりすることもある。そのような場合、硬化反応の速度の調節が望ましい。また、ゾルとエポキシ樹脂との適合性、ひいては混和性が十分に良好ではなく、それが、たとえば、硬化材料に不十分な材料特性を与える場合もある。そのような場合にも適合性の調節が必要である。したがって、調製されたゾルを、適切な化学転換によって変性することが有利であることもある。
調製されたゾルを改変するのに適した化学転換は、粒子形成性縮合物の表面のいくつかの遊離アミノ基を変性することを意図したものである。このような転換は、粒子形成性縮合物の表面のいくつかの遊離アミノ基と、好ましくはいくつかの遊離アミノ基と定量的に反応する反応性化合物との間で、温度T<470K及び圧力P<0.3MPaで実施される。特に適当な反応性化合物は、エポキシド、酸誘導体、ブロックされた、及びブロックされていないイソシアネート、ならびに
a)適当な原子又は原子群X、及び
b)基R
で構成される化合物R−Xである(式中、R−Xは、原子又は原子群Xがアミノ基によって置き換えられる置換反応で、いくつかの遊離アミノ基と反応することができ(Endere Berner, “Laerebok i organisk kjemi”, Aschehoug & Co., Oslo (1964), p. 144-147)、基Rは、非置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルから選択され、前記化合物の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物もしくは付加物から選択される群を含むことができ、
原子又は原子群Xは、好ましくは、ハロゲン、置換又は非置換のアルコキシ、フェノキシ、アミン、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート又はホスフィネートから選択される)。
適当なエポキシドの例は、
Figure 0004883908
(式中、R1は、水素、非置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルのような基から選択され、前記化合物の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、あるいは、R1は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択される)のように表すことができるモノグリシジル化合物である。
さらには、適当なエポキシドの例は、
Figure 0004883908
(式中、R1〜R4は、水素、非置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルのような基から選択され、前記化合物の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、あるいは、R1は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択される)のように表すことができる、エポキシ化されたC=C二重結合を有する化合物である。
適当な酸誘導体の例は、
カルボン酸の誘導体
Figure 0004883908
スルホン酸の誘導体
Figure 0004883908
スルフィン酸の誘導体
Figure 0004883908
である(式中、R1は、水素、非置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルのような基から選択され、前記化合物の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、あるいは、R1は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択され、
Xは、適当な脱離可能な基、たとえばハロゲン、置換又は非置換のアルコキシ、フェノキシ、アミン、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート又はホスフィネートである)。
適当なイソシアネートの例は、
Figure 0004883908
(式中、R1は、水素、非置換の飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換されている飽和又は不飽和C1〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルのような基から選択され、前記化合物の炭素鎖は、場合によっては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1個以上の元素を含むことができ、あるいは、R1は、酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド又はエポキシドのような1種以上の化合物の縮合物又は付加物から選択され、イソシアネート基は、公知の化学物質によってブロックされていてもよい)のように表すことができる。
粒子形成性縮合物とエポキシ樹脂の表面のいくつかの遊離アミノ基との間の架橋過程、ひいては硬化過程において、以下のタイプの付加物が形成される。
Figure 0004883908
同様にして、いくつかの遊離アミノ基がイソシアネートで転換されると、付加物が形成される。
Figure 0004883908
したがって、いくつかの遊離アミノ基を表面に有する粒子形成性縮合物はまた、イソシアネート系樹脂の架橋過程、ひいては硬化過程で使用することができ、それがいわゆるポリウレタンの形成へと導かれる。
好ましい実施態様
本発明の好ましい実施態様は、X=NR12であり、R1が水素であり、R2がH−(HN−CH2−CH2−)m(ここで、m=0〜6である)であり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、式(III)で示される硬化剤である。
本発明のもう一つの好ましい実施態様は、X=NR12であり、R1が水素であり、R2がフェニルであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、式(III)で示される硬化剤である。
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、X=NR12であり、R1が水素であり、R2がカルバモイルであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、式(III)で示される硬化剤である。
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、X=SHであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、式(III)で示される硬化剤である。
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、X=N=C=Oであり、Bがプロピレンであり、n=1であり、Yがエトキシ又はメトキシである、式(III)で示される硬化剤である。
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、ビス(γ−トリアルコキシシリルプロピル)アミンの制御された加水分解及び縮合によって、ゾルが完全に又は部分的に調製される、式(III)で示される硬化剤である。
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、トリス[3−トリアルコキシシリルプロピル]イソシアヌレートの制御された加水分解及び縮合によって、ゾルが完全に又は部分的に調製される、式(III)で示される硬化剤である。
本発明の硬化剤は、好都合である場合、少なくとも1種のUV吸収剤、少なくとも1種のラジカルスカベンジャー、少なくとも1種の酸化防止剤、少なくとも1種の染料もしくは顔料、少なくとも1種の充填剤及び/又は少なくとも1種の添加剤をさらに含むことができる。
もう一つの態様によると、本発明はまた、本発明の前記態様のいずれかのゾル−ゲル系硬化剤の少なくとも1種及びエポキシ樹脂、ならびに場合によっては添加剤、たとえば酸化防止剤、光吸収剤(UV吸収剤)、ラジカルスカベンジャー、酸調整剤、染料、顔料、充填剤及び/又は他の添加剤を含有する混合物を含むことができる。
実施例
粒子形成性縮合物の調製
実施例1.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS、米国Crompton社)250gを、凝縮器及びマグネチックスターラーを備えた1,000ml丸底フラスコに入れた。ブチルジグリコール(BDG)73.5gと水28.5gとの混合物を加えた。この混合物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱した。凝縮器を蒸留カラムで置き換え、110℃の油浴温度及び1,000mbar〜20mbarの真空勾配で揮発性反応生成物を留去した。丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経たところで、蒸留を停止した。留出物約175mlを捕集した。この反応生成物は、ガードナー色数<1(ガードナーカラースケール/ASTM D1544に準ずる)及び粘度<400mPa・sの、明澄で無色の液体であった。エタノール/水(エタノール96容量%)中の4−ドデシルベンゼンスルホン酸による滴定は、元のγ−APS中のアミノ基の約75%が、4−ドデシルベンゼンスルホン酸によってプロトン化可能であることを示した。
実施例2.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS、米国Crompton社)250gを、凝縮器及びマグネチックスターラーを備えた1,000ml丸底フラスコに入れた。ブチルグリコール(BDG)73.5gと水28.5gとTinuvin 123(スイスCiba Specialty Chemicals)0.73gとの混合物を加えた。この組成物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱した。丸底フラスコを蒸留カラムで置き換え、110℃の油浴温度及び約1,000mbar〜20mbarの真空勾配で揮発分を留去した。丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経たところで蒸留を停止した。留出物約172mlを捕集した。この反応生成物は、ガードナー色数=1(ガードナーカラースケール/ASTM D1544に準ずる)及び粘度<400mPa・sの、明澄で無色の液体であった。エタノール/水(エタノール96%)中の4−ドデシルベンゼンスルホン酸による滴定は、元のアミノ基の75%が4−ドデシルベンゼンスルホン酸によってプロトン化可能であることを示した。
実施例3.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS、米国Crompton社)250gを、凝縮器及びマグネチックスターラーを備えた1,000ml丸底フラスコに入れた。ブチルグリコール(BDG)73.5gと水28.5gとTinuvin 123(スイスCiba Specialty Chemicals)0.73gとの混合物を加えた。この組成物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱した。凝縮器を蒸留カラムで置き換え、110℃の油浴温度及び約1,000mbar〜20mbarの真空勾配で揮発分を留去した。丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経たところで蒸留を停止した。留出物約175mlを捕集した。まだ暖かい反応生成物に、シクロヘキサン(米国Cytek社)10ml中のCyasorb UV-1164(米国Cytec社)1.0gの加熱溶液を加えた。その後、蒸留をもう1回、丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経るまで、上記のように実施した。反応生成物は、ガードナー色数=3(ガードナーカラースケール/ASTM D1544に準ずる)及び50℃での粘度<400mPa・sの、明澄で黄色の液体であった。10℃では、この反応生成物は、ロウ状で結晶質の黄色い塊であった。
実施例4.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS、米国Crompton社)885.6gを、凝縮器及びマグネチックスターラーを備えた1,000ml丸底フラスコに入れた。ブチルグリコール(BDG)389.3gと水93.6gとTinuvin 123(スイスCiba Specialty Chemicals)12.0gとの混合物を加えた。この組成物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱した。凝縮器を蒸留カラムで置き換え、110℃の油浴温度及び約1,000mbar〜20mbarの真空勾配で揮発分を留去した。丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経たところで蒸留を停止した。留出物約536gを捕集した。まだ暖かい反応生成物に、トルエン94mlに溶解したCyasorb UV-1164 12.0g及びCyasorb UV-2908(米国Cytec社)12.0gの加熱溶液を加えた。その後、蒸留をもう1回、丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経るまで、上記のように実施した。反応生成物は、ガードナー色数=3(ガードナーカラースケール/ASTM D1544に準ずる)及び50℃での粘度<400mPa・sの、明澄で黄色の液体であった。10℃では、この反応生成物は、ロウ状で結晶質の黄色い塊であった。
実施例5.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−APS、米国Crompton社)597.8gを、凝縮器及びマグネチックスターラーを備えた1,000ml丸底フラスコに入れた。ブチルグリコール(BDG)262.5gと水63.2gとTinuvin 123(スイスCiba Specialty Chemicals)8.1gとの混合物を加えた。この組成物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱した。凝縮器を蒸留カラムで置き換え、110℃の油浴温度及び約1,000mbar〜20mbarの真空勾配で揮発分を留去した。丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経たところで蒸留を停止した。留出物約536mlを捕集した。まだ暖かい反応生成物に、トルエン36mlに溶解したCyasorb UV-1164(米国Cytec社)12.0gの加熱溶液を加えた。その後、蒸留をもう1回、丸底フラスコ中の圧力が20mbar以下に達して10分を経るまで、上記のように実施した。反応生成物は、ガードナー色数=3(ガードナーカラースケール/ASTM D1544に準ずる)及び50℃での粘度<400mPa・sの、明澄で黄色の液体であった。10℃では、この反応生成物は、ロウ状で結晶質の黄色い塊であった。
粒子形成性縮合物と市販の硬化剤との混合物及び試験/プレート調製のための市販のエポキシ樹脂による混合物の転換
実施例6.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(実験1からのゾルとスイスVantico社のHY 5160との容量比1:1の混合物)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
実施例7.実施例3の粒子形成性縮合物と、市販の、エポキシ樹脂用の低粘度フェノールフリー変性脂環式ポリアミン硬化剤(Aradur 2965、スイスVantico社)との間で、種々の硬化剤組成物を調製した組成物を表1に示す。
Figure 0004883908
このように調製した硬化剤組成物を、実施例6と同じ方法で、エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンからの、市販の反応生成物(Araldite GY 250、スイスVantico社)と混合した。組成物をPVDF(ポリフッ化ビニレン)のプレート上で、厚さ約2mmの層に硬化させた。混合比を表2に示す。
Figure 0004883908
試料/プレート調製のための市販のエポキシ樹脂による粒子形成性縮合物の転換
実施例8.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(実施例1で調製したゾル)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
実施例9.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(実施例2で調製したゾル)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
実施例10.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(実施例3で調製したゾル)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。樹脂及び硬化剤を高温キャビネット中で60℃に予熱した。その後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
実施例11.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物に、低粘度エポキシドを加えて希釈したもの(L 0166/S700、ドイツBakelite社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(実施例1で調製したゾル)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
試料/プレートの調製のための市販のエポキシ樹脂による市販の硬化剤の転換
実施例12.エポキシ樹脂(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及びエピクロロヒドリンから転換された市販の反応生成物、CY 219、スイスVantico社)100gを、0.1gの精度でビーカーに秤量した。次いで、硬化剤(HY 5160、スイスVantico社)50gを加え、混合物を十分に手で攪拌した。硬化剤が周囲温度、すなわち約23℃である間、樹脂を40℃に予熱した。その後、混合物を40℃の高温キャビネットに入れて、エポキシ組成物から空気、すなわち小さな気泡を除去しやすくした。数分後、混合物を60mlの使い捨て注射器に移し、その後、内径87mm及び137mmのペトリ皿に移した。ペトリ皿には、VanticoのQV 5110タイプのスリップワックスの層を塗布しておいた。この移し換えの後、ペトリ皿にフタを載せた。試料を室温で1日(24時間)硬化させた。その後、試料を取り出し、70℃で約17時間後硬化させた。最後に、試料を紙に包み、ジッパー付きのプラスチック袋に入れた。
特性決定及び試験
ゾル粒度
光散乱の原理を利用して、ゾルの粒度を計測した。粒度分布の測定には、市販の計器、英国Malvernの「Zetasizer 3」を使用した。粒度分布はシャープであり、実施例1〜3にしたがって調製したゾルの場合、平均粒度は5nm未満であった。
耐摩耗性
Eyre/Bicere-apparatusの万能摩耗試験機を使用して、耐摩耗性を試験した。恒量は588g(3×負荷)であった。実施例9にしたがって製造したプレートには、比較的多数の掻ききずが付いた。実施例4にしたがって製造したプレート上には、掻ききずはほとんど見えなかった。
Erichsen試験によって測定した耐引掻き/耐摩耗性
耐引掻き/耐摩耗性試験を、Erichsenタイプの硬さペン(Erichsen、ドイツ)によって測定した。方法は、硬さペンで掻ききずを付けることに基づくものであった。試験中に加えられる力を、ばねによって制御した。力に対応する硬さの値を、硬さペンからニュートン[N]単位で読み取った。試料ごとに少なくとも3回の平行計測を実施した。どの場合に力が目に見える掻ききずを付けないか、どの強さで目に見える掻ききずが最初に付いたかを記録した。実施によって記載したように調製した一連のプレートに対して試験を実施した。変性された硬化剤を用いて製造されたプレートに対して掻ききずを付けるのに要する力は、市販のアミン系硬化剤を用いて製造されたプレートに対して掻ききずを付けるのに要する力の、少なくとも40倍の大きさであることが示された。結果を表3に示す。
Figure 0004883908
加速エージングと色/明るさ(brightness)の計測
実施にしたがって製造したエポキシプレートを、426時間、ISO 4892-3に準ずる加速エージングに付した。試験計器は、UVA-340蛍光灯を備えたATLAS UVCONウェザーメータ(米国Atlas社)であった。試験のサイクルは、45℃に乾燥加熱しながら4時間のUV照射、10〜12℃で30分間の散水及び40℃で3時間30分間の凝縮からなるものであった。
加速エージングの前後に、ASTM 2244に準じてプレートの色を計測した。
いわゆる屋外光、D65、10°で計測した色
参照標準 白色(33112035N)
CIE-Labにおける色差 DL、Da、Db及びDE
全色変化 DE
色座標 DL(白/黒)、Da(赤/緑)及びDb(黄/青)
色計測の典型的な結果を、表4に示す。
Figure 0004883908
ISO 2813に準じて明るさの計測を実施した。結果を表5に示す。明るさは1個のスポットで計測した。装置は、Byk Gardnerマルチトリグロス20°、60°及び85°であった。60°での明るさの反射が100%を超える明るさを与えるという事実により、表5は、85°の入射角で計測した数値を示す。色計測の典型的な結果を表5に示す。
Figure 0004883908
本発明の系の硬化剤に基づくエポキシプレート(試料/プレートNo.PI)が、そのような硬化剤に基づかないエポキシプレート(試料/プレートNo.V)よりも、有意に少ない色変化及び/又は明るさの損失を示すということが、明らかである。
明るさの低下は、プレートの化学的な分解によって生じる。したがって、加速エージングの後、明るさの低下をほとんど又は全く示さないプレートは、薬品、たとえば酸又は塩基性液体による分解に抵抗する能力に関して、比較的大きな明るさの低下を示すプレートよりも、良好な資質を有する。

Claims (16)

  1. シラン化合物を溶媒中で加水分解及び縮合して得られるゾルを含むエポキシ樹脂硬化用硬化剤であって、
    前記シラン化合物が、下記式:
    (X−B−)Si(−Y)4−n
    (式中、
    nは1であり、
    XはNRであり、
    、Rは水素であり、
    Bは、飽和又は不飽和C〜C18アルキレン、置換又は非置換のアリーレンから選択されるスペーサ基であって、これらの基の炭素鎖は、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素を含むことができ、
    Yは、エトキシ又はメトキシである)
    の化合物であり、
    前記加水分解及び縮合して得た反応生成物が、前記溶媒と、遊離アミノ基を表面に有する粒子形成縮合物と、アルコール及び水を含む揮発分とを含み、
    前記ゾルが、前記反応生成物中の前記揮発分を留去して得られるものであるエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  2. 前記溶媒が、ブチルジグリコールと水との混合物である請求項1記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  3. 前記加水分解及び縮合が、前記化合物と溶媒の混合物を油浴中110℃で還流させながら、45分間加熱して行われる請求項1又は2記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  4. 前記留去が、油浴温度が110℃、圧力が20mbar〜1000mbarの条件の下で行われる請求項1〜3のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  5. 前記Bがプロピレンであり、前記Yがエトキシ又はメトキシである、請求項1〜4のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  6. 前記シラン化合物が、γ−アミノプロピルトリエトキシシランである請求項1〜5のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  7. 少なくとも1種のUV吸収剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  8. 少なくとも1種のラジカルスカベンジャーをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  9. 少なくとも1種の酸化防止剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  10. 少なくとも1種の染料及び/又は顔料をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項記載
    のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  11. 少なくとも1種の充填剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  12. 少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  13. 前記ゾル中の前記粒子形成性縮合物の表面の遊離アミノ基が、エポキシド、酸誘導体、ブロックされた、及びブロックされていないイソシアネート、ならびにタイプR−Xの化合物(式中、Xは、ハロゲン、置換又は非置換のアルコキシ、フェノキシ、アミン、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスホネート又はホスフィネートから選択され、Rは、非置換の飽和又は不飽和C〜C24アルキル、置換の飽和又は不飽和C〜C24アルキル、置換又は非置換のアリール、脂肪族又は芳香族カルボニルから選択され、これらの基の炭素鎖は、窒素、硫黄、ケイ素及びホウ素の1種以上の元素、ならびに酸、アルコール類、フェノール類、アミン、アルデヒド及びエポキシドから選ばれる1種以上の化合物の縮合物から選択される基を含むことができる)から選択される反応性化合物によって完全に又は部分的に転換されている、請求項1〜6いずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤。
  14. エポキシ樹脂、及び請求項1〜6いずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤から製造される硬化エポキシ材料。
  15. エポキシ樹脂を硬化させる方法であって、
    i)請求項1記載の反応生成物から、請求項1記載の揮発分を請求項1記載の留去をして、請求項1〜6いずれか1項記載のゾルを製造すること、
    及び
    ii)前記ゾルを、前記エポキシ樹脂と混合してその前記エポキシ樹脂を硬化させること、を特徴とする方法。
  16. エポキシ系樹脂の硬化のための、請求項1〜13のいずれか1項記載のエポキシ樹脂硬化用硬化剤の使用。
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